レオとの戦いを終え、俺は部屋に戻った。

「犠牲0とか、今まででは考えられないな。」

『そうね、まああの勇者が理解ある人だったから犠牲0が実現したのかもしれないわね。』

「だな、痛っ…。」

『どうしたの！？』

「奴との戦いで一発もらったからな。」

『大丈夫なの！？』

「…救護室行って来る。」

『心配だから私も着いていくわ…。』

「…。」

ひとまず救護室に行き、診断を受けた。

『シンシア、彼を診てくれる？』

『…分かりました。』

「あんたは医者なのか？」

『そうよ、私はリッチ。』

「なら頼む。」

『…上の鎧とインナーを脱いで。』

俺は言われた通りに上半身に着ているものを脱いだ。

『…ひどい打撲傷ね、骨は折れてないみたいだけど。
』
「骨は逝ってないなら大丈夫だな。」

『…治療は魔術？薬？』

「選ぶのか？」

『…私としては薬の方がいいと思う。』

「魔術じゃ俺に合うか分からないからか。」

『…そういう事。』

「なら薬で。」

『…分かった、15分くらい経ったら来て。』

「分かった。」

俺達はとりあえず救護室から出た。

「そういえばあいつはどうなったんだろう…。」

『聞いた話によると貴方と似たような感じよ、意識を失ってるけど。』

「そうか。」

『あと貴方が最初に斬った男、なんで両腕と両足を斬ったの？』

「魔物に頼らないと生きていけない身体にした。」

『…なるほど。』

「奴らにとっては、死すらもマシに見えるだろうよ。」

『…堕ちたら？』

「そのまま転げ堕ちたらいい。」

『まあそう言うと思ったわ。』

「心が折れるのが先か、舌を噛み切るのが先か…。」

『うわぁ…。』

そうこうしているうちに、薬が出来たようだ。

『…出来た。』

「ありがとう、って1回分だけ！？」

『多分1回で治る。』

「なんか危なそうだ。」

『痛み止めの入った身体の治癒能力を限界まで上げる薬』

「副作用は？」

『少なく見積もって2、3時間は高熱に苦しむことになる。』

「それで治るなら安いもんだ。」

『…お大事に。』

「ありがとう。」

俺達は救護室から出た。

「さて、これからどうするか…。」

『修行するとは言わないわよね…。』

「いや、疲れた。」

『体力残ってたらやるつもりだったの？』

「やる、立てないくらいの病気やケガをしない限りは毎日少しでもやる。」

『貴方の戦闘能力は、加護や武器の力だけじゃなくて毎日の努力がバックボーンになってたのね…、呆れるけど。』

「努力しても報われるとは言わない、だけど勝利に努力は必要なパーツだ。」

『違いないわね。』

雑談をしているうちに、俺達は部屋に戻った。

『これで貴方は名実ともに勇者になったわ♪』

「いや、なってないだろ。」

『貴方は何の為に戦ったの？』

「俺の居場所を守る為だ。」

『だけど、貴方は図らずも私達を守ったのよ。』

「結果的にはそうかもしれないな。」

『貴方は私にとっての勇者様になったのよ！』

堂々と胸を張りブランは言った。

「…そろそろ昼食みたいだな。」

『本当ね。』

俺達は食堂に行き、昼食を食べた。

「ご馳走様でした。」

『ご馳走様でした。』

「さて、これからどうするかな。」

『薬、飲んだら？』

「…だな。」

薬を飲んで部屋に戻り、しばらく経つと早速効果が表れてかたようだ。

「薬の効果が出始めた、寝る…。」

『熱っ、すごい熱じゃない…！』

「寝りゃ治るらしい、あまり気にしなくていいさ…。」

『そうも行かないわ…』

ブランは冷蔵室から氷嚢を持って来たようだ。

『とりあえず安静にしてて。』

「分かってるとは思うが寝てる間に変なことするなよ？」

『さすがに熱を出してるのにしないわよ…。』

「今は信じるよ…。」

と言い終わると、本格的に熱が上がってきて意識が遠退いて行った。

「ん…。」

どのくらい眠っていたのか、俺は目を覚ました。

「痛みは無いな、治ったみたいだ…。」

『…。』

ブランはベッドの近くの椅子で眠っていた。

「世話かけたな…。」

俺はブランをベッドに運び、シャワーを浴びた。

「よし、完全に治った。」

『あれ？起きて大丈夫なの？』

「治った。」

『あら本当ね、腫れもアザもすっかり消えてるわ♪』

「今何時だろう…。」

『もうすぐ夕食ね。』

「なら救護室に行こう、お礼言わないと。」

『そうね。』

俺達は救護室に向かった。

「治った。」

『…でも身体に負担をかけたから今日はあまり激しい運動を控えて。』

「なら今日はトレーニングのメニュー減らすか。」

『そこは休みなさいよ…。』

「あまり激しくないなら大丈夫だろう。」

『…しない方がいいのは確か。』

「まあこれでぶり返したら世話ないな、休むか。」

『…そうした方がいい。』

時間もいい感じになったので、俺達は救護室から出た。

『言い忘れたけど彼なら大丈夫ね、多分。』

夕食を済ませるとまた身体に異変が起こり始めた。

「！」

『どうしたの？』

「…まだ身体に疲れが残ってるみたいだ。」

『ならシャワー浴びてすぐに寝るといいわ。』

「そうする。」

とりあえず部屋に戻り、俺は考えた。

「薬、盛られたかな…。」
しばらくしてブランも部屋に入って来た。

『大丈夫？』

「大丈夫だ…。」

『シンシアから聞いたわ、あの薬は治癒能力を上げて傷を治した後に性欲が膨れ上がるのよ。』

「なるほど、道理で…。」

『だから私を…。』

「断る！」

『！？』

「そんな事になれば、俺は薬に当てられたのかブランが好きなのか分からなくなる。」

『ジュン…。』

「そんなのは嫌だから冷たいシャワーでも浴びて来る。」

『え、えぇ…。』

シャワーを浴びていると、膨れ上がった性欲も収まり始めた。

「これなら多分抑え込めるな。」

シャワーから上がると、ブランがシンシアから新しい事を聞いたと言ってきた。

『さっきの薬、性欲が膨れ上がるのは本当に好きな相手が目の前に居るときだけみたいよ♪』

「全く、随分器用な薬だな…。」

『これなら大丈夫じゃないかしら？』

「ブランはそれでいいのか？」

『勿論よ！』

「即答ですかそうですか。」

『シャワー浴びて来るわね。』

「ああ…。」

ブランがシャワーを浴びている間、今までのことを思い出した。

「思えば、いろいろなことがあったな…。」

と考えている内にブランは上がって来たようだ。

『お待たせ♪』

「ああ…。」

『どうしたの？』

「これから未知の体験なんだ、緊張しない訳が無い。」

『そうよね、私もだけど。』

「…。」

『なら、始めるわよ…。』

「…。」

俺は無言で頷いた。

『脱ぐ、わね…♪』

「お、おう。」

ブランはバスローブを脱いだ。

『どう…かしら？』

「…綺麗だ。」

『本当…？』

「ああ、嘘は付かない。」

本当にブランの身体は美しい。白くそれでいて健康的な肌、母性を象徴するような胸、反比例するような引き締まった腰からは淫魔である事を示す尻尾、長く、スラッとした脚。はっきり言って俺が手にしていいものではないとすら思った。

『来て、それとも私が行けばいいかしら？』

「俺が行く。」

俺はブランの手を取り、一緒にベッドに座った。

『私、もう我慢できない♪』

「始めよう。」

『えぇ♪』

俺は恐る恐るブランの肩に触れた。

『もっと近付けて。』

「あ、あぁ…。」

『むちゅっ♪』

「んっ！」

『んっ、ぷぁぁっ…。これからもっと気持ち良くなるわよ♪』

「あ、あぁ…。」

『じゃあ、入れるわね…。』

「大丈夫か！？」

『大丈夫。』

とブランが言い終わるか終わらないかのうちに、下半身を強烈な快楽か襲った。

『入れた側からイっちゃった♪』

「血出てるぞ、痛くないのか？」

『痛みは飛んで行ったわ♪』

「そ、うか…。」

『限界、近いの？』

「情けない話だけどな。」

『私もよ、心配しなくていいわ♪』

「あ、あぁ…。」

ブランはゆっくりと腰を動かし始めた。

『こんなに、気持ちいいなんてぇ♪』

「全くだ、意識がどうにかなりそうだ！」

『中で大きくなったぁ♪そろそろ来るのね、一緒、一緒にぃぃぃ�茸早x

「！」

その瞬間、頭の中が弾けて全身のエネルギーが駆け抜けていくような感覚が俺を襲った。
『来たぁぁぁ�争齡ﾔだいしゅきなひとの味ぃぃぃ�茸早x

きを失いそうな快楽も永遠に続く訳ではなく、しばらく経って終わった。

『気持ち、よかった…？』
「頭がどうにかなりそうなくらいにな。」

『良かったぁ�早x

「おい、何か出てるぞ。」

『ミルクまで出ちゃってる』

「お、おう。」

『飲んで♪』

「わぶっ！」

いきなり柔らかい乳球を口に押し付けられて、俺はむせた。

『大丈夫！？』

「むせた、はぁ…はぁ…。」

『美味しかった？』

「…。」

俺はまた無言で頷いた。

『あ、また中で大きくなったぁ♪』

「！？」

『もう1回、いい？』

「だな。」

結局、俺は一睡もできないまま夜明けを迎えた。

『もっと飲んで♪』

「ぢゅぅぅぅぅぅぅ！」

『そんなに強く吸ったらまたイっくぅぅぅぅぅ�茸早x

「！」

『また来たぁぁぁぁ�茸茸茸早x

次に俺達が目を覚ましたのは、昼過ぎだった…。

「ん…。」

『おはよう♪』

「腹減った…。」

『シャワー浴びてお昼行きましょう♪』

「だな。」

結局、シャワー中にもう1ラウンドしたので、昼食は食べられなかった…。

『作って貰えて、良かったね…。』

「ああ…。」

『式、どうする？』

「基本的にはいつでもいいけど。」

『なら3日後にしましょう♪』

「早いな、まぁいいや。」

あれよあれよといううちに3日が経ち、式の当日になった。

「…。」

『緊張してるの？』

「当たり前だ…。」

その緊張は、結局最後まで解けることはなかった。

『手、震えてる。』

「思うように動かん…。」

『大丈夫、これからは貴方は1人じゃない、私が側にいるから。』

ブランは俺の手をそっと握った。

「ああ…。」

何とか指輪の交換も済ませた。

『ジュン、ブラン様、お幸せに♪』

「ラミー…。」

『まさかお前が結婚するとは、何せ幸せにな…。』

「セレナ領主…。」

『大会にでたあの青年がここまでになるとは、何せ幸せな結婚生活を。』

「オリヴィア…。」

『あたしも早く旦那が欲しいなぁ…、なんせ幸せにな！』

「ミディア…」

『貴方との戦いの後に私も旦那を見つけられた。幸せにね。』

「アキュリス…」

『お兄ちゃん、結婚おめでとう〜♪』

「クリム…。」

『ブラン様の王子様だったんですね〜♪』

『ふふふ♪』

『…よく似合う夫婦、お幸せに。』

「ソニア…。」

「ジュン、君が一番に幸せを掴んだようだね。」

「リオン、あれからどうなったんだ？」

「一週間後に式だ。」

「呼んでくれよ？」

「勿論。」

「俺達は兄弟になるんだよな」

「ウェイン、ノワール！」

『お幸せにね。』

「その言葉そのまま返す。」

『明日は私達の式だから絶対来てね〜♪』

「アスタ、タニア！」

「みんな幸せになれて良かった。」

「だな。」

『もうブラン様を泣かすなよ。』

「アイシス、あんたには世話になった。」

『早く儂も相手が欲しい…。』

『…副作用、大丈夫だった？』

「これを見たらわかるだろう。」

『…乗り越えたみたいね、良かった。お幸せにね。』

俺達は見送られて式場を出た。

「…。」

『大丈夫よ、貴方はもう1人じゃない、私が居るから。』

「そうだな。」

これから先、いろいろなことがあるだろう。もう俺は1人じゃない、ブランと一緒に乗り越えて行こう。

HAPPY END

■作者メッセージ
人物紹介

シンシア

救護室の担当者の一人のリッチ、ジュンを診察して薬を処方した。
性欲が膨れ上がる副作用は彼女のサービスらしい。




どうも、サボテンです。
最終話、いかがだったでしょうか。

一応次の話（楽しみにしている人がどのくらい居るかは別として）はほのぼのだと思います。

今まで見て頂いた皆様、本当にありがとうございました。