連載小説
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三人の“問題児”
桜の時期も終わりを終わりを迎える5月中旬。
この私立魔物娘高校は珍しい学校で、この時期に修学旅行がある。しかも一年生の。








はぁ〜
静子は右手で頬杖をつき、左手に四枚のプリントを持ちながら溜め息をついた。

四枚のプリントの内、一枚にこう書いてあった。

“要注意問題児の転入”


そして、残る三枚のプリントにはそれぞれの生徒(問題児)のプロフィールが記載されていた。







プロフィールNo,1 諒大
斜に構えたような性格と口の悪さが災いし周囲から孤立気味。
そのため専ら単独での行動が多い。
今は翼、蒼也と共に行動することが多い。
剣の腕前は群を抜く。
常にレッドクイーンという機会仕掛けの剣と、一度に二発の弾を射出するブルーローズという拳銃を持っている。


元レスカィア騎士団の一員だったという噂がある。















プロフィールNo,2 翼
ガスマスクをつけ、戦闘服のようなものを着ている。
諒大以上に人と関わろうとしない。
拳銃も使うが、体のあらゆるところに隠してあるサバイバルナイフを使った近接戦闘を得意とする。
剣の腕もなかなかのもの。(理由は不明)
諒大と負けず劣らずの実力者。


元レスカティア騎士団の暗殺部隊に身を置いていた、という噂がある。



















プロフィールNo,3 蒼也
三人の中では一番の常識人。
困っている人を放っておけないなど他人思い。
問題児二人のストッパー役。
666の形に変わるパンドラという武器と、魔力によって作られた剣を無数に生成ルシフェルを隠し持っている。


元レスカティア騎士団の戦略部に所属していたという噂がある。














これが三人のプロフィール(?)だった。













「なんで、三組なんですか〜?」

静子は嘆くように呟いた。

嘆く理由、それはとてもシンプルな事だった。













三人全員が三組に入るからだ。



はぁ〜、と静子が再び溜め息をついていると職員室の扉が開いた。
扉を開けた生徒(?)は頬杖をついている静子に近づいた。

「静子先生ですね?自分は今日転校してきた蒼也といいます。」
「え、あ、はい。」
「これからよろしくお願いします。」

あまりに急な出来事だったので静子は返事が上手く出来なかった。
愛想の良さそうな顔をした蒼也は続けて言った。

「もうすぐ二人も来るはず•••なんですけど。」


「俺の事か?」
「え!?」

急に蒼也とは逆の方から声が聞こえた。
静子が振り返ると、そこにはガスマスクを着けた生徒(?)が腕組みをして立っていた。

「プロフィールにあった翼だ•••よろしく頼む。」
「はい、よろしくお願いします。」

翼の軽い挨拶にはしっかり対応できた。
心の中でガッツポーズする静子は翼に笑みを向けた。
しかし、翼は何の反応を示さず再び腕組みをした。

はぁ〜、とまたまた溜め息が出そうになった。
その時、バン!! 扉が開けられた。
否、扉が蹴り開けられた。
そこに立っていたのは、白髪で色白な肌をし、耳にヘッドホンを付けた生徒(?)だった。

「やっと来たか。」
「遅いぞ諒大、五分の遅刻だぞ。」
「うるせーな、くだらねぇ事いちいち言うな。」

ここまでくれば嫌でも察しがついた。

「えっと、諒大君ですよね?」
「あん? 誰あんた?」
「私はあなたのクラスの担任です。
よろしくお願いします♪♪」

決まった!! 心の中では拍手の嵐に包まれていた。






がしかし、諒大はおろろろと嘔吐する真似をしていた。

「何で吐くんですか!?」
「いい歳こいて何が“よろしくお願いします♪♪”だよ。気持ち悪りーんだよ。」

プロフィールに書いてあったとおり、いや、それ以上の性格の悪さだと核心した静子。

「そんなこと言っちゃダメだぞ諒大。」

そこで蒼也が諒大を注意した。
ありがとう蒼也君、心から感謝しようとする静子だった。

「いくら気持ち悪くても言っちゃダメだ。」

前言撤回、こいつも嫌な奴だ、と思う静子。
諒大がまた“よろしくお願いします♪♪”と真似をする。
その際に翼の呟きが聞こえた。

「すさまじいな。」

第2章 波乱の修学旅行
13/03/01 06:30更新 / 狐目の男
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