読切小説
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ヒトツメイド
「ねえねえ、どう? 似合う?」
「うんうん、似合う似合う! とっても素敵!」
「そう? やった! これならお兄ちゃんもイチコロだね!」
「ところでこ、このメイド衣装は、少し過激じゃないか? スカート短いし、ヘソ出しだし……」
「それがいいのよ。色々ご奉仕も捗るでしょ?」
「ほらほら、試着もいいけど、ちゃんと手伝ってね? 机移動とか飾りつけとか、まだまだ全然終わってないんだから」

 人魔共学制を採用していたその学園は、一年の中で最も賑やかな時間を迎えていた。翌日に控えた学園祭本番に向けて、生徒一同が一致団結して、教室の「改装作業」に勤しんでいた。
 このクラスの出し物はメイド喫茶であった。男子と魔物娘がこぞってこれに投票し、ほぼワンサイドゲームの形でこれに決まったのである。一部の女子と男子生徒は最初難色を示していたが、クラスメイトの魔物娘達がどこからか持ってきたメイド服を着こなす姿を見て、今ではすっかりメイド喫茶礼賛の空気が教室内を満たしていた。
 メイド服で強化された魔物娘の色気は、人間すべてを等しく魅了する力があったのだ。
 
「ある程度固めたら、残った机は所定の場所まで運んでね。それから余った色紙や段ボールは、ちゃんと一つにまとめてロッカーにしまって。オーブンとホットプレートは所定の位置に。まだコンセントは刺さないでね。ゴミはしっかり掃除しておいて、分別も忘れないで。時間がないわ、ラストスパートかけて行きましょう」
「はーい!」

 まとめ役を押し付けられたクラス委員長――人間の女子生徒であった――の発破に、生徒全員が声を上げる。特に魔物娘の熱気は凄まじく、その発破の後、誰よりも率先して仕事を片付けていった。もちろんメイド服の試着作業に没頭したり、手伝いにかこつけて男子生徒を誘惑する魔物娘も数人、いるにはいた。
 それでもその大多数が、本番に向けて熱心に動いていた。そしてその熱気に当てられて、残りの女生徒と男子生徒も俄然やる気を見せていた。
 
「人間の文化祭かあ。楽しみだなー。どこ回ろうかな?」
「いっぱいあって回り切れそうにないから、目星つけておいた方がいいかもね」
「そのためにも、ちゃんと準備澄ませないとね」
「当然! ちゃちゃっと済ませて、旦那様と学園祭回る約束取り付けないとね!」

 魔物娘を中心とした女生徒のグループがきゃいきゃいと騒ぐ。それと同じ光景はそこかしこで見受けられ、彼女達はそうやって時折雑談に興じながらも、真面目に作業を進めていった。
 人間界のイベントを直接体験できる。その期待と好奇心が魔物娘達を突き動かしていた。何故ならこの珍しいイベント体験こそが、人と魔物が出会って以降、人魔共学制の学園が彼女達から高い人気を得ている理由の一つであったからだ。
 まあ一番の理由は、手っ取り早く繁殖相手を見つけられるからなのであるが。
 
「……ケッ」

 そんな活気に満ちた雰囲気の中で、一人の魔物娘が不貞腐れた態度を取っていた。彼女は周りの生徒に混じることなく、一人黙々と輪飾りを作っていた。クラスメイトに背を向けて部屋の隅に胡坐をかき、背骨を曲げて制服の下から出した触手を力なく垂れ下げ、淡々と作業を続ける。その姿は到底楽しんでいるとは言えなかった。
 
「なんで私がメイドなんか……ブツブツ……」

 ゲイザーと呼ばれる魔物娘の生徒であった。彼女は暗鬱なオーラを全身に纏い、他者を寄り付かせまいと全力で抵抗していた。幸か不幸か、他の生徒達は自分達で騒ぐばかりで、構うなオーラを放つゲイザーに気付くことは無かった。
 そうして周りが浮かれる中、クラス委員長がそのゲイザーの姿に目敏く気付いた。彼女はすぐにそれから視線を逸らし、速足で一人の男子生徒に近づき、そして彼だけに聞こえるように小声で話しかけた。
 
「ソニアちゃんの元気づけ、よろしくね」
「俺が?」
「あなたあの子の彼氏さんなんでしょ? 今頑張らなくてどうするの」
「まったく……」

 声をかけられた男子生徒は、委員長からの要求を受けてその魔物娘に視線を向けた。魔物娘――ゲイザーのソニアは自分の彼氏からの視線に気づくことなく、黙々と飾りを作り続けていた。
 
「メイド喫茶なんて滅びちまえばいいのに……」
「しょうがない奴だな」

 そんなにメイド喫茶が嫌なのか。男子生徒は顔をしかめ、腕を組んでソニアの丸まった背中を見続けた。しかしそこに嫌悪は無く、世話の焼ける妹を見守るような暖かさが含まれていた。
 
「ちゃんとすればあいつも可愛いのに」
「自分の見た目に自信が無いだけよ」
「一つ目だから?」
「そういうこと」

 もったいない。男子生徒が言葉を漏らし、クラス委員長が首肯して同意する。しかしその言葉は周りの喧騒にかき消され、ソニアの耳に届くことは無かった。
 直接言ってやるしかないようだ。
 
 
 
 
 それから数時間後、生徒全員が団結したことによって、教室はメイド喫茶へと見事な変貌を遂げていた。準備は完璧。後は本番を待つだけである。
 だが彼らが最後の作業を終わらせた時、時刻は既に十八時を過ぎていた。外は既に薄暗くなっており、そして作業完了と同時に教室にやって来た担任が「時間切れ」であるとして生徒達に帰るよう促した。生徒達は素直にそれに従い明日の予定を話し合いながら流れるように教室を後にしていった。。
 
「先生、俺が最後に鍵閉めしときますんで、鍵置いといてください」
「あらそう? それは助かるわ。じゃあお願いね」

 そして最後まで残っていた男子生徒――ソニアの彼氏であった青年が、自分の担任である白澤にそう提案した。白澤もまたそれを快諾し、教壇の上に教室の鍵を置いて去っていった。
 なおその去り際、白澤は青年から目を逸らし、教室の一角に目をやっていた。何かを察したように不敵に笑ってさえいた。しかしそのさりげない行動に、青年が気づくことは無かった。
 
「さて、待たせたな」
 
 そんなことなど露知らぬ青年は、教壇の上にある鍵を取った後、自分と同じく教室に残っていたソニアの方を向いた。この時ソニアは自分の机の上に腰かけており、単眼と触手の先端についた目の全てを使って、青年を睨みつけていた。
 
「で? 私に何させる気だよ? いい加減私も帰りたいんだけど?」

 教室待機を命じられて、ソニアは明らかに不満そうであった。しかし、だからと言ってさっさと帰ろうともせず、「作業が終わったら教室に残ってほしい」という恋人からの要求にはしっかり答えていた。
 そんななんだかんだで律儀なゲイザーの一つ目を見つめ返しながら、青年がその彼女からの問いかけに答えた。
 
「いやなに、さっきの作業中、お前元気なさそうだったからさ。ちょっと本番前に備えて元気づけてやろうと思って」
「余計なお世話だよ。そもそも元気づけるって、教室でやることでもねえだろ?」
「いや、今だからこそやる価値があるんだよ。今でなきゃ出来ないって言うべきかな」
「ああ?」

 意味が分からないとばかりに、ゲイザーが睨みを強くする。青年はそんなゲイザーから視線を外し、後の壁沿いに置かれてあった紙袋を肩越しに見ながら返答した。
 
「お前ちょっとさ、メイド服着てみてくんない?」
「はあ!?」

 思わずソニアが声を荒げる。思わず身を乗り出し、机から転げ落ちそうになるところを何とか持ち直してから、青年に向かって怒号をぶつける。
 
「て、てめえ馬鹿か! 私がな、なんであんな服着なきゃいけないんだよ!」
「なんでって、見たいからに決まってるだろ」
「それが馬鹿だって言ってるんだよ! 私にそんな服、似合うわけないだろ! 絶対嫌だからな!」
「俺は似合うと思ってるぞ」

 露骨に拒絶するソニアに、青年が真顔で言い返す。ストレートに似合うと言われたソニアは思わず言葉に詰まり、薄く灰色がかった顔を茹蛸のように真っ赤にする。
 そんなかわいらしいソニアを見つめながら青年が続ける。
 
「あの時お前が不貞腐れてたのだって、メイド服なんか似合わないから、メイド喫茶なんかやりたくないって思ったからだろ?」
「お、おう。その通りだよ」
「考えすぎだって。俺は似合うと思うけどな」
「出任せ言うんじゃねえよ。私がメイド服なんて……」
「でも俺はお前のメイド姿が見たい」
「な――」
「駄目か?」

 青年はどこまでも真面目だった。ソニアはそんな彼の熱視線に耐え切れず、思わず半目になって顔をそむけてしまう。
 駄目だ。自分はこの男を直視できない。
 
「そうやってジロジロ見るの、やめろって……」
「ごめん。でもソニアが可愛いから、つい」
「……一つ目が怖くないのかよ?」
「全然。怖いだなんて少しも思ったこと無いよ。むしろ可愛い、もっと見ていたい」
「クソが、恥ずかしくなるようなこと言うんじゃねえよ……」

 ソニアはこの青年に頭が上がらなかった。簡単に言うと、ベタ惚れしていたのである。
 
 
 
 
 もちろん最初からそうだったわけではない。最初にこの学園内で出会った時、ソニアはゲイザーらしく、この自分の気に入った青年に暗示をかけて襲ってしまおうと思っていたのだった。
 そして一学期末の放課後、彼女は作戦を実行した。同じクラスにいた青年を教室内で呼び止め、二人きりになった時を狙って彼に暗示をかけたのだ。
 
「そに、あ……ソニアァァァ……!」
「あ、あれ? なんだこれ、効きすぎたのか?」
 
 しかし単眼を嫌いと思わない――むしろ好ましく思ってすらいたその青年は、ソニアの暗示に必要以上にかかってしまった。 

「お、おい! 待て、落ち着け! もっと穏便に」
「単眼! 単眼カワイイ! 一つ目カワイイィィィィ!」

 それが全ての過ちだった。
 
「あっ、あんっ……う、けふっ……」
 
 気づいた時には、ソニアは真っ白に汚されていた。目と口をだらしなく開き、四肢をだらりと伸ばし、その身を生臭い白濁液に浸しながら、青年と仲良く床の上に転がっていた。快楽でとろとろになった脳味噌は完全に思考停止していたが、それでも自分が理性を失った青年に押し倒されたこと、その後青年にされるがまま滅茶苦茶に犯されてしまったことはハッキリと覚えていた。
 
「キッ、キシシッ……しゃいこぉ……♪」
 
 だが、そんな強姦まがいの行いを受けた後でも、ソニアの心は暖かい気持ちで満たされていた。青年の強引な責めには確固たる愛があり、ソニアはその愛をしっかりと感じ取ることが出来たからだ。
 裸体を汚す精液すら愛らしいと感じた彼女は、それを両手でかき集めて喉の奥に流し込み、その粘つく青臭い感触にゾクゾク心を震わせながら青年に声をかけた。
 
「おい、おまえぇ……」
「あれ? 俺、どうしたんだ? なんで裸に……?」
「お前……私をこうしたせきにん……取ってもらうからにゃあ……♪」
 
 それ以降、ソニアは青年の虜となった。青年もまたなし崩しとはいえ、ソニアの愛を受け入れた。何かにつけては悪態をついたり、厭味ったらしい態度を取ったりはするが、ソニアは青年から離れられなかった。
 異形の自分を真摯に愛してくれるこの青年を、心の底から愛おしく思っていたからである。
 
 
 
 
「ほ、ほら、どうだよ? 着てやったぜ?」

 だからソニアは、基本的に青年の頼みを断れなかった。そしてこの時も、ソニアは青年の懇願通りにメイド服に袖を通すことになった。

「クソ、なんで私がこんなこと……」

 ソニアが身に着けたのはエプロンドレス、世間一般で認知されている「ステレオタイプ」なメイド服であった。白と黒のツートンカラー。頭頂部に着けられたヘッドドレス。各所にあしらわれたフリル。膝丈しかないミニスカート。
 持ち込まれていたメイド服の中では露出の低い、機能性と可愛らしさを両立した代物だった。他にはヘソ出しルックの奴や、もはや水着にしか見えないタイプの奴もあったが、さすがにそれに手を出す度胸はソニアには無かった。
 
「……」

 そしてそんな白黒衣装に身を包んだソニアを、青年は全力で凝視していた。目玉が飛び出るくらいに目を見開き、椅子の背もたれに前面を押し付け前のめりになりながら、メイド姿のゲイザーを心に焼き付けていた。
 
「な、なんか言えよ。恥ずかしいだろ……」

 そんな彼氏からの熱視線に耐え切れなくなったソニアが、バツの悪い声で話しかける。そしてそう請われた青年は生唾を飲み込み、おずおずと口を開いた。
 
「綺麗だ」

 たったの一言。その一言に全てが籠められていた。
 
「なっ、な、ああ――っ?」
 
 その全てを理解したソニアは、その場で石のように硬くなった。口を開いてわなわなとさせ、何も言えずに棒立ちになる。
 そのソニアを見ながら青年が立ち上がる。ゆっくりと歩み寄り、ソニアの細い体を優しく抱きしめる。
 
「てっ、てめ――」
「綺麗だよ、ソニア」

 狼狽するソニアの耳元で熱く囁く。ソニアは顔だけでなく全身を真っ赤に染め上げ、信じられない物を見るような目つきで青年の横顔を睨む。
 
「ば、馬鹿言うんじゃねえ。私が綺麗だなんて、そんな」
「汚いわけないだろ。何度でも言ってやる。綺麗だソニア。世界で一番綺麗だ」
「――ッ!」

 その言葉で、ソニアの思考回路は完全に停止した。全身を電撃が駆け抜け、頭の中が喜びでいっぱいになる。幸せで麻痺したように体を強張らせ、青年のなすがままにされる。青年もまた、そんなソニアの体をより強く抱きしめ、その矮躯を全身で感じ取る。
 教室の中を甘く暖かい空気が包んでいく。その痺れるような甘い感覚に身を浸しながらの二人の抱擁は、それから暫く続いた。
 
「……ごほうし」

 その後、意識を回復したソニアが、控え目な口調で青年に告げる。
 
「私にこんな格好させたってんなら……ご奉仕とか、期待してるんだよな?」

 ソニアは完全に「その気」になっていた。自分の中の「雌」を呼び覚ました罪な男を、熱のこもった眼差しでまっすぐ見つめる。

「もちろんしてもらいたいけど……いいのか?」

 顔を離し、申し訳なさそうに青年が確認を取る。ソニアと青年の視線が交錯し、そして愛する男の顔を単眼でまじまじと見つめながら、ソニアが頷いて答える。
 
「いいに決まってんだろ。私はお前の、その……恋人、なんだからなっ」

 ソニアの一つ目が潤んでいく。性悪なゲイザーが、一途な恋慕の情を露わにする。
 それを見た青年の理性は完全にノックアウトされた。
 後は本能に従うだけだった。
 
 
 
 
「はあ、堅い……もうこんなになってる」

 椅子に座らせた青年のズボンのチャックを降ろし、そこから飛び出した彼の剛直を見ながら、ソニアがうっとりした声で囁く。それから彼女は目の前で雄々しくそそり立つ肉の柱に顔を近づけ、血管の浮き出た醜悪なそれを愛おしげに頬ずりしてみせた。
 
「まだ何もしてないのに、こんなガチガチにしやがって……期待してたのかよ?」

 肉棒を頬で擦り、単眼でこちらをじっと見つめながら、優しい口調で悪態をつく。
 その仕草だけで青年は達してしまいそうだった。しかし彼は逸る気持ちを抑えつつ、余裕な笑みを見せながらソニアに言った。
 
「まあな。お前にそんなことされて、嫌がるわけないだろ」
「ふーん」
 
 それを聞いたソニアは口元を緩め、どこか嬉しそうな口調で彼に返した。
 
「つまり私のご主人様は、メイドに欲情する変態さんだったってことか。最低だな」
「何言ってんだ。俺をその気にさせたのは、メイドのお前だろ? 自分の不始末は自分でケジメつけないとな」
「わかってるよ」

 楽しそうに言い返す青年の言葉を聞いて、ソニアは腹を括るように返答した。そして彼女は肉棒から顔を離し、その赤くぷっくりと膨らんだ亀頭を見つめながら口を開いた。
 
「じゃあご主人様、今からこのご主人様の猛りきった棒を、私が責任持って鎮めて差し上げるからな」
「ああ、任せるよ。ちなみにその方法は?」
「上のお口でご奉仕だ♪」

 そう言うや否や、ソニアは相手の同意も待たずに青年の肉棒を思い切り頬張った。一気に根元まで咥えこみ、青年の愚息を丸ごと受け入れた。
 口の中の肉が上下左右から迫り、唾液と共にやわやわと肉棒を包み込んでいく。その柔らかく暖かな感触が、青年の理性を優しく剥ぎ取っていく。

「あっ、ああああっ!」

 頭から落雷を食らった気分だった。凄まじい量の快楽が、電流となって体中を駆け巡る。体が痺れて射精欲求が一気に高まり、欲望をソニアの口の中にぶちまけたいと本能が声を上げる。
 しかし青年は、それを力ずくで抑え込んだ。もっとソニアを感じたい。もっとソニアを味わいたい。そんな男の意地が、彼を崖っぷちギリギリで立ち止まらせていた。
 
「ふーッ、ふーッ、ふー……」
「ほうほう。まらいふんひゃねえろ。おはのひみは、こえかららんらはらな」

 そうして寸での所で射精をこらえた青年を見て、ソニアは肉棒を咥えたまま感心した声を上げる。そして彼女は青年を見つめたまま、勢いをつけてストロークを開始した。
 
「りゃあ、いふろ……じゅるっ、じゅっ! ずぞぞっ! じゅるうっ、じゅじゅッ!」
 
 小さな顔が激しく上下に動き、青年の肉棒を扱き上げる。唇で表面をなぞり、歯列で甘噛みし、舌を絡ませて優しく唾液を塗り込んでいく。顔にある大きな単眼を見開いてこちらを上目遣いで見上げ、鼻の下を伸ばし、下品な水音を立てながら一生懸命フェラチオをしていく。
 その姿はたまらなく卑猥であった。
 
「ああ、いい……ソニア、いいよッ……うあっ!」
「じゅるっ、むぐ、ぷはっ……こんな感じで、いいのか?」

 その最中、苦悶の表情で悦びを伝える青年に対し、ソニアがいったん肉棒を解放する。そして彼女は自由になった口で不安そうに意見を求め、青年はそれに対して荒く息をしながらも笑顔で答えた。

「はあ、はあ……ああ。すげー気持ちいい。最高だよ」
「そ、そうか、気持ちよかったのか……本当に気持ちよくできたんだよな?」
「もちろん。メイド合格だ」
「そうなのか……キシシッ、やったぜ♪」

 青年からの回答を聞いて、ソニアは口の端から垂れる唾液を拭うこともせず、満面の笑みを浮かべた。よく見ると、彼女の後ろから伸びていた触手の先端についた目もまた、嬉しそうにこちらを見つめていた。心からの歓喜の笑みだった。

「じゃあ、最後まで気持ちよくしてやるからな、ご主人様♪」
 
 そうして無数の触手と共に笑った後、ソニアはわざとらしく大口を開け、青年の肉棒を熱く熟れた口肉の中へ迎え入れた。
 
「あーむっ……じゅる、じゅぽっ、ずりゅりゅ! じゅううっ、じゅるっ!」

 前よりもずっと速いディープスロート。青年をもっと気持ちよくさせたいと、ソニアの心が無意識の内に体を動かしていた。そしてソニアの顔の動きに合わせて、触手たちもまた楽しそうにゆらゆらと揺れていった。
 そんなソニアの気持ちは、青年にもしっかり届いていた。彼女が一往復するごとに青年の脳内に甘い電流が走り、なけなしの理性が溶かされていく。愛するゲイザーに精液をぶちまけたいと肉棒が震え、射精欲求が尿道の奥から込み上げていく。

「あっ、ぐうっ……ソニア、もう……!」

 やがて限界がやって来る。青年がそれを苦しげに告げると、ソニアはラストスパートと言わんばかりにストロークの勢いを速めていく。
 そして何往復目かの後、猛烈な勢いでソニアが肉棒を飲み込む。唇が亀頭から根元までをなぞり、濡れそぼった舌が独立した生き物のように竿に絡みつく。前歯で根元を甘噛みし、喉の奥に亀頭の先端がぶつかる。

「出るッ――!」

 それが引き金になった。
 青年は絶叫と同時に腰を浮かせて股間を突き上げ、鈴口から盛大に精液を吐き出した。
 
「んッ!? ぶッ、むぐぅッ!?」

 食堂に直接流し込まれていく精液の感触に、ソニアが単眼を見開いて驚愕する。呼吸が間に合わず、苦悶の表情を浮かべる。それでも白濁の流れは止まらない。
 息が詰まる。鼻腔を広げて空気を取り込んでいく。この苦しみすら心地いい。
 
「あッ、あッ、あああっ!」
「ふぐッ、ぐうッ、ンむ……ごっ、ごきゅ、ごくっ……」

 そうして節操なしにあふれ出る精液を、ソニアはうっとりとした表情で飲み込んでいった。喉を鳴らしてミルクを飲み、その食道にべったり貼り付く粘り気と鼻を突く青臭い味わいに、恍惚とした表情を浮かべる。
 
「ぷはっ、ごちそうさま……♪」

 やがて射精が終わる。それと同時にソニアは名残惜しそうに口から肉棒を引き抜き、残っていた精液を全て飲み込んでから、うっとりとした顔で青年に告げた。その淫蕩な笑みは青年の血液を沸騰させ、あらかた吐き出して萎れかけていた肉棒に再び血を通わせていく。
 
「おいおい、まだまだ元気そうじゃねえか」

 そんな本能に正直な青年の剛直を見て、ソニアがいつもの調子で声を放つ。青年がそれを受けて恥ずかしげに顔を逸らすと、ソニアは「別に馬鹿にしてねえよ」と笑いながら、その肉棒に指を絡ませつつ言葉を続けた。
 
「むしろ頼もしく感じるぜ。一回出しただけでおしまいじゃあ、張り合いがねえからな」
「つまり?」
「ご奉仕しがいがあるってことだ」

 そう答えてから、ソニアが青年に顔を近づける。そして単眼に青年の顔を映しながら、ソニアが囁くように彼に言った。
 
「今日は暗示は無しだ」
「じゃあどうするんだ」
「簡単さ。私がメイドとして、ご主人様を気持ちよくしてやるんだよ」

 そこまで言って、ギザギザの歯を見せながら悪戯っぽくソニアが笑う。青年はそんな「いつものソニア」を見て安堵のため息をつきつつ、彼女の頬に手を添えながら優しく言い放つ。
 
「お手柔らかにな?」
「おう。任せとけ」

 それに対し、ソニアはとても頼もしそうに言葉を返した。
 
 
 
 
 椅子に座った「ご主人様」の上に、一人のメイドが股を開いて跨っていく。服を着たまま下着だけをずらし、濡れそぼった小さな膣口と亀頭を触れ合わせ、メイドが軽く腰を振って両者を馴染ませる。
 
「じゃあ、行くぜ」
「ああ」

 ソニアの言葉に青年が頷く。それを合図に、ソニアが勢い良く腰を落とす。
 小さな陰唇が強引に割り開かれ、肉棒が膣内に侵入する。青年の剛直がソニアを貫き、その衝撃にソニアが顔を上げて目を見開く。
 
「かは……ッ」
「ぐ、ぐう……ッ」

 膣肉を巨根に抉られたソニアが、舌を突き出して苦悶の表情を浮かべる。しかし苦しかったのは青年も同じだった。ソニアの膣はその入口の小ささに違わず狭小で、それだけ締め付けも強烈であった。左右から万力のように肉棒を締め上げられ、気を抜けば今にも射精してしまいそうだった。
 
「お前の膣内、相変わらず狭いな……!」
「う、うるせえ……好きでチビになったんじゃねえよ……」

 そして暫く経った後、ようやく落ち着きを取り戻した二人が悪口を交換し合う。しかしその悪態に反して、二人の結合部からは愛液と先走り汁の混ざったミックスジュースが止め処なく溢れ出していた。
 散々前戯を済ませただけあって、既に準備万端であった。
 
「な、なあ、もう動いてもいいか?」
「あ、ああ……いいぞ。思い切りやってくれ……」

 その後、「素」に帰ったソニアが青年に問いかける。青年は素直に頷き、それを見たソニアはゆっくりと腰を動かし始める。狭い膣肉に挟まれた肉棒が上下に扱かれ、二人の脳に強烈な快感を刻み込んでいく。
 
「ソニア、気持ちいいよ……そのまま、もっと動いて……っ」
「お、おう、任せとけ……もっともっと、気持ちよくしてやるからな……♪」

 ソニアが腰を振るたびに、入口から愛液が止め処なく迸る。蜜によって滑りが良くなり、それによってペースを速めていくと、敏感になった亀頭と襞が擦れあって二人の理性を破壊する。一往復ごとに膣の締め付けが強くなり、引きちぎらんとするかのような強烈な圧迫感を肉棒に与えていく。肉棒全体で襞の感触を味わう余裕もない。
 しかしその窮屈さこそが愛おしい。膣と棒がぴったりくっつきあい、一つに合わさり溶けていく。その狭さから来る一体感が、ソニアと青年に途方もない幸福感を与えていた。
 
「溶ける……私のおまんこ、溶けちゃう! あなたのおちんちんと一緒に溶けちゃうよぉ……!」
「いいぜ、一緒に……俺とお前で、一つになるんだ……!」
「うん、うん! なるぅ! 私とあなたで、ひとつに、なるぅッ!」
 
 メスと化したゲイザーに青年が優しく声をかける。ゲイザーはそれに頷き、甘い声を放ちながら腰を振り続ける。
 二人の顔と心が肉悦で蕩けていく。二人仲良く手を繋ぎ、絶頂への階段を昇り始める。
 
「イク、イク! ご主人様、わたし、イッちゃうぅ!」
「よし、いいぞ! イけ、イけ! 俺も、もう……!」

 ぱちゅん、ぱちゅんと、肉のぶつかる音が響く。汁が飛び散り、青年の制服とソニアのメイド服を等しく汚していく。飛沫が互いの顔にかかり、それを見た二人の視線が一つにぶつかる。
 
「んっ――」
「ふッ、むン……ちゅ、くちゅ……」

 直後、反射的に二人は唇を重ね合わせる。力任せに唇を押し付け合い、獣欲のままに互いの舌を絡ませていく。ソニアの単眼と青年の両目が等しく蕩け、とろんとした表情でキスの味を堪能する。唾液が口の端から零れ落ち、さらに二人の服を汚していく。
 口づけを通して、互いに限界が近いことを察する。恋人同士だから出来る芸当であった。最後の一押しとばかりに、ソニアが深々と腰を落とす。
 それに合わせて青年も腰を持ち上げ、己の肉剣を膣の奥まで突き刺していく。
 
「く、むううッ――!」
 
 その瞬間、堤防が決壊した。鈴口から盛大に白濁液がぶちまけられ、狭い膣内を真っ白に汚していく。

「ぎッ――」

 それがスイッチになる。ソニアはディープキスをしたまま、恥も外聞もなく絶頂を迎えた。
 
「ふぅううううううンン――!」

 剛直に貫かれたメイドの体がビクビクと跳ねる。触手がざわめき、単眼がアヘ顔の如く上を向く。
 そんなソニアの体を、青年が力強く抱きしめる。愛しい彼女を逃がすまいと、背中に手を回して射精しながら掻き抱く。
 結合部から白く濁った液体が流れ落ちていく。そして射精が終わり、溢れた分が零れ落ちても、二人は一つになったまま暫く離れようとしなかった。
 
「ン、ふう、うッ……ぷはぁっ」

 そして完全に絶頂の波が引いた後、ソニアと青年は顔を離して視線を交わらせた。二人は幸せに満ち足りた柔和な笑みを浮かべ、そして慈愛に満ちた眼差しを愛する者に向けていた。
 
「満足できたか、ご主人様?」

 完全にメスに堕ちたゲイザーが、平時では考えられないほど優しい声で青年に尋ねる。青年もそれに頷き、ソニアを優しく抱きしめながら穏やかな声で言い返す。
 
「ああ。最高だったよ。ありがとな」
「別に礼はいらねえよ。メイドとして当然のことをしたまでだからな」
「……元気、出たか?」
「ん? ああ、まあな。メイドってのもまあ、悪くないもんだな」

 そして思い出したように問いかける青年に、ソニアが若干恥ずかしそうにしながら言葉を返す。しかしそれを聞いた青年は、ソニアを抱いたまま不満を口にした。
 
「でも本当言うと、お前をメイド喫茶で働かせたくないな」
「あ? どうしてだよ?」
「お前は俺だけのメイドでいてほしいから」
「……馬鹿」

 ソニアが顔を真っ赤にしながら、今にも消え入りそうな声で悪態をつく。その熱い囁きを耳元で聞いた瞬間、膣内に挿入ったままのだった青年の肉棒が敏感に反応する。
 
「あん♪」

 自分の中でぴくりと跳ねた逸物の感触を受けて、ソニアが小気味良い嬌声を上げる。そしてソニアはすぐに意地の悪い笑みを浮かべ、青年の耳元で声を放った。
 
「なんだぁ? ご主人様ってば、まだまだヤり足りないってかあ?」
「仕方ないだろ。こんな可愛いメイドが目の前にいるんだから。反応しない方が間違ってる」

 体中の血液を熱く煮えたぎらせながら、青年がソニアに言い返す。その間にも彼の肉棒はムクムクと硬さを増していき、ソニアもまた竿が熟れた膣肉を割り開いていく感覚に体を震わせた。
 
「じゃ、もっとご奉仕してほしいってことか?」

 快楽に蕩けた顔でソニアが問いかける。触手の目も一斉に青年を見つめる。
 青年はそんなゲイザーの単眼と触手を見つめながら、静かに頷いた。

「お願いしていいかな?」
「もちろん。カラカラになるまで搾り取ってやるよ、ご主人様♪」

 青年の要求にソニアが快く頷く。そして自分から腰を動かし、膣を動かして肉棒を締め上げ、青年の心を再び肉悦で塗り潰していく。
 
「はうっ、ぐうっ……ああ、気持ちいい……最高だ……」
「私も、いいよ……あなたのおちんぽ、美味しい……♪」

 ソニアもまた肉の悦びに酔いしれていく。単眼を閉じ、力なく青年にしなだれかかり、青年がそれを抱き締める。
 窓の外では月が顔を覗かせていた。黒板の上に掛けられた時計の針は十九時を差し、正門も閉められていた。
 そんなのどうでも良かった。
 
「イクぞ、イクぞ、イクぞ! 出すッ、お前の中にぶちまけるッ!」
「来て、きて! 私の中に、あなたのせーし、いっぱい出してぇぇッ!」
 
 愛する二人は時間を忘れ、一つに溶け合う喜びを分かち合うのであった。
 
 
 
 
「元気づけろとは言ったけど、衣装を汚せとは言ってないんだけど?」
「……ごめんなさい」
「徹夜でセックスする馬鹿がいるか! 馬鹿か!」

 翌日、メイド服をぐしょぐしょにしたことで二人にクラス委員長の雷が落ちたのは、また別の話である。
16/10/13 18:40更新 / 黒尻尾

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