連載小説
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アヌビスの場合
あなたは珍しく開店直後のスナック金字塔にやって来た。



扉をあけると店内には誰もいない。
不審に思ったあなたは一度店の外に出で開店の表示が出ていることを確認して再び店の中に入る。

「すいませーん、誰かいますかー?」大きな声で言う
「今行きまーす」
店の奥からあわてた様子でアヌビスが出てきた

「お、お客さまでしたか、失礼しました、い、いらっしゃいいませ」
ぎこちない笑顔でを迎えるアヌビス。緊張していることがこちらにも伝わる。
そして常連のあなたは現れたアヌビスを初めて見ることに気づく。

「えっと、見ない顔だけど君はこの店に最近入ったのかな?」
「実はだな、今日担当の者が来られなくなって私が代わりに店番をしているんだ・・・じゃなくてしてるんです」
「なるほど」納得するあなた
「私は普段、別の部署にいるのでここは初めてなんだ・・・です。」
どうやらこのアヌビス緊張で言葉遣いまで混乱している。あなたは気を遣って普段どおりでいいと言う。

「そうか、ではありがたくそうさせてもらう」
「で、何をしていたの?」と尋ねる
「さっき言った通りこの店には初めて来た。急に頼まれたから引き継ぎの時間もなくて、どこに何があるのかわからなくて困っていたのだ。」

それを聞いて私が覚えている範囲で教えましょうかとあなたは申し出る。
常連のあなたはカウンター内ならどこに何があるか、店員が普段どんな接客、調理をしているのかだいたい覚えています。

「それは助かる。」
嬉しそうな顔のアヌビス
あなたはカウンターに入るとどこに何があるのか、普段店員がどんなことをしているのか伝える。
アヌビスはあなたが言ったことを逐一メモしていく。

「なるほど・・・・これで何とかなりそうだ。ありがとう」
「いや、まだおつまみの説明があるんだけど」
「おつまみ・・・・どこにも見当たらないが?」
彼女は周りを見回す
「いつも店の奥で作ってるんだけど」
「料理はできるぞ」
「そう、じゃあ買い出しは・・・・・してないよね」
「・・・・うん」
しゅんと肩を落とす彼女。
責任感が強いだけにできないと落ち込む傾向にあるようだ。
「今日はもう店を閉めたほうが」
何とかしてあげたいがあなたも常連とはいえ素人。何とかしようとしてかえって悪くなることもある

「いや、それはできない。今日この店は私が任されたのだ。客一人応対できずに帰るのは悔しい」
彼女の発言を受けて少し考えるあなた

「・・・・わかった。店を閉めよう」
「だから店は」
「ただし」
「ただし?」
「僕は帰らない。さっきまでの様子を見て大勢の客には対応できないと思った、でも一人の客ならできるはずだ。」
「・・・・店を閉めると言うのはこれ以上客を入れないという意味だな。なるほどわかった。でもおつまみは・・・」
「まあ、おつまみが無くてもお酒は飲めるから。この状態で店が開けるだけでもよかったと思わなきゃ」
「そう、そうだな」

あなたの発言を理解したアヌビス。表情が明るくなる。さっそく入口の開店の看板を下げた。
あなたはカウンターを出て席に着く。

「遅くなったが・・・改めて、いらっしゃいませ」
今度は自然な笑顔で応対するアヌビス。どうやら緊張は解けたようだ。
「えーと、まずは・・・おしぼりだ。それからご注文は?」
「梅酒の炭酸割りで」
「了解した」
先ほどのメモを片手にカウンターを右へ左へ移動しながら注文したものを作って行くアヌビス
グラスに注ぐだけで提供できるビールのほうが簡単でよかったのではと注文してからちょっと後悔するあなた

「かき混ぜる棒は・・・」
「マドラーは後ろの引き出しの中だよ」
「マドラーと言うのか」
アヌビスは器用で何でもそつなくこなすと思っていたが初めてやることに対してはそうではないようだと内心あなたは思う。

「待たせて申し訳ない。注文の品だ」
いつもより時間はかかったが何とか注文した飲み物を完成させた。
あなたはそれを飲む。心配そうに見つめるアヌビス。

「大丈夫、いつもの味だ」
「よかった。それにしてもこの店は1人で回すには少しきつい」
「まあ、いつもは複数で回しているからね」
「お客さんが常連でよかった」
「いつもはどんな仕事をしているの?」
「わたしは・・・・・・」
とあなたとアヌビスは他愛ない会話をする。











20分後

あなたのグラスがあいていることに気付いた彼女があなたに話しかける。

「グラス空いたが、おかわりはどうする?」
「いや、次はビールで」
「了解した」
今度は負担をかけないように提供が簡単なビールを注文する


アヌビスはあなたの手元にコップを置き、メモを見てビールの場所を確認しびんビールを取り出す。
栓を抜きコップに注ごうとした瞬間


つるっ ガチャン


「あ――」
彼女の手が滑りビンがカウンターに落ちる。こぼれたビールがあなたの服をぬらす。

「申し訳ない、今布巾を持ってくるから」あわてるアヌビス。
「・・・で、布巾はどこだ?」
「!」
そうあなたは布巾のおいてある場所は知らなかったので彼女にも伝えていなかったのです

「とりあえずこのおしぼりで我慢してくれ」
アヌビスもカウンターから出てきて2人こぼれた飲み物を拭く。

「本当に申し訳ない・・・ああ動かないでほしい、シミが大きくなる。服はこちらで洗濯させてもらう」
あなたの服を拭いていくアヌビス。その手は腹から下に降りてゆき・・・局部に達しそうになる直前

「もう大丈夫だから。後はこっちでやるから」
あわてて止めようとするあなた。

「遠慮するな、私に任せろ」
「いやでも、これ以上はダメだから」
「ダメだから私が拭くんだ」
一歩も引かない彼女。そして彼女のおしぼりかあなたの局部に達してしまった
刺激に反応しないよう耐えるあなた

「今日は本当に申し訳ない」
「・・・・。」我慢に必死で喋れない。
「どうした?つらそうな顔をしているぞ」
「・・・・なんでもない」
とても勃起してしまうなんて言えない。

「何でもないことないだろうそんな顔をして、もしかして中まで濡れていたのか」
「・・・そうじゃない」
「そうなんだな、拭くから脱げ」あなたのズボンに手をかけるアヌビス
「自分でできるから」必死に止めるあなた。
「それでは私の気がおさまらない」
「だーかーらー」
押し問答になる2人
「往生際が悪いぞ」
「いやなものは嫌だー」
「あぶないっ」


つるっ


ドサッ




床にこぼれたビールの残りで滑る二人

「いってー」
「だいじょう・・・」
彼女に押し倒されるように倒れたあなた。

「これは・・・」

上体を起こしたあなたは驚く。なんと彼女がズボンにてをかけたまま倒れたためズボンが下着ごと脱げてしまったのです。つまり今あなたの下半身を隠すものは何もないのです。

「えーと・・・」ばつが悪いあなた
あなたの下半身を見てしまった彼女。

「・・・・そうか、そういうことだったのか。重ねがさね申し訳ない」
遅まきながらあなたの事情を察したアヌビス。

「恥ずかしい思いをさせてしまったな・・・」
気まずい空気
あなたはズボンを履こうとするが

「あの、離してください」
ところが彼女はズボンを離さず

「いろいろ教えてもらったのに恩をあだで返すようなことをしてしまった・・・この責任はとらせてもらう。」
アヌビスは立ちあがると。あなたを真剣な顔で見る。


「結婚しよう」


驚くあなた。

「いやいやいや」
「これくらいしないと釣り合わないだろう」
「罪悪感から求婚されても・・・」
「それにあなたはなかなかいい男だと思うが」
「・・・・嬉しいですけど」
彼女は倒れているあなたをお姫様抱っこで抱え上げた。

「えっ、なに、なにすんの?」
「決まっているではないか、夫婦の契りを交わすのだ」
「!」
「安心しろ、この店には地下にカップル用の部屋があると聞いた」
アヌビスはあなたを抱え地下室に向かう。

1組の夫婦が誕生した瞬間だった。
14/04/28 23:15更新 / 明後日の女神
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■作者メッセージ
というわけでしっかり者ですが予想外の展開には混乱してしまうアヌビスさんでした。責任感が暴走して結婚・・・・つぎはちゃんとしっかり者のアヌビスさんを書きたい。

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