読切小説
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愛の女神の風俗店
 俺は、話題になっているソープランドへ来た。褐色の肌をして、コスプレをしているソープ嬢が接待をしてくれるそうだ。翼が付いているソープ嬢や、踊り娘姿のソープ嬢がいるらしい。風俗誌に取り上げられ、ネットでも評判になっている。
 目当てのソープランドは、駅裏の飲み屋街にある。ごく普通の三階建ての白い建物だ。「チャンドラ」という店名の看板が無ければ、ソープランドだとは分からないだろう。
 俺は、こんな年の瀬にソープに来ている。つまらないクリスマスを過ごした鬱憤晴らしと、仕事納めをした安心感から来たのだ。料金やサービスについては、調べてある。早速楽しむとしよう。

 店に入ると、受付の女性が挨拶をした。俺は、彼女をまじまじと見てしまう。そこらの風俗嬢が裸足で逃げるレベルの美貌の持ち主だ。そのこと自体すごいが、それにも増して姿が尋常ではない。褐色の肌をしていて、ピンク色の髪をしている。露出度が高くてフリルの付いた白い服を着ている。背中には白い翼が広がっている。
 俺は、このレベルの高いコスプレーヤーの受付に感心した。俺は、彼女の案内に従い店の奥に入る。奥にはショーステージのような部屋がある。白い大理石で出来ているらしく、所々に彫刻がしてある。金箔による装飾が華美であり、その造りは異国情緒を醸し出している。
 俺は彼女に勧められて、椅子の一つに座った。紫色の絹で覆われた椅子だ。俺の他にも六人の客が座っている。この店のシステムの独特な所は、店のショーを見ながらソープ嬢を指名することだ。事前に予約することは出来ない。ショーを見てからでなくては指名出来ないのだ。
 一人の少女が、俺に飲み物を運んでくれた。この子も、ピンク色の髪をして褐色の肌をしている。頭には、天使のような輪が付いている。彼女は、ピンク色の縁取りのある白い服を着ている。腹や太ももが見えるデザインだ。店の説明によると、彼女は大人なのだそうだ。とてもそう見えないその子から、俺は飲み物を受け取る。
 ショーが始まった。ステージ上に赤紫と青紫の照明が交差する。ステージの手前には、黄金色の翼を持った褐色の肌の女たちが三人いる。肌のほとんどを露わにした女たちは、弦楽器や笛を演奏する。その演奏に合わせて、三人の褐色肌の踊り娘が踊り始めた。
 俺は、驚きを抑えられなかった。風俗嬢の演奏と踊りに期待していなかった。だが、そのレベルは予想外だ。黄金の翼を持つ演奏者たちの腕前は、プロの音楽家に匹敵するものだ。俺は素人だが、音楽はかなり聞いているから分かる。音楽もすごいが、それ以上に素晴らしいのは踊りだ。
 初めは、ゆっくりと蛇のような動きをする。体をくねらせて、むき出しになっている褐色の肌を見せつける。それが次第に速くなり、躍動的になる。胸が弾み、腰が円を描き、足が跳ね上がる。その周りを、乳白色の水の膜が踊る。褐色の踊り娘と乳白色の膜による輪舞を、紫色の照明が照らす。それは幻想的だった。
 俺は、一人の踊り子に注目する。その踊り娘の着る白色とピンク色の服は、胸と下腹部をわずかに覆うだけだ。むき出しとなった肌は、ローションのようなもので光っている。あの乳白色の水かもしれない。胸の谷間が、腹が、太ももがぬめり光っている。彼女は右手を上げて、右腋を俺たちに見せつける。腋は濡れており、照明を反射して光っている。
 俺のペニスは硬くなっていた。踊り娘たちの官能的な姿に、我慢出来なくなっていたのだ。多分、俺の鼻息は荒かっただろう。俺は、少女からもらった飲み物を飲む。金色のグラスに入った乳白色の飲み物だ。興奮を少し沈めたくて飲んだのだ。甘くさわやかな味だ。
 俺の目の前が揺らぐ。腰の奥から力がわいてくる。興奮が激しくなる。俺の目の前で、褐色の肌の女がはね踊る。青みがかった銀髪は、白い水の幕と共に乱舞する。褐色と銀色、そして白色の躍動を、紫色の光が照らす。
 俺は、食い入るように踊り娘の姿を見つめ続けた。

 店によると、受付の女性、飲み物を運んだ少女、ショーの演奏者、そして踊り娘の中から指名出来るそうだ。俺は、注目していた踊り娘を指名した。
 ヴィマラという源氏名のソープ嬢は、踊りのすぐ後に俺の所へ来た。歩くだけでその豊かな胸は揺れる。乳液と汗で、肌は光っている。俺の前に来ると、ひざまずいて挨拶をした。
「ヴィマラと言います。ご指名ありがとうございます。精一杯ご奉仕いたしますので、どうぞお楽しみください」
 穏やかで落ち着いた話し方と声だ。耳に心地よく響く。俺を見上げる顔は、温和な笑みを浮かべている。官能的な踊り子なのに、かわいらしさのある顔立ちだ。俺は、ついその顔を見つめてしまう。青緑色の瞳は、俺を穏やかに包む。乳液と汗の混じり合った匂いは、俺の欲情をかき立てる。
 彼女は立ち上がると、俺の手を取り導く。その手は柔らかく、指は細くて繊細だ。俺は、彼女の手の温かさを感じながら彼女と歩く。彼女は、一室に俺を案内した。その部屋は白大理石で出来た部屋であり、所々に彫刻されている。天井はモザイクとなっており、男女の様々な性技が描かれている。中央には、柔らかそうなダブルベッドが置いてある。暖色の照明が、部屋を柔らかく照らしている。
 彼女は、俺の服を脱がし始めた。スーツを脱がし、ネクタイを外す。シャツを脱がし、スラックスを引き下ろす。その動作は、丁寧でそつが無い。脱がした服は、かごの中にきちんとたたんで入れる。トランクスを脱がすと、俺のペニスが弾けるように出る。俺は、既に勃起していた。
 靴下を脱がして俺を完全に裸にすると、ヴィマラは俺を椅子に座らせた。肘掛けや脚は金箔を貼ってあり、背もたれや座面は絹で覆っている豪奢な椅子だ。彼女は、俺の前にひざまずく。俺を見上げると、ほほ笑みながら唇をなめる。そしてペニスにキスをした。
 ヴィマラは、震える俺のペニスに繰り返しキスをする。目をつむると、愛おしそうに頬ずりをする。そしてゆっくりと舌を這わせ始める。ねっとりとした舌遣いで、俺のペニスを愛撫する。先端をくすぐり、くびれを掃除し、竿を濡らす。唾液でぬめる口の中を開くと、俺のペニスを口の中に含んだ。
 俺は、腰に力を入れてしまう。ヴィマラの即尺は、味わったことがないほど気持ちがいい。彼女の奉仕を堪能するために、無理やり体から力を抜く。そのとたんに快楽は強まり、体に染み込んでくる。
 俺は、すぐに上り詰めてしまった。出そうだと言うと、彼女は俺に向かってほほ笑む。そしてペニスを半ばまで含み、舌の動きを激しくする。音を立てて俺のペニスを吸う。彼女の頬がくぼむ。
 俺は、ヴィマラの口の中で弾けた。腰の奥から精液を打ち出す。彼女の頬は膨らむ。だが、唇をすぼめて精液を漏らさないようにする。精液を出し終わるまで口を離さない。自分でも驚くほど激しい射精が続く。
 ペニスの痙攣が終わると、ヴィマラはペニスから口を離した。俺を見上げると、ゆっくりと口を開ける。精液の濃厚な臭いが立ち上る。彼女の舌の上には、重たそうな白濁液が乗っている。舌をうごめかして、白濁液を転がして見せる。口を閉ざすと、喉の鳴る生々し音が響く。再び口を開くと、白濁液は無い。彼女は楽しげに笑う。
 俺は、少なからず驚いていた。即尺で射精出来たことは無かったからだ。それだけ彼女のフェラは気持ちよかった。俺は、彼女の柔らかい笑顔とぬめる唇を見つめていた。

 部屋の隣には、浴室があった。白と黒を基調とした大理石造りの浴室だ。浴槽には湯が入っており、壁にはシャワーが付いている。浴槽の隣には、銀色のマットが置かれている。俺は、ヴィマラにこの浴室へ導かれた。
 ヴィマラは、潜り椅子に俺を座らせた。シャワーとボディーソープで俺の体を洗う。手つきは巧みであり、愛撫とマッサージを合わせたような洗い方だ。ミルクの香りがするソープは、俺をリラックスさせる。彼女は自分の体にもソープを付け、豊かな胸を使って俺の体を洗う。俺の腕や足に押し付けるたびに、彼女の胸は大きく形を変える。
 陶然としている俺に、ヴィマラはイソジンを渡す。俺が気持ち良さに浸っているうちに、体を洗い終えたらしい。俺は薬臭い液で口をすすぎ、床へ吐き出す。独特の臭いに抵抗はあるが、これで口は消毒されただろう。
 俺は彼女に導かれて、マットにうつぶせになった。彼女は俺の隣にしゃがみこみ、乳白色のローションを手に取る。俺は首をかしげた。そばにローションは無い。まるで彼女の体からにじみ出てきたかのようだ。先ほどの踊りの時に乳白色の幕が広がっていたが、あれと同じ手品のようなものだろうか?
「ローションをかけますね。熱かったらおっしゃって下さいね」
 やはりヴィマラの声は、耳に心地よい。俺が無言でうなずくと、彼女は手でローションをすくって俺の背にかける。温かいローションを掌で塗り広げる。マッサージしているような手つきは、やはり心地よい。ミルクの甘い匂いが広がる。自分の体にも塗り広げると、俺の背にのしかかってきた。
 ヴィマラの体は、ローションのぬめりをうまく使って俺の体をマッサージする。濡れる音と共に、彼女の体は上下する。彼女の肌の感触は、俺の肌に染み込んでくる。柔らかい胸とその中心の硬い突起は、円を描くように俺の背を愛撫する。俺の右の背が軽く引っ張られた。彼女の口が吸いついているのだ。俺の首筋に吸い付いたかと思うと、俺の左の耳を舌でくすぐる。俺は、体を震わせてしまう。
 ヴィマラの体は、俺の下半身へと滑っていく。彼女の胸は、俺の尻を愛撫する。彼女の手は、俺の足の付け根をもみほぐし、そのまま俺の尻に滑る。彼女に促されて、俺は尻を上げる。
 次の瞬間、俺は声を上げそうになった。尻の穴をぬめる物がくすぐったからだ。ヴィマラは、俺のアナルをなめているのだ。なめながら手でペニスを愛撫する。俺は歓喜に震える。アナルなめをしてくれる風俗嬢は限られる。ソープ嬢でも嫌がる者は多い。だが、ヴィマラはねっとりと、ねちっこくなめてくれているのだ。
 なめるのを止めたかた思うと、繰り返しアナルにキスをする。そして音を立てて吸い付き、舌を中へと潜り込ませる。アナルへのディープキスを繰り返した後、今度は玉に吸い付く。その間に絶えずペニスを手で愛撫し続ける。俺は、歓喜と快楽のただ中にある。
 そのまま続けられたら、俺は精液をぶちまけてしまっただろう。だが、彼女は破裂前に切り上げた。そして少し間を置く。俺の限界を察知して、休みを取っているのだろう。
 ヴィマラは向きを変える。自分の尻を俺の股の下に滑り込ませる。彼女の張りのある尻は、俺のペニスを愛撫する。踊りの時に見せつけた尻で、俺のペニスに奉仕しているのだ。彼女は俺の左足に抱き付き、ふくらはぎを胸でマッサージする。足の指を、一本一本丁寧になめしゃぶる。指の股にまでねちっこく舌を這わせる。
 次々と繰り出される性奉仕に、俺はほんろうされた。彼女の奉仕は過激であり、巧みであり、そして優しく丁寧だ。愛情さえあると勘違いしそうになる。
「体を仰向けにしますので、少し体を浮かして下さいね」
 俺は、ぼんやりとうなずく。彼女の手が俺の腰にかかり、俺の体はひっくり返された。軽い感触と共に、俺はマットに寝ころぶ。天井を見上げる俺を、褐色のソープ嬢は見つめている。彼女は笑顔を浮かべる。
 ヴィマラは、俺のペニスに胸を押し付けた。俺は、彼女の胸を見つめる。やはり大きくて形が良い。褐色の胸は、白い胸以上に官能的だ。その胸は、ローションにより光っている。淫猥な胸は、俺のペニスを挟んでパイズリをする。胸の弾力と柔らかさは、ローションのぬめりで引き立つ。俺は上り詰めていく。
 彼女はまた動きを止める。意地悪く破裂を引き延ばす。俺の波が引いていくのを待つ。
 彼女は、俺に微笑みかける。やはり彼女は魅力的だ。整った顔は、棘のない温和なものだ。人を安心させるものがある。俺は、彼女の顔を見つめてしまう。
「さあ、私の中に入りましょうね。私の中を味わってくださいね」
 ヴィマラは、俺の腰の上に乗った。青みがかった銀色の陰毛が、俺のペニスをこする。彼女のヴァギナは、俺の怒張するペニスを飲み込む。俺はあせってしまう。俺のペニスにコンドームは付いていない。彼女は、生で本番をしてくれるのだろうか?
 俺のペニスは、快楽に飲み込まれた。温かい肉が俺のペニスを飲み込み、愛撫し、しめつける。蜜で潤う肉の壺は、俺をしゃぶり、甘嚙みして、渦を巻いて引き絞る。ゴムで遮られないむき出しの肉の感触は、俺のペニスから腰へ、背筋へと叩きつけられる。
 快楽を味わい続けた俺のペニスは、今にも弾けそうになっている。このままでは、彼女の中で出してしまう。俺は、出そうであることを伝える。情けないが、切迫した声を上げてしまう。だが、彼女は慌てた様子はない。俺をなだめるように微笑む。
「いいんですよ。思いっきり私の中で出してください。今まで我慢したものをたっぷりと出してください」
 その言葉がきっかけで、俺の限界に達した。俺は、彼女の中で弾けた。腰の奥から、体の奥から精液をぶちまける。俺の子種汁を、ヴィマラの中へと放出する。彼女の子宮を撃ち抜く。
 彼女は笑っていた。俺の精液を出されることを喜んでいるように、心底楽しそうに笑っていた。ローションで濡れた褐色の女は、肌を輝かせながら弾けている。踊るように弾けている。その姿は淫猥で、美しい。俺の腰の奥から次々と精液がわき上がり、性の踊り娘を撃ち抜く。
 俺たちは、悦楽の踊りに震えていた。

 ヴィマラは、シャワーでローションや精液、愛液を洗い流してくれた。その後は、二人で浴槽に浸かった。ヴィマラは、俺にすり寄りながら体をなでさすり、揉み解してくれる。後ろから肩を揉んでくれ、前から太ももやふくらはぎを揉んでくれたのだ。
 彼女は、俺に腰を上げるように言い、俺の尻を持ち上げる。俺のペニスは水面上に突き出る。彼女は舌なめずりをすると、俺のペニスを口に含んでなめ回す。いわゆる潜望鏡をしてくれたのだ。二度出したにもかかわらず、俺のペニスは怒張する。それだけ彼女のフェラは巧みなのだ。
 そのまま続けられたら、また出してしまうところだった。だが、ヴィマラは破裂前に切り上げて、俺を浴槽から出した。俺の体をバスタオルで拭くと、浴室の外へ導く。
 俺たちは、ベッドに腰を掛けた。ヴィマラは、俺に金色のグラスのようなものを渡す。中には、乳白色の液体が入っている。彼女に促され、俺はそのミルクのようなものを飲む。甘く濃厚でありながら、さわやかな味わいがある。ショーステージのある部屋で飲んだものと同じだ。
 俺はグラスを見つめる。このグラスは、金で出来ているのかもしれない。大理石造りの室内を見渡す。そして、今座っているベッドの感触を確かめる。多分、このベッドは高級品だろう。俺は、このソープランドの造りの贅沢さを再確認する。
 ふと、俺は自分の体の異変に気が付く。俺の体に精力があふれている。二度の射精でさすがに疲れていたのだが、その疲れが消えた。俺は、金のグラスを見つめる。これを飲んでから、力がわいてきた気がする。
 俺は、ヴィマラの体に腕を回す。もっと、この女とやりたい。彼女は楽しげに笑うと、俺の股間に顔を埋める。そして俺のペニスをしゃぶり始める。さらにパイズリで攻め立てた。たちまち俺のペニスは、臨戦態勢となる。彼女はベッドに横たわる。俺の手を引いて、誘ってくる。俺は、仰向けになっている彼女に覆いかぶさった。
 彼女の手は、俺のペニスをなでる。そのままヴァギナへと誘う。俺は、彼女の中へと沈めていく。コンドームは付けていない。俺は、生の感触を味わいながら推し進める。すでに濡れている肉襞が、俺を愛撫しながらしめ付けてくる。
 俺は、繰り返しヴィマラの中を突く。奥底に固い物がある。彼女の子宮かもしれない。俺はリズムを取りながら突く。彼女は喘ぎ声をあげ、俺の動きに合わせて腰を動かす。声に合わせて俺のペニスを引き絞る。
 俺は彼女の口を吸う。舌を絡ませて、お互いに唾液をすする。弾む豊かな胸に顔を埋め、その感触と匂いを楽しむ。彼女の体からは、ミルクの匂いがする。ソープやローションの香りが染みついているようだ。踊りの時に見せつけてくれた腋にも顔をうずめる。やはりミルクの匂いがする。腋をなめしゃぶると、彼女は身をよじりながら笑う。ヴィマラの胸や腋を味わうたびに、俺のペニスと腰に力がわいてくる。
 俺は、再び絶頂へと突き進む。中に出していいかと聞くと、彼女は俺の頬をなでる。
「中がいっぱいになるくらい出して!あふれるくらい出して!」
 彼女は、喘ぎながら懇願してくる。
 俺は、ヴィマラの中で弾けた。一度目、二度目に劣らない激しい弾け方だ。精液の塊を、繰り返し彼女の中へ打ち出す。子種の砲弾で彼女の子宮を撃ち抜く。そんな言い方をしたくなるほど激しい射精だ。俺は抑えられずに、獣じみた声を上げてしまう。彼女も雌の声を上げる。
 俺たちは、震えながら抱き合っていた。射精が終わっても震えは収まらない。俺は、彼女の体にしがみつく。彼女も、俺にしがみつく。彼女の匂いは、俺の興奮を持続させる。そして、次第に俺を落ち着かせる。
 俺たちは、互いの体を堪能しながら抱き合っていた。

 俺は、チャンドラの常連となった。ソープ嬢のレベルが高いうえに、俺にでも手が届く料金だからだ。俺は、月に一度は遊びに行った。もっと遊びに行きたいが、俺の収入では無理だ。
 指名するソープ嬢は、いつもヴィマラだ。他にも魅力的なソープ嬢はいるが、俺はヴィマラのサービスを受けたくて仕方がないのだ。あれだけレベルの高いソープ嬢なのだから、指名出来ないだろうと考えていた。だが、なぜか行くたびに彼女を指名することが出来た。彼女は、丹念なサービスをしてくれた。そして、サービスはどんどん良くなる。俺が今まで相手をしてもらった風俗嬢の中では、彼女は最高だ。
 ただ俺は、はまりすぎることを次第に警戒するようになった。風俗嬢にはまることは、風俗で遊ぶ者にとっては危険なことだ。風俗嬢に恋愛感情を持つことは、風俗ではご法度だ。風俗嬢と客は、あくまでサービスを金で売買する関係なのだ。
 通い始めて九か月経った頃に、俺は別のソープ嬢を指名しようとした。他にも魅力的な踊り娘はいたし、音楽を奏でる娘にもいい娘はいた。だが、なぜかそれらの娘は、俺が指名しようとすると店に断られるのだ。すでに、他の客に指名されているという話だ。残っている娘は、ヴィマラだけになっている。
 他の店に行くことも考えたが、そう考えたとたんに俺は萎えた。他にもいい店はあるし、いい娘もいる。だが、この店の、ヴィマラの魅力に比べれば落ちるのだ。
 結局、俺はヴィマラを指名した。彼女は、相変わらずきれいな娘だ。そして、前にも増して、素晴らしいサービスをしてくれる。俺を快楽の渦に引き込んでくれる。俺は、彼女にはまってしまうことになった。
 通い始めて一年に経った時、ヴィマラは俺を店外デートに誘った。俺は困惑した。風俗嬢にとってはご法度の行為だ。だが、俺はその申し出を受けた。彼女の魅力に抗えなかったのだ。
 俺は、彼女に付き合って芝居を観た。変わった芝居だった。それは、魔物と人間の交流を描いた芝居だ。鳥の翼を持つ魔物が、人間の男と愛し合う物語だ。変わってはいたが面白かった。脚本は良く出来ており、演技と演出も良い。魔物役の女優たちの姿は、本物の魔物かと思うほどだ。
 その後、俺たちは供に食事をとった。インド料理を食べさせてくれる料理店であり、味は見事なものだ。この店の特色の一つは、店員たちがコスプレをしていることだ。鳥の翼を付けた者や、天使の翼を付けた店員たちがいる。チャンドラの店員と似ているコスプレだ。何か関係があるのかと聞くと、業務提携することがあるそうだ。
 ソープランドとインド料理店が、業務提携することがあるのかと首をかしげた。まあ、この料理店は訳ありなのかもしれない。あまり突っ込まない方が良いだろう。
 それからも、店外デートを繰り返した。一緒に芝居、映画、音楽などを鑑賞しに行った。いずれも魔物を描いたものだ。それから買い物をして、食事をした。それらも魔物が絡んでいるものだ。商品が魔物を描いたイラストだったり、店員が魔物のコスプレをしていた。
 十回目の店外デートの時、彼女から申し出があった。これからは店の外で会いましょう。客とソープ嬢の関係を止めましょうと言われた。俺は、少なからず驚いた。だが、同時に喜んだ。俺は、彼女と密接な関係になりたかったのだ。俺は、彼女の申し出を受け入れた。ルール違反だとは思ったが、俺は彼女にはまりすぎていた。
 俺は、彼女の部屋に誘われた。俺たちは、そこで繰り返しセックスをするようになった。俺の部屋にも彼女は来た。そこでもセックスを繰り返した。俺たちは、毎日のように快楽に浸るようになったのだ。
 このような場合、風俗嬢のヒモが殴り込んで来るというのがよくあることだ。だが、いつまで経ってもそのようなことは無かった。どうやら美人局では無いようだ。まあ、俺の様に金の無い男に、ここまで手間暇かけて美人局はしないだろう。
 こうしてヴィマラとの付き合いは続いた。彼女と出会ってから二年たった時、俺たちは結婚した。

 結婚して一年後に、俺はヴィマラに真相を教えられた。ヴィマラは、人間では無く魔物だった。異世界から来た魔物であり、アプサラスという魔物だそうだ。水の精霊であり、愛の女神に仕える踊り娘なのだそうだ。
 もちろん俺は信じられなかった。小説か漫画のような話だ。だが、ヴィマラは人間では無いと思うこともあった。彼女からは力が発散されていると感じることがある。生命の力のようなものだ。その力は、俺にも影響を与えていた。俺は彼女と交わるようになってから、どんどん生命力がみなぎるようになった。精力がみなぎると言ってよい。それは、今までの俺からは考えられないほどだ。
 彼女は、証拠を見せてくれた。水の精霊としての力を示したのだ。さらに彼女は、愛の女神の信徒たちの所へ俺を連れて行ってくれた。そこは、彼女の勤めていたソープランドであり、彼女が店外デートで連れて行ってくれた所だ。そこには、コスプレをしているように見えた女たちがいた。彼女たちは、皆が魔物だった。
 この世界には、別の世界から来た魔物たちが大勢潜んでいるらしい。この世界で人間と共存するために活動しているそうだ。愛の女神の信徒である魔物もいれば、魔王と呼ばれる者の臣下である魔物もいるそうだ。いずれの魔物も、人間に友好的であることは共通している。彼女たちには、人間の協力者もいるそうだ。
 チャンドラは、愛の女神の信徒である魔物娘が、客である人間の男と婚活する場所であるそうだ。彼女たちは、客の中から気に入った者を選び、性の快楽を与える。そして、関係を深めて自分の伴侶にするそうだ。ヴィマラは、俺を気に入って性の奉仕をしたのだ。彼女以外のソープ嬢を俺が指名出来なかったのは、彼女が俺をキープしていたからだそうだ。
 俺は、当然のことながら事の真相に驚いた。だが、同時に可笑しかった。このような手を使って人間と結びつこうとする魔物が面白かったのだ。その魔物が自分に目を付けたことも面白かった。俺は、笑いながら魔物である彼女を受け入れた。不安そうに俺を見ていた彼女は、俺の反応にほっとしたようだ。
 現在、魔物と人間の結びつきは、秘かに進んでいるらしい。彼女たちの存在が明らかになる時のために、地ならしが進んでいるのだ。俺は、それを面白いと思う。そして、俺とヴィマラの結びつきも面白いと思っている。
16/12/28 23:05更新 / 鬼畜軍曹

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