読切小説
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堕落の馬
 「私たちは、前世からつながっていたのよ」
 2本の角と黒馬の下半身を持った美しい女が言った。女は魔物だ。今の日本では珍しくない。前世の妄想も珍しくないだろう。だが、次のような妄想はどうだろう?
 「私は前世では、牡馬だった。あなたは人間の女だった。お互い身と心を汚し合いながら、まぐわり続けたの」
 こうなってくると、あまり例を見ることはできないだろう。
 相手の男は、引きつった表情で無言のまま女を見ていた。

 武智は、高校生の時にフォルトゥーナと出会った。フォルトゥーナは、下半身が黒馬であるバイコーンの教師だった。武智の通っていた学校は、魔物の生徒や教師を受け入れていた。そこは商業高校であり、企業で働く魔物が出てきた以上、魔物を受け入れる必要があるという方針だった。
 武智は、同年代の者より年上の者のほうが話しやすいという生徒だった。加えて人間嫌いであり、魔物に対しては好感を持っていた。武智は、フォルトゥーナに対してよく話しかけた。フォルトゥーナのほうも、武智に対して好意的な態度を取った。武智が3年生になるころには、2人は恋人同士になった。
 バイコーンは、不純の象徴といわれる魔物である。武智とフォルトゥーナは、爛れた生活をすると思われた。意外と、フォルトゥーナがセックスを拒んだ。武智が学生のうちは目がつきやすい。今は、魔物が学校に入る試験期間だ。武智の卒業まで待ったほうがよい。そういう理由で、フォルトゥーナはセックスを拒んだ。武智は、しぶしぶ我慢した。
 武智の卒業式の日に、始めて2人はセックスをした。フォルトゥーナは、武智を1件のケーキ屋に招き入れた。ケーキ屋は、フォルトゥーナの友人であるサキュバスがやっている店だった。店の2階は居住スペースとなっており、そこを借りたのだ。
 2人は裸になり、一緒にシャワーを浴びた。フォルトゥーナは、優しく武智の体を洗った。緊張していた武智は、ゆっくりと体がほぐれていった。
 シャワーから出ると、2人は抱き合った。あせる武智をやさしくたしなめ、フォルトゥーナはリードしていった。武智の前にひざまずき、口と胸でペニスを愛撫した。武智は、フェラチオとパイズリについて知識としては知っていた。だが、これほどまで気持ちが良く、興奮するものだとは思わなかった。熱くぬめる唇と舌、柔らかく包み込む胸の感触が、武智を追い込んだ。見下ろすと、豊かな胸が唾液と先走り汁で濡れ光っていた。フォルトゥーナは、武智がもたないのを見て取って、どこへでも好きなだけ出していいとささやいた。
 武智は、フォルトゥーナの顔と胸にぶちまけた。濃い白濁液が、形の良い鼻と唇を汚した。白い胸を、別の色合いの白濁液で覆った。むせ返るような刺激臭が、辺りに広がった。フォルトゥーナは、痙攣するペニスをゆっくりと胸でマッサージした。武智を見上げながら、口と鼻の下を舐め回した。
 フォルトゥーナは口と胸でペニスを回復させると、武智に対して尻を向けた。足を広げ、ヴァギナが見やすくなるようにした。ヴァギナは既に濡れそぼり、濃い臭いを放っていた。舐めてくれないかしらと、フォルトゥーナは尻を振りながら言った。武智は、かぶりつくようにフォルトゥーナの尻に顔を埋めた。乱暴にヴァギナを舐め回した。フォルトゥーナから注意されて少し穏やかなものにしたが、乱暴な舐め方には変わらなかった。ヴァギナからは、あふれるように蜜が湧き出してきた。
 武智は立ち上がると、ペニスをヴァギナに押し込んだ。入れてもいいかと、荒い息をつきながら言った。乱暴にしないでね、入れて頂戴。フォルトゥーナは笑いながら言った。フォルトゥーナが言い終わらないうちに、武智はペニスをヴァギナの中へと埋め込んでいった。フォルトゥーナの中は、熱い肉と液が渦を巻いていた。武智のペニスは、いいように翻弄されていった。ペニスだけではなく、下半身が渦に絞られているような感じだった。先ほど出したばかりなのに、すぐに上り詰めた。出そうだと武智がうめくと、中に出して、ピルを飲んでいるからとフォルトゥーナはささやいた。
 武智はその言葉と同時に、精液を放った。武智の下半身は、強い衝撃に翻弄された。まるで睾丸が溶けて液体となり、フォルトゥーナの中へ放出しているようだった。武智は自分を支えられなくなり、フォルトゥーナの背に倒れこんだ。フォルトゥーナは、優しく武智を背で受け止めた。武智は、フォルトゥーナの甘い汗の匂いをかぎながら意識を失っていった。
 気がつくと、フォルトゥーナは横たわった武智の体をやさしく撫で回していた。これからたくさん気持ちいいことしましょうね、フォルトゥーナは微笑んだ。

 それからの2人の生活は快楽にまみれていた。2人は暇さえあれば会って、セックスにのめりこんだ。武智は、高校卒業後は経理の専門学校に通っていた。時間を融通する事ができた。フォルトゥーナも教職員生活で忙しかったが、なるべく時間の都合をつけて武智とセックスをした。場所は、始めて快楽に沈んだケーキ屋の時もあれば、カラオケボックスやマンションの一室の時もあった。いずれも魔物娘が所持している所だった。ここは地方である。人目を首都圏以上に気にしなくてはいけない。そのため魔物娘たちは、場所を融通し合っていた。2人も、魔物娘のネットワークを利用した。
 2人は様々なプレイを試した。ある時はフィストファックに挑戦した。武智は右腕にたっぷりローションを塗り、フォルトゥーナのヴァギナに腕を埋め込んでいった。武智が腕を膣で動かすと、フォルトゥーナは痙攣しながら白目を剥き、小便を漏らした。ある時は浣腸を試した。武智は、フォルトゥーナの尻の中に浣腸用の溶液を注入した。フォルトゥーナが液状の糞便を撒き散らした後、武智は汚れたアヌスの中にペニスを挿入し、アナルセックスを楽しんだ。精液をアナルの中に出した後、そのまま小便をアナルの中にぶちまけた。フォルトゥーナは糞尿に汚れた体で、よだれと鼻水を流しながらアヘ顔をさらした。
 武智が専門学校を卒業し就職すると、2人は同棲した。高校卒業から2年もたっており、もう人目を気にする必要はなかった。以前は3日に1回程度会って、セックスをしていた。同棲後は、毎日のようにセックスに耽った。そのセックスの中で、武智は自分がSだけでなくMも対応できる事を発見した。武智は、フォルトゥーナに前立腺をマッサージされながら棹をしごかれた時、大量に射精した。あまりの気持ちのよさに、危うく気絶するところだった。ペニスを、フォルトゥーナの足で踏まれた時も興奮した。馬の足で柔らかくペニスを踏まれると、背筋にくり返し快感の波が走った。武智は、自分がサディストであると同時にマゾヒストだとわかった。2人はどんどん性の探求に励んでいった。
 武智の仕事のほうもうまく行っていた。武智は、フォルトゥーナの紹介で税理士事務所に勤めていた。刑部狸が所長をしていた。所長は、武智に丁寧に仕事を教えてくれた。きちんと仕事を教えれば、きちんと仕事が出来るようになり、所長である自分の利益となる。仕事のできる人間を育てる事は国家と社会の利益となり、それが自分に返ってくる事で自分の利益となる。所長はそういう考えの持ち主だった。所長の手間隙をかけた指導のもとで、武智は、仕事の知識と技術を習得していった。フォルトゥーナの教職員生活もうまくいっていた。2人の生活はうまくいっているはずだった。

 武智がフォルトゥーナの異常さに気づいたのは、同棲を始めて1年たったころだった。フォルトゥーナと話をしている最中に、フォルトゥーナが知らないはずのことを話している事に気づいた。武智とフォルトゥーナが出会ったのは、武智が高校生の時である。それ以前のことは、武智が話した事でなければ知らないはずだ。その時は、以前話したことを自分が忘れているのだろうと武智は思った。だが、それから注意してフォルトゥーナの話を聞くようになった。武智が話していない事をフォルトゥーナが話す事は、1度や2度ではなかった。
 武智は不審に思い、フォルトゥーナのことを調べ始めた。掃除や整理を口実に、フォルトゥーナの持ち物を調べた。武智は、1つのUSBを見つけた。フォルトゥーナの小物入れに入っていた。フォルトゥーナは情報関係は、その小物入れに入れないはずだった。武智にもわかる机の引き出しに入れるはずだった。フォルトゥーナがいない隙を見て、武智はそのUSBの中をパソコンで見た。中には、自分が5歳の時からの情報が、きちんと整理された状態で収まっていた。隠し撮りしたと思しき画像も入っていた。武智はどうするか悩んだ。悩んだ末、問い詰める事にした。武智とフォルトゥーナは、既に切っても切れない関係となっていた。はっきりさせるべきだと武智は考えた。
 フォルトゥーナの答えは、武智の予想を超えた。
 「私たちは、前世からつながっていたのよ」
 唖然とする武智に対して、フォルトゥーナは説明を始めた。説明というよりは、妄想の垂れ流しだった。フォルトゥーナは、1500年以上前にこの国で牡馬として生まれた。大王に、人間の女を犯すために調教された。フォルトゥーナは、人間の女達とまぐわらされた。フォルトゥーナに犯された女は、陰部が濡れていれば殺され、濡れていなければ大王の性奴隷とされた。そのフォルトゥーナに犯された女達の中に、前世の武智がいたと言うのだ。
 武智は、フォルトゥーナの魔羅で女陰を犯されても濡れなかった。そのため武智は、大王の奴隷として嬲り者にされた。フォルトゥーナは、武智のことが忘れられなかった。多くの女達を犯してきたが、武智の体ほどフォルトゥーナに快楽を与えたものは無かった。釣りあがった目が特徴的な妖艶な顔、豊かな胸、何よりも快楽の渦を秘めた女陰。武智を想うと、フォルトゥーナは魔羅の怒張を納められなくなった。だが、もはや武智を犯す事はできないはずだった。武智は大王の奴隷となった、もう自分の手に届くものではない。そう、あきらめようとした。
 そんなフォルトゥーナのもとへ、武智が人目を忍んでやってきた。武智はフォルトゥーナにすがりついた。私は、あなただけを愛しています。驚くフォルトゥーナに、武智は語り続けた。私は、大王に犯される毎日です。そんな日々の中で救いとなるのは、あなたと抱き合った思い出です。あなたのものを迎え入れたとき、私は濡れそうになりました。大王に殺されないために、必死で濡れないようにしたのです。私を犯してください。あなたに犯されたいのです。
 フォルトゥーナは、武智にむしゃぶりついた。口を使って、武智の服を乱暴に脱がした。武智の体を荒々しく舐め回した。顔、胸、腋、腹、股、尻。フォルトゥーナは、臭い唾液をたっぷり塗りこめながら、武智の体を舐め回した。武智は跪き、多くの女を犯したフォルトゥーナの魔羅に頬ずりをした。舌を丁寧に這わせ、汚れをこそぎ落とした。手でさすりながら、魔羅の隅々まで舌を這わせた。耐えられずに、フォルトゥーナは武智に精を放った。武智の顔と胸は、汚液で覆われた。武智は手でぬぐい、おいしそうに舐め取った。
 フォルトゥーナは我慢できず、魔羅を武智の体に押し付けた。武智は四つんばいとなり、フォルトゥーナに向かって尻を突き出した。フォルトゥーナは武智に覆いかぶさり、萎えない魔羅を女陰に突き刺した。武智はフォルトゥーナを向かい入れると、激しく腰を振った。フォルトゥーナは魔羅から突き上げる快楽のあまり、口からとめどなくよだれを垂らした。武智も、歓喜の声を上げながら腰を振った。フォルトゥーナはこらえることも出来ず、大量の精を武智の中に放った。武智は、恍惚とした表情で精を受け止めた。
 それから2人は、大王に隠れて逢瀬を重ねた。お互いの体をむさぼり続けた。2人にとって、お互いだけが全てであった。フォルトゥーナと武智にとって、秘密の交合は生命を危険にさらしてもかまわぬほどの快楽だった。
 結局、2人の淫楽は大王に露見した。2人はともに殺された。全身を矛で突き刺された。血の海の中で息絶えていく武智を見つめながら、フォルトゥーナは再び生まれ変わり武智と会うことを誓い、息絶えた。
 フォルトゥーナは、この世界とは別の世界に生まれ変わった。元の世界に戻る事が出来ず、一度は絶望した。だが、大きな幸運が舞い込んだ。今いる世界と、元の世界をつなぐゲートが開いたのだ。フォルトゥーナは、異世界への移住者の募集に即座に応募した。この世界にたどり着くと、かつて暮らした日本に住み着いた。職を転々としながら、武智を探した。16年前、ついに武智を探し当てた。武智について密かに調べ続けた。高校生になった武智に、教師として接触した。じっくりと武智とコミニケーションを取り続け、武智と結ばれるところまでこぎつけた。そして、今では武智とかつてのように愛し合うようになった。
 フォルトゥーナは、語り終えるとうっとりしたように武智を見つめた。
 武智は、何も考える事ができなかった。脳が機能を停止していた。想像を絶する妄想を聞かされ、脳の処理能力が追いつかなくなっていた。前世に関する妄想だけならば、応対できただろう。その手の妄想が、昔流行った事は聞いた事がある。前世で共に戦った戦士同士という突拍子も無い話を聞いても、何とか応対できたかもしれない。だが、自分が前世では女で、牡馬とセックスし続けたという妄想はどうだろうか?武智は、女になった自分が牡馬のペニスに頬ずりし、舐めまわしている姿を思い浮かべた。その瞬間、武智の視界は白くなった。脳が、処理不能とわめき散らしていた。
 その後、フォルトゥーナが何を言ったか、自分が何を言ったかを武智はよくわからなかった。席を立ち、寝室に入りベットに寝転んだ。そのまま意識を失うように、眠りに落ちた。

 武智は、自分が人生の岐路に立っていることを自覚した。自分のすぐそばには、婚約者同然の女がいる。その女は妄想狂だ。ひと昔前の言い方だと電波女だ。頭のおかしい女と結婚するか、それとも別れるか。自分が今、人生最大の選択場面に立っていることを自覚した。
 武智は嗤った。現実逃避はやめよう。選択肢など無いのだ。フォルトゥーナと結婚するしかないのだ.フォルトゥーナは自分を逃がしやしない。どんな手段を使っても、自分を所有するだろう。自分が5歳の時から、手に入れるべく画策し続けてきたのだ。その結果、手に入れる事に成功したのだ。自分が逃げられるとは思えない。
 第一逃げる気にならないのだ。武智は、フォルトゥーナに溺れていた。フォルトゥーナとの変態セックスに溺れていた。武智は、フォルトゥーナとの様々な淫猥な行為を思い返していた。フォルトゥーナはよくフェラチオをしてくれた。精液だけでなく小便まで飲んでくれた。洗ってないアナルを舐めまわしてくれた事もあった。汗で濡れたフォルトゥーナの腋にペニスを擦り付けて、精液をぶちまけて塗りたくったこともあった。浣腸した後の汚れたアナルにペニスをぶち込み、精液と小便を放出したこともあった。ヴァギナに腕を突っ込み、アヘ顔ダブルピースをさせたこともあった。そして武智の体は、フォルトゥーナの黒い足に踏まれた快感を覚えていた。ひづめでやさしく強弱をつけて踏んでもらい、射精へと導かれた事を覚えていた。武智の体は、フォルトゥーナの事を忘れることが不可能なほど覚えていた。
 フォルトゥーナはキ印だ、電波女だ、妄想狂だ、パープーだ、癲狂だ、基地外だ。
 武智は、嗤いながら認めた。俺は変態だ。
 キ印と変態。お似合いじゃないか。別れる必要など無い。このままいかれた生活を続ければいい。せいぜい幸せになってやろう。
 俺は堕落してしまった。いつから堕落していたのかわからない。今更どうでもいい事だ。フォルトゥーナは、俺を堕落させた。あいつは堕落の馬だ。自分自身が堕落した存在であり、自分が関わる相手も堕落させる。俺は、まんまとあいつの術中に落ちた。もはや取り返しがつかないほど堕落した。だったら、このまま堕落の道を突き進めばよい。俺は変態を極めてやろう。フォルトゥーナは、妄想に磨きをかければよい。他人に迷惑さえかけなければ、何をやっても良いのだ。いかれた生活をしながら、俺達は幸せになればよい。
 武智は、自嘲と諦念と共に腹をくくった。

 武智は、まだ甘かった。バイコーンを、フォルトゥーナを甘く見ていた。
 フォルトゥーナは、3人の魔物娘を武智に紹介した。
 「この子達は、前世で共に女達を犯した牡馬の生まれ変わりなの」
 呆けた顔の武智に対し、前世で牡馬だったと称する魔物娘達は自己紹介をした。
 「私は、女をペニスで蹂躙した快楽を忘れる事ができない。どうか今度は、私のヴァギナをあなたのペニスで蹂躙して欲しい」
 りりしい表情のケンタウロスは、堂々と言った。
 「あなたに犯されれば、私はバイコーンになるのですね。それでもかまいません。あのころと同じ快楽を味わう事ができるのならば」
 温和な表情をしたユニコーンは、柔らかく言った。
 「私は、人間の女の人達を犯した夢を見ます。夢を見るたびに私は濡れます。どうか私を、あなたの慰み者にしてください」
 おどおどした表情のナイトメアは、気弱な態度ながら言い切った。
 魔物娘たちは、服を脱ぎ捨てた。尻を武智に向け、足を開いた。4つのヴァギナは既に濡れそぼり、濃厚な臭気を放っていた。
 「さあ、あなたのペニスで犯してください」
 魔物娘たちは、甘い声で誘った。
 武智の目の前は、真っ白になった。頭は馬鹿になった。武智は、頭の中で何かが切れる様な衝撃を感じた。
 武智は、雄叫びを上げながら4つの尻に突撃した。
 4人の女達は、いや4匹の雌達は喜びの声を上げて迎えた。
 雄の叫びと、雌達の嬌声はいつ果てるともなく響き渡った。
14/03/03 22:43更新 / 鬼畜軍曹

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