連載小説
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(33)つぼまじん
仕事を終え、帰路に着く。
少しだけ遅くなったが仕方ない。昨日は妻との記念日ということもあって、少し早めに帰してもらったからだ。
昨日はつぼまじんである妻に、密かに俺が焼いた壷をプレゼントした。彼女は涙を流して喜び、十数分かかって『ありがとう』と俺に伝えた。正直、そこまで彼女が喜ぶとは思わなかったので、俺も苦労して焼いたかいがあった。
「ふふふ」
昨日の彼女の喜び様を思い返すと、自然と笑みがこぼれる。
いろいろ苦労もあったが、彼女と一緒になってよかった。
走行している内に、俺は自宅のすぐそばまで近づいていた。
「ただいまー」
そう声を上げながら玄関をくぐると、たったったっという軽い足音とガンガンと何かがぶつかる音ともに、奥から彼女が姿を現した。
「んぉむぁぇうぃますぁうい」
頭をすっぽりと覆う、昨日贈ったばかりの壷の下から、彼女はそう俺を出迎えた。



なぜそうなった。
とりあえずほとんど周りが見えていないであろう彼女を寝室に誘導してから、俺はそう尋ねた。
くぐもり、不明瞭な彼女の言葉を根気強く解読した結果、もらった壷がうれしくて、頭をつっこんでみたら抜けなくなったという。
「なぜそんなことを」
「わっへはははふぁふふんめくへふぇふひょーひゃむぃふふぁうぃふぇ・・・」
だってあなたが包んでくれてるような気がして・・・。
喜びのあまりの暴走と言ったところだろうか。
「外してみよう・・・痛かったら言って」
穴の縁から手を差し入れ、彼女の首筋や顎のラインを引っ張ってみる。
「ひひゃ・・・!」
「痛い?大丈夫か」
「むぁいひょる・・・ふふふぇへ・・・」
だいじょぶ、続けて。
彼女はそう言うものの、いくらか力を加減しながら、壷を持ち上げようとした。
しかし、頬の肉が引っかかると言ったレベルの話ではないらしく、後頭部の骨格の膨らみや、顎の先端が完全に引っかかっていた。
「参ったなあ・・・これは割らないとだめだ・・・」
「ひょんふぁ・・・」
壷の下から、愕然とした様子で彼女がそんな、と言った。
「正直なところ、どうやって頭を入れたのかわからないぐらいカッチリはまりこんでいるんだ」
「ふぉがぬぃふぉふふぉふあひゃひふぉ?」
「うーん、割るか切断するか削るか・・・いずれにせよ、壷をどうにかしないとだめだね」
「ふぉー」
彼女はがっくりと肩を落とした。
「とりあえず、今から職場に行って道具を借りてくる。少し待って・・・」
「ひゃひゃ、ふぁっへ」
やだ、待って、と彼女は立ち上がろうとした俺の手を握った。
「ふぉふこふぃふぉふぉははぬぇ・・・」
「もう少しこのままって・・・いつまでもそうしていられないだろ?」
「はひは、はひはんぉはふぁなで」
「わかった、明日の朝だな」
昨日俺が贈った壷が、俺の言葉に上下に揺れた。
「で、今日はどうする?飯は俺が・・・いや、無理か」
飯を俺が作るのは全く問題ないが、壷が邪魔で食べられない。穴の縁からストローを差し入れれば、スープぐらいは飲めるかもしれないが。
「ひょーふぁがいりょふ」
「そうか・・・まあ、一晩ぐらいなら大丈夫かな・・・」
彼女の言うとおり、一食抜いたぐらいなら大丈夫だろう。
「じゃあ、風呂にはいるか」
俺の言葉に、壷が上下に揺れた。

風呂を沸かし、全く前の見えない彼女の手を取って、ゆっくり脱衣所に向かう。
穴の縁から足下ぐらいは見えるらしいが、彼女の胸が視界を半分ほど不才でいるためあまり役には立たないらしい。仮に彼女の胸がもっと大きかったら、なにも見えなかっただろう。
「脱げるか?」
「ふがひてぃ」
「わかった」
彼女の腰を覆う大きな壷に手をかけ、肩から下げている鎖を外す。そして、取り落として割らぬよう気をつけながらそっとおろすと、彼女が俺の肩を支えに、壷から足を抜いた。
彼女の両足が脱衣所の床をとらえるのを確認すると、今度は上半身に手を伸ばす。
首筋に腕を回し、薄い胸を覆う前掛けの紐をゆるめ、脱がせてやる。壷がはずれなくなったときの焦りのためか、彼女の前掛けはしっとりとしており、素敵な香りが立ち上っていた。
「・・・・・・」
俺は逡巡を経て、前掛けを脱衣所のかごに入れた。嗅ぐのは後だ。
「さ、入るぞ」
「ふん」
再び彼女の手を取り、風呂場の戸を開けて導いてやる。
身体を撫でる、温もりと湿気を含んだ風呂場の空気に、彼女は大げさに足をあげて敷居をまたいだ。
「そこだ、止まって」
洗い場の中央で彼女を止めると、後ろにいすを置いてやり、ゆっくり腰を下ろさせる。
そして、彼女の尻が収まるよう、いすの位置を調整してやった。
俺の目の前に、彼女の細い背中があった。
「洗おうか?一人で洗えるならそれでもいいけど・・・」
できればその細い背中を丹念に洗ってやりたいという欲求を隠しつつ、俺は尋ねた。
「はらっふぇ」
「分かった」
手おけに湯をくみ、軽く彼女の背中に浴びせた。
一度汗を滲ませ、僅かに塩味を帯びていたであろう皮膚を湯が洗い流し、湿り気と温もりを与える。
俺は石鹸を手に取り、軽く湯で濡らしてから手の中で泡立てた。
そして、たっぷりと泡立てた泡を彼女の背中に塗った。
「・・・!」
直接背中に触れず、泡越しにこする手のひらの感触に、彼女が身体を震わせた。
やわやわと、彼女の傷つきやすい褐色の肌を白い泡で覆っていく。
すると、泡のくすぐったさによるものか、彼女の背中が小さくくねった。
だが俺は彼女の動きにあわせ、手のひらを右に左に動かし、彼女の背中を洗い続ける。
背中が終われば肩へ。
肩が終われば腕へ。
腰、足と少しずつ洗っていく。
そして、一通り彼女の全身を泡でくるんだところで、俺は彼女の背後からその細い身体に抱きついた。
泡越しに肌が触れ合い、彼女が小さく震える。かまうことなく、彼女の薄い胸に手を回し、身体の全面にも泡を塗りたくる。
すると、珍しいことに彼女の手が、俺の太股に触れた。
普段、というか時々こうして一緒に風呂にはいるときは、緊張のためかガチガチになっているはずなのに。
彼女は、俺の太股を擦りながら、ゆっくりゆっくりじわじわと付け根の方へ手を動かしていく。
どうやら、そういうつもりらしい。
俺は内心、珍しいなと小さく驚きつつも、彼女の手を股間に受け入れた。
わき腹から背中側へと回された彼女の手は、動きが制限された不自由な状態ながらも、俺の股間に触れる。そこは、いつのまにかガチガチになっており、予想以上の固さと熱に、一瞬彼女の指が止まった。
しかし彼女は、そのまま指を肉棒に這わせ、泡にまみれた手のひらで優しく擦り始めた。
「・・・・・・」
無言のまま手を動かす彼女に、俺は手の動きを変える。
泡を塗り、身体を洗うそれから、彼女の前面を優しくさするマッサージのような動きにだ。
少しだけ手のひらを強めに彼女の肌に当てることで、泡越しに突出した彼女の乳頭が、指先を軽く擦る。
「・・・ふぐっ・・・!」
乳首が擦れた瞬間、彼女の手が止まり小さく声を漏らした。
俺は、彼女の反応に小さく笑みを浮かべながら、円を描くように彼女の薄い胸をさすった。
普段ならばこうしているだけで、彼女はぴくぴくと身体を震わせて抵抗しなくなる。だが、今夜は違った。
「・・・!」
不規則な身体の震えを押さえ込み、肉棒を包む手をぎこちなく前後に動かす。
不慣れな、後ろ手での手コキは、初々しいながらも彼女の興奮を表していた。
普段ならば受け身なのに、どうして今日は積極的なのだろう。
俺の胸中に疑問が浮かんだ。
いつもとの違いといったら、壷をかぶっていることぐらい・・・いや、それか?
周りがほとんど見えないため、恥ずかしさやら何やらが吹っ切れて、彼女を積極的にさせているのだろうか。
そんなことを考えていると、彼女の手コキによる快感が、徐々に俺の内側で蓄積されてきた。
泡まみれの手のひらの心地よさもあるが、いつも以上に積極的な彼女が興奮を煽っているのだ。
「も、もう・・・!」
短い俺の一言と、脈打つ屹立の感触に、彼女は手の動きを止めた。
そして、指を肉棒からはなすと、浴室のいすに腰掛けたまま、くるりと俺の方に向き直った。
彼女と向かい合わせに、ちょうど俺の屹立が、彼女の胸と同じ高さになる。
すると、彼女は両腕を俺の腰に回し、泡まみれの胸を屹立に押し当てた。
圧迫感と、薄いながらも柔らかな彼女の身体、そして泡の感触が俺に触れる。
「わぁひふぇ、ひほひひょぐはっへ」
彼女の一言とともに、薄い上半身が上下に揺れ動き始める。
「・・・うぉ・・・!」
屹立を圧迫し、擦りたてる彼女の動きは、俺の口から声を絞り出した。
こんな抱擁は初めてだ。彼女がこんなことをするなんて・・・
行ったことはないが、娼館の人気ナンバー1のようだ。
「う、うぅ・・・!」
原の奥で膨れ上がる欲求に、俺はついに屈してしまった。
彼女の胸と腹の間に、たっぷりと精液を放つ。
「ふひゃっ・・・!」
胸にぶつかる熱い粘液の感触に、彼女は声を漏らした。
そして、俺の射精が収まったところで、彼女は腕をゆるめて上半身をはなした。
鎖骨の中間から、浅い胸の谷間をたっぷりと粘液が濡らしていた。
「・・・」
彼女は泡とともに胸にまとわりつく精液を指ですくうと、軽くこねた。
そして、頭にかぶった壷越しに、俺を見上げる。
「ふふふ・・・ほーひっふぁい・・・」
もう一回。
彼女の求めに、俺の肉棒は再び屹立していた。
12/09/10 17:02更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
難産難産マジ難産。
結局目隠しプレイするとつぼまじん嫁が積極的になることを発見し、時々目隠しする後日談つけようとしたけど、その後日談が終わらない。
ねえ神様、どういうことよ?
偉大なる天の声「そう言うことなのですよ」
なるほど!さっぱりわからん!

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