連載小説
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エネミス帝国・エネミス城
★エネミス帝国城門★
★ダイヤ視点★


「きらきらーきらきらー」

火鼠の少女は煌羅にハグ中。

「だ、大丈夫?」
「びっくりしたわ〜脱兎のごとく駆けてきたんやからな」

クロ魔女さんが煌羅を心配し、栗恵さんが開いた口が塞がらないでいた。

私は気を取り直して

「煌羅……やっぱり知り合いなのね?」
「はい、火鼠の廿火(ハツカ)です。」

煌羅の知り合いであることを再確認する。

「久しぶりアル〜きらきら〜懐かしい感触アル〜」
「やれやれ」

煌羅は廿火の頭を優しく撫でる。

「あらあら、知り合いだったのね」
「そうアル、シロービ、きらきらアル、きらきら」

シロービと呼ばれた白の柔道着を着用したバイコーンが廿火に言う。

「お前が『きらきら』か」
「驚きでごわす。まさかキキーモラだとは」

続いてリザードマンと河童が煌羅を観察する。

「煌羅と申します。そこにいるダイヤお嬢様に仕えておりますキキーモラです」

「へぇー可愛らしいバイコーンだね。おっと自己紹介が遅れたね、名はチャンプ。そこにいる白い柔道着を着たバイコーン・シロービの夫にして、武道家ハーレムの主だ」

彼女達の夫であるチャンプが私達に挨拶をする。

「あらあら、また新しいバイコーンのお出ましね」
「神がくれた新たな出会いに感謝します」
「ふーん、中々いいバイコーン達じゃない」

三頭のバイコーンが私達を歓迎する。

「ダイヤと言います」
「クロよ、皆からはクロ魔女と呼ばれているわ」
「ウチは栗恵や、夫の英斗と一緒に魔法物質ハーレムをやっとるで」

私達の紹介に三頭のバイコーンも答える。

「改めてシロービと言います、そこにいる武道家ハーレムの主です」

白の柔道着を着用した、バイコーンの本性といえる淫乱が一切見当たらない優しそうなバイコーン

「バイブルと申します。仕えているのは堕落ハーレムです」

修道服の聖女という見た目だが、黒の生地に白の斑模様が染められており、胸元が大きく開き白い肌を晒す背徳的なバイコーン

「ダイバよ。海産物ハーレムを率いているわ」

上半身サハギンが着用する鱗――というより黒のハイレグを着ている、常に相手を監視するような瞳を持つバイコーン

改めて見て三頭とも、私をはじめクロ魔女さんや栗恵さんとは似ても似つかない容姿をしている。

「同じバイコーンでも、一頭一頭個性がありますね」

と、煌羅は私が思ったことを代弁する。

「確かにそうね」
「まあ、集めたいハーレムへの拘りが反映されとるからやろうな」

と、クロ魔女さんと栗恵さんが話していると



「慈善活動終わりました、バイブル様」
「ただいまー」
「戻ってきたぞ」



ダークプリースト、ダークエンジェル、ダークヴァルキリーの堕落トリオが



「ダイバ様、水遊び楽しかったですわ」
「ソーダの池がクリームソーダに変わるくらいにな」
「当然よ、だってあたし達の愛は深海よりも深いの」



マーメイド、スキュラ、ネレイスの海産物トリオが

先程見かけた二組のハーレムがやって来た。両組とも恍惚な表情を浮かべた夫を連れて。

「またお会いしましたね?」

とダークプリーストが、私達に気づき

「さっきのバイコーンとキキーモラじゃない、池に落ちまいと奮闘してたでしょ?」

ネレイスの口から、私と煌羅の一部始終を見ていたことが語られる。

個性的なハーレムだと思っていたけど、まさかバイコーンのハーレムだったなんて……

「あの〜立ち話するのもなんですが、荷物検査を済ませてください」

「お嬢様、私達の番ですよ」
「そうね」

門番から荷物検査の要請が来たので、私達は手荷物を門番に見せる。

「おい、これは何だ?」

門番の一人が私の傘に目が止まった。

「傘です」
「傘だと?信じられないな、中身を確認するぞ」

門番が傘を解く

「ぐちゃぐちゃの形だな」
「昔見た和傘とはぜんぜん違う」

「それはですね、こうやって上げると」

バッ!

煌羅が傘を開く。

「おおっ、和傘っぽくなった」
「だが傘にしては変わった形だな」

「それは折りたたみ傘と言って、コンパクトに収納できる傘だそうです」

「傘にしては修復がされているな。骨の部分は魔界銀で補強されている」
「特に凶器らしき形跡は見当たらないな、よし合格だ、全員入城を許可する」

門番が傘を返してくれたので、腰に装着すると、奥からカラフルな色合いをした猫の魔物娘が現れる。

「ハイ、城の中へと案内します、N-5(ネコ)といいます」

どうやら彼女が城を案内してくれるようだ。

「やっと会えるのね、女帝ピスコ様に」
「英斗、レーム、フンカ、イマちゃん、コーハを連れとるか〜?」
「勿論さ」
「コーハ、荷物検査異常なシ」
「フンカ〜フンカ〜」
「今、フンカちゃんは「じっとしていたから身体が固まりそうだった」と言ってマース!」

クロ魔女さんや栗恵さん達が荷物を持って門を潜り


「あらあら、やっと城に入れるのね」
「神よ、彼女達に女王の宣託を……」
「よし、お前達城へ入るぞ」

「行こうか、ディマ、コヅナ」
「ふん、当然だ」
「勿論でごわす」

「行きましょう、我が主」
「イクぞ〜」
「突入だ!」

「行きますわよ」
「ふぅ、立ちっぱなしで干しダコになるとこだったよ」
「うふふ、行きましょうね〜あ・な・た」

シロービさん達はハーレムをつれて入城する。



「あへ〜」
「ふぇ〜」



堕落ハーレム及び海産物ハーレムの夫は、未だに放心中のまま。



★エネミス城・場内通路★



「意外と人や魔物が少ないですね」
「そうね、城の中って言うからもっと見張りの兵士やお手伝いさんがうろうろしていると思っていたわ」

「オゥ、いいところに気づきましたね」

案内役のネコさんがオーバーな反応をする。

「このエネミス城は、ビフォーは国民の立ち入りはノーでした!」

ネコさんが両手をクロスをしながら説明する。
NOの表現なのかしら?

「ツーマーリー、城にいたのはピスコ様と夫のアポラードとテキーラ様の三名のみで、警備兵すらもいませんでした!」
「警備兵もいない城ってマジで?」
「デスガ、親魔物国家に転向以降は少しずつですが、城に住む国民が増えてきてます」

ネコさんが一室を開けると


一匹の魔物娘が、男をベッドに縛り付けていた。

「ふぅーふぅー、もう我慢できねぇ」

魔物娘は男のズボンを強引に脱がせようとする。

「ハエっぽい女性ね」
「おそらく、彼女はベルゼブブでしょう」

下半身丸出しとなった男に、ベルゼブブは顔を埋める。

「ふぅー、あんたのチンポから美味しそうな匂いがぷーんぷーんするぜ」
「止めろ、落ち着け」
「これが落ち着いていられるか、魔物娘が精の匂いを嗅げばやることは一つだろ?」

ベルゼブブは男の性器を握り締め、先端に向けて口を大きく開ける。

「ベルゼブブはB-6022、夫はF-620、恋人同士の関係です」
「F-620?」
「この国の住民達のネームはアルファベットと数字で呼ばれているのよ」

B某は、F某の先端をほお張り、上下に動かし始めたわ。
何だかねぶりの果実を食べる時を思い出すわね。

「ぺちょくちょ、じゅぽっじゅぽっ、オレのフェラ気持ちいいだろ?」
「ああ、すげー気持ちいい。勃起しちゃう」

「デスガ、そのままだと呼びづらいので、通称で呼ぶことが多いのです、例えばB-6022ならB(ベー)、6(ルー)、0(ゼロ)、2(フー)、2(フー)で、ベルゼブブと呼んでいるのです!」
「まんま種族名じゃない……」

「じゃあその理屈で言うなら、男のほうは…」

煌羅は、男の呼び名を推理しているようだ。

「F-620、エフ、ロク、ニー、ゼロ……エフ、ロー、ツー、オー……フェラチオですね」
「ちょ、煌羅いくらなんでもそれは酷すぎじゃ……」

「察しがいいデスネ、F(フェ)、6(ラ)、2(チー)、0(オー)でフェラチオと呼ばれてイマース」
「マジかよ……」
「名は体を表すように、彼はフェラされるのが大好きなの」

「もう我慢できない、出すよ?出すよ?」
「んー、んー、んー」

ベルゼブブの口から精液が溢れ出す。

「ぷはっ」
「あへぇ〜何度されても慣れねぇ〜」
「勿体ねぇ、ぺろぺろ、べちゃくちゃ」

ベルゼブブは飲みきれず零れた精液を舐め始める。

「ああぅ、そこ、もっと舐めて舐めて」
「はっ、言われなくてもそのつもりだ!」


「どう、彼らのエッチは? エッチな気分になった?なった」

ネコさんが期待するかのように、私たちに問い詰める。

「いや、エッチな気分って言われても」
「エッチな気分になった人は手を挙げてー!」

『はーい、とってもエッチな気分になりましたー』

堕落トリオ、海産物トリオが一斉に手を挙げる。

「マジで!?」

「ふん、その程度で手を挙げるとは情けない奴らだ」

リザードマンのディマさんが反論する。

「おおっ、いいこと言うわね、流石戦士と呼ばれるリザードマン――」
「オレだったら、腹筋しながらチャンプの性器を舐めるぞ!」
「と思った私が間違ってたゎ―――!」

「チャンプの性器を何度も打ち付けて、びんびんになったところを舐めるでごわす」
「河童のコヅナさんも主旨が微妙に違う!」

「チャンプの精液を口に入れただけで全身の毛が真っ白になるアル」
「廿火ちゃん、誰もそんなことを聞いていないゎよ!」

「見事な三段ツッコミです、お嬢様!」
「好きでツッコミをいれた訳じゃないわよ!煌羅」

「バイコーン検定合格に向けて一歩前進しましたね!」
「だから、バイコーン検定って何なのよ!」

「きらきら、もうすぐふぁふぁが寝ている部屋に着くアル」
「でしたらバッファに会いに行きましょう」

「話が逸らされた……」

コンコン 「バッファちゃーん、みんなが戻ってきたわよ〜」

シロービさんが扉をノックする。

「あらあら、また寝ているのかしら、バッファちゃーん」 ガチャ ギィィィ

「ぐーぐー」

キングサイズのベッドの上で気持ちよさそうに寝ているミノタウロスがいた。

「ぐーぐー」

なぜか目を開けたまま。

「目を開けたまま眠る癖は変わりませんね」
と、煌羅。

本当に寝ているのかしら?

「あらあら、起こしちゃいましょ。三人ともいつでも止められるよう準備してね」

シロービさんが廿火を含めた武道家トリオに言う。







「おい、廿火、フォーメーションAだぞ」
「三方向からチャンプを守るでごわすよ」

どうやら、廿火が陣形を組んでないみたい。

「心配ないアル、だって――」

廿火の視線が煌羅に向けられる。



「バッファちゃん、ご飯が出来たわよ?」

シロービさんがバッファさんの耳元で囁くと

「ぐー……おおっメシか!」

勢いよく起き上がる。

「どこだ、メシはどこだ?おっ、あそこか」

バッファさんが私達の所へ向かって突進する。

「メシ――!」

ドドドドドドドドッドドドドドドドドッド!!!

ひょっとして、チャンプさん達が買ってきた食料品の匂いを

「えい」 ゴロン、ゴロン、ズサササササササ!

嗅ぎつけたのかしら?

「えっ?」
「ぬわっ」
「あれ?」

廿火を除いた。武道家トリオおよびチャンプさんは声を上げる。

彼らが驚くのも無理はない。

煌羅がバッファの足を引っ掛け、転ばせたのだから。
突進の勢いが強すぎたのか、二回転して床を滑ったけど。

「あたたた……」
「まったく、食材の匂いを嗅ぐと周囲の迷惑顧みずに突進する癖は変わらないのですね」
「悪い、悪い……あ」

バッファさんが煌羅の顔を見て一時停止

「うーん」

その場で考え込み

「忘れたのですか、バッファ。私ですよ、私」
「うーん」

考え中

「誰だっけ?」

「覚えてないのかよ!」
「ふぁふぁ、きらきらアル、きらきら」

「……あー、そうだっけ?」

まだ思い出せないの?

「ねぇ煌羅、本当に知り合いなの?」
「バッファは、戦闘と食事と睡眠以外は無関心ですからね」

「きらら? きらら? うーん……思い出せん」

そんな調子じゃ、いつまでたっても思い出せないと思うわ。

「バッファちゃん、これから行くところに美味しいごはんがあるの、ついて来る?」
「おおっ、行く行く!」
「あらあら、本当に食いしん坊さんね」

何事も無かったかのようにバッファさんは立ち上がり、意気揚々とシロービについて来る。

っていうか、ご飯が出来たから起きたことまでも忘れているんじゃないの?


★玉座の間★


「ココが、ピスコ様のいる大広間よ」

ネコさんの案内で豪華な装飾がされた扉の前へとたどり着いた。

「さあさあ、入って、入って」 ガチャ ギィィィィィ



「ようこそ我が帝国へ、不純の象徴とハーレム達よ。歓迎するのジャ」



玉座に座るラミアが私たちを歓迎した。

ラミアラミアロードで多くのラミア属見てきたけど、彼女は今まで見てきたどのラミアとも違う闇色の鱗を持っていた。


「ああっ、あれが冥府の力をその身に宿すと言われる闇色の蛇、アポピス」

普段はクールなクロ魔女さんが、興奮を隠しきれない様子でアポピスを凝視

「もし、彼女の毒牙にかかったら、本当に愛と快楽を求めた魔物に変わるのかしら」

憧れの有名人にあったかのようにアポピスを拝みはじめた。


「もしもしー、クロ魔女さーん、クロさーん、クロー?」

だめだ、私が呼びかけても反応しない。

「栗恵さんも、何か言って……」

「解析中、解析中」

栗恵さんの様子が変なことに気付いた。
まさか、クロ魔女さんと同じような反応。

「魔力反応、一致、精から魔力への変質、一致、それに伴う細胞の変化、一致――」

栗恵さんの眼鏡の片レンズから文字のようなものが次々と浮かんでいる。
まるで、何かを調べているかのように。

栗恵さんの眼鏡から「100.0」という数字が出力される

「検索結果、完全に一致と断定」

栗恵さんがアポピスへ駆け寄り

「どうしたのジャ?」
「なぁ、あんた、ビューティっていうリリムに魔物化の施しを受けたんやろ?」
「なっ、お主、どうしてそれを知っているのジャ?」
「ウチもビューティ先輩に魔物化されたんや「貴女の影を、変えてあげる」って言われて」
「おおっ、そうじゃったか、お主も姉者に影を変えられたのか」
「そや、たくさんの魔物を愛せるバイコーンに変えてもらったんや!」
「そうか、そうか、それは心底嬉しかったのジャろうな」


アポピスと栗恵さんが意気投合。


「お嬢様、何をボサっとしているのですか!」
「どうしたの、煌羅?」

「この流れからして、お嬢様が何らかのリアクションをする番ですよ!」
「いやいや、リアクションしろって言われても」

「だったらお嬢様自らアポピスの前に柔肌を晒して、噛まれるが定石でしょ!」
「晒さないし、噛まれないわよ!」

「ちぇっ、せっかくお嬢様がエッチなことしか考えない淫乱な魔物になるチャンスだと思いましたのに……」
「淫乱になってたまるか!」

「私はお嬢様がアポピスの神経毒に犯され、「きららー私のここをぐちょぐちょにしてぇ!!!」と泣き叫びながら自慰をするのが見てみたいのです」
「そんなはしたない姿、絶対見せないっていうか私の声マネをするな!」

「そんな、上手だねって褒めてくれると思いましたのに……」
「私はそんなことを言う変態じゃないゎよ!」


「見かけによらず変態なのですね」
「堕落の象徴だ〜」
「それでこそ淫乱なバイコーンだ!」


「ほら見なさい、堕落トリオが誤解しているじゃない!」

「お嬢様の日頃の行いが良いからです」
「それって褒めているの!?それとも貶しているの!?」

「両方に決まっているでしょ」
「何その、アメとムチ!?」

「バイコーンとは夫が多くの嫁と戯れることを望むアメと、嫁や夫に容赦なく調教を施すムチを使い分けるものですよ」
「うぐっ、確かにそうね……」

「そろそろお嬢様もアメとムチの使い分けを考える年ごろですよ」
「悪かったわ、煌羅にムチばかり使って」

「私に暴言というアメばかり与えてないで、たまにはムチを振舞ってください」
「って私の暴言はアメかよぉぉぉぉぉ!!!!」

「はい、お嬢様に罵られることこそが私にとってのアメなのです」
「いやいや、少しは怒ってもいいのよ?」

「そんなお嬢様に敬意を払って、私も毒舌というアメを振りまくのです」
「私、煌羅の毒舌がアメだと思ってないから、でなきゃツッコミなんて入れないから!」

「ヤラれた分だけ、ヤリかえすのが、私とお嬢様の間にある暗黙の了解なのです」
「そんな返された方ありがた迷惑よ!」


「思った通りですわ、それがダイヤちゃんの調教だったのですね」
「ちょいロリの見かけによらず、結構大胆なんだな」
「ねぇ、さっき池で披露した調教、ここでもやってくれない?」


「今度は海産物トリオが誤解したぁ!」


「うむ、実に面白いバイコーンジャのう」


アポピスが嬉しそうに私の前に立つ。

「いや、別に面白いって訳じゃ……むしろ大声だしてすみませんでした」
「構わぬ、我はこういう賑やかな雰囲気の方が大好きなのジャ」
「そ、そうですか、喜んでくださって安心しました」

ふぅ、アポピ……いや、ピスコ様の機嫌を損ねなくて助かったわ。
お母様からアポピスの神経毒は一度注入されると、消えることなく体内に残り続けるから、苦しみたくなければ機嫌を損ねないよう気をつけなさいって言われているからね。


「私のようにね」と語ったお母様の妖艶な笑みが、今でも記憶の片隅に残っているわ。


「改めて自己紹介ジャ、我はエネミス帝国女帝、名はピスコと申す。そなた等の名は」

「ダイヤです。こっちは私の従者の煌羅です」
「煌羅と申します。以後お見知りおきを」

「ラミアラミラロードから来たクロといいます。普段はそこでラミア達の商売をサポートしています」

「ウチは栗恵や、魔法物質ハーレムを結成しとる」
「夫の英斗です。左から順に、レーム、フンカ、そして最近加入したイマちゃんです」


「ふむ、中々のハーレムジャな。で、そちらに閉じ込められている男はひょっとして――」


「初めまして女王様、今回の二角獣会の主役を務めるコーハです」


「ほぅ、中々のイケメンじゃのう。正に生贄にぴったりな器ジャ」
「女王様に褒めていただき歓迎です」


クロ魔女さんが、おほん、と息を整えピスコ様の前に出る。

「この度はお忙しいところ私たちバイコーンの為に、二角獣会の会場をお貸しいただき誠にありがとうございます」
「構わぬ、ましてや国の都合で二角獣会が延期になったことを詫びねばならぬのジャ」
「ええ、正式に親魔物国家になったと聞いております」
「そうジャ、姉者がハートの女王を連れてきたのがきっかけでの、その者が治める不思議の国と友好条約を結んだのジャ」

「ビューティ先輩も絡んでたんかいな!?」
「最初は何百年も守り続けた明緑魔界の均衡が破られると心配したのジャが、ハートの女王は明緑魔界のままで良いと言ってくれた。ましてや、土地に溜まった魔力をお菓子やジュースに変えてくれたのジャ、おかげで食糧問題はほぼ解決したのジャ」
「お菓子にジュース……それって砂漠にあった奴なん?」
「そうジャ、類まれなる魔術の才能を持ち、お菓子が大好きなハートの女王だからこそ出来る芸当なのジャ」


「やっぱり、砂漠にお菓子を出した術者はお菓子好きだったのね」
「あらあら?ダイヤちゃん、あのお菓子がハートの女王お手製だと判っていたの?」
「シロービさん、さすがに誰が作ったまでは判らないわよ。砂漠にあるお菓子は味付けが絶妙で何度食べても飽きないというか、食べれば食べるほど欲しくなっちゃうし、例えどんなに甘い物が嫌いな人でも心の底から美味しそうに見えてプライドを捨ててでも食べてしまうと思った。お菓子を愛してなければあそこまで美味しいものは作れないわ」

「ふーん、まるで魔物娘が夫専用の精を欲しがるような感覚と例えたらええんやろうか」
「プライドを捨ててまで食べてしまうって、魔物娘が既婚の男性を好きになるのと似たようなものね」

「まあ私たちバイコーンは、同じ料理を食べ続けるよりも色々な料理を食べる方がいいし、例え嫌いなものでも好きになるよう努力をするけどね」

「おおっ、ダイヤちゃんええこと言うな〜」
「好き嫌いせずバランスよく食べる、まさにバイコーンの鏡ね」

「といいつつも未だにピーマンが食べられませんが」
「煌羅ぁ、余計なことを言ゎないでよぉぉぉぉぉ!」

「それは置いといて、ピスコ様、二角獣会はいつ始まるのでしょうか?」
「スルーしやがったぁ!」

「それはジャのう……」

「ダイヤちゃん、ダイヤちゃん」

コーハが私を呼んでいる。

「何?」



「好き嫌いしていると大きくなれないよ」



と、キメ顔で言った。

ぐぬぬ、透明なケースに守られてなければ角で突いてやるのに。

「判りました。十分前までにそこへ向かいます」
「その間エネミス帝国を回ると良いのジャ、他の参加者達にも出会えるかもしれん」
「では、お言葉に甘えて」

煌羅が場所と時刻の確認を終えたみたいね。

「お嬢様、城下町を見て回りましょう」
「ええ」

「せっかくだから、ここに住むラミア属を見て回ろうっと」
「ウチらは何かいい道具が無いか物色するで」

クロ魔女さんと栗恵さん達ハーレムも同行。

「一緒に同行していいアルか?」
「いいわよ、廿火」
「やったアル、きらきらと一緒アル」

「あらあら、廿火ちゃんがいつも以上に嬉しそうな顔をしているわね。じゃあその間おいしい食事を作って待っているわ」
「テキーラ様から信託を貰いましょう」
「城の地下に浴場を見つけたわ。今から入浴プレイよ」

シロービさん、バイブルさん、ダイバさん及びハーレム一行は城に残るみたい。

私たちは二角獣会が始まるまで解散することにした。


★場内通路★


「世界は広いわね。一度に三頭のバイコーンとそのハーレムに出会えるなんて、しかもそれぞれのハーレムが個性的でびっくりよ。武道家や堕落系や海産物系のハーレムもありなのね」

「お嬢様、それしきのことで驚いてはこの先持ちませんよ?」
「わかってるって、他にもバイコーンがいるのでしょ」

「はい、お嬢様、クロ魔女さん、栗恵さん、シロービ様、バイブル様、ダイバ様」
「うんうん」

「この国で奴隷商をやっているB-22様」
「エネミス帝国にもバイコーンがいるのね」

「コンバク様、白衣(びゃくえ)様、サイバ様、玄馬(げんま)様、こくば様、イッカ様」
「はい?」

「シロホン様、ソウア様、ユゾンニゾン姉妹、主催者のローゼット様、あとユニコーンの――」
「いやいや、ちょっとまって、知らない名前が多すぎるけど?」

「知らないも何もお嬢様達やシロービ様達の六頭を含めても、倍以上の数のバイコーンがこの国に来ているのですよ。二角獣会に参加するために」
「ということは、倍の数のバイコーン」


「つまり倍コーンです」


「マジで!?」



★続く★
14/12/19 21:22更新 / ドリルモール
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■作者メッセージ
ドリルモールです。

前回衝撃の再会をした煌羅。
火鼠の廿火ちゃんに続き、ミノタウロスのバッファが登場です。

ただ、食う寝るsex!の三拍子揃ったミノタウロスですので、彼女の口から煌羅の過去が語られているかは……お察しください。


今回から二角獣会に出席するバイコーンを紹介します。
まずはクロ魔女さんから。





バイコーン紹介@
【名前】クロ
【性別】女
【年齢】エキドナ家四女
【種族】バイコーン
【容姿】170センチ+黒髪ロング+黒のストローハット+黒のローブ+人化
【口調・口癖】ちょっとだけS
【能力・特技】魔術用のルーン開発
【調教】社員教育
【ハーレム】なし
【概要】
 ラミアラミアロード出身のバイコーン。
 エキドナから産まれたバイコーンであり、普段はラミアラミアロードの商人達を監視・指導をしている。
 クロ魔女の異名を持ち魔術用のルーン開発に長けており、彼女が開発した『快楽のルーン札』が有名で外部からの注文が多い。
 現在のところ未婚でハーレムを組んでいないが、将来的にハーレム達に商売の基礎を教え事業拡大を行う予定。

【補足事項】
夫候補は年端もいかない少年。

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