連載小説
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ぐーたら姫様と新米侍
東西プロイセンが統一されて以来…おおっとラヴェッシのシュート!

んん〜今のは惜しかったニャア!


国民的アイドル、レンシュンマオのピンリンが応援歌をリリースし、2か月…
まあ、知っての通りやけどジパングは一勝も挙げず敗退、ブラジルを後にした。
文明が開化して以来、ジパングの外交政策もとても開放的なものとなり、
沢山の選手がプロイセン、レスカティエ、ハプスブルク、イタリア帝国都市、
といった西洋の国々へと旅立ち、一つのチームとして終結。

が、しかし、結果としては、
圧倒的な存在感を放ったコートジボワール、オーガのドログバにしてやられ、
ギリシア代表戦はヴァルキリ―たちの守備の網にかかり、
最後はマヤ代表の人虎コンビ、ファルカオとハメスの二人の前に何もできずに
大会が終わった。

「かぁ〜決まんないねぇ〜でも日本と違って好奇心くすぐるわ〜」

…誰も信じひんやろけど、
こいつがつい最近まで代表応援歌歌ってたお姫様や。
ジャージを着崩し、ビール缶とつまみの空き袋の山を作り…っておい!…
乳首見えとるで…


「ん…ん!」

「はあ?なんや?」
こいつは…レンシュンマオって人懐っこいんちゃうんか?
あとで図鑑作者訴えたろか?

「ほら…これ!ビール!ビール!」

「はぁ…へいへい…」


この男、亮太23歳。
これでも年棒800万円、プロとしてはそこそこ。
しかしピンリンはその何倍もの額を稼いでしまっているので
家ではまったく人権なし。
キスまでしか許して貰えず。


「ふいーコンビニコンビニ…なぁ!?」
彼の愛車はトヨタセンチュリー。
しかし助手席にはお菓子の空き袋の山、後部座席には笹付きの竹の棒4本。

「…送り迎えせんかった仕返しか…流石に車は俺のもんやのになぁ…」


いつも通うスタジアムの横を通り、セブンイレブンへ。
試合前や後も、観客たちでにぎわうのだが、今日は大事なワールドカップ決勝戦。
流石に閑古鳥が…

「おとーちゃん、これ欲しい!」

「あーもうそんなでかいアイス食えへんやろ?こっちにしとき!
 …はいもしもし…はあ!?オムツ!?…わかった…西松屋寄っとくわ…」

「香川さん…?」

「うん、うん、…ほな…また…っておお!亮太やないか!」

「香川さん、その、お疲れさまでした。」

「ああ、さんざんやったけどなぁ…」

香川はプロイセンからレスカティエの名門、マンチェスター・Uにステップアップ。しかし、大会では全く得点に絡めなかった。
当然、バッシングは集中。チーム移籍交渉を代理人にまかせ、故郷神戸で療養中と報道されていた。

「ま、そうしょげてられへんで。すぐに新しい監督かて決まるやろ。
 今のうちに嫁と娘、のんびり家族サービスやな。」

「ははは…そうですね。」

「おいおい…何他人事みたくおもてんのや?…ま、お楽しみや…」

「はぁ…?」

「しっかり準備せえよ!じゃあな!」

「ばいばい!」


……?おっと、ビールビール…





ご覧になられましたように優勝はプロイセン!
解説は福西さんでした!
ありがとうございましたニャ!


「…ちょっと試合終わっちゃったじゃない!どうしてくれんの!」

「うっさいな!ちょっと走ってくる!」

「なによ!もう!自覚してるのあなたは私の…」バタン!


「…なんなのよ…やるき出しちゃって…」







「はい!今私はサッカー協会前にきております!何とも言えぬ緊張感ですね!
 本日、新監督とともにアステカ戦、ホンジュラス戦の代表メンバー発表です!」

亮太は固唾をのんで見守る。やれるだけのことはした。成績だってキャリアハイのものをたたき出した。自分にだってチャンスはある。

「それでは新監督の挨拶です!」


「今後代表監督をつとめるリルトン・アギーレじゃ。以後よろしゅう。」
種族は…ファラオだろうか?彼女がコーチとして呼んだ、アヌビスとスフィンクスが後に続いた。

「それでは…メンバーを発表させていただく。
 GK 川島永嗣 所属 スタンダールリエージュ
   西川周作 所属 浦和レッドダイヤモンズ…  プチンッ!


「おい!何すんねん!」

「代表ねぇ〜。あんたワンチャンある!とか思ってんの…?
 どきなさい。まどマギ再放送が始まるわ」

「んのやろう!リモコンよこせ!オラ!」

「ちょっと!どこ触っての!ああん!」 ピッ


MF 森岡亮太 所属 ヴィッセル神戸
  豊田洋平 所属 サガン鳥栖 ……


「よ、呼ばれた…?」

「はああああああ!?」
15/01/29 22:25更新 / リエージュ川島
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