読切小説
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魔剣士の便利屋さん
 とある大陸。親魔物国と反魔物国の2つの大国による戦争が繰り広げられていた。なぜ、反魔物国家が突然攻めて来たのかは謎だった。確かに2つの大国は思想の違いから相容れないことはわかっていた。だが、同時に貿易は民間同士で行っており、商人の国境の出入りもお互い黙認していた。

 この俺、リベリオン・D(ダンテ)・スパーダは、普段は魔物国の街で便利屋をしている。が、これは世を忍ぶ仮の姿で、本業は魔剣士だ。主にこうした戦争に傭兵として駆り出されたりする。他は、錬金術師や魔法使い、魔導士、学者、研究者から必要な材料を取りに行かされたりする。
 稀に「魔物が暴れているから何とかして欲しい」という依頼も寄せられるが、俺の美学は活人剣。人を活かす剣だ。よほどのことが無い限りは殺したりはしない。相手が魔物娘の場合は、少し懲らしめて土下座させて、反省文を書かせて依頼主に提出するだけだ。

「よし! 全員集まったな!」
 俺は人間と魔物娘で構成された魔物軍の隊長を任され、交戦地帯の付近に集合していた。
「いいか! 今回の任務は、敵軍を国境外へ追い出すことだ。だから深追いはする必要はない。逃げていく敵は放っておけ! あと、部隊からは絶対にはぐれるなよ?」
 敵は深追いしない。そして完全に包囲もしない。これは俺流の戦い方だ。深追いしたり、完全包囲してしまうと敵は激しく最後の一兵まで抵抗する。無駄な戦いが長引くだけだ。むしろ敗走して逃げていく仲間を見れば戦意も士気は下がり、敵を大きく弱体化させることができる。

「ったく! 表情が硬いな!」
 魔物娘は主にドラゴン、ワイバーン、サキュバス、デュラハン、ダークプリーストが所属しており、彼女達は戦慣れしているから問題ない。問題なのは人間達だ。
 魔物軍に所属する人間は、主にこの国を守りたい、愛する妻を守りたい、金のため、名をあげて出世したい・・・理由は様々だが、戦力は普通の人間と大差ない。中には戦慣れしていたり、剣術試合(剣を使った格闘技。特殊なフィールドで剣をふるうので死者は出ない。相手の剣を落とす、あるいは膝を地に着かせる、ダウンさせると勝ち)上がりの者も居るが、大半は素人に毛か生えた程度の戦闘能力しかなく、出撃の際には事前に教会でダークプリーストのお祈りにより一時的に力を上げてもらわなければ戦うことができない。

「おまえら! これから死刑台に上がるわけじゃないぞ! 戦と言う名の晴れ舞台なんだから、シャキッとしろ!」
 人間兵士の大半は怯え切った顔をしており、中には顔が真っ青で震えが止まらない者まで居る。

 俺はそんな彼らを鼓舞し、進軍を開始した。
 なに、こっちにはドラゴンやワイバーンやデュラハンが居るんだ。いざとなったら彼女たちがフォローする。それに俺も居るしな。敵軍もそんなに強くない。

 交戦地帯に着くや否や、敵軍との戦闘が始まった。
 ドラゴンやワイバーンやデュラハンは張り切って積極的に前線に出た。と言っても彼女達もちゃんと加減はしているから敵軍とは言え、人間を殺したりはしない。
 人間兵士も心配だったが、ちゃんと戦えている。たまにヒヤッとすることもあるけど、今まで犠牲になった者は居ない。

「どうした!? まだやるか!?」
「ヒィッ! 逃げろ! 撤退! 撤退だ!!」
「あ、おい! 逃げるな!」
 敵軍は一人、また一人と逃げていく。将軍が必死に引き留めるも敗走は止まらない。やがて、敵軍は全員国境外へ撤退して行った。

「よし! 作戦成功だ! 俺たちの勝利だ! お前たちもよくやった! さ、帰るぞ!」
「やったぞ! 生き残ったぞ!」
「お、俺も・・・結構やれるもんだな・・・」
「な、なんだ・・・敵は大したことないじゃないか。」
 部下たちも勝利に喜んでいる。こうして俺の部隊は帰還した。

 俺は魔物国将軍のドラゴンに作戦成功の報告をした。
「よくやってくれた! さすがはリベリオンだな! どうだ? 正式に入隊しないか?」
「いや、俺は自由気ままな方が合ってるんで。」
「そうか・・・。惜しいな。お前ほどの魔剣士は魔王様の軍にも居ないだろう。ほら、今回の報酬だ。」
「どうも。」
 俺は報酬を受け取って、城を跡にして家の便利屋へ帰った。

「帰ったぞー」
「おかえりなさい。大丈夫だった?」
 俺のダークプリーストの妻、トリアナが迎えた。
「楽勝さ。ま、俺が居るんだから当然だな!」
「ふふっ 余裕ですわね。」
「勇者でもこの国に来れば、俺が叩きのめしてやれるんだがなぁ・・・」
 隣の国から勇者が出たことはない。

「リベ様おかえり〜!」
「おう! いい子にしてたか〜!」
 こいつはもう一人の家族。飼いコボルドのルノだ。山で素材探しをしているときに出会い、俺に懐いて、そのまま家に連れて帰ってペットにした。

 俺は赤色のコートを上着掛けに掛け、剣を剣立てに立てかけてテーブルに座った。
「トリアナ。今日のメシは?」
「リベリオンはハンバーグ、ルノはペットフードですよ。
「ええー ルノもハンバーグ食べたーい!」
「俺のを少し分けてやるよ。」
 こうして、いつもの夕食の家族団らんは進んでいく。

 実は俺の名前は本名ではない。本名はいろいろあって、とっくの昔に捨てて、とっくの昔に忘れた。
 このリベリオンという名の意味は反逆。つまり反魔物や天使、主神に対する反逆だ。そしてDは尊敬する遠い地方に居ると言われている魔剣士から取ったもので、スパーダも、かつて人類を救ったと言われている伝説の魔剣士の神話の小説から取った物だ。
 俺は名前などには意味はないと思っている。それに、本当の名前が分からなくなったこともどうでもいいと考えている。名前など、あとで自分で相応しい名前をつければいい。

 トリアナはダークプリーストだ。昼間は教会に勤め、住人の悩みを聞いたり、「堕落した神」へお祈りをしたり、出陣する人間の兵士にお祈りをして一時的に力を与えたり、パンデモニウムへ向けて祈りを捧げたりする。そして月に数回、ミサを開く。トリアナはオルガンやピアノの演奏がとても上手く、歌声も綺麗だ。そのため、トリアナの歌目当てでミサには多くの住人が集まる。

 コボルドのルノは、家族全員に可愛がられている。食事は主にペットフードだが、彼女はペットフードの銘柄までも分かってしまう。たまにまずい銘柄のペットフードを買ってきてトリアナと喧嘩することもあるけど、内心、トリアナも俺もコボルドの嗅覚、そして舌の力には驚いている。
 たまに便利屋の依頼に連れて行くこともあり、素材探しや掃除、機械や家の修理などを手伝っている。これには俺も助かっている。

 夕食のあと、トリアナとルノは後片付けをして、俺は手紙箱をチェックする。特に依頼は無いらしい。
(特に気になる依頼はないな。)
 俺は手紙箱を閉じた。

 そして就寝前。毎夜盛り上がっている。
「相変わらずデカい胸だな! 最近また大きくなったんじゃないか?」
「そ、それはっ あんっ リベリオンがいっぱい揉むからっ」
「お祈りのとき、信者は絶対トリアナの胸をガン見してるぜ!」
「そっ そんなっ あんっ」
「どうせ信者からエッチな目で見られて興奮してるんだろ? この淫乱シスターめ!」
「はいぃぃ! 信者の人たちから胸やお尻を見られて・・・興奮して・・・グチョグチョに濡らしていますぅ!!」
「ったくしょうがねーな! 淫乱シスターにはお仕置きだぜ!」
 俺はガチガチに勃起したペニスをトリアナに挿入した。

「ああぁん! 淫乱シスターのオマンコに! 魔剣士様の魔剣が挿ってますぅ!!」
「うっ! 相変わらず凄い締め付けだ! そんなにペニスが好きなのか? さっきからヒダが絡みついて、子宮も吸い付いてるぜ!」
「だってぇ! リベリオンのチンポ! 大きくて、逞しくて・・・あんっ! ずっとこうしてたいのぉ!!」
「う! そろそろイクぜ!」
「ああんっ! イッて! 淫乱シスターマンコに種付けしてぇぇ!!」
 俺はありったけの精子をトリアナの奥にぶちまけた。だが、俺の莫大な量の精子はトリアナの中には全ては収まらず、中から溢れ出てくる。
「リベリオンの精が・・・私の中に満たされています・・・」
「俺も気持ちよかったよ。トリアナ。ルノは・・・もう寝ちゃってるな。」
「ルノにもしてあげてくださいね。」
「そうだな。そのうちにな。じゃあ、夜も遅いしもう寝るか。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
 俺とトリアナは眠りに入った。

 実はルノを飼い始めてから、まだルノにはしてやってない。普段のルノを見ても、懐いてはいるが、かと言って性に興味があるような素振りは見せない。それに、ルノは寝る時間が早いので、トリアナとセックスする時間帯になる頃には寝てしまう。
 だけど、ルノも魔物娘だもんな。そのうちちゃんとしてやらないとな。ルノも喜ぶだろう。

 次の日、既に朝食を済ませ、トリアナは教会へ、ルノはおもちゃで遊んでいる。俺は机に座り、今日の依頼をチェックする。
「おっ! 1つ依頼があるな・・・なんだ。馬車の修理か。しゃーない。行ってくるか! ルノ! 留守番頼むぞ!」
「は〜い!」
 俺は便利屋用の作業着と帽子を被り、依頼人の元へ向かった。

「ああ、リベリオンさん! よろしくお願いします。」
「どうも! 馬車の故障でしたね? どんな感じですか?」
「車輪の接合部分が壊れちゃったみたいなんです。直りますか?」
「んー これならすぐ直りますよ。家で休んでいてください。」
「そうですか! ありがとうございます!」
 俺は馬車の修理に取り掛かった。こんなのは大したことない。結合部分の部品を直せば元通り走るようになる。結合部品のたわみや歪みを手際よく直し、修理は完了した。
「終わりましたよ!」
「おお! ありがとうございます!」
 俺は報酬をもらって家に戻った。

「ただいま〜 ルノ。郵便の人来なかったか?」
「来てないよ?」
「そっか。じゃあ、新しい依頼はなしか・・・。まいったな〜 これじゃあ午後は暇だぜ!」
「そういえば、トリアナが今日はミサの日だって張り切ってたよ?」
「ほんとか? よし! それならトリアナの教会へ行くか!」
「うん!」
 俺はルノにつけた首輪にヒモを付け、トリアナの勤めている教会へ向かった。

 教会では既にミサが始まっており、たくさんの信者が席に座っている。壇上では煌びやかな装飾品を身に着けたトリアナが綺麗な歌声で歌を歌っていた。
 俺とルノは適当に空いてる席を見つけて座った。
(いい声してるぜ。トリアナ。夜はもっといい声をあげるけど、昼のトリアナも綺麗だ。)
 信者達はトリアナの歌声に癒されているようだ。

 トリアナの歌が終わり、演奏が終わった。信者たちは拍手した。俺とルノも拍手をする。
「皆さま! 今日はお集りいただき、本当にありがとうございます! 皆さまに、堕落神の祝福があることを!」
 そう言い終えると、トリアナは壇上から降り、奥の扉へ入っていった。俺とルノもトリアナの後を追った。

「トリアナ! お疲れ様!」
「リベリオン! それにルノも!」
「午後の仕事がなくて暇だから、来ちゃったよ。トリアナの歌声、綺麗だったよ。」
「ありがとう。本当は、毎日でも来て欲しいな。そしたら、リベリオンのためにいくらでも歌えそう。」
「そっか。まぁ、時間があるときは顔を出すさ。あ、でもトリアナは夜の喘ぎ声の方が・・・」
「もう! ここは教会ですよ? 破廉恥な発言は慎んでください!」
「は〜い・・・。トリアナ、このあと時間あるか?」
「ええ。1時間の休憩時間に入るから大丈夫よ。」
「そうか。じゃあ、公園にでも一緒に行かないか?」
「ええ! 行きましょう!」
 俺とトリアナとルノは近くの公園に向かった。

 公園では子ずれの母子が遊んだりレジャーシートを引いて弁当を食べている。
 ルノは公園に着くや否や、走り回り、芝生をゴロゴロしたりしてはしゃぎ始めた。
「おーい! ルノ! あまり体を汚すなよー!」
「は〜い!」
 俺とトリアナは近くのベンチに腰掛けた。
「いい空気だな。街中のごみごみした中に居ると、こういう空気のおいしさを忘れちゃうんだよな・・・。」
「そうね。パンデモニウムにいる人たちも、自然の美味しい空気を忘れてしまっている人も多いわ。ずっと交わってばかりだから。」
「ハハッ だろうな。」
「ねぇ、私たちも、パンデモニウムに行かない?」
「またその話か? 言っただろ? まだ、しばらくは便利屋を続けたいんだ。まだ、こっちでやることが残っている・・・そんな気がするんだ。」
「・・・そう・・・」
「そんなに落ち込むな。セックスなら毎夜してるだろ? トリアナが夜になると股間をグチョグチョに濡らしちゃうもんな!」
「なっ! リ、リベリオンだってオチンポをギンギンに勃起させているではありませんか!」
「トリアナが魅力的だからな。」
「っ!!・・・・」
 トリアナは顔を真っ赤にする。
「まぁ、でも、どんな剣士だっていつかは弱って、戦いに対するモチベーションも失って、引退するときが来る。老兵は死なず、消えゆくのみ・・・どこかの国にそんなことわざがあるらしいんだ。。俺もいつかは魔剣士を引退するだろう。そのときは、パンデモニウムで平穏な日々を送るってのも悪くはないな。」
「リベリオン・・・」
「それに、ほら。現世でもちゃんと、信者を増やさないといけないだろ? それもダークプリーストの役目。」
「そうですね! 親魔物国家の皆様も、反魔物国家で主神を信じている皆様も、信者にしないといけないですね!」
「おいおい、宗教の強引な勧誘は駄目だからな・・・。」
 平穏な時間が過ぎていく。そんな中、ドタドタと平穏をかき乱す足音が聞こえて来た。
「おい! リベリオン! 緊急の依頼だ! すぐ来てくれ!」
「うわっ! 騎士団長!」
「まぁ! ドラゴンの騎士団長様! 夫がいつもお世話になっております・・・」
「ああ、奥さんどうも・・・。家族団らんを壊して申し訳ないが、苦戦しているんだ。支度をしたら城にすぐ来てくれ!」
「わかった。すぐ行く! それじゃあ、トリアナ! 夕食、美味い物用意して待っててくれよ!」
「ええ。行ってらっしゃい!」
 そう言うと、トリアナは俺の頬にキスをした。
 俺とルノは大急ぎで家に戻り、俺は作業着と帽子を脱ぎ捨て、赤いコートに剣の魔剣士スタイルになった。
「じゃあ、ルノ! 留守番頼んだぞ!」
「うん!」

 城に向かうと、珍しく人間兵士は熟練の兵士が集まっていた。魔物娘も階級の高いワイバーンやデュラハンが集まっている。
「珍しいな。おまえら熟練兵だろ?」
「ああ。実は、ここ数日敵の様子がおかしいんだ。あいつら、ただの人間じゃない。」
「なんだそりゃ? まぁいいや。ドラゴンの兵士は居ないのか?」
「運悪く、みんな出払っているんだ。でも、我々ワイバーンだってスピードならドラゴンに負けないぞ!」
「ああ! 頼りにしてるぜ!」
「とにかく、今回の敵はただの敵じゃないから、魔剣士さんも、気を付けてくれよ。」
「ああ。まぁ、その人間のようで人間じゃないものを見てみないことには始まらないな。おい、出撃しようぜ!」
「了解!」
 人間の兵士は馬車を動かした。

 前線付近の平原に馬車を止め、俺達は馬車を降りた。
「いいか! 絶対にはぐれるんじゃないぞ! 勝手な行動も禁物だ! 深手を負ったら無理しないで下がれ!」
「了解!」
 俺たちは進軍した。少し進むと、話に聞いた通り異様な人間達が吠えていた。

「うおおおおおおおおおお!!」
「ガルルルルルルッ!!」

「なんだありゃ? 確かにただの人間ってわけじゃなさそうだな。かと言って、魔法をかけられているわけでもなさそうだ。あいつら、極端に言えば普通の人間と変わらないぞ。」
「あんなのがか?」
「ああ。極端に言えば・・・だが・・・おっと、こっちに気づいたようだな。」
 敵軍の異様な人間達はこちらに気づいたのか、襲い掛かってきた。ワイバーンと人間兵士が応戦し、俺はまずは様子を見ることにした。

(確かにただの人間とは違うかもしれないな。魔法がかかっている様子もなければ、薬でラリってるわけでもなさそうだ。だが、異常なほど筋肉が発達している。鍛えたのか、それとも薬を使ったのか? だが、何よりもあの眼は異常だ。あの眼からは激しい憎悪を感じる。まるで憎悪に支配されたケダモノだな・・・まずいっ!)

「うわっ!」
 一人の人間兵士が弾き飛ばされ、トドメを刺されそうになったところで俺は助けに入り、敵の剣を受け止める。
「おまえは下がれ! あとは俺が何とかする!」
「ああ、すまない・・・」
 人間兵士は下がっていった。

「ん? なんだ?」
「ガルルルルッ! ウガアァァァ!!!」
 敵の兵士は、俺の顔を見た途端、突然今まで以上に発狂し、その眼はまさにケダモノと言ったところだった。
「な、なんなんだこいつらは!?」
 敵は無茶苦茶な戦い方をしている。剣を滅茶苦茶に振り回して突っ込んでくる。防御など度外視した捨て身の戦い方だ。
 俺は一つ一つの剣を冷静に裁き、がら空きになった敵の膝を斬り付けた。しかし、それでも敵はひるまず襲い掛かってくる。
(バカな!? 膝をあそこまで斬られたら普通の人間じゃあ立つことさえできないはずだぞ! 怒りで痛みを感じないのか!?)

 その後も戦闘は硬直し、敵は一層激しく発狂している。
(まずいな。人間兵士のスタミナがこのままじゃあもたない。仕方ない。アレやるか。)
「ワイバーンは飛べ! 人間兵士は伏せろ!」
 俺は地面に剣を叩きつけ、魔力を爆発させた。

 この技は周囲の敵を気絶させる技だ。敵も人間である以上、気絶しないわけがない。敵は全員気絶した。気絶させた敵はワイバーンに国境外へ運ばせ、俺達は帰還することにした。

 城に着いた頃には、既に夜になっていた。俺はドラゴンの騎士団長に報告する。
「今回の敵は、一体なんなんだ? あれは明らかに異常だ。かと言って、魔法や薬で強化されているわけでもない、生身の人間だ。」
「ああ。奴らはまるで何かに憑依されたかのように、怒りに身を任せてこちらに襲い掛かって来るんだ。あいつらがこの国へ入れないように、なんとしても防がないといけない。」
「そうだな。だけど、あれは大半の人間兵士には手におえそうにないな。膝を斬りつけたとき、やつらビクともしていなかった。痛みを感じていないようだったな。」
「そうなんだ。奴らは理性を失い、痛みを感じることなく、発狂して襲って来る。あと、いくつか奇妙なことがあるんだ。」
「奇妙なこと?」
「ああ。まず、奴らは顔のいい男、イケメンを見るとより一層発狂して、積極的に襲い掛かってくる。あと、男女ペアの隊列を見ると、発狂する。まぁ、簡単に言うと、イケメンと、男女の組み合わせを見ると発狂してより一層凶暴になるということだな。」
「そうか! だからあいつら、俺を見たとき発狂したのか! でも、なぜ?」
「さぁな。もしかしたら、あっちの国の何かが原因かもしれないな。それが何なのかはわからないが(おまえは相変わらずナルシストだな。あえて突っ込まないでおくぞ)」
「向こうの国に原因ねぇ・・・潜入すれば、何か分かるかもしれないな。」
「そうだな・・・なぁ、依頼が終わった直後で申し訳ないんだが、明日、敵の国に潜入して情報を集めてもらえないか?」
「潜入か。面白そうだな! なに! 俺はそういったこともプロなんでね! いいぜ!」
「そうか! わかった! 明日の朝、部下のワイバーンをおまえの店に向かわせるから、詳しい話は彼女から聞いてくれ(おまえいつから潜入のプロになったんだ?)」
「おう! 任せてくれ!」
 俺は明日の仕事を確保した。潜入には自信がある。真正面からドンパチも面白いが、たまにはこういうのも悪くないだろう。俺は城を後にして帰宅した。

「ただいま。」
「おかえりなさい。夕食、出来ていますよ。」
「おう! それはちょうどいいや。」
 トリアナは俺から赤いコートを脱がせると、いつもの服掛けに掛けた。俺は剣を剣立てに置いてから食卓に着いた。

 その頃兵士の詰め所ではこんな会話がされていた。
「あの、騎士団長。今回の潜入、リベリオンに任せて大丈夫ですか? 確かに彼は最高の魔剣士ですけど、潜入というガラではないと思います。はっきり言って、敵国に入るや否や戦闘してしまうのでは?」
「私もそう思っている。だけど、あそこまで自信満々に言われて、勢いに押されてしまったと自分でも反省している。だが、他に適任者が居ないのも確かなのだ。」
 ドラゴンの騎士団長、詰め所で泊まり勤務のワイバーン兵士は明日の潜入について悩んでいた。
「敵国は反魔物国家だ。魔物娘の我々が行っても揉め事になるのがオチだろう。かと言って人間兵士に行かせるのも無理がある。となると・・・」
「リベリオンしか居ないわけですね・・・。まぁ、最悪彼なら潜入がバレてもどうにかなるでしょうしね。」
「まぁ、彼を信じるしかない。あの男はなんだかんだで自信たっぷりなときは決まって決めてくれる男だ。」

 そしてリベリオンは寝る前、トリアナに抱えてもらいながら、トリアナの母乳を吸っていた。
「ちゅぱちゅぱ・・・」
「ああんっ そんな赤ちゃんみたいにっ」
「美味しいよ。トリアナのおっぱい。甘くて暖かくて、これなら赤ちゃんができてもきっと美味しく飲むよ。」
「ありがとうっ んんっ」
「今日は魔力を多く消費したんだ。で、明日は魔力を使いそうだから。というのは建前で、トリアナのミルクが飲みたかったんだよね。」
「もうっ スケベですっ あんっ」
「でもトリアナの乳首も立ってコリコリだぜ? あと、俺のチンポもギンギンだ。悪いけど、お願いできないかな?」
「はいっ お苦しそうなリベリオンのチンポっ 私が楽にしてあげます!」
 トリアナの尻尾の吸精口が開き、俺のペニスを咥える。
「ううっ! 出る!!」
「ああんっ! 私もイッちゃいますぅ!!」
 俺はトリアナの尻尾の口に大量の精子を吐き出した。トリアナも絶頂し、股が濡れているのが分かる。そして両胸の乳首から勢いよく母乳が噴出した。

 その後、後始末をして、俺とトリアナはベッドに入った。ルノは専用のワラの寝床で寝ている。何でもワラの方がベッドよりも眠れるかららしい。そういえばそろそろワラも古くなっているから、買い換えてやらないとな。

「明日は敵国への潜入任務なんだ。」
「潜入!?」
「おいおい、驚くことないだろ? 今まで何度も危険な依頼はあったじゃないか。それに、俺は潜入のプロなんだぜ?」
「そうでしたっけ?」
「そうなの。なに、心配するな。人間のフリをすることには慣れている。丁度、トリアナにたっぷり力をもらったからな。」
「もうっ! エッチなんですから!」
「ハハッ 俺をエッチにさせるトリアナが悪いのさ! 明日の報酬は相当な金額になるぜ! どうする? 大国の高級ラブホテルにでも行くか? それとも、何か美味しい物でも食べに行くか?」
「そうですねぇ・・・旅行がしたいです! 3人で一緒に!」
「旅行か・・・。いいなぁ。最近、行ってなかったもんな。どこへ行きたい?」
「ジパング地方にでも行ってみたいです。」
「ジパング地方か。俺もあまり行ったことないから、行ってみるか! じゃあ、明日の任務は是が非でも成功させないとな!」
「頑張ってくださいね!」
 トリアナと話をし終わったあと、俺は眠りについた。ジパング旅行がかかった任務か。こりゃ何としても成功させないとな。

 次の日の朝。俺は既に赤いコートを着て、剣を磨いて準備を済ませていた。
「えっと、あとは・・・お弁当と・・・飲み物と・・・」
「おいおい、トリアナ。遠足じゃないんだから。」
「僕も行きたーい!」
「ダーメ。今回の任務は危険なの。反魔物国家にルノは連れていけないの。」
「そっか・・・僕が居たら目立っちゃうもんね。」
「ルノは依頼箱の管理頼むぜ。あと、店の札はクローズにしておいてくれよ。」
「うん!」
「よし!偉いぞ。トリアナ。今日の帰りは夜になると思うから、夕飯はルノと二人で済ませてくれ。」
「あら、夕食までに帰れないのですか?」
「ああ。だから、明日の夕食は豪華に頼むぜ! シーフードピザとか、ステーキとかな!」
「ええ! 今日食べれない分、最高の料理を作るわ! でも、ピザは無理よ・・・?」
「ええー 俺はトリアナの愛情がこもったピザが食べたいんだけどなー」
「家でピザなんて、どうやって焼くのさ・・・」
 最後にルノが突っ込みを入れたところで、迎えのワイバーン兵士とドラゴン兵士が来た。

「リベリオン! 迎えに来たぞ!」
「おう! もう準備はバッチリだぜ! じゃあ、行って来るぜ! ルノ!店は頼むぜ! トリアナ!夜まで待ちきれなくてオナニーするなよ!」
「い、行ってらっしゃい・・・!」
「頑張ってね!」
 俺は2人の魔物娘に連れられて馬車に乗った。トリアナは顔を赤らめ、ルノは元気に俺を見送った。

「全く、緊張感のかけらもないな! 貴様は!」
「いやいや。それなりに緊張もしてるし真剣だぜ? 俺は依頼には常に真剣なのさ。それが便利屋のポリシーだからな。」
「ハハハッ 逆にリベリオンが真面目になったら、天変地異でも起こるんじゃないか?」
「ひでぇな。」
「あ、そうだ。国境で任務の確認と大事な話があるから、ちゃんと聞いてくれよ。」
「大事な話? ああ・・・。」
 大事な話ってなんだ? まぁ、どうせ敵国でむやみな戦闘はするな、とか、問題ごとは起こすな、とかそんなことだろう。

 国境付近。ドラゴン兵士とワイバーン兵士、エルフ兵士にアマゾネス兵士が10人ぐらい居た。
「着いたぞ。降りてくれ。」
「おう!」
 俺は敵国を見る。ここからでは小さく、街の一部しか見えないが、それでも大きな城が見える。
 ドラゴン兵士が今回の作戦を説明し始めた。
「じゃあ、作戦を説明するぞ。真剣に聞くんだぞ?」
「ああ。」
「まず、今回の任務は潜入だ。戦闘ではない。だから敵とむやみに戦う必要はないし、騒ぎは極力起こさないでくれ。」
「分かってる。」
「もし、何か問題が起きた場合、国際問題に発展する恐れがあるからな。肝に銘じてくれよ。あと、これは不確定情報なのだが、どうも敵国の人間は顔のいい男を見ると逆上して襲い掛かるそうだ。」
「なぜ?」
「さぁ。それは潜入すれば分かることだろう。いずれにしても、おまえは顔だけはいいからな。敵にとっては格好の的だ。注意してくれよ。」
「ああ(こいつサラッと失礼な事言ったな。まぁいいや)」
「あと、最悪戦闘になって騒ぎになってしまった場合、恐らく敵国は中隊規模の兵士を送り込むだろう。だが、そうなっても無理に倒す必要はない。というよりも、逃げてくれ。」
「倒さなくていいのか?」
「それこそ国際問題に発展する。我が国の女王は平穏を望んでいる。」
「そうか(ちなみに、俺の国の女王はドラゴンだ。容姿も人望も非の打ちどころがない。国王は人間なのだが、表には顔を出さない。極度の人見知りで、女王しか信用していないから表に出たがらないって噂だな)」
「それと、今回の任務にあたって、魔導の技術が進んだ先進国の大国から、任務の協力の申し出があったんだ。」
「魔導大国のあの国のことを言っているのか?」
「ああ。そして、あるアイテムを貸してくれた。これは極秘開発された最新鋭装備らしい。他言無用だぞ?」
「ああ。守秘義務は守るさ。で、その最新鋭の装備ってのは?」
「これさ。」
 ドラゴン兵士は、ボタンのついた腕輪とおかしな模様のローブを取り出した。・・・本当におかしな模様だ。色の配置も滅茶苦茶だ。よく見ると一つの色が蛇っぽい形をしている。蛇模様とでも表現しようか。
「なんだ? このおかしな模様のローブは。」
「ステルスローブ(仮)というらしい。その腕輪をつけてこのローブを着ると、ローブを来た者を透明色にすることができるらしい。」
「おいおい、それってつまり・・・」
「ああ。このローブを着れば、体が透明色になって周囲からは見えなくなる。」
「そんな凄い物がもう実用化されてるのか!?」
「いや、これはあくまでも試作品だ。問題点もある。まず、このローブは使用していると熱を帯びてくる。だから身に着けた者が長時間使用した場合、脱水症状を起こしてしまう。あと、熱の温度が上がるにつれて、透明度が落ちてしまう。そうなると役に立たなくなるそうだ。」
「なるほどな。」
「この銀の腕輪が、スイッチのオンオフを切り替えられる。あと、温度表示が記されてるだろ? 問題ない状態なら緑だが、透明度が落ちると黄色、そして高熱になって透明度が極端に落ちると赤になる。ローブを使用しているときには腕輪の温度表示に注意してくれ。」
「わかった。」
「もし、表示が赤になっても、しばらく使わなければ自然に温度が落ちて冷却されるだろう。そうなればまた使うことができる。」
「オッケー。この温度表示に気を付けながら、潜入すればいいわけだな。」
「そうだ。勿論、魔力の気配を消すことも大事だが、それは自分でな。最悪、敵に見つかって騒ぎになったら、国境まで逃げてこい。兵士達を待機させておく。」
「わかった。」
「説明は以上だ。質問は?」
「ない。もうバッチリだぜ!」
「わかった。じゃあ、行って来い! 検討を祈る!」
「おう! 吉報を期待して待ってな!」
 俺は腕輪を付け、ステルスローブを身に着けて敵国へ向かった。

「弓兵連隊! そこの木の上から様子を見てくれ!」
「わかったわ!」
 エルフの弓兵達は高い木の上に登り、偵察を始めた。

 敵国の門の前にたどり着いた。魔剣士である俺の脚を持ってすれば100km200kmなど短距離と変わらない。問題は門番の兵士だ。普段の俺なら殴って気絶させるところだが・・・今回はこれがある。
 俺はステルスローブのスイッチを入れて、門を通り抜けた。
(これはスゲェ! 目の前に居ても全く気付かれないぜ! だが、温度には注意だな)
 こうして俺は、反魔物国家の王国へ入った・・・。

 敵国の街は閑散としていた。あちこちに店や市場が見当たるものの、明かりのついている店は少なく、市場は商人すら居ない。
(変だな・・・この街は商人で栄えた街だって聞いたが・・・)。
 しばらく進むと広場に出た。そこでは何やら喧噪が起きていた。

「やめてください! 私達が何をしたって言うんです!?」
「うるせぇ! おめーらみてーなのを見ると頭に来るんだよ!」
「お願い! やめて!」
「二度と彼氏ができないようにその顔ズタズタにしてやるぜ!」
 広場では、数名の男達が男女を棒で殴っていた。見る限り、殴っている男達は普通の市民で、どうもゴロツキやチンピラという風貌ではない。むしろ中には太って居たり、見るからに陰険そうで地味な者も居る。殴られている男女は顔は中の上辺りだろうか? 決して悪くはないが、トリアナと比べるとそうでもない・・・まぁ、比較対象が間違っているか?

(魔剣士とは言え、目の前で人が殴られているのを見て心が痛まない・・・と言えば嘘になる。だが、今は騒ぎを起こすわけにはいかない。・・・悪いな)

 俺はその場を後にした。そのとき、遠くの通りから大きな足音が聞こえて来た。
(凄い人数の足音が聞こえるな。さっきの騒ぎの鎮圧か? にしては人数が多すぎる。)

 別の大通りでは、看板を掲げているものを筆頭に、その後ろに大勢の男達が続いていた。看板には「イケメンを殺せ! カップルを引き裂け!」と書いてあった。
「イケメンを殺せ! イケメンを殺せ!」
「イケメンが居るから俺達には女ができないんだ!」
「カップルは八つ裂きだ!」
「どこでもかしこでもイチャついてるんじゃねーぞ!」
「カップルのせいで俺らの居場所がなくなっちまうんだ!」
 男達は見るからに・・・モテなさそうな者が多い。だが、中には体格だけは優れている者も多い。
「あっ! あそこ! カップルが居るぞ! 殺っちまえ!」
「うおおおおおお!!」
 男の隊列はカップルを見つけるや否や、集団で暴行した。

 ここまでの流れを見る限り、彼らはイケメンやカップルを憎んで襲っているようだ。だが何の目的があって・・・それに、妬みの気持ちだけでここまでのことができるだろうか?
 確かに俺も人間だったときの戦士育成所の小等学級ではいじめられていた。当然彼女はおろか、友達すらできなかった。俺は学校の休み時間が嫌いだった。何もすることはないし、いじめに遭う確率も高いからだ。だから俺は図書室という安全地帯で本ばかり読んでいた。窓の外ではグループがよく仲良く遊んでいたり、男の子と女の子で仲良くしゃべって居たりした。俺はそれを初め、羨ましいと思っていた。だけど、しばらくすると、辛く心が痛むので窓の外だけは決して見ないようになった。

(あのときは「伝説の魔剣士」の本をよく読んでいたっけかな。普段は便利屋をしているが、正体は悪魔退治を専門とするデビルハンターの話だ。これは勿論架空の話だったけど、俺はあの本の主人公に惹かれたんだよな。俺もあんな、かっこいい魔剣士になりたい。そう思って、親を泣かせて、学校を中退して、8歳で家を飛び出したんだっけかな)

 今の便利屋の仕事も、この本の主人公に憧れていたからだ。ちなみにこの「伝説の魔剣士の本」は著者も不明で、出版された年月日も不明で、物語も魔剣士が悪魔を退治するという、魔物国家にとってはあまり好ましくないテーマのため、あまり人気がない。最も、「魔剣士を志す者や、ちょっとこじれた可愛い中二病な子」には人気なのだが。
 ま、とりあず俺の過去話はこれぐらいにしておこう。俺にとって俺の人生は母親から生まれたとこからではない。「魔剣士リベリオンとなった瞬間」からが俺の人生の始まりなのだ。え? いじめてたやつらに復讐? バカバカしくて考えたこともない。てか、もうそいつらとっくに死んでるだろ。もう100年は前の話だしな。

(まずい。体温が上がってやがる! 休まないと駄目だな。おっ! あの酒場なら大丈夫そうだ!)

 俺の視線の先には、暗い路地にある古ぼけた酒場があった。ああいう店はたとえ俺が魔物だったとしても、客も店主も気にしない。ワルが集まる店ってのは、まともな奴が来ると気分を害すが、それ以外に関しては来るものは拒まないのだ。俺は透明状態を解いて店に入った。

「いらっしゃい・・・」
 ガラの悪い、やる気のなさそうな中年で髭を生やした店主が挨拶をした。
「ここ、いいかい?」
「勝手にしな。」
 俺は空いているカウンターに座った。
「注文は?」
「・・・コーヒーで」

 店内は薄暗く、椅子も机も錆びれている。客もガラの悪いいかにもチンピラというような者や、酒浸りでアル中のような奴らばかりだ。奴らは初めて来る俺のことが気に食わないようだ。
 中にはテーブルで堂々と白い粉(アヘンだろうな)の売買をしている者も居るが、こういった店では他人について余計なことは干渉しないのがエチケットだ。

「ほらよ。コーヒーだ。」
 目の前には入れたばかりで暖かい湯気が立っているコーヒーが置かれる。
「なぁ、マスター。ちょっと話いいかい?」
「駄目だ。」
「そんなこと言わずにさ。」
 俺は少量の余計な金、いわゆるチップを置いた。
「何か、俺に用でもあるのか?」
 店主の態度は一変した。こういう店では基本、情報集めをしようと思ったら金を渡せばいい。そうすれば、知っていることは大抵教えてくれる。逆に、金も払わなければ奴らは何も答えない。
「この街のことについて聞きたいんだ。」
「・・・何を聞きたい?」
「表の連中だが、なんであんなに凶暴になっているんだ?」
「非リアだからさ。」
「非リア? なんだいそりゃ?」
「この街で生まれたスラングだよ。非充実現実生活者。まぁ、俺らみたいなもんだな。」
 背後ではガラの悪そうな男達が笑い声をあげた。
「なるほどねぇ・・・。それで、略して非リアと。」
「そうだ。だが、それも定義が曖昧で、この国じゃあ主に、モテない、彼女が居ない、友達が居ない。そんな奴らを差す言葉になった。」
「なるほどねぇ・・・いわゆる、寂しい男の集まりってわけか。」
「おい! なんだとテメー!」
 突然、肩を掴まれて無理やり立たされ襟首をつかまれる。
「悪い悪い。俺、よそ者だからこの街の事情わからなくってさ。マスター。ビール!」
「毎度あり・・・」
 マスターはビールを出した。俺を掴んでいた男は手を放し、態度を一変させて笑顔を浮かべた。
「おっ! あんた気が利くじゃねーか! ヘヘッ! 上物のヤクが欲しけりゃ、いつでも俺に言いな!」
「どうも。」
 そう言って男は元の席に戻った。
「あんた、よそ者だってな。早くこの国を出た方がいい。命が惜しかったらな。」
「だろうね。だけど、俺はこの国でやらないといけないことがあるんだ。まぁ、とにかく、その非リアってのがイケメンやカップルを襲ってるってことはわかったんだけど、なぜ?」
「妬んでいるか、憎んでいるからさ。イケメンは黙っていても女が寄ってくる。だから自分はモテない。カップルは非リア充の居場所を奪う。本人達にその自覚はなくても、結果的に静かに過ごしたい非リアにとって、明るく賑やかにはしゃぐカップルは不愉快なんだろうな。」
「なるほどねぇ・・・。ま、気持ちは分かるな。だけど、そんなに街で暴れていたら、国は黙ってないだろ? 兵士は何をやっているんだ?」
「勿論、初めのうちは鎮圧しようとしたさ。だけど、非リアの中から、徹底的に抵抗して、イケメンとカップルを皆殺しにしてやろうって奴が現れた。そいつがカリスマ的でな。一人。また一人とその者について行く物が現れた。そして、気づいたら、治安を取り締まる部隊の兵士の力じゃあどうにもならなくなっちまった。」
「そりゃあある意味凄いな。でも、さすがに国軍の一個中隊なら鎮圧できるんじゃないか?」
「国王は政府への批判や、反乱以外には無関心なんだよ。あいつら、国王は特に目の敵にしていないだろ? だから・・・おっと。これ以上は言えないな。」
「え? おいおい! ここまで喋ってくれたのに、そりゃないぜ!」
「どうしても知りたければ、ウィスキーを買いな。」
「(高い・・・が、ここは仕方ない)わかったよ。ウィスキーを頼む。」
「毎度あり・・・ヘヘヘッ」
 この店ではウィスキーは一番高い値段だ。だが、かと言って上物というわけでもなさそうだ。ちなみに俺は酒は嫌いだ。
「ほらよ。このウィスキーを、あそこのテーブルに居る兵士に持っていきな。あんたの知りたいことは、全部知ってるはずだぜ。」
「どうも。」
 俺は会計を済ませ、ウィスキーをテーブルでラッパ飲みしている兵士に持って行った。
「ここ、いいか?」
「駄目だ!」
「あんたにウィスキーを奢りたいんだが?」
「おお! 気が利くじゃねーか! 座りな!」
 俺は男と一緒のテーブルの席に腰を掛けた。
「なぁ、ちょっと聞きたいんだが、何で非リアは暴動はしても、革命はしないんだ?」
「そりゃあ、奴らはイケメンとカップルしか襲わないからな。特に国王を批判してるわけでもないし。」
「ああ。さっきマスターから聞いたよ。」
「それにな。国王も国王で、悪知恵を利かせたのさ。あの非リア達の妬みと憎悪のエネルギーを、何かに使えないかって国の魔術師に相談したんだよ。そしたら、何の大臣かまでは分からないけど、特別部隊を創設したんだ。」
「特別部隊?」
「またの名を、非リア部隊。非リアの連中を、傭兵として国が雇って、奴らを戦場に駆り出すのさ。勿論戦い方も武器の使い方も分からないままじゃあ戦力にならない。だから、筋肉増強剤と興奮剤を打って、恐怖心を取り除くのさ。武器はどうせ使いこなせていない素人だから、安物の奴を使わせてるらしい。」
「なるほどな。どうりで魔力は感じなかったわけだ。奴ら、薬で強化されていたんだな。」
「ああ。国内のカップルに対する不満を外で発散させる。さらに薬で強化された人間。運用コストもかからないし、人的損失も少ない。最高だろ?」
「だけど、そうまでして、傭兵に志願する奴なんて居るのか?」
「居るさ! 給料も高いし、魔物を1体殺せば上乗せされる上に、国中の好きな女と無条件で結婚できるんだ! だから傭兵も必死で魔物と戦う。」
「なるほどな。ありがとう。」
 俺は貴重な情報を得て、店を出た。

 その後、適当に街を徘徊すると、傭兵募集のチラシを発見した。
(これだな。給料も確かにそこらの国よりは高いな。おまけに魔物1体でも倒せば給料上乗せ、さらに国中の好きな女性と結婚できる・・・か。これなら奴らも食いつくかもな)
 俺はチラシをしまった。有力な情報はもう得た。現役の兵士(汚職兵士だけど)からの情報となれば、間違いはないだろう。これで目的は達成した。俺は再び透明状態になって国を出ることにした。

「おい! そこのおまえ! 何者だ!?」
(ば、馬鹿な!? 透明化しているし、温度も正常だぞ?)
「姿を消しても無駄だ! 曲者だ!」
 後ろに居る魔術師らしき男は杖を一振りすると、一瞬強い光が生まれ、俺の透明化が解けてしまった。
「クッ! このステルスローブ、欠陥品か!?」
「いかに姿を消しても、実態がある限り、俺の誤魔化せんぞ!・・・ん? この感じ・・・おまえ魔剣士だな!?」
「いや、便利屋だが・・・(嘘じゃない)」
「嘘をついても無駄だ! おまえの恰好、魔力、どう見ても魔王の手先、魔剣士だ! おい! こいつを捕らえろ! 捕らえた奴は3千万G、そして国中の女を一人自分の妻にして構わん!」
「おいおい! 出会った途端に懸賞金とは無茶苦茶だな!」
 周囲は一斉に騒ぎになり、非リアの男達と、治安維持の兵士達が四方八方から襲い掛かってきた。

 俺は彼らの攻撃をかわしながら、ときに敵の剣や斧をはじき落とし、剣の平らな部分で敵を殴って気絶させながら、ひたすら国門を目指して走った。

 国門は既に閉まっている。だが、俺の跳躍力を持ってすれば越えることはたやすかった。
 俺は天高く飛び上がり、魔の力を解放させた。その姿ははたから見れば悪魔であろう。
 俺は翼をはばたかせ、国境付近に向かった。

 国境付近ではドラゴン兵士の他に、サキュバス兵士やアマゾネス兵士、エルフ兵士が迎撃態勢準備を取っていた。

「隊長! 上空から悪魔が接近!」
「いや、あれはリベリオンだ。あいつの悪魔・・・いや、魔人の姿だよ。」
 俺は着地と同時に魔人化を解いた。
「リベリオン! よく戻ったな!」
「ああ! だがすまない! 魔術師に見つかっちまった! ったくこのステルスローブ欠陥品だったぜ!」
「まぁ、試作品だからな。それより、リベリオンを追って、どうやら敵軍の1個中隊が追ってきてしまったようだな。だが、問題ない! 弓兵連帯、合図したら一斉射撃だ! いいか? 睡眠ガス入りの矢を大量に撃て! 残った敵は我々で迎え打つ!」
「了解!」
「俺もやるぜ!」

 敵軍がある程度接近したタイミングで、弓兵連帯が睡眠ガス入りの矢を大量に放った。睡眠ガスの煙が広範囲に広まり、多くの兵士が眠ったが、少数の兵士がかいくぐってしまった。
 残る少数の敵軍は俺が出る間もなく、ドラゴン、ワイバーン、アマゾネス達が美味いこと気絶させて鎮圧した。

 その後、敵軍の兵士達はワイバーン兵士が敵国付近に送り返した。

 今回の作戦に参加した兵士は全員馬車に乗って城に戻り、俺はドラゴン騎士隊長に今回の潜入結果を報告した。
「なるほど。つまり、奴らは元々、モテない、友達いない、現実生活に希望を持てない者達だったが、それが、傭兵として戦っていたわけか。」
「ああ。ただ、薬で強化された兵士だがな・・・。」
「私は筋肉増強剤について詳しくないが、長期間採取すると性機能に異常をきたすと聞いたことある。」
「チンポが立たなくなったり、タマが精子を作れなくなったりか?」
「ああ。このことは放置できないな。まぁ、今日はご苦労だった。家に戻って、ゆっくり休んでくれ。」
「ああ。まぁ、でも期待していたよりは刺激が足りなかったな。次はもっと派手な依頼を頼むぜ?」
「そのうちな。」
 俺は莫大な報酬を持って家に帰った。

 家の便利屋はクローズとなり、既に灯りが消えている。
「もう2人とも寝たのか。まぁ、もうこんな時間だしな。」
 俺は鍵を使って家に入り、居間の電気をつけた。なんとソファーではトリアナが眠っていた!
「と、トリアナ!? なんでこんなところで眠ってるんだ?」
「むにゃむにゃ・・・リベリオン・・・」
(きっと、俺の帰りを待っていたんだな。ありがとう。そして、ごめんな)
 俺はコートを服掛けに掛け、寝巻きに着替え、トリアナを抱きかかえて寝室に入り、トリアナに布団を被せ、俺も布団に入って眠りについた。

「以上が、今回の潜入調査の報告です。今回の潜入は、リベリオンの協力なしには不可能でした。」
「そうね。彼には感謝しているわ。」
 城の者達が全員寝静まった中、リリムの女王は兵士の詰め所でドラゴンの騎士隊長から今回の作戦の報告を聞いていた。
「まさか薬物を使った人間を傭兵にしているとは思わなかったわ。」
「ええ。まさに非人道的です。ですが、たとえ抗議したとしても、敵国は、彼らは自分で傭兵になった・・・と言って正当化するでしょう。」
「まぁ、でも、その非リアという者達を救う方法なら、とっておきの方法があるわね。」
「彼らの弱点ですか!?」
「ええ。でも、勘違いしないで。彼らを倒すのではなく、救うのよ。」
 ドラゴン騎士隊長には意味が分からなかった。

「おーい! 起きろー! もう昼だぞー!」
「う〜ん・・・おはよう。ルノ。トリアナは?」
「昼ごはん作ってるよ。それより、もう昼だぞ!」
「昼? ・・・随分と長く寝ちまったな。」
 俺は寝巻きから着替えて居間に向かった。

「あら、起きられたのですね! おかえりなさい! リベリオン!」
「ああ。おはよう・・・いや、もうこんにちわか。昨日はすまなかったな。もう少し早く帰りたかったんだが、ちょっとトチッてしまってな。」
「いえ。無事にリベリオンが帰って来ただけでいいのです! でも、今日は昨日の分まで楽しませてくださいね?」
「ああ! 期待しててくれ!」
「あのさー! アツアツなところ申し訳ないんだけど、ごはんー!」
「あら、ごめんなさい。すぐ、作るわね!」

「それじゃあ、いただきます!」
「おっ! 野菜炒めか! こりゃ力つくぜ! おい!ルノ! おまえはペットフードでいいのか? 美味しいぞ?」
「僕はこれでいいの。野菜は嫌い。」
「あ、そうだったな。美味いんだけどなー」
 家族団らんは俺の昨日の疲れを忘れさせてくれる。そういえば依頼を済ませたら旅行へ行くって話だったな。報酬もかなりの額をもらったし、どこへ行こうか?
「なぁ。旅行の話、覚えているか?」
「ええ! もちろん!」
「たくさんお金もらったんでしょ! どこに行くの!?」
「そうだなぁ・・・ジパング地方なんてどうだ? 綺麗な景色がたくさん見られるらしいぞ。」
「いいですね! 私も行きたいと思っていました!」
「僕も緑が綺麗なところは好きだなー」
「よし! 今週末はジパング地方へ旅行だ! たくさんの名所を見て回ろうぜ!」
「ええ! 楽しみにしているわ!」
「やったー!」
 そんな中、家族団らんを邪魔する、勢いよく扉を叩く音が聞こえて来る。

 ドンッ!ドンッ!
「おーい! リベリオン! 居るか!? 騎士隊長だ! 女王様より命令だ! 今すぐ支度をして出て来い!」
「おいおい・・・家族団らんを妨害しやがって・・・デリカシーのない奴だな」
 俺は扉を開けた。
「おお! リベリオン! 女王様直々の緊急命令だ! 今すぐ城へ来い!」
「おいおい、今は営業時間外だぜ?」
「女王様の命令だと言っただろう! さっさと支度をしろ!」
「全く・・・この報酬は高くつくぜ!」
 俺は赤いコートと剣を取って来た。
「すまないトリアナ! ちょっと野暮用ができちまった! すぐ済ませて戻るから!」
「気にしないで。女王様の命令をいただけるなんて光栄なことよ。頑張って!」
「ああ! ほらっ! さっさと城へ連れてけ!」
「あ、ああ。馬車を出せ!」
 俺は馬車に乗り、城へ向かった。

 兵士の詰め所には、サキュバスやアマゾネス。ダークエルフにラミアなど、複数の種類の魔物娘が集まっていた。彼女達はどう見ても兵士じゃない。野生か、一般魔物娘市民だ。
 なぜ兵士じゃない者を、それもこんなに集めたんだ?
「お! なかなかいい男じゃないか! ・・・て、なんだよ! こいつもう既に他の魔物と結婚してるじゃねーか!」
「おい! 男達とヤラせてくれるってのは嘘じゃないだろうな!?」
「ああ。本当だ。これから国境付近へ向かう。そこには女に飢えた野獣のような男達がやって来る。あとはお前たちの好きにすればいい。」
「ほぉ〜 そいつは楽しみだな! さぞかしイキのいい男なんだろうな!?」
「ちょいといいかい? 騎士隊長さんよ。話がまるで見えないんだが。」
「ああ。これから説明する。」
 簡単な作戦会議が行われた。

「今回の任務はそんなに複雑じゃない。リベリオン。お前の役割は囮だ。敵国内に入って、その、非リアとかいう奴をなるべくたくさん引き付けろ。そして、国境付近まで逃げて来い。」
「囮ねぇ・・・で、まさか戦うのはこいつらじゃないだろうな? いくら魔物娘だからって、素人に戦をさせるのは、軍としてどうなんですかねぇ?」
「リベリオンよ。今回の任務は女王の命令なのだが、戦ではないのだ。」
「ますます意味わかんねぇ・・・」
「まぁ、そういうことだ。報酬も期待していてくれ。」
「ま、ちゃんと報酬が支払われるならやりますがねぇ・・・」
 にしても、この集められた魔物娘達、相当男に飢えているな。ちなみに、俺はこう見えても愛しているのはトリアナだけだ。どんなに他の魔物娘から迫られたって、絶対に乗らないからな。

 まぁ、簡単に作戦をまとめると、俺が非リア達を国境付近へおびき出して、飢えた魔物娘達と合わせる。・・・それだけだ。

「多少、派手にやるかもしれないけどいいかい?」
「ああ。今回はお前に任せる。」

 馬車が国境付近へ到着した。俺はダッシュで敵国の門へ辿り着いた。
「ん? 貴様!? 魔剣士だな!?」
「邪魔だ!」
 俺は剣を一振りして爆発を起こした。門番の兵士は吹き飛ばされて気絶した。
 街中は爆発音で騒ぎになった。
「やぁやぁ! 非リアの諸君! 君たちは哀れだね〜 俺は嫁も居て毎日ヤリまくってて幸せだぜ〜」
「イケメンに嫁が居るだと!? 許せねぇ! 殺っちまえ!」
 多くの非リアが俺を追いかけて来る。俺は逃げながら街中を一周した。
(よし! これぐらいでいいだろう!)
 俺は国境付近へ向けてダッシュした。
 壊れた門で国の正規の兵士が道を塞ぐ。
「待て! 魔剣士め! 生きては返さんぞ!」
「今こそ国王軍の誇りを見せるときだ!」
「邪魔だあああぁぁぁぁ!!」
 俺は魔法で敵軍の正規兵を吹き飛ばした。後ろからは大量の非リアが追いかけて来る。
 俺は再び国境を目指してダッシュした。
(にしても、この速さに走ってついてこれるとはな・・・普通の人間じゃああり得ないぜ。いくら薬を使っている奴が居るって言っても、全員じゃないはずだ。それなのについてくるってのは・・・)

 妬みや恨みは恐ろしいな!!

 人間はときとして常識では考えられないパワーを発揮することがある。この場面はまさにそれだな。
 
 俺は国境付近に辿り着いた。
「おびき寄せて来たぜ! 女に飢えている男達の群れがすぐそこまで来てるぜ!」
「本当か! よし! 男だー!」
「犯せー!」
 魔物娘達は男達を待つことなどせず、自分から向かって行った。
 
 飢えた魔物娘達に飢えた男。この2つが出会えば、もうやることと言ったら一つしかない。それがリリム女王の狙いだった。非リアの者達は彼女が居ないことで心に劣等感を抱き、それが妬みや恨みとなっている。だが、それさえ取り除いてしまえば力を失い、ただの人間、いや、魔物娘と幸せに暮らせる充実者になれる。

 国境付近はまさに大乱交で、屈強な男やデブ、ガリ、陰湿など様々な男達と、飢えた魔物娘のサキュバス、ダークエルフ、アマゾネス、ラミアなど、あらゆる種類の魔物娘が交わっている。それは三日三晩続き、辺りは男女の喘ぎ声と精液と潮の混ざった独特な臭い、そしてセックスにより生じる魔素が立ち込めた。

 俺は途中で任務が終わった。ドラゴンの騎士団長も「あとは放っておけばいい」と言って馬車を用意し、俺を乗せて帰っていった。

 その後、俺は騎士団長から報酬を受け取って家に戻った。
「ただいま!」
「おかえりなさい!」
「おかえりー
「どうだったの? 任務は上手く行った?」
「ああ。大成功さ!」
 時間は既に夜になっており、トリアナは夕食の準備をしていた。俺はいつものように赤いコートと剣をしまい、イスに座った。

「おっ! スゴイな!」
「ええ! 女王の任務の成功のお祝いと、これからの旅行のお楽しみも込めて!」
 今日の夕食は豪華なステーキだった。だが、ルノはいつも通りのペットフードだ。
「ルノには作ってやらなかったのか?」
「ルノはペットフードの方がいいんですって。」
「僕はこれが一番好きなんだ」
「そうか・・・ステーキは最高に美味いんだけどな! それじゃあ、いただきます!」
「いただきます!」
「いただきます!」

 その後、俺は入浴なんかを済ませ、トリアナは片づけなどの家事を済ませ、気づいたら夜寝る時間になっていた。

「旅行。楽しみだな。トリアナ。」
「ええ! でも、イ・マ・モ・! 楽しませてもらわなくちゃね!」
「ああ! ここのところ戦闘続きでご無沙汰だったからな! 今日は寝かせないぜ!」
 俺はトリアナのおっぱいにむしゃぶりつき、トリアナは俺を抱きしめた。そして俺達のセックスは溜め込んでいた分、いつも以上に激しいものだった。

 その後、敵国で非リアと呼ばれている男達は、魔物娘の彼女ができたことにより、非リアではなくなり、もう暴れることも、他者を妬むこともなくなった。日々、それぞれの魔物娘とヤリまくって充実した日々を送っているらしい。この男達は親魔物国家の俺の国に住むことになったが、模範市民として生活している。

 敵国の反魔物国家は、汚職や腐敗が一気に明るみに出て、瞬く間に崩壊し、俺の国の保護国となった。
 だが、強固な反魔物主義者や教団の人間は別の反魔物国家へ亡命したらしい。

 俺はジパング行きの馬車に、トリアナとルノと一緒に乗っている。
「楽しみだな! ジパング地方ってのは独特の文化で発展して来たらしい。あと、たくさんの名所もあるらしいぞ。」
「楽しみね! こうして旅行なんて久々だもの!」
「そうだな! ルノも、ジパング地方の自然が楽しみか?」
「うん!」
「そうか! ジパング地方は緑豊かな地域があるらしいからな。きっと凄いぜ!」

「なぁ、トリアナ。」
「なに?」
「いつの日か、パンデモニウムに3人で行きたいって言ってたよな。」
「ええ。」
「約束する。いつか、必ず3人でパンデモニウムで暮らそう。だけど、今はまだ現世でやることが残っているんだ。」
「便利屋。続けたいのね。」
「まぁな。やっと手に入れた自分の城だしな。だけど、どんな優れた人間でも、インキュバスでも、魔剣士や勇者でも、いつかは弱り、力も衰える。そしていつかは戦えなくなるんだ。そうなったら、残りの余生、3人でパンデモニウムで暮らそうぜ。」
「ええ! 楽しみにしているわ!」
「おいおい・・・楽しみにされるのは複雑だが・・・現世にだって楽しみはたくさんあるぜ! さぁ! ジパングへ向けて出発だ!」

 俺たちの乗った馬車はジパング地方へ向けて走り出した。




 

 
 
18/02/06 01:52更新 / 風間愁

■作者メッセージ
今回はダークプリースト、及びコボルドと魔剣士の物語を書きました。
相変わらずエロ表現が苦手です。今回は毛沢東パロの反省を踏まえて暴力表現は控えめにしました。

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