ブラドはくんずほぐれつしながらサラさんに絡まった糸をほどき終えた。まあなんとかクリアシーのライブには間に合いそうだからいいけどさ。それになかなかいいものも見れたしね。
｢お主とは気が合いそうじゃな。これなら安心してジュリアを任せられる。苦労をかけると思うがよろしく頼むぞ｣
　エルザさんが手を差し出してきた。
｢もちろん。どんな時でもジュリアを守り、絶対に悲しませないと誓いますよ｣
　ボクはエルザさんと固く握手した。ブラドは鼻を鳴らした。
｢フン。ジュリアのために命を捨てる覚悟はあるんだろうな｣
｢命を捨てたらジュリアが悲しむからしないよ。必ず生きて帰ってくることは誓うけどさ｣
｢たとえどんな手を使ってもですか？｣
　サラさんがボクの目をじーっと見て聞いてきた。
｢当然だよ。サラさんにやったみたいにね｣
　ボクの言葉にサラさんはあきれた顔をした。
｢よく言いますね。あなたが幻術や暗器を使うのは相手を必要以上に傷つけないようにするためでしょう？本当なら最初の一撃で重傷を負わせることもできたはずですからね｣
　気付かれてたんだ。なかなか鋭いね。
｢やっぱり甘いですわね。まあそれもロキのいい所だと思いますわ｣
　ジュリアは苦笑しながら言った。喜んでいいのかいまいちよくわからない。
｢ふむ。そろそろ帰るとするか。また来てよいか？｣
｢ええ。いつでもどうぞ｣
　ボクが答えるとエルザさんは微笑んだ。
｢そうさせてもらおう。早く孫の顔を見せてもらいたいものだなむ・こ・ど・の｣
｢なっ｣
｢それではさらばじゃ｣
　ジュリアが赤くなって固まっている間にエルザさんは手を振ってサラさんとブラドを引き連れて帰っていった。
｢全く。本当にお母様には頭を悩まされますわ｣
　ジュリアはそう言いつつも微笑んでいる。
｢まあいいお母さんじゃん。ボクとも気が合いそうだし｣
｢…そうですわね｣　
　ジュリアは肩をすくめた。
｢まあともかくバーに行こうか。急がないと始まっちゃうよ｣　　
｢そうですわね。急ぎましょう｣
　ジュリアは走って行ってしまった。
｢はあ。そこまで急ぐことないのに｣
　ボクはジュリアの後を追うことにした。

　クリアシーのライブを聞いた後ボクたちは部屋に戻った。
｢今日は色々と大変でしたわね｣
　ジュリアは疲れたように言った。
｢そうだね。ボクもけっこう疲れたよ｣
　一撃しか食らわなかったけどそれでもかなり体力を消耗した。長引いてたらまずかったかもね。半ヴァンパイアに体力で勝てるとは思ってないよ。
｢大丈夫ですの？体調が悪いようなら今日の吸血は遠慮しておきますわよ｣
　ジュリアが心配そうな顔で見つめてきた。
｢心配してくれるのはうれしいけどちゃんと食事はとらなきゃダメだよ。遠慮しないで飲みなよ｣
　ジュリアは一瞬ためらった後恥ずかしそうに目を向けてきた。
｢それではお言葉に甘えさせていただきますわ。はむっ｣
　ジュリアはいつものように首筋に噛み付いてきた。魔力のおかげで痛みじゃなくて快感が伝わってくる。
｢んっ、ちゅるるる｣
　やっぱりなんだか興奮してくるね。もうほぼ慣れてきたけどさ。そう思っていた時心臓がドクンとなった。
｢ぐっ｣
　何今の感覚？
｢じゅるり、どうかしましたの？｣
　ジュリアが血を吸うのを中断したら鼓動がおさまった。気のせいかな？
｢いや、なんでもない。続けていいよ｣
｢そうですか。じゅるるるる｣
　血を吸われるとまたドクンとしだした。もしかして吸血が原因なのかな？
｢うっ｣
　でも今までこんな感覚になったことないよ？何か体に起こってると思ったほうが自然だ。……思い当たることが1つしかないんだけど。
｢…早くない？｣
｢ちううう。何がですの？ちゅううう｣
　そう言うジュリアは魔力を流し込み続けている。その間にも鼓動が早くなってきた。
｢…すぐにわかるさ｣
｢はふん。そうですか。じゅるるるる｣
　ジュリアはあまり気にしてないみたいだ。どっちかというと吸血のせいで頭がとろけてるのかもしれない。そしていつものように必要な分だけ飲んで口を離した。

｢は、あ。やっぱりおいしいですわね｣
　ジュリアは恍惚とした表情をしている。いつものように快楽抑制呪文でも使った方がいいのかと思った時心臓が大きく収縮した。
｢くっ｣
　鼓動が大きくなるたびに体中に変な感覚が広がっていく。多分これまでジュリアに注ぎこまれた魔力があふれ出して全身に回っていってるんだろう。
｢どうしたんですかロキ？！やっぱり調子わるいんですか？｣
「くうっ。来るべきものが来ただけさ。ここまで早く来るとは思わなかったけどさ｣
　多分原因は吸血トレーニングじゃないかな。普通より多く魔力が注ぎ込まれるから進行が早くなったんだろう。
｢くうう｣
　ジュリアから注がれた魔力が体の表面を循環し始めた。ボク本来の魔力は内側に固まっていく。しばらくして激しい魔力の流れがおさまって落ち着きだした。
｢これがインキュバス化か…｣
　知識としては知ってたけどここまですさまじいとは思わなかった。かなり喪失感があるね。痛みがなかっただけマシだけどさ。魔力もかなり上がってるみたいだしそこまで悪くないのかもしれない。

　そんなふうに状況を分析してると突然服が暗器ごと消えて机の上に移動した。全裸になったボクにやわらかいものが抱きついてきた。目を向けるといつのまにか黒い下着姿になったジュリアがいた。
｢ジュ、ジュリア？んむっ｣
　続けようとした言葉はジュリアのキスに遮られた。
｢ちゅぷ。ずっと、ずっとこうしたかったですわ…。ちゅっ｣
　ジュリアはトロンとした目でボクの唇をむさぼった。何かいいようにされるのがしゃくだったから唇に舌を滑り込ませた。
｢んんっ？！｣
　ジュリアは一瞬驚いたけど自分から舌を絡めてきた。なんか慣れてない感じがまたいいね。
｢ぷはあ。は、激しすぎですわよロキ｣
｢ごめんごめん｣
　ジュリアが吐く甘い息はだんだん激しくなってきた。

｢ひゃう、もう我慢できませんわ…｣
　ジュリアはボクから体を離して、ブラジャーを外した。形がいい胸が姿をあらわした。そして潤んだ目でビショビショで透けているショーツを脱いだ。
｢お慕い申し上げてますわロキ。わたくしの純潔をもらってください｣
　ジュリアの指が愛液があふれ出している秘所をくぱあと開いた。ボクの理性にヒビが入った。これはインキュバス化のせいなのかな？まあどうでもいいけどさ。
｢…わかった。できるだけ優しくするから｣
　どのみちジュリアが本気で来たら拒否できない。ならせめてこっちから攻めさせてもらうことにしよう。そんなことを考えながらボクは肉の杭で淫乱ヴァンパイアのあそこをつらぬいた。
｢あああああ！｣
　ジュリアは嬌声をあげた。処女膜を破ったのに痛みはあまり感じてないみたいだね。破瓜の痛みよりも快楽の方が勝ってるのかな？
｢ああ…。やっと、やっと１つになれたのですね…｣
　ジュリアは淫欲でかすれた声で微笑んだ。ジュリアの喜びに合わせて膣肉がうごめいた。甘美な感触にボクの杭が大きくなる。
｢くっ、動くよ｣
　痛みはないみたいだけどやっぱり初めては優しくしてあげないとね。ボクはゆっくりと肉棒を動かした。そしてジュリアの胸に手を伸ばす。
｢はぁん｣
　ボクはジュリアの胸を揉みほぐしながら腰を振った。部屋の中に湿った音が響く。
｢ひゃううん。もっと、もっと激しくぅ｣
　ボクは腰を振るペースを上げた。ただ出し入れするだけじゃなくて膣内をかき回すような動きをつけた。
｢ああん！｣
　ジュリアも乱れるように腰を振ってくる。中の動きも激しくなってきた。
｢少し乱れすぎじゃない？ジュリアってかなりエッチだったんだね｣
　ボクの言葉責めにジュリアは顔を真っ赤にしてにらみつけてきた。
｢ひゃん。ろ、ロキが悪いんですわ。いつも呪文で抑制して解消してくれないからここまで溜ってしまったんですの！｣
　快楽抑制呪文にそんな弊害があったんだ。自分に使ったことはないから知らなかったよ。
｢…ロキは棺の中であなたのことを思ってオナニーするようなはしたない娘は嫌いですか？｣
　ジュリアは不安そうに見つめてくる。あー。だから寝てるときに水音が響いてたのか。あそこの風通しがよくなってたなんてことはなかったから気のせいだと思ってたよ。
｢エッチかどうかなんてどうでもいい。ジュリアはボクにとって大事な存在だってことには変わりないよ｣
　ボクは腰の動きを速くした。ジュリアはどんどん乱れていった。
｢あああああ、わ、わたくしイってしまいそうですわぁ｣
｢イっちゃっていいよ。ボクもイってあげるから」
　ボクがラストスパートをかけるのに合わせてジュリアの動きも速くなった。
｢ああ、イく、イくううう！｣　
　ジュリアの膣が激しく収縮した。
｢くっ｣
　ボクもそれに合わせてペニスの中の熱い滾りを解放させた。
　
　びゅく、びゅく、びゅるるるる！

｢はあん。ロ、ロキの熱いのお腹にぃ。ひゅうん｣
　ジュリアはとろけるような笑みを浮かべる。そうしてる間にも精液がどんどんあふれ出してくる。
｢ああ。良質の精がどんどん入ってきますわぁ。これが男女の交わりと言うものですのね…｣
　ジュリアは心地よい快感に満たされてるみたいだね。ボクたちはしばらく行為の余韻に浸っていた。
｢…一応聞くけどこれで満足した？｣
｢まさか。全然足りませんわ。今夜は寝かせませんわよ｣
　その言葉を聞いたボクの愚息はすぐに臨戦体勢に入る。これもインキュバス化のせいかな？
｢ふーん。どこまで持つか楽しみだね｣
　ボクの言葉にジュリアは淫靡な笑みを浮かべる。夜明けが来るのはまだ遠そうだった。

　この１日でボクとジュリアの絆はさらに深まった。でもこれで終わりじゃない。ボクとジュリアの太陽との戦いはまだ始まったばかりだ。


　　　　　　　　　　　　おわり　

■作者メッセージ
これでひとまず完結です。エロシーン書くの難しいですね。出てきた伏線は外伝などで回収していきたいと思います。