読切小説
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angel fall 狂想曲第二楽章〜舞い『堕ちる』天使達〜
アレクがアインを始めとする3人の可愛い天使達(自分の種族をエンジェルと名乗っていた)と暮らし始めて、もうそろそろ一月が経っていた。
暮らしに関しては、親や親族の溢れかえるほどの蓄えのお陰で不自由も無かったし、食事に関しても不自由はしていない。
一人暮らしが一気に4人暮らしになったからと言って、アレクの生活はブレる事が無かったのだ。

「…マスター、お掃除終わりました…」

「えっ?あぁ、別に良いのに」

「いい訳ないじゃない!私たちだって何もしないお人形じゃないんだから!」

「そーそー!これだからマスターは…えーと……なんだっけ…」

今日も今日とて、三人のエンジェル達はどこで仕入れて来たのかやたらと派手なメイドドレスを身に纏って家の掃除をしていた。
と言うより、それも終わって帰って来た所だろう。
アインは服の要所が濡れたりしないよう紐で縛って雑巾がけをしていたらしい。
ツヴァイは服の袖をこれでもかと捲りあげ、ドレスをドロドロにしながら各部屋の埃落としをしていたようだ。
ドライは三角巾を上下に二枚被って、蜘蛛の巣に塗れながら屋根裏部屋の掃除をしていたんだそうな。

「……えぇのう…」

かく言うアレクはと言うと、三人のメイド服姿を見て表情を綻ばせて(と言うより歪んだ笑顔で)悦に浸る。
掃除を終えて戻ってきた三人の衣服は汚れと共に濡れており、そこから透けて見える素肌が何とも言えぬエロスを醸し出す。
その手のマニアに受けそうな、さりげないアピールポイントには何か底知れぬ色気を感じさせてくれるだろう。

「…マスター…?」

「ど、どうしたの…?」

「……っ!?な、何見てるのよっ!」

にへらと笑うアレクを見た三人は、三者三様の動きを見せていた。
アインはアレクの表情の意味が分からずにキョトンとしながらアレクの顔を覗き込むように見入る。
ドライは若干気味悪がりながらも、アレクの心配をしてくれている。
そんな二人に比べて、ツヴァイはどうだろうか。
ツヴァイは服の透けている部分を手で隠そうと必死になりながら、顔を真っ赤にしてギャーギャーと声を張り上げて叫ぶ。

「まぁ、掃除してくれた事には感謝するよ。ありがとう」

「…どういたしまして、マスター♪」

「な、何よ!まだ見たい訳…?」

「マスター、だぁいすき♪」

感謝の意も込めて、三人の頭を撫でてやる。
それぞれ違った表情を見せてはいたが、それほど嫌がってはいないらしい。
逆にとっても喜んでいるように見える。
ツヴァイの場合も例外でなく、表情が見えない様に顔を逸らしているのだが、耳まで真っ赤なのが見て取れる。
それにしても、三人の頭を同時に撫でてやると言うのは意外と疲れる。
二本しか無い腕をフル稼働させている訳なのだから。

「……マスター?」

「ん?どうし…んんぅ?!」

「あぁ!アインずるぅい!」

「ちょっとアイン!抜け駆けは無しだって…」

アインがアレクを呼んだかと思ったら、次の瞬間には二人がキスをしていた。
舌を絡ませ合って互いの唾液を混ぜ合わせ、恍惚に溺れていく。
脳が蕩けるような刺激に麻痺したような錯覚を覚えてマトモな思考が出来なくなって行く。
そんな二人の情事を、ツヴァイとドライは驚愕と怒りに満ちた表情で見ているのだ。

「……ぷぁ……マスター……また…」

「…はぁ…はぁ……ツヴァイ達も一緒だぞ…?」

「ますた〜♪」

「あたりまえよっ!」

メイド服姿の三人が、アレクを次々と抱きしめて拘束して行く。
その様子はまるで弱った草食獣に群がる肉食獣のようだった。

「…ますたぁ……んぅ…」

「……ゴクリ…」

「……///」

改めて三人でアレクを拘束したアインは、再びアレクとキスを交わす。
ただし、今回はアインから攻めずにアレクが先に攻めていた。
アインが舌を絡めるより早く、アレクが舌を捻じ込んで口の中を蹂躙する。
ボンヤリとした表情のアインはそのままアレクに身を預けて快感を十分に堪能して行く。
やがて、三人はそれぞれが服を脱いでアレクの前に立つようになっていた。

「はぁ…はぁ……ますたぁ…はやくぅ…」

「んぅっ……こ、こんなに焦らすなんてぇ…」

「…んぁ!ひぅ!ま、ましゅたぁぁぁ!」

アインがいきなりアレクへキスをしてから数十分。
今はアインとアレクが熱い愛を交わしている。
バックの体勢でアインへ強く腰を打ちつけてアインへ快感を送るアレク。
それをお預けされてみる事しか出来ないツヴァイとドライ。
ここ最近になって、一体どれだけこうして身体を重ねているのか覚えていない。

「アインッ!アインッ!」

「…ひゃっ!ひゃぃぃ!ましゅたぁぁ…あっ!あぁぁぁあぁああぁぁっ!?!」

「好きだッ!アインッ!アイン!アイン……んんっ!!」

「んむぅ……ぷぁ……アインばっかり……ズルいぃ…」

「マスタぁぁ…私にもお願いしましゅぅ…」

どうやら二人のとっても熱いやりとりに充てられたらしく、ツヴァイがアレクの顔をガシッと両手でホールドしてそのまま唇を奪ってしまった。
そのままクチュクチュと舌を侵入させて、互いの舌を絡め合い熱く深いキスを交わす。
勿論、その間も他の二人への奉仕の手は止まることは無い。
アインへは強烈な腰振りでの快感を与え続け、ドライへは開いていた右手で女の子の大事な所を指で優しく、だが激しく擦り立てていた。

「…ましゅたぁぁぁぁぁっ!?く…くらしゃいぃぃ!ましゅたぁぁぁ!」

「はぁ…はぁ……い、イクぞ…っ!」

「…はぅぁあぁああぁぁぁあぁぁぁっ!?!」

何度も強くアインの膣内を右往左往に蹂躙していたアレクの逸物だったが、ついに限界が来たらしい。
ビクンビクンと強く脈打って、自身の滾りの限りをアインの膣へぶちまける。
愛の証とも思えるように優しく、だがとても強く激しく二人の繋がりを示そうと、アレクはアインへその思いの限りを尽くす。
十数秒とも数分間とも感じられる、短いようで長い時間を二人は絶頂に達しながらあっという間に駆け抜けた。

「はぁ……はぁ…」

「…ましゅた……あはぁぁ……」

とても幸せそうな顔をしながら、アインはその場に倒れ込んでアレクとの繋がりから身体を離す。
名残惜しそうな表情を見せたようにも思えたが、それらを掻き消す程に幸せな気持ちが、彼女の胸の中には満ち満ちていた。
蕩けたような笑顔のまま倒れ伏したアインの秘部からは、アレクとの深く熱い愛を証明するかのように精液がドクドクと流れ落ちている。

「こんのっ…あたしもぉ…」

「はぁ…はぁ…っ!つ、ツヴァ…んむっ?!」

「…ましゅたぁぁ……はぅぁぁ…」

先程までの激しい交わりで疲れていたアレクに、ツヴァイがまたも無理矢理にキスをした。
荒く早い息をいきなり口で塞がれてしまい、更には小ぶりな舌が自身の舌を絡め取ってこれでもかと蹂躙して来る。
そんな感覚を味わって、アレクは脳の奥まで焼かれるような陶酔感やツヴァイのその色っぽい表情やらで頭が混乱してしまいそうだった。
実際、今言葉を発そう物なら「くぁwせdrftgy」と言った具合の言葉にならない言葉しか出ては来ないだろう。

「………ぷぁ……アインと同じじゃ…いやなんだからね…」

「っ!?!」

色っぽい声音で、色っぽい仕草で、色っぽい煽りで、アレクの心が誘導されない筈が無かった。
胸が一気に高鳴り、ドキンッと耳を立てれば近くに居なくとも聞こえるのではないだろうかと言う程大きな音だっただろう。
気が付けばアレクは、ツヴァイのメイド服を乱暴に捲りあげ、その下で全く自己主張をしようとしない小ぶりな胸に手を突っ込んでいた。

「んぁあっ!?」

「ツヴァイ!ツヴァイッ!」

まるで何かに取り憑かれたかのように、ツヴァイの名を連呼しながらアレクは彼女の胸をこれでもかと言うほどに揉みしだく。
指に力を入れ過ぎて胸があらぬ方向へ曲がろうが、乳首が快感に勃起していたのを指でへし折ろうが関係ない。
なぜなら、今のツヴァイにはそれらは快感以外の何でも無かったのだから。

「はぁ…はぁ……はむっ……ちぅちぅ……カリッ…」

「っっ!??!ひあぁあぁぁぁあぁぁああぁっ!?!」

荒い呼吸のままツヴァイの胸を吸い始めたアレクは、すぐに悪知恵が働いたようでツヴァイの乳首をコッソリ噛んでみた。
すると彼女は、アレクの思い通りの状況に陥った。
ただでさえ散々に揉まれ、弄られた末にこうして痛みとしか感じられないような刺激を受けているのだ。
バチバチと電気が走るような刺激に脳が焼かれ、気が狂ってしまいそうな快感がツヴァイを襲う。

「ツヴァイ……ツヴァイ……行くぞぉ!」

「ひぅ…はぅ……っ?!ひぎぃぃぃいいぃぃ!?」

すっかり火照った二人の身体は、とっくに行為を始めるには十分な用意が出来ていた。
先程までの気が狂いそうな快感の嵐に、ツヴァイの秘所はグチュグチュに濡れていたし、アレクの逸物もすっかり勃起してビクビクと振動していて今にも射精してしまいそう。
そしてあっという間に、アレクはツヴァイの膣内へ強引に逸物を捻じ込む。
粘っこい物が乱暴に掻き回されるような音と共に、ツヴァイの中へアレクが入って来る。
半ば強引に挿入した事もあってなのか、元より狭いツヴァイの膣内は痛みと快感でキュッと締まって余計に狭く、アレクへ与える快感も大きい。

「ツヴァイぃぃぃっ!!き、きもちぃぃぃぃ!」

「ひぐっ…んっ…い、いたぁいぃ……んぁあっ!!」

強引に腰を振り、ツヴァイの事など考える事も無くアレクはツヴァイへ思いの限りをぶちまける。
好きだと言う思いが力となり、ツヴァイへ快感と愛情を送り続ける。
例えそれがどんなに淫猥で不潔な手段だろうと、人を愛する上でそれらの手段になんら変わりなど無いのだろう。
花束を贈って愛を告白する事も、熱く深いキスで互いの愛を知る事も、交わって始めて愛し合う事を覚える事も、本質的には同じなのかもしれない。

「アインもっ!ツヴァイもっ!ドライもっ!みんな皆……大好きだぁぁぁ!」

「…ま、ましゅたぁぁぁぁ…」

「んぁあっ!?あ、あたしもぉぉぉぉ!!」

「はぅ……むにゃ……ハッ!!わ、わたひもっ!!」

約一名、ただ興奮してちょっと触られただけで疲弊して眠っていると言うムードブチ壊しな娘も居たが、まぁそれについてはキツイ…否気持ち良いお仕置きが待っている事だろう。
それはさておき、今の今までツヴァイの膣をこれでもかと言うほどに突いていたアレクだったのだが、ついに限界に達してその滾りの限りをツヴァイに注ぎ込む。
ドクドクと流し込まれて行く快感に、ツヴァイは目の前が真っ白になるような刺激と共に、まるで頭がチカチカして痙攣しているような違和感と快感を覚えていた。
勢いよく流し込まれて行く精液の奔流が、ツヴァイの膣奥へ流される度に、彼女の表情は歓喜と狂気に善がり狂う。

「…はぁ……はぁ……うっ…」

「っはぁ!はぁっ!…あ……アレクにょばかぁぁぁぁ……ぁうっ!…」

「……ましゅたぁぁ……つぎは…」

「……ぅうぅん……きもちぃぃよぉ………むにゃむにゃ…」

すっかり疲弊しきっているにも関わらず、アレクは不意に出し切って疲れていた逸物をキュッと締められた刺激に耐える事も出来ずにもう一度、ツヴァイの膣へ精を放つ。
いきなりの中出しにツヴァイも怒りを露わにするが、その表情は怒っているようにはとても見えず、寧ろお礼がしたいほどに喜んでいるのではとすら思えた。
行為の数々のおかげで火照った顔が真っ赤になって、その上で眉をつり上げて怒っている訳だが、先程までの快感のパターンが頭の中に残っている所為なのか、その表情はとても卑猥でエロさを感じさせる。
そんな傍でアインはアレクへ再戦を申し出るわ、その隣では自身の股間に手を突っこんだままのドライが嬉しそうな表情で眠っているわで、なんやかんやでてんやわんやな時間が過ぎていく。
誰もが願う『理想』『幸福』とは、そう言う事の事を言うのだろう。
ただ、それが誰の手にも入って来るとは限らない訳だが。

「おじゃましm……あらら、もうやってたのね…メス犬共?」

「はぁっ…はぁっ…っ?!だ、誰だっ!?」

すっかり疲れきっていた四人の前に、いきなり天井から一人の少女が降りて来た。
天使を彷彿とさせるような翼と、何世紀も前の衣装であるような布一枚を折って着る姿。
そして美しくも可愛らしいその顔つきと、保護欲をくすぐられるような幼い体。
これらの特徴を、アレクは良く知っている。
何故ならすぐ隣で息を切らせたり顔を真っ赤に火照らせたりただ眠ったりしている少女達もまた、服装は違えど同じ者達なのだから。

「あぅぅ……にゃん…で……んぁ…あんたがここに…」

「…ま……ましゅた…は……わたひが……あぅぅ…」

「むにゃむにゃ……ハッ!」

どうやら、他の三人からの彼女の評価は低いらしい。
みんな蕩けた顔をしているものの、その瞳には攻撃的な意思を秘めていた。
と、ここでアレクは彼女にあった違和感を見つけた。

「はぁ…はぁ……ん?羽根が黒く…んむぅ?!」

「れぅ……ちゅぱ……じゅるる………んんぅ……ぷぁ……うふふ、気付くの早過ぎでしょう?」

アレクの気付いた違和感は三つ。
まるで海にでも行って日焼けして来たかのようなその肌は、小麦色でとても神聖な天使にあるまじき姿である事。
次に、何かに対して枷を施しているかのように四肢へ錠を施していた。
とは言っても、錠と言うよりは腕に巻いたシルバーのような装飾品だったが、どちらにせよ天使にあるまじき装飾。
最後に、彼女の背中にある羽根が黒く大きな物だったと言う事。
異国の古い書物には、カラステングと言う人の形をした化け物が居ると言うが、彼らの翼のように全身を覆い隠せるような大きな翼を彼女は持っていた。
ここまで気付いたアレクだったが、次の瞬間には口を塞がれてしまう。
ふと気付いた時にはもう目の前は先程の彼女の顔で一杯になっていた。
舌がこれでもかと絡みつき、アレクの舌を絡め取って自身の唾液を捻じ込んでくる。

「はぅぁぁぁ…」

「うふふ……好きになっちゃいそう…」

とても攻撃的で、かつ扇情的な視線をアレクへ向ける少女。
キスで頭の中まで蕩け切ってしまっている彼を見つめる少女の瞳は、弱った獲物にとどめをさす狩人のそれと似ていた。
しかし、それを許さない者たちがいる。
彼のすぐ傍でへばっている少女達の事だ。

「…はぅぅ……チェーンさん…?」

「へ、変態ドMさんじゃ…ない……返してよ…あたしのマスター…」

「で、出たな!変態ドM親衛隊長!」

皆それぞれに敵意をむき出しにしてチェーンと呼んだ少女の方を睨む。
だが、そんな事など知らないかのようにチェーンはアレクを抱きしめて自分の胸を押し当てる。

「…んぅ……ます…たぁぁ…」

「ちょっとぉ…あぅぅ……返してよぉ…」

「あ、あたしだって…あ、アレ?」

快感でまともに動けなかった二人はさておき、ロクに抱いても貰えなかったドライに関しては、自身の異変に気付く事が出来た。
身体が動かないのだ。
まるで、金縛りにでもあっているかのように、動かそうと思ってもピクリとすら動こうとはしない。

「あらあら、みんな動けないのね?ついでに言っておこうかしらね…どうしようかしら…」

「……っく……っ?!ひぅ…ぁ…」

「こん…のぉ……っ!?にゃ、にゃにこれぇぇぇぇぇ…」

「動け動け動いてよぉ…っ?!んみゃぁぁぁぁあぁっ!?」

ニヤニヤしながら三人を見据えていたチェーンだったが、不意に指をパチンと鳴らす。
すると、三人が全員身体の異常に気が付く。
いきなり耐え忍び難い程に甘く強烈な快感が三人を襲ったのだ。
その気持ち良さには三人とも強烈なまでに覚えがあった。

「…んぁ!ま、まひゅたぁぁぁぁ…」

「あんっ!やめ…ないで…ましゅたぁぁぁぁ…」

「んにぃぃ!ますたぁぁぁ!きっもちぃぃよぉぉぉ!」

三人とも、頭の中に思い描いていたのはアレクの事であった。
出会って間も無い頃に味わった、あの初めての快感。
今まで一緒に暮らして来た中で何度も交わった際のあの気持ち良さ。
それらの快感が、まるで全て一斉に襲ってきたかのように、彼女達の身体を駆け巡る。
実際にはアレクはチェーンの胸の中で疲弊しきっていると言うのに、だ。

「ほらほら、本物のマスター君はこっちよ?『欲しく』ない?」

「……はぅぅ…まひゅたぁぁ……『ほしぃ』でひゅ……っ!?」

「ほしぃ…『ほしぃ』よぉ……ちょぉらぃぃ……っ!?」

「もっとぉ!もっとますたぁとの愛が『ほしぃ』…っ!?」

三者三様な想いはあれど、その方向は同じでありそして最も危険なワードがそこにはあった。
『欲しい』という、自分の欲を言い表す言葉。
それらは、天使である彼女達にとっては麻薬の様な刺激をもたらす。
本来、天使とはもっと神聖で優雅で純潔な物であるというイメージがあるだろう。
しかしこの3人はどうだろう?
快感に溺れ、ただ一人の主人を想い、自身の都合の良いように主人を妄想して快楽を貪る。
これは、とても天使と言える娘達では無いと言えるだろう。
まさにその通りである。

「ふふっ…」

不敵に笑うチェーンを余所に、三人の天使達の様子はあっという間にガラリと変わる。
先程までは快感の余韻に浸っているようにクタクタになっていた三人だったが、今となっては体の内側から込み上げてくる異様な快感に悶え苦しんでいる。
形容しがたいその甘くも苦しい快感に、三人は自身の身体をギュッと抱きしめてその場に丸くなって転がる事しか出来ない。

「…っはぁ!ま、まっ……まひゅたぁぁぁぁぁぁぁ!」

「んひぅ……ましゅ…ましゅた……んはぁぁぁぁぁ!」

「あひゃぅ!もっとほしぃよぉぉ!ましゅたぁぁぁ!」

それぞれにアレクの事を欲し、呼ぶ三人の天使達。
しかし、彼女達はもう天使とは呼べないのかもしれない。
彼女達は快感による刺激が激し過ぎて、気付いていないのだろう。

「ぅあ……み、みんな……はね…むぐっ」

「こぉら!バラしちゃ…あぁ〜あ…」

何やら呆れたような声を上げるチェーンをよそに、三人の天使達の身体には異変が起きていた。
ゾクゾクと電撃のように走る快感はやがて一か所へ集中して行き、腰のあたりに見た事も無いような文字がタトゥーのように浮かび上がる。
まるで古代の文明人達が用いていたかのような奇怪な文字は、微かに光を帯びて彼女達の身体を蝕んでいるようにも見えた。
だが、変化はそれだけには収まらない。
いや寧ろこっちの変化の方が目に見えて大きいだろう。

「…はぅ……んぁぁぁあ……まひゅたぁぁ…」

「んぅぅ……はぁ…はぁ………ましゅた…ましゅたぁ…」

「あははははぁ!ましゅたぁぁ!すっごくきもちいぃよぉ!」

三人とも、気でも触れたかのような表情を見せ、身体を震わせる。
その身体には先程まで彼女達の魅力の一つでもあった真珠のように白い肌など存在せず、健康的とも思える小麦色の肌が彼女たちの持つ肌へと変貌して行く。
そして一番大きな変化を見せたのは、何より目を引く人ならざる部位。
腰に生えていたとても綺麗だった純白の羽根は、今となってはカラスよりも黒い漆黒の翼をその身に宿す。
頭上に浮かぶ天使の輪は、黄金色の輝きを失ってしまい今となっては何かの侵食を受けているように薄紫色を帯びていた。

「ぐっ……これは…だてんし…んむっ…」

「んむっ……れるっ…じゅるる……ぷぁ……もう、この三人の事ばっかり…私の事もちゃんと見て…ん?」

甘く蕩けそうなキスを交わし、またもアレクの理性と言う蟠りを汚し、犯して蝕んでいくチェーン。
だが、それ以上の行動に移ることは無い。
と言うよりも、移れなかったと言う方が正しいだろうか。

「……マスターを……返せぇぇ!」

「アンタなんか……アンタなんかぁぁ!」

「アタシ達のマスターに酷いことするなぁ!」

三人の堕ちた天使達が、それぞれに立ち上がりチェーンの方を睨みつける。
本当に守りたい者は、そのチェーンの胸で惚けた表情を浮かべているアレクな訳だったが、彼女達にとってはそんな理性的な事なんてどうでもよかった。
ただ、チェーンに主人を寝取られてしまう事だけを嫌い、避けようと怒りに身を任せて快感に痺れる身体を押し動かす。
三人の想いは強い力となり、彼女達に力を与えてくれる。
それが例え立ち上がり、歩ける程度の物だったとしても彼女達には無限の勇気にも勝る物だったのかもしれない。

「ふふふ…これで私も……んひぃぃぃぃぇぇぇぇえぇっ!?!」

うすら笑いを浮かべていたチェーンの身体を、一筋の電撃が走り抜ける。
それと同時にチェーンは、小さな体からは想像も出来ないような大きな身震いを始め、数秒も経たない内に彼女の股からは大量に尿とも潮とも思える液が噴き出していた。
つまりは電撃を食らって一瞬でイッたのだ、彼女は。

「――わぁい!みんなだいじょうb……チェーンと同じだぁぁ!」

「…ふぇ?め、女神様……?その姿は…」

「あはぁ、コレ?コレはね〜?色んな技術を集めてる内にこうなってたんだよ〜?」

陽気な口調で喋る、子供の様な堕天使は、間違いなくたった今チェーンが出て来たように天からフワリと現れていた。
もしかしてこの家には、天井に異世界への門でもあるのかも知れない。

「んぎぃぃぃぃぃ!め、めがみひゃまぁぁ!もっとぉぉぉ!」

「あははっ!チェーンってばへんなかおー!そーれっ!」

強烈な快感と刺激に襲われ、善がり狂ってグチャグチャになった表情のまま、チェーンは女神と呼ぶ少女へと更なる快感を求めて手を伸ばす。
チェーンの言葉に応えているのか、それともただ彼女の善がり狂う表情を見て楽しんでいるのか分からないが、女神はチェーンの要望に応えてもう一度彼女へ電撃を見舞う。

「んはぁぁぁぁぁ!しゅごっ!しゅごいでひゅぅぅぅぅ!」

「あははははっ!……ふぅ、それで、三人ともだいじょうぶ〜?」

無邪気な笑顔のまま、女神と呼ばれた少女はアイン達の様子を心配して歩み寄る。
その姿は、アイン達の知る女神と言う人物のそれとは少し相違点が見られた。
顔の作りや体の幼さ等は、彼女達のよく知る女神の姿をそのままにしているだけなのだが。
その顔にある瞳の色は、アイン達の知る女神が持つ黄金色の物では無く、魔を帯びたような禍々しい紫色に染まっていた。
肌の色素こそ瑞々しい肌色のままだが、自身の身体をすっぽりと包みこめる程に大きな天使の翼は、すっかり魔力に犯されて色を失い、闇を吸い込んだかのような漆黒の翼をその身に纏っていた。

「…だ、大丈夫……なんでしょうか…」

「め、めめめ女神様っ?!そっ、そのお姿は…」

「わぁい♪女神様やっぱりかわいいぃ〜♪」

三者三様の反応を見せていた訳だが、ふとツヴァイの脳裏に疑問符が浮かび上がって右ストレートをぶち込んでくる。
ついさっき、女神がチェーンに放っていたのは紛れも無く神の怒りである裁きの雷だろう。
と、するとそれを食らったチェーンだったがその傍には誰が居た?

「……っつ!?マスター!ますたぁぁぁぁ!」

「…っ!あのドM!私達のマスターをっ!」

「あわあわ…黒焦げだよぉおぉぉ!」

「あちゃぁ……ついバチッとやっちゃった………テヘッ」

「…女…神様ぁ……も、もっとぉぉぉ…」

そんな天使達の声を聞きながら。

「あぐ……ぅぁぁ……」

アレク・ルシェール、ここに眠る。
まぁ、ただの過労と裁きの雷の威力で瀕死になっているだけなのだが。

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――

「……うぅ……うぅ〜ん…」

「…あ、おはようございます、マスター」

アレクは、いつも通りの清潔感溢れる自室で目を覚ました。
ボンヤリとした頭で、何故か必死に今までに見て触れて感じて来た物を全て記憶しようと試みる。
まぁ、いくら頑張った所で彼の脳内にメモリーカードか何かが挿し込まれている訳でも無く、今まで見て来た物は次々と頭から離れて消えていく。
夢って、そう言う物じゃない?

「あぁ、うん…おはよう……アイン…」

「…昨夜はお疲れでしたでしょう?私達『5人』を相手に…」

「いやいや、確かに死んじゃうかとも思ったけど…」

ここまで来て、アレクは昨日の晩の出来事をようやく思い出した。
いつものようにアレクはアイン達5人と交わり、愛欲の果てに5人全員をイかせた辺りで自分も体力の限界を感じて倒れるように眠ったのだろうと。

「やっぱり、もう一回シたい…かな♪」

「…そう、ですか…」

「だったら、アレクとアインだけじゃなくて…」

「私達も一緒がいいなぁ〜♪」

「女神様だってやるんだ!私だって!」

「まぁ、ここも万魔殿化しちゃったからね〜♪一生遊んでイけるよ〜♪」

こうして、彼女達はこの小さな万魔殿の中で淫らに、そして華やかに感じ、喘ぎ、交わり合って愛し合って日々を堕落し切った愛欲の時間を、永久に過ごすのだった。

THE・END
13/06/11 20:13更新 / 兎と兎

■作者メッセージ
おまけ

アレク「ところで思ったんだけどさ」

ツヴァ「何よ?」

アレク「いつの間に万魔殿化してたんだ?」

チェ「それも私だ」

以外「だと思ったよ」

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