連載小説
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1:優しい妻は怒ったことが無かった [ぬれおなご]
普段は真面目なサラリーマンとして、日頃から業務に励み、夜は愛する妻のもとへ一直線に帰る彼 古谷 巧(フルヤ コウ) であったが、その日は強引な上司の誘いのもと、飲み会へ...

までは良かったのだが、上司が突然「俺のおごりだから!」と、よりにもよってキャバクラに誘ってきたのだ。

「田中は白蛇の奥さん居るからさぁ〜誘えないんだよ〜。古谷ンとこの奥さんは優しそうだし、大丈夫だろ〜?もう予約してんだよ〜」

コウの妻は、ぬれおなごという魔物娘である。
しっとり濡れた肌、清涼な水を思わせる控えめな声、いつもコウの三歩後ろを行く、まさに大和撫子のような妻。怒りとは程遠い世界を生きるように見える彼女は、普段も"夜"も優しいのは確かだ。
実際に彼女が怒った姿を見たことがない。

事前に聞かされていなかったので完全に不意討ち、そして切迫した選択を迫られるとNOと言えない性格(上司もそれを狙って)なのもあり、ついOKを出してしまった。

「今日は遅くなるから、先に寝ててね...っと」

妻の香夜(カヤ)へメッセージを送信すると、送った瞬間に既読がついた。
その2秒後程で返信が返ってくる。

『分かりました。どちらまで?』

コウは後ろめたさを振り払うように、

『二次会だよ』

とだけ送った。
二次会であることは事実、行き先を言ってないだけ...嘘はついてない...
そんな風に自分に言い聞かせたり、
無用な心配はかけたくないし...
という言い訳を頭で並べたりしながら送信したのである。






それがおおよそ3時間前。

深夜の2時、玄関のドアの前で立ちすくむコウの姿があった。

なんだかとっても嫌な予感がする。

妻に隠し事をした罪悪感のせい、と片付けるにはあまりにも

殺 気

のようなものが滲み出ている。

きっと寝てるそうだもしかしたら多分帰りが遅いから怒ってかもなー妙にこの周りだけ寒い気がするけど多分気温が下がっただけだアハハハ

半ば現実逃避の心持ちで、震える手をドアノブにかける。

ガチャリ

普段より重たい気がするノブを回し、ドアを開ける

「ヒッ...」

そこには電気もついていない、真っ暗な廊下で
姿勢正しく正座で出迎えた妻が待っていたのである。

「あなた様、おかえりなさい...。」

普段よりひんやりした空気の中、普段から聴く透き通った声。しかしコウは、喉元にナイフを突きつけられたような鋭いものを感じてしまう。

「た、たたっただいま〜...?」

動揺の極みに至るコウを置いて、カヤは続ける。

「どうなさったのですか?そんなに震えて...お召し物、預かりますよ。」

笑みをたたえてカヤは手を伸ばすが、コウは気がついてしまう。

普段は清らかな河のような煌めきを持つカヤの眼が、今日は夜の井戸の底のような、濁った底知れぬ暗さに満たされていた。

身の危険を感じながらも、振る舞いだけはいつも通りな妻の動きに押されて玄関をあとにしようとする。

「ご、ごめんな〜?遅くなっちゃって〜」

コウは隠せていない動揺を必死に取り繕って、軽い調子で言う。

「いいえ。上司の方のお付き合いですもの。"二次会程度なら"縛ることもありませんわ。」


ガチャリ、チャラリ。


「カ、カヤさん...?何故、鍵とチェーンを...?」

おっかなびっくり聴くと

「あら、気になります?うふふふ」

気になるよ!主に僕の身の安全が!

そんなことを言えるはずもなく、何も言えずにリビングへ震える足を進めるコウであった。






「お夜食、召し上がりますか?」

カヤはほの暗い雰囲気を全身に纏いつつ、あの笑顔を浮かべながらテーブルに促す。

「あ、あはは、じゃ、じゃあ、頂こう、かな〜...?」

彼女と対照的な乾いた笑みを貼り付けながら、コウはテーブルに置かれたお粥に目をやる。
お粥はほかほかと湯気がたっていて、酒で荒れた胃を癒してくれそうなものだった。
少しほっとしたコウだったが、スプーンを持ったときに抱いてはいけない疑問を抱いてしまった。



何故、帰ってくるタイミングが分かったのか?



「カ、カヤ...さん...?このお粥、いつ作ったんだい...?」

「うふふふ...あなた様が駅に着いたぐらいに作り始めましたのよ?...どうかなさって?」

前言撤回、今度は胃がシクシク痛み始めた。
駅に着いたことをどうやって知ったのかはこの際置いておこう。考える余裕が無いとも言う。
問題は僕の行動を把握している事だ。
もしや...いや、もはや確実に僕が夜に行った先も...?

その先はお粥の味などわかりもしなかった。







風呂を済ませ、寝室へ向かうと、カヤは敷布団の上で正座し、待ち構えていた。

「お待ちしておりました...うふふ」

空気が重く冷たい。
部屋中の水分が、コウの首元をゆるゆると締めるような...

「あなた様、先ほどから様子がおかしいですわ...どうなさったのですか?」

思わず一瞬目線を逸らす。

「もしかして...わたしに...」

そして再びカヤに視線を合わそうとした瞬間、コウは声にならない悲鳴をあげた。
まさに目と鼻の先、息を感じる近さにカヤが音もなく迫っていたのである。







何 か 、 隠 し て お ら れ る の で す か ?











「ごめんなさい!ごめんなさい!謝るから...っ...うぐぅっ!」

コウは今夜何度目か数えられない程の"不完全な"絶頂感に襲われていた。
お粥に何か盛られていたのか、ぺニスは普段より信じられないほど敏感だ。
覆い被さるカヤの膣内でドクドクと胎動するそれは、それでも精を吐き出そうとしない。一滴もだ。

絶望だった。コウのぺニスはカヤの膣内に挿し込まれているだけではない。

膣内から変形して伸びる彼女の身体が、細く深く、コウのぺニスの鈴口から突き刺さっている。

それがコウの内から溢れようとする精を、完全に遮断してしまっているのだ。

「うふふふふふ...あなた様?何を謝っているのですか?あなたは"二次会"へ行っただけですよねぇ?」

それでもお構いなしに、むしろ普段の優しさはなりを潜め暴力的に膣内を蠢かせるカヤの刺激に、せり上がって来そうで来ない、自身の熱に灼き続けられていた。

「あがっ...あ゛あ゛あ゛!」

更に睾丸まで彼女の身体に包み込まれ、揉まれる。
そこから生まれる精は、どこにも逃げ道など無いのに。

「うふふ、凄い...あなた様のおちんちん、ずっと震えていますわ...」

カヤは恍惚の表情をしながら、嫌に濁った眼で絶望と欲情に顔をしかめるコウを見据える。

「ごめん、ごめんなさい、キャバクラに行ったのは、ほんと、ごめんなさい...っ」

コウは懇願するように謝罪をするが、その瞬間、更に部屋の温度が下がったように感じた。
そして先程よりも更に暗くどろどろに濁った瞳を近付けながら、低い声で言った。

「...あなた様ぁ?そんな事では、私は寂しくなりませんのよ...?」

「え...?...っ!?やめっ!?」

睾丸を虐めていた彼女の身体が、さらにドロリと下へ流れ始める。
筋を伝ってたどり着いたのは、彼の後ろの穴。
そこに何の躊躇いもなく、ズブズブと彼女の身体は侵入してきた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

もう声も出ない。
コウの身体が断続的に弓なりに仰け反る。

「もう、あなた様なら、お分かりですよね?」

チカチカする脳に直接響くような、カヤの声。
ぺニスを膣内でしごかれ、
睾丸は無数の掌で揉まれ、
前立腺を優しく押し込まれ、
それでも鈴口から挿入された栓によって射精は許されない。

地獄のような出口の無い不完全な快楽にのたうち回りながら、コウはやっと模範解答を口にする。

「あ゛あ゛あ゛っごめんなさい゛!かくじごどしでっ!ごめんなさい゛!!もうしま゛ぜんから!!」

「うふふふふふ...あなた様なら、分かってくださると思っていました...!ちゃんと言えたご褒美、ですわ...っ」

そう言うとカヤは、攻め立てる速度を速めながら、勢い良く鈴口から栓を抜いた。

同時に、コウは人間の感受性を裕に越える快楽に耐えられず、意識を手放した。






「...ん...っ!?痛つつ...」

朝、コウは目が覚めると全身が筋肉痛だった。
昨日の"罰"を受けていた最中、自分でも気づかぬ内に限界を越えて力を入れていたようだ。

「あなた様、おはようございます♪」

「ヒッ」

直ぐそばにさっきまで居なかったカヤが居た。
幸いな事に昨日のような、濁った眼はしていない。

「もう朝食ができてますよ。一緒に食べましょう?」

「あ、あぁ、ありがとう。」

カヤはしとしとと部屋を部屋を出ようとして、ふと立ち止まる。

「もう、隠し事はなし、ですよ♪」

振り返りながら微笑んだその眼に、昨晩の井戸の底を見た気がした。
19/03/06 13:09更新 / スコッチ
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■作者メッセージ
「結局どうやって知ったのか、教えてもらえなかった・・・。」
「それを知って、どうするおつもりで...?」
「ヒッ」


***


処女作で御座います。
当時、ここまで投稿を続ける気が無かったもので、読み切りで投稿致しました。

ヘビーラブを好む同志の方が思っていたより多く、温かいお声を頂戴したため、この後の作品の投稿に続くことになります。

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