連載小説
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中編
「お願い事!私以外の女子と…その…楽しそうに会話するな!以上!」
「えええっ!?ちょ、イリィ!?何を言って…」

あのデートから数日、僕らはまた普段通りの学校生活を送っていた。……んだけど…。



教室でまたノートやプリントに描いた絵を見せあっていると、さっきまでなんだかむすっとした表情をしていたイリィが急に立ち上がって、僕のYシャツの袖を引っ張って廊下まで連れ出した。
そして、僕の顔の両側の壁にそのがっしりとした手を突いて、ずずいと顔を近づけて、開口一番むちゃくちゃなことを言ってきたのだ。


あまりにむちゃくちゃな内容だったので、驚く僕の顔の前に、ピンと伸ばした人差し指を突きつけて、

「返事は?」
「…いや、でもさすがにそのお願いは…」
「へ・ん・じ・は?!!」
「さ、さすがにそれは無理だって!学校生活を送る上では、イリィ以外の女子と会話しなきゃいけない場面だって…」
「私のお願いを聞かないというのか?」
「そんな事言ったって無理だよ!もうすぐ期末テストだし!勉強会だって開かれるし…」
「…そうか、すまない。無理を言ったな。……ちょっと疲れてるのかもしれない…。今日はもう帰るとするよ…」
「え?ちょっと、イリィ?」

あのデート以来、イリィは何かと僕に『お願い事』と言って何か注文をつけてくる。
例えば、『朝は一緒に登校しろ。』とか、『昼ご飯は私と二人きりで食べろ。』とか。
一見、恋人の間のいわゆる『愛ゆえの束縛』というやつに見えなくも無いが、どんな形であれイリィが僕に愛を向けてくれているのが嬉しくて、ついつい頷いてばかりいたら次第にエスカレートしていって、ついには今日みたいな無理難題や、『休みの日は一日中手を繋いでいろ』なんてことも言い出した。
断れば、さっきみたいに威圧して頷かせようとしてくるし、正直困っていた。
だが、今日は様子が違った。なんだかすごく思い悩んでいるように見えた。初デートの日にした約束を忘れたわけではないが、また僕に何か至らない点があったのだろうか?そんな不安が僕の心の中で渦巻いていた。





さらに月日は流れて1学期の期末試験が近くなってきた。例のごとくまた集まって勉強会を開くんじゃないかと思っていたのだが、今回はそうはならなかった。

「決めたぞ祐樹!」
「うわぁぁ!!びっくりした〜…いきなり迫られたらびっくりするじゃないか。」

テスト一週間前になり、ほとんどの教科がテスト範囲を終え、帰りのHRでテストの試験範囲の紙が配られた。
そして帰りの挨拶が済み、まっすぐにイリィの机に向かおうとした僕の眼前にいきなりイリィが飛び込んできた。

「決めたって?」
「今回の期末試験の勉強、私がお前に付きっ切りで教えてやろう!」
「え?付きっ切りって…勉強会じゃないの?」
「今回は勉強会は無しだ!まさかとは思うが、お前はやっぱり私以外の女子と隣に座っていちゃいちゃしながら勉強する勉強会に参加したいのか?」

僕が勉強会の名を口にすると、イリィは見事なジト目で僕を睨み、ありもしない事実をまくし立てる。

「だ、誰もいちゃいちゃなんて…」
「とにかく!お前は私と勉強するんだ!いいな?」
「え〜?せっかくだから皆と…」
「い・い・な?」
「…わかりました。」

こうして僕は、半ば連行されるようにイリィの家へ連れてこられた。
僕の親には、『友達の家でテスト勉強をしてくる』とメールを送ったのだが、母さんは『あんまり乱暴なのはダメよ?初めてだったらなおさらね。大切にしなさいよ?』なんて返信してきて、父さんは『ちゃんとゴムは付けるんだぞ?男のマナーだ。』なんて言ってきた。まったく、何て親だ。





「うわぁ…すっごぉ〜」

噂には聞いていたが、イリィの家は驚くほどの大きさの豪邸だった。
庭の面積も驚くほど広く、サッカーの試合が出来そうなほど広かった。
実はガーゴイルなんじゃないかと思うくらい精密に作られた像が並び、染み一つ無い綺麗な絨毯が敷き詰められた、ボロアパート一室分の広さはある玄関。絨毯の無いところは、全てぴかぴかの大理石だった。

「離れるんじゃないぞ。私も子供の頃はよく迷子になっていたからなぁ。」
「う、うん。気をつけるよ…」

確かにこれは子供なら迷子になって当然ともいえる広さだ。あちこちに視線を泳がせつつも、前を歩くイリィとはぐれないように付いていく。

「さ、到着だ。ここが我が家の居間だ。母さんは仕事であちこち飛び回っていて、今はいない。父さんは…」
「…?」

そこで不意に表情を曇らせたイリィ。僕はその表情を見て、イリィがどうして表情を曇らせたのかを悟ったが、どうすればいいのかわからなくて少し沈黙してしまった。

「…と、とにかく!今は両親は不在だ。だから、自分の家だと思ってくつろいでくれてかまわない。(いずれ祐樹の家にもなるからなぁ…)」
「え?ごめん、最後の方…聞こえなかったんだけど?」
「なんでもない!気にするな!…さ、さぁ祐樹!ぼちぼち勉強を始めよう!」

やっぱりイリィの様子が変な気がした。何というか、そわそわしていると言うか、僕を見る目が普段より熱っぽいと言うか…。
でも、僕はあえて気にしないでおいた。



「ねぇイリィ?その、トイレって何処かな?」

二人で隣同士に座って勉強をいていたのだが、僕たちがいるこの居間は高そうな家具や絨毯があり、シャンデリアやその他のインテリアも高級そうな雰囲気に満ちていた。今まで貧乏ではないが、割と質素な暮らしをしてきた僕は、どうも気になって落ち着かない。
それに、時々外から聞こえる工事現場のような騒音。イリィ曰く、改築工事なのだそうだが、僕がこの話題に触れるたびに、『集中しろ』なんて言ってすぐに話題を変えられてしまう。

「ん?トイレか。あいにく我が家には婦人用のものしか無いが…」
「工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工」
「フフッ、冗談だ。迷うとまずいから案内してやろう。」
「変な冗談はやめてよ……」

クスクスと笑う彼女の後に付いていくと、工事の音が次第に大きくなり、長く入り組んだ廊下の角を曲がると、何やら忙しなく作業をしている執事服の人たちや、作業服の人たちが見えた。
作業現場を見てみるに、どうやら一つの大きな部屋の中を大掛かりに改築しているようだった。
ここまで来ると、益々興味がわいてくる。実は僕は将来建築家を目指しているので、こういった作業現場には少なからず興味があったんだ。

「ねぇ、イリィ?」

そこで僕は少し前を歩くイリィに声を掛けたのだが、

「大丈夫だ、問題ない。」

イリィは早口でこちらを振り返ることも無くそう言い切り、不意に足をとめた。

「いや、大丈夫って…イリィ?」
「大丈夫だ。気にするな。あの部屋はだいぶぼろが出てきていたから、ただ改築作業をしているだけであって、決してお前をごにょごにょごにょごにょ……」
「え?なんだって…?え?な、どーゆーことなの?」

ん?何だか様子があからさまに変だな?

「さ!付いたぞ。ここがトイレだ。さっさと済ませて来い。待っててやるからな。」
「え?あ、うん。わかった。すぐ済ませるけど…」

そう言いながら僕はまたその改築作業現場に目を向ける。明らかにボロがでたからという理由で改築をするにしては大きすぎる規模だ。僕はなんだか嫌な予感がしたけれど、この時は気のせいだと思うことにした。







「ふぅ!そろそろ一段落だな。」

教科書を畳み、イリィが伸びをする。その隣で僕も持ってきた勉強道具を鞄にしまい、筆記用具を片付ける。時計を見ると、既に19時になろうとしていた。

「うわ!やば!急いで帰らないと!」

僕は手を動かすペースを速めた。だけど、横から紺色の鱗や甲殻が目立つ腕が僕の腕をそっと掴んだ。

「何を言っているんだ?今日は泊まっていくのだろう?」
「工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工」(2回目)
「?そのつもりだったのだが…違うのか?」
「え?いや、だって!その、イリィの親御さんたちにもご迷惑じゃ…」
「はっは、だから今は両親共に不在だと最初に…」
「!?」
「まったく、何を聞いていたんだ?そんなに私の家に足を踏み入れるのが緊張したのか?」
「い、いや、違うけど、でも、その、なんていうか…泊まり込みって言うのは…ちょっと…ほら!明日も学校あるし!鞄とか、全部家にあるし…」
「なぁに、そんなもの。明日の朝早くに使用人にでも取りに行かせよう。それとも、私と一緒に登校がてら取りに行くか?」
「そ、そんな!いいよ、今日は帰るよ!」

そう言って部屋の出口に行こうとしたところで、目にも留まらぬ速度でイリィが僕の前に割り込んできた。

「まぁまぁ、そんなに遠慮しなくていいぞ?」
「いや!その、遠慮とかじゃなくて!ほら!僕たちまだ高校生だし…若い男女が一つ屋根の下なんて…そんなの…」

なんとか彼女を説得して帰るための口実を探すが、どうしても見つからない。何を言ってもイリィは僕を帰らせてはくれないのだろうか?そんな事を考える僕の顔に、イリィはだんだんと顔を近づけてくる。そして、鼻先が触れ合うんじゃないかと思うほど近くに来た時、小さな声で言った。


「祐樹のエッチ///」


「〜〜〜っ!?」

やられた。
それから、最後まで抵抗はしてみたが、結局イリィは僕を解放してはくれず、泊まっていくことを両親にメールすると、

『なんだと!?祐樹!父さんはお前をそんな子に育てた覚えしかない!男ならびしっとかまして来い!帰ってきたら美味い酒を用意しておくからじっくりとその時の話をk(ry』

未成年ですよー!!

『よかったわ。お母さん、祐樹は一生童貞なんじゃないかって諦めかけてたのよ。でもほんとによかったわ。その子、今度、家に連れてきなさい。ちゃんとご両親にも挨拶するのよ?PS,孫の名前はこっちで考えておくから頑張ってね♪』

あんたらそれでも親かぁぁぁぁ!!!

二人の返信の内容を見たときは思わず携帯をへし折りたくなったが、グッとこらえる。

「では祐樹…」
「?」

携帯をたたんで溜息をついていると、イリィが真っ赤な顔をしてなんだかもじもじしながら声を掛けてきた。

「その…まず、夕飯にするか?風呂にするか?それとも…その…わ、わt「ご飯にしよう!」」

すんでのところで僕はさえぎった。そして同時に覚悟する。どうやらイリィは本気のようだ…。
何か(なんとなく察しはつくが)を覚悟して最後の言葉を声に出そうとしていたイリィは、僕にさえぎられてすこし悲しそうだった。その顔にちょっとだけ良心が痛んだが、僕としてはそういうのはもっと大人になってからにしたい…。



その後、僕は食堂へと連れて行かれた。
そこもやっぱり途方も無い広さで、学校の学食よりも多くの人数がいっせいに食事を取れそうな規模だった。
食事の最中、イリィはどこか上の空で考え事にふけっているようだった。もう結構な時間を一緒にすごしているので、その表情から楽しいことを考えているのか、まじめなことを考えているのか、悲しいことを考えているのか、なんてことは読み取れると思っていたのだが、今日の表情からは何も読み取れない……。だって、口の端から涎垂らしてデレデレ笑いながら考え事してたら…ねぇ?
ちなみに、出てきた料理はどれも本格的で絶品だった。




「さぁ、ここが我が家の風呂だ。床が滑るから走ったら危ないぞ?」
「大丈夫だよ…子供じゃないんだから。…あ!そういえば、僕の着替えって…」
「あぁ。ほら、これだ。」
そう言ってイリィが差し出してきたのはシルク製だろうか、ツヤツヤサラサラのバスローブだった。とっても高そうな見た目で、これだけで一ヶ月は生活できるような価値がありそうだ。
でも、僕の知ってる”着替え”と違う…。

「いや、そうじゃなくて、替えの下着とか寝巻きとか…」
「風呂上りにそんなものを着るのか?」
「工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工」(3回目)
「そんなものを着ていたら寝苦しいだろう…」
「え、じゃ、じゃあ、イリィは普段どんな格好で…」
「…聞くより、実際に見たほうが早いかもしれないぞ?」
「いや!遠慮します!」
「はっはっは!祐樹よ、顔が真っ赤だ。風呂に浸かる前からのぼせてしまうんじゃないか?」
「い、イリィのせいでしょ!!」

心臓に悪いやりとりをしつつ、脱衣所にはいる。そして、服を脱ごうと手を掛けたところで、視線を感じた。というか、目が合った。

「……イリィ?どうして脱衣所(ここ)に居るの?」
「ん?いや、それはだなぁ…その…まぁ、気にせず続けろ。」
「気になるよ!早く出いって!」
「まぁ良いじゃないか、裸の一つや二つ…減るもんじゃないだろう?」
「一つや二つって数えられないでしょ!っていうか、それってセクハラだよ!いいから出て行ってってば!」
「わかったわかった。じゃあ私も一緒に脱ぐからそれでお相子に…」
「もっとダメだよ!!」

それから、渋るイリィをなんとか脱衣所から閉め出して内鍵を閉める。
念のため、浴場の扉を開けて、一回閉める。こうすることで、イリィは僕が浴場に入ったと思い込んで何かアクションを起こすんじゃないかと踏んだのだが、案の定、イリィは何故存在するのか不思議に思う脱衣所の鍵を使って扉を開けてきた。
扉を開けてすぐのところで仁王立ちしていた僕を見て一瞬驚いた表情を浮かべた後、『アハハハ』と引きつった笑みを浮かべて扉を閉めようとする。
僕はその扉に手を掛けてこじ開け、イリィの両肩に手を置いて壁に押し付ける。はたから見たら僕がイリィを襲おうとしているみたいだが、そんなつもりは一切無い。

「な、何をするんだ祐樹…///」
「イリィ、僕の目を見て約束して。『僕がお風呂に入っている間、脱衣所にも浴場にも入らない』って。いいね?」

普段はイリィが僕にこんな感じで注文をつけているので、なんだか不思議な感じがした。イリィもそう思っているのか、なんだか呼吸が荒い。僕はまっすぐイリィの目を見つめるが、イリィは数秒僕の目を見つめた後、不意に視線をそらしてポツリと言った。

「わ、わかった…」
「だめだ、ちゃんと目を見て誓って!」

僕は軽くイリィの肩を揺すってもう一度目をあわせる。

「あうぅ…そ、そんなに…見られたくないものなのか?」

この状況に圧倒されているのか、いつもより低姿勢なハの字眉と上目遣いで僕を見てくるイリィがなんだかかわいらしく思えて、僕の心臓はどんどん刻むビートのペースを上げていく。

「うん。見られたくない。だから、ちゃんと約束して。覗いちゃダメだよ?いいね?」
「…じゃ、じゃあ、き、キ、キスをしてくれたら…覗かないと約束しよう…」

真っ赤な顔を更に真っ赤にして言われたその言葉に心臓が跳ねるが、今ここで動揺してしまっては彼女のペースに乗せられかねない。僕は勤めて平静を装い、イリィの申し出を断った。

「何故だ!いいじゃないか、何が問題なんだ?」
「問題ありありだよ。覗きなんて変態さんのすることだよ?イリィは変態さんだったの?」
「ち、ちが!変態なんかじゃない!私はただ…純粋に…」
「純粋に?」
「お、お前の裸体を見てみたかっただけだ…」
「それが変態さんの入り口だよ…」
「何が悪い?!好意を寄せる相手の裸体を見たいと思うことの何が悪い?!」
「ひ、開き直った…」

そのあと、子供のように駄々をこね始めたイリィを静かにさせるために、僕はイリィの右手をそっと握った。その感触にハッとしたイリィは、たちまち静かになる…と思ったのだが…

「何時までもそんな子供みたいに手を繋げば機嫌が直ると思うなよ!」
「なん…だと…?」
「私は子供じゃない!いい加減レディとして扱ってほしいものだな!」
「いやぁ、レディっていっても…子供っぽく駄々をこねながら言われても…」
「駄々をこねてなどいない!」

あのー?そろそろお風呂入りたいんですけど……



「わかったよ!じゃあ…覗かなかったらキ、キスをしてあげるよ。それでいいでしょ?///」
「本当か!?」

とたんに目をきらきらさせるイリィ。結局僕が折れるしか無いのか…

「覗かなかったらだからね?いい?絶対だよ?」
「わかった!私はした約束は守る主義だからな。」
「約束の内容を全部自分が有利な方向に捻じ曲げてるんだけどね…」
「む?何か言ったか?」
「いいや、何も。それじゃ…」

そう言って浴場の扉に手を掛ける。





置いてあったボディソープやシャンプーなんかはどれも5つ星ホテルに置いてあるような高級品ばかりだろう。
その中の一つを取って泡立てる。
安物との違いは大してわからないが、高級品なのであろうから、普段より気持ち分少なめに手に出して使った。
ワシャワシャと髪を洗って泡を流すと、濡れた髪がまぶたの上まで張り付いてきた。そろそろ切らなきゃいけないかもしれない。
僕たちの通っている学校は服装や頭髪に厳しいところなので、ワックスやシュシュとか呼ばれてるあの変な髪綿なんかは規制されている。だが、クラスの明キャラたちは、何故そこまでしてワックスを付けたいのかと思うほど毎日付けてきては生活指導の先生に捕まっている。
いい加減累積指導で学校の清掃活動に狩り出す程度じゃ反省しないようになってるんじゃないだろうか?そんな事を考えながら前髪を頭の後ろの方へ流し、いわゆるオールバックの状態にする。
そして、身体を洗おうと念のために腰に巻いておいたタオルを外し、ボディソープに手を伸ばしたところで、視界の隅から僕のタオルが消えた。
間髪居れずに背後から聞き覚えのある笑い声が聞こえた。

「フフフ、タオルは頂いた♪」
「い、イリィ!約束が違うぞ!なんで入ってきてるんだ?」
「違わないだろう?お前は『覗くな』と言ったんだ。私はそれに同意したが、『一緒に入らない』とは約束していないぞ?」
「屁理屈じゃないか!いいからタオル返して!早く出て行って!」
「…し、仕方ないな…そんなにほしいと言うなら///」

そう言って自分の身体に巻かれたタオルに手を掛けるイリィ。僕はそんなイリィから目をそらしながら慌ててとめる。

「ま、待った!そっちじゃなくて僕から取った方のタオルだよ!そ、それと、何でそんな格好してるのさ!早く脱衣所に戻って服を着て居間にでも行ってよ!」

一瞬だけど見えた彼女の真っ白な太ももや二の腕、自重しない豊満な胸の谷間etc…
その眩し過ぎる姿に早くも僕の愚息が自己主張を始める。このままじゃ僕の愚息は両手で隠しきれないほどの大きさになってしまう。
そう悟った僕は、まだ立ち上がれるうちにイリィからタオルを奪い返そうと歩み寄るが、イリィは浜辺で追いかけっこをしているベタな女性のように、アハハと笑うだけでタオルを返す気配は無い。

「イリィ!早くタオルを…」

彼女の持つタオルをひったくろうと手を伸ばすが、イリィはサッと手を動かして僕の手からタオルを遠ざける。

「ほらほら、ここだぞ?取らないのか?」
「イリィ!いい加減にしないと僕も怒る…ぞ!」
「はっはっは!怒ってみろ〜私からこのタオルを奪えたらな〜♪」
「このっ!!…おわっ!?」
「きゃぁ!」

ニヤニヤと笑う彼女の手に握られたタオルに手を伸ばしながら大きく踏み込んだが、踏み込んだ足が掛けたブレーキは表面の水気に受け流され、僕は前のめりに倒れる形になった。
そして、



「どうしてこーなった…」
「ん、んぅ…」

僕の身体の下でもぞもぞと動くイリィ。僕はイリィの顔の左右の床に手を突いて、下半身は彼女とぴったり密着した状態で固まっていた。
やばい。これはかなりやばい。主に僕の愚息がやばい。
パニックになる僕の下で、ゆっくりと目を明けたイリィは自分の状況を確認してから、少し申し訳なさそうな表情になった。

「ゆ、祐樹、すまん。調子に乗りすぎたな。怪我は無いか?床がすべりやすいから気をつけろと言っただろう?」
「……それも含めてイリィのせいでしょ?」
「う、うん…そうだな。すまん。」

さっきまでとは打って変わってシュンとしたイリィの表情から、さっきまでのことを連想してしまい、頬が熱くなった。

「ひゃっ!?」

頬の熱さを和らげようと別のことに思考を切り替えようとしていると、不意にイリィが何かに驚いたような声をあげた。
眼前の彼女は何やら下半身の方を見つめている。僕もその視線を追いかけると、

「祐樹のエッチ///」
「うわああああああ!!!!」

僕の愚息が、先ほどまでの情景を思い出したことで大きくなり、僕の下に寝転ぶイリィのお腹の辺りに当たっていた。
僕は慌てて膝を突いてイリィから離れようとするが、驚きの表情から瞬時に先ほどまでの意地の悪そうな笑みを浮かべたイリィに批難の声を浴びせられた。

「ご、ごめん!すぐ退くから!…うおっ!?」
「きゃー祐樹に押し倒されたーこのまま私は祐樹に襲われて(性的な意味で)食べられて嬲られて蹂躙されて祐樹の色に染め上げられて祐樹のものにされてしまうんだーキャー怖い恐ろしい助けてー誰かー」←棒読み
「ちょ、そんな、まだ何もしてないのに…」
「”まだ”?“まだ”と言ったな?つまり祐樹はこれから遅かれ早かれ私を襲うつもりだったと…」
「ちが、ことばのあやって奴だよ!僕はそんなつもり…」
「ほう?では、私の腹をいやらし〜く撫でた祐樹のその逞しい一物は何故、硬くそそり立っているんだ?」
「え?あ、いやぁ、それは///」
「祐樹、私に欲情したな?したんだろう?したはずだ!」
「う、うぅ、ごめんなさい///」

いつの間にかニヤニヤとした笑みに興奮のそれととれる荒い呼吸、そして紅潮した顔もプラスされて、僕を見みつめるイリィの瞳にはじっとりと絡みつくような熱がこもっている。
ちょっと待ってよマジかよマジなのかマジなんですかこれ!??
パニックに陥る僕を立派な尻尾で引き寄せ、イリィは不意に身体を反転させる。そして、僕は彼女の下に敷かれていた。そして、僕の耳に顔を寄せ、妙に色気をかもし出すささやき声で言った。

「祐樹、私にお前のその欲望をぶつけたいか?吐き出したいか?その一物で私を貫き、自分の証を私の中に放ちたいか?」

待って待って待って!それ以上はやばいって!僕の理性がフライアウェイしちゃうよ〜!!!

「…私は、お前が望むなら、何でもしてやるぞ?祐樹、私を好きにしろ…さぁ、来て…祐樹///」
「…ま、まずいって…!僕たち、まだ高校生だし…!」
「何処に問題がある?私たちは互いを愛しく思っているんだぞ?こうして肌を重ねているだけで、互いが欲するものが与えられ、満たされていく心地がするだろう?だが、こんなもんじゃ私は満足しない。私はもっともっとお前がほしい!祐樹、私にお前をくれ。交換に、私をお前に捧げよう。だから、いいだろう?頼む。もう限界なんだ…不安なんだ。お前が他の女と楽しそうに話しているのを見るだけで、触れ合っているのを見るだけで、目をあわせているのを見るだけで、私は…お前が私じゃない誰かの所へ行ってしまうんじゃないかと…だから…だから……」
「い、イリィ…」

さっきまでとは打って変わって悲しみに沈んだ表情を浮かべるイリィ。僕はいたたまれなくなって彼女に腕を回して抱きしめる。彼女は一瞬ビクッと振るえたが、すぐに身体から力を抜いて自分からも僕に腕を回してきた。

「このままじゃ風邪引いちゃうから、とりあえず湯船に行こう。」

そう言って身体を起こすと、今度はイリィも素直に言うことを聞いた。立ち上がってそっと手を引く僕の後ろで、彼女は小さく嗚咽を漏らして泣いていた。空いた手でなんども涙を拭う姿が視界の隅に映っていた。
ゆっくりと湯船に浸かり、濡れた鱗に包まれた彼女の手を握る。やっと涙が止まった彼女はすっと僕に寄り添うように背中を預けてきた。僕はそんな背中を受け止めるように抱きしめる。彼女の翼と頭の角が身体に当たっているけれど、嫌ではない。
普段真っ赤なリボンで飾られているこの角は、見る角度によってはかわいらしく、かっこよく、様々な見え方をする面白い部分だ。僕はそんな角の間に手をいえれて、そっと彼女の頭を撫でる。彼女は最初、くすぐったそうに笑ったが、長くと息を吐いてリラックスしたように見えた。






「背中を流してやろう。」

不意にそう言って湯船からあがるイリィ。僕は何も言わずにイリィが待つシャワーの前の風呂場用の椅子に座る。

「………んっ」
「………!?」

しばらくは普通に背中を洗ってくれていたイリィだったが、突然背中に当たる感触が別のものになって驚いた。
イリィが身に付けていたタオルを取り払って後ろから抱き突いてきたのだ。
さっき倒れた時にもわずかに触ってその柔らかさを感じたが、タオル無しで直に感じる彼女の胸は、この世のものとは思えないほど柔らかく、さらにそれがボディソープでぬるぬると押し付けられ、僕の興奮は一気に高まる。その状態で豊満な胸をひしゃげさせるように上下に動かれたものだから、僕の一物は人生で一番の硬さにいたった。上下する彼女の体重で上半身が前後に小さく傾く。そのたびに、背後から聞こえるニチャリヌチャリという淫猥な音。
そして、彼女の体温と柔らかさと、微かな鼓動。その鼓動は僕のと同じくらい早く、トクトクと規則正しく刻まれていた。そして、早くも荒くなっている僕とイリィの二つの呼吸音。それらずべてが、僕らを繋いでいるように思えて、僕はなんだか感慨深い気分になった。

「どう、だ?こうすると…気持ち、いいか…?」

自分で擦り付ける胸から感じる微かな快感で小さな喘ぎ声すら漏れる震えた唇で、僕に疑問を投げかける。

「う、うん。すごく、気持ちいいよ。でも、イリィはずっとやってて疲れない?辛かったら、やめていいからね?」
「こんなことくらいで、ハッ…音を上げるほど柔ではないぞ…ンッ…お前こそ、もっとこうしてほしいとか、注文は、ハァッ…んく、無いのか?」
「ううん。今のままで十分気持ちいいよ。でも、そろそろ流そう。次は、僕が背中を…」

そこまで言ってふと思い当たる。彼女の背中に生えた一対の大きな翼。普段は折り畳んであって、完全に広げた姿を見たことは無いが、背中を流すと言う行為であの翼に何らかのダメージを与えてしまうのが怖くて、僕は言いよどんでしまった。

「?…フフッ心配するな。羽なら一時的に消すことが出来る。」

そんな僕の胸中を見抜いて、イリィが優しく微笑みかけてくれた。
彼女に背中をお湯で洗い流してもらい、僕は立ち上がる。振り返るとタオルを取り払った生まれたままの姿のイリィが居た。だが、僕はもう視線をそらさない。そっと彼女に微笑みかけ、垢すりにボディソープを付けて擦り、泡立てる。その間にチラッと彼女の背中を見ると、おそらく魔術の一種なのだろう。見る見るうちに翼が縮んでいき、最後はスッと肩甲骨の皮膚の下に滑り込むように見えなくなった。そして、人間のものそっくりな裸の背中が姿を現した。

「すごいね。でも、痛くない?翼を畳んだら苦しいとか無い?」

若干ショッキングなシーンを見たことにより、イリィが少し心配になった。

「心配しすぎだ。祐樹は私を何だと思っているんだ?背中を流している間くらいならなんとも無い。だが、さすがにこのまま生活するのは辛いがな。さ、見目麗しき私の背中、傷をつけたらただじゃ置かないぞ?」

肩越しにこちらを振り返りながらいたずらっぽく笑って彼女は言う。

「優しくしてくれるんだろうな?」
「善処します。」

そう言いながら僕はそっと彼女の背中に触れる。さっきまで鱗と翼で隠れていた部分とは思えないほど柔らかい。改めて、彼女の扱う魔法が高度なものだったのだなと感心した。

「ん?どうした?見とれていないで手を動かしてはくれないか?」
「あ、ごめん。魔法、すごいなと思って…」
「”魔法”がすごいのか?」
「い、いや、イリィがすごい。」

慌てて取り繕ったが、彼女はフンッと鼻を鳴らした。どうやら少し機嫌を損ねてしまったらしい。

「…嬉しくない。」
「え?いや、ごめん。でも…」
「魔法で作った偽物の私を幾ら褒められても、私は嬉しくない。」

その言葉で、やっと彼女の言わんとしている事がわかった。
僕はイリィがしてくれたように、後ろから彼女をそっと抱きしめる。その行動にイリィは肩を弾ませたが、すぐに自分からも体を倒してもたれかかってきた。

「イリィ…」

かけるべき言葉が見つからない僕は、ただただ彼女を抱きしめるだけだった。だが、そんな僕の抱擁にイリィは幸せそうなため息で答えてくれた。

「だが、今は素直に喜んでおくとしよう。次はもっと上手な褒め方を期待しているぞ?」
「ハハハ…うん。」

それから、僕は一通りイリィの身体を洗い流し、ようやっと長い入浴が終わると思ったら、まだまだイリィは満足していなかったようで、僕を椅子に座らせて僕の前に膝を突いて座った。

「せっかくだ。身体の前面も私が綺麗にしてやろう。」

そう言って、イリィは自分の胸にボディソープを垂らし、僕ににじり寄ってきた。

「いやぁ、さすがに前は自分で洗えるよ…」

僕が頬を掻きながら言うが、彼女はにんまり笑って僕の足と足の間に手を入れてきた。

「うわ、ちょ!?イリィ!?」

驚いて椅子から落ちそうになる僕の腰を支え、イリィが僕の足の間にするりと入ってくる。

「こんなことは…一人では…ンッ…出来ないだろう?」

そう言いながら僕の一物を左右の豊かな胸で挟み込んで扱き出した。

「う、うわぁ…」
「どう、だ?一人では…ンハッ…得られない快感だ…ろう?私がたっぷりと…与えて、ンアッ…やるから、なぁ…」
「イ、 イリィ、すごく気持ちいいよ…」

イリィは僕の一物を愛しそうに見つめ、フニュフニュと形を変える自分の胸を両側から挟むように押し付けてひざ立ちのまま扱き上げる。暖かな体温が伝わり、文字通り包み込まれるような快楽と、時々僕を見上げて顔色を伺い、だらしなく快楽に浸る僕の顔を見上げて満足げな笑いを漏らす彼女の姿の視覚的刺激も加わって、一物の先端から透明な液体があふれ出す。

「ふふっ、祐樹の…ハッ…熱いのが、胸の中で…ピクピクと、いやらしく跳ねているな…そんなに、気持ち、いい…んぁ…のか?」

その言葉に、僕は更に頬が熱くなるのを感じ、小さく『うん』と答えることしか出来なかった。
それでも彼女は嬉しそうに笑い、不意に僕の一物の頂点からあふれ出す透明な液体に目を止めた。

「何か…ン…出ているが…大丈夫、なのか?どこか…辛いとかは無いか?」
「…いや、大丈夫。それは、その…気にしなくていいよ…」
「フフ♪なんてな!気持ち、いいと…出て来るんだろう?それくらい…ん…知ってるさ…」
「ハハハ…」
「触れられるの…を避けるように、説…ン…明を省いたのは、恥ずかしかった…からか?」

ずばり僕の意図するところを言い当てられた。やっぱりイリィにはかなわない。隠し事はできないなぁ…。

「フフフ♪身体は…正直だな…ん…そうやって、気持ち、良く…ん…なってくれるのは…悪い気分じゃ、無いな…」

彼女は段々胸で僕の愚息をしごくペースを上げてきた。さっきから感じるしびれるような感覚に思わず腰が浮きそうになり、僕は両手で椅子の淵を握った。

「そろそろ、イキ、そう…か?ん…イキたくなったら…ん…いつでもいいぞ?…そら、これで…どうだ♪…チュル…ピチャッ…レロ…」
「う、わぁぁ!!」

鱗だらけの手で下から持ち上げた自分の乳房を、左右で上下を入れ替えるように僕の愚息にグニュグニュと押し付ける動作を繰り返していたイリィが、不意に顎を引いて僕の愚息の頂点を少しだけ口に含んで舐め回した。
丁寧に鈴口に溜まった我慢汁をほじくるように掬い取って、塗りつけるように舌で舐め回す。経験があるのか知らないが、その攻撃に僕の愚息は大きくはね、今までより一際大きな電流というより、電撃に近い刺激が走りぬけ、絶頂がぐんと近くなる。また、彼女が顎を引いたことにより、彼女の頭の大きな二本の角が僕の胸板にぺチンと当たった。興奮と快感で高ぶっていた僕の身体は、そんな小さな刺激すらも快感として受け取ってしまう。

「クフッ…んちゅる…れろぉ…ちゅぴっちゅる…」

それからは胸よりも舌での攻撃が激しくなり、僕は足の指先まで強張らせて仰け反り、彼女から与えられる快感にもだえた。そして、ついにその時を迎えた。

「ンフフフ♪…ンチュッ…ピチャッ…ンンッ…じゅぞぞぞぞぞぞ…」
「!?んぁっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

びゅるっ!びゅくっびゅくっ!びゅるる!

「んほぁ!?ン……んくっ…んぐんぐ………んくっ…んくっ…♪」

快感に打ち震えながらも上目遣いで僕の表情を伺っていた彼女と目が合うと、彼女はすぅっと目を細めて含み笑いを漏らし、僕の一物を一気にくわえ込んでなんともいやらしい音を立てて吸い上げた。生まれて初めての感覚に戸惑う暇も限界を訴える暇も無く、僕はイリィの口の中に白くてネバネバの欲望をぶちまけた。その瞬間、僕の頭の中では真っ白な光が弾け、射精の快感や驚くほどの身体の熱さや荒い呼吸なんかが一気に鮮明になった。

「はぁ…はぁ…はぁ…ふぐっ…ふぅ…」

快感の余韻に浸る僕の前では、力を失った僕の一物を口から慎重に抜き出して、僕が放った精液を舌の上で転がしているイリィが居た。朱に染まった頬を緩ませて無邪気な子供のような笑顔を浮かべたまま、イリィは右へ左へと顔を傾け、口の中であちこちへと舌を動かして、僕の精液をもてあそんでいる。

「…ん♪……んぅ…ンフフ♪……んーあぁぁ♪」

僕の方をみて、より一層頬を緩ませた彼女は、四つんばいの体制で僕の方へいわゆるハイハイで寄ってくる。そして、まるで見せ付けるかのように口を大きく開き、僕の精液と自分の唾液が混ざったいやらしい液体を舌に絡ませて見せてきた。それから上半身を起こして僕に抱きつき、僕に聞こえるようにわざと大きな音を立ててその液体をゴクゴクと飲み込んでいった。

「ン〜フフフ♪…ん、くっ…ごきゅ…ごきゅ…ごきゅん…ぷはっ♪フフフ♪」

僕はそんな彼女を抱きしめて背中を撫でた。その刺激に応えるように彼女は尻尾を動かして僕の腕に擦り付けてきた。

「フフフ、お前の子種、美味かったぞ。」
「イリィ、すっごくエッチな顔してたよ?」
「ふんっ!お前だって情けない表情をしていたぞ?トロンとした目で私を見つめてくるものだから、少し焦らしてやろうと思っていたのに気が変わってしまった。」
「そ、そんな顔して無かったよ〜」
「いいや、していたぞ?私にすがるようなあの切なげな視線…たまらんなぁ…。」
「………」
「………」
「なぁ、祐樹…」
「ん?」
「その、…気持ちよかったか?」

その質問をした直後、僕の腕をひじから手首にかけて撫でるように動いていた彼女の尻尾が、キュっと腕に押し付けられた。抱きしめられているから彼女の表情は見えないけれど、さっきタオルの取り合いをした後みたいな表情をしてるような気がして、僕は無意識に腕に力を込めて彼女を引き寄せていた。

「とっても気持ちよかったよ。その…イッちゃうくらい…」

僕は出来る限りの誠意を込めて言ったつもりだったのだが、彼女は肩越しに『ブッ』っと噴出し、僕の背中を平手で打った。
鱗のとげとげした感触が当たって僕はビクッと跳ねてしまう。

「馬鹿者!せっかくいい雰囲気なのにどうしてそんな空気を乱すような余計な発言を…///」
「い!?いや、ごめん。その、まずかったかな?」
「……プッ…ハハハッ!もういい。お前にそんな格好の良い台詞を期待する方がおかしい。気持ちよかったか。そうか。ありがとう。その…お前がしてほしかったらまた何時でも言うといい。してやろう///」

なんだか一人で納得して笑っているのが気になったけど、僕はまた彼女を強く抱きしめた。

「ハハハッ!…っ!?祐樹?」

そんな僕に驚き、怪訝そうな声を発するイリィの耳に口を寄せて、彼女にされたように囁いた。

「イリィ、愛してる…」
「んなっ!?///な、な、なな、何をいきなり…」
「僕が愛してるのはイリィだけだから、もう不安に思わなくていいんだよ。僕は君以外の誰かの所に行ったりはしないから…。絶対絶対、心は傍に居るから。わかった?」
「…祐樹…。」

彼女の背中に回した手でそっと彼女の頭を撫でる。サラサラの髪は濡れてもなお手通りがよく、彼女の甘い香りがした。

「…祐樹…ありがとう。絶対だぞ?忘れるなよ?ずっとずっと、傍に居るんだぞ?」
「うん。約束するよ。」
「…はぁ。…嬉しいぞ、祐樹。…それと、…その…私も、あ、愛してるぞ?お前のことを、誰よりも///」
「うん。嬉しいよ、イr………はぁ、は、は、はっくょおおい!!」

やっちゃったよ…ずっと裸で抱き合ってたんだもんね〜…身体が冷えてくしゃみが…あれ、なんだか背筋が寒いなぁ…風邪かな?まいったな、イリィにうつさないように気を付けないと…あれ?なんだか急に息苦しく…胸が苦しいなぁ…背骨や肋骨も痛いし…これは風邪よりも深刻な病なのかな…?あぁ…なんだか視界が真っ暗に…意識が…な、くな…って……










「このっ!大馬鹿者!どうしてこんな大事な場面でくしゃみなんぞ!!それくらい我慢しろ!…まったく、どうしてこう、大事な場面でお前は失敗するんだ??!狙っているのか?そうなのか?え?どうなんだよ!?」
抱え込んだ恋人の身体を意識がなくなるまで両腕で締め上げ続けるドラゴンさんがいましたとさ。

そのあと目が覚めると学校に運ばれていく最中だった。気がつくと制服を着せられていて、僕を車の後部座席で膝枕していたイリィと目が合った。その日は一日中イリィの機嫌が良かった。


19/05/14 16:03更新 / ウカナ・N・アクナス
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■作者メッセージ
中編をつくろうかどうか迷ったのですが、結局作ることにしました。ほのぼの・ラブコメ・エロありなどのタグが、これで埋まるはずです。後はダークのタグ。こちらはまぁ、皆さんの予想通りなのかもしれませんが、頑張って描いていこうと思います。
お風呂回なので、イリィの入浴中の格好をどうしようか悩んだんですが、やっぱり鱗や甲殻や尻尾や角や尻尾は外せないので、お風呂に入る程度の浸水なら大丈夫なんじゃね?と勝手に脳内解決しましたwwおかしくね?何て思っても、大目に見てね♪
いよいよ次がこの物語最後の章になります。メインでやってるほうの物語が終わったら(終わる見込みははっきり言って0ゼロ)、番外編なんかもつけて行っちゃおうかな〜なんて思ってますwwまぁとりあえずは本編終わらせないとですがねw
お楽しみいただけると幸いです。よろしくお願いします。

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