読切小説
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Gの大進撃
 本田哲也は、緊張しながらインタビュー相手を待っていた。彼は、新聞記者として二十年以上の経験がある。強面として知られる与党の幹部の番記者をしたこともある。右翼の黒幕と言われる政治団体代表を追いかけ回したこともある。東南アジアを取材中に、軍事政権の幹部からにらまれたこともあるのだ。その彼が、記者人生の中でかつてないほど緊張していた。
 本田は、香港礼賓府に現在いる。「世界統一連盟」の広報官に、インタビューの場所として指定されたからだ。香港は、「世界統一連盟」の支配下にある。すでに世界の半分が彼女たちの手中にあるのだ。
 毎朝新聞は、「世界統一連盟」に取材を申し込んだ。その申し込みは、あっさりと受け入れられた。本田は、政治部記者として取材のため派遣されたのだ。
 本田の顔に脂汗が浮かぶ。神経質そうに汗をハンカチで拭う。一か月もしないうちに世界の半分を支配下に置いた者たちに、恐れを抱いているのだ。さらに、別の意味でも恐るべき者達だ。
 ノックの音と共に、一人の女が入ってきた。本田はソファーから立ち上がり、彼女に挨拶をする。インタビューに応じてくれた礼を述べる本田に対して、広報官である女は笑顔で応える。
 本田は、挨拶をしながら広報官を観察する。黒のビジネススーツを着て、白のビジネスシャツを着ている。行政や企業の広報担当者と変わらない格好だ。幼く見える可愛らしい顔だが、人間の顔と変わらない。
 だが茶色い髪からは、茶色の触角が二本伸びている。手は、茶色の表皮で覆われている。スカートの下から出ている足も、茶色い表皮で覆われている。その表皮は、体から出る油で光っている。
 窓の外を茶色の者が飛び過ぎた。広報官と同じ魔物娘であるデビルバグが、羽を広げながら飛び過ぎたのだ。
 世界の半分は、ゴキブリの魔物娘であるデビルバグの支配下に置かれていた。

 この未曽有の事態は、デビルバグの突然変異が発生したために起こった。デビルバグは、強靭な肉体へ変貌した上に、生命力の強さが増した。デビルバグの知能は高くないと言われていたが、突然変異後は人間に匹敵する知力を持つようになった。突然変異の原因、発生時期は現在のところ不明である。
 突然変異したデビルバグは、その優れた繁殖力により大量に増殖する。彼女たちは集団を形成し、コミュニケーションを頻繁に取るようになった。そして他の集団と連絡を取り合い、デビルバグの世界的なネットワークを瞬く間に作り上げた。そのネットワークを元に、世界にまたがる組織を作り上げた。それが「世界統一連盟」である。
 「世界統一連盟」は目的を定め、目的達成の方針を決めた。組織を統制する法を制定し、法を実行する機関を作り上げた。組織を運営する資金源を手にし、その活用方法を学び取った。これらのことを短期間で成し遂げると、目的達成のために動き出した。その目的とは、世界の統一、つまり世界征服である。彼女たちは、世界征服を「デビルバグ革命」と称している。
 デビルバグは、世界中に潜伏していた。ゴキブリの魔物娘であるから、潜伏することはずば抜けて長けている。「世界統一連盟」の名乗りを上げると同時に、全世界で侵攻を開始した。
 彼女たちは、都市を中心に侵攻を行った。下水道を始めとする都市の各所から、一斉に進撃する。人間側には計量不可能なほどのデビルバグは、電撃作戦を思わせる素早さで都市を制圧していく。
 突如都市に現れたために、大量破壊兵器は使えない。仕方なく、各国の軍は通常兵器で対抗した。だが、突然変異で強靭となった彼女たちは、銃弾も砲弾も効かない。火炎放射器で炎を浴びせられても、涼しい顔をしている。しかも、気づかぬうちに軍事基地に潜伏していたために、対応が不可能になる場合もある。それどころか、国防省などの中枢が最初の段階で占領されることも有り、各国の指揮系統は混乱していた。
 こうして、「世界統一連盟」の宣戦布告から一か月で、世界の半分はデビルバグの手に落ちた。

 本田は、早速インタビューに取り掛かった。インタビューの焦点は、世界統一連盟の目的である。彼女たちは、世界を統一することを掲げているが、統一する理由についてあまり述べていない。行動が先走っているのだ。それで本田は、理由について質問したのだ。
 広報官であるアンナ・ケロッグは、次のように理由について説明した。
 現在の問題は、世界を統一することで解決することが多い。戦争、貧困、それらによりもたらされる飢餓。これらの問題を解決するために、世界統一連盟は行動を起こしたのだ。
 人間たちは、国連などの国際機関を設けて問題の解決を図ろうとしているが、その効果はあまり無い。大国による暴虐が続いている。国を超える存在として期待されたグローバリズムと多国籍企業は、国家以上に暴虐を行うことがある。人間による問題解決は、期待出来ない。
 そうかと言って、魔物による問題解決も遅々としている。人間との混乱を避けることを優先し、慎重というよりは優柔不断になっている。人間社会に溶け込むことで変えるつもりだと言うが、かえって人間の社会や国家に振り回されることもある。魔王陛下の批判はしたくないが、この世界に来てからの魔王陛下のやり方は間違っている。
 自分たちデビルバグがやらなければ、世界の悲惨はこれからも続く。我々は、言葉よりも行動を重視する。百の言葉よりも、一つの行動だ。有無を言わせぬ力の行使によって、問題は解決する。世界は複雑だと得意げに言う者もいるが、行動を起こさない怠惰さの言い訳に過ぎない。我々は単純に行動する。力により世界を統一し、問題を解決する。
 我々は、強靭な生命力がある。そして人間以上の繁殖力がある。いかなる魔物娘よりも繁殖できる。数こそが我々の力だ。この力により、我々は世界の永久平和を実現するのだ。
 以上のようなことを、ケロッグ広報官は語った。
 話している最中、ケロッグ広報官は顔を紅潮させていた。その目からは情熱がほとばしる様だ。口調は抑えていたが、時折、興奮を抑えられない様子だ。
 本田は、ハンカチで何度か汗をぬぐう。彼女たちは、少なくとも彼女は本気かもしれない。
 ケロッグ広報官の主張は、政治の素人が聞いても単純素朴なものだろう。その単純な主張に、力の論理を持ち込んでいる。馬鹿馬鹿しいと笑うべき論だ。だが問題は、彼女たちがその論理を元に、具体的な行動を起こしていることだ。論理が単純であるだけ、その行動はとんでもないものとなる。
 本田は、デビルバグについて調べたことを思い返した。デビルバグは、魔物娘の中でも単純な思考の持ち主だ。現在のデビルバグは、突然変異により知的に高くなっている。だが、単純さは変わっていないのかもしれない。
 ベテランの新聞記者は、汗をぬぐうことを止めることが出来なかった。

 デビルバグの進撃は続いた。アメリカは彼女たちによって占領された。世界最強と言われる国も、彼女たちにはかなわなかった。下水道を始めどこからでも出現し、人々の中に飛び込んでくるのだ。そのために、アメリカ自慢の大量破壊兵器は使えない。通常兵器は、デビルバグには通じない。バズーカ砲を食らっても、けろりとした顔をしているのだ。
 大統領はホワイトハウスから逃げ出し、自分が所有するタワーに引きこもった。そこにもデビルバグたちは押しかけてくる。大統領は、放送禁止用語を連発して彼女たちを罵倒する。怒ったデビルバグたちは、大統領を裸にひんむいてタワーのてっぺんから吊るした。
 ウォール街は、デビルバグであふれた。ニューヨーク証券取引所では、ウォール・ストリート・ジャーナルを読むデビルバグの姿が見られた。デビルバグが占拠した日の相場の動きは、歴史に残るほど支離滅裂な乱高下を記録した。
 このアメリカの危機に、一人の男が立ち上がった。彼は、西部劇や刑事もので有名な俳優であり、映画監督もしている。アメリカの精神を体現していると言われる老人は、サンフランシスコでデビルバグの群れに立ち向かう。かつて演じた刑事が愛用するマグナムを撃つ。
 撃たれたデビルバグたちは、きょとんとした顔をした。彼女たちは老人を取り押さえ、マグナムを奪い取る。そして彼を、老人ホームへ連れて行った。
 中国もデビルバグに侵略された。「世界の工場」と言われる中国は、国内産業をフル回転して殺虫剤と防毒マスクを生産した。それらを装備した人民解放軍は、デビルバグと全面対決する。世界最大人員を誇る軍隊は、人海戦術で挑んだのだ。
 だが、デビルバグには殺虫剤は効かなかった。しかも人海戦術は、人民解放軍を上回っている。彼女たちは、すさまじい繁殖を遂げていたのだ。デビルバグの大群は、たちまち中国全土を支配した。
 大気汚染をものともしないデビルバグたちは、北京を占領した。百万を超えるデビルバグたちは天安門広場を埋め尽くし、「造反有理」「デビルバグ革命万歳」と書いたプラカードを掲げて行進した。
 インドもデビルバグの支配下に収まった。武力による制圧が不可能だと悟ったインド首脳たちは、マハトマ・ガンジーを見習って非暴力、不服従運動を始める。だが、デビルバグたちは暴力を振るわず、彼らに寄り添っただけだ。
 ロシアも、やはりデビルバグの支配下に置かれた。ロシアの大統領は、特殊部隊並みの戦闘力を持つと言われる。だが彼も、数十人のデビルバグに取り押さえられた。
 デビルバグたちは、赤の広場を埋め尽くした。彼女たちは「インターナショナル」を歌い、デビルバグ革命を誇る。デビルバグの代表たちは、レーニン廟に入った。「私たちはあなたを越えました!」と、保存処置をされたレーニンの遺体の前で豪語した。
 モスクワ市内に繰り出したデビルバグたちは、ウォッカをラッパ飲みしながらコサックダンスを踊った。
 この状況下では、ヨーロッパの運命も分かり切ったことだ。デビルバグたちは、ヨーロッパ全土を我が物顔で闊歩した。
 イギリス首相に面会したデビルバグは、このように言い放った。「欧州連合を離脱する必要はありません。世界は、私たちが一つにしますから」デビルバグたちは、手始めにスコットランドを完全支配下に置いた。イギリスからの分離を図る動きは抑えられた。スコットラドの至る所で、デビルバグたちはスコッチを飲みながらバグパイプを吹いている。
 リヴァプールでは、デビルバグたちは縦横無尽に飛び回った。彼女たちは、ジョン・レノンの「イマジン」を歌いながら「ラブ&ピース!」と叫んでいる。
 フランスでは、デビルバグたちはワインを飲んで酔っ払った。シャンゼリゼ通りに繰り出し、「ラ・マルセイエーズ」を歌いながら、デビルバグ革命を祝う。
 ヨーロッパで最後まで抵抗した者は、「欧州連合の女王」と呼ばれるドイツ首相だ。「ドイツのお母さん」と言われる彼女にとって、ゴキブリならぬデビルバグに屈するわけにはいかないのだ。「子供たち」をデビルバグから守るために立ち向かった。学者として化学を専攻した経歴を持つ彼女は、強力な殺虫剤を用いてデビルバグと戦う。
 だがデビルバグは、彼女の予想をはるかに上回った。殺虫剤は全く効かなかったのだ。デビルバグは、ドイツ首相を正座させると、殺虫剤の環境に与える害について説教した。
 ゴキブリは、暑さと寒さに弱い。だが、デビルバグたちは平然としている。サハラ砂漠で日光浴を楽しみ、シベリアの永久凍土でスケートを楽しんでいた。
 デビルバグの手はカリブ海にも及んだ。キューバの指導者である老人は、自動小銃を手に立ち向かう。「なめるなゴキブリども!俺は、兄貴やゲバラと革命を起こしたんだ!」そう叫び、自動小銃を乱射する。だが、かつての革命家も年にはかなわず、デビルバグに取り押さえられた。
 ハバナでは、ダイキリやキューバ・リブレを飲みながら革命を祝うデビルバグの姿であふれた。
 イラク、シリアにまたがる地域は、頭のアレな連中が支配している。その地にもデビルバグは襲撃した。その地を支配するダメ人間たちを、デビルバグは袋叩きにした。
 北朝鮮にもデビルバグは襲い掛かった。太った若輩者の独裁者を裸にひんむき、飛びながら平壌を引き回す。綾羅島メーデー・スタジアムでは、十万人のデビルバグがマスゲームを行い、デビルバグ革命を称えた。

 デビルバグは、世界の大半を支配していた。すでに日本周辺国は、デビルバグの支配下に落ちた。日本は、まだ占領されていない。魔物娘が多いために、デビルバグの侵略は防がれたのだ。だが日本は、すでにデビルバグに包囲された状態だ。デビルバグは、日本侵攻作戦を始めようとしていた。
 この事態に、総理はショックで倒れ、緊急入院した。閣僚や与党幹部は総理のイエスマンであるため、ほとんどの者が役に立たない。結局、苦労人として知られる官房長官が政府の指揮を執ることとなった。
 官房長官は、デビルバグに対抗するために各省庁を動かそうとした。だが、前例のない事態に官僚たちは右往左往し、各省庁は機能不全に陥っている。「有識者」を呼んで意見を聞いてみたが、勝手なことを言うばかりで役に立たない。
 不明生物特設災害対策本部が設置され、官房長官が本部長に就任した。普通の官僚が役に立たないと判断した官房長官は、各省庁の異端者たちを対策本部に集める。だが、これは失敗だった。集まった官僚は、奇人、変人、そして狂人だ。出てくる案は、いずれも常軌を逸したものばかりだ。環境省から来た官僚は、巨大ゴキブリホイホイの大量生産を提案したのだ。
 日本政府が迷走している間に、世界統一連盟のデビルバグたちは日本進撃を開始した。朝鮮半島と太平洋側から侵攻を開始した。その数は、総計三百万に上る。
 デビルバグたちはすでに勝ったつもりであり、完全に日本をなめていた。日本「占領」軍の司令官であるデビルバグは、サングラスをかけてコーンパイプをくわえている。彼女は、B29に乗って日本へ向かっている。デビルバグたちは、「第二次東京裁判」の用意を進めていた。

 アメリカ第七艦隊は、東京湾に迫っていた。乗っている者たちはデビルバグだ。彼女たちは、第二次世界大戦中のアメリカ軍の制服を着ている。艦船には、大量のチョコレートを積んでいる。「ギブ・ミー・チョコレート!」と言うはずの日本の子供に配るためだ。
 彼女たちは、甲板でビールを飲みながら、サクソフォーンでジャズを演奏している。戦う時の緊張は無い。今まで通りうまくいくはずだと思っている。やや緊張しているのは、日本「占領」軍民生局の職員たちくらいだ。彼女たちは、自分たちが立案した占領政策を実行に移す準備で忙しいのだ。
 突然、サクソフォーンの演奏が止まった。ビールを飲んでいたデビルバグたちは、怪訝そうな目で演奏者を見る。演奏者であるデビルバグは、しゃがみ込みながら震えている。そばにいたデビルバグが、介抱しようと近寄る。だが、彼女も震えだす。
 痙攣は、他のデビルバグたちにも移っていった。彼女たちは口からよだれを飛ばし、奇声を上げながら震える。甲板上を転げまわりながら、手足を滅茶苦茶に動かす。あたかも熱病にかかったかのような有様だ。
 「力が出ないよう」か細い声を上げながらデビルバグは震える。その言葉通り、強靭になったはずの彼女の体から、力が抜けていく。他のデビルバグたちの力も、みるみる抜けていく。
 力が抜けるだけでは無かった。彼女たちの顔は赤らみ、息が荒くなっている。口からは、絶え間なく喘ぎ声が出る。彼女たちの股間からは湯気が出て、そこから漏れる液体が甲板を濡らす。
 第七艦隊は機能不全に陥っていた。まともに動けるデビルバグは、一人もいない。彼女たちは、全員喘ぎ声を上げながら身もだえしている。
 この現象は、第七艦隊だけで起こっているのではない。全世界のデビルバグに起こっていた。ホワイトハウスでは、デビルバグたちが欲情を抑えられずにオナニーをしていた。中国の人民大会堂では、新たに全国人民代表大会議員となったデビルバグたちが、喘ぎ声を上げながら転げまわっている。クレムリンでは、デビルバグがよだれと愛液で濡れながら倒れている。
 全ては、「対G菌物質」によるものだ。突然変異をしたデビルバグに対抗する抗生物質を、日本と魔物が共同で作り出したのだ。
 日本の不明生物特設災害対策本部に、魔王の娘であるリリムが訪れた。官房長官に面会したリリムは、デビルバグに対抗するために協力を申し入れた。官房長官は、魔物に有利な条件を同時に押し付けられることを警戒する。だが、日本政府だけでは対抗できないことも認識していた。彼は、わらにも縋る思いでリリムの申し出を受け入れた。
 魔物たちは、対策本部のメンバーとして加わった。魔王の知恵袋と言われる悪魔バフォメットが、魔物たちを指揮する。サバトの研究者である魔女、研究者として活動するアンデッドであるリッチ、バフォメット並みの知性を持つ合成魔獣キマイラなどが、デビルバグの突然変異の原因を探る。
 この原因究明に協力するデビルバグもいた。彼女たちは自分の変化にとまどい、不安を覚えている。そして世界統一連盟の行動についていけない。彼女たちは、自分の体を研究対象として差し出すことを申し出た。
 研究の結果、細菌によりデビルバグの突然変異が起こったことが判明した。その細菌は、魔界から流れてくる魔力がゴキブリに付きやすい細菌と結合したために出来たのだ。対策本部は、この細菌を「G菌」と名付けた。「G菌」は世界中に発生し、デビルバグたちの大変異を起こしたのだ。
 人間と魔物の科学者たちは、このG菌に対抗する抗生物質を作ることに成功した。この抗生物質は魔力が込められており、G菌に取りついて魔力を中和させるのだ。その結果、突然変異したデビルバグは元に戻るのだ。ウイルスは、「対G菌物質」と名付けられた。
 対策本部は、全世界にこの「対G菌物質」をばらまいた。その結果、デビルバグたちは元へ戻ったのだ。
 同時に、対策本部は「対G媚薬菌」もばらまいた。虜の果実を発酵させて酒を造る技術や、ホルスタウロスミルクを発酵させて乳製品を作る技術を応用したものだ。これらの媚薬効果のある物を、デビルバグの細胞に合わせて作ったのだ。
 この「対G媚薬菌」も全世界にばらまいた。その結果、デビルバグたちはイキ狂うこととなったのだ。
 世界中のデビルバグがアヘ顔ダブルピースを晒す中、巨大な女の顔が上空に映った。その顔の映像は、世界中の上空に現れてデビルバグを見下ろす。その顔を表現することは難しい。陳腐な表現だが絶世の美女だ。その比類ない美貌は、デビルバグたちを静かに見つめた。
 デビルバグは、その顔を見上げてつぶやく。
「魔王様?」
 デビルバグたちは、アヘ顔を晒しながら上空の顔を見上げる。
 魔王と呼ばれた美女は、デビルバグたちに微笑みかけた。
「めっ!」
 その瞬間、世界中のデビルバグは潮を吹いた。

 かくして世界統一連盟は崩壊し、デビルバグ革命は失敗に終わった。
16/12/01 19:12更新 / 鬼畜軍曹

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