連載小説
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第三章
「もし来るなら・・・どれぐらいでここに着く?」
クィルラが顔をこわばらせてレヴィに問うた。レヴィは相変わらずブローチをいじりながらしばらく考え込み、そして答える。
「受け手が怪しむまでは少なくとも2、3日はあるじゃろう。お主がその少年・・・あー、カルトスといったかの?そいつに襲われたのは昨日の話、とすれば明日か明後日には受け手が動き出す。そこからは距離の問題じゃな、近くに居ればその日の内にくるじゃろうし、遠ければそれ以上の時間がかかる。まあ一番長くかかって一週間後には来ると思っとった方がいいな」
クィルラはその場でしばらく沈黙した。
カルトスとは自分が思っている以上に厄介な人物だったらしい、純粋に魔物を狩ることを楽しむばかりか教団からマークされているとは。えらい物を町に持ち込んでしまった。ここは傍から見れば親魔物領となっている、教団に見つかればすぐに戦争が起こるに違いない。地図にも載らない辺境に位置し、これといった争いごともないため大した戦力も持たないこの町がどうなってしまうかは、考えなくても分かる。
彼女はこの町を好いてこそいないが、だからといって滅びていいなどという思考は持ち合わせている訳ではない。とりかえしのつかないことをしてしまったかもしれないという罪悪感と焦燥が、次第と彼女の心を支配していった。
「ど、どうにかできねえか!?なんとか来ないように細工する方法は・・・」
「無理じゃな」
ウィルラの懇願もむなしく、レヴィは即答した。
「お主はすでにこれをここに持ち込んでしまった。受け手は当然この町の場所を把握している。ではすぐにブローチを破壊すれば解決か?否じゃ、魔力が途絶えでもしたらそれこそすぐに怪しまれここへと向かってくるじゃろう。おまけにマークされていたカルトスはこの町に定住してしまった。もう旅立つこともあるまい、今更返そうが無駄というわけじゃ」
クィルラはがっくりと膝をついた。
万事休すか、このまま町が滅ぼされるのをじっと見続けているしかないのか・・・自分が呼び込んだ悪魔の手で。
「こんな辺鄙な場所にあったから人間と魔物がのほほんと暮らしていけたんだ。教団なんぞに見つかったら・・・チクショウ!」
「じゃが、わしはいっそ呼び寄せてみたいとも思う」
レヴィの言葉にクィルラは激怒した。
「ふっざけんな!てめぇはここをぶっ潰したいってのか!?」
立ち上がり鬼気迫る顔でレヴィに詰め寄る。レヴィは声を荒らげる彼女を静かになだめながら説明を続けた。
「話を聞け馬鹿者、誰がそんな物騒なこと考えるか。わしは気になることが山ほどあるのじゃ。そのカルトスという少年の正体、そいつが魔物のみを襲うように施した細工。そして・・・」
クィルラはレヴィの説明に聞き入っていた。確かにカルトスには謎が多すぎる。だがあの振る舞いを間近で見たクィルラには、それらはタブーのように感じられて仕方が無かった。それに首を突っ込まんとするレヴィを、彼女は心配していた。
「このブローチじゃ、魔物を滅ぼす百戦錬磨の者とはいえ、所詮はただの一兵士にすぎぬはず。わざわざこんなものまで持たせる意味は感じられん。カルトスが教団の中でどういった存在なのか、それが一番気になる。その謎さえ解ければ、あとは全てが解明できると思うのじゃ」
「けど、どうやって聞き出すんだよ。素直に教えてくれる相手じゃねえだろ」
クィルラとは裏腹に、レヴィはその質問に自慢げな笑顔で答えた。
「眠らせるなりなんなりしてそいつの記憶に入り込む。簡単なことじゃ、それともワシが信者一人に遅れをとると思うかえ?」
愚問だった。バフォメットは魔物のなかでもトップクラスの実力者、単体でも教団の兵士団を返り討ちにできるほどなのに、どうして負けると思えようか。その事実を再確認し、クィルラの心配は跡形もなく消え失せた。彼女はそれほどレヴィを信用していた。
「じゃあ、そのブローチ預けていいか?」
「願ってもないことじゃ♪お主に山に持ち帰って受け手が町に来なくなっても困るのでな」
心なしか、いや明らかにレヴィは喜んでいる。彼女は時折、こんなマッドサイエンティストじみた一面を見せることがある。クィルラでさえ、それには若干引いてしまう。
「いや、お主はもうここに住むんじゃったか?」
嫌な予感がしつつ、クィルラはそれを聞きとがめた。
「・・・どういう意味だよ」
「何を言うか、どうせ今晩はカルトスとやらとよろしく―」
「どいつもこいつもそればっかりか!なんだってんだよ!魔物と男がいりゃくっつけることしか考えねえのか!アイツはアタシを殺しに来たんだぞ!?どんな物好きがそんな奴と・・・」
レヴィを睨みつけ、肩で息をするぐらいの大声で言い放った。しかしレヴィは涼しい顔をしてそれを受け流す。
「それを変えたのはお主じゃ、話を聞くかぎりでは優しい奴になったそうではないか」
「ッ!だけどな―」
「それにお主がそういうことを気にせんのも分かっとる・・・腐れ縁じゃなワシたちは。お主がカルトスを拒絶するのは、何か別の理由じゃろう」
クィルラはとうとう言葉に詰まってしまった。レヴィは見事に図星を突いてきた。サンダーバードが自分を殺しに来た相手を骨抜きにし、そのまま夫にしてしまうことなどザラにある。いちいち過去の事を気にする種族ではない、その点は彼女も同じだった。クィルラは俯きしばらく苦い顔をしたかと思うと、そのままテントを飛び出し住処に向かって飛び去ってしまった。その頃にはもう日は落ちていた。
「ふっ、ガキじゃな」
レヴィは別段それを止めもせず、ニヤけた顔のまま見送った後に、一人呟いた。

寝室でクィルラはベッドに突っ伏して考え込んでいた。目を閉じれば、未だに相手を見つけられぬクィルラを笑う姉妹の笑い声が頭の中に響き渡る。
クィルラは遥か遠方の親魔物領で三人姉妹の真ん中の子として生まれた。雷の力は姉妹で最も強く、機嫌の悪いときは抱き上げるだけで痺れるほどだった。姉妹喧嘩でもその力は存分に発揮され、他の二人を絶頂するまで痺れさせては勝利を掴み取っており、姉妹の中では常に頂点に君臨していた。ところがその上下関係は突然覆されることになる。事の発端は姉が夫を見つけたことからだった。その夫というのがその国一番の戦士であり、魔物の中では誰が彼の心を掴み取るか激しい競争が繰り広げられている男だった。数多くのリザードマンの求婚に屈しなかったその男が自らクィルラの姉に惚れ込み、襲うまでもなくくっついたという事実は中々に国を騒がせた。こうしてクィルラは頂点の座から引きずり下ろされた。そして妹もまた、姉の影響とクィルラを追い抜きたいという気持ちからか姉に負けず劣らずの夫を見つけ出した。若くして国の文明の発達に多大な貢献をした学者がそれだった。こうしてこの姉妹は文武の頂点がそれぞれ集まる形になり、魔物達からは嫉妬を超越した羨望の目を向けられることになった。遂にクィルラの立場は逆転した、もともと姉妹仲など良いはずもなく、彼女の居場所はどんどん無くなっていった。そして些細な喧嘩から家を飛び出し、ひたすらに真っ直ぐ飛び続けてこの荒野で力尽き、レヴィに助けられたのだった。
そのことを思い出したら、ここに一人で生き始めてから幾度と無く味わった感覚がクィルラを襲った。
「寂しい・・・」
クィルラの口から不意にその言葉が出た。そこからはもう止まらない。布団を強く抱きしめ、目からは涙が止め処なく流れ続けた。クィルラも姉妹達が羨ましかった。愛し愛される存在がいるのだから、もうこんな一人寝の寂しさを味わうこともないのだから。ふと、クィルラの頭にあの少年―カルトスの顔が浮かび上がった。町中が彼とクィルラを夫婦扱いしているが、クィルラはどうしてもそれを受け入れる気にはなれなかった。カルトスの優しさやあの屈託の無い笑顔が、孤独で荒んだ彼女の心には眩しすぎたのだ。幼いころのツケが今になってやってきたんだろうか、そう考えている内にクィルラは眠りに落ちた。瞼を閉じてもなお、彼女の涙は流れ続けていた。
そして翌朝、寝室を出ると、見たくも無い顔のサンダーバードが二人いた。外はひどい雨が降っているらしく、どちらもずぶ濡れだった。
「・・・なにしにきたんだよ」
朝っぱらから二人の顔を見たクィルラは最悪の気分を全く隠さずに問いかけた。
「えー、久しぶりに会ったのにその言い草はないんじゃないの?」
「でも相変わらずメスくっさーい、男の匂いなんか全然しない!アハハハハ!」
姉妹達は即効でクィルラの逆鱗に触れてきた。寝起きの機嫌の悪さも相俟ってクィルラの怒りは一瞬で頂点に達し、既に体からは放電が始まりその矛先を姉妹達に向けている。
「わざわざそれ言いに寄ったのかよ、ご苦労なこったなあ!!」
電撃が姉妹達を掠めて洞窟の壁を抉った。失念しかけていた彼女の雷の威力を思い出し姉妹達は千鳥足で住処から出て行こうとする。
「ちょ、ちょっと!あんたの雷は本当にヤバいから!」
「それに私たちそんな非生産的な趣味はないよ〜!」
一目散に飛び立ちその姿はあっという間に見えなくなってしまった・・・かと思えば、姉の方は戻ってきて入り口から顔を覗かせている。
「・・・昔みてえにイキ狂いてえのか?」
姉の顔を鋭く睨みつけ怒りを込めた声で警告する。しかし姉はその場を動こうとはしなかった。
「あんたねえ、そんなに怒るぐらいならさっさと旦那見つけなさいよ。なんの為の雷よ。」
「うるせえ、男の一人や二人なんざとっくに攫ってる!」
「いや二人て・・・」
やれやれと姉が呆れた様子で呟いた。クィルラは若干落ち着きを取り戻しその場に座り込む。
「攫ったんならなんで一緒じゃないのよ」
「助けただけだ!アイツとはそんなんじゃ・・・そんなんじゃ・・・」
言葉を濁すクィルラを見て姉はニヤリと顔を歪ませる。やはり年長者、こういうところは勘が良かった。
「一回押し倒してみなさい。相手もオスよ、そうすりゃ大抵なんとかなるわ。」
それだけ言うと姉は先に行った妹を追いかけて飛んでいった。残されたクィルラは彼女の言葉を反芻する。
「何が"押し倒せばなんとかなる"だ・・・どうせああいう奴は何の反応もしねえよ!」
そう言いながらもクィルラは雨の中に飛び出していった、カルトスのいるあの町へ向けて。彼女はまだ気付いていない、いつの間にかあの少年と結ばれる前提で姉の言葉を判断していることを。

「おーいお前さん、いくらなんでもこんな日は休んだらどうだ」
初老の男が声をかける先には、土砂降りの中で立ち尽くす門番が一人。こんなことをするのはこの町で一人しかいない。
「でも俺の体が悪いわけじゃないし、見つけて貰った仕事だから」
門番は男に対して笑顔でそう答えた。彼の言動に男が呆れるのは一体何度目だろうか、先ほども差していた傘を通りすがりの人に渡して溜め息をついたばかりだった。
「そんなんじゃそれこそ体がぶっ壊れちまうよ、その時休むなんて言わせねえからな。いいから今日は家に入ってろ、どうせこの雨じゃ誰も来やしねえ」
ひねり出した言い訳を突き付けると門番は申し訳なさそうに承諾し「じゃあお言葉に甘えて」と自らの家に入っていった
「ったくまあ、あんないい奴捕まえといてどうして嫁さんはいないかね」
男も足早に家路につく、今日は町を出歩く者は誰一人としていなかった。
「はぁー、にしてもひどい雨だなあ」
ぬれた体を拭き、錆びぬように装備の手入れをしながらカルトスは呟いた。まあせっかく貰った休日だ、今日はのんびり本でも読んで過ごしていよう。と本棚の前に立ったとき、玄関の扉が開けられた。
「あれ、なんだろう」
扉の前にはクィルラが雨を浴びて立っていた。命の恩人の思わぬ来訪にカルトスは驚愕する。
「クィルラさん!?どうしたのこんな雨の中に!と、とにかく風邪ひいちゃうよ、入って入って!今タオル持ってくるから、あと温かいお茶と・・・」
クィルラを慌てて家の中に入れ、大急ぎでタオルを持ってきて彼女の体を丁寧に拭く。暖炉に火を点し一番近い位置にあるソファに座らせ淹れたての紅茶を差し出した。
「それで本当にどうしたの?こうまでしてここ来るってことは大事な用事なんだろうけど・・・何かあったの?」
クィルラはタオルを纏い紅茶をすすりながら俯き黙っていたが、やがて意を決して口を開いた。
「・・・泊めてくれ」
「え?」
さすがのカルトスも聞き返した。一体何があったというのだろう、雨の中飛び込んできて泊めてほしいとは。だがその疑問をぶつける前にクィルラが畳み掛けた。
「理由は聞くな・・・前に何でも言えっていったじゃねえか」
「いや、もちろん構わないけどさ・・・あ、朝ごはん食べた?これから作るけど」
クィルラが静かに頷いた。やはり様子がおかしいと思いつつもカルトスは朝食の準備を進める。数十分後、テーブルにトーストにサラダ、ゆでた卵などが並べられた。
「いただきまーす」
「いただきます・・・」
クィルラはサラダを一口食べてみた。悪くない、というかごく普通の味だった。
「どう?失敗してなきゃいいんだけど。隣の人が料理本貰ってさ、それに書いてることそのままやっただけだけどね」
カルトスがトーストをかじりながら出来を尋ねる。クィルラはぶっきらぼうに「普通」とだけ答えはしたが、彼女によってその量どんどん減らされていった。
カルトスが後片付けをしている間、クィルラは彼に借りた本を眺めていた。尤も物思いにふけっていたため内容自体は頭に入っていないのだが。姉の言葉を鵜呑みにして泊まりに来たはいいもののいざカルトスに会うと、襲おうなどという気持ちが一気に沈んでしまった。朝からの当然の訪問、しかも泊めてほしいなどという頼みは嫌な顔一つせず、それどころか彼女の来訪が嬉しそうにさえ見えるカルトスの優しさは彼女の心に深く突き刺さった。
「情けねえ話だ。電光石火のサンダーバードが男のまえでうじうじと・・・」
「へぇー、クィルラさんってサンダーバードなんだ。」
ビクりとクィルラの跳ね上がった。
「い、いつからそこにいた?」
「ずっと居たけど、さっき台所にいって今戻った所。もうお昼だよ、朝からずっと読んでるけどそんなにその本面白い?よかったら貸すよ!」
「あ、ああ」
見ればテーブルには昼食が並んでいる。朝と同じ本を丸写ししたごく普通の味、だがクィルラはそれ以上のものを感じていた。

地平線に日は沈み辺りを闇が支配するが、雨音は未だに続いている。この分では当分降り続けそうだとクィルラは窓を見ながらそんなことを考える。
「ごめんクィルラさん、寝室一つしかないから・・・嫌だったら俺はソファで寝るけど」
「わざわざそこまでしなくてもいい」
「そう?じゃあちょっと待ってて、今布団敷くから―」
そう言ってタンスの側に近づいた時、カルトスは背後から何かにぶつかられベッドに押し倒された。
「なっ・・・!クィルラさん・・・?」
焦るカルトスに構いもせず、クィルラは彼をしっかりと抱き締めその胸に顔をうずめる。
温かい。雨の中で寒い思いをしたせいか、それともずっと一人で生き続けたせいか、カルトスの温もりはクィルラの全身に染み渡っていった。彼女の目から自然と涙がこぼれる、決して人前では泣かなかった彼女も耐え切れなかった。やがて彼女の中で温もりは熱に変わり、魔物の本能に火を点けて彼女の体を疼かせる。
「私と・・・交わってくれ」
「クィルラさん!?何言ってんの!?」
カルトスとて男、その意味が解からぬはずもない。ただ見たことのないクィルラの一面に戸惑いを隠せなかった。
「アタシは、今までずっと一人で暮らしてきた・・・。でもお前を助けてから・・・一人でいるのが嫌になった。時々無性に寂しくなることもあったけど・・・もう、それも耐えられなくなっちまった・・・。嫌だよ・・・一人は嫌だよお・・・寂しいよ・・・カルトス・・・」
クィルラは顔を上げてカルトスと自分の唇を重ねた。そして、いきなりの事でうろたえる彼にゆっくりと雷を流し込んでいく。
「あっ・・・クィルラさん・・・」
徐々にカルトスの息が荒くなっていく。クィルラが彼の股間を探ると、目的のモノは簡単に発見できた。彼女が顔を遠ざけると、名残惜しそうに一本の糸が二人の口の間を繋げた
「へへ、今度は効いたみたいだな」
痺れて身動きの取れないカルトスの服を一つずつ脱がし、同時に自分の衣服も除いていき、色白の美しい肌があらわになる。生まれたままの姿になったカルトスを情欲滾る橙色の瞳で見つめ、自己主張する彼の一物を羽でいじくっていた、その時だった。カルトスがいきなりクィルラを抱き寄せた。
「クィルラさん、流石にそこまでされたら・・・俺も我慢できないから」
カルトスの指がクィルラの桜色の突起を摘む、不意打ちに対応できず、偶然とはいえ自身の弱点を責められた彼女は嬌声をあげてその快感を受け止め続けた。
「この・・・上等じゃないか」
クィルラも既に愛液したたる下の口を彼の一物に擦り付ける。カルトスはぬめるソレから受ける刺激に思わず射精しそうになるが、必死でこらえお返しにとクィルラの乳首をさらに強く摘んだ。一方のクィルラは上半身と下半身両方の性感帯から伝わる快感に息を切らしていた。さらにカルトスが愛撫を強めた為に今にも達しそうな状態になる。それを見たカルトスがトドメとばかりに空いていた彼女のもう一つの突起を責めた。
「うあっ・・・!あ、あ、あああぁぁぁぁ!!!」
叫び声を上げ盛大に達し、クィルラは潮を噴出してカルトスの体を濡らす。同時に放電された雷が彼を直撃し、分身から白濁液をぶちまけさせた。その匂いに誘われてクィルラが顔を下ろし、萎えかけた分身にまとわりつく白濁液を綺麗に舐めとる。
「んちゅ、れろ・・・いい匂い、それに最高の味・・・」
クィルラが舐め回したおかげでカルトスのモノは再び硬さを取り戻した。クィルラは白濁液だけでなくソレも口に含んで彼の味を楽しんだあと、淫靡な笑顔と共に自分の穴をカルトスに見せ付ける。
「ほら、準備はもう出来てるんだ・・・。今度はこっちにたっぷりと注いでくれ♪」
先ほど見せた弱々しさはいずこ。クィルラは羽で広げると、その穴いっぱいに一物を飲み込んだ。
「ぐぅ・・・ッ!」
「はあ・・・ッ、あ、あぁぁ!」
全身に走る快楽を上体を仰け反らせて受け止め、同時にまた雷が彼女の体から迸る。カルトスの方もきつく締まったうごめく肉襞に一物を貪欲に吸われ、それだけでは足らずに自然と腰を動かし始めていた。
「コラ・・・うご・・・くなぁ」
中で擦れる一物からもたらされる刺激に耐えられず、とうとう彼女の中で漏電が起きた。
「は・・・あ・・・うああッ」
生まれつき強力な雷が仇に、否、功を奏したか、極上の快楽を受け止めた彼女はガクガクと痙攣しカルトスに倒れこむ。ところが彼女の雷を浴び続けたカルトスがそれで収まるはずもなく、遂に上下を反転させクィルラを組み伏せた。
「カ、カルトス・・・」
涙目になりながら限界を訴えるが自業自得、カルトスは本格的にクィルラの中を突き始めた。
「や、やめ・・・アタシ・・・これ以上はぁッ!!」
しかしクィルラの膣は精をまだ受け取ってはいない。膣壁はきゅうきゅうと締め付け、うねる肉襞も彼の一物に出せ、出せとまとわりつく、それに従い一物は子種を放出せんと膨らみ続け、カルトスもピストン運動を早めていく。そして遂に二人に限界が訪れた。
「ぐ、クィルラ・・・さんッ!」
「―――ッッ!!!」
カルトスはクィルラの中で弾け熱を帯びた白い種が流れ子宮へ向かってゆく。彼女の膣は一滴たりと逃すまいとカルトスに強く吸い付き、彼女の四肢は強烈な快感に耐え切るためにカルトスを強く抱き締めた。長い長い絶頂が終わり息も絶え絶えな二人は重なりあったままベッドに横たわる。
「ハァ、ハァ、クィルラさん・・・」
「バカヤロウ、自分の女にさん付けしてんじゃねえ・・・」
そのまま二人は力尽き、深い眠りに落ちた。もちろん身を寄せ合い互いの温もりを感じながら。

翌日、初体験を同時に済ませた男女特有の気まずさが二人の間に流れていた。
「あー、その、クィルラさん・・・」
「だから、さん付けはやめろって・・・!」
だがそこはカルトス、彼は鶴の一声をも簡単に出せる少年だった。この状況ではかなり苦心したようだが。
「じゃあ、クィルラ・・・俺と、ここで暮らさないか・・・?」
クィルラは少しばかり驚いた顔をするが、すぐにそれは笑顔に変わる。
「へへ、願ってもねえや♪」
そのまま彼に抱きついた。カルトスは初めて、クィルラが心から笑うのを見た。それはそれはとても可愛らしい一人の少女の笑顔だった。
そして、彼らはまだ知らなかった。大きな秘密のベールが解き明かされんとしていることを。

数日後
初老の男が門の近くでカルトスを待っていると、青い制服に身を包んだ長身の男が現れた。
「おめえさん何もんだ?その格好を見るに遠くからおいでなすったようだが」
「・・・私はカルトスという者だ」
13/08/18 19:07更新 / fvo
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■作者メッセージ
エロが絡むと長くなっちまいますね。なんででしょうね。
不思議だなあ。
(今までエロの欠片もなかったのが原因です)
というか寝ます。昨夜10時からずっと書いてるんです、寝ます。

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