連載小説
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ガッツポーズ

ダクネのコスプレ会場が痴女天国な件wwww

ダクネのレイヤー可愛い子多すぎwwww

ダクネの公式ヤバすぎな件www

(そりゃ話題になるよな・・・)
スマホで軽く検索してみれば立つわ立つわ今回のイベントのスレッド。
現在進行形で大量に投稿されていく写真達。どれもこれもすごいクオリティのレイヤーばかりだ。
しかし、この自分の今の感動は写真では伝わらないだろう。
現場にいて実際目にすると写真よりももっとすごいのだ。
「おやびん!マジっすか!マジやるんっすか!流石っす!」
「パネェっす!」
「んなははははやるぞぉー!やっちゃうぞぉー!」
スマホから顔を上げれば、その前には何故だか彼女の事を「おやびん」と言って慕う角のついたコスをした女の子達と何やら盛り上がるるい子がぴょんぴょん跳ねている。
その真っ白な背中に、後ろからも見える膨らみがぽいんぽいんと……。
ああ、伝わるまい、写真ではこのクオリティは……。
スマホに顔を伏せる振りをしながらるい子の背中を凝視する荻須が寄りかかっているのは、ゴツゴツした岩肌。
積み上げられた岩に謎の動物の骨を組み合わせたオブジェがそこかしこから生えているここは「ゴブリン砦」。
るい子が三人を連れてきたのがここだ。
ギルドではなくダンジョンの模型だ、例によってやたらに可愛い小柄なレイヤー達がグッズなんかを販売している。
「そいやっ」
ピコッ
「あいた」
頭に軽い衝撃と同時に鳴る甲高い音。
剣の代わりにゴブリンハンマー(ゴム製ピコピコハンマー)を携えたアリストレイがニヤニヤしながら荻須の背後に立っていた。
「目線が隠せていないぞリーダー♪」
「なななな何を根拠に……それ買ったの?」
「面白そうだったから」
「家に帰ってからどうしてこんなの買ったんだって後悔するやつじゃないかソレ……」
「いいんだいいんだ今が楽しければ」
手のひらを叩いてピコピコ鳴らしながらアリストレイは嬉しそうだ。
「その場のノリというのも大事ですからね」
「巴さん、それはその場のノリにも合ってないというかまた高そうなのを……」
にこにこしている巴は頭の上に狼の被り物が乗っている。
ふかふかとした毛皮が暖かそうだが、魔道士のローブにはどう見ても合ってない。
「この人っすか?」
「なるほどこの人が……」
「ほうほうこの人が……」
「うぉっ!?」
気付くと背後を小柄なゴブリン少女達に囲まれていた。
興味津々という面持ちで荻須を見上げている。何がこの人なんだろう。
「そうそうこの人この人、あたしのだかんねー」
少女たちの背後から現れたるい子が言う、だから何がこの人なのか……。
「おやびんこの人とハメぬっふぉぅ」
女の子の一人が何かを言いかけたところでるい子がどすーんとボディブローを食らわした、腰の入ったいいパンチだ。
「余計な事は言わなくていーからね♪」
「う……うっす……」
こわい。
「この子らはえーと……るーちゃんの……?」
「まあ、後輩的な?弟子的な?そんな感じの子らです!」
「よろしくっす!」
「よろしくです!」
「おやびんがいつもご迷惑おかけしてます!」
最後のはどうなんだろう。
「いや、どうもどうも」
それにしてもまた可愛い、全員可愛い、それぞれに可愛い、可愛いがゲシュタルト崩壊起こしそうだ。
「皆がリーダーを一目見たいってんでしょうがなく!仕方なく!連れてきたんです」
「一目って……いつもどういう風に俺の事言ってんだ、普通のゲーム仲間だr」
「ん〜〜〜〜!んっんっんっんー!」
ものすごいわざとらしい咳払いで言葉を遮られた。そして咳払いで揺れる胸に目が行くのはもう仕方ない事だと思って欲しい。
「まあほらリーダーはリーダーで……リーダーですからね!ですよねリーダー!」
「ああ?うん、え?うん」
ぱしぱしと肩を叩かれながら何か必死な感じで言われたので同意しておく。
「いーなぁ……いーなぁ……あちしも欲しいなぁ……」
「しけ込みたい……!」
女の子達は何かわきわきとしている、よくわからない。
「なるほどなるほどこの子らに君がリーダーの事をどう説明してるかは大体わかったようん」
「まあ言うだけならタダですしね」
「はははははははは」
模造の剣を撫でながら薄い笑みを浮かべるアリストレイに、いつものごとくニコニコしている巴。
腰に手を当てて何かを誤魔化すように笑うるい子。
「あの、これ」
「うん?」
状況がよく分からない荻須に女の子の一人が近づき、そっと何かを差し出した。
その手には綺麗にラッピングされた板状の物が乗っている。
「これは?」
「差し入れです」
「あ、ああ、うん、ありがとう」
何だかわからないが受け取っておく。
「これ食べればばっちりですから!」
ぐっと握りこぶしを見せて笑う女の子。
「はあ」
という事は食べ物みたいだ、まあ、るい子の友人がくれるものなら変なモノではないだろう。
「自慢は済んだから次いこ次!」
「自慢て」
遊園地ではしゃぐ子供そのものな様子でるい子が荻須の手を引く。
「あー、また来てくださいね!」
「がんばってくださいね!」
「やっちゃえやっちゃえ!」
その後ろから女の子たちがはやし立てる。
余談だが、先ほど女の子がグッと見せた拳がただの握りこぶしではなく、人差し指と中指の間に親指を突っ込んだ形になっていたのに荻須が気付かなかったのは幸か不幸か……。







 「……」
「何をぼやーっとしてるんだい」
「いや……いや……すごいよこれ……」
荻須が思わずぼんやりと見上げていたのは妖精たち。
蝶の羽を生やした手のひらサイズの女の子たちが上空をぱたぱたと舞い踊っているのだ。
今荻須達がいるのは妖精の国ゾーン。
ライトアップがされた緑豊かな庭園のような休憩所。
その周辺をその「妖精」がぱたぱたと飛び回っている。
(……映像、だよな……?)
どういう技術かは分からないが投影された映像、だと思う。
そういう以外に説明がつかない。
証拠に妖精達は基本高い場所を飛び回り、こちらの手の届く所までは降りて来ない。
それにしたってリアルだ。
妖精達一人一人がそこにいるとしか思えない存在感を持っており、どういう仕組みかわからないが明らかに来場者に対してリアクションを取るのだ。
こちらが手を振れば振り返し。見ると目を合わせてにっこり笑う。
そして希に手の届きそうな位置にまで降りてきて、手に触れそうなスレスレで引き返す、といった具合だ。
お陰で相当な人だかりができており、皆が天井を見上げて手を振ったり伸ばしたり写真を撮ったりと休憩所とは名ばかりな様子だ。
「見上げすぎると首が痛くなるよ?」
「ああ……」
「女の子にも慣れてきたもんだね」
「ああ……えっ?」
急に話題を変えられて思わず視線を戻し、思わず見惚れた。
妖精の国は朗らかな日差しを模した暖かなライトアップがされている。
その明かりにライトアップされて微笑む騎士姿のアリストレイはそれはもう冗談みたいに綺麗だ。
会場に入ってからずっと傍らに居るが、何度見ても慣れない。
「な、何だって?」
「さっきゴブリン達に囲まれた時もさ、以前の君ならテンパってたろうに、普通に対応してたじゃないか」
「ゴブリン?……ああ、るーちゃんの後輩達ね……」
言われてみればそうかもしれない、三人と出会う前の自分だったら……。
「そりゃあ最近はその……」
言いかけて途中でつっかえた、これを言葉にして言うのはどうなんだろう。
そう思いながらも最後まで言ってしまう。
「綺麗な三人がいるし……ね……身の回りに……」
後半ゴニョゴニョと小声になってしまった。
(あー俺きめえ、サラッと言えないのかよ、ああああ俺きめえ)
荻須にの額に妙な汗が噴き出してくる。
何となく流れで言ってしまったが、そんな言葉を女性に対して言ったのは生まれて初めてだ。
「……んっふ」
アリストレイは思わず、という風に口元に手を当てて笑った。
それは嘲笑の笑みではなかった、意図せず溢れ出てしまった笑顔。
フランス人形のように整った顔に赤みが差し、秀麗な眉が下がって、にんまりと口角が上がってしまっている。
なんという笑顔か、写真に収めたい。
「言うじゃないか」
恥ずかしさと喜色で上ずった声で返された。
(あれこれって……)
荻須は今の自分とアリストレイを客観視して思った。
(ひょっとして俺は今、アリストレイと「イチャイチャ」しているのか……!?)
まさか自分がそんな事を、こんな娘とそんな雰囲気になってしまうとは。
妖精の魔法かもしれない。
「あ、そうだ、えっと、差し入れ貰ったんだった」
ピンク色に染まりそうな空気を変えたくて、先ほどるい子の後輩から貰った差し入れをカバンから出す。
「差し入れ?あいつらめぇ……」
「そう言えば何か渡されていましたね」
後ろからついてきた二人も荻須がカバンから出したその差し入れに興味を示す。
「なんだろうなこれ、食べてって言ってたから食べ物だと思うけど……板チョコかな?あ、板チョコだ」
リボンを解いてみると中はホイルに包まれた黒いチョコレートだった。
「包装がないって……もしかして手作り?なんで?」
「おっとそれは……」
「リーダーちょっと貸して?」
おもむろにるい子が手を伸ばしてそれを荻須から受け取り、すんすん、と匂いを嗅いだりしている。
「これはこれは……あいつめ気が利いてるじゃあないか、お土産弾んでやろう!」
「なるほどこれはこれは」
「んまぁ……」
何故か三人とも包装もされていないそのチョコレートの正体がわかったらしい。
何だろう、女の子達の間では流行りなんだろうか。
「それってどういうの?高いやつ?」
「これはうまいですよー!分けっこしましょー!」
「いいねえ」
言うが早いか三人はそのチョコをパキパキと四等分に割ってしまう。
「はい、リーダー」
「ちょっ……ここで食べんの?」
「溶けちゃいますからねー、あむっ」
三人は躊躇なくその黒い欠片を口に放り込む、荻須も習って口に入れた。
(あっ……うまっ……うわ、マジうまっ)
甘さは控えめで深い苦味とコクが感じられる。正直、今まで食べたチョコレートの中でも一番と言える。
「んふふ」
「おいし……」
「ううん」
三人も表情を綻ばせている。
「どう?リーダー」
「ああすげえうまいよ、ほんとうまい」
うますぎて勃起してしまった。
(……えっ?)
いやなんでだ、繋がりがおかしい。どうして美味しい物を食べて勃起するんだ。
……似た感覚に覚えがある。先ほど飲んだカクテルの時もそうだったような……
「……そろそろ別館の方にも行ってみましょうか」
戸惑う荻須をじっと見ながら巴が言う。
そう、この会場は二つの棟に分かれている。
今第一棟が「展示スペース」、もう一つの第二棟が「プレイスペース」だ。
展示スペースはこのようにコスプレや展示物がメインだが、プレイスペースはこの会場でゲームができるのだという。
しかも会場限定ダンジョンにチャレンジできるというならやらない手はない。
「そうだな……行こうか、うわちょっ」
カクテルの時と同じく、異様に魅力的に見え始めた三人から目を逸らしながら荻須が言うと、三人はにこにこしながら荻須の肩や腰に手を置いてしずしずと休憩所を後にした。
振り返ってみると複数の妖精達がこちらにパタパタと手を振ったりぴゅーぴゅー口笛を吹いたりして見送っていた、グッとガッツポーズを見せているものもいる。
余談だが、妖精の女の子がグッと見せた拳がただの握りこぶしではなく、人差し指と中指の間に親指を突っ込んだ形になっていたのに荻須が気付かなかったのは小さいの手なので無理もない話であった。
18/04/15 13:28更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
生存報告のような更新である
次のコミケも参加するから買ってね!(マーケティング

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