連載小説
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ツンデレな彼女(LAST)
ガバ!! ハァハァ

またあの夢。
何度見ても慣れることない“あの夢”。
なぜ自分たちが襲われたのだろう。

こんなことを今考えても意味なんかない。京華は一人で苦笑いした。

仕方なく体をベッドから起こそうとした時。
コンコン
ドアをノックされた。

「あのさ•••ちょっとだけ扉を開けてくれないかな?」















「嫌」

声で誰かは分かっていた。
だからこそ、こう答えたのだった。

「そっか•••じゃあここで話すよ。
それなら良いよね?」
「•••」

ふぅ、と一拍おいた後、謙弥は話し始めた。

「プレゼントを踏まれた時、すごくショックだった。

でも、一番悲しい思いをしたのは•••
京華だったんだよね?」
「•••っ」
「あの後さ、本当は京華に告白しようと思ってたんだ。」
「!?」
「でも、いきなりじゃ、あれかなと思って。
だから、プレゼントを贈ってから告白しよう、って思ってたんだ。」
「•••」

淡々と謙弥の口から語られる本当は起こるはずだったこと。
ただそれを京華は黙って聞いていた。

「プレゼント•••気に入らなかった?」
「それとも、俺から貰うのが気に入らなかった?」

「•••」

「ははは•••本当に俺バカだな。
両方に決まってのにさ。」
「•••」

だんだんと涙声になっていく彼の声。

「•••京華、俺のことを嫌いになってもいい、いやもうなっているか。
でも、







お願いだから、また笑顔を見せて、すごいかわいい笑顔してるから。」
「!」






「じゃあ、もう戻るね、本当にごめん。
京華•••••••••••••さん」

その言葉を最後にスリッパで歩く音がした。

京華はベッドから飛び起きドアを開け廊下に出た。
出口に続く方を見ると謙弥の姿があった。















「謙弥!!」
「え?」

謙弥が後ろを振り向いた瞬間、
ギュッ、
京華がタックルするかのような勢いで抱きついてきた。

「京華さん? どうしたん•••「京華さんなんて呼ばないで!!」
「•••」

謙弥の胸に頭をうずめながら京華は言った。

「謙弥は悪くないよ。」
「でも、悲しい思いを•••させた。」
「うん、確かに悲しかった。
でも、謙弥は“あのこと”を知らないんでしょ?」
「“あのこと”?」
「やっぱり、じゃあそれも話したいから部屋に戻ろ?」
「•••うん」

そっと、京華は謙弥の胸から離れる。
その時謙弥は見た、目を赤く腫らした京華の顔を。








京華の部屋に戻った二人はベッドに腰掛けていた。

そして、ゆっくりと京華が語りだす。
12年前のこと、ペンダントのこと。
そして、嫌がらせで“あのペンダント”を渡してくる奴らのこと。
謙弥は目に涙を浮かべ聞いていた。

しかし、もう堪えられない、とばかりに京華の体を抱きしめた。

「優しいね謙弥は、
























そんなところが好きだよ。」
「俺も京華のことが大好きだよ。中学の時から。」

そして、どちらからともなく唇を合わせた。
柔らかい京華の唇
「ん、んんん」
時々聞こえる京華の声(?)。








「ん、プハァ、ハァハァ」
これまたどちらからともなく唇を離す。


数時間に感じられる数秒だった。



謙弥が呼吸を整えていると京華が話し掛けてきた。

「謙弥、まだ“あのペンダント”持ってる?」
「え、うん」
「じゃあ、お願いそれを•••」













































“あいつらがくる”
“来るぞー!”

はっ!!ハァハァ、
謙弥は飛び起きた。

「あれ?起きてる。」
「京華かよ。」
「な、なによ!!私に文句でもあんの!!」
「いや別に。」
「だったら、さっさと日直の仕事しに行くわよ!!」

昨日と違いツンツンな京華。
その胸元には“あのペンダント”がぶら下がっていた。

「似合ってるよ、それ。」







「•••あり、がと。」


13/02/24 10:52更新 / 狐目の男
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■作者メッセージ
「ここか〜新しく行く高校。」
「すげ〜な、おい。」
「でけ〜。」

魔物娘高校の正門に立つ三人の男。
大中小とに並んだ身長。

はたして、こいつらは何者なのか!?





「主役は遅れてくるもんだからな。」
「「お前が主役かよ。」」

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