連載小説
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1.死人で彼女な親友が
大学生の夏休みとは、ただダラダラする時間である。少なくとも俺にとっては。
大学に入って初めての夏休み。最初俺はその長さにウキウキし、何をしようか考えた。
サークルの合宿は外せないだろ。誰か友達を誘って遊びに行くのもいいかもしれない。いやいや、来期に向けて勉強するのもありかも。それとも思い切って海にでも行ってみるか?案外彼女なんか出来ちゃったりして…
しかし元々無精かつ若干ぼっち気味な俺にとって、輝かしい夏休みの生活など夢のまた夢であった。
友人を誘ってみたもののみんな都合が合わず、結局一人で遊園地に行くハメになった。親子連れやらカップルが多くて泣きたくなった。市内の観光地を自転車で巡ってみたりもしたけど、流石に何度も行く気にはなれなかった。
たまに気が向いた時は机に教科書を広げてみた。数分後には教科書はマンガに変わっていた。
海に行くなんてもってのほかだ。合宿で使ったせいもあって行く金もないし、だいたい遊園地で受けた白い目を思い出すと、行く勇気など霧散してしまった。
サークルの合宿は楽しかった。けど、夏休み中はそれ以外のサークル活動は最後の一週間までお預けらしかった。
夏休みが始まってひと月もすると、やる事がほとんどなくなってしまった。というわけで俺は、特に何をするでもなくリア充達を呪いつつ、ひたすらダラダラする非常に情けない夏休みを送っていた。
…そんな俺の退屈な毎日は、ある日突然急展開を見せた。



「おーい。太一、いる?」
布団の中で二度寝するかしないかの状態でうとうとしていると、玄関の方から聞き覚えのない女の声が聞こえた。
「はーい、少し待ってください」
全く迷惑な奴だ。折角人が二度寝を決め込もうとしてるってのに。だいたい俺に呼び捨てされるような女の知り合いはいねーぞ……などと考えつつ、俺は大急ぎで着替え、玄関の戸を開けた。







……そこには、手と顔の半分が骨剥き出しなターミネー◯ーのできそこないみたいな女がいた。






「…全く、太一は相変わらず無精だね。やる事ないなら実家にでも顔出しなよ。親御さんが寂しがるよ?」
「…………」
「どうしたのさ?人の顔ジロジロ見て。ボクの顔に何かついてる?」
あ、いや、その。
お前誰だよっていうかなんで初対面の相手にそんな馴れ馴れしい上に御節介なんだっていうかむしろ付いてるべき皮膚(モノ)がついてねーじゃねーかっていうか…
「…ぎゃああああああああ怪物だあああああああああああああああああ!!」
「ちょっと、怪物だなんて失礼な!ボクは君の彼女じゃないか!」
骨が剥き出しの彼女なんかもらった覚えねえよ!
「だだだだ誰だよお前!」
「だらけ過ぎてボクの顔まで忘れちゃったのかい!?なんて冷たい恋人なんだい君は!ハジメだよ!昔ずっと一緒だったじゃないか!!」
「ハジメぇ?…ん?いや、待てよ」
昔ずっと一緒だったハジメ…一人だけいる。
橘始(たちばなはじめ)。
小学校以来の俺の親友だったけど、高1の時に転校してしまった。
でも、目の前にいるこいつが始のわけがない。なぜなら…
「嘘つけ!あいつは男だ!」
確かに始は初対面の相手にことごとく性別を質問されるくらいの極端な女顔だったけど、生物学的には間違いなく男だった。
だけどこいつは体型やら声やらから察するに間違いなく女だし、自分のことを俺の彼女だと言っている。いくら俺が彼女いない暦=年齢だといっても、流石にソッチの気はない。
「そこまで言うならお前が始だって証拠を見せてみろ!」
「…中二の頃、机の二段目に入ってたノート。ボクにだけは見せてくれたよね」
「……な!?」
「確か俺は背信堕落王の息子だとか龍の末裔だとか書いてあったっけ?君のお父さん公務員だったと思うんだけど…」
「わ、わかった!お前は始だ!わかったからそれ以上言うな!」
「そんじゃあがってもいいよね?どっちにしろ答えは聞かないけど」
「ああ、いい!いいからそれ以上言わないでくれ!」

…黒歴史を持ち出された俺は、まだ確証も取れていないうちにこいつを家にあげてしまった。とりあえずこいつを黙らせないと俺の胃の健康がストレスでマッハなのだ。仕方ないだろ。






俺は始から一通り話を聞いた。
なんでも、転校して一年くらい後に交通事故に巻き込まれて、気付いたらこの格好で墓の中にいたそうだ。
家に上げた時はまだ半信半疑だった俺も、話を聞いているうちに目の前にいるこのホネホネロックが始だと信じざるを得なくなった。
確かにあの黒歴史ノート(始に見せて散々ネタにされたためその日のうちに処分)の内容と在り処を知っているのは始だけだし、それ以外の話も少なくとも俺の持っている限りの始についての記憶とほぼ完全に一致(始が生前から女で、俺の彼女だった事になっている事は除く)している。それに、ちょいちょいこっちの弱みを突いてくる所とか、妙にお節介焼きな所とか、地の性格やノリもほぼ変わっていない。
正直かなり信じ難い話ではあるものの、始が一度死んで、なぜか女になってしまったと言うのはどうも事実らしい。
…ただ、正直今の俺にはそんな事はどうでもいい。なぜなら、

「…ああぁ、ほしい、ほしいよお」

どういうわけか始がいきなり俺を押し倒してきて、馬乗りになっているからだ。
「ち、ちょっと待て!何すんだよいきなり!」
「…おなか、へった。たべたい。たべたい」
「…お前、まさか俺を食う気か!?」
流石にそれは御免被りたい。元親友に食い殺されるとか笑い話にもなんねーぞ。
「タイチ、たべたい。せいてきないみで」
「そっち!?」
…どーするよ俺。いくら据え膳っつってもこいつ元男でしかも親友だぞ?正直ソッチの道と大差ないんじゃないのか。
…でも結構かわいいしなぁ。もともと外見的にも性格的にも男だか女だか良く分からんかったし。あと俺Mだし、無理矢理されるの嫌いじゃないし。
…待て待て、陥落するのはまだ早いぞ俺。
「なんで元男と致さなきゃなんないんだ!そんな倫理観で大丈夫か?」
「だいじょうぶ、もんだいない。だってぼく、おんなのこだもん。ほらぁ♪」
骨だけの手で、始が自らの秘所を開く。
よかった。股間には見慣れたモノがついてました、ってオチにはならなかった。
…って安心してる場合か!
「あぁ、もうがまんできない」
とうとうパンツまで脱がされた。
葛藤しまくっている俺の心中に対して、股間のジョニーはもうすっかり準備万端だった。
…仕方ないだろ。さっきから何もかも童貞には刺激が強すぎるんだ。
「あは、ぼくでこんなにしてくれたんだね、うれしい」
「こ、これは俺の節操なしの息子が勝手に…って、待て!俺はまだ心の準備が…」
「まてない。タイチ、たべる」
入り口が俺の息子に擦り付けられる。
…ああ、折角の初体験の相手が親友かよ…今は女みたいだけど。
もう観念するしかねーのかな。さらば、俺の童貞。
「…いただきます」
じゅぷっ、といやらしい水音を立てて、始の中に俺が入って行った。
「…う、ぐっ…!」
「んああぁっ♪」
俺は呻き声を、始はあられもない嬌声を、それぞれ上げる。
初めて感じた女の、始の膣内は、ぬるぬるして、襞があって…冷たかった。
本来命の無い物だからだろうか、体温がほとんど感じられないのだ。
しかし、それがかえって俺に強烈な快感をもたらす。
そのまま未知の感覚に酔いしれていると、始はそこからさらに腰を上下に激しく動かし始めた。
「んあっ、おちんぽ、きてる!おくに、ごつごつ、きてるぅ♪」
「うあっ、あっ、が、あぁ!」
肉棒が冷たい大量の襞に擦られ、さらに大きさを増していく。
その先はもう子宮の入り口にまで達しているらしく、時折こつこつと何かに触れるような感触がする。
…こんなの、ありえない。今までじゃありえなかった。
信じられないほど、気持ちいい…!
「あんっ♪あんっ♪あっ、おっきいっ!おっきぃの、きもちいい!」
始の方もかなり高まってきたらしい。顔はすっかり蕩けきって、口の端からは涎まで流れている。腰の振りはさらに激しく、俺を責めたてる。
…もう、堪えられない!出るっ!
「あ、始、もう、出る!出すぞっ!」
「あっ、はぁっ♪きて!タイチ、だして!あつくておいしいの、いっぱいだして!」
「…うっ、あ、ぐああっ!」
始の中に、凄まじい勢いで精液が流し込まれる。
「あああ、きたああああああああああああああ!!!!!
おいしいいいいいい!!!おいしいの、きもちいいいい!!!」
精液を受けて始も達したらしく、声を張り上げて絶叫する。
「ふぅ、ふぅ、はぁ……ぐっ?!」
「あんっ、まだ、まだだして、もっとほしい、おいしいの、いっぱいほしい!」
ようやく射精が終わり、一息つこうとしたにもかかわらず、始はまだ足りないとばかりにまた腰を動かしはじめる。
…結論。今女だしいいや。
















「ふう、ご馳走様。やっと頭の中がスッキリしてきたよ」
「…こっちはもう意識保つので精一杯だよ畜生…」
満足そうにお腹をさする始。そりゃ一度に五〜六発も搾りとりゃ満足だろう。こっちは文字通り精魂尽き果てたけどな。
「ごめんね。お腹が空いてくるとあんな風に見境つかなくなるの。今のボクはどうも普通の食べ物じゃお腹が膨れないみたいなの」
「…で、その代わりアレが食事だ、と」
「ご名答」
…とことんまで珍妙な生命体だなコイツ。
「それでさぁ、頼みがあるんだけど」
「…何だ?」
「少なくともボク、食事の代わりにシテくれる相手がいないと生きていけない訳じゃん。今までずっとそれで困ってたしね。
…だからさ」
「…だから?」
「…居候させてくれない?」
…ちょっと待て。
「いやいやいや待てよ。俺下宿生だぞ?あんま金無いんだぞ?流石にお前まで養う余裕は無いぞ?」
「大丈夫、負担にはさせないからさ。少なくとも食費はいらないし」
「…そりゃそうだけど、なぁ…」
「あと、家事くらいならいくらでもやってあげるよ。帰ったときには服もきれいに洗ってあるし、ご飯も出てくる。魅力的でしょ?」
「…ぐぬぬ」
的確な所を突いてきやがる。確かに家事やんなくていいってのは魅力的極まりない。
「それにさ、大きい声じゃ言えないけどさ、…気持ちよくしてあげるよ?」
「…してあげるも何も、それお前の食事じゃねーか」
「そーだよ。でさ、気持ちよくなかったの?」
「…いや、よかった…物凄く…」
「どこが?」
「いや、その、初めてだったし、あと、なんか、その、…中、冷たくて、やたら、具合が…」
「でしょ?あんな風にしてあげられるの、ボクくらいだよ」
「うぅ…」
やたらさっきの感想を聞いては、悦に入ったような顔をする。
…興奮してやがるな、こいつ…
「…わかったよ。断る理由ももう思いつかん。うちに住め」
「わーい♪ありがとう太一!」
「まあ…お前、親友だしな。ほっとくわけにもいかねーし」
「…ぶう。親友じゃなくて恋人だって言ってるでしょ?」







というわけで、この日から俺の下宿に奇妙な同居人が加わった。
…刺激がないよりはましかな、きっと。
10/10/31 19:02更新 / 早井宿借
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