読切小説
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ぷれぜんと

大切な物を詰め込んだ袋を整理してみると今まで幼馴染の彼に素敵な思い出を貰ってたんだなぁと気付いた。

綺麗な石。幼かったボク等にとっては大冒険の果てに見つけた財宝だ。

花の冠。まるで自分がお姫様になったように思えたどんなに豪華な冠よりも綺麗な物。

手作りの絵本。一緒に考えて色んな絵を描いた勇敢な騎士がお姫様を助け出すお話。

おもちゃの指輪。お互いに贈り合った大切な物、彼の部屋にも飾ってある。

映画の半券。初めて二人で見に行った映画、その時に流行ってたラブロマンスじゃなくてアクション映画だったけど、ボクら二人ともそっちが見たかったし大満足だった。

少しバランスの悪いぬいぐるみ。選択授業で仕方なく作ったけど持ってても仕方ないやって彼がボクにくれたもの、ほかの人に聞いたらすごい真剣に作ってたってボクは知ってるんだからね。

他にも色んな物が袋に詰まってる、彼からのプレゼントを貰う度にボクはそのお返しをプレゼントして、なんでもない日が記念日になっていく。

大切な思い出と宝物が詰まった袋、なんだかボクの方が貰ってばっかりいるなって思ってしまう。

だからボクからもプレゼントをあげよう。なんでもない日を記念日にするために。




「ほら、プレゼントやるよ」

少し恥ずかしくて口調がぶっきらぼうになってしまう。彼は「今日なんかのイベントだっけ?」と少し悩んだような顔。

「いつも貰ってばっかりだからな。それに、別になんでもない日にプレゼントあげちゃいけないって決まりはねぇだろ」

「ないけどさぁ」と彼は少し困ったような顔をしながらもボクからのプレゼントを受け取ってくれる。

「そうだなぁ……しいて言えばキミと一緒ならボクにとってはなんでもない毎日が『特別な日』だっての」

言えた、これならいつプレゼントをしたっておかしくないから。

彼は「何でもない毎日が『特別な日』かぁ……うん、そうか」となにか納得したようでポケットから小さな箱を取り出した。

「いつ渡そうかとか考えてたんだけど、クリスマスとかに渡す勇気が出なくてさ。俺と結婚してくれないか?」

箱の中身は指輪だった。これってプロポーズだよね?

「……ボクで良いのか?」

ちょっと信じられなくて疑うような言葉が出てしまう。彼の少し震える手が本気だってことは示しているのに。

「俺はお前じゃなきゃダメなんだ。今までずっと一緒にいてやっぱりかけがえのない存在だから、これからもお前と一緒にいたい」

嬉しすぎて涙が出てくる。ボクからプレゼントを贈ろうとしたのにまさかお返しに一生をプレゼントされるなんて、やっぱりボクの方が貰ってばっかりじゃないか。

「ずっと離さないから、ボクも一生をかけてキミにお返ししてくんだからな‼」

かけがえのない、『なんでもない特別な毎日』を今日も過ごしていく。
22/01/04 09:37更新 / アンノウン

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