連載小説
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中編
部屋には雨音と二人の荒い息遣いが籠っていた。
ジュカはソファーにしどけなく身を横たえ、右手で胸を服の上からそっと撫でさすり始めた、セーターを押し上げる乳房は手の動きに合わせて柔軟に形を変える。
左手は同じような動きで腿を撫でている。
尻尾は反対側の腿に絡み付いている、あれも愛撫になるのだろうか?
コンラッドは息を荒くしながらそれらの動きを目で追っていたが、それよりもジュカの視線が気になり始めた。
彼女の深紅の目はうっとりと蕩けて半目になりながらもコンラッドの顔や全身を見つめている、その視線がコンラッドの全身にねっとりと絡み付くようだった。
自慰行為という最も他人に見られたくない行為を見せているのはジュカの方だというのに、何故だかコンラッドの方が強い羞恥を感じさせられているようだった。
「その・・・」
「んん・・・?」
コンラッドが顔を紅潮させながら声を掛けると、こちらは全身が紅潮しているジュカが夢見心地のような声で応えた。
「あんまりその・・・見ないで欲しいんだが・・・」
思わず言った瞬間、ジュカがふふふっと笑った。
「それ、普通私が言う台詞じゃない?」
「いや、その、視線が・・・」
「我慢しておかずになってて」
「お、オカズって」
「私がいやらしいこと考える相手がコンラッド以外にいると思うの?」
「・・・っ」
「ね、ごめんね」
「な、何が?」
「いつもね・・・一人でする時、コンラッドの枕とか・・・ふう・・・ふうう・・・服とか・・・使ってるんだ・・・ごめんね?その後ちゃんと洗濯してるけど・・・」
「・・・」
洗濯してないのが欲しいな、と思ってしまったのは秘密にしておこうとコンラッドは思った。
そのうちにジュカの手の動きが徐々に大胆になり始める。
右手はセーターの裾から内側に侵入し、下乳付近を撫で上げる、愛撫するたびに乳房が変形して持ち上げられる様子がセーターの膨らみから伺える。
左手もパンツの裾から内側に入り込んだが局部には触れず、焦らすように腰の周辺を愛撫している。
「ふぅぅぅん・・・」
ジュカは堪え切れないようにソファーから身を起こすとテーブルにまで乗り上げ、殆どかぶりつきという状態でコンラッドに見入る。
たまらないのはコンラッドだった、ジュカはもう息が届くほど顔を間近に近付けてその潤んだ赤い目で強烈な視線を送ってくる、目で犯す、とはこういうことかと思った。
「くふうう、ひふぅうう♪」
コンラッドから見て前屈みになったので下半身は見えなくなったが、セーターの下の動きがより激しくなり始めたのがわかる、後では尻尾がくなくなと踊っているのが見える。
「コンラッドぉ・・・」
泣きそうな声で名前を呼ぶと眉を八の字に寄せてぎゅうっと目をきつく閉じる。
衣擦れの音に混じってにち、と水音がした。
「ふぅぅっ」
一声鳴いてジュカの全身が震え、頭ががくん、と下がった、前髪が垂れて表情が見えなくなる。
こちらからは見えないがどうやら指を局部に触れさせたらしい。
「くっんっんっ」
ジュカの体は小刻みに揺れ始め、それに合わせてちゅっちゅっと小さな水音が響き始める。
銀色の髪が合わせてサラサラと揺れ、コンラッドに向けて甘い匂いを送ってくる。
「んっんっんっんっぅ」
目をきつく閉じ、俯いたまま体を揺らす。
「んんっ・・・はぁ・・・はぁあ」
そうして時折顔を上げ、コンラッドを見つめた後にまた目を閉じて俯き、体を揺らす。
その仕草にはコンラッドも覚えがある、こう・・・艶本などでいたす時にお気に入りの所を凝視した後に目を閉じ、頭の中でアレコレやるという方式だ、ジュカもそうらしい。
「うぁぁう・・・駄目だよ・・・ダメだよぉぅ・・・」
ジュカは閉じた目の端に涙の粒を浮かべ、切なげに訴える。
一体彼女の想像内で自分は何をしているのか。
「ひいぃぃうぅぅぅ・・・許して・・・許してぇ・・・ごめんなさいぃぃ」
・・・本当に何をしているのか。
ジュカは許しを請いながらますます自身を追い詰めていく、水音が激しくなり、下唇を噛みながら何かを堪えるように眉を寄せ、ふうっふうっと息を荒げる、やがて・・・
「ああっ・・・――――――!」
最後には切なげな視線をコンラッドに送りながら静かに達した。
涙の粒を零しながらふるふると全身を震わせる様は淫靡でありながら奇妙に幻想的で美しかった。
そしてコンラッドは限界だった。
「ぁぁ・・・んちゅぅう!?」
今まさに絶頂を迎えている最中のジュカの唇を不意打ちで奪った。
「んん―――――ッッ!?」
ジュカはより高々と飛ばされる、見開かれた赤い目が焦点を失い、腰が不規則にがくんがくんと痙攣する。
そのまま互いに身を乗り出して唇を合わせた状態でジュカの体はぶるり、ぶるりと絶頂の揺り返しに震えた。
「んああう・・・ひどいよぅ・・・」
「何してた?」
「ぇ・・・?」
「想像の中で俺はジュカに何をしてたんだ?ごめんなさいなんて謝ったりしてさ」
「そ、それはその・・・」
「ん?」
(あれ?これって・・・?)
ジュカは気付く、些細な違いだがコンラッドの口調がぞんざいになっている、何よりいつもは優しすぎるくらい優しい目が僅かに細まり、冷ややかな光を灯している。
(も、もしかしてこれって・・・!!)
コンラッドは僅かに首を傾けるとジュカの桃色の唇をゆっくりと指でなぞった。
「んむっ・・・手・・・手を押さえつけられて・・・」
「こう?」
コンラッドはジュカをぐい、とソファーに引き倒すと両手を一纏めにして掴み、抵抗を封じてしまう。
無論、単純に腕力で言うなら魔物であるジュカの方が上だ、その気になれば振りほどく事は容易なはずだ。
しかしジュカにはそう感じられない、掴まれた両手はまるで絶対的な力量差がある相手に掴まれたようにぴくりとも動かせない、力ではなく心で束縛されてしまっている。
ジュカはうなじから背筋にかけてぞくぞくと鳥肌が立つのを感じた。
最高位の魔力と高い地位を生まれながらに持っているリリムは基本、人の上に立つ存在として生きる、誰かに拘束を受けるなどという経験はした事がない。
しかし今、コンラッドは明らかにリリムであるジュカを「支配」し「束縛」している、気負う事もなく、自然に、冷徹に。
「それで、どうされたんだ?」
「あ、あ、あの、その」
「その?」
コンラッドは組み敷いたジュカの赤い瞳を額同士を合わせるようにして覗きこむ。
普段温かな光を宿しているそのブラウンの瞳は今は妖しい輝きを放っているように見える、まるで淫魔の魅了の力を宿しているようだ。
「む、胸を・・・胸を乱暴に」
「こんな風に?」
コンラッドがセーターを捲り上げると美しさと大きさを兼ね備えたジュカの乳房がぶるん、とまろび出る。
その乳房を遠慮のない手つきでむんずと鷲掴んだ、強い握力で指の間から肉がむにゅりとはみ出る。
「ひぃいあっっ・・・!」
今までされた事のないような乱暴な手つきにジュカは悲鳴を上げる、しかしその声は苦痛よりも多分に媚を含んでいた。
コンラッドは目を細める、手から伝わる弾力、柔らかさ、滑らかさはどれだけ味わっても慣れる事がなく、我を忘れて溺れそうになる。
ジュカは無意識にコンラッドの唇を求める、いつも胸を愛撫される時は同時にキスをしてくれるのだ。
「んぐちゅぅ!?」
しかしキスを求めた口に与えられたのはしこり立った自分の乳首だった、揉みしだいていたコンラッドが房を持ち上げてジュカの口に押し込んだのだ。
「んんぅぅ!?」
自分で自分の乳首を咥えた事などなかったジュカは予想外の快楽に困惑する。
そんなジュカの表情を楽しげに見つめながらコンラッドは手を離してジュカの両手を解放すると、その手を乳房に誘導する。
「ほら・・・両方持って、咥えるんだ」
穏やかな、しかし断れない強引さを込めた声で命じる。
ジュカは両方の乳房を両手で持ち上げ、二つの乳首を自分で咥えるという痴態を演じさせられる。
「持って、しゃぶり続けて」
「ん、んンン、ちゅ」
そうして別の方法で両手の自由を奪ったしたコンラッドはジュカのズボンとパンツの裾に手を掛け、するすると下ろす、ジュカは何も言われずとも自然に腰を浮かせて協力してしまう。
「スゴイな」
脱がせた時に溢れ出たたっぷりの愛液で変色し、糸を引く下着を見たコンラッドは冷静に感想を述べた、ジュカは乳首を咥えたまま赤面する。
「それじゃあ、いくぞ」
「ふむぅ?」
一瞬ジュカは意味が理解できなかった、普段のコンラッドとの二人での情事は本番に至るまでゆっくりと長い前戯を行うのが恒例であり、こうまで性急に事に及ぶ事はなかったからだ。
そんなジュカの反応をよそにコンラッドは素早く自分のズボンを下ろすとジュカの中に無遠慮に押し入った。
ぬじゅるるるるるぅ
「んむぅあっ!?あっあぁぁーーーー」
「ほらっ・・・んっくっ・・・駄目だって・・・!」
「んじゅるっ!?」
唐突に訪れた予想外の快感に思わず乳首から口を外して声を上げてしまうが、コンラッドに手を押さえつけられまた口を自分の乳首で塞がれる。
「ん゛ん゛〜〜〜っっんじゅっちゅぱっ」
リズミカルに何度も何度も体の奥を突き上げられ、夢中で自分の乳首をしゃぶる。
(み・・・見られてるぅ・・・)
コンラッドは快感に表情を歪めながらも、ジュカの顔を愉しげに観察している。
ジュカの顔が快感と羞恥で耳まで真っ赤に染まって行く。
(恥ずかしい・・・恥ずかしいよぅ・・・)
先程は自ら自慰行為まで見せたのに何故だかその時よりも今の方が恥ずかしい、そして羞恥を感じれば感じるほど快感が制御できなくなっていく。
加減する事もできずにジュカの性器は大量の媚薬じみた愛液を分泌しながら無我夢中でコンラッドに貪りつき、形容しがたい複雑な動きで搾り上げる。
ビュグンッドクンッドグンッ
コンラッドは我慢する気もなかった、元々本気で絞ろうとするリリムに抗う事など不可能なのだ、そのまま大量の白濁を蠢くジュカの中にぶちまける、ただし腰の動きは止めない。
「ぷふぁっ・・・!あーーーーーっ♪あーーーーーっ♪イってるっっイってるからぁ!出しながらぁっ動かないれぇぇ♪」
たまらず乳首から口を外し、呂律の回らない懇願をする。
ジュカの腰は浮き上がり、美しいアーチを形作ってがくがくと痙攣する。
そのアーチを上からずしんっと腰を打ち込んで押し潰し、ぐっちゃぐっちゃと白濁した愛液と精液を飛び散らせながら激しく責め立てる。
「おおっおっおおおっおーーーっ!?」
ジュカの声から完全に理性が無くなり始める。
視線の定まらない目は大きく見開かれ、口の端からはたらたらと唾液が流れ落ちる。
それでいい、今はペース配分もロマンチックな雰囲気も睦言もいらない、獣のように乱れて欲しい、そういう声が聞きたい、そういう顔が見たい。
そんな事を思いながらコンラッドはがむしゃらにリズムを刻み続ける。
「こん・・・らっどぉぉぉーーーあいしてるぅぅぅあいしてるぅぅぅ」
しかしジュカは理性を飛ばされてなお、想いを叫び続けた。
コンラッドはその言葉に泣きそうになりながらジュカの乳首にがりりと歯を立てた。
部屋の中に響いていた雨音も今はもう別の音にかき消されて聞こえない、聞こえるのはリズミカルにソファーの軋む音と粘液を掻き混ぜるようなはしたない音と泣きながら愛を訴え続ける淫魔の悲鳴だけだった。



「お疲れ」
「お疲れさまー」
「うー疲れた・・・びしょびしょ・・・」
「早くダーリンに温めてもらお♪」
雨が降り続く中、城塞の中庭にずぶぬれの魔物の一団がいた。
ハ―ピーやブラックハーピーなど、翼を持った魔物達で構成されており、軽装ながらきちんとした装備を纏っている、彼女らはこの城塞の魔王軍で上空からの偵察を主な任務としている部隊だ。
今回も防衛線の見回りからの帰りで丁度上空から降り立った所だ、こういった悪天候に紛れて街に近付こうとする教団の部隊などもいるのでこんな時こそ入念な偵察が大事になる、しかし勿論こうしてずぶぬれになるのでこのような偵察任務は誰もが嫌がる物だが・・・。
「皆ありがとう」
飛ぶ事を得意とする種族の中に唯一混じっているサキュバス、漆黒の勇者ことソランが礼を述べた、参加率が高かった要因は彼女だ、元々この偵察は自分一人で構わないとソランは言ったのだが彼女が行くなら、と彼女を慕う魔物達が集まり、結局一部隊分で任務に当たる事になった、お陰で仕事は早めに終わった。
中庭から建物内に入り、入口前で各々水滴を払い落す。
「ほんと毎回思うんですけど勇者さんはよく鳥類の私達に飛んで付いてこれますね?こんな悪天候でも・・・」
「勇者さんはやめてと・・・まぁ、練習すれば出来るようになりますよ、多分私でなくても」
「いや、出来ないですって」
部下達と雑談を交わした後、今日の仕事はこれで終わりなのでそれぞれのねぐらや我が家に帰って行く、ソランも三人の私室に向かう。
水気は落としたもののやはり全身は乾ききっていないし体は芯まで冷え切っている、風呂に入りたい所だ、今日はジュカも居るはずなので気を利かせて溜めておいてくれているかもしれない。
コンラッドは帰っているだろうか?帰っていたなら風呂がなくても彼の人肌でじっくり温めてもらって・・・
ソランはだらしなく緩み掛けた頬をぺちん、と叩く。
馬鹿、昼間っからはしたない。
自分を戒めるもののやっぱり頬は締まりきらないし歩調は軽くなる。
扉の前に辿り着き、コンラッドが居てくれる事を願いながらノブに手を掛けた。
「ただい「んんんあああっっおあああぁぁあーーーーーー♪」
コンラッドの笑顔を期待して扉を開けたソランはジュカの晴々しいアクメ顔に出迎えられた。
11/07/30 16:06更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
ああ・・・次は三人で風呂だ。

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