連載小説
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第二話 チコ港町出発・野宿
※百合描写有


昨日、ティナに散々認識について口うるさく言われたりはしたが俺達は恋人になれたらしい。
・・・そういえば恋人ってどういうことすればいいんだろうな。
まぁ、何か不満があればあいつから言ってくれるだろう。
と、言うのは置いておいて。

「むふー、毛皮改の完成だよー!」

今日もアザラシ娘は元気である。
太陽もあと少しで頂点に立ちそうな時間、サバト・チコ港支部と書かれた看板が打ち付けられている大木の中身をくりぬいた様な見た目の建物から出てきた。
何と言うか見た目は変わっていない気がする。
その考えを読まれたのか、どうせ「むふふー」とか心のなかで思ってそうな顔で俺を見てくる。

「どこが改なんだ?」

「よくぞ聞いてくれたんだよ!刮目するがいいんだよ、新機能!」

そう言うとティナはジャンプする。
ズポッという音を立てながら毛皮から足が生えてきた。
セルキーを知ってる者ならイメージしてもらえるだろう、あのツルンとしたなんとも言えない海洋生物と陸上生物が合わさったような見た目に、長ズボンを履いている足が生えたのだ。
太腿から先が出るような感じで足が生えている。
・・・シュールだ。

「むふふー、足を出すためのチャックが追加されたんだよ!もちろんチャックは防水性だし足を出しても引っかからない特別製!」

あ、それでチャック付けるだけなのに数日かかったのか。
それにしてもよほど嬉しいのか延々と話すティナ。
そろそろ止めないと日が暮れるまで話し続けそうだ。

「どれだけすごいかは分かった、そろそろ時間だし行くぞ」

「む、それもそうなんだよ」

テクテクテクテク

「やだ、あの子かわいい〜」

「へ〜、マーメイド属も歩けるんだな」

「・・・」

テクテクテクテク

「新しい、いいなあれ」

「ぬぬぬ・・・マスコット系とは・・・あざといのじゃ」

「・・・」

やばい、すげー気になる。
今までピョンピョン跳ねながら移動していたのが普通に歩いているっていうのが気になる。
もともときぐるみっぽい見た目だからあれだったけど、足が生えたせいでものすごく面白いことになっている。

そして町の人の視線がすごい。
人間や魔物娘、老若男女関係なく面白いものを見る目でティナを見ている。
そうだよな、俺だって見る、絶対に立ち止まってトコトコ歩いてるマーメイド系の魔物娘を見る。
そしてそのことにこのアザラシはなんとも思っていねぇ!?
・・・何とか耐えながら町から脱出完了。



とりあえず気を取り直して、地図とコンパスを取り出す。
チコの町の周囲は小さな森になっていて、森を抜けるとだだっ広い平原、そしてこの大陸で最も大きな森にぶち当たる。
ティナはとりあえずその森を見たいと言うことでこのまま南東に向けて移動することにする。
順調に進めば明日の昼前には平地に出られるだろう。
しかし、なんというかココらへんは普通の森だな。
魔界っていうのはすさまじいと聞いていたんだが・・・。

「ティナ、この大陸は殆ど魔界だと聞いたがこのへんもそうなのか?」

「んーん、ここらは普通の人間界だよ。それにこの大陸の魔界は殆どが明緑魔界って言う名前の魔界で、人間界に魔力が追加されただけって見た目だよ。あとは・・・夜になると月の光で魔力が光ってキラキラするんだって!」

「ふむふむ・・・ありがとう、大体わかった」

明緑魔界か、魔界にも色々あるんだな。
覚えておいて損は無さそうだ。
それにしてもいい森だ、小動物たちの鳴き声も多く聞こえるし何やら甘い香りも・・・・ん?
いきなりティナが抱きついてきた。

「どうした?」

「スコッド、真面目な話いい?」

「あぁ」

「キスして」

「お前いきなり何を言って・・・うおっ!?」

いきなりこのアザラシは何を言ってるのかなんて思った次の瞬間、何かが足に巻き付く。
袖からナイフを取り出して切り裂こうとしたが間に合わず、気づけばどこかへ引きずられていった。


「うふふ、いい男はっけーん♪」

「おたく、どちら様?」

両足首が簀巻き状態にされ、おまけに宙ぶらりん。
反転している視界の目の前にはそりゃもうぼんきゅっぼんな緑色の肌とエメラルド色の髪な魔物娘さん。
えーっと・・・でかい花の中に居るからアルラウネか?
さっきの甘い匂いはコイツからか。

「私はリーネ、お兄さんは?」

「スコッドだ」

切ろうと思えばこの蔦を切ることは可能だ、でも感覚とか痛覚とかつながっているってなったらそれはなんか申し訳ないしな・・・。
さっきのティナの反応からしてこれを予想していたのか?

「ねぇ私と番にならない?」

いやらしく胸や腰、全身を見せつけながら誘惑してくるアルラウネ。
心は全く靡いていないのだが、どうやら体は正直のようだ頭がぼーっとしてくる。

「君みたいな美人の誘うなら余裕・・・と言いたいけどごあいにく様、俺にはもう恋人がいる」

「あら?でも他の魔物娘の匂いはしないけど」

「・・・まだキスもできてねぇんだよ」

するとアルラウネは悩みだした。
とりあえず頭に血が上りそうだから離して欲しい。
周りの状態を確認すると見事に茨と言うかトゲトゲな植物だけで作られたシェルターの様になっている。
どうやって俺は此処に入れられた?まぁそれはいいか。

「ふーん...それじゃぁゲームしない?」

「ゲーム?」

「そう、今から10分待って誰も来なかったら貴方は私の夫になる。誰か来たら開放するわ」

あー、そういうことか。
コイツは俺に魔物娘の匂いが付いていなかったからフリーだと思った、んで俺には居るっていうから嘘を言ってるんじゃないかと疑ってる。

「なら、すぐに終るな」

「え?」

「耳を澄ませてみろ」

「え?...何この音」

キッ...パキッ...パキ、パキパキパキ

バキバキバキバキキ!

予想以上の勢いでへし折られている・・・と言うよりなぎ倒される植物の音。

そしてこの空間を囲っている茨がザシュッ!という音とともに切り裂かれた。
とてつもない威圧感を放ちながらティナがどこから取り出したんだそれと言いたくなる身の丈ほどの槍・・・じゃないな、銛を構えながら立っていた。

「私の未来の旦那を掻っ攫うような悪い子はお仕置きなんだよ〜〜〜〜」

「ひぃぃ!?ごめんなさいぃ!!!」

凄まじい眼光にアルラウネも思わずたじろぐ。
うん、こういう感じの威圧感なら俺は大丈夫だな、むしろ可愛い方だ。

「ティナ、こういうことになるって分かっていたならそう説明してくれ」

俺の方を見た瞬間、いつも通りの眼に戻ってチミっ子スマイルを見せる。

「ごめんなんだよ〜、もう少し余裕があると思っていたんだけど」

「あ、あばばばばばば・・・」

ふむ、アルラウネには申し訳ないことをしてしまったな。

「ティナ、お前の匂いを付けるにはどうすればいい?」

「こうすればいいんだよ」

するとティナは俺の襟袖を掴んだかと思うと引っ張られ、気づいたらティナの顔が目の前にあった。
・・・キスされちまったか。
すごい柔らかいな、コイツの唇。
あぁ、そうか・・・それでさっきキスしろっていったのか。

「さてと、さっきの道の所までスコッドは戻っていって欲しいんだよ」

「お前は?」

「このお花さんとちょぉっとお話するんだよ〜」

「あわわ・・・」

あ、怒りがにじみ出ている満面の笑顔ってのは駄目だわ。
これは怖い。

「一応、被害者だから変なことするなよ?」

「大丈夫だよ、痛いこととか脅しとかはしないから〜・・・女同士の話だからスコッドはすっこんでて欲しいんだなスコッドだけに」

全然うまくないダジャレを聞き流しながらもこれ以上は危ないと思ったので言われた通りにすることにした。






おっぱいでっぱいやらわかい〜。
くぅ〜スコッドの鍛えた腕をつつくのもいいけどこの柔らかさは...たまりませんなぁ♪

「や...んっ、くぅぅ...いやぁぁん♪」

「嫌、じゃないでしょ〜取引には応じるって言ったじゃないか」

「な、なんで貴女こんな...ひゃぁん♪う、うまいの...よっ!?」

あんまりスコッドに私の本性というかアレコレは見せたくないから先に行ってもらったけど。
今回の取引はアルラウネの蜜小瓶で5本分と、人魚の血を小瓶で1瓶。
こんな森じゃマーメイド属なんてまず来るわけがないからなかなかな高レートなり。
港町だとメロウさんとかがふつーに渡したりしているから売っても安いんだよねぇ。

アルラウネの蜜はアルラウネが感じると感じるほど甘く、美味しく、芳醇な香りになってくれる。
だからこうやってエッチな事をしているわけで・・・まぁ言ってしまうと魔物娘相手なら経験豊富だったり。
上着や下、手袋の毛皮を脱いで、長ズボンと薄手のシャツだけになってアルラウネの花の中に入ってねっとり、ネッチョリ。
ほんっと、おっぱいを揉んでるだけでも幾らでも時間を潰せちゃうよ♪
耳をチロチロ...あそこをなでなで。

「ひっ...あっ...ゃ、耳...だめぇ」

うーん、甘い。
けど早くしないとスコッドも心配するし蜜の所為で私が今、発情しちゃうかも知れないから早くイカせちゃおう。
クチュクチュ、モミモミ、ナデナデ・・・

「イクッ...女の子にイカサレちゃうぅぅ♪」

ふふふ、ビクンビクン痙攣しちゃってかわいーんだよ♪
むふふー、汗も蜜、愛液も蜜、アルラウネは蜜製造機みたいなんだよ〜♪
さてと、ドロドロになっちゃった服脱いで...うぅ寒っ!
蜜をタオルで拭いて毛皮着て、脱いだ服を袋に入れてっと。
おっといけない、蜜を回収・・・よしっ5本取れた。
あとは・・・。

「はい、人魚の血」

マーメイド属7つ道具の一つ、採血機。
バイアル1つ分をささっと採血して、蓋をしてっと。

「う、うふふふ・・・人魚の血・・・」

「これくらい甘い匂いを出していれば良いヒトなんてすぐ見つかるんだよ〜その血で末永くラブラブしてね♪」

「えぇ、恥ずかしい思いしたけどありがとう。そしてごめんなさいね貴女の大事な人にちょっかい出しちゃって」

「無事だったから大丈夫なんだよ〜」

んで、すたこらさっさ。
・・・途中、黄色い魔物娘さんとかくまさんとか数人とすれ違ったけど、バリケードのトゲトゲ壊したままとか甘い匂いに他の魔物娘さん達が釣られてちゃったのなんて私にはもう関係ないことなんだよー。
きっといいヒトが見つかる前に先にイイ思いをしてしまうなんて関係ないんだよ〜、後ろから悲鳴とエッチな声が聴こえるけど関係ないんだよ〜。
ふふふのふ。






ティナを待っていたらずいぶん時間が経っていたし丁度いい広さの場所を見つけたから野宿場所にすることにした。
薪は用意完了したし、日が傾いて夕日になってきている。
手頃な石を円形に並べて枯れ草をしき、木の枝を重ねる。
後は火打ち石で着火・・・うまくいったようだ、ぱちぱちと枝が音を立てながら燃えていく。

「ふえー、遅れてゴメンなんだよ〜」

「遅いぞ・・・ってどうしたその袋」

帰ってきたティナは何か袋を抱えていた、ついでに甘い匂いがする。

「あのアルラウネさんから蜜を分けてもらってたんだよ、上着を脱いでたんだけど花の中に落ちちゃってどろどろになったから袋に入れてるんだよ」

「まったく、どじだなぁ...ふむアルラウネの蜜か...食べたこと無いな」

味の評判はすこぶるいいと港町でも聞いたことはあったが蜜にしては値段が高めだったし瓶を持ち歩くっていうのも割れたら悲惨だから買わなかった理由にある。

ティナがぱぁぁと明るい笑顔になってすぐに瓶を取り出した。
掌に収まる程度の大きさの小瓶が5つ。
中には美しい琥珀色の液体が入っている・・・入れる時に瓶に付いたのか蜜の甘い香りがティナが持っているのに漂ってくる・・・。
今ある手持ちの食料から日持ちしづらくてこの香りに合いそうな物といったら。

「今日は白パンを焼いて、その蜜を掛けるか」

「ふわぁ〜それだけで美味しいってことがすぐわかるんだよぉ〜〜」

あぁもう、すでにトロけた顔しおって。
さて、日が暮れてきたし準備しないと。

ティナは着ている毛皮が寝袋になっているらしくそのまま寝れるとのことだが、俺はそうもいかないので寝袋を用意して周囲の木に鳴る子を吊るした糸を張り盗賊対策をする。
水はまだ町を出たばかりだから余裕は十分ある、しかしそれでガバガバ使うのも愚かなので使う分だけ水筒に入れておく。

「スコッドー、パン焼けたよ!」

「おう、すぐ行く」

糸を弾いて鳴る子がしっかりと鳴ることを確認したらティナの所に急ぐ。
パンの焼けるイイ匂いがする!


「それじゃ、早速」

「むふふー、まずは一口目の所にかるーく塗るのが美味しいんだよ〜」

ティナの言うとおりパンの端にヘラで掬った蜜を乗せ、薄く伸ばす。
俺達が手に持っているパンは丸いパンを中央から真っ二つに横切りして片面を平らにしたものだ。
瓶を逆さまにしてもなかなか落ちてこないほど粘度の高い蜜がパンの熱によって程よく溶けてパンの上を滑り、なおかつなんとも言えない甘い香りが鼻孔をくすぐってくる。
それだけで口の中は唾液で溢れ、まだかまだかと俺を急かす。
ティナも塗り終えたのかそわそわしている。

「それじゃ・・・いくぞ」

ティナが頷く。

「「頂きます!」」

がぶりと蜜が乗っている箇所を一口で口の中へと放り込み、噛みしめる!
熱で溶け、パンに染み込んだはずの蜜が、ねっとりとした滑らかさで舌にへばりつき、今まで食べたことのない甘さ・・・しかししつこくない絶妙な甘さを伝えてくれる。
もう一噛み、また蜜がじっくり・・・ねっとりと染み出してくる。
こんな極上の甘味料をデザートやパンに使用したらどうなるのだろうか、想像するだけでもたまらない!
飲み込むその瞬間、それさえも甘さを伝えてくれる・・・。
口ですべての空気を吐き出した後に鼻でゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐く・・・。口の中に残った蜜の香りが鼻の中を突き抜けまた楽しませてくれる。

「どう?」

ティナが声を掛ける。
どうもこうも無い、最高だ。

「すごいな、俺の住んでいた国とかからずっと出ていなかったらこの蜜には出会えなかった」

「つまり?」

「最高だよありがとうな、分けてもらって」

「ぬふふ〜それほどでも無いんだよ。ささ、今度はたっぷり付けて食べると面白いんだよ」

美味しい、では無く面白いか・・・はっきり言ってティナがなにか食べた時は美味い!しか言わないのはこれまでの付き合いでも分かっている。
そして、面白いと言ったのは今まででただ一度!あの貝の串・・・タレを食べた時だけだ!
つまりあのレベルで美味い、もしくは予想外な楽しさだとティナは言っていることになる!
あまり語らない、表現しないということは要するに単純明快に美味い不味いを判断してくれるということ!
ならば乗ってやろうその面白いという物に!!!

・・・とか言いながら俺も言ったりはしないんだがな。
あーあ、どっかでリアクション大会とかねーかなー、なんて心のなかでぼやきながらティナと同じように蜜をパンに厚めにのせていく。

す、すごい...一口齧った所為で欠けていて、普通ならそこからのせた蜜が零れそうになるはずなのに・・・この蜜はまるでクリームの層みたいに留まっている!
どれだけの粘りがあればこんな状態になるんだ、パンの熱で柔らかくなっているというのに!!!
更に焚き火の光に照らされ、琥珀色の蜜がまるで黄金の様に輝いている!
思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。

バクンと思い切って一気に噛み切る。

「・・・ククク」

「スコッド?」

「ククク...クク....アーッハッハッハァハッ!!!なんだこれぇ!?美味すぎんだろ!」

「にひひー、面白いでしょ」

あぁ、面白い!
蜜がパンを食ってやがる、さっきのは小麦の香りに蜜の香りが協力しあっていた味だとすると今度のは蜜が小麦を首輪で繋いで引っ張ってるような状態だ!
濃厚で甘く、呼吸がすべて甘いモノを食っている感触になる。
けれど、決して本来の主である小麦を殺さない。
口の中からパンが無くなっても歯をなめるだけであの味が楽しめる。
凶悪だ、コイツは人間界に出しちゃいけないものだ。

そこからはあっという間だった。
今回の分のパンをあっという間に平らげてしまった。

「ふいーごちそうさまー」

「あぁ、ごちそうさまだ・・・美味かった」

木にもたれかかり、口の中の甘さを水を軽く飲んでスッキリさせる。
本来パン一つと蜜程度なら空腹は無くなっても満腹にはならない筈なんだが、妙に満腹感があった。
これも魔物娘の食材のお陰なのだろうか。
ぱちぱちと薪が燃える音と虫の鳴き声を聞きながら本を読む。
上を見れば満天の星空。
・・・なぜだろうか、体がほんのり熱い気がする。
風邪か?いや、先程まで万全だった・・・それに、なぜだ?
それに今までで一番ティナが恋しい。

「ティナ、ちょっと...いいか?」

「うん、いいよ」

手招きして近づいてくれたティナが俺の膝の上に座る、それをそっと抱きしめる。
毛皮のふわふわとした短毛の手触りとぷよぷよとした柔らかさがたまらない。

「スコッド、今度はちゃんとしたキスをしよ?」

「...あぁ、わかった」

後ろを向くティナに合わせて、唇を重ねる。
しっとりと瑞々しい柔らかさが気持ちいい...。
我慢できなくなり舌をゆっくりとティナの口の中へ伸ばす、それを嫌がる事無く受け入れてくれる。
甘い...さっきの蜜とは違う甘さだ。
言葉に出来ないのが悔しい・・・いや、これは言葉に出来ないほうがいいのかも知れない。
ただ本能が、体がティナを求めている。
ティナの薄く小さな舌を嬲り、吸い出したり舐めまわす。
小さなうめき声と目尻に溜まる涙が見えたので離れようとしたがティナの両手が俺の頭を掴んで押さえつけた。

「やめちゃ...やだよぉ、もう他の女に目を付けられないように...しっかりマーキングするんだから...」

その言葉を聞いた途端、さっきまでよりもっと強くティナの唇を、舌を、歯を、歯茎を...すべてを貪った。
唾液が分泌される度にそれを啜る。
飽きが来ない先程までの蜜の香りが僅かに残る極上の砂糖水、それに口の中を嬲る度に小さく震える体を見ていると興奮してくる。
メチャクチャにしてしまいたい、俺だけのものにしたい。
こんな感情、今まで抱いた女には思ったことがなかった。
これが...魔物娘か。

「あぅ...お終いじゃ、ないよね?」

トロけた目で俺をじっと見てくる、ここまで愛おしいと反則だな。
アザラシ頭巾ごと頭を撫でるとゴロゴロと猫みたいに鳴きながら俺に擦り寄ってくる。

「数日待ってくれなんて言ったが、今答えてもいいか?」

「うん...」

「お前を...抱かせてくれ」

「喜んで...なんだよ♪」

上着のファスナーのハート型の穴に指を入れるとそのままゆっくりと下ろしていく、ジジジという音だけが俺に耳に入ってくる。
パチンと留め具がすべて外れてティナの白い肌が見えてきた。

「えっと...さ、今更だけど私って凄まじくひんそーな体だからあまり期待しないで欲しいんだよ」

耳まで真っ赤に染めて恥ずかしそうに上着を脱ぐ。
音を立てながら上着が地面に落ちる。

「...綺麗だ」

思っただけの筈だったが自然と口に出してしまっていた。
確かに豊満かと言えば真逆と言える肉付きだろう。
上着がぶかぶかというかSサイズを着るべきなのにLサイズを着ていたようなそんな差がある。
けれど、どこも汚れていないきれいな肌、細いかと聞かれたらほどほどに付いている肉。
自分で貧相なんて言うものだから肋骨が浮かび上がってるのかとか考えてしまったがそんなことはない、至って健康そうな体だ。

「き、ききききぃ!?お、お世辞を言ったってなにもでないんだよぉ!?」

そんなことを言いながらも下の毛皮のファスナーにも手を掛ける。
今度は勢い良く下ろして脱ぐ、細い足が露わになる。

「はぅ...」

「どうした、寒いのか?」

「ん...」

頷く彼女の手を引いて向き合った状態で抱きしめる。
そういえばセルキーは毛皮から出ると毛皮を身に纏っていない不安で体だけじゃなく心も冷えてしまう・・・だったか。
ならこうして居ればいいのだろうか?
寒そうに震えていた体も徐々に震えが落ち着いてきた。

「...大丈夫か?」

俺の胸に頭を押し付けながら首を横に数回振る。
まぁそうだろうな。

「ナカが...ナカが寂しいんだよ、焦らさないでエッチさせてほしいんだよぉ...」

俺にしがみつくようにくっついたままズボンの上から秘部を俺のモノにこすりつけてくる。
生地の厚いズボンなのだが、それでも柔らかさが分かる...段々ねとねとと粘ついた音がしてきた。
このまま押し倒してシてしまいたいが余りにも可愛いのでもう少し様子を見ていたくなる。

「なんだ?どこからかネバネバした音が聞こえてくるぞ?」

「このぉ....わかってるのはわかってるんだよぉ...いいんだよ、このままイッちゃうもの...」

そう言うと腰の動きを大きく、体重を掛けて俺の体を使って自慰を始める。
くっ、これは俺も結構きもちいいぞ...。

「ティナ、口開けろ」

「んぁ...」

目一杯口を広げられる。
いつも大口開けてパクついているだけあって身体に見合わぬ口の可動域と言ったところか。
口の中がよく見える、薄く、よく見ると先端が僅かに割れている舌や喉奥が見えてメチャクチャにしてしまいたくなるが、耐える。
親鳥がひな鳥に餌を与えるときのようにティナの口の中に俺の唾液を流し込む。
それを美味そうに飲み込んでまた口を開く。

「悪いが、お預けだ」

「あぅ...寒いんだよぉ...あうっ♪」

ティナの身体を僅かに離して胸に掌を押し付ける。
一瞬寂しそうな顔をしたが胸に手を押し付けると口元が緩み始めた。
・・・しかし、思いたくはないが全くもって胸がない。
目隠しされて乳首を避けるようにさらわせられたら肋骨が触れるかどうかでしか判断が出来ないと思う。
まぁ胸と思われる範囲を撫でると小さく声を出すから...大丈夫か。
そんな心配をよそに自分から動いて掌に乳首を押し付けて、こねくり回しているティナ。
焦らしすぎたからか完全に自分から貪り始めてしまった。
責任は取らないとな。

「毛皮にのせるがいいか?」

こくりと頷いたティナを先程脱いだ毛皮を敷物にしてその上に寝かせる。
もじもじと秘部を片手で隠しながら恥じらう姿も可愛い。

「どうする、あそこ...弄るか?挿れるか?」

手袋を外し、自分の指をアソコに入れて軽くかき混ぜた後入れていた指を顔をそむけながら見せてくる。
人差し指と中指が透明な液体でコーティングされていて、日本の指の間には透明な糸の橋が出来上がっていた。
さっさとして欲しいってことか。

「すまんが挿れる前にお前のアソコ...見させてくれるか?」

「...ばかぁ」

罵倒しながらもゆっくり足を開いてM字開脚をしてくれる。
ぴっちりと閉じた一本の筋、そこをゆっくりと広げる、広げただけでネチャァと粘つく音がする。
ピンク色のきれいな色で、豆を突付くと面白いほど反応してくれる。
舐めるのはまた今度の機会にしよう、これ以上放っておくと暴走しかねん。
ズボンと下着を脱ぐと自分でも驚くほど一物がそびえ立っていた。
・・・それだけ俺も興奮していたということか。

「ゆっくり挿れるからな」

「うん...」

先端を入り口に触れさせ、ゆっくりと埋め込んでいく。
すごいな...亀頭が入っただけだというのに気持ちいいとは...すごく熱いしネバネバとした感触が気持ちいい。
そして何かに当たる。

「...いいか?」

「...」

「どうした?」

「ぐ、ぐぐぐ...いいからさっさ挿れるんだよぉ!頭の中が沸騰して自我が崩壊しそうなくらい焦らされてふざけんな状態なんだよぉ!さっさとブツンとやってねちょねちょしてほしいの!」

「すまん...お前を傷つけたくないせいで何度も聞いてしまっていた」

「てい...ふぁぁぁぁぁぁん♪」

「うぐっ!?」

肉棒が一切余すところ無く肉壷に包まれ愛撫される。
ティナがしびれを切らして自分から動いて挿入されたことに気づいた時にはもう遅かった。
一度抜こうとしても途中でまた入れてしまう、そこからはもう繰り返しだ。
会話なんて一切ない呻き声と喘ぎ声の合唱。
熱く、狭く、ひだで俺の物を撫で回し奥へと誘いこむ肉の動き、最奥で子宮口が鈴口に吸い付いてくる感触。
人間の女では体験することが出来ないであろう名器...夢中になってしまうのに数秒もかからなかった。

「なかぁ♪んっ...ふぁぁ、スコッ...ドがぁ♪わたしのなかに、はいってるぅぅ♪うれ...し、いぃぃぃ♪」

涙を流しながら俺に手を伸ばしてくる。
力を込めれば砕けてしまいそうな華奢な身体を抱きしめて貪り続ける。
今までで一番早く達してしまいそうだ。

「ぐっ...んっ、そろそろイキそうなんだが」

「あう..あっ...あぁん♪いい..よっ、だして!中にだしてぇ♪」

どくんっ、どくんとティナの小さなナカに数度子種を吐き出す。
その度に視点が合わないトロけた表情でティナが身体を震わせて悦ぶ、その姿のお陰で俺の物も萎えること無くそのまま続行しろと叫んでいる。

「ありがと...スコッド」

「・・・なぁ、このまま続きいいか?」

「ふふ、そんな事言わなくても私が腰を振るぅ♪ちょっ...や...いきなりぃ♪」

正常位の体勢でティナの腰を掴み多少乱暴に腰を打ち付ける。
吐き出した白濁液とティナの愛液が混ざり、かき混ぜられ接合部から白濁の泡があふれだす。

「おうっ♪おうっ、おぅ..おうぅぅ♪」

なんだか喘ぎ声が面白くなってきた。
子宮口を小突く度におうおう鳴いてくれる、可愛いぞこれ。
可笑しいけど可愛いぞ。

「おっ♪おうっおうおぅん♪き...もちいいぃ♪」

「それなら、これはどうだ?」

お互いの恥骨が触れ合う位まで肉棒をねじ込み、そのままグリグリとゆっくり動いて子宮口を弄ぶ。
千切られそうなほどに締め付けてきてまた果ててしまいそうだ。

「おぅぅぅぅぅん♪♪それぇ♪それだめぇ、こわれちゃうんだよぉぉ♪」

口ではそんなことを言いながらも身体は正直なもので両足でガッチリと俺の身体を挟み込んでホールドしてくる。
とか考えている俺も呻き声しか出せないほどギリギリだけどさ。

「わりぃ、また出しちまいそうだ...ぐっ...」

「きがすむまでぇ...だしていいからね♪んっ...くちゅ、ぢゅる...んんっ♪」

その後お互いが疲れ果て眠りに付くまで俺たちは愛し続けた。
ヘタすると人生で一番吐き出した日かもしれん。




目が覚めたのは朝日の眩しさだった。
全裸で眠っていたはずなのに全身がぬくぬくとした温かさに包まれている。
重たい瞼を開けばすやすやと眠る美少女、殆ど密着するような状態になっていて少し動いたらこのぬくもりが何なのか分かった。
どうやらいつの間にかティナの毛皮の中に入っていたらしい。
ふむ...コイツはいつもこんなぬくぬくした状態で動いていたのか、羨ましい。
イタズラに頬をぐにーっと引っ張ってやるとしかめっ面になった、面白い。
ぷにぷにとした弾力あるほっぺはいつまで触っていても飽きないし楽しい。

「むぅい〜〜〜」

おっと、お姫様が起きた。

「おはよう、ティナ」

「むい、おはy・・・・・・・っ〜〜〜〜〜!!!」

・・・なんか毛皮の中に潜ってしまった。

「おい、どうした?」

「・・・」

「おーい」

「うっさい!恥ずかしくてマトモに顔を見れないんだよ!察しろなんだよ!」

もごもごと毛皮の中から怒鳴り声が聞こえてくる。
というかこの状況って。

「みゃーー!?なにデッカクしてるんだ・・・よぅ・・・」

「お、おい咥えるな!?」

「んっ...こ、こんな閉鎖空間の中で男の匂い嗅いじゃったら...むりだよぉ♪」

「このエロアザラシめ」

結局、太陽が真上に登る位まで俺たちは続けてしまった。
はたしてこんな状態でちゃんと旅が出来るのだろうかと不安になってきてしまった。



つづく
15/05/06 17:21更新 / ホシニク
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■作者メッセージ
読んでいただき、ありがとうございます。
ティナは魔物娘好きです、とは言ってもスコッドを知った時点で序列が入れ替わりましたが。

次回:草原へ

次回も読んでいただけると、幸いです。

※2015/04/19 初稿
※2015/05/06 描写注意書き位置修正

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