読切小説
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プロジェクトM〜帽子屋たち〜


ここは不思議の国


ハートの女王によって創られた異界
この国に迷いこんだ者達は、不思議と身も心も狂気の色に染まり快楽の日々を謳歌する
ある日、住人達の間にこんな噂が流れる



『魔物娘図鑑』の著者、通称『とある放浪の魔物学者』が不思議の国に来ていると



住人達はニヤニヤしたり、妄想したり、眠っていたり、襲いかかろうと目論んだりするなかで、とあるマッドハッターの夫は思った

マッドハッターの素晴らしさを学者に教えてあげたい

あてもなく放浪していた自分を優しく出迎えてくれた愛する妻を自慢したいと

妻も喜んで賛同してくれる
自慢の夫を紹介するのは当然だと
そして夫のキノコを求めるの当然のことだと

気づけば妻は夫のキノコを擦っている
放たれた精液は紅茶の中へと注がれる



気持ちよかった



精液が注がれた紅茶にタケリダケを入れ、優雅に口を含む妻の姿が美しいと思っているとチェシャ猫が三人の人間を連れて来た

魔物化していない男女カップル一組
そして妖精を連れた旅人風の男

住人達が彼等を大いに迎えることに戸惑う男女に対し、旅人風の男は冷静に訪ねた
自分は学者でこの国のことを調べている、今ここで開かれているお茶会のことが知りたいと
妻であるマッドハッターは男に説明をする
お茶会とはマッドハッターが住人達を誘って何かを祝うものだと
今回は貴方が訪れたことを記念のお茶会だと

学者はポカンとしつつも空いている席に座る
同じく誘われた男女も含めて始まるお茶会
紅茶やお菓子を口に含んた住人達に異変が起こる

紅茶を飲み眠りについたチェシャ猫が夫から寝姦され
マーチヘアの身体が縮み、幼化したためだぶだぶの服から見える乳首や股間に夫は興奮
逆にドーマウスは大人になり、夫が腰を打つたびパジャマからはみ出る大きな胸元が揺れる
巨大な犬と化した夫に襲われるジャバウォックは抵抗どころか意気揚々と受け入れる

学者は驚いていた、プライドの高いはずのドラゴンが易々と夫にお尻を向けることに

妻は動じることなく当然のことだと口にする

マッドハッターのキノコは知性を向上させ落ち着いた雰囲気にさせるとメモをとった学者は、妻に尋ねる
君が魔物化した経緯を教えてほしい
妻はごく自然に語る

僕もかつてはこの国に迷いこんだ村娘だった
日射し避けとして道端に拾った帽子を被ってみたらキノコに寄生された
すると今までの不安が蕩けるかのように不思議と心が落ち着いたと

学者は次になぜ男の格好をしているのかと問う

妻はこう答える
男装する理由は帽子屋にとって様々、僕の場合は常に身体がベタベタしているからベタつきを吸収してくれる服を着ていると

学者は夫に振る、男装している妻に抵抗は無いのか

夫は嬉しそうに答える
最初は驚いたが、妻と話をしているうちに凛々しい女性が男の格好をするからこそ凛々しさがより一層引き立つ
それにシャツの上からでもわかる立派な胸、ズボンを引き締める太ももやお尻を見ているとドキドキする
何よりこうして妻からリードしてくれるから惚れ惚れすると

そこで学者は気づく
夫が語ると同時に妻が夫のキノコを舐めていることに
丁寧で優しい舌使い、一回一回ゆっくり舐めとる姿に一秒でも早く精液を欲する貪欲な魔物らしさは見当たらない
だが着実にキノコは脈打つところからその舌は夫の敏感な部分を理解しているかのようだ
やがて精液が飛び出し、妻の顔を濡らす



気持ちよかった



妻から精液の残りを舐めとりながら学者に言う

素敵な妖精さんをお持ちだ、彼女とはどれくらいの付き合いのかと

学者はメモをとりながら妖精との思い出を語る

妻は学者にいつもの質問をする、毎日どれくらいエッチしているのかと

学者は紅茶を吹き出した
紅茶の飛沫がトッピングされたクッキーを未婚の住人達が奪うのを背景に学者は言う
まるで天気の話をするように、然り気無くとんでもない質問をするのかと
流石の学者も妖精との営みには答えられないようだ

夫は言った、他人のエッチ話を尋ねるのはマッドハッターとして当然ですよと

夫も妻同様狂っているとメモをとり何とか冷静さを保とうとする学者に対し、妖精は興奮しながら住人達の交わりを次々とスケッチしてゆく

そんな妖精を見ながら妻は言った、僕達の行為もスケッチしてもらおうと

妻は夫をそっと押し倒す
柔らかい草はまるでふかふかのベッドのような心地よさであった
夫の眼にうつる妻の凛々しい顔立ち
微笑みながらシャツのボタンを一つずつ外し巨乳をさらけ出す妻



美しかった



巨乳の谷間に夫のキノコを挟み身体を前後に動かす



ふわふわしてた



たっぷりと脂肪を蓄えた柔らかい感触がキノコに優しい刺激を与える
胸に引率されるかのように精液が尿の道を通る
そして放尿するかのように射精へと誘う



気持ちよかった



妖精の筆はどんどん進み、もっと見せてほしいとせがむ

妻は夫を優しく起こすと強引に壁際へ追い詰め、片手で壁を支えながら、片手で夫のキノコの先端を撫でる
ただ撫でるだけでも射精に至ることが証明される
上目遣いで夫を射精させようとする妻の表情を見ながら射精



気持ちよかった



妻はテーブルを支えに、夫にお尻を向ける

ズボンの上からでもわかるお尻のラインと、下から滲み出る液体が夫を誘う
夫はズボンの上からキノコを当てて腰をふる



柔らかった



もっとキノコを妻のお尻に埋めたいとぐりぐりとキノコを深くねじ込む
やがて快楽の限界に達したキノコから精液が放たれ、緑色のズボンが白くデコレーションされる



気持ちよかった



次に妻はズボンをずらし夫にお尻を見せる



履いていなかった



妻は片手で夫のキノコを掴み、お尻の割れ目の間に挟みこむと再び腰を上下にふる
弾力のある臀部がキノコを圧迫
夫はズボンの感触を思い出しながらお尻で射精
勢いよく飛び出した精液が妻の背中と一本に結った髪に降り注ぐ



気持ちよかった



妻の両手が夫の首を触れ、顔を近づける
ごく自然に触れる唇と唇
お互いの舌が絡み合い妻の唾液が夫の口へ送り込まれる
夫は妻の唾液を舌で味わう



甘かった



もっと唾液を味わうためにお互いの舌の動きが加速
口を放すとアーチを描くように垂れる唾液
慌てて唾液を指で掬い舐めとる夫
その行為に興奮したのか妻は更に涎を垂らす

妖精は思わず叫ぶ

これでは涎を全て受け止めることが出来ない

手で間に合わないのなら口で受け止めればいいと夫は言った

学者は指摘する、常識にそぐわないことをしてまで唾液を飲みたいのかと

夫はこう答える、妻の唾液は糖蜜のような甘さと、金粉のような輝きがあり飲むほど欲しくなると

学者は垂れ落ちる妻の唾液を啜る夫を眺めながらメモをとる、マッドハッターの唾液にも胞子が含まれていると

そろそろ僕の襞がキノコを欲しくなったと妻が言った
妻は襞にキノコをあてがい奥へと誘う
粘液をデコレーションしたキノコは艶やかな音を立てながら当然のように射精



気持ちよかった



二人の性行為を描く妖精の顔は満足していた

学者は言った、過程はどうあれマッドハッターについて教えてくれたことに感謝する、特に本来ならキノコを寄生させる筈の胞子が、精神を鎮静させる作用に転化したは興味深い

そこで妻は肝心なことを見落としていたことに気づく



寄生による魔物化だ



女性がマッドハッターに寄生される過程を学者に伝えなければならない
マタンゴはキノコから出る胞子を吸うだけで寄生するのに対し、マッドハッターの場合は頭の帽子を直接被せなければいけない

新たに帽子を産み出すため、妻は帽子を脱いでから夫のキノコを再度挿入
菌糸のような優しさがキノコに包まれる



気持ち良かった



適度でかつテンポが早い刺激で直ぐに射精、精液が妻の子宮が一滴残さず飲み込む

精を受け取った身体が培養の信号を頭部へと送る
妻の頭からキノコが生えはじめる
苦痛と快楽が入り交じった妻の顔
まるで子供を出産するようにキノコは帽子の形となる



芸術的だった



早速人間の女性に被せようと立ち上がったその時だった



突然雨が降り始める



勢いよく振る雨に靴に水が入り込みズボンは水に浸る
不意の流水で妻は持っていた帽子を落とす
無情にも流されてしまう帽子
会場はあっという間に池の底へと沈む

学者は唖然としていた、先程快晴だったのに
ここは不思議の国だからと妻は言った

お茶会は終了かと皆は思った
だが夫婦は諦めていなかった
まだ皆がいる
皆がいれば再開できる
諦めなければもっと楽しいお茶会が開けると

淫夢から目覚めたチェシャ猫を筆頭に片付けを始める住人達
ロリマーチヘアとセクシードーマウスが椅子やテーブルの代用にキノコを用意
ジャバウォックは犬化夫に股がりながら巨大な落ち葉を運ぶ

学者や妖精、更には人間の男女も手伝ってくれた

巨大落ち葉をボート代わりにお茶会を再開

改めて帽子を産み出すため帽子を脱ぐ妻に夫は言った、次は俺が腰を振る、いつも妻から犯してくれるからたまにはこっちから犯したいと

当然のように笑顔でいいよと返してくれる
妻との長年の絆がそこにあった
自ら腰をふる夫
思い切りキノコを前後するので刺激はいつもより大きく、あっという間に射精



気持ち良かった



飲みきれない程の精が結合部から溢れ愛液の熱さと精液の粘りが絡み合う



気持ち良かった



夫は学者に男性がキノコを被った際の変化も教えるため、新しく産み出した帽子を男性に被せる
帽子のようなキノコは、布とフェルトで出来た本物の帽子へと変化していた

カップルの男性が言った
これなら大丈夫だと、彼女に帽子を被せる

そこで事態は一変、帽子を被った彼女がうずくまる

布で出来ていたはずの帽子から菌糸が垂れ落ち、唾の裏側から襞が浮かび上がる

帽子は再びキノコに戻ったのだ

妻が言う
ただの帽子になっても女性が被るとまたキノコへと戻り寄生する
特に夫や想い人の精が混じった帽子は格別だと

身体中が熱いのか彼女は着ていた服を脱ぎ全裸となる
すると汗の代わりに身体中から菌糸を生み出し、新たに服を生成
上半身は燕尾服、下半身はズボンで被われる

変わるのは服だけでは終わらない

急激に胸元が膨らんだことでシャツのボタンが飛び、お尻の肉付きも良くなりズボンがぴっちりサイズになる
タレ目の瞳が少しつり上がり自信に溢れた表情へと変わる
大人しめな見た目はそのままに凛々しく紳士的になった感じだ

マッドハッターとして生まれ変わった彼女の顔に後悔や絶望の欠片は無かった

彼女は言う
あなたの精が身体中に染み渡った、あなたの愛が私の全身に伝わった、これはあなたからのプロポーズだと

彼女は彼に口づけを交わす



エロかった



新たなカップルが生まれるのを見届けた学者と妖精が立ち去りお茶会は無事幕を閉じた

しかし心残りが二つある

ひとつは学者が夫婦の行為を書籍に纏めてくれるか、そもそも彼は魔物娘図鑑の筆者本人だったのか?

妻は言う、僕たちはただマッドハッターの素晴らしさを一人の人間に伝えた
それだけでもいいじゃないかと

もうひとつは媚薬の雨で流された帽子だ
あの後周囲をくまなく探したが結局見つからずじまいだ

妻は紅茶を飲みながら言う
流された帽子も不思議の国のどこかで誰かが拾って被るかもしれない
女性はマッドハッターとなり男性を誘い夫婦となるよくあること、たまたま拾った帽子を被った僕のように、と


自分達の帽子を被ったマッドハッターのカップルを見つめる

片手で紅茶を飲みながら彼のキノコを片手で擦る彼女は実に紳士的だった

彼女もいずれ帽子を産みだし、女性に被せるのだろう

その微笑ましい光景は想像しながら夫は思う



こうして愛は胞子のように不思議と広まってゆくのだ、と





プロジェクトM〜帽子屋たち〜



16/08/10 20:30更新 / ドリルモール

■作者メッセージ
ドリルモールです。

8月10日はハッ(8)ト(10)で、ハットの日

今年は魔物娘図鑑U発売を記念して、魔物娘図鑑完成に貢献しようとした名も無き帽子屋夫妻のお話を書きました。

今年は多忙のためギリギリでの仕上げとなってしまいましたが…(汗)

魔物娘図鑑Uのマッドハッターをはじめとした固有種、そして不思議の国の項目がどんな風に書かれるのか、今から楽しみで仕方ありません。

ここまで読んでくれて誠にありがとうございます。

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