連載小説
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11月中旬『文化祭・午後の部』前編
「結構美味しかったね、シェリー」

「そうね、フォン」

ベルンたちに奢ったあと、フォン夫妻は彼らと別れて学祭を回っていた。

「なによりサティアが元気そうで良かったね」

「あの娘にも春が来てたようで怒った?」

「まさか。ベルンくんなら安心できるよ。まぁ、競争相手がいるようで中々不安ではあるかな」

「ベルンくん、天然たらしな気があるからね・・・」

「・・・泣かしたら殺す・・・」

「・・・フォン、一瞬顔がすごいことになったわよ?」


その時。
二人の前に、三人の生徒が立ちはだかった。
生徒たちは制服を着ており、何故か仮面をつけていた。

「失礼ですが、フォン・ウィーリィ様と、シェリー・ウィーリィ様でしょうか」

生徒のひとりが口を開く。フォンはキョトンとし、シェリーはフォンを庇うようにフォンの前に立った。

「・・・そうだと言ったら、なんなのかしら?」

すると生徒はこそこそっと話し合い、ぺこりと一礼してから、左腕にある腕章を見せた。

「私たちは、『リクラスト学園・行事開催委員・執行部』の者です。御二方に、とあるイベントに参加していただきたく、探しておりました。申し訳ありませんが、ご参加していただけませんか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ところ代わって出店ロード。
先ほど喧嘩をしてリーフに大目玉くらった天月とサリスは、午前の見回りを終えたあとにも関わらず、まだ見回りをさせられていた。

「・・・チッ」

「・・・フン」

お互いの空気は最悪。見回り中にもかかわらず険悪オーラが立ち込め、回りの人々は彼らを避けるように歩いていた。
一応、お互いもう火種を作らないようにしてるのか全く会話がなされてないのだが、それがさらに空気を悪くしていた。


そのふたりの空気を破ったのは、悲鳴だった。



「きゃーーーーーーーーーっ!!」



「えっ、今のは!?」

「・・・クロエの声!?」

ふたりが視線を向けると、二人の仮面をつけた生徒がクロエを腋と足を持って抱え上げていた。その脇にはもう一人、生徒が立っていた。

「班長!生徒会長クロエを確保しましたッ!」

「よし!走れッ!会場まで運ぶんだ!」

『押忍!』

「なになになにぃ!?なんなのぉ!?(;ω;)」

涙目になって叫ぶクロエを抱えたまま、三人は走り始めた。
もちろん、これを見過ごす二人ではなかった。


『待ァてゴルぁぁぁぁっ!!!』


二人はそれを鬼の形相で追いかけ始めた。クロエを抱えている一人が振り向き、二人を確認すると大声で報告した。

「班長!副会長サリス、並びに、新入男子生徒会員と思われる二人が追って来てます!」

「男子生徒の顔は!?」

「・・・合格圏内かと!」

「ならばそのまま連行する!『選手』として参加してもらうぞ!」

『押忍ッ!!!』

「何話してるのっ!?おーろーしーてぇ〜っ!(;ω;)」


『会長離せゴルぁぁぁぁっ!!!』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


さらにところ代わって、職員室。

『ポン』

「リーフ先生、生徒のために、一肌脱いでくれませんかな?」

満面の笑みで肩を叩いたインドランの言葉に、リーフは文章で表せないような表情で拒否を示していた。

「・・・なんですかな。その『毎度毎度貴方が持ってくる話にはトラブルがつきまとうんだから嫌です』と言いたげな顔は?」

「校長が今、私の意志をすべて表現してくれましたよ」

リーフの言葉にインドランは腕を組み、顎をさすりながら「う〜ん」と唸ってしまった。

「どうしてもですかな?」

「はい」

「絶対に?」

「えぇ」

「私が土下座しても?」

「もちろん」

「貴方が誰に恋をしているかバラすと脅しても?」

「そんなの証拠もないでしょう?」

「・・・〜〜先生だろう?・・・」(ヒソヒソ声)

「知りません」

「・・・そうか。ならしょうがない」

残念そうにため息を吐いた校長は、くるりと踵を返した。

「君の机の中に彼女のあられもない寝姿を写した写真があることをバラs」

「待て。嘘八百をつく気か貴方は」

初めてリーフが校長の言葉にマトモに取り合った。インドランの肩を掴み、へらへら笑う顔を睨んだ。

「ん?これに関してはネタ元があるぞ?」

「どこに?」

「写真部の舞くん」

「あんのパパラッチが・・・嘘を吐いてるだけでしょう!」

「しかし舞くんの情報に嘘はあんまりない。彼女はどちらを信用するかなぁ?」

ニヤニヤ笑うインドランに、リーフは頭を抱えた。

「・・・わかりました。手伝えばいいんでしょう、手伝えば」

「うむうむ!流石リーフ先生!お優しい!」

「・・・はぁ・・・頭が痛い・・・」

「・・・あ、もちろん写真の件は誰にも言わんし、もうネタにはせんよ」

「どうせ嘘だから気にしませんよ」

「はっはっはっ!あ、ちなみにあとふたり教師がいますから」

「まず何をするのか説明を願います」

そういうリーフに、インドランはニコリと笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、メイド喫茶を出たベルンたち。
フォンたちと別れて、色々巡ることになったのだが。


「・・・なぁ、腕離してくれねぇか?」

「嫌よ」
「ダメです」

ベルンは、休憩時間に入ったサティアとクラリアに挟まれ、腕を掴まれていた。


「面白い人、抱っこー♪」

「おいロック、はぐれないように手ぇつなごうよ」

「どうしてこうなった」

ロックは、ラトラとフェランに見つかり、甘えられていた。


『じ〜〜〜・・・』
『じゅるり・・・』

「は、はは・・・ははは・・・」
(戦闘用ゴーレム持ってきた方が良かったかも・・・)

ネフィアは回りからの年上魔物からの視線に、背筋を冷やしていた。

その時。


「モテモテ指数2以上のイケメン、3人確認っ!」

「一人はショタ顔だぞ、同志」


彼らの前に、二人の仮面をつけた生徒が立ちはだかった。
全員ぎょっとして目を丸くしたが、それを横目に、二人が話を始めた。

「どうする?全員確保すんべ?」

「校長上官からの指令で、カップルでなければいかんと聞いてるぞ」

「ふーん・・・カップルどころか、モテモテだぞ?」

「どうする?」

「ならこいつら全員連れてくべ。後でカップル決めさせりゃいいべ」

「そうだな」

二人の会話を聞き、なんかヤバいと感じたベルンたちは、ジリジリと後ろへ後ずさった。


「おぉっと逃がさんぞッ!」

「『ウシオニタクシー』ッ!ご案内ーーーッ!」


瞬間、ベルンたちの後ろで、ドスゥンッ!、という着地音が響いた。
ベルンたちが振り向くと、通行人が目を丸くする中、仮面をつけたウシオニが、ベルンたちを見下ろしていた。どこからかジャンプして着地したのか、足の下の地面はヒビがあった。

「タクシーッ!そいつら連れてってくれ!」

「間違えても襲っちゃダメだべ!」

「おうよ!」

するとウシオニはベルン、ロック、ネフィアを目にも留まらぬ素早い動きで糸を使って縛り上げ、胴の部分に乗っけるとダッシュで走り去った。

「オラオラオラ!どけどけどけ!選手様のお通りだァァァッ!!!」

「いや!?ちょ!?なにこれ!?」
「拉致!?拉致なのか!?」
「うわわわわわわわわぁっ!!」

あっという間にいなくなってしまった彼らのいた場所に取り残された女子陣は、ポカーンとしていた。

「あ、女子の方々。アンタたちもついてきてけれだべ」
「これに参加して欲しいのだ」

仮面の生徒たちはサティアたちにチラシを渡した。
圧倒されていたサティアたちは、目をパチクリさせたあと、全員でチラシを見た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜校庭、屋外舞台〜


「みなさーーーんっ!旗立祭、楽しんでますかーーーっ!?」

『いえーーーっ!』

「女子の皆さん!目と耳の保養がしたいかーーーっ!?」

『モチーーーっ!』

「男子の皆さん!イケメンカップルの手本が見たいかーーーっ!?」

『イケメンシネーーーッ!』

「これより!『イケメンコンテスト!ドキッ☆胸キュンもあるかもね!?』・・・かーらーのっ!
『カップルコンテスト!ドキッ☆胸キュン?あるに決まってんだろ!』を開催しまーーーす!司会は私、新聞部部長、清く正しく艶かしい!彼氏募集中の新文 舞が務めさせていただきまーーーす!」

舞台の上で、制服の胸ポケットに魔法式マイクをセットした舞が満面の笑みでしゃべっていた。観客席からは様々な歓声が響く。

『\新文さん!/\舞ちゃん!/\部長!/\pgr!/』

「今笑った方は貴方の黒歴史を探って新聞に載っけてあげますから覚悟してください!さて、まずはルール説明から致しましょう!」

新文は手元のカンペを見ながら、説明を始めた。

「このコンテストでは、カップルの良し悪しとして、

・二人のイチャイチャ度
・二人の息の合い具合

と、シークレット要素の3点を吟味します。3つの競技をやってもらい、それぞれの競技の審査員の点数で優勝を決めます!優勝者には豪華景品がありますので、張り切ってもらいましょう!
それでは、審査員の紹介から参りましょう!」

新文が誰もいない審査員席に近づく。そして、説明を始めた。

「まずはこの方!
『楽しいこそ正義!未だダンディな格好良さは健在!』
我が校の校長!インドラン・リクラスト先生ぇぇぇっ!

新文が翼をばさりとはためかせると、審査員席に魔法陣が現れ、ヴォン、という駆動音と共に、インドランが現れた。
校長が現れた途端、観客席からは拍手が響く。

「わっはっはっはっはっ!紹介ご苦労!私が校長の、インドランである!」

「校長先生、今回、審査員として参加された理由は?」

「うむ。一言でカップルと言っても、男性から見た理想のカップル、女性から見た理想のカップルがある。女性だけの審査員では、見方が偏ることもある。よって、私の独断と偏見と権力により、審査員は男女半々で決めている。で、審査員としているのは、見てるより参加した方が楽しそうだったからだ!」

「流石校長先生ッ!他の方にはやれないことをやる!そこに痺れて憧れたガレッタ寮長が羨ましい!審査のほど、よろしくお願いします!」

「任せたまえ!はっはっはっはっはっ!!!」

校長の高笑いを閉めに、新文は次の審査員を紹介した。

「次の審査員です!
『秩序と厳格!この2文字が似合う方は他にいないッ!』
盗賊学科専任教師!リーフ・ライアー先生ぇぇぇっ!

もう一度ばさりと翼がはためくと、魔法陣からリーフが現れた。むすっとした不機嫌顔で、椅子に座っている。観客席もその様子に拍手が止んでしまった。

「・・・あ、あのー・・・リーフ先生?」

「・・・なんだ」

「こ、今回、審査員として参加していただいたのですが・・・」

「あぁ、誰かさんに無理やり参加させられてな」

リーフがギロリと睨んだ視線の先の人物は、がっはっはっと豪快に笑っており、観客席からは「あ〜・・・」と納得した声が聞こえた。

「え、えーと・・・審査の方は・・・」

「安心しなさい。いくら無理やりでも、やると言ったからには真面目にやる。私も男性から見て良いと思う視点からの審査をさせていただこう」

「あ、ありがとうございます・・・」

歯切れの悪い終わり方で、リーフの紹介が終わった。

「で、では!次の審査員です!
『可愛いドS!黒い噂は数知れず!』
魔術学科教師!ファ・イープァ先生ぇぇぇっ!

三人目の魔方陣が作動後、一瞬観客席が、しん、と静まり返ったが、ファがにぱっと笑うと一部男子たちが慌てて歓声をあげた。

『\ファ先生!/\かわいい!/
\ファ先生!/\ペロペロ!/
\ファ先生!/\ハァハァ!/』

「いやぁ、人気ですねぇ。ファ先生」

「教師としての威厳の賜物ですね!えっへん!」

「でしょうね!ありがとうございました!(ホントは色々やらかしたんだろうな・・・)」

『\ファ先生!/\かわゆす!マジかわゆす!/
\ファ先生!/\レロレロ、レロレロ!/
\ファ先生!/\ウッ!・・・ふぅ・・・/』

ファの紹介が終わっても、まだファ先生コールは鳴り止まなかった。

「い、一旦、観客にはクールダウンしていただきましょう!
審査員4人目!・・・あ、無理だクールダウン。
『男子生徒を愛でることが、三度の飯より好き!』
保険委員教師!チェルシー先生ぇぇぇっ!

チェルシーが魔方陣の駆動音と共に現れた途端、先とは違う生徒たちから歓声があがった。

『\チェルシー先生!/\お綺麗です!/
\チェルシー先生!/\俺のアレを看てくれ!/
\チェルシー先生!/\抜けるッ!/』

「あらあら、皆さん元気ね♥」

「ファ先生と違った人気がありますね、チェルシー先生」

「えぇ。私はファ先生のような幼稚な身体ではないので」

チェルシーが黒い笑みを浮かべながら言うと、ファの額に青筋が浮かんだ。

「・・・喧嘩が始まる前にッ!選手たちの紹介を致しましょう!!!

あ、ちなみに、選手と審査員の間には魔法フィルターがあり、選手からは見えません。

選手の方々はっ!この方たちです!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜コンテスト開催前〜
〜屋外舞台裏〜


『カップルコンテストぉ???』


コンテストが始まる30分前、舞台裏に集められた生徒たち、ベルンやロック、天月にネフィアと魔物娘たちは眉をひそめた。
彼らの前でニコニコ笑う新文は、説明を続けた。

「皆さんには男女でカップルを組んでもらい、コンテストに出てもらいます。優勝者には豪華商品がありますので、頑張ってくださいね」

「ちょっと待ってくれよ。俺たち、無理やり連れてこられただけだぜ?参加するなんて一言も言ってねぇぞ」

簀巻きにされて拉致られてきたロックが口を尖らせて言った。

「ぼ、僕もちょっと・・・」

苦笑いを浮かべたネフィアもやんわりと断る。
すると新文はにやにや笑いながら言った。

「あららら。残念。他のお二方はやる気のようですが?」

「・・・は?」
「・・・え?」

ロックとネフィアが後ろを向くと・・・



『ゴゴゴゴゴゴ・・・ッ!』

「ア・タ・シ・が、ベルンと出るのよッ!」
「いいえ。ワ・タ・シ・が、ベルン君と出ますッ!」

「・・・俺の意思は無視か」

片や、サティアとクラリアが争い合い、ベルンを取り合っていた。


『ガシィッ!』

「会長!出ましょう!」

「ふぇっ!?わ、私!?」

「この機会に、会長の可愛さ・愛くるしさを全校生徒に知らしめてやりましょう!!」
(あわよくば会長と擬似カップルからの本命カップルへ・・・ぐへへへ)

「か、可愛いなんて・・・////」

「・・・クソが。コロス」

片や、天月がクロエの手を取り(顔は大真面目。本音は鼻下伸ばしMAX)、サリスが鎌を構えていた。



「サティアちゃんとクラリアさんが乗り気・・・だと!?」

「え、ロックさん、そこですか?」

「・・・いや、しかし、俺は参加を拒否すr・・・」


その時。
まったくノーマークだった一人から、声が上がった。


「フェラン・ハンマーズ。ロック・サンドラと出場します」

「はいは〜い♪」

「なにしてくれてんだこのペドッ!!」

「せめてロリって言えッ!!」

さらに新文が出場登録書に二人の名前を書き込むと、にっこりと笑った。

「はい、登録完了です。ちなみに、登録した方は強制的に出場するようファ先生が魔法組んでるので逃げないでくださいね」


「神は俺をドブにでも捨てたのかこの野郎ッ!!!」

ロックが膝からガクリと崩れ落ちる。
それを見たネフィアはゆっくりその場を去ろうとしたが、ガシリと肩を掴まれた。

「・・・へ?」

掴んだ主は、サリスだった。

「・・・手伝って」

「・・・な、なにを?」

「アレの監視」

くいっとサリスの親指が示したのは、天月とクロエのペアだった。

「はい、登録完了です。頑張ってくださいね♪」

「よしッ!会長、頑張りましょうねッ
!」

「う、うん!出るからには、頑張るよ!・・・あ、変身しt「ダメです」最後まで言わせてもらえないっ!?Σ(;ω;)」

「・・・アレ、監視、スル。手伝エ、一回生」

「わ、分かりました。分かりましたから、肩から手を・・・あと、顔近いです・・・」

さて、ネフィアも出場することになってしまい、残るは・・・

「・・・なぁ、俺たち、出なきゃダメか?」

『ダメ!!』

「・・・ハァ」

ガックリと肩を落とすベルン。未だにサティアとクラリアは争っていた。

そこで、ベルンの肩が叩かれた。

「モテるね、ベルンくん」

「・・・へ?・・・えっ!?」

ベルンが振り向くと、にっこりと笑ったフォンが立っていた。

「お、おじさん!?どうして!?」

「ん〜?僕らも出場するからだけど?ほら」

フォンは、新文から名簿を受け取ると、自分の名前とシェリーの名前が書いてあるところをトントンと指で叩いた。

「そ、そうなんですか」

「うん・・・ところでベルンくん。サティアと出るならもちろん優勝だよねぇ?

瞬間、ベルンの肩を予想外の力が襲った。ベルンがぎょっとしたのと同時に、ギリギリと万力のような痛みが肩を伝播し、さらに目の前で優しく笑ってるはずのフォンの目が、全く笑っていないことに気づかされた。

「うちの娘と出るなら、それ相応の覚悟は、してるよね?」

「う、あ、あの・・・」

「まさかとは思うけどもう一人の子と組んでサティアを悲しませる気かい?

「う、うおぉ・・・」

マズい。これはガチだ。指示通りしないと殺される。
そう感じていたベルンだったが、とある救援に助けられる。

「なんでパパここにいるのっていうかベルンに何言ってんの!!!」

『バキィッ!』

「ぺぶしっ!?」

サティアの尻尾によるフォンの側頭部強打で、フォンは錐揉み回転しながら倒れた。

「もう!パパのお節介!親バカ!バカ!バカーーーッ!!!」

「おぅふ・・・これが反抗期なのか・・・?」

「・・・サティアのお父様、私が言うのもなんですけど、違うと思いますわ」

顔を真っ赤にして涙目になりながらサティアが叫び散らし、走り去ってしまった。殴られた頭を押さえながらフォンが呟くと、代わりにクラリアが応えた。



「・・・なぁ、ロック」

「んだよ、ペド」

「・・・あの人、いや、あのお方はまさか・・・」

「ん?あぁ、フォンおじさんか?」

「・・・サイン色紙どこ!!?

「ねぇよンなもん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜現在に戻る〜
〜屋外舞台〜

「・・・と、いうことで!生徒4組、プラス!超特別ゲスト、冒険家ウィーリィ夫妻に参加していただきます!皆様、参加カップルに大きな拍手をっ!!!」

「カップルじゃねぇッ!!」

ロックが最後の足掻きをしていたが、フォンを見た生徒のヒートアップした盛大な拍手にかき消されていた。

ちなみに、ベルンはと言うと。


「ベルンくん、頑張りましょうね♥」
「お、おぅ・・・」

「じ〜〜〜〜〜〜・・・」

「にこにこ・・・」
(ドドドドドドドドド・・・)


恥ずかしさで帰ってこなかったサティアの代わりにクラリアと組み、観客席からは羨むサティア視線を、隣からは笑ってるけど半端ないプレッシャーを与えられた。

(な、なんでこんな辛いポジションに・・・)

ベルンは自分の立場に小さく涙を流した。

「さぁ!審査を始めましょう!ま〜ず〜は、こちらでっす!」

舞が羽を鳴らすと、舞台上の垂れ幕が変わり、文字が現れた。


『見せつけろ!愛し合え!
第一審査、喫茶でラブラブ!


「ルールは簡単!会場に用意された机、椅子を使い、喫茶店に来ているというシチュでいちゃこらしてもらいます!制限時間は10分!どれだけいちゃラブできたかで得点が変わります!それでは、順番決めのくじを引いてくださ〜い!」

ベルンたちの前に、棒くじの入った筒が持ってこられる。一組一本ずつ引くと、以下のような順になった。

1、「ロック&フェラン」ペア
2、「ネフィア&サリス」ペア
3、「ベルン&クラリア」ペア
4、「天月&クロエ」ペア
5、「フォン&シェリー」ペア


「それでは、順に参りましょう!!」


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(審査内のみ、対話形式で書きます。
妄想補完をお願いします)


〜ロック&フェラン、審査開始〜


ロック
「フェラン、お前何がいい?」
(ごっことは言え、多くの人に見られてる。真面目にやらんと印象ダウンだな)

フェラン
「う〜んと・・・コーヒーとショートケーキ」

ロック
「味は?ブラックか?」

フェラン
「ん〜・・・ミルク多め」

ロック
「他になんかいるか?」

フェラン
「ん〜・・・いや、いいや」

ロック
「そうか、OK。すんませ〜ん」

喫茶員役A
「は〜い。ご注文は?」

ロック
「ショートケーキ、あと、コーヒーミルク多め、ブラックコーヒー」

喫茶員役A
「かしこまりました〜」

フェラン
「・・・ケーキ、いらないの?」

ロック
「あぁ、なんせ・・・」

フェラン
「なんせ?」


ロック
「お前が可愛く食べるのを見るだけで、お腹いっぱいだがらげべば


フェラン
甘いこと言ったら血ぃ吐いたーーーっ!?ちょ!?大丈夫か!?」

ロック
「だ、だいじようぶ・・・もんだいない・・・」
(きょ、きょぜつはんのうが・・・)

喫茶員役A
「お待たせしましっ!?・・・ショートケーキとコーヒー2つでございます」
(↑一瞬びっくりしたが、そそくさと注文品を置き、素早く布巾でテーブルの血を拭いた)

フェラン
「お、おい、本当に大丈夫か?や、やめるか?」

ロック
「だいじよ・・・んっ、んーっ!大丈夫だ、問題ない」

フェラン
(大丈夫に感じないのはなんでだ・・・)

ロック
「・・・ずずず」

フェラン
「・・・もぐもぐ」

ロック
「ずずず・・・ぶふっ

フェラン
「ん?どうし・・・目から血ぃ出してるーーーーーーっ!?

ロック
「し、しちゆえーしよんで、きよぜつはんのうとか、どん、だけ・・・」

『ドッガン!』
(↑机に突っ伏した)

フェラン
「ちょ!?おま!?保険委員!保険委員呼んでーーーっ!?」


〜審査、終了〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

審査が中断され、保険委員に担ぎ出されるロックを見て、舞が目元をひくつかせた。

「・・・え、え〜と・・・インドラン先生!!あれはどう捉えられますか!?」

「うむ。極度の緊張と恥ずかしさから、彼の頭の血管が切れまくったのだろう。出血さえなければ、結構高得点だったのだが」

(・・・拒絶反応とか言ってた気がするのは気のせいか?)

インドランが残念そうに解説する横で、リーフが首をかしげていた。


「そ、それでは続いて参りましょう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜ネフィア&サリス〜


ネフィア
「あ、先輩、どうぞ」
(↑椅子を引いて座りやすくしてやってる)

サリス
「・・・ん」


『ポン。なでなで。』


ネフィア
「・・・なんで頭撫でたんです?」

サリス
「・・・」
(↑メニュー見てる)

ネフィア
「・・・先輩は、何がいいですか?」

サリス
「・・・ステーキとかないかな」

ネフィア
「ステッ!?先輩、ここ、喫茶店ですけど・・・」

サリス
「・・・あ、あった」

ネフィア
「あるの!?」

サリス
「・・・ん」

ネフィア
「あ、ホントだ!?『魔界豚のステーキ、デミグラスソース魔界ハーブ添え』・・・結構ガチなメニューじゃないのこれ!?」

サリス
「・・・これにする」

ネフィア
「は、はい・・・飲み物はどうですか?」

サリス
「・・・いらない」

ネフィア
「わかりました。すいませ〜ん」

喫茶員役A
「は〜い」

ネフィア
「えーと、魔界豚のステーキと・・・オムライスとノーマルミルク」
(↑ホルスミルクというのがデフォである。ノーマルミルクはただの牛乳のこと)

喫茶員役A
「かしこまりました〜」

ネフィア
「・・・あ、せんぱ・・・い?」

サリス
「・・・」


『ポン、なでなで・・・』


ネフィア
「・・・」

サリス
「・・・・・・」
(↑撫で続ける)

ネフィア
「・・・あの、先輩?」

サリス
「・・・・・・・・・」
(↑まだだ、まだ終わらんよ!)

ネフィア
「・・・あぅぅ」
(は、恥ずかしいなぁ)

サリス
「・・・・・・!」
(↑ゆっくり手を離す)

ネフィア
「・・・?」

サリス
「・・・満足♪」

ネフィア
「・・・へ?」

サリス
「・・・♪」
(クロエみたいで、可愛かった♪)

喫茶員役A
「お待たせしました。魔界豚のステーキ、デミグラスソース魔界ハーブ添え、オムライスにジパング茶でございます」

ネフィア
「あ、ありがとうございます」

サリス
「・・・♥」

ネフィア
「あ、先輩、ナイフとフォー・・・クはいらなそうですね」

サリス
「・・・うん、鎌でイケる」

ネフィア
(・・・器用だなぁ)


ーーーーーーーー
[食事中・・・]
ーーーーーーーー


サリス
「・・・ごちそうさま」

ネフィア
「ごちそうさまでした」

サリス
「・・・行こうか」

ネフィア
「あ、はい」

サリス
「・・・・・・」

ネフィア
「・・・あの、だからなんで頭を撫でるんです?」

サリス
「・・・・・・♪」

ネフィア
(聞いてないよこの人・・・)


〜審査、終了〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ネフィアとサリスが退場し、舞は安心しきった顔でマイクをとった。

「ありがとうございましたーっ!一組目がアレでしたので心配しましたが、いいおねショ・・・カップルでしたね!では、リーフ先生!一言お願いします!」

「・・・個人的な偏見になってしまうが・・・一方的にサリスが可愛がっていただk」

「ありがとうございましたー!では、次のカップルに移りましょーーーっ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜ベルン&クラリア、審査開始〜


ベルン
(・・・ぶっちゃけデートって始めてなんだが、なにすればいいんだ?)

クラリア
「ベルンくん、はい、どうぞ。おしぼり」

ベルン
「ん、あぁ、すまん」

クラリア
「はい、メニューですわ」

ベルン
「おぅ」

クラリア
「・・・んふ♥」

ベルン
「・・・どうした?ニコニコして?」

クラリア
「ベルンくんを見てるだけですわ」

ベルン
「・・・め、メニューは見ないのか?」

クラリア
「ベルンくんのと同じにします」

ベルン
「・・・そ、そうか」

クラリア
「えぇ♥」

ベルン
「・・・クラリアは、ショートケーキとチョコケーキとチーズケーキ、どれがいい?」

クラリア
「ん〜・・・ショートがいいですわ」

ベルン
「OK。飲み物は紅茶でいいか?」

クラリア
「えぇ♥」

ベルン
「すいません、ショートケーキふたつ、紅茶ふたつ」

喫茶員役A
「かしこまりました」

クラリア
「・・・チラッ」
(どやぁ・・・)

ベルン
「・・・クラリア?」

クラリア
「はい?」

ベルン
「今、観客席の方見てなかったか?」

クラリア
「いいえ?」

ベルン
「・・・なんか観客席の方からすごい睨みを感じるんだが・・・」

クラリア
「気のせいでしょう。ところでベルンくん・・・最近、授業はどう?私、やっと戦闘スキルがマシになってきましたわ」

ベルン
「ん〜・・・最近、探索系授業が力入っててな、隠れたトラップの見抜きができるようになってきたよ」

クラリア
「まぁ、頼もしい♥遺跡系探索の時、チームを組んだらよろしくね♥」

ベルン
「おぅ、任せとけ」

喫茶員役A
「お待たせ・・・」


クラリア
(チャンスッ!)

『ヒュバッ!』
(↑喫茶員役Aの足になにかを投げた)


喫茶員役A
「・・・いたしまし、わっ!?」

クラリア
「きゃっ!?」

ベルン
「っ!?」


『ばしゃぁっ!』
(↑喫茶員役Aがこけて、紅茶がかかった)


ベルン
「あつっ!?あっつ!!」

クラリア
「べ、ベルンくん!?」

喫茶員役A
「も、申し訳ありません!」

ベルン
「あちちち・・・注意してくれよ」

クラリア
「だ、大丈夫?」

ベルン
「あぁ、大丈夫だ」

クラリア
「こんなに濡らして・・・おしぼりで拭きましょう」

ベルン
「あ、あぁ。すま・・・ちょっと待て。どこ拭こうとしてる?

クラリア
「こんなに濡れては、きっと服の下まで濡れてるでしょう?だから地肌を

ベルン
「やらんでいい!つかなんでそんな俺の服脱がすの手慣れてるの!?」

クラリア
淑女の嗜みです(キリッ」

ベルン
「嘘つけぇぇぇっ!!ちょ、やめっ!ぬぉぉぉこんな大衆の前で半裸にされてたまるかぁぁぁぁぁぁっ!!!」

クラリア
「あ、ちょ!ベルンくん!恥ずかしがらずに待ちなさい!!!貴方の肌を!拭くまで!私は脱がすのをやめない!!!


〜審査、終了〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベルンが裏方に逃げ、クラリアが追ってしまったところで、舞が頭を押さえながらマイクをとった。

「え、え〜と・・・ま、またもやハプニングでしたが、とりあえず審査員にコメントをいただきましょう。ファ先生いかがでしたか?」

「はい。あの二人は私のクラスなんですけども、やはり仲がいいですね!誤ってクラリアさんに紅茶がかかりそうになったのを、ベルンくんがサッと庇ったのはポイント高いです!」

「確かに!あれは私もキュンときました!あの反応速度はカッコよかった!」

(まぁ、喫茶員役をこけさせたのはクラリアさんで、本当は自分がかかって濡れ透け服で誘惑するつもりだったんでしょうけどね・・・)

「・・・ところでファ先生。あの観客席の、負のオーラを包み隠すことなく出しているお嬢さんは知ってますか?」

「・・・イエ?知リマセンヨ?」
(・・・サティアちゃん、怖・・・)

観客席のサティアはもうそれは恐ろしい風貌とオーラとなっており、周りの観客は必死にサティアから離れようとしていた。

「では、4番目のカップルです!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜天月&クロエ、審査開始〜


天月
「会長。お席どうぞ」

クロエ
「あ、ありがとう」

天月
「いえいえ」

クロエ
「えーと、え〜と、どうしようかな・・・」

天月
「ゆっくりでいいですよ?」

クロエ
「・・・パフェ・・・チョコケーキ・・・う〜ん・・・決めた!」

天月
「はい。すいません」

喫茶員役A
「はい」

天月
「俺は、チョコケーキとジパング茶」

クロエ
「私、パフェとオレンジジュース」

喫茶員役A
「かしこまりました」

クロエ
「チョコケーキ、好きなの?」

天月
「ん、いえ、あんまり食べたことないんですよ」

クロエ
「え?そうなの?」

天月
「はい。食堂のチョコケーキは高いし、まず外国・・・あ、ジパングの外の国のお菓子は、あまり食指が伸びなくて」

クロエ
「・・・じゃあ、なんで頼んだの?」


天月
「会長が悩むほどのものを、食べてみたいと思ったんですよ」
(↑これでもかというくらいの爽やかスマイル)


クロエ
「・・・そ、そっか////」

天月
「はい」

喫茶員役A
「お待たせしました。パフェとチョコケーキ、ジパング茶でございます。ジパング茶は茶葉と熱湯をお好みの量、急須に入れてからコップに注いでお飲みください」

クロエ
「あ・・・ありがとう」

天月
「ありがとうございます」

クロエ
「・・・どう?天月くん」

天月
「んぐ・・・なにがでしょう?」

クロエ
「チョコケーキ。美味しい?」

天月
「はい。中々美味しいです」

クロエ
「よかったね♪」

天月
「はい」

クロエ
「・・・パフェ、食べてみる?」

天月
「いいんですか?」

クロエ
「うん。・・・あ〜ん」
(↑スプーンを天月にむける)


天月
「!!?」
(こっ、これはっ!?間違いねぇ!!マジの、マジの恋人同士がやる『あ〜ん』か!?)


クロエ
「あ〜ん」

天月
(まさかッ!こんなイベント風情でこんなオイシイ展開になるとはッ!!!やべぇ!耐えろ!耐えるんだ天月!さもなくば、鼻から会長への愛がだだ漏れること間違いなしッッッ!!!

クロエ
「あ〜〜〜ん」

天月
「あ、あ〜〜〜・・・」

クロエ
「・・・ぱくっ」
(↑スプーンを反転させ、食べてしまった)

天月
「・・・あ?」


クロエ
「えへへ・・・ちょっと意地悪したんだよ」
(↑まさにこんな顔→(・ω<))


天月
「・・・・・・」

クロエ
「今度はちゃんとあげ・・・天月くん?どうしたの?」

天月
「・・・・・・」

『ザバッ、ザバッ、ザバッ』
『じょぼぼぼぼ・・・』

クロエ
「て、天月くん?お、お茶葉そんなに入れたら、苦くて飲めないよ?え?天月!?なに!?どうし・・・」

天月
「・・・・・・ッッッ!」

『ぐいーーーーーーっ!!!』
(↑急須から一気飲み)

クロエ
「天月くん!!?」

天月
「・・・ぶっ、ふぁっ!!いやぁ!!お茶が旨いなぁ!!」

クロエ
「美味しくないよね!?絶対苦いよね!?」

天月
「いえいえ旨いですよハッハッハァッ!あ、会長は苦いの苦手でしたよね?飲んじゃダメですよ」

クロエ
「やっぱり苦いんだよね!?」

天月
(・・・っべー。マジっべーだわ。マジっべーわ。会長可愛すぎですよ全くなんですか今の一瞬で鼻血とか血涙とか耳血とか吹き出しそうになりましたよ。辛うじて激熱激苦濃厚茶飲んで気付にして凌いだけど、これプライベートだったらお持ち帰りしてたぞ。っべー。やっぱ会長マジっべーわ)

クロエ
「あ、あの、天月くん?」

天月
「はい?」

クロエ
「・・・涎、すごいけど・・・苦かったんだよね?オレンジジュース、いる?」

天月
「・・・いただきます」


〜審査、終了〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「マトモなカップルいないのか!?」

舞がとうとう、ツッコんでしまった。

「さっきからイロモノばっかじゃん!吐血野郎におねショタ、逆レイ(プー)まがいに危ないロリコン!これ大丈夫!?私早くも仕事引き受けたことを後悔し始めてますけど!?」

「司会者さーん?貴女が暴走してはダメよー?スマイル、スマイルー♥」

チェルシー先生がなだめると、舞はハッとして咳払いをした。

「え、えっと・・・チェルシー先生、コメントお願いします」

「はい。ちょっと天月くんが暴走してましたが、それまではよかったですよ。クロエさんが迷っていた片方を注文し、さりげなくクロエさんにあげる算段を立てていたと思われますね。天月くん、マトモにメニュー見てませんでしたから」

「おぉ!男性観察は素晴らしい!チェルシー先生、ありがとうございます!」

「・・・ただ無差別に男しか見てないだけでしょ」(ボソッ)

「・・・ファ先生?なにか?」

「いいえ?どうしました?幻聴ですか?歳ですか?」

「( #^ω^)ビキリ」

「最後のカップルどうぞーーーっ!!」

舞が慌てて指示を出すと、最後のペアが会場に現れた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜フォン&シェリー、審査開始〜


シェリー
「全く、最近の若い子は・・・」

フォン
「席につくなりどうしたの?」

シェリー
「さっきまでのカップルの話よ。見てたけど、恥ってものはないのかしらね。小っ恥ずかしい台詞吐いたり、子供みたいに扱われたり、あ〜んや服を脱がそうとしたり・・・正直な話、人数合わせで参加させられたけど、見ててこっちが恥ずかしかったわ」

フォン
「結構ズバズバ言うね、シェリー・・・」

シェリー
「これくらい言わないと気が晴れないわよ」

フォン
「・・・シェリー」

シェリー
「ん?なに・・・」


『ポン。なでなで・・・』



シェリー
「・・・フォン?私の話、聞いてた?」

フォン
「うん、聞いてた。だから撫でてる」

シェリー
「・・・は?」


フォン
「シェリーがなにかキツい言い方する時は、『なにか』をして欲しい時だもんね。素直になったほうが、可愛いのに」

シェリー
「かっ、かわっ・・・」

喫茶員役A
「あ、あの、ご注文・・・」

フォン
「あ、じゃあシェリーはショートケーキ、僕はチーズケーキ。あと、コーヒーふたつ。シェリーのは砂糖とミルク多めで」

喫茶員役A
「・・・かしこまりました」

シェリー
「・・・フォン?いつまで撫でるつもり?」

フォン
「やめてほしいの?」

シェリー
「だから、言ってるじゃない。人前でこんなことやるなんて、恥ずかしい以外のなにものでも・・・」

フォン
「・・・じゃあ」

『すっ・・・』


シェリー
「・・・あ・・・」


フォン
「・・・」

シェリー
「・・・////」

『ポン。なでなで・・・』

フォン
「あ、って、なに?」

シェリー
「・・・知らない////」

喫茶員役A
「お待たせしました。ショートケーキとチーズケーキ、コーヒーふたつです」

フォン
「ありがと」

シェリー
「・・・フォン。そろそろやめて・・・食べれない」

フォン
「あ、そうだね」

シェリー
「もう・・・全く・・・」

フォン
「ねぇ、シェリー?」

シェリー
「ん?なに・・・」


フォン
「はい、あ〜ん」


シェリー
「・・・////」

フォン
「あ〜〜ん」

シェリー
「・・・・・・フォン?」

フォン
「あ〜〜〜ん♪」

シェリー
「・・・・・・・・・・・・あむ」

フォン
「どう?美味しい?」

シェリー
「・・・・・・////」
(↑無言で手元のショートケーキを食べ始める)

フォン
「そんながっつかなくても、ショートケーキは逃げないよ・・・っと」

『すっ・・・』

シェリー
「・・・んぅ?」

フォン
「慌てて食べるから、ほっぺにクリームついてるよ?」


『ぺろっ』


シェリー
「・・・・・・」

フォン
「ほら、取れたよ」

シェリー
「・・・・・・〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!
(↑声も出ぬほど恥ずかしがってる)


〜審査、終了〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「誰かバケツ持ってきてください。砂糖吐く芸当やってのけます

フォンたちの審査終了直後、舞が遠い目をしながら言った。

「おかしくありません?現役というか花も恥らう青春真っ只中な4カップルがカオスで、最後の前世代のカップルが甘々で歓声さえ起こらないっておかしいでしょう!?コメント聞こうと思ったらインドラン先生超いい笑顔してますし!明らかに『ごちそうさま』の笑顔ですよ!つうかファ先生とチェルシー先生もうっとりしてますし!なんなんですかあの40過ぎの冒険家作家は!?なんで素面であんな甘々台詞と行動ができるんですか奥様が羨ましくてしょうがありません!!!」

肩で息をして言い終えた舞は、落ち着いてからこう言った。


「・・・しばらく休憩タイムとします。あんな砂糖爆撃の直後に司会も審査もできません。休憩タイムは1時間とします!」


その台詞と共に観客席が慌ただしくなり、一部の魔物娘が彼氏をどこかへ連れ出していた。

「・・・パパ、やりすぎ・・・」

ちなみにサティアは茹でダコのような顔を手のひらで隠し、うつむいていた。
12/12/15 16:02更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ
まさかの前・後編!
こんなはずじゃなかったのに!
ていうかフォンのイケメン化が止まらん!昔はナヨナヨへにゃへにゃ頼りない主人公だったのに!

Q:どうしてこうなった!
A:作者が妄想を詰め合わせた結果だから。



次回はカップルコンテストの続きと・・・気力とネタがあれば後夜祭編になります。

というかこのままではクリスマス編に間に合わない・・・ていうかクリスマス編はもうひとつ、ドッペルたんのもあるのに・・・あ、あっちの旅行後編も書かなきゃ・・・あと、学園本編も・・・くそっ、リアルレポートもある・・・どうすれば・・・

Q:最近ハマってる某FPSゲームをやめる選択肢は?
A:ない

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