読切小説
[TOP]
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は腹足網 後日談
例年なら雨が降り続き、気が滅入るだけのこの季節。

今年は6月に入って尚、爽やかな晴れ間が続き”梅雨入りをまたずして梅雨明けをした”
などと中年気象予報士がジョークを飛ばす程晴天に恵まれていた。

地域によっては干ばつやら水不足やらも問題視されているので手放しには喜べないが
雨漏りのするアパートに住む身としては正直ありがたい日が続いた。


契約社員として就職して早二ヶ月、以前のアルバイトより給料が良いとはいえ
引っ越しをするには少々心もとない蓄えしかない僕はいまだこの日当たりの悪い
安アパートに住み続けている。


「なぁデンスケ喉渇いた」
「冷蔵庫にあるんで勝手に飲んで下さい」

じっとりとした目で睨んでくる女。”お前がとって来い”と言わんばかりの瞳である。

「ミズキさんの方が台所に近い所に居るんだから動いて下さいよ」
「嫌だ暑い」

瞬きもせず即答される。粘着質な視線に耐えられなくなった僕はしぶしぶ
冷蔵庫に向かい彼女と自分用のコップをテーブルに置き麦茶を注ぐ。

「なんか催促したみたいで悪いわね♪」
「・・・・・・うるさいよ」

相変わらず喉を鳴らしながら見事な飲みっぷりを見せる彼女。

一見すると、本当にただ一見すると、大人の色香漂う美人なお姉さんなのだ。
しかし彼女には重要な問題があった。おおよそ常人の理解を超えた範疇の”問題”が。

その問題とは、三十路過ぎなのに太股を露出させたホットパンツにブラトップ一枚着て
長い髪の毛をお団子状にしたちょっと若過ぎなファッションセンスなどではなく
彼女のルーツというかなんと言うか、まぁ言ってしまえば”種族”にある。

人間じゃないのだ。







ふと冷静になると自分でも驚くのだが今僕はあの蛞蝓女と同居している。
信じられないだろうがもう半年も経ってたりする。

どうしてこうなったのか、今に至るまでを少し話す。

あの事件から直々アパートを訪れる様になった女。
最初こそ警戒し居留守を使ったりもしたのだが、あの手この手で部屋に浸入してくる人外の彼女を
防げずついに転居を決意したちょうどその時期、実家からいつになっても就職せずぶらぶらしている息子を心配した両親が上京して様子を見に来ると言うイベントが発生したのだ。

未だアルバイトの一人身で、特に趣味も無くただ日々を浪費している現状を知られれば
きっと田舎に連れ戻され家業を継ぐように促されるだろう。

それだけは回避したかった。回避したかったが為に僕はとある禁じ手を使った。
あろうことか女に、蛞蝓の化生である女に彼女のフリをしてくれと頼んだのだ。

自身を殴打した揚句凌辱した人外に交際相手の真似事を頼む馬鹿など世界広しといえど
僕ただ一人だけだろう。
言い訳すれば他に依頼出来る様な知人も皆無だしそんな人脈も無いゆえの一時的緊急措置だったのだが・・・・

「初めましてお母様、お父様。私デンスケさんとお付き合いさせていただいてる佐藤と申します」
「まぁ、お付き合いしてる人がいたのね。それもこんな綺麗な方」
「でも男ならデンスケ、もう遊んでないで仕事見つけんといけんぞ?」
「それは心配要りませんわ。デンスケさん熱心に就職活動してるからきっと直ぐにいい仕事が見つかると思います」
「く・・・(泣)。いい彼女じゃないか。大事にしろよデンスケ」
「じゃあお母さん達あんまり長居してもお邪魔でしょうからもう帰るわね」

こんな感じだったと思う。喜劇の定番パターンである。
ただ、それから起こった事は悲劇でしかなかった。

別人のように清楚で淑やかな美女を演じた女は僅か数時間でウチの親と完全に打ち解け
帰り際にメルアド交換まで済ませたのだ。そのあまりの手際の良さに詐欺ってこうやって人を騙すんだな、と一人納得した。

そればかりか、親が帰ると言う時になって何故か見送りに出て来たアパートの管理人に
”彼とお付き合いしているものです”と、丁寧に自己紹介したのだ。

大義名分をへて部屋に居座る理由を手にした女。
両親上京イベントが終了した翌日には、旅行鞄に生活用具一切をまとめアパートに押しかけて来る始末である。抜け目なく管理人に挨拶の祖品まで用意して。


勿論僕は断固拒否した。

彼女が勝手に越してきた日なんかは普通に掴み合いの喧嘩もした。
一応男と女なので僕の方が強いと思われるだろうが以外にも実力は拮抗していた。

彼女が叩いてきたらグーで殴る訳にもいかないので強めに払いのけるのだが、その仕返しに
思いっきりひっ掻いてくるのだ。そしたらまぁビンタくらいするよね。

そんな凄惨なガチンコを繰り返していたある日、僕らはあるおかしな境地に達する。
”お前つえーな””お前こそ”的なアレである。不良同士が河原で寝そべった状態で、ならわかるが
散らかり放題の安アパートの一室で力尽きた大人二人がそんな感じになったのだ。

ようするに、その日を境に僕は彼女の同居を受け入れたのだった。
”僕はお前の奴隷じゃない”という条件を呑ませたうえで。

正直本音を言えばこれ以上やるとドメステック・バイオレンスを疑問視するご近所さんから
通報される可能性があるし、マジで彼女も僕もアパートから追い出されかねない。
そんな社会的事情を鑑みた結果僕ら二人は停戦協定を結んだのだ。

というかこの時初めて彼女が金銭面で困窮していているらしいことに気付いた。
普通に住む所がないらしい。OLじゃなかったのかよ。

そして、そんな感じで時間が過ぎていき、いつの間にか慣れてしまった。
人間だれしも異常な環境も経過が持続すると日常として捉えてしまうらしい。

まぁ今のように一緒にテレビを観れるほど距離を縮める切っ掛けとなった出来事は
存在するのだがあまりにもベタなので割愛したいと思う。



同居して半年。
彼女について分かった事はたった3つである。
料理が上手なこと。
佐藤実月という普通の日本名を持っていたこと。
そして、やっぱり当初の推察通り30歳過ぎであったこと。

ただ仕事に関しては頑として口が重くなり、気象関係としか教えてくれない。
一応勤め人らしく朝に家を出ていくので嘘ではなさそうだが、異様に休みが多い為気になって
仕方がない。

今日だって僕は一週間に一度の休みの日なのだが、彼女は5日連休中なのだ。
水曜日から日曜日まで休みってどんな会社だよ。

そんな僕の疑問などまったく意に介せず、座ったまま窓の外を眺めていた彼女が
唐突に僕の名を呼ぶ。

「いい天気だしどっか遊びにいかない?」
「嫌です」

今度は僕が即答する。せっかくの休日は文字通り休みたいのだ。

「なんだよ・・・休みなんだから動けよ」
「休みだからこそ動きたくないんですよ」

僕の素っ気ない態度に不貞腐れたのか彼女が舌打ちする。

「あー・・・・ヒマだな。梅雨だってのに雨の一つもふらねーし、暑いし」
テーブルに突っ伏し横顔でチラッと僕を見る。
「休みだってのに何所にも連れてかねーし、エアコンはきかねーし、暑いし」

当てつける様に声高に不平を洩らされ、イライラしながらもTVに集中する。
ともに暮らして分かったのだが彼女は何より無視される事を嫌う。
言葉のキャッチボールで例えれば常に投げ返されたいタイプなのだ、だから
一方的に投げるだけ投げさせて、こちらからは一切投げなければ勝手に諦める。

故に僕は無視を決め込んだ。顔もテレビに固定したまま頬杖を付いて
ひたすら画面の向こうのタモリさんに目線を合わせる作業に専念した。

「ちょっと、聞いてんの?」
「・・・」

「ねぇ、シカト?」
「・・・・」

「お前そういうのよくないぞ」
「・・・・・」

「殴るぞ」
「・・・・・・」

「本当に殴るぞ」
「・・・・・・・・」

聞く耳持たない僕に対しテーブル越しに腕を伸ばしてきた彼女が
僕の二の腕の肉を自身の指の爪と爪で小さく抓る。

いったぁあ!?
と叫び出したい地味な痛みをこらえ不動の僕。しばらく抓っていた彼女も
飽きてしまったのか、腕を引っ込めるとそれきり黙ってしまった。

「・・・・」
「・・・・・・・・・・」

静かになった部屋でテレビの音だけが響く。
これはもしかしたら僕が勝利したのではなかろうか?
そんな風に考えていた矢先、彼女がふいに口を開く。

「ねぇデンスケ・・・なんか私喉が渇いたな・・・」

低い、低い声色で女が囁く。僕は無意識に体が反応しビクッとなってしまう。
まずい、この声のトーンはまずい。無視が裏目に出てしまった。

取り繕うように喋り出す僕。

「な、なんですか?麦茶ならそこにありますよ?」
「んー?なんか別のが飲みたいなぁ・・・」

ゆっくりと上半身を起こした彼女がこちらに微笑む。
”ちゃんと聞こえてんじゃねぇか、お前さんよぉ”とでも訴えてくる表情である。

「どうして逃げるんだデンスケ?」
「・・・・どうしてって、その・・・」

舌なめずりして四つん這いですり寄ってくる彼女から距離を取りつつ抵抗する僕。

「ちょっ、昨日の夜も散々したじゃないですか!」
「昨日は昨日、今日は今日。ってことでさ・・・しよう?」
「今日が始まって半日と経ってないよ!?無理です!!」

停戦協定と言う名の仲直り?をしてからというもの、彼女は隙あらば僕の体を求めてくる。

これが見た目通りの綺麗なお姉さんの誘いなら一も二も無く快諾するが、
彼女(人外)の性交は半ば食事と同じである。人の男から精を吸うのだ、文字通り。
それも量が半端ない。
普通成人男性は一回出したら賢者化する、なのに容赦なく賢者からも吸うのだ。
それがほぼ毎夜である。こちらの肉体が持たない、せっかくの休日の昼間くらいゆっくり怠惰に
過ごさせてほしいのだ。

「ダメなのか?」
「駄目です死にます」

「・・・・・・わかった」
「え?」


―――――通じた。
僕の言葉が彼女に承諾を認めさせた・・・?

項垂れる女を前に強く拳を握る。
苦節半年。人外と人間にも意志の疎通は計れる、そう信じていながらも
今までの同棲生活で、もしかしたら僕はやっぱりただの餌なんじゃないかと思う事32回を数え
やっと真の心の交流が計れた気がする。

映画ETの名シーンが脳裏を過る中、女が膝をパンっと叩き威勢よく口を開く。

「出さなきゃいいんだな?」
「んん?」
「安心しろデンスケ、ちょうどいい具合で調整してやるからな・・・」

ナニヲイッテルノ?
突如畳の上でホットパンツを脱ぎ出す彼女。
手に持った麦茶を落としそうになりながら後ずさりする僕。

―――――やばい。

立ち上がった彼女は見る間に変異していく。
あられもなく剥き出しになった下半身は肉体から分泌される粘液に覆われ、
両足が溶ける様に混ざり合ったかと思うと徐々に体積を増やしていく。
やがてものの数秒のうちに蛞蝓独特の色味を帯びた塊へと変貌を終える。

彼女が人外足り得る真の本性。
ブラトップを着たままのヒトの上半身と、蛞蝓の化生たる醜怪な下半身。
正直最初見た時は全身総毛立ちムスコも萎えてしまっていたが
これまで毎夜毎夜この姿の彼女に犯され続けて来た僕は条件反射でアレが硬くなるのを感じる。

「さ、こっち来いデンスケ。気持ちよぉーくしてやるぞ?」
「うぅ・・・」

両手を広げて誘う人外。何も知らない一般人なら一目散に逃げれるだろうが
一度ならずあの快楽を味わうと理性よりも先に肉体が反応してしまう。

実際昨日も仕事から帰ってくるや否や、明日僕が休みだと知っている彼女は
夕食を終え浴室で裸になっていたところにこの変身した姿で抱きついて来たのだ。
水気のある場所で彼女に抵抗できる筈も無く、なしくずし的に5回は射精し
ことごとく吸い上げられた。

そして、くたくたになって眠りに入った直後局部にむず痒い感覚があるので目を覚ますと
夜食と銘打って彼女が僕のモノを口に含んで啜っていたのだ。そこでも二回果てた僕は
なかば意識を失うように眠りに落ち今に至る。

死ぬ。マジで。頭では決して女の誘いに乗ってはいけないと分かっている。
しかし体は引き寄せられるように蛞蝓の半身に近づいていく。

女は自分の秘所にあたる部位に手を添えると、ゆっくりと搾精腔をおし広げていく。
とろりと溢れた粘液が零れ軟体の体をつたいながら畳の上に落ちる。

僕は頭の中が真っ白になりながらその様を眺め、
緩慢な動作でズボンとパンツを降ろし直立した竿を取り出す。
女は嬉しそうに手を伸ばし僕の陰茎から湧き出る透明な汁を指ですくうと
みせつけるように口へと運び長い舌で舐めとる。
「相変わらず・・・美味いなお前の”つゆ”は」
「ッ・・・」
「んー?ちょっと触っただけで・・・敏感な奴め」

ちょっと、というのは語弊がある。僕の竿を掴んだ彼女は自らの粘液で
びちょびちょになった下腹部に擦りつけているのだ。
それも膣穴に触れるか触れないかの微妙な位置に。

「あぁ!?まって、ミツキさんそれヤバ・・・」
「ふふ。私のぬめった肌に鈴口が当たってどうだ?イキそうか?」
「わわ、やめ、やめてください・・・・で、ちゃいますよ!?」
「安心しろって。ちょうどいい塩梅で責めて、先走り汁だけいただくからさ・・・
 お前は少しガマンしてりゃ気持ちぃーのが続くから、ちゃんと私が満足するまで耐えるんだぞ?」

塩梅って、蛞蝓女に塩の加減が分かるとは思えない。
現に今、昨晩あれだけ放精したにもかかわらず飛び出しそうなのである。

「お、出て来た出て来た。お前のここ、びくびくしながらたっぷりお汁だしてんじゃねぇか」

断続的な刺激で僕の竿から分泌される我慢汁は留まることなく零れ出ていた。
彼女は待ちに待ったとばかりに搾精腔へと亀頭を這わせる。

「はぁ、はぁ、えぁ!?」
「いただきまー・・・・」

女が挿入せんとした刹那、僕の懇願するような視線が交差する。
御馳走を前にお預けを食らった顔で彼女の動きが止まる。

「・・・なんつー面してんだよ・・・。大丈夫だって、ちゃんと加減したげるから」
「ん、くぅ、はぁ、はぁホント・・・ですか?」
「・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ホントだ」

間が長いよ!?
そう抗議しかけた僕の意志など虚しく、彼女は鋭い動作で竿を膣穴に付着させ一気に飲み込む。
ぐちゅ、という一際大きな音がし僕と彼女の繋がった部位から混ざり合った愛液が滴る。

「ッぅう・・・・・これこれ!」
「ーーーーーーーーーーーー!?」

起きぬけの栄養ドリンクよろしく悦楽に浸る彼女とは対照的に
言葉も無く背筋を駆けのぼる刺激に腰が震える。何度味わっても慣れる事のない
蛞蝓天井の搾精腔内で僕の肉棒ははち切れそうになりながら寸でのところで持ち堪える。

ただ、いつもなら脈動する触手群が肉棒に吸いつきポンプの如く上下運動を繰り返すのだが、
彼女なりの配慮なのか一切動かず竿に巻きついているのみである。

「んぅ・・・はぁ・・・♪」

彼女の呼吸のリズムに合わせ僅かに蠢く触手群。今すぐにでもむしゃぶりついて
陰茎の中に入っている白い液体を啜りつくしたい。そんな意志が伝わってくる穏やかで微細な刺激。

これならなんとか、と甘い考えが浮かんだ矢先竿におかしな感触が伝わる。
今まで搾られ放題だった膣内はこうして動きを止められるとそれはそれで酩酊感のある快楽が
押し寄せてくるのだ。生温かく、四方八方から伝わるゼリー体の肉壁、時折カリを強く撫でるうねり。
口に出すと怒られそうだがまるでイソギンチャクがしゃぶりついているみたいだ。

断続的に続くかすかな快感の波に膝が震えだす。僕たちはお互い立ったまま繋がっているのだが
どうにもこちらの方はその姿勢を維持するのも困難になってきている。

女はそんな僕の葛藤などしるよしも無く、目を閉じて一心不乱に吸い出す事に専念している。
紙パックジュースの残りをズズっとストローで吸っている感覚なのかもしれない。
・・・ゾッとしない例えだ。

「ミ、ミヅキさん・・・、すいません・・・」
「うん・・・・?どうした」
「もう、その・・・立ってるの、無理・・・です」

彼女は形のいい唇をにんまりさせて優しく囁く。
「じゃ、横になれ」

僕は差しこんだ竿が抜けない角度で膝を付き、女がそれに覆いかぶさる形で跨った。
前屈みになった彼女の大きめの胸がブラトップ越しに形を変えたゆんだ。

女性独特の甘い香りが鼻をつき脳が痺れ、陰茎は一段と硬さを増す。

「お前の悶えてる顔見てると、こう・・・弄くりたくなっちまうな・・・」
「ッ・・・ばか、な事いわないで・・・ください」

白くて長い指が僕の輪郭をなぞり唇に触れる。彼女の方も焦らされている感覚なのか、
ぎりぎりの瀬戸際で男を嬲る愉しみで昂ぶって来ている模様である。
気のせいか息も乱れて来ている。
「ん・・・ふぅ、んん・・・はぁ・・・」

「デンスケ・・・」
「なん・・です?」
「我慢できなくなってきたかも」
「な!?ま、まって下さい・・・今責められたら、僕・・・くぅ」

「ちょっとずつ、ちょっとずつ吸ってたら・・・なんかムズムズ、してきてさぁ」

”さぁ”、じゃねぇよ。こちとら必死に欲望と戦って睾丸がひくついてる状態なんだよ。
お前が理性のタガ外したらこっちは速攻でやばいからな。的な事を目で訴える僕。

「だめ・・・?」

物欲しそうな彼女の切ない顔と連動して膣内がざわつき僕の竿の尿道付近で触手が擦れる。
僕は顔を左右にふり訴えを棄却する。細い首を傾け上気した頬で艶っぽく迫っても
駄目なものは駄目なのだ。

「そうか・・・・・・じゃ仕方、ないな・・・」
「我慢してくださッ!?うぅうう!?う、動い、てる・・・!?ミヅキさん!?」

言葉とは裏腹に女の搾精腔内のひときわ細長いヒダが僕の竿の鈴口にキスしたかと思うと
そのまま、尿道口に浸入してきたのだ。僕はあまりの刺激の強さに腰が跳ね上がり。
女にしがみ付く。

これはかつても味わった気も狂わんばかりの刺激である。
蛞蝓女特有の器官により尿道口内の精子を残らず吸い尽くしながら出し入れし
肉棒の内と外から断続的な愛撫を加えるのだ。

「ふふふ。どうした?・・・私はちゃぁんと動かずジッとしてるぞ?」
「いや、動いて、ぅううく、動いてるってぇええ!?」
「んー?どうしたそんな顔して・・・私が何かしたのか?」
――――――てめぇ。

 チュゥ クチュ チュ クチャ クチャ ピキュ クチュリ

僕も女も動いていない。
言葉通り僕に跨っているだけだが粘膜がぶつかり合う音が部屋中に聞こえる。
それは彼女の下腹部から発せられる音。男性器の奥深くまで入り込んだ襞が体液をねぶっている音である。この襞もこいつの意志で動かしてんだろうに、何食わぬ顔で不思議そうに覗きこんでくる。

根っからのドSである。

「はぁ、はぁ、ッう、やば、い・・・」
「あはっ、いい顔だぞデンスケぇ、いいぞ・・・堪えろよ・・・もう少ぉし堪えろよ」

嗜虐的な笑みを浮かべ悦ぶ女。

「くぅッ!?」
「あっ・・・・、あぁ・・・」

腰が一瞬浮いたかと思うと、そのまま抗う事もできずに射精してしまった。
尿道口内に浸入していた襞を押し出すように白い液体が迸り彼女の膣中を満たす。

我慢に我慢を重ねていたモノが解放され自分の意思とは無関係に下半身がガクガクと震える。

「ふふ・・・出てる、出てるぞ・・・お前の濃い子種が・・・私のお腹で泳いで・・・すっごく元気だ」

へその下を擦りながら喋りかけてくる彼女。
長い長い放精が終わり、繋がったままの状態で満身創痍の僕は荒い息を抑えながら女を見上げる。
・・・涎を垂らしている。こいつ、やっぱり愉しんでたな。

「ふぁ、はぁ、くぅ・・・結局・・・」
「はぁ・・・ん・・・・すっごい美味しかった・・・」

結局出すまで責められ息も絶え絶えの僕を見下ろし
まるで極上のスイーツでも食べ終えたばかりの恍惚とした表情で女はこう〆る。

「いつかまたしようっと♪」

正午を告げる鐘が鳴ったのは丁度その後だった。

















セックス後の男性の素っ気なさは女性を傷つけるというが、僕らの場合は逆である。
ぐったりとなる僕を尻目に情事が済むと女は直ぐさま人の形に戻り服を着て昼食の支度に
とりかかるのだ。
こんな言い方をするとアレだが肉体だけの関係でもある僕と彼女。
そこに愛情を求めている訳ではないがもっとこう、男の方を労れよ。

完全に食事じゃねぇか。

「おい、さっさと来い。せっかく作ったご飯が冷めちまうだろ?」

横になったまま少しずつ体力回復を計っている間に手早く食事の支度を
終えたらしい彼女が台所から顔を出す。

確かに朝から何も食べていないので空腹ではあるが、それを上回る疲労感で
どちらかというと今すぐにでも眠りたい。12時間くらい眠りたい。


しかし、最初の方にも言ったが彼女の料理は美味い。手放しに称賛できるくらい絶品である。
気だるさを引きずりながら体を起こし浴室で軽くシャワーを浴びる。

「お前・・・かならずHの後風呂入るけど私の体液はそんなに嫌か?」
「嫌とかそういう問題じゃないでしょう。ミヅキさんは平気なんですか?」
「何が?」
「いや、だから」

べた付く体で飯を食いたくないんだよ。
とは言いだせず黙って席に着く。彼女もいい加減待ちくたびれている。
そもそも僕が来るまで料理に手を付けないのは何故だ。
自分一人で先に食べ出せばいいのに、彼女なりのルールなのだろうか。

「それじゃ、いただきます」
「どうだ美味いか?」
「まだ食べてない・・・」

「早く食えよ」
「好きなタイミングでいいでしょうよ!?」

などと、茶々を入れられながら一口。うん、やっぱり美味い。
口に含んだ魚の煮付けの少々濃い目の味付けが疲れた体に沁み渡る。
正直にいえば傍若無人な彼女の同居を許した背景にこの手料理がある事は否定できない。

因みにあれだけ僕から精を吸いだしたにも関わらず別腹などと嘯いて
自身も盛々と昼食を取っていたりする。

底なしの食欲と性欲に僕の財布と体力は何処までもつのだろうか・・・。








とりあえず今日はもうこれ食べたら寝よう。


12時間くらい。





13/07/05 14:39更新 / ピトフーイ

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33