読切小説
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風邪とウサギ
「ゴホッゴホッ・・・。」

ありきたりな六畳一間。隅に敷いてある布団の上。世上 久朝(せじょう ひさあさ)は横になっていた。

「流石に無理をしすぎたかな。」

仕事で取り組んでいたプロジェクト終わり、2週間の休みを貰った。
その一日目に風邪をひいてしまったという訳である。

「まぁ、かなり体を酷使したからなぁ」

プロジェクトのサブリーダー的ポジションにおり残業もかなり多かった。普段の1.5倍は働いたがその分その分給与も増えているし、そこは久朝のテンションを下げる要素ではなかった。
間が差したとはいえなぁ、とぼやく。
何かといえば仕事の期間会っていなかった恋人に連絡したということだ。別に普通であろう。と、誰しも思うだろうが、久朝には致命になりえる行為だ
なぜならば・・・。

ダッダッダッ

勢いよく階段を駆け上がる音。アパートの階段を。

その音は迷いなく久朝の部屋へと向かってくる。合鍵は渡してあった。

「ひーくん!!」

これまた勢いよくドアが開き、人影と共に甘い声が響く。

「輝恭、頭に響くから声は抑えてくれな。」

女は床に伏している男を見ると注意を超えて話続ける。

「ひーくん生きてた!!!良かったぁ。私ひーくんが死んじゃったらと思うとアレもアソコを通らないよぉ」

「いや、飯も喉を通らないみたいに言われても・・・」

目を潤ませながら布団へダイブする女、彼女が久朝の恋人である比護 輝恭(ひご ききょう)だ。輝恭は久朝を上目使いで見上げ放つ。

「だってもう私のアソコはひーくんのアレしか通らないもん!!!」

「ツッコみをスルーしてボケるのはやめような・・・ゴホッゴホッ」

つまりこういうことである。
空気が読めないわけではない。良くも悪くも全くブレない。そんな恋人に少しげんなりする。

「ツッコみ?それなら先ずは前戯から!!おねぇさんとの約束だぞ☆」

・・・体温二度上昇。誰のかは言うまでもないだろう。

「そんなこと言われたら火照っちゃう!」

補足しておこう、久朝の体温だ。
続けて目を伏せ、神に生存の意思を必死に伝える久朝を見て輝恭の頭上の耳が不思議そうに動く。

そう人間の耳ではなく、ウサギの耳が。
輝恭は単に下ネタが好きな人間ではない。


もしそうであるならば、久朝の我慢はとっくの昔に臨界点を超えていただろう。
輝恭はマーチヘアという種族の魔物娘であった。ベースは人間だが頭の上に存在する長い耳を始めとしてウサギの特徴がチラホラ見える。見た目もそうだが性格面も多分に漏れず似たような部分がある。

万年発情期。

頭の中は年中ピンク一色で日常会話の猥談に繋がりそうな要素は全部拾ってしまうのだ。

「急にだまってどーしたの??朝立?私がヤろうか?」

拳を上下に動かすジェスチャー。が、顔はいたって真面目であり本気で言っているようだ。

「違うよ、もう朝って時間じゃないだろ?」

「じゃぁ、昼立?」

変わらず真面目。本能での反応か。

「輝恭、看病してもらう側の人間がいう事ではないかもしれんが、寝ても良いか?」

「あっ!そうだよね!」

じゃぁ、と言って布団へ潜り込もうとするウサギが一匹。

「いやいや」

待てと静止を促す。

「えっ?今寝るっていわなかった?」

ため息・・・は、もう出ない。

「そうだ、今から一人で寝るんだよ。」

「あっ!!」

「恐らくそれは違うぞ。オナ二−をするという意味で言ってない。俺は睡眠がとりたいといった意味で言ったんだ。よってその手伝いもいらないぞ。」

輝恭がオナ二−を手伝うと言い出すことを読んで先手を打った。久朝もやられっぱなしではないのだ。
沈黙。その時間10秒フラット。

「ひーくん何言ってるの?猥談は熱が下がってから!!!!分かった??」

前言撤回。深呼吸的ため息を吐くこととなる。

「俺はとりあえず寝かせてもらうぞ・・・。」

「・・・その前に熱は何度だったの?」

そう言えば測ってなかった。昨日の夜からろくなものは食べておらず、すぐに寝てしまったからだ。

「それなら測らなきゃ。」

そう言って棚へ向かう。やっと気を使ってくれたかと安堵する久朝。
輝恭から体温計を受け取り熱を測る。

「お仕事で疲れたんだよね。ゆっくり休んでね♪」

優しい言葉。

「ありがとう。来てもらって悪いがそうさせてもらうよ。」

「もちろん!気にしないでよ。」

久しく?していなかった普通の会話。こんなにもホッとするものだったかと感じる。
ここで計測を終えた機械が鳴る。表示を確認する前に輝恭にかすめ取られた。

「大変!エッチしなきゃ!!」

ん?どういうことだ?

「だって36.9度だって!6.9!シックスナイン!これは神様からの啓示だよ!」

そんなわけあるかいな。彼の中の似非関西人がツッコむ。ちなみに体温計は38.5度を告げていた。久朝は布団に倒れこむ。

「おやすみなさい」

ここ一番有無を言わさない、はっきりとしたあいさつであった。






しばらくして。

「んっ・・・」

目を覚ました久朝。

「よく寝たな。だいぶ楽になった。」

ふっと台所から良いにおいが漂ってくる。
朝どころが昨晩から何も口にしていなかった久朝は持って来いだ。

「あっ、ひーくん起きた。具合どう?ご飯作ったけど食べられる?」

台所から声だけが聞こえる。

「もちろん、頂くよ。」

「ならぁ・・・」

と姿を現した輝恭。その格好は料理をするためのエプロンをしていた。いや言い換えよう。エプロンしかつけていなかった。久朝の反応は絶句。

「召し上がれ♪」

意識が飛びそうになるのを何とか堪える。

「メニューは何でしょうか」

義務的かつ機械的に、輝恭の言動に繋がらないように問う。

うーんと悩み。

「ウサギたんの踊り食!〜新妻要素を添えて♪〜」

元気よく答える輝恭。

世の中には無力を痛感することがある。久朝には小学4年生のころ、自分には野球の才能がないことを子供ながらに察しプロを諦めたことがあった。その時の切なさは今でもはっきりと覚えている。

今感じている感覚はまさにその感覚だった。

「ひーくんのナイフを使って食べてね!いや、この場合は私がひーくんのナイフを食べることになるのかな?」

漫画ならてへっ☆と頭の上に出ているだろうしぐさ。

“プッツン”

久朝の中で何かが切れる。輝恭との連絡はSNSや電話で取っていたが実に会ってはいなかった。もちろん、浮気なんてしていないし自慰もほとんどしていなかった。結果、いつぶりかの夢精をしてしまうほど溜まっていたのだ。
久朝の中で抑えられていたものがあふれ出す。すっくと立ちあがり輝恭のもとへ歩み寄る。

「ひーくん、どうしたの?」

ツッコみ、漫才の方のツッコみを待っていた輝恭から驚きの声が聞こえる。

「頂くよ。」

ニッコリと笑顔が張り付いている。次の瞬間には輝恭のたわわな胸へと手が伸びる。

「んぁ!待ってひーくん!まだ料理できて・・んっ、ダメ」

両手で乳房全体から乳首をいじり始める。裸エプロンウサギは鳴きながら口を開く。

「ひーくん、具合悪いんだからダメだよぉ。具合を良くするためには汗をかくのが一番で、寝るかエッチするしかないんだよ!」

なら良いのではないか。誰もツッコむものがいないし、そもそもすぐに「なら良いじゃん!」と自己完結しているウサギ。

「あっん、乳首すりつぶしちゃダメぇ!!」

それまでコリコリと弄んでいたのがかなりの力ですりつぶす動きになっていた。

「待って、てば。」

喘ぎながらも訴える輝恭に対し無言のままその後ろへと回り込み、責め続ける久朝。
しかし、すぐに・・・

「もっと強く!すり潰してぇ!」

切り替えはお手の物。輝恭もヤル気になる。

「輝恭、ウサギたんの踊り食なんだよなぁ?」

既に本能に支配されている淫乱ウサギは悶えつつ、コクコクと首を縦に振る。それに対し久朝は耳元でこう囁く。

「なら、もっと尻を振って俺の股関を刺激しないとだろう?」

間髪入れずに両手で“先”を摘み引っ張り上げる。

「〜〜〜〜〜ッ!!」

輝恭は声にならない悲鳴を上げブルブルと身を震わせる。イ、イっちゃったと言ってその場にへたりこむ。久朝は、なおも無言でウサギを抱え上げる。俗に言うお姫様抱っこだ。

「ひーくん、大好き♪」

すっかりその気になった輝恭は久朝の首に腕を回し囁く。先ほどまで使われていた布団の上に降ろされる。下に身に着けているものを脱ぎ座り込んでいるウサギに肉棒を突き出す久朝。

「食べていいの?いただきまぁ〜はむ」

咥えると同時に頭の前後に振り奉仕する。ピチャとかジュルと18禁的な水音が部屋に響きわたる。

「1か月ぶりだもんね。やっとごちそうにありつけたよぉ」

勢いを増して動く輝恭。味わえよ、お代わり自由だと久朝も普段では言わない言葉で返す。
熱のせいか、はたまた何かが崩壊したせいか。れもぉ、と舌足らずな口調で輝恭が言う。

「久しぶりの一発目は中に欲しいよぉ」

咥える始めた時から自らの秘所を弄っていたウサギはここぞとばかりにねだる。

「もちろんさ。俺はウサギたんの踊り食を頂くといったんだ。」

そう言うと久朝は自分の息子と輝恭を離し布団の上に天を仰ぐ形で寝転がる。それを見て何も言われずともまたがるウサギ。
肉棒を自らの割れ目にあてがい挿入しようとする。しかし、待ったがかかる。

「メニューは何だっけ?ん?」

興奮しきった輝恭に責める口調で言う。ウサギは被征服感を肌で感じ身震いする。
蕩けきった表情では、はいと口を開く。

「メ、メニューはウサギたんの踊り食です。ひーくんの上で踊らせてくださぁい。」

輝恭が言い終わると同時に腰を思い切り突き上げる。ひゃぁ!!と許しを求めていたのに不意打ちを受け乙女な悲鳴を上げる。身を震わせている輝恭へほら、踊ってと命が下る。

「は、はぁい」

嫌がることもせず、自らの腰を持ち上げる、同時に膣内の壁を久朝のモノがなぞり上げる。

(んぁ、き、気持ちいい・・・)

あまりの快感に力が抜け意図せず腰を落とすことになる。当然、久朝の“ナイフ”が突き刺さることとなる。

「ダメェェェ!!!!!」

またビクンビクンと体が跳ねる。一回目よりも深い絶頂で倒れそうになる輝恭をまた久朝が支える。

「輝恭、凄く可愛くて凄く気持ちいいよ。」

目が虚ろではあるが、ギリギリ意識は飛んでいないようだ。だが、輝恭はコクコクと頷く事しかできない。ここでまた不意打ち。久朝は腰を突き上げ、勢いよく上下運動を繰り返す。

「ふぁ、はひっ、はぁぁ、んあぁ〜。」

もう人語を話せてはいない淫らなウサギ。

「ほらほら、もっと跳ねて。俺の上で踊って。」

輝恭の中の締め付けが生む快楽から久朝も苦悶の表情だ。さらに腰の動きを激しくする。

「ひゃ、ん、こう?こうで良いの?私、可愛い?」

「可愛いよ!もっと、もっと悶えて!!」

「う、嬉しいよぉ。ふあ、ズポズポ気持ちいいぃ。また、イク!イっても良い?」

「俺も、もう限界だ。」

一か月ぶりの激しい愛し合いに二人の限界は寸前だった。

「な、中で良いか?いや、出すぞ!」

「い、良い。中で、私の中でイってぇぇ!!!」

ビュクビュクビュルル〜〜。
勢い良く輝恭の中に久朝のモノが満ちていく。自分の肉棒を抜くがすぐにもう一度挿入する。

「まだ、繋がっていたいの。お願い、ひーくん。」

グリグリと腰を押し付けねだる。倒れこみ、抱き合う形になる。

「俺、また寝そうだが。それでも良いなら・・・」

「良いよ。私も一緒に寝てあげる♪」

愛する者の頭の優しく撫でながら輝恭も目を閉じるのであった。


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「ひーくん!ご飯食べよう!」

輝恭の声で目が覚める。寝始めてから一時間位経っていた。

「そうだな、具合もかなり良くなったし。」

ちゃんと服の上からエプロンを着ている恋人に言う。

「ごめんな、輝恭。熱のせいか自制が利かなかった。」

反省し、素直に謝る。

「ううん、ウェルカムだよ!ウェルカム私の中へ!なんなら、もう一度やっちゃう!?」

拳をつくり上下に動かす仕草。ふと枕元を見る。

飲み物が置いてある。
(そう言えば、ヤル前に暑苦しくて一回飲んだな。)

手に取ってラベルをよく見る。

『風邪もこれで吹き飛ばせ!!!!びやくん☆ EXTRA HARD』

・・・いやいや。媚薬って入ってますがな。万年発情期のマーチヘアは媚薬を常飲する種族。恐らく淫乱な種族向けへのエナジードリンクだろう。別に怒る気にはならなかった。いつも明るく、世話好きで変態な。そんな輝恭が久朝は好きだったからだ。

「輝恭、メニューは?」

「ニンニクの芽と豚肉の炒め物、レバニラにキウイのシャーベット。なんなら今からすっぽんでも捌く??」

精のつく、いや、つき過ぎる料理たち。

「こりゃ食べたらすぐに二回戦だな。」

そう言って二人は笑いあうのであった。
17/06/29 02:28更新 / J DER

■作者メッセージ
エロありを描くのは得意ではなく、まぁ見苦しいものであったでしょう。
最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
次はエロなしのラブコメでいきたいとは考えています。

また、宜しければ、以前の物もお読みいただけると幸いです。

では、最後に皆様の余暇のお供の慣れることを願いましてー。

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