連載小説
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諒大×十六夜(いざよ) 1話 出発日
諒大は生まれて初めて冷や汗をかいていた。

「ま、待て十六夜(いざよ)、俺は今お前とにゃんにゃんするつもりはない!」
「諒大様にその気がなくても私はやる気満々ですので、勝手に犯ります。」
「それただのO姦じゃねーか!」
「下品な言葉を使ってはいけませんよ諒大様、せめて逆レOプと言ってください」
「意味は大体一緒だよ!」
「つーか、俺は“今”やる気はないって言ってるんだよ」
「知りません。私は“今”諒大様とにゃんにゃんしたいです。」
「でも、そんなに嫌なら諒大様は何もしなくて良いです。ただ私の中で放水してくれれば良いです」

十六夜と呼ばれた稲荷は諒大に近ずいた。狐耳をピョコンと立て、尻尾をパタパタと振り、舌舐めずりまでしながら。


なぜこんな事になったのかは三日程前に原因がある。














5月17日 am4:00

俺(諒大)は久々に早く起きた。
今日が修学旅行だから、なんていう理由では決してない。
しかし、出発する時間は6:00。まだ2時間程ある。
そうだ、まだ寮や学校の地理に慣れてないし校内探索に行くか。そう決めた俺は部屋着から普段着へ着替えた。

さすがに4時というだけあってまだ暗いし誰も起きていない。まぁ当たり前か。
さて、どこから行こうかな?俺が考えているとコツコツと誰かの足音が聞こえた。
俺はその足音のした方へ行った。




足音を追いかけて行くと寮の食堂についた。そこで俺は驚いた。なぜかって?
そりゃ、あの翼がガスマスクを外して素顔のまま出歩いて、そして、食堂の女将さんであるミノタウロスと会話してるんだ驚くだろ。
翼の顔の一番の特徴は目だ。一重で細く常に何かを睨んでいるかのような目。
まぁそんなことはどうでも良い。
俺はそっと二人の会話を盗み聞きした。

「あなた達3人家族とかっているの?」
「二人は知らんが俺はいない。いや、いたというべきか。」
「今は?」
「いない、俺が殺した、この手で。俺の人生最大のトラウマだ。」
「•••そう、ごめんなさい。」
「別に謝る事じゃない、•••そろそろ出て来たらどうだ?諒大?」

あいつなんで気付いてんだ。
俺は隠れるのをやめ、二人の前に姿を現した。翼は驚く様子もないが、女将さんの方はびっくり仰天した様子だった。

「悪かったよ、盗み聞きして。」
「別に良いさ。あぁそうだ、お前に話があるんだった。悪いんだが女将さんは席を外してくれないか?」
「え、ええ分かったわ。じゃごゆっくり。」

女将さんは大きな“あれ”を揺らしながら厨房に入っていった。メッチャクチャデカいな。
俺が席に座ると翼は話始めた。

「それで、話って何?」
「修学旅行の場所についてだ。知ってるだろうがあそこはレスカティアとの国境近くだ。」
「だから?」
「気をつけろということだ。」
「何に?」
「“奴等”にだ。」

そこで翼の目が一段と細くなった。真剣らしい。

「俺達が亡命してから数週間、俺達の捕獲あるいは殺害に誰一人として来ない。つまり•••」
「つまり俺達に人員を割けないぐらいのことがレスカティアで何が起こってる、こういうことだろ。」
「あぁ、だがこれも奴等の策略かもしれん。」
「だから気をつけろってんだろ。分かってるよ。」

だと良いが、と翼は軽く笑った。

いつの間にか5:30になっていたさっさと戻って行く準備するか。









今思えば確かに翼の予想は正しかった。
13/03/04 06:19更新 / 狐目の男
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