小鳥のご褒美
ピーヒョロロロ…
鳥の声が山々に響き渡っている。俺は今、暮らす町から離れた山の方に来ていた。空気がおいしい、それに周りには人もいない草原がただっ広く広がっているばかりだ。
なぜ俺がここに来ているのかというと…
「ふわ、わわわわわっ！」
「危ない危ない危ないッ！どごふっ―」
俺の背後からとてつもない衝撃を伴い突っ込んできたのは、緑の羽のハーピーだ。赤い髪のショートヘアで、瞳はエメラルドグリーン。
「いたたたたぁ…」
今彼女は俺の背中に乗って頭をさすっている。俺は彼女の尻の下に敷かれ(物理的な意味で)、背中の激痛に悶絶していた。若干呼吸がキツい…
「ファラ…いい加減退いてくれるか………？」
「あ、タカト。てへへ～、失敗しちゃった」
「ああ、だろうなっ。そうでなきゃ俺が今こんな背中に痛みを感じているはずがない…」
「ごめんタカトぉ。そんなに怒んないでよ～」
そう言ってファラは俺の上から下りた。いや、別に重かったわけではない。どちらかといえばかなり軽かった、心配になるくらいに。
「たっく…それにしても成功率が三分の一ってどうよ？」
何の成功率かと言えば、『十分以上の飛行』のである。ファラはもう十五になるが、未だにうまく飛べない。これはまずい、とてもまずい。なぜこうなってしまったという理由は、未熟児として生まれてしまったから。否、聞くところによればとても健康な出生であった。理由はたった一つ、サボっていたからである。
ハーピーはある程度の年齢になれば飛行の練習を行うが、めんどくさがり屋のファラはそれをせずに今までだらだらと来てしまった。そのしわ寄せが俺を巻き込んでやってきたのだ。あ～ほんとにはた迷惑な話…
俺とファラの関係は幼なじみの関係だ。俺が二つの時にファラが生まれ、それからずっと一緒に遊んだりしていた。家も近くで、両親とも仲がいい。それもあって今年の春にファラが俺の家にやってきて
「タカトーっ！お願いっ、空飛ぶの手伝ってぇーーっ」
と泣きついてきた。最初は訳がわからなかったが、保護者として付き合わされることになってしまった。それから週に数回ここへ来て彼女の飛行練習に付き合っている。
「じゃあ、もっかい行って来るね～」
ファラはそう言うと助走をつけて羽ばたき、空へ舞い上がった。はじめの頃は一人で飛び立てもしなかったなぁ～、なんて言うことを思い浮かべながらその光景を遠い目で見てる俺。
飛び上がってからしばらく経った。辺りで旋回を繰り返して戻ってこようとしていて、何とか十分以上は飛べている。なんとも気持ちよさそうに飛んでいるのを見て、少し羨ましくなる。やはりハーピーだからだろうか、飛んでいるときが一番活き活きしているように見える。
「タカトーッ、飛べてるよーっ！」
うれしそうに俺に向かって叫んだ。
「ああー、とりあえず下りてこーい」
「はーい」
と、そのとき突風が吹いたらしくファラは煽(あお)られてバランスを崩し、そのまま生えていた木の葉の中に消えた。
「キャアッ！」
「…あ～ぁ、ったく…」
俺は木の下まで走り、上を見上げた。木の枝に引っ掛かったファラが「エヘヘ…」と苦笑いを浮かべて何とか下りようと藻掻いていた。
「おい、そんな無茶苦茶したら枝が折れ―」
とたんに折れた。
「きゃっ！」
「わっ！」
俺の顔に彼女の胸が当たっている。しかし当たっているのは胸骨の固い感触が大半で、柔らかさはあまりない。
「うぅ…木に引っ掛かるし、落ちるし、タカトに胸に顔埋(うず)められたぁー、エッチー」
ファラは起きあがるとそう言って文句を言った。
「うるさい、文句を言いたいのはこっちだ。背中に突撃されりゃあ、下敷きにされるわ、木に引っ掛かったと思えば下敷きにされるは、おまけに胸はネェときた」
「むッ…」
ファラは立ち上がってスタスタと歩き出した。
「どうしたんだよ？」
「…帰るぅ。タカトに胸さわられたのに、貧乳って言われたっ！ろくでなしっ、ひとでなしっ！もう帰るぅ！」
「あのなぁ…ん？」
俺は文句を言ってから再び歩き始めたファラに駆け寄って止めた。
「なに～っ？」
「ほれ、動くな。怪我してんだろうが…」
ファラの左の二の腕から血が滲んでいた。俺は持っていたハンカチを傷口に巻いた。
「………」
「…んだよ、黙りこくって？」
「ずるい…」
「何が？」
「そういうの全部っ！だって、あたしのこと怒らせたくせに、すぐそうやって優しくするから…なんか…もう…」
「…はぁ～、怪我してたんだからしょうがねぇだろぉ？俺はファラのただのクッションって訳じゃねぇしよ」
ファラは俯いたまましばらく黙っていたが、ふと顔を上げた。
「タカトッ!」
「はい？」
「今から向こうの山のとこ回ってちゃんと戻ってこれたら、なんかご褒美ちょうだい！」
「はいぃ～？」
「いい？約束だからねっ！」
ファラはそう言うと走って飛び立った。
「訳わかんねぇ…」
俺はその場に腰を下ろして、様子を見ていた。
彼女が示した山は少し遠くにあり、往復で１０分以上はかかる。彼女はある程度高度を上げてからほとんど同じ高さで飛び続けた。陰は見る見る小さくなり、やがて山の陰に消えた。
（あ～ぁ、平気かよ…？）
少し心配もしながら見ていると、ちゃんと山の陰からファラの姿が現れて少し安心した。そのままどんどん迫ってくると俺は立ち上がり、ファラは俺の懐めがけて少し速度を落としながら飛び込んだ。
「おうおう、うまく飛べてたじゃん？」
「でしょ？」
「………」
「ご褒美ちゃんとちょうだいね」
「…何がいいんだよ？そんなに高いものは―」
俺の言葉は背伸びをしたファラによって遮られ、しばらくの間柔らかい感触が口元から伝わっていた。
「…ご褒美…ね…」
「…あ～…どっちにとってのだ？」
「主にあたし、かな？」
ファラはそう言いながら日に焼けたばかりのようになった顔を少し俯かせて、腕翼を俺の背中に回して文字通り包んだ。俺も流れのままに彼女の背中に手を回していた。
頭一個下にある彼女の目を見つめていると、その恥ずかしそうに反らされていた瞳が俺に向けられ視線が交わった。そしてその瞼がゆっくりと閉じられ、またゆっくりと背伸びをして顎を少しあげた。俺も目を閉じながら自分の顔を近づけた―
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
あれはまだ『暖かい』という気候だった頃だ。今の気候を表すのはすでに『暑い』に変わりきった。
あの頃よりも緑は深みを増して、何もしなくてもじんわりと汗をかくような今日この頃。俺は手で日光を遮りながらあの草原で上を見上げていると、顎から汗がしたたり落ちる。
「タカト～、滞空できてる～？」
「ああ、見事なもんだ」
太陽を背にして、ファラは宙に止まっていた。腕翼を広げて巧く上昇気流を獲得していて、時折２、３度羽ばたいては行動を保っていた。
ファラは俺がそう言ってやると、うれしそうに「にひひ…」と笑って体勢を変え、グライダーのように俺の図上を越えると少し離れたところで旋回して大きく回り俺のところにやってきた。
俺は腕を広げて少し後退しながら、減速して飛び込んできたファラを抱き留める。
「だいぶ飛べるようになったな」
「うん。タカトのアドバイスのおかげだよ？」
俺のアドバイスのおかげ。うれしいことを言ってくれる…
なぜ俺が彼女にアドバイスできるかというと、俺は今グライダーを作っているためにいろいろ勉強をしているからだ。ファラが飛べるようになったとき一緒に飛びたい、彼女の練習を始めてしばらくして俺は思い立った。
だから、どうすれば安定して風に乗れるのか、どうすれば比較的簡単に離陸できるか、そんなことをいろいろ考えまくり、調べまくった結果、こうしてアドバイスできるまでになった。ただ、グライダーだと高所からでないと離陸できないということがわかったため、何とかして低所からでも離陸できないかと試行錯誤中だ。
「いつか…一緒に飛びたいな」
「ああ、俺がなんとかなれば、もう横に並んで飛べるんだけどな…」
「でもタカトがあたしに掴まって飛んでもいいけどな～」
「でもそれだと疲れるだろ？」
「あたしがスタミナつければいいのっ」
ファラはそう言ってぎゅっと俺を抱きしめた。
「………
…ねぇ…ご褒美…ちょうだい」
しばらく黙ってから、振り絞ったようにそう俺に強請(ねだ)った。
「ああ…」
ファラの腰に腕を回して抱き上げ、互いに目を瞑って唇を重ねた。
俺たちは木陰の中に入り、俺は幹に凭(もた)れるようにして腰を下ろすと、ファラはその俺のあぐらの上に座り俺に凭れ掛かった。俺は後ろから彼女の内股に手をのばした。
「はぅ…」
俺の手が触れた瞬間、甘い息がファラから漏れた。俺はそのまま内股を指先で撫で上げ、彼女は甘い声の混ざった息を漏らし、小麦色のショートパンツのホックとジッパーを外しているときには
期待か不安か、彼女は息を止めていた。俺が片手でその小さな乳房を撫で、もう片手をショートパンツに進入させるとファラは内股を摺り合わせていやらしく臆病に啼いた。
「あっ…はぁっ…あっ…んんっ…」
今はまだ、少量の陰毛の生えた恥丘の部分を揃えた指の腹で撫で回しているだけだが、それでもファラは声を漏らした。
誰も来ないとはいえ、誰も見ていないとはいえ、外ですることがファラの性的興奮を高めているに違いなかった。かく言う俺も興奮しているのだが…
俺は手をもっと深くまで入れて、中指を筋に埋(うず)めた。
「はぁんっ―」
それだけでも十分な刺激だったようでファラは淫らな喘ぎをあげた。中指をクイクイと曲げて動かすと指の先端が微かに膣穴に入った。動かす度にクチュクチュと水音がして、すでに真っ赤だった顔をさらに赤くしてファラはとても恥ずかしそうに目をギュッと閉じた。
「んっ…あっ…あんっ、あんっ、あっ、ひゃっ…んぁっ、んっ…あっ、あっ―！」
さらに俺のもう一方の手の指は、少ししか膨らみのない胸のてっぺんの勃起した小さな突起をクリクリと服の上からこねくり回し、爪の先でくすぐるように優しく引っ掻いる。二カ所からの少し違う刺激で、ファラの下腹部は時折キュゥっと縮こまった。
「はぁ…、はぁ…、はぁ…、はぁ…」
「ご褒美、もっと欲しい？」
「…うん…もっと…ほしい…」
俺はファラを体ごと振り向かせてショートパンツから一方の足を抜かせた。ショートパンツの下には下着など無く愛液はダイレクトにショートパンツの股間部を濡らしていて、ファラにわざとそれを見えるようにすると彼女は顔を真っ赤にして顔を覆った。
「恥ずかしい？」
「…ぅん」
「平気だよ…」
俺はそう言って覆っていた羽をどける。
「これからもっと恥ずかしいコトするんだから」
「あっ…」
ファラの上の服をたくし上げて、そのまだ未発達な胸を露わにする。その僅かな膨らみの先の、先ほどまでいじっていた突起とその回りの乳輪のピンクがまるで花弁のようだ。俺は片方のその突起に口を付け、軽く吸い上げた。
「あっ、やっ…んっ、あっ、んっ…」
ファラは悦びの啼き声を挙げている。俺はもっと啼かせようと舌先で弾いた。
「あぁっ、はぅんっ…はぁっ、んっ、やぁはっ、やぁんっ…」
彼女は俺の頭を抱きしめた。俺はその間に片手で器用にズボンと下着を膝下までずり下ろし、その手の指で尾翼の裏をくすぐってやる。
「うあぁっ、はっ…やぁぁっ、やぁぁっ…だめぇぇっ…そこはぁんっ、変な感じぃぃ………あっ、ふぁっ、タ、カトぉ…イっちゃう、おっぱいでイっちゃうっ…」
頭を抱きしめる力が強くなって、もはや締め付けてさえいる。
「いいよ、ほら…」
俺は今度は乳首を強く吸い上げ、舌で上下に何度も弾いた。
「あっ、あっ―――」
またファラの体がビクンッと何度も震えた。俺の頭の上で彼女の熱い荒い息遣いが聞こえて、未だ頭はロックされたままだ。
俺は彼女の骨盤の側面を両手で掴まえ、ゆっくりと肉棒の上へと誘導して片手でそれを真上に向けると、亀頭の先に彼女のヌルヌルの秘部が当たった。そうすると、彼女の体が一度ビクッと弾んだ。
「沈めて、ゆっくり…」
「…ん」
ファラはゆっくり腰を下ろし、だんだん肉棒が膣穴にめり込んで吸い込まれていく。俺の股間を暖かく…いや、熱く軟らかいヌメッとした感覚が包んで快感を与えた。
やがて、根本まで入ると二秒もしない内にそれはカリ付近まで上がり、再び下りてきてまた上がった。それもはじめはゆっくりだったが、ファラの息遣いが荒さと熱さを増すにつれ速くなっていった。
俺の足に自然と力が入り、ピンと緊張した。クチュクチュ、ピチャピチャといった水音が興奮を誘い、お互いの絶頂を近づけた。
「あぁんっ…ぁんっ…はぅっ、あっ、あぁっ…」
「はっ…はぁっ…ファラっ…」
俺は堪らずファラを押し倒し、自ら腰を前後させた。俺が速い周期のピストンを始めたことによって快感は先ほどよりも強くなって、ファラは俺の腕をグッと掴み目尻には涙が浮かんでいる。俺は肘を曲げ、頭を位置を落とすとファラにキスをして舌をねじ込んだ。すんなりと舌はファラに受け入れられ、彼女の舌も絡みついてくる。
「んふぅ…んっ…んんっ、んふっ…んふぅぅっ、んんんん～～っ―」
「んんっ―」
出した先から収縮する彼女の子宮に俺の精は吸い取られて消えた。もっとよこせ、とでも言わんばかりに膣穴も子宮も俺の肉棒を締め付け、尿道から精を搾り取った。俺はファラを抱き起こし、まだ挿入ったまま座り込んで、抱きしめた。ファラも腕を回すが、力が弱い。耳元で聞こえる息切れの声に、俺は自然を彼女の頭を撫でていた。
「ご褒美の…感想は…？」
「すっごく…気持ち良かったよ……ごちそうさま…」
「おそまつさまでした…」
「…でも…尾羽の裏は…ダメって…言ったのに…」
「気持ちよかったんならいいだろ…？」
「でもぉ…」
ファラと初めてしたとき、俺は彼女の反応を見ながら宝探しのつもりで感じやすい部分を探していた。すると胸やアソコの中と外はもちろんだったが、尾羽を裏をコソコソしたときいい反応をしたのでアソコと一緒に責め続けた結果、彼女は俺の手に黄色い液体をかけてしまうこととなった。
恥ずかしさか、申し訳なさか、ファラはそれからそうされるのを嫌がった。
「いいじゃん、今度は漏らさなかったし」
「ぅ～～」
ファラは呻りながら回した腕に力を込めた。俺はそんな彼女があまりに愛おしくて、不意に笑みがこぼれた。
「さてと…」
挿入ったままの肉棒を抜けば、愛液が絡みついていてファラの膣穴から少し精液がこぼれた。
「今日はもう帰るか？」
「うん…でも…はぁあぁっ…」
ファラが小さなあくびをした。
「お昼寝してから…」
「…わかった。何にしてもまずは服着ないと」
木陰はやはり涼しくて、そよ風と葉や草のカサコソと言う音が心地よい。俺はファラの頭を胸に抱えて、横になった。ファラは俺の足に足を絡ませてしっかりとくっついた。
俺の鼻先をとても良い匂いがくすぐった。
鳥の声が山々に響き渡っている。俺は今、暮らす町から離れた山の方に来ていた。空気がおいしい、それに周りには人もいない草原がただっ広く広がっているばかりだ。
なぜ俺がここに来ているのかというと…
「ふわ、わわわわわっ！」
「危ない危ない危ないッ！どごふっ―」
俺の背後からとてつもない衝撃を伴い突っ込んできたのは、緑の羽のハーピーだ。赤い髪のショートヘアで、瞳はエメラルドグリーン。
「いたたたたぁ…」
今彼女は俺の背中に乗って頭をさすっている。俺は彼女の尻の下に敷かれ(物理的な意味で)、背中の激痛に悶絶していた。若干呼吸がキツい…
「ファラ…いい加減退いてくれるか………？」
「あ、タカト。てへへ～、失敗しちゃった」
「ああ、だろうなっ。そうでなきゃ俺が今こんな背中に痛みを感じているはずがない…」
「ごめんタカトぉ。そんなに怒んないでよ～」
そう言ってファラは俺の上から下りた。いや、別に重かったわけではない。どちらかといえばかなり軽かった、心配になるくらいに。
「たっく…それにしても成功率が三分の一ってどうよ？」
何の成功率かと言えば、『十分以上の飛行』のである。ファラはもう十五になるが、未だにうまく飛べない。これはまずい、とてもまずい。なぜこうなってしまったという理由は、未熟児として生まれてしまったから。否、聞くところによればとても健康な出生であった。理由はたった一つ、サボっていたからである。
ハーピーはある程度の年齢になれば飛行の練習を行うが、めんどくさがり屋のファラはそれをせずに今までだらだらと来てしまった。そのしわ寄せが俺を巻き込んでやってきたのだ。あ～ほんとにはた迷惑な話…
俺とファラの関係は幼なじみの関係だ。俺が二つの時にファラが生まれ、それからずっと一緒に遊んだりしていた。家も近くで、両親とも仲がいい。それもあって今年の春にファラが俺の家にやってきて
「タカトーっ！お願いっ、空飛ぶの手伝ってぇーーっ」
と泣きついてきた。最初は訳がわからなかったが、保護者として付き合わされることになってしまった。それから週に数回ここへ来て彼女の飛行練習に付き合っている。
「じゃあ、もっかい行って来るね～」
ファラはそう言うと助走をつけて羽ばたき、空へ舞い上がった。はじめの頃は一人で飛び立てもしなかったなぁ～、なんて言うことを思い浮かべながらその光景を遠い目で見てる俺。
飛び上がってからしばらく経った。辺りで旋回を繰り返して戻ってこようとしていて、何とか十分以上は飛べている。なんとも気持ちよさそうに飛んでいるのを見て、少し羨ましくなる。やはりハーピーだからだろうか、飛んでいるときが一番活き活きしているように見える。
「タカトーッ、飛べてるよーっ！」
うれしそうに俺に向かって叫んだ。
「ああー、とりあえず下りてこーい」
「はーい」
と、そのとき突風が吹いたらしくファラは煽(あお)られてバランスを崩し、そのまま生えていた木の葉の中に消えた。
「キャアッ！」
「…あ～ぁ、ったく…」
俺は木の下まで走り、上を見上げた。木の枝に引っ掛かったファラが「エヘヘ…」と苦笑いを浮かべて何とか下りようと藻掻いていた。
「おい、そんな無茶苦茶したら枝が折れ―」
とたんに折れた。
「きゃっ！」
「わっ！」
俺の顔に彼女の胸が当たっている。しかし当たっているのは胸骨の固い感触が大半で、柔らかさはあまりない。
「うぅ…木に引っ掛かるし、落ちるし、タカトに胸に顔埋(うず)められたぁー、エッチー」
ファラは起きあがるとそう言って文句を言った。
「うるさい、文句を言いたいのはこっちだ。背中に突撃されりゃあ、下敷きにされるわ、木に引っ掛かったと思えば下敷きにされるは、おまけに胸はネェときた」
「むッ…」
ファラは立ち上がってスタスタと歩き出した。
「どうしたんだよ？」
「…帰るぅ。タカトに胸さわられたのに、貧乳って言われたっ！ろくでなしっ、ひとでなしっ！もう帰るぅ！」
「あのなぁ…ん？」
俺は文句を言ってから再び歩き始めたファラに駆け寄って止めた。
「なに～っ？」
「ほれ、動くな。怪我してんだろうが…」
ファラの左の二の腕から血が滲んでいた。俺は持っていたハンカチを傷口に巻いた。
「………」
「…んだよ、黙りこくって？」
「ずるい…」
「何が？」
「そういうの全部っ！だって、あたしのこと怒らせたくせに、すぐそうやって優しくするから…なんか…もう…」
「…はぁ～、怪我してたんだからしょうがねぇだろぉ？俺はファラのただのクッションって訳じゃねぇしよ」
ファラは俯いたまましばらく黙っていたが、ふと顔を上げた。
「タカトッ!」
「はい？」
「今から向こうの山のとこ回ってちゃんと戻ってこれたら、なんかご褒美ちょうだい！」
「はいぃ～？」
「いい？約束だからねっ！」
ファラはそう言うと走って飛び立った。
「訳わかんねぇ…」
俺はその場に腰を下ろして、様子を見ていた。
彼女が示した山は少し遠くにあり、往復で１０分以上はかかる。彼女はある程度高度を上げてからほとんど同じ高さで飛び続けた。陰は見る見る小さくなり、やがて山の陰に消えた。
（あ～ぁ、平気かよ…？）
少し心配もしながら見ていると、ちゃんと山の陰からファラの姿が現れて少し安心した。そのままどんどん迫ってくると俺は立ち上がり、ファラは俺の懐めがけて少し速度を落としながら飛び込んだ。
「おうおう、うまく飛べてたじゃん？」
「でしょ？」
「………」
「ご褒美ちゃんとちょうだいね」
「…何がいいんだよ？そんなに高いものは―」
俺の言葉は背伸びをしたファラによって遮られ、しばらくの間柔らかい感触が口元から伝わっていた。
「…ご褒美…ね…」
「…あ～…どっちにとってのだ？」
「主にあたし、かな？」
ファラはそう言いながら日に焼けたばかりのようになった顔を少し俯かせて、腕翼を俺の背中に回して文字通り包んだ。俺も流れのままに彼女の背中に手を回していた。
頭一個下にある彼女の目を見つめていると、その恥ずかしそうに反らされていた瞳が俺に向けられ視線が交わった。そしてその瞼がゆっくりと閉じられ、またゆっくりと背伸びをして顎を少しあげた。俺も目を閉じながら自分の顔を近づけた―
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
あれはまだ『暖かい』という気候だった頃だ。今の気候を表すのはすでに『暑い』に変わりきった。
あの頃よりも緑は深みを増して、何もしなくてもじんわりと汗をかくような今日この頃。俺は手で日光を遮りながらあの草原で上を見上げていると、顎から汗がしたたり落ちる。
「タカト～、滞空できてる～？」
「ああ、見事なもんだ」
太陽を背にして、ファラは宙に止まっていた。腕翼を広げて巧く上昇気流を獲得していて、時折２、３度羽ばたいては行動を保っていた。
ファラは俺がそう言ってやると、うれしそうに「にひひ…」と笑って体勢を変え、グライダーのように俺の図上を越えると少し離れたところで旋回して大きく回り俺のところにやってきた。
俺は腕を広げて少し後退しながら、減速して飛び込んできたファラを抱き留める。
「だいぶ飛べるようになったな」
「うん。タカトのアドバイスのおかげだよ？」
俺のアドバイスのおかげ。うれしいことを言ってくれる…
なぜ俺が彼女にアドバイスできるかというと、俺は今グライダーを作っているためにいろいろ勉強をしているからだ。ファラが飛べるようになったとき一緒に飛びたい、彼女の練習を始めてしばらくして俺は思い立った。
だから、どうすれば安定して風に乗れるのか、どうすれば比較的簡単に離陸できるか、そんなことをいろいろ考えまくり、調べまくった結果、こうしてアドバイスできるまでになった。ただ、グライダーだと高所からでないと離陸できないということがわかったため、何とかして低所からでも離陸できないかと試行錯誤中だ。
「いつか…一緒に飛びたいな」
「ああ、俺がなんとかなれば、もう横に並んで飛べるんだけどな…」
「でもタカトがあたしに掴まって飛んでもいいけどな～」
「でもそれだと疲れるだろ？」
「あたしがスタミナつければいいのっ」
ファラはそう言ってぎゅっと俺を抱きしめた。
「………
…ねぇ…ご褒美…ちょうだい」
しばらく黙ってから、振り絞ったようにそう俺に強請(ねだ)った。
「ああ…」
ファラの腰に腕を回して抱き上げ、互いに目を瞑って唇を重ねた。
俺たちは木陰の中に入り、俺は幹に凭(もた)れるようにして腰を下ろすと、ファラはその俺のあぐらの上に座り俺に凭れ掛かった。俺は後ろから彼女の内股に手をのばした。
「はぅ…」
俺の手が触れた瞬間、甘い息がファラから漏れた。俺はそのまま内股を指先で撫で上げ、彼女は甘い声の混ざった息を漏らし、小麦色のショートパンツのホックとジッパーを外しているときには
期待か不安か、彼女は息を止めていた。俺が片手でその小さな乳房を撫で、もう片手をショートパンツに進入させるとファラは内股を摺り合わせていやらしく臆病に啼いた。
「あっ…はぁっ…あっ…んんっ…」
今はまだ、少量の陰毛の生えた恥丘の部分を揃えた指の腹で撫で回しているだけだが、それでもファラは声を漏らした。
誰も来ないとはいえ、誰も見ていないとはいえ、外ですることがファラの性的興奮を高めているに違いなかった。かく言う俺も興奮しているのだが…
俺は手をもっと深くまで入れて、中指を筋に埋(うず)めた。
「はぁんっ―」
それだけでも十分な刺激だったようでファラは淫らな喘ぎをあげた。中指をクイクイと曲げて動かすと指の先端が微かに膣穴に入った。動かす度にクチュクチュと水音がして、すでに真っ赤だった顔をさらに赤くしてファラはとても恥ずかしそうに目をギュッと閉じた。
「んっ…あっ…あんっ、あんっ、あっ、ひゃっ…んぁっ、んっ…あっ、あっ―！」
さらに俺のもう一方の手の指は、少ししか膨らみのない胸のてっぺんの勃起した小さな突起をクリクリと服の上からこねくり回し、爪の先でくすぐるように優しく引っ掻いる。二カ所からの少し違う刺激で、ファラの下腹部は時折キュゥっと縮こまった。
「はぁ…、はぁ…、はぁ…、はぁ…」
「ご褒美、もっと欲しい？」
「…うん…もっと…ほしい…」
俺はファラを体ごと振り向かせてショートパンツから一方の足を抜かせた。ショートパンツの下には下着など無く愛液はダイレクトにショートパンツの股間部を濡らしていて、ファラにわざとそれを見えるようにすると彼女は顔を真っ赤にして顔を覆った。
「恥ずかしい？」
「…ぅん」
「平気だよ…」
俺はそう言って覆っていた羽をどける。
「これからもっと恥ずかしいコトするんだから」
「あっ…」
ファラの上の服をたくし上げて、そのまだ未発達な胸を露わにする。その僅かな膨らみの先の、先ほどまでいじっていた突起とその回りの乳輪のピンクがまるで花弁のようだ。俺は片方のその突起に口を付け、軽く吸い上げた。
「あっ、やっ…んっ、あっ、んっ…」
ファラは悦びの啼き声を挙げている。俺はもっと啼かせようと舌先で弾いた。
「あぁっ、はぅんっ…はぁっ、んっ、やぁはっ、やぁんっ…」
彼女は俺の頭を抱きしめた。俺はその間に片手で器用にズボンと下着を膝下までずり下ろし、その手の指で尾翼の裏をくすぐってやる。
「うあぁっ、はっ…やぁぁっ、やぁぁっ…だめぇぇっ…そこはぁんっ、変な感じぃぃ………あっ、ふぁっ、タ、カトぉ…イっちゃう、おっぱいでイっちゃうっ…」
頭を抱きしめる力が強くなって、もはや締め付けてさえいる。
「いいよ、ほら…」
俺は今度は乳首を強く吸い上げ、舌で上下に何度も弾いた。
「あっ、あっ―――」
またファラの体がビクンッと何度も震えた。俺の頭の上で彼女の熱い荒い息遣いが聞こえて、未だ頭はロックされたままだ。
俺は彼女の骨盤の側面を両手で掴まえ、ゆっくりと肉棒の上へと誘導して片手でそれを真上に向けると、亀頭の先に彼女のヌルヌルの秘部が当たった。そうすると、彼女の体が一度ビクッと弾んだ。
「沈めて、ゆっくり…」
「…ん」
ファラはゆっくり腰を下ろし、だんだん肉棒が膣穴にめり込んで吸い込まれていく。俺の股間を暖かく…いや、熱く軟らかいヌメッとした感覚が包んで快感を与えた。
やがて、根本まで入ると二秒もしない内にそれはカリ付近まで上がり、再び下りてきてまた上がった。それもはじめはゆっくりだったが、ファラの息遣いが荒さと熱さを増すにつれ速くなっていった。
俺の足に自然と力が入り、ピンと緊張した。クチュクチュ、ピチャピチャといった水音が興奮を誘い、お互いの絶頂を近づけた。
「あぁんっ…ぁんっ…はぅっ、あっ、あぁっ…」
「はっ…はぁっ…ファラっ…」
俺は堪らずファラを押し倒し、自ら腰を前後させた。俺が速い周期のピストンを始めたことによって快感は先ほどよりも強くなって、ファラは俺の腕をグッと掴み目尻には涙が浮かんでいる。俺は肘を曲げ、頭を位置を落とすとファラにキスをして舌をねじ込んだ。すんなりと舌はファラに受け入れられ、彼女の舌も絡みついてくる。
「んふぅ…んっ…んんっ、んふっ…んふぅぅっ、んんんん～～っ―」
「んんっ―」
出した先から収縮する彼女の子宮に俺の精は吸い取られて消えた。もっとよこせ、とでも言わんばかりに膣穴も子宮も俺の肉棒を締め付け、尿道から精を搾り取った。俺はファラを抱き起こし、まだ挿入ったまま座り込んで、抱きしめた。ファラも腕を回すが、力が弱い。耳元で聞こえる息切れの声に、俺は自然を彼女の頭を撫でていた。
「ご褒美の…感想は…？」
「すっごく…気持ち良かったよ……ごちそうさま…」
「おそまつさまでした…」
「…でも…尾羽の裏は…ダメって…言ったのに…」
「気持ちよかったんならいいだろ…？」
「でもぉ…」
ファラと初めてしたとき、俺は彼女の反応を見ながら宝探しのつもりで感じやすい部分を探していた。すると胸やアソコの中と外はもちろんだったが、尾羽を裏をコソコソしたときいい反応をしたのでアソコと一緒に責め続けた結果、彼女は俺の手に黄色い液体をかけてしまうこととなった。
恥ずかしさか、申し訳なさか、ファラはそれからそうされるのを嫌がった。
「いいじゃん、今度は漏らさなかったし」
「ぅ～～」
ファラは呻りながら回した腕に力を込めた。俺はそんな彼女があまりに愛おしくて、不意に笑みがこぼれた。
「さてと…」
挿入ったままの肉棒を抜けば、愛液が絡みついていてファラの膣穴から少し精液がこぼれた。
「今日はもう帰るか？」
「うん…でも…はぁあぁっ…」
ファラが小さなあくびをした。
「お昼寝してから…」
「…わかった。何にしてもまずは服着ないと」
木陰はやはり涼しくて、そよ風と葉や草のカサコソと言う音が心地よい。俺はファラの頭を胸に抱えて、横になった。ファラは俺の足に足を絡ませてしっかりとくっついた。
俺の鼻先をとても良い匂いがくすぐった。
10/10/17 03:43更新 / アバロンⅡ世