連載小説
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(29)ミミック
ダンジョンを探索していると、宝箱を見つけた。偉く古びた宝箱だ。
縁の金属部分など錆に覆われており、相当放置されていることがわかる。
だが僕は、宝箱に歩み寄りなどせず、そのまま無視して通り過ぎようとした。
すると宝箱の方から、不意に蝶番の軋む音が響いた。
「ねえ、そこの君・・・」
静かながらも奥に熱を抱えた、妖しい色気の含まれた女の声が、僕の背中に投げかけられる。
「宝箱、見落としているわよ・・・」
「見落としてません。ミミックだから見逃したんです」
あの宝箱が、見ミックであることを知っているからだ。このダンジョンはすでに完全に探索されきっており、僕のような駆け出し冒険者がマッピングの技術を身につけるために立ち寄るぐらいにしか使われていない。
先輩冒険者は、あのミミックは目印のようなものだと思えといっていた。
足を止め、振り返りながら答えると、宝箱のふたが薄くあいているのが見えた。
「もう、そんなこと言って・・・いいわ、そういうことにしておいてあげる」
「ああ、はいはい・・・」
「それよりちょっと話しない?私、こうやって人と話するの久しぶりなのよ・・・」
僕はミミックの言葉に、ちらりとダンジョンの奥を見た。まだマッピング訓練中だが、別に時間制限があるわけでもない。
「わかりました」
少し話をするぐらいならいいだろう。
僕は軽い気持ちで、ミミックの方に歩み寄ろうとした。
「あら、だめよ」
「え?」
宝箱まで後数歩、というところで、蓋の隙間から彼女の声が僕を制止した。
「ミミックに不用心に近づいちゃだめ。いきなり蓋が開いて、麻痺の魔法をかけられるかもしれないわよ?」
「そ、そうでしたね・・・」
気軽に話しかけてくるから忘れていたが、ミミックはそうやってうかつな冒険者を襲うのだ。
「基本的に、ミミックは蓋が開けられるまでじっとしているけど、近づいたところを不意打ちもあるかもしれないわ。だから、私がミミックへの近づき方を教えてあげる・・・」
「はあ、ありがとうございます・・・」
妙に艶めかしい、ぬめりを帯びたミミックの言葉に、僕はかすかな恥ずかしさを覚えながらそう答えた。
「いい?ミミックの背後に空間があるときは、後ろにそっと回り込むの・・・ほら、やって・・・」
「はぁ・・・」
言われるがまま、足音を忍ばせながら、宝箱の後ろに回り込む。
「それで、次は?」
「蓋が急に開かないように、蓋の上に覆い被さるのよ」
彼女がそう言うと同時に、蝶番が軋みを立てて蓋を閉ざした。
隙間がなくなったせいで、彼女の言葉も途切れたが、どうやらやれ、ということらしい。
「・・・・・・」
僕は宝箱の真後ろにたち、彼女の指示通り蓋の上に上半身を被せるようにして、体重をかけた。
「そうよ、そう・・・ふふふ、若い男の子って力が強いわねえ・・・」
蓋を持ち上げようとする力が数度加わり、ミミックのどこか嬉しげな声が響いた。
「それで、次はどうするんですか?」
「そのまま宝箱の鍵をいじるのよ。ミミックはそこが弱点だから・・・さ、早くゥ・・・」
鍵穴から、楽しげに何かを期待するような声が響くが、僕は小さく頭を振った。
「すみません。錠開けの技術は身につけてないので・・・」
「鍵開けも何にも必要ないわよ。ハリガネつっこんで、軽くかき回してあげるだけでいいのよ。ほら・・・」
「ですから、錠開けの技術がないから道具も持ってないんですよ」
妙にせかすミミックに、僕はそう理由を説明した。しかし、彼女はそれで諦めるわけでもなく、僕に向けてこう続けた。
「大丈夫よ、指があるでしょう・・・?普通の子は指なんて無理だけど、ほらよく見て・・・私のそこ、大きいでしょ?」
言われてみれば、彼女の宝箱の鍵穴は指が入りそうなほど大きい。
「触ってみて・・・」
言われるがまま、指を伸ばし、錆の浮いた鍵穴の縁にふれる。
ひんやりとした金属の冷たさと、錆特有のざらつきが指の腹を迎えた。
「そう、そうよ・・・いきなり指を入れず、大きさを確かめるみたいに、縁をなぞって・・・」
穴の奥から響く声に命じられるがまま、僕は鍵穴をさすった。
錆のおかげで鍵穴の縁は丸みを帯びており、金属製品にありがちな縁の鋭さは全くなかった。
「指が入りそう・・・?」
「はい、多分・・・」
妙な緊張感を覚えながら、僕はうなづいた。
「だったら、穴に指を入れて・・・ゆっくり、優しくよ・・・」
最後に、鍵穴に罠があるかもしれないから、と付け加えた彼女の穴に、僕はゆっくりと指を沈めた。
指の腹や爪を縁に浮いた錆がこすり、指先に小さな金属片の感触がふれる。
おそらく、錠前と閂につながる機構なのだろう。
「指に何か触った・・・?」
「はい、小さい金属が・・・」
「それが錠の部品・・・それを動かせば、鍵の開閉ができるわ・・・動かしてみて・・・」
指先で金属片を軽く左右に動かすと、軽い手応えとともにカチャンという音が響き、ミミックの上擦った声が鍵穴と指の隙間から漏れた。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・大丈夫よ・・・鍵がかかってびっくりしただけ・・・」
言葉の裏に、微かな興奮を宿らせながら、ミミックがそう答えた。
「これで、ミミックの動きを封じたも一緒よ・・・ミミックに好き放題できるわよ・・・」
「好き放題・・・」
彼女の言葉を、僕は無意識のうちに繰り返した。
「ほら、右手側の側板を見てみて・・・」
言われるがまま、宝箱の右側をのぞき込むと、板に穴が開いているのが見えた。ちょうど手が入りそうなほどの穴だ。
「本当なら、持っている道具で横に穴を開けなければいけないのだけれど、あなたの先輩たちが開けた穴があるから、そこを使って・・・」
「は、はい・・・」
僕は妙な緊張感に手をふるわせながら、穴に手を入れた。
手のひらを、宝箱の中の温もりと湿気が迎える。まるで手だけを、雨が降った直後に強い日差しが照りつけた真夏の午後に突っ込んだかのようだ。
だが、指の根本までを穴の中に差し入れたところで、指先に柔らかな物がふれた。
「きゃん・・・!」
「あ、ごめんなさい・・・!」
ミミックの中身。彼女の体に触れてしまったことに、僕はとっさに手を引っ込めて、謝った。
「謝らなくていいのよ・・・蓋に鍵をかけた時点で、あなたの勝ち・・・あなたが好きなようにしていいのよ・・・」
くすくすと、思わず謝った僕がほほえましくてしょうがない、という言葉が紡がれる。
ミミックに後押しされ、僕は再び穴に手を入れた。
ゆっくり、だが先ほどより少しだけ早く、木板に穿たれた穴の闇に指を沈めていく。
再び、指先に柔らかな物がふれた。だが、今度は手を引っ込めたりせず、その柔らかな物の正体を探るように、指を動かした。
それはしっとりと湿り気を帯びており、指の加える力に易々と形を変えながらも、すべすべと指先を受け流した。
指一本だけでなく、二本三本と柔らかな物にふれていくと、それは太く長い、棒のような造りをしていた。
「あの、これは・・・?」
「ん?さあ・・・どこかしらねえ・・・?」
僕の質問に、彼女は答えるわけでもなく、くすくすと笑った。
「もう少し、下まで動かせば分かるかも・・・ね?」
彼女の言葉に、僕は内心興奮を抱きながら、手を動かした。
形を確かめるように、柔らかな物に指先だけでなく、手のひらまで押し当てながら揉み、さすっていく。
指先だけでは柔らかさと湿り気しか分からなかったが、手で掴むようにして分かったことがある。この柔らかな物の内側に、少しだけ固い、芯のような物が走っている。しかも、芯はただ存在するのではなく、僕の手と指の動きに小さく、細かく痙攣して反応していた。
ミミックの太股だろうか?
そんな推測が浮かぶと同時に、僕は先ほどの彼女の言葉を脳裏で思い返した。
『もう少し下まで動かせば分かる』
太股から下に下れば、尻や腰、そして両足の付け根が待ちかまえている。
未だ目にしたことのない、女性の両足の付け根がすぐそばにあり、触れられるという事実に、僕は血が集まってくるのを感じた。股間に集まった血が宝箱の蓋の堅さを思い出させ、頭に集まった血が、僕から遠慮や緊張を取り除く。
「・・・!」
僕は手で彼女の太股をまさぐりながら、彼女の股間に指を伸ばした。
手の甲にもう一本の太股が触れるが、その柔らかさを堪能することもなく、女性の秘所に触れた。
闇に包まれ、木板に隔てられたそこには、縦に裂けた肉の亀裂があった。
内側から溢れ出す軟らかな肉が、皮膚の亀裂を押し開き、辺りに熱と湿り気を放っている。
僕は彼女のそこに触れると、亀裂をなぞった。
「ん・・・そ、そうよ・・・まずは優しく・・・」
亀裂の大きさを確かめるように、穴の縁を優しく優しくなぞって探る。
彼女のそこは大きく開いており、内側から溢れ出す肉は驚くほど柔らかかった。
そして、一通り穴の大きさを確かめたところで、僕は亀裂の中心点に指を押し当てた。
「ん・・・!」
指示の言葉の代わりに、何かに耐えるようなうめき声が鍵穴から漏れた。僕は、そのうめきを合図に、彼女の『鍵穴』に指を沈めた。
軟らかな肉を押し開き、指が秘所へと沈み込んでいく。
彼女のそこは柔らかく、熱く、僕の指を優しく受け入れた。
ぬめりが指先に絡みつき、肉の織りなす襞が複雑な内壁の起伏を作り出していた。
「はぁ、はぁ・・・」
僕は宝箱の木板に股間を押しつけながら、指先で肉の穴をかき回した。
軟らかな肉が、一かきごとに起伏と感触を変え、肉と粘液の海のさざ波に表れているような気分になる。
「あぁ、そこよ・・・そう・・・」
鍵穴からの声に従い、僕は言われるがまま、あるいは彼女の意図を察しながら、指で秘所をまさぐり続けた。
木板の隙間や鍵穴から、濃密な甘みを帯びた匂いが立ちこめ、頭がくらくらする。
やがて、指だけでは物足りず、手を、いや宝箱に押しつけてどうにか気を紛らわせている、屹立した肉棒を突き入れたいという欲望が芽生えてくる。
「そろそろ、シたくなってきたんじゃない・・・?」
『鍵穴』をいじられながらも、ミミックが僕の脳裏を読んだかのように、そう問いかけた。
「は、はい・・・」
「だったら、宝箱の前に回って、鍵を開けて・・・」
事実上の了解の言葉。僕はミミックの言葉に舞い上がり、宝箱の穴から指を引き抜いて、宝箱から降りた。
そして、その正面にかがみ込み、粘液に濡れる指を鍵穴に突き込んだ。
興奮に指が震え、思うように機構が動かせない。
「はぁ、はぁ・・・!」
「落ち着いて・・・私は逃げないわよ・・・うふふ・・・」
ミミックの声に、どうにか我を取り戻しながら、無理矢理呼吸を落ち着けて僕は鍵穴の奥、指先に少しだけ触れる金属片を動かした。
かちり、という音とともに、宝箱の閂がはずれる。
「・・・!」
指を引き抜き、蓋を開けようとした瞬間、宝箱が内側から開いた。
木板と金属の作り出す闇の中から、己の放つ淫臭を纏って現れたのは、赤い布を緩く肉付きのよい体に巻き付けただけの、一糸纏わぬ女だった。
宝箱のうちから立ち上がった彼女は、僕より頭一つほど大きく、年齢も僕よりいくらか上のように見えた。
「うふふ・・・!」
頬を上気させ、舌なめずりをしながら、ミミックが呆然と立ち尽くす僕の肩に手を回し、抱きすくめながら宝箱の内側へ引き込んだ。
僕はバランスを崩し、彼女に覆い被さるようにしながら倒れ込んでしまう。だが、彼女の乳房や太股など、柔らかな肉体がクッションとなり、わずかな衝撃が僕を襲っただけだった。
「・・・!ご、ごめんなさい・・・!」
「いいのよ」
彼女と密着している事実にのぼせ上がりそうになりながらも、謝罪の言葉を紡ぐが、彼女はにこりとほほえんだ。
「それより、苦しそうなそこ・・・楽にしてあげる・・・」
片手で僕の頭を抱き寄せたまま、彼女は僕のズボンにもう片方の手を伸ばし、そっと引き下ろした。
ズボンの内側で押さえつけられ、先走りで下着を濡らしていた肉棒が解放される。
だがその直後、屹立を軟らかな肉が包み込み、再び圧迫される。肉と粘液とミミックの体温が作り出す圧迫感は、ズボンと下着、あるいは宝箱の木板と僕自身の体重が作り出すそれより、遙かに心地よい物だった。
「あ、あ、ああ・・・!」
指より深く彼女の『鍵穴』に突き入れられた肉棒は、指より敏感に『鍵穴』の内側を感じ取り、僕に悲鳴めいた喘ぎ声を上げさせた。
肉の折り重なった襞が屹立に絡みつき、ゆるゆると波打つ感触に肉棒が、いや腰全体が引き抜かれそうな不安感が胸の内に生じた。
僕はとっさにミミックの体に腕を回し、必死にしがみついた。
「ふふ、大丈夫よ・・・」
ミミックはそう言うと両足を僕の腰に絡め、背中に両腕を回した。互いにしがみ付き合うような姿勢が圧迫感を増し、彼女の膣内が蠢く。
「ふぁ・・・!」
「我慢しないで、たっぷり出しなさい・・・!」
ミミックは射精しまいと踏みとどまる僕に、そう甘く囁いて誘惑した。彼女の求めと、僕の内側でたぎる衝動に逆らうのは、もはや限界だった。
意識が一瞬白に塗りつぶされ、肉棒が大きく脈打ちながら弾ける。
股間が破裂したかのような錯覚とともに、大量の精液が彼女の内側へ迸っていった。
「んぁああああ・・・」
鼻にかかった、喘ぎ声をあげながら、ミミックが小さく仰け反る。
彼女の大きな胸が突き出され、僕の顔がその間に埋まり、甘い香りが鼻孔を満たす。
そして、ミミックの乳房の柔らかさに、僕の興奮はますます燃え上がり、射精の勢いは強まるのだった。
どくん、どくん、と肉棒の鼓動に合わせて精液が噴出し、まるで血液を、僕の命そのものをミミックに捧げているような気分になる。
だが、体中の血液を放ち終えるよりも早く、射精の勢いが弱まり、絶頂から意識が引き戻された。
「はぁはぁはぁ・・・」
全身から力を抜き、ミミックに体を預けながら、僕は荒く息をついた。
「ふふ、たっぷり出したわね・・・若いっていいわねえ・・・」
僕を抱き寄せ、頭をなでながら、ミミックがそう言う。
「でも、一度捕まえたミミックの鍵を開けちゃうのは、ちょっとマズかったわねえ・・・」
「え・・・?」
彼女の言葉に、僕は乳房の会いだから顔を上げた。
「でも、ミミックさんがそうしろって・・・」
「君は誘惑されて、いいように操られたのよ・・・これが私以外のミミックだったら、とっくにどこかにつれて行かれてるわ・・・」
僕の背筋を、冷たい物が滑り降りた。
そうだ、彼女は僕に重要なことを教えてくれたのだ。
「す、すみません・・・」
「謝らなくていいわよ。あなたは駆け出しだし、それに若い男の子だもの。誘惑されてもしょうがないわ」
僕の髪の間に指をいれ、手櫛で梳くように頭をなでながら、彼女はそう言った。
「でも、次がないように、ここでたっぷり体に教えてあげるわ・・・」
「え?あ・・・ひゃう!」
ぐにゅりと蠢く膣壁に僕は声を上げた。
ミミックに連れて行かれることはなかった物の、解放されるのはもうしばらく後のようだった。
12/09/01 17:13更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
この大して怖がりでもないミミックさんは冒険者のよきエロ教師です。
年上のお姉さんにリードされるっていいですよね。
ところで、乗り物を操縦する際に「ワシが初めて動かした○○は、ワシの思い通りに動き回って、ガキのワシには年増女の味がしたもんだ!」って言ってみたいのですが、なかなか機会がありません。
どうすればいいのでしょうか!?

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