蟻避けスプレー！
「……」
木陰に隠れ俺は、今から入る洞窟の入り口をジッと見張る。
「入口の見張りの数は……たった2体か」
洞窟の入り口には、上半身は女性の身体、下半身は蟻の身体を持った化け物が2体見張っている。
それもそのはず。なんせ目の前の洞窟はジャイアントアントという魔物達の巣窟なのだから。
「さーて、試してみるか……」
何故俺がそんなところに入ろうとしているのかと言うと……奴らが蓄えているという噂の『宝』を手に入れるためだ。
芸もない職もない俺が楽に生きる為には宝でも掘り起こす必要があるわけだが、危険な場所にわざわざ赴かなくても手に入るのであればそれを見逃す事は無い。
魔物の巣窟と言えど、どうやら調べたところ今の魔物共は性的に襲う事はあっても命を奪う事はまずないらしい。つまり死ぬ事はないってわけだ。
「この道具、絶対使えるんだよな……」
とはいえ、あんな下半身蟻の化け物共と性交なんぞ死んでもしたくは無い。
かと言って、残念ながらしがない村人Aでしかない俺にはジャイアントアントを倒す手段など持っていなかった。
でも諦めきれない……そう思っていた俺の下に、一人の女子が現れたのだ。
「あのガキ……もし効果なかったらどうしてやろうか……」
その子供は不思議な道具を売っている商人だった。
どうやらジャイアントアントを退治したい人物という内容で俺の事を知り、自分が取り扱っている道具を売りに来たみたいだ。
その道具とは……
「このマスク……普通のマスクと色以外大体一緒じゃねえか」
まず一つめが、フェロモン防護マスクだ。
どうやらジャイアントアントという種族は汗を介してフェロモンをまき散らす性質を持っているらしい。
そのフェロモンの匂いを嗅いだりしないようにする為のマスクがこの灰色のマスクらしいが……正直胡散臭過ぎる。
お値段何と１食分の食費だ。これで効果なかったらあのガキをしばき倒す事にする。もちろん無事に帰れたらだが。
「んでこの眼鏡……というかサングラス。デザインはカッコいいんだが……」
お次はチャーム阻害眼鏡。その名の通り魅了魔術を防ぐ道具らしい。
正確にはフェロモンが目に染みないようにする為と、ジャイアントアント達のたわわに実った胸元を直視しないようにする為の物……らしい。
どうもこれも胡散臭過ぎるが……何故か買うときはすっかり信じてしまったんだよなぁ……
「それでこの蟻避けスプレーか……」
最後に、まさに殺虫剤のようなデザインが施されているスプレー缶、通称蟻避けスプレー。
これを噴きかければ蟻や蟻の特徴を持つジャイアントアント達が一目散に逃げていくらしい。
実際に蟻で試してみたところ、列を成していた蟻が散り散りに逃げて行った。殺せまではできないようだが、充分だ。
ジャイアントアントで試したわけではないが、このスプレーだけは確実に効果をもたらすだろうと思える。マスクも眼鏡もこのスプレーを自分で浴びないようにする為のものだと割り切れば安い買い物だったかもしれない。
「まあ……総合すれば良い買い物だった……てことかな」
胡散臭い物も多いが、一番重要な物の効果は絶大なのだから、買って良かったと言える。
これだけのもので宝を手に入れられるのであればむしろ安いものだ。他人を雇う必要もないし、報酬を山分けする必要もないのだから。
何故10歳ぐらいの女子がそんな物を売っていたのかという疑問が無いわけではないが、まあ何かしら訳ありなんだろう。気にしない事にした。
「よし、行くか……」
マスクを付け、眼鏡を掛けて、スプレーを右手に持った。
これで準備は万端……という事で、俺はジャイアントアント達の巣に乗り込むべく、木陰から飛び出した。
「あ、男だ〜♪」
「いらっしゃい。私にする？ 彼女にする？ それとも二人いっぺんに相手する？」
俺の姿を認識したジャイアントアントの2体は、警戒するどころか男が来たと手放しで喜んでいる。
「……喰らえ！」
だが、俺は足が6本ある化け物と交わるような悪趣味ではない。
油断しきったこいつらの顔にスプレーをぶちまけた。
「やぁん、何これ!?」
「げふっごほっ、いやぁ〜……」
スプレーを掛けられた蟻共は、先程までの余裕を一瞬のうちに失い、悶え涙目になりながら一目散に逃げて行った。
「おお、凄い効果だ……」
かさこそと多過ぎる足を動かし逃げていく様子を見た俺は、スプレーの絶大な効果に満足していた。
これならば恐ろしい程力がある化け蟻共も、俺に傷一つ付ける事ができないだろう。
「さてと、待ってろよお宝ちゃん♪」
これなら何の苦労もせずに宝を奪えると、上機嫌で蟻の巣へと侵入するのであった……
……………………
「きゃあああああっ!!」
「に、逃げろー!!」
「ははは、にげろにげろー!!」
巣へと侵入した俺は、スプレー片手にガンガン奥へと進んでいく。
「なにあれ〜！」
「なんかいやあ！ 何が嫌なのかよくわからないけどなんか嫌〜！」
もちろん俺の侵入に気付いたジャイアントアント共や、そいつらに番にされた野郎共が襲ってきたが、全てこの蟻避けスプレーで退治している。
実際にこのスプレーを浴びたジャイアントアントや野郎共は涙目になって巣穴の出口へと向かっている。
人間にも効くものなのか、それともジャイアントアントなんかとずっと一緒にいるから似たような物になっているからかは知らないが、とにかく蟻だけでなく男にも効いているので思った以上に楽に進めている。
「さて……これで粗方追い出したのかな……」
進んでいると横道の穴という穴からわんさか出てきていたが、何十体もの蟻や野郎にスプレーを吹き掛けて外に追い出しているうちに、何一つ出てこなくなった。
これでほぼ全部出尽くしたという事だろうか。
「それじゃあ宝物庫でも探しますかね」
もしかしたらまだ奥に潜んでいる可能性もあるので、俺は気を抜かずにスプレーを手にしたまま宝が隠されてそうな場所を探す。
「ここは……違うな。魔物のくせに一丁前なベッドなんぞ使いやがってクソ……」
想定はしていたが、やはり巣の中は複雑であり、中々お目当ての宝は見つからない。
というかどう見ても寝室だと思しき空間が連なっている……俺が使っている物よりはるかに大きいベッドに小物があるだけの部屋だが、ボロ小屋住まいの自分よりははるかに豪勢だ。
蟻の化け物のくせに生意気な……そう思いながら、一部屋一部屋確認していく。
「あークソ、やっぱりもっと奥にあるのか？」
だが、どれだけ探しても寝室や倉庫みたいな場所があるだけで、宝のたの字すら見当たらない。
まだ奥へと続く通路はあったし、そっちの方にあるかもしれない……そう思いながら、なんだか白い糸が付いている部屋を覗いてみた。
「あーだる……ん？」
「あん？ こんなところに蟻がまだいたのか」
するとそこには、宝どころかだるそうに転がっているジャイアントアントの姿があった。
他の蟻共と比べると随分やる気のなさそうな顔をしているが……病気か何かで休んでいたのだろうか。
「あ、男じゃないか♪ いらっしゃーい❤」
「どうでもいい。さようなら」
「うわっ!?」
まあ、他の男を手に入れていないジャイアントアント達と同じような顔をしてきたので、遠慮なくスプレーを顔面に掛けた。
「けほっいきなり何するんだよ危ないなあ！」
「……あれ？」
だが……今までの個体と違い浴びた瞬間に逃げるどころか、ちょっと咳をしてムッとしただけで、ベッドの上から全く動こうとしなかった。
「このっ！ このおっ！」
「……あのさあ、何するの？」
「な、何で効かないんだよ……！」
そんな馬鹿なと思い、山ほど顔面にぶっかけたのだが……全く効いた様子がない。
逃げるどころかちょっと怒った様子でこちらを睨みつけている。
「そういう酷い事する奴は〜こうだ！」
「なっ!?」
そして、ムッとした顔で、俺の身体に白い何かを吹き掛けてきた。
「な、なんだこれ!? 身体が動かねえ!?」
それは身体に纏わりついて……俺の身動きを封じ込めた。
「こ、これは……糸？」
「ぴんぽーん！ 正解。もうこれで君は変なスプレーを使えないね」
それは……粘り気のある細い糸が太い束になったものだった。
そう、それはまるで蜘蛛の糸のように……
「な、なんでジャイアントアントが蜘蛛の糸なんか……」
ジャイアントアントはその名の通り蟻の魔物だ。いくらなんでも蜘蛛の糸なんて出せるはずがない。
そう思っていたら……
「ふふーん、特別にあんただけには教えてあげよう……何を隠そうあたしはアントアラクネなのだ！」
「ア、アントアラクネだあ!?」
どうやらこいつはジャイアントアントでは無く、アントアラクネという魔物らしい。
そういえば聞いた事がある気がする……ジャイアントアントと似た姿を持ち、群れに紛れて生活するアラクネ属の魔物がいると。
つまり……俺を捕まえて扇情的な笑顔を得意げな感じで浮かべているこの魔物は、ジャイアントアントでは無いという事だ。
たしかに良く見ると下半身の足の数は8つある。という事は、こいつは蜘蛛の魔物だ。
「クソ……だからスプレーが効かなかったのか！」
「何々……蟻避けスプレー？ なるほどねぇ……これじゃあたしかにジャイアントアントは勝ち目がないだろうね」
「あっクソ！ それ返せ！」
「やだね。それにもうこれはいらないよね」
蟻じゃなくて蜘蛛だったので、俺の武器であるスプレーは効果を成さなかったようだ。
この魔物の存在を忘れていたせいで、俺は一気にピンチになっていた。
「だってあんたは……ここで一生あたしと交わり続けるんだからさ……♪」
身動きできない状況……つまり全く抵抗できない事をいい事に、アントアラクネは俺をベッドの上に拘束したのだから。
「だ、誰がお前のような化け物と……」
「というかさっきからマスクのせいで声が聞き取り辛い。だから外すよ！」
「あ、ちょっ!?」
それだけでなく、俺が装備していたマスクと、ついでに眼鏡を外されてしまった。
特に劣情が浮かんでくる事は無かったので、おそらくこのマスクや眼鏡も効果があったのだろう。
それを、あからさまにフェロモンに当てられているアントアラクネがはぎ取っているのだから……このマスクと眼鏡が無くなったらどうなるのかはわからなくはない。
「あっ、う……」
「おー、中々あたし好みの顔をしてるじゃないか♪ ま、大事なのは顔よりも身体の相性だけど……って、何おっぱい見てるんだよ変態♪」
「ち、ちがぶっ!?」
「仕方ないなぁ特別におっぱい舐めさせてあげるよ」
瞬間、甘酸っぱいというかなんというか、とにかく尋常じゃない臭いが鼻を突き、なんだか鼓動が速くなる。
それどころか、今までは眼鏡のおかげで直視できなかったアントアラクネのたわわな胸が、俺の目の前に飛び込んできた。
滑らかな肌で見ただけで柔らかそうなそこそこ大きな丸いおっぱい……そこだけ見れば絶世の美女と言える程だ。
そんなおっぱいがゆっくりと近付いてきて……俺の顔に圧し掛かった。
「むーむうー！」
「ん……あんまり上手じゃないけど気持ちいいぞ〜♪」
「んむぅーんううー!!」
しっとり滑らかな胸が俺の顔面でぐにぐにと変形する。
魔物のくせに、蜘蛛のくせに……胸の匂いはずっと嗅ぎ続けていたいほどに良いものだった。
「ぷはっ！ はぁ、はぁ……」
「どうだあたしのおっぱいは良かっただろ？」
「はぁ、そ、そんなわけあるか！」
胸に口を塞がれて息苦しくなったところで、ようやく解放された。
「そうかおっぱいじゃ嫌だったか。じゃあ……ん」
「んんっ!?」
と思ったら、今度は柔らかくて艶のある唇に塞がれた。
「ん……くちゅ……れる……ぷあ。どうだいあたしのキスは。蕩けるだろぉ？」
「はぁ……はぁ……き、気持ち悪いだけだ！」
「ほぉ、強がるねぇ……」
舌を唇を割って挿れ、互いの唾液を入れ替えるようにねっとりと絡める。
引き剥がそうにも、頭を押さえる彼女の力のほうが強く自分からは引きはがせ無い。
そのまましばらく蹂躙されるうちに、ようやく解放された。
「でも、身体は素直なようだな」
「はうっ!?」
「こんなに大きくして、あたしと交わる事を期待しているんだろ？」
「ち、ちが……うぁ……」
しかし、身体は解放される事無く、それどころかズボンの上から俺の性器を意外と柔らかい手で弄ってきた。
いくら下半身が蜘蛛の身体で、頭にも触角があり、よく見たら髪に隠れて目みたいなものが複数あるとはいえ、身体は美女のそれだ。ジャイアントアントのフェロモンの効果もあり、反応してしまうものは仕方がない。
そう、仕方は無いのだが……それがこの魔物と交わりたいという事には直結しない。嫌な物は嫌である。
魔物なんかと性交してはもう二度と人の世界に戻れなくなる……それが嫌で、必死に抵抗する。
「もう我慢できないあんたのちんぽ見せろ！」
「や、やめてくれっ！」
「おお……こーんなにガッチガチで先走り垂れ流してて止めてなんて、誘ってるようにしか見えないよ？」
「そ、そんな……はうっ!?」
アントアラクネがズボンを引き摺り下ろしてきたので、なんとか身体を捻ったりして抵抗したのだが……如何せん相手は魔物。簡単に抑えつけられて下着ごとズボンを下ろされてしまった。
そして露わになる俺のペニス……フェロモンや弄られた影響でもうそれは硬くなっており、透明な液を出しながら震えていた。
「ふふ〜ん♪ どうだあたしの手は気持ちいいだろ」
「ぜ、全然そんなこっ！」
「お、一際大きくなったな。もう射精しちゃうか？」
先走り液を潤滑油にし、ペニスを上下に扱く彼女。ぬるぬるとした手が竿を撫で、カリ首を刺激し腰が震える。
「ほらほら、出しちまいな！」
ビクビクと、今にも射精しそうなペニスをニチャニチャと扱き続ける彼女。
出してたまるかと歯を食いしばって我慢していたが……
「ひぎっ!?」
「わっ！ んふふ〜❤」
お尻の穴という予想外の場所への刺激に、俺は為すすべもなく精液を彼女の手に、腕に、そして胸へと掛けてしまった。
魔物なんかに屈してたまるかという気持ちが……少し折れ曲がった音が聞こえた気がした。
「へぇ〜お尻の穴が弱いんだ〜」
「や、やめ……いぎぃ!?」
「おお、またガッチガチに……❤」
ペニスを握っていないほうの手の指を俺の尻の穴に入れて、ゆっくり抜き差ししたり指を曲げて刺激してきた。
お尻の穴を弄る趣味など全く無いのだが、魔物の力なのかもの凄く気持ち良く感じてしまう。
ゆっくり前も後ろも弄られた事で、出したばかりだというのにまた硬く勃起し始めた。
「さーて……今度はあたしも気持ち良くしてもらうからね……❤」
「そ、それだけはやめっはうっ!?」
「まだ強がるとは……ますます気に入ったよ♪」
ペニスを握り、腰を浮かせて俺の上に跨る。
そして、こちらが何もしていなくても既に濡れている性器を、俺のペニスにあてがった。
そう、まだあてがっただけなのに……経験のない俺はそれだけでまた達しそうになっていた。
「んっ、はっ、きたぁ……♪」
そして、ゆっくりと彼女の肉壺に沈んでいく。
中は熱く、無数の襞が引っ掛かり、ぎゅうっとペニスを搾り貪欲に貪ってくる。
「ん〜やっぱりちんぽサイコ〜❤」
「あ、ああぁぁ……」
「なんだよその複雑な表情は……仕方ないあたしがとろとろにしてあげる❤」
魔物なんかと交わってしまった事が悔しい。そしてそれ以上に、膣内が気持ち良すぎて快感に溺れそうになっている。
そう、気持ちいい。下半身が蜘蛛だとかそんな事どうでもよくなってしまう程の快感が、俺の身体を駆け巡る。
「んっ、んはぁっ、あっ♪」
リズミカルに腰を動かし始めた彼女。
柔らかな膣壁がペニスを包み込み、早く射精しろと言わんばかりに刺激する。
「だ、誰か助け……」
「誰も来ないよ。だってあんたが他のジャイアントアントを追い出したんじゃないか」
「あ……ああっ！」
中出しだけは……孕ませる事だけは何としても避けたい。その一心で助けを求める。
だが、誰も助けてはくれない……自分で追い出したのだから、その声は誰にも届かない。
「ああっ、きたぁ〜❤ 子種汁あったかぁい❤」
助ける声も、性器から与えられる暴力的なまでの快感で喘ぎ声に変わり……とうとう我慢の限界が来て、精液を彼女の子宮へ向けて出してしまった。
一回射精したとはいえ、童貞に我慢なぞできるはずもなく……快感に屈してしまったのだ。
びゅくっびゅくっと彼女の子宮へ、孕ませるかのように多くの精液が流し込まれる。
「はぁ……や、やってしまった……」
いくら美人とはいえ魔物に中出ししてしまった。俺はその事実に、ただ落胆する。
しかも、もう俺は人の世界には帰れないだろう。
「おいおいまだあたしはイッてないぞ？ あたしがイクまで頑張ってよだ・ん・な・さ・ま❤」
「ひいっ！」
何故ならば、扇情的な笑顔を浮かべながら、彼女は俺の事を旦那様と言ってのけたのだ。
つまり……もうお前を逃がす気は無いという事なのだろう。
「くっ……はうっ!?」
「ふふ、どう？ こうやっておまんこをぎゅぎゅってすると気持ちいいでしょ？ あまり動かなくても気持ち良くなれる方法考えてみたけど気に入ってくれた？」
でも、もう別にそれでもいいかもと思えてきた。
もう中出ししてしまったので、ほとんど心は折れていた。
もういいや、この魔物と共に過ごそう……そう思い始めていた。
「あっ、さっきの変なスプレー持った侵入者！ アナタが捕まえてくれたの？」
「あっ」
「ん？ あっ」
その時、俺が追い出したはずのジャイアントアントの1体が部屋の外からヒョコっと顔を覗かせた。
どうやら様子を見る為に戻ってきたらしい……
「そ、そうだよ……」
「助けてくれ！ こいつはアントアラクネだ！ 君達とは違う種族の魔物だ!! こいつだって侵入者だ!!」
「あちょっと！」
「え？ アントアラクネ……？」
ジャイアントアントの姿を見た俺は、もうポッキリと行く寸前だった心を持ち直し、助けを求めた。
だが、ただ助けを求めても侵入者の声は無視されるだろう。
そこで咄嗟に思い付いたのは、このアントアラクネも侵入者に仕立て上げる事だ。
そうすれば悪者はあっちになるかも……そう思って俺はこう告げた。
「ほら、こいつ足が8本ある！」
「え……あ、ホントだ!!」
「ちっ……」
やはりこいつはこっそりと紛れ込んでいた固体だったらしい。
余計な事を言いやがってと言いたげな舌打ちが、何よりの証拠だろう。
「もしかして……最近食べ物が余分に減ってた原因ってあなた？」
「あーっと……その……」
「煮え切らない返事……じゃあそうなのね！」
しかも、こっそり食料を盗んだりと不利になる事を行っていたそうだ。
これは助かるかもしれない……と、次の言葉を聞くまではそう思っていた。
「じゃあ今度からは私がチェックするから勝手に持って行かないでね！」
「えっ!?」
「あーうん。ごめんなさい。あとできれば持ってきてくれると助かる。この人が暴れないようにここで見てないといけないしね」
「なるほど。わかった」
「ま、待って！ なんでいいの!?」
「なんでって……だってこの子があなたを大人しくさせたんだもの。恩人だし、部屋も別にまだ余ってるから構わないよ」
なんと、追い出すどころか今度から勝手に持って行くなと釘をさしてここに住む事を許可してしまったのだ。
これで助かる道は……完全に閉ざされた。
「そういう事みたい。だからあたし達は続きを……❤」
「ちょっまっ……はうあっ!!」
それでもどうにか助けてもらおうとしたけれど……話をしていて止まっていた膣の動きが再開され、俺は再び快楽の沼へと沈み始めた。
「あっイイ！ そこ、ふぁ、気持ち良いの❤」
さらに腰を捻る動きを加え、少しざらついている部分に亀頭を擦りつけてよがる彼女。
話している間も委縮する事のなかった俺の愚息は、あっという間に臨戦態勢に入り……
「あっ、あっ、イク、イクうううううううっ❤」
彼女がイクのと同時にギュッと締まった膣に搾りとられるような形で射精した。
先程よりも多いのか、ぶぴゅっと音を出しながら結合部から白い粘液が漏れ出ている。
「はぁ、はぁ……いいの〜もっと欲しいのぉ❤」
身体を痙攣させた後、しばらくは身体をくたっとする彼女。
「はぁ……はぁ……」
「もうあんたを離さない❤ ずっとあたし専用のちんぽだ❤ あたしもあんた専用のまんこだからいいでしょ？」
「はぁ……せ、専用……」
「そうそう。それに、ここなら衣食住困らないよ。服は着なくて良いしご飯は持ってきてくれるしベッドで寝放題だしね」
「はぁ……そ、そうだな……」
そう言われると、ここでずっと彼女と暮らすのもいいかもしれない……何をするよりも、ずっと楽に生きていられるだろう。
折れ掛かっていた心が今、修復不可能なまでに粉々になった音がどこかでした気がした。
「ふふ〜ん♪ じゃあまだまだいっぱいセックスしようね❤」
身体に力が戻ってきたようで、またまた腰を振り始めた。
「ふぅ……ぅあんっ！ 何、ヤる気出してくれたの？」
そんな彼女の腰の動きに合わせ、俺は下から腰を突き上げた。
「んっ、あっ、ぅあっ♪ いいよいいよ♪ もっと突いてぇ❤」
度重なる射精で、もう彼女に逆らう気も、ここから逃げ出す気も起きなくなった。
ならばいっそ彼女に溺れよう……そう思ったらなんだか気が楽になったので、俺は何も考えず腰を振る。
段々と愛しく思えるようになった目の前の魔物の彼女を蕩けさせるために、悦ばせるために。
「んあっあっああっ♪ んんっ、んちゅ……」
腰を振りながら、唇でも繋がりながら、俺は目の前の女性とただ快楽と愛に溺れていくのであった。
木陰に隠れ俺は、今から入る洞窟の入り口をジッと見張る。
「入口の見張りの数は……たった2体か」
洞窟の入り口には、上半身は女性の身体、下半身は蟻の身体を持った化け物が2体見張っている。
それもそのはず。なんせ目の前の洞窟はジャイアントアントという魔物達の巣窟なのだから。
「さーて、試してみるか……」
何故俺がそんなところに入ろうとしているのかと言うと……奴らが蓄えているという噂の『宝』を手に入れるためだ。
芸もない職もない俺が楽に生きる為には宝でも掘り起こす必要があるわけだが、危険な場所にわざわざ赴かなくても手に入るのであればそれを見逃す事は無い。
魔物の巣窟と言えど、どうやら調べたところ今の魔物共は性的に襲う事はあっても命を奪う事はまずないらしい。つまり死ぬ事はないってわけだ。
「この道具、絶対使えるんだよな……」
とはいえ、あんな下半身蟻の化け物共と性交なんぞ死んでもしたくは無い。
かと言って、残念ながらしがない村人Aでしかない俺にはジャイアントアントを倒す手段など持っていなかった。
でも諦めきれない……そう思っていた俺の下に、一人の女子が現れたのだ。
「あのガキ……もし効果なかったらどうしてやろうか……」
その子供は不思議な道具を売っている商人だった。
どうやらジャイアントアントを退治したい人物という内容で俺の事を知り、自分が取り扱っている道具を売りに来たみたいだ。
その道具とは……
「このマスク……普通のマスクと色以外大体一緒じゃねえか」
まず一つめが、フェロモン防護マスクだ。
どうやらジャイアントアントという種族は汗を介してフェロモンをまき散らす性質を持っているらしい。
そのフェロモンの匂いを嗅いだりしないようにする為のマスクがこの灰色のマスクらしいが……正直胡散臭過ぎる。
お値段何と１食分の食費だ。これで効果なかったらあのガキをしばき倒す事にする。もちろん無事に帰れたらだが。
「んでこの眼鏡……というかサングラス。デザインはカッコいいんだが……」
お次はチャーム阻害眼鏡。その名の通り魅了魔術を防ぐ道具らしい。
正確にはフェロモンが目に染みないようにする為と、ジャイアントアント達のたわわに実った胸元を直視しないようにする為の物……らしい。
どうもこれも胡散臭過ぎるが……何故か買うときはすっかり信じてしまったんだよなぁ……
「それでこの蟻避けスプレーか……」
最後に、まさに殺虫剤のようなデザインが施されているスプレー缶、通称蟻避けスプレー。
これを噴きかければ蟻や蟻の特徴を持つジャイアントアント達が一目散に逃げていくらしい。
実際に蟻で試してみたところ、列を成していた蟻が散り散りに逃げて行った。殺せまではできないようだが、充分だ。
ジャイアントアントで試したわけではないが、このスプレーだけは確実に効果をもたらすだろうと思える。マスクも眼鏡もこのスプレーを自分で浴びないようにする為のものだと割り切れば安い買い物だったかもしれない。
「まあ……総合すれば良い買い物だった……てことかな」
胡散臭い物も多いが、一番重要な物の効果は絶大なのだから、買って良かったと言える。
これだけのもので宝を手に入れられるのであればむしろ安いものだ。他人を雇う必要もないし、報酬を山分けする必要もないのだから。
何故10歳ぐらいの女子がそんな物を売っていたのかという疑問が無いわけではないが、まあ何かしら訳ありなんだろう。気にしない事にした。
「よし、行くか……」
マスクを付け、眼鏡を掛けて、スプレーを右手に持った。
これで準備は万端……という事で、俺はジャイアントアント達の巣に乗り込むべく、木陰から飛び出した。
「あ、男だ〜♪」
「いらっしゃい。私にする？ 彼女にする？ それとも二人いっぺんに相手する？」
俺の姿を認識したジャイアントアントの2体は、警戒するどころか男が来たと手放しで喜んでいる。
「……喰らえ！」
だが、俺は足が6本ある化け物と交わるような悪趣味ではない。
油断しきったこいつらの顔にスプレーをぶちまけた。
「やぁん、何これ!?」
「げふっごほっ、いやぁ〜……」
スプレーを掛けられた蟻共は、先程までの余裕を一瞬のうちに失い、悶え涙目になりながら一目散に逃げて行った。
「おお、凄い効果だ……」
かさこそと多過ぎる足を動かし逃げていく様子を見た俺は、スプレーの絶大な効果に満足していた。
これならば恐ろしい程力がある化け蟻共も、俺に傷一つ付ける事ができないだろう。
「さてと、待ってろよお宝ちゃん♪」
これなら何の苦労もせずに宝を奪えると、上機嫌で蟻の巣へと侵入するのであった……
……………………
「きゃあああああっ!!」
「に、逃げろー!!」
「ははは、にげろにげろー!!」
巣へと侵入した俺は、スプレー片手にガンガン奥へと進んでいく。
「なにあれ〜！」
「なんかいやあ！ 何が嫌なのかよくわからないけどなんか嫌〜！」
もちろん俺の侵入に気付いたジャイアントアント共や、そいつらに番にされた野郎共が襲ってきたが、全てこの蟻避けスプレーで退治している。
実際にこのスプレーを浴びたジャイアントアントや野郎共は涙目になって巣穴の出口へと向かっている。
人間にも効くものなのか、それともジャイアントアントなんかとずっと一緒にいるから似たような物になっているからかは知らないが、とにかく蟻だけでなく男にも効いているので思った以上に楽に進めている。
「さて……これで粗方追い出したのかな……」
進んでいると横道の穴という穴からわんさか出てきていたが、何十体もの蟻や野郎にスプレーを吹き掛けて外に追い出しているうちに、何一つ出てこなくなった。
これでほぼ全部出尽くしたという事だろうか。
「それじゃあ宝物庫でも探しますかね」
もしかしたらまだ奥に潜んでいる可能性もあるので、俺は気を抜かずにスプレーを手にしたまま宝が隠されてそうな場所を探す。
「ここは……違うな。魔物のくせに一丁前なベッドなんぞ使いやがってクソ……」
想定はしていたが、やはり巣の中は複雑であり、中々お目当ての宝は見つからない。
というかどう見ても寝室だと思しき空間が連なっている……俺が使っている物よりはるかに大きいベッドに小物があるだけの部屋だが、ボロ小屋住まいの自分よりははるかに豪勢だ。
蟻の化け物のくせに生意気な……そう思いながら、一部屋一部屋確認していく。
「あークソ、やっぱりもっと奥にあるのか？」
だが、どれだけ探しても寝室や倉庫みたいな場所があるだけで、宝のたの字すら見当たらない。
まだ奥へと続く通路はあったし、そっちの方にあるかもしれない……そう思いながら、なんだか白い糸が付いている部屋を覗いてみた。
「あーだる……ん？」
「あん？ こんなところに蟻がまだいたのか」
するとそこには、宝どころかだるそうに転がっているジャイアントアントの姿があった。
他の蟻共と比べると随分やる気のなさそうな顔をしているが……病気か何かで休んでいたのだろうか。
「あ、男じゃないか♪ いらっしゃーい❤」
「どうでもいい。さようなら」
「うわっ!?」
まあ、他の男を手に入れていないジャイアントアント達と同じような顔をしてきたので、遠慮なくスプレーを顔面に掛けた。
「けほっいきなり何するんだよ危ないなあ！」
「……あれ？」
だが……今までの個体と違い浴びた瞬間に逃げるどころか、ちょっと咳をしてムッとしただけで、ベッドの上から全く動こうとしなかった。
「このっ！ このおっ！」
「……あのさあ、何するの？」
「な、何で効かないんだよ……！」
そんな馬鹿なと思い、山ほど顔面にぶっかけたのだが……全く効いた様子がない。
逃げるどころかちょっと怒った様子でこちらを睨みつけている。
「そういう酷い事する奴は〜こうだ！」
「なっ!?」
そして、ムッとした顔で、俺の身体に白い何かを吹き掛けてきた。
「な、なんだこれ!? 身体が動かねえ!?」
それは身体に纏わりついて……俺の身動きを封じ込めた。
「こ、これは……糸？」
「ぴんぽーん！ 正解。もうこれで君は変なスプレーを使えないね」
それは……粘り気のある細い糸が太い束になったものだった。
そう、それはまるで蜘蛛の糸のように……
「な、なんでジャイアントアントが蜘蛛の糸なんか……」
ジャイアントアントはその名の通り蟻の魔物だ。いくらなんでも蜘蛛の糸なんて出せるはずがない。
そう思っていたら……
「ふふーん、特別にあんただけには教えてあげよう……何を隠そうあたしはアントアラクネなのだ！」
「ア、アントアラクネだあ!?」
どうやらこいつはジャイアントアントでは無く、アントアラクネという魔物らしい。
そういえば聞いた事がある気がする……ジャイアントアントと似た姿を持ち、群れに紛れて生活するアラクネ属の魔物がいると。
つまり……俺を捕まえて扇情的な笑顔を得意げな感じで浮かべているこの魔物は、ジャイアントアントでは無いという事だ。
たしかに良く見ると下半身の足の数は8つある。という事は、こいつは蜘蛛の魔物だ。
「クソ……だからスプレーが効かなかったのか！」
「何々……蟻避けスプレー？ なるほどねぇ……これじゃあたしかにジャイアントアントは勝ち目がないだろうね」
「あっクソ！ それ返せ！」
「やだね。それにもうこれはいらないよね」
蟻じゃなくて蜘蛛だったので、俺の武器であるスプレーは効果を成さなかったようだ。
この魔物の存在を忘れていたせいで、俺は一気にピンチになっていた。
「だってあんたは……ここで一生あたしと交わり続けるんだからさ……♪」
身動きできない状況……つまり全く抵抗できない事をいい事に、アントアラクネは俺をベッドの上に拘束したのだから。
「だ、誰がお前のような化け物と……」
「というかさっきからマスクのせいで声が聞き取り辛い。だから外すよ！」
「あ、ちょっ!?」
それだけでなく、俺が装備していたマスクと、ついでに眼鏡を外されてしまった。
特に劣情が浮かんでくる事は無かったので、おそらくこのマスクや眼鏡も効果があったのだろう。
それを、あからさまにフェロモンに当てられているアントアラクネがはぎ取っているのだから……このマスクと眼鏡が無くなったらどうなるのかはわからなくはない。
「あっ、う……」
「おー、中々あたし好みの顔をしてるじゃないか♪ ま、大事なのは顔よりも身体の相性だけど……って、何おっぱい見てるんだよ変態♪」
「ち、ちがぶっ!?」
「仕方ないなぁ特別におっぱい舐めさせてあげるよ」
瞬間、甘酸っぱいというかなんというか、とにかく尋常じゃない臭いが鼻を突き、なんだか鼓動が速くなる。
それどころか、今までは眼鏡のおかげで直視できなかったアントアラクネのたわわな胸が、俺の目の前に飛び込んできた。
滑らかな肌で見ただけで柔らかそうなそこそこ大きな丸いおっぱい……そこだけ見れば絶世の美女と言える程だ。
そんなおっぱいがゆっくりと近付いてきて……俺の顔に圧し掛かった。
「むーむうー！」
「ん……あんまり上手じゃないけど気持ちいいぞ〜♪」
「んむぅーんううー!!」
しっとり滑らかな胸が俺の顔面でぐにぐにと変形する。
魔物のくせに、蜘蛛のくせに……胸の匂いはずっと嗅ぎ続けていたいほどに良いものだった。
「ぷはっ！ はぁ、はぁ……」
「どうだあたしのおっぱいは良かっただろ？」
「はぁ、そ、そんなわけあるか！」
胸に口を塞がれて息苦しくなったところで、ようやく解放された。
「そうかおっぱいじゃ嫌だったか。じゃあ……ん」
「んんっ!?」
と思ったら、今度は柔らかくて艶のある唇に塞がれた。
「ん……くちゅ……れる……ぷあ。どうだいあたしのキスは。蕩けるだろぉ？」
「はぁ……はぁ……き、気持ち悪いだけだ！」
「ほぉ、強がるねぇ……」
舌を唇を割って挿れ、互いの唾液を入れ替えるようにねっとりと絡める。
引き剥がそうにも、頭を押さえる彼女の力のほうが強く自分からは引きはがせ無い。
そのまましばらく蹂躙されるうちに、ようやく解放された。
「でも、身体は素直なようだな」
「はうっ!?」
「こんなに大きくして、あたしと交わる事を期待しているんだろ？」
「ち、ちが……うぁ……」
しかし、身体は解放される事無く、それどころかズボンの上から俺の性器を意外と柔らかい手で弄ってきた。
いくら下半身が蜘蛛の身体で、頭にも触角があり、よく見たら髪に隠れて目みたいなものが複数あるとはいえ、身体は美女のそれだ。ジャイアントアントのフェロモンの効果もあり、反応してしまうものは仕方がない。
そう、仕方は無いのだが……それがこの魔物と交わりたいという事には直結しない。嫌な物は嫌である。
魔物なんかと性交してはもう二度と人の世界に戻れなくなる……それが嫌で、必死に抵抗する。
「もう我慢できないあんたのちんぽ見せろ！」
「や、やめてくれっ！」
「おお……こーんなにガッチガチで先走り垂れ流してて止めてなんて、誘ってるようにしか見えないよ？」
「そ、そんな……はうっ!?」
アントアラクネがズボンを引き摺り下ろしてきたので、なんとか身体を捻ったりして抵抗したのだが……如何せん相手は魔物。簡単に抑えつけられて下着ごとズボンを下ろされてしまった。
そして露わになる俺のペニス……フェロモンや弄られた影響でもうそれは硬くなっており、透明な液を出しながら震えていた。
「ふふ〜ん♪ どうだあたしの手は気持ちいいだろ」
「ぜ、全然そんなこっ！」
「お、一際大きくなったな。もう射精しちゃうか？」
先走り液を潤滑油にし、ペニスを上下に扱く彼女。ぬるぬるとした手が竿を撫で、カリ首を刺激し腰が震える。
「ほらほら、出しちまいな！」
ビクビクと、今にも射精しそうなペニスをニチャニチャと扱き続ける彼女。
出してたまるかと歯を食いしばって我慢していたが……
「ひぎっ!?」
「わっ！ んふふ〜❤」
お尻の穴という予想外の場所への刺激に、俺は為すすべもなく精液を彼女の手に、腕に、そして胸へと掛けてしまった。
魔物なんかに屈してたまるかという気持ちが……少し折れ曲がった音が聞こえた気がした。
「へぇ〜お尻の穴が弱いんだ〜」
「や、やめ……いぎぃ!?」
「おお、またガッチガチに……❤」
ペニスを握っていないほうの手の指を俺の尻の穴に入れて、ゆっくり抜き差ししたり指を曲げて刺激してきた。
お尻の穴を弄る趣味など全く無いのだが、魔物の力なのかもの凄く気持ち良く感じてしまう。
ゆっくり前も後ろも弄られた事で、出したばかりだというのにまた硬く勃起し始めた。
「さーて……今度はあたしも気持ち良くしてもらうからね……❤」
「そ、それだけはやめっはうっ!?」
「まだ強がるとは……ますます気に入ったよ♪」
ペニスを握り、腰を浮かせて俺の上に跨る。
そして、こちらが何もしていなくても既に濡れている性器を、俺のペニスにあてがった。
そう、まだあてがっただけなのに……経験のない俺はそれだけでまた達しそうになっていた。
「んっ、はっ、きたぁ……♪」
そして、ゆっくりと彼女の肉壺に沈んでいく。
中は熱く、無数の襞が引っ掛かり、ぎゅうっとペニスを搾り貪欲に貪ってくる。
「ん〜やっぱりちんぽサイコ〜❤」
「あ、ああぁぁ……」
「なんだよその複雑な表情は……仕方ないあたしがとろとろにしてあげる❤」
魔物なんかと交わってしまった事が悔しい。そしてそれ以上に、膣内が気持ち良すぎて快感に溺れそうになっている。
そう、気持ちいい。下半身が蜘蛛だとかそんな事どうでもよくなってしまう程の快感が、俺の身体を駆け巡る。
「んっ、んはぁっ、あっ♪」
リズミカルに腰を動かし始めた彼女。
柔らかな膣壁がペニスを包み込み、早く射精しろと言わんばかりに刺激する。
「だ、誰か助け……」
「誰も来ないよ。だってあんたが他のジャイアントアントを追い出したんじゃないか」
「あ……ああっ！」
中出しだけは……孕ませる事だけは何としても避けたい。その一心で助けを求める。
だが、誰も助けてはくれない……自分で追い出したのだから、その声は誰にも届かない。
「ああっ、きたぁ〜❤ 子種汁あったかぁい❤」
助ける声も、性器から与えられる暴力的なまでの快感で喘ぎ声に変わり……とうとう我慢の限界が来て、精液を彼女の子宮へ向けて出してしまった。
一回射精したとはいえ、童貞に我慢なぞできるはずもなく……快感に屈してしまったのだ。
びゅくっびゅくっと彼女の子宮へ、孕ませるかのように多くの精液が流し込まれる。
「はぁ……や、やってしまった……」
いくら美人とはいえ魔物に中出ししてしまった。俺はその事実に、ただ落胆する。
しかも、もう俺は人の世界には帰れないだろう。
「おいおいまだあたしはイッてないぞ？ あたしがイクまで頑張ってよだ・ん・な・さ・ま❤」
「ひいっ！」
何故ならば、扇情的な笑顔を浮かべながら、彼女は俺の事を旦那様と言ってのけたのだ。
つまり……もうお前を逃がす気は無いという事なのだろう。
「くっ……はうっ!?」
「ふふ、どう？ こうやっておまんこをぎゅぎゅってすると気持ちいいでしょ？ あまり動かなくても気持ち良くなれる方法考えてみたけど気に入ってくれた？」
でも、もう別にそれでもいいかもと思えてきた。
もう中出ししてしまったので、ほとんど心は折れていた。
もういいや、この魔物と共に過ごそう……そう思い始めていた。
「あっ、さっきの変なスプレー持った侵入者！ アナタが捕まえてくれたの？」
「あっ」
「ん？ あっ」
その時、俺が追い出したはずのジャイアントアントの1体が部屋の外からヒョコっと顔を覗かせた。
どうやら様子を見る為に戻ってきたらしい……
「そ、そうだよ……」
「助けてくれ！ こいつはアントアラクネだ！ 君達とは違う種族の魔物だ!! こいつだって侵入者だ!!」
「あちょっと！」
「え？ アントアラクネ……？」
ジャイアントアントの姿を見た俺は、もうポッキリと行く寸前だった心を持ち直し、助けを求めた。
だが、ただ助けを求めても侵入者の声は無視されるだろう。
そこで咄嗟に思い付いたのは、このアントアラクネも侵入者に仕立て上げる事だ。
そうすれば悪者はあっちになるかも……そう思って俺はこう告げた。
「ほら、こいつ足が8本ある！」
「え……あ、ホントだ!!」
「ちっ……」
やはりこいつはこっそりと紛れ込んでいた固体だったらしい。
余計な事を言いやがってと言いたげな舌打ちが、何よりの証拠だろう。
「もしかして……最近食べ物が余分に減ってた原因ってあなた？」
「あーっと……その……」
「煮え切らない返事……じゃあそうなのね！」
しかも、こっそり食料を盗んだりと不利になる事を行っていたそうだ。
これは助かるかもしれない……と、次の言葉を聞くまではそう思っていた。
「じゃあ今度からは私がチェックするから勝手に持って行かないでね！」
「えっ!?」
「あーうん。ごめんなさい。あとできれば持ってきてくれると助かる。この人が暴れないようにここで見てないといけないしね」
「なるほど。わかった」
「ま、待って！ なんでいいの!?」
「なんでって……だってこの子があなたを大人しくさせたんだもの。恩人だし、部屋も別にまだ余ってるから構わないよ」
なんと、追い出すどころか今度から勝手に持って行くなと釘をさしてここに住む事を許可してしまったのだ。
これで助かる道は……完全に閉ざされた。
「そういう事みたい。だからあたし達は続きを……❤」
「ちょっまっ……はうあっ!!」
それでもどうにか助けてもらおうとしたけれど……話をしていて止まっていた膣の動きが再開され、俺は再び快楽の沼へと沈み始めた。
「あっイイ！ そこ、ふぁ、気持ち良いの❤」
さらに腰を捻る動きを加え、少しざらついている部分に亀頭を擦りつけてよがる彼女。
話している間も委縮する事のなかった俺の愚息は、あっという間に臨戦態勢に入り……
「あっ、あっ、イク、イクうううううううっ❤」
彼女がイクのと同時にギュッと締まった膣に搾りとられるような形で射精した。
先程よりも多いのか、ぶぴゅっと音を出しながら結合部から白い粘液が漏れ出ている。
「はぁ、はぁ……いいの〜もっと欲しいのぉ❤」
身体を痙攣させた後、しばらくは身体をくたっとする彼女。
「はぁ……はぁ……」
「もうあんたを離さない❤ ずっとあたし専用のちんぽだ❤ あたしもあんた専用のまんこだからいいでしょ？」
「はぁ……せ、専用……」
「そうそう。それに、ここなら衣食住困らないよ。服は着なくて良いしご飯は持ってきてくれるしベッドで寝放題だしね」
「はぁ……そ、そうだな……」
そう言われると、ここでずっと彼女と暮らすのもいいかもしれない……何をするよりも、ずっと楽に生きていられるだろう。
折れ掛かっていた心が今、修復不可能なまでに粉々になった音がどこかでした気がした。
「ふふ〜ん♪ じゃあまだまだいっぱいセックスしようね❤」
身体に力が戻ってきたようで、またまた腰を振り始めた。
「ふぅ……ぅあんっ！ 何、ヤる気出してくれたの？」
そんな彼女の腰の動きに合わせ、俺は下から腰を突き上げた。
「んっ、あっ、ぅあっ♪ いいよいいよ♪ もっと突いてぇ❤」
度重なる射精で、もう彼女に逆らう気も、ここから逃げ出す気も起きなくなった。
ならばいっそ彼女に溺れよう……そう思ったらなんだか気が楽になったので、俺は何も考えず腰を振る。
段々と愛しく思えるようになった目の前の魔物の彼女を蕩けさせるために、悦ばせるために。
「んあっあっああっ♪ んんっ、んちゅ……」
腰を振りながら、唇でも繋がりながら、俺は目の前の女性とただ快楽と愛に溺れていくのであった。
14/06/08 21:50更新 / マイクロミー