連載小説
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アポピスの場合
(今日の店番は誰かな?)

スナック金字塔の店員は日替わりである

(3日前はケプリでその前来た時はアヌビス・・・だったはず)

いろいろ想像しながらあなたはいつものように入口の扉を開けた。

「いらっしゃーい」
今日の店番の姿を見て固まるあなた。そこにいたのはアポピス。飛び切りの笑顔であなたをのほうを向く。

「・・・・・・」
予想外の展開に固まるあなた

「お客様?」
動かないあなたを見てアポピスが声をかける。
これはまずい。あなたの本能が警告する。

「姉さんどうしたの、お客さん?」
さらに店の奥からもうひとりアポピスが出てきた。発言から推測するとふたりは姉妹らしい
妹アポピスがあなたに気付く
「どうぞこち」
「失礼しました。」
店の扉を閉めるあなた。

あわてて店を離れる。
しばらく走ったのち振り返り追ってきていないことに安堵する
それにしてもどうしてアポピスがいるのか気になる

(もしかしてファラオがアポピスにやられてしまったのか?)

あの店のオーナーがファラオなのかはわからないが店のメンバーから推察するにトップはファラオ以外に考えられない。
そしてファラオとアポピスは殺しはしないものの対立する関係

「・・・・・?」


確認したかったが今さらあの店に戻る勇気もない。
戻ったら・・・・。魔物娘は嫌いではないが見るからに危険な種族には近づきたくないあなた。

「あの店にはもう行けないのか・・・・。」
寂しそうにつぶやく







数日後の休日


あなたは買い物のため街に出ていた。

「お客さん、お客さん」
と後ろから声をかけられる
どうやら客引きのようだ。関わりたくないので無視するあなた。
「もー、無視しないで下さいよお客さん」
「・・・・。」
無視して歩き続けるあなた
客引きは諦めたのかそれ以上声をかけてこなかった。
あなたは確認のため後ろを振り返る。

「なーんちゃって」
振り返るとあなたのすぐ背後に声をかけてきた女性がいた。
いたずらっぽく笑っている。

「うわっ」
驚き彼女から離れるあなた。

「もう、無視するなんてひどいじゃないですか」
「何なんですか、あなた」
「何なんですかって、覚えていないんですか私のこと?」
「・・・・?」
「本当に覚えていないですか?ウソはついていなんですが」
「分からないです」
「この間会ったじゃないですか。スナック金字塔で」
「えっ」

再び驚くあなた

「今は人間の姿をしていますが、顔とか覚えていませんか?」
そう言われてあなたは彼女の顔を見る。記憶がよみがえってくる。

「・・・えっと、アポピスのお姉さんの方でしたか」
「妹です。どうやら本当に覚えていないようですね」
「・・・・すみません、ところでなんで私に何か用ですか」
「今からお店に来ませんか、この前は入らずに帰られてしまってちょっと傷ついたんですよ」
「いやー、それは・・・」
ちょっと何されるか分からないので行きたくないですと面と向かって言えない

「そんなこと言わずに、・・・誰もお客さん来ないんですよ。せっかくスフィンクスさんを買収して乗っ取ったのに」

「あの店乗っ取ったんですか・・・」
さらっととんでもない事を言う妹アポピスに驚くあなた

「誰も来ないのでお店を明日にでもお返ししようかと姉と相談していたのですが。」
(返すんだ。意外と律儀だな。良かった)
「最後ぐらいちゃんとお店開きたいので、常連であるお客さんには是非来ていただきたいのです。」
妹アポピスの真摯な態度に心打たれそうになるあなた。
しかしあることに気づく。
「何で常連だって知ってるんですか?」

「スフィンクスさんに聞きました」
満面の笑みで答える。
スフィンクスの口の軽さに閉口するあなた。

(客の個人情報を漏らすなよ・・・・)

「ついでに独身で彼女がいないことも。これはもう来ていただくしかないですよね。」
彼女の笑みが獲物を見つけた時のそれに変わる。
戦慄するあなた。あとずさりしようとするもいつの間にか背後に回った彼女があなた抱きつく。

「いやとは言わせませんよ」
彼女が耳元でささやく。蛇の体に戻った下半身があなたに巻き付く。
声を上げる間もなく、抵抗する間もなく店に連行されてしまう。





「ただいまー」
店に着くと姉アポピスがカウンターに突っ伏していた。

「・・・・おかえり・・・・その人はどうしたの?」
こちらの方を向く彼女

「姉さん分からない?この間の」
「・・・・・・もしかして例の常連さん?」
上体を起こした。表情が明るくなる姉アポピス。

「もしかしなくてもそうよ」
「やったー、ついにお客さんが来たー」
席を立ちあがる涙目の姉アポピス。

「いらっしゃいませー、ありがとうございますぅ」
拘束されているあなたに抱きつく。

「すぐに準備するので待っててくださいね」
いうと彼女は店奥に入ってしまった。

「こちらでお待ちください」
妹アポピスはあなたを解放するとソファ席に案内する。

「怖がりすぎですよ。私たちは純粋にお客様をおもてなしたいだけなのです」
「はぁ」
そのおもてなしが不安で仕方がないあなた
しばらくして姉アポピスがいろいろ持って店奥から出てきた。

「当店にお越し下さりありがとうございます。さきほどはお見苦しいとこお見せして申し訳ありません。」
「やけ酒しすぎよ姉さん。お酒残ってるの?」
客が来ないことを嘆いた姉はお酒に走っていたようだ

「ごめんなさい全部飲んじゃった。ソフトドリンクしかないの」
いうと姉アポピスはあなたの右隣に座る。
妹アポピスは左隣に座っている。アポピスに挟まれるあなた。

「この店今日でおしまいなので。飲み物全部サービスです」
大盤振る舞いのアポピス姉妹 他人の店を乗っ取っているのだが

「ジュースになりますがどうぞ」
コップに注いだジュースをあなたに渡す妹アポピス

「良かったわ。最後にお客様が来て」
「ほんとうね、姉さん」
「長かったわね・・・」
あなたを挟んで内輪話を始めるアポピス姉妹。
ここにきてさすがに乗っ取ったらダメだとか来たんじゃなくて連行されたんだなどとは言わないあなた。

「なんというかアポピスらしくないですね。お2人とも」
「アポピスだって人恋しいんですよ。何日もお客さんが来ないと少しは弱気になります」
姉アポピスが答える

「そうですよ」
「そもそもなんでこの店を乗っ取ったんですか」
姉妹が理由を説明する

「私たちも出会いがほしいんですよ。ですがみな怖がって」
「だから少々回りくどいよう方法ですがこの店を乗っ取ったのです」
「この店は出会いの場所でもあると聞いたので」
「そうなんですか」
さて今の状況、あなたの両隣にアポピスが座っている。
アポピス姉妹は美人でグラマラスな体型をしている。
そうグラマラスな体型のだ。
見た目は毒々しいがそのことを差し引けば出ているところが出ていてひっこんでいるところがひっこんでいる魅力的な女性。
あなたはドキドキしないわけがない。
彼女たちの体をジロジロ見ないわけがない。
彼女たちの体を触りたいと思わないわけがない
そしてこの店は出会いの場でもある
出会った相手はアポピス。
図鑑によればアポピスは強気で好色、そして毒を持っている。
それも中毒性のある毒を
すでに怖さより彼女たちのエロさに目が行っている
がなんだかんだ言っても独身、彼女なしのあなたには襲われることを拒む理由が無い

「お客さんさっきから私たちのこといやらしい目で見てますね」
あなたの視線に気づいた妹アポピスが言う

「・・・・その。2人ともエロいので」
少し恥ずかしそうに答える

「おっぱい触りたくなっちゃいましたか?」
姉アポピスが上体をあなたの方に向ける。
あなたは返事がわりについ彼女の胸を触る。
「お客様」

姉アポピスは胸を触っているあなた手を掴むと胸から離す。
彼女の表情が不機嫌なそれに変わる。
調子に乗りすぎたと後悔するあなた。

「当店、お触りは・・・・・・・大歓迎です」
姉アポピスの顔が嬉しそうなものになる。

「えっ」
驚くあなた。
「私たちからのお触りもあります」

妹アポピスが横からあなたに抱きつく

「私たちの魅力を感じてくれたんですね。そうなんですね」
あっという間に服を脱がされ、彼女たちに巻きつかれるあなた。

「最後の夜はパーっと派手にやりましょうね、お客様」


こうして酒池肉林の宴がはじまったのだった


15/02/14 21:00更新 / 明後日の女神
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■作者メッセージ
あなた「2人はラミア種らしくないですね」
アポピス妹「どういうことですか」
あなた「ラミア種が嫉妬心が強いから独占しようとするのに」
アポピス姉・妹「・・・あ」
あなた(しまった)

ということで今回はアポピスさんの話でした。

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