連載小説
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狂おしい程に
男: 傭兵、生きることが第一だが何だかんだで面倒見は良い方だった。
 戦いの中に命を見出していたが、教団に属するが故にそれを抑え込む。
 自らはそれを、自分は何にも属していない、教団にだって屈していない、だから俺は一人で生きている、故に誰にも分かられないのだ、と覆い隠して来た。
 それは自らも、気づきかけてはいたが感情を恐れてしまっていたからだった。
 しかし、一頭の蒼飛竜が言った。
 「ならぶつけなよ!君にだって譲れない熱さがあるんだからさぁ!」
 ……それが、彼にとっての教団が死んだ日で、本当の意味で生きることを始めた日だった。


ワイバーン: ひょんなことから、戦いがとても好きだと気づいたワイバーン。
 ただの負けず嫌いというでもないとも認識していた心を満たす男は、常識の中には居ないだろうなぁとは気づいていた。
 生まれ持ちの少しだけのんきな性格は、それでも良いかもしれないと思ってはいたが、戦場でまさかの出会いをする。
 逃亡戦のさなかに味方を逃がす役割をしながら敵を無力化する男、その顔はい俊だけ笑っていたのだ。
 苦しい風体は見て取れるのに笑う、それはつまり。
 自らの中にあるその感情と、似たどころか同じものを感じた彼女はその時、始めて男を欲しいと感じたのだった。
前編 狂気、一つの終わりの形16/08/22 22:30

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