大声大会にて、やらかしました
とある親魔国家で、大声大会を開催するというニュースが流れた。
これを見て、
「世界の中心で嫁への愛を叫ぶ」
「玉砕覚悟で告白する」
・・・などなど、さまざまな理由で参加しようと、各地から人魔問わず集まってきた。
ここにも、参加を試みる男が一人。
「おーい、ジンバー！待てったら！オイ！」
「いいから早く来い！選手登録終わっちまうぞ！？」
その男・・・ジンバーは、悪友のカンダルと共に、宿を飛び出し、会場に向かっていた。
待ちきれないのか、バカみたいな早足で会場へ向かうジンバー。
やっと追いついたカンダルは、はぐれぬように並びながら歩き出す。
「にしても、なんでそんなに急かすんだよ・・・。俺たち独り身だし、特にくっつきたい魔物娘もいないし、出たところで得することもないだろ・・・」
「バァカ。何言ってんだよ。だからこそできることがあんだろ？」
「・・・『嫁さん募集中だー』って叫ぶのか？」
「いーや、それじゃ捻りが無い。俺に名案がある」
「・・・やめたほうがいいと思うけど・・・」
「逃げねぇやめねぇ振り向かねぇ！ここまで来たらやってやる！」
往来で叫ぶのはやめてほしい。
そう思ったカンダルだった。
数分後、会場を見つけ出す二人。
案の定ジンバーは、選手登録の受付を見つけると、一目散に飛び出していく。
それを見ていたカンダルは、
（どうなんのかなぁ・・・）
ひたすら嫌な予感に襲われていた。
選手登録を果たし、戻ってきたジンバーは、目を爛々と輝かせていた。
「本当にやるんだな？」
「モチのロンさ！」
「今なら取り消せるぞ？」
「んなもったいないマネ誰がするか！」
「じゃあ、どんな結果になっても後悔はしないな？」
「あぁ！」
「OK。ならいい。・・・ところで何番目？」
「１０６番目だ。出場者は１０８人いるらしい」
「そんなにいるのか・・・」
数十分後、開始の合図とばかりに空に大砲の轟音が響く。
そして、一人のリリムが壇上に躍り出て、
「さぁて、始まりました大声大会○○場所！！ 今回が初回ということですが、大勢のお客様と選手の方々にお集まりくださいました！ ありがとうございます！」
拍手が鳴り響き、ペコリとお辞儀をするリリム。
「まぁ、気づいてるとは思いますが、司会は私、リリムのニコラでお送りします！」
そして、
「審査員は５人の、超大物魔物娘でお送りします！！ ステージ右から、エキドナのミューナさん！」
「みなさん、はじめまして」
「お次に、ミューナさんのお隣、バフォメットのタリシアさん！」
「こんにちはなのじゃ！」
「その次、不死者の国からご招待！ ワイトのアルダさん！」
「ごきげんよう」
「四人目、高山地帯からやってきた、ドラゴンのミネルヴァさん！」
「ふんっ、下らない祭だが・・・出てくれと頭を下げられたから来てやったのだ。ありがたく思え」
「こんなこと言ってますけど、ワクワクしすぎて眠れなかったらしいですよ〜」
「そんなことは無いッ！」
「最後に、私の姉、デルエラお姉ちゃんも来てくれました！ パチパチ〜」
「オイッ！！ スルーするな！！ グムッ！」
隣の席に座っていたリリム・・・デルエラが笑顔を浮かべながら、司会のニコラへ抗議するミネルヴァの背後に回り込み、口を塞ぐ。
「どうも〜。魔王第４王女、デルエラです♥ ちょっと採点は厳しめだけど、よろしくね♥」
「ンムッ！ グムゥッ！ ぷはっ！ 何するんだデルエラ！！」
脱出し、今度はデルエラに抗議するミネルヴァ。
「だって、人の紹介になったっていうのに、誰かさんがうるさいんですもの・・・。 ダメ？」
「ダメに決まって・・・」
ジィィィ。
無言のプレッシャーが、ミネルヴァを襲う。
そして、とうとう、
「・・・ごめんなさい、私が悪かったです・・・」
白旗を上げるのだった。
「分かればよろしい。 ニコラ、進めても構わないわよ？」
「はーい、お姉さま！ 次に採点方法ですが、音量測定器で１００点、審査員が一人２０点で、合計２００点でランキングを付けさせていただきます！」
どよめく会場。
出場者全員が、叫ぶ内容を急いで改良しようとしているのが見て分かるようだった。
「審査方法も説明し終えたことですし、さっそく競技に移りたいと思います！」
大会開始から３時間４０分が過ぎた頃。
「エントリナンバー、１０６番！ 人魔共存する町からのご出場！ ジンバーさん！どうぞ！」
「どっ・・・どうも〜」
「さて、ジンバーさん！ 出場登録におけるエントリーシートですが、叫びたいことの欄が空白になってますね。これはどのような意図で？」
「そうですね、ギリギリまで推敲したかったので・・・」
「固まりきってないのに出場を決意したんですか！？」
「・・・返す言葉もありません・・・。 ですけど、いいのが閃いたんでね、それに賭けようかと」
「なるほど、わかりました！ では、エントリーナンバー・１０６！ ジンバーさんです！ どうぞ！」
ジンバーは一度深呼吸し、緊張をほぐす。
そして、許容量限界まで息を吸い込み、叫びだす。
「まだ見ぬ俺の嫁ェェェ！！ 愛してるぞォォォォッ！！！」
会場を包む、妙な沈黙。
そして、
「今のは・・・どのような意味ですか？」
「ぶっちゃけると、恋人募集中・・・ってとこです」
「恋人募集中ですか」
「はい。そのまんまだと捻りがないので、こんな感じに」
「そうですか・・・。 では、あなたの恋人に立候補してもいいですか？」
ポッと頬を赤らめ、司会のニコラが言う。
しかし、間髪入れず、
「ダメじゃ！ そやつはワシのお兄ちゃんになるんじゃ！」
タリシアが却下。同時に告白。
さらに、
「それは無いです！ 彼は私の家に婿入りしてもらうのですから！」
アルダ、
「それもありませんよ！ 彼は私のモノです！」
ミューナ、
「静まらんかバカ共！ ●●●歳超えても処女だからと必死になりすぎであろう！ それにキサマもキサマだ！ ・・・だが、キサマ次第では、私が妻になってやることも考えてやらんでもない」
ミネルヴァまで乗ってくる。
それだけではなかった。
一変した会場の雰囲気に、ジンバーは戦慄を覚えていた。
ちょっとした修羅場になっているのを見かねたのか、
「これだけ大勢の魔物娘の目の前で、『恋人募集中』って言ったのよ？ こうなることは予想出来たでしょうに・・・。とりあえず、採点しちゃいなさい」
「やれやれだぜ・・・」とでも言いたげにデルエラがフォローする。
「・・・そうですね、審査員の皆様、採点をお願いします」
結果、
測定器の採点で、９４点、
ミューナ、タリシア、アルダ、ミネルヴァの四人が、１０点と本日の最高得点、
デルエラだけが、１点と最低評価だった。
「極端ですねぇ・・・。長くなりそうなので、コメントは二人で。 デルエラお姉さま、どうぞ」
「次はもうちょっと結果を考えてから出場してください。以上」
「短くないですか？ 次は・・・アルダさん、どうぞ」
「結婚してください。以上」
「短すぎます・・・。追加で、ミネルヴァさん」
「結婚してくれ。以上」
「短すぎますって・・・。他は・・・同じようなのが続きそうなので、締め切ります。 では、私の未来の夫、ジンバーさんでした！」
「私の未来の夫」というフレーズを聞いた瞬間、会場から大ブーイングが起こる。
それを尻目に、猛ダッシュで選手控え室に戻るジンバー。
これから、縁起でもない未来予想図が頭にいくつも浮かび、体の震え始める。
とんでもないことをしてしまった・・・と、猛烈に後悔するのだった。
そして、残り二人も終わったあと、表彰式が行われる。
案の定・・・とまでは言わないが、ジンバーは準優勝という結果に。
銀メダルと賞品を持って取っていた宿へ戻る二人。
呆れかえるカンダルと、未だに震えが止まらないジンバー。
「・・・怖かった」
「あんなこというからだよ・・・。 どんな結果になっても知らん。 結婚式には出てやるよ」
「・・・確定かよ」
「確定だよ」
「・・・やめときゃよかった・・・」
「手遅れだ」
宿へ到着。
「夕飯時に相談に乗ってやるから」と約束をし、部屋へ戻っていくカンダル。
取り残されたジンバーも、部屋へ戻るのだが、一人になったことで恐怖がぶり返した。
得たいの知れない何かから逃れようと、ベッドへ潜り、震えを何とかしようと必死のジンバーだった。
空腹を覚え、目が覚めるジンバー。
だが、無情にも事件は起きる。
「・・・まだ、夕日が差し込む時間だろうに・・・」
気づけば、夕日が差し込んでいる時刻なのに、闇に包まれている部屋。
次に、
「ドアが開かない・・・だとっ！？ 壊れたのかっ！？」
起きる前まで普通に開いたドアが開かなくなっている。
「窓から脱出・・・何っ！？ こっちもかよっ！！」
窓も開かなくなっている。
（マズイ・・・）
ジンバーの背を、嫌な汗が伝う。
その直後、
ガタッガタガタガタガタ・・・
背後から固い音が聞こえてくると同時に、密室に『誰か』が数人現れた気配が発生する。
あまりの恐怖に硬直していると、背後から手が数本伸びてきて--------------------
一方、
「『５日間彼を放っておくなら、あなたに手は出さないし、諸々の費用も面倒見る』って言われて飲んじまったけど・・・大丈夫かな」
カンダルは、ステージ上で職務放棄してまで必死にアピールしていた５人の魔物娘に買収され、街で一番のホテルで高級ディナーを食べていた。
助けに行きたくとも、とばっちりを食らいたくはないので、残念無念・・・と、判断したのである。
今頃、数人の魔物娘の相手をしている友人を思い、死なぬことを祈ることしかできないのであった。
５日後、カンダルは、５人の魔物娘に引っ付かれたジンバーと再会することになる。
尚、大声大会２回目以降は、『恋人募集中』宣言は禁止になったそうな。
これを見て、
「世界の中心で嫁への愛を叫ぶ」
「玉砕覚悟で告白する」
・・・などなど、さまざまな理由で参加しようと、各地から人魔問わず集まってきた。
ここにも、参加を試みる男が一人。
「おーい、ジンバー！待てったら！オイ！」
「いいから早く来い！選手登録終わっちまうぞ！？」
その男・・・ジンバーは、悪友のカンダルと共に、宿を飛び出し、会場に向かっていた。
待ちきれないのか、バカみたいな早足で会場へ向かうジンバー。
やっと追いついたカンダルは、はぐれぬように並びながら歩き出す。
「にしても、なんでそんなに急かすんだよ・・・。俺たち独り身だし、特にくっつきたい魔物娘もいないし、出たところで得することもないだろ・・・」
「バァカ。何言ってんだよ。だからこそできることがあんだろ？」
「・・・『嫁さん募集中だー』って叫ぶのか？」
「いーや、それじゃ捻りが無い。俺に名案がある」
「・・・やめたほうがいいと思うけど・・・」
「逃げねぇやめねぇ振り向かねぇ！ここまで来たらやってやる！」
往来で叫ぶのはやめてほしい。
そう思ったカンダルだった。
数分後、会場を見つけ出す二人。
案の定ジンバーは、選手登録の受付を見つけると、一目散に飛び出していく。
それを見ていたカンダルは、
（どうなんのかなぁ・・・）
ひたすら嫌な予感に襲われていた。
選手登録を果たし、戻ってきたジンバーは、目を爛々と輝かせていた。
「本当にやるんだな？」
「モチのロンさ！」
「今なら取り消せるぞ？」
「んなもったいないマネ誰がするか！」
「じゃあ、どんな結果になっても後悔はしないな？」
「あぁ！」
「OK。ならいい。・・・ところで何番目？」
「１０６番目だ。出場者は１０８人いるらしい」
「そんなにいるのか・・・」
数十分後、開始の合図とばかりに空に大砲の轟音が響く。
そして、一人のリリムが壇上に躍り出て、
「さぁて、始まりました大声大会○○場所！！ 今回が初回ということですが、大勢のお客様と選手の方々にお集まりくださいました！ ありがとうございます！」
拍手が鳴り響き、ペコリとお辞儀をするリリム。
「まぁ、気づいてるとは思いますが、司会は私、リリムのニコラでお送りします！」
そして、
「審査員は５人の、超大物魔物娘でお送りします！！ ステージ右から、エキドナのミューナさん！」
「みなさん、はじめまして」
「お次に、ミューナさんのお隣、バフォメットのタリシアさん！」
「こんにちはなのじゃ！」
「その次、不死者の国からご招待！ ワイトのアルダさん！」
「ごきげんよう」
「四人目、高山地帯からやってきた、ドラゴンのミネルヴァさん！」
「ふんっ、下らない祭だが・・・出てくれと頭を下げられたから来てやったのだ。ありがたく思え」
「こんなこと言ってますけど、ワクワクしすぎて眠れなかったらしいですよ〜」
「そんなことは無いッ！」
「最後に、私の姉、デルエラお姉ちゃんも来てくれました！ パチパチ〜」
「オイッ！！ スルーするな！！ グムッ！」
隣の席に座っていたリリム・・・デルエラが笑顔を浮かべながら、司会のニコラへ抗議するミネルヴァの背後に回り込み、口を塞ぐ。
「どうも〜。魔王第４王女、デルエラです♥ ちょっと採点は厳しめだけど、よろしくね♥」
「ンムッ！ グムゥッ！ ぷはっ！ 何するんだデルエラ！！」
脱出し、今度はデルエラに抗議するミネルヴァ。
「だって、人の紹介になったっていうのに、誰かさんがうるさいんですもの・・・。 ダメ？」
「ダメに決まって・・・」
ジィィィ。
無言のプレッシャーが、ミネルヴァを襲う。
そして、とうとう、
「・・・ごめんなさい、私が悪かったです・・・」
白旗を上げるのだった。
「分かればよろしい。 ニコラ、進めても構わないわよ？」
「はーい、お姉さま！ 次に採点方法ですが、音量測定器で１００点、審査員が一人２０点で、合計２００点でランキングを付けさせていただきます！」
どよめく会場。
出場者全員が、叫ぶ内容を急いで改良しようとしているのが見て分かるようだった。
「審査方法も説明し終えたことですし、さっそく競技に移りたいと思います！」
大会開始から３時間４０分が過ぎた頃。
「エントリナンバー、１０６番！ 人魔共存する町からのご出場！ ジンバーさん！どうぞ！」
「どっ・・・どうも〜」
「さて、ジンバーさん！ 出場登録におけるエントリーシートですが、叫びたいことの欄が空白になってますね。これはどのような意図で？」
「そうですね、ギリギリまで推敲したかったので・・・」
「固まりきってないのに出場を決意したんですか！？」
「・・・返す言葉もありません・・・。 ですけど、いいのが閃いたんでね、それに賭けようかと」
「なるほど、わかりました！ では、エントリーナンバー・１０６！ ジンバーさんです！ どうぞ！」
ジンバーは一度深呼吸し、緊張をほぐす。
そして、許容量限界まで息を吸い込み、叫びだす。
「まだ見ぬ俺の嫁ェェェ！！ 愛してるぞォォォォッ！！！」
会場を包む、妙な沈黙。
そして、
「今のは・・・どのような意味ですか？」
「ぶっちゃけると、恋人募集中・・・ってとこです」
「恋人募集中ですか」
「はい。そのまんまだと捻りがないので、こんな感じに」
「そうですか・・・。 では、あなたの恋人に立候補してもいいですか？」
ポッと頬を赤らめ、司会のニコラが言う。
しかし、間髪入れず、
「ダメじゃ！ そやつはワシのお兄ちゃんになるんじゃ！」
タリシアが却下。同時に告白。
さらに、
「それは無いです！ 彼は私の家に婿入りしてもらうのですから！」
アルダ、
「それもありませんよ！ 彼は私のモノです！」
ミューナ、
「静まらんかバカ共！ ●●●歳超えても処女だからと必死になりすぎであろう！ それにキサマもキサマだ！ ・・・だが、キサマ次第では、私が妻になってやることも考えてやらんでもない」
ミネルヴァまで乗ってくる。
それだけではなかった。
一変した会場の雰囲気に、ジンバーは戦慄を覚えていた。
ちょっとした修羅場になっているのを見かねたのか、
「これだけ大勢の魔物娘の目の前で、『恋人募集中』って言ったのよ？ こうなることは予想出来たでしょうに・・・。とりあえず、採点しちゃいなさい」
「やれやれだぜ・・・」とでも言いたげにデルエラがフォローする。
「・・・そうですね、審査員の皆様、採点をお願いします」
結果、
測定器の採点で、９４点、
ミューナ、タリシア、アルダ、ミネルヴァの四人が、１０点と本日の最高得点、
デルエラだけが、１点と最低評価だった。
「極端ですねぇ・・・。長くなりそうなので、コメントは二人で。 デルエラお姉さま、どうぞ」
「次はもうちょっと結果を考えてから出場してください。以上」
「短くないですか？ 次は・・・アルダさん、どうぞ」
「結婚してください。以上」
「短すぎます・・・。追加で、ミネルヴァさん」
「結婚してくれ。以上」
「短すぎますって・・・。他は・・・同じようなのが続きそうなので、締め切ります。 では、私の未来の夫、ジンバーさんでした！」
「私の未来の夫」というフレーズを聞いた瞬間、会場から大ブーイングが起こる。
それを尻目に、猛ダッシュで選手控え室に戻るジンバー。
これから、縁起でもない未来予想図が頭にいくつも浮かび、体の震え始める。
とんでもないことをしてしまった・・・と、猛烈に後悔するのだった。
そして、残り二人も終わったあと、表彰式が行われる。
案の定・・・とまでは言わないが、ジンバーは準優勝という結果に。
銀メダルと賞品を持って取っていた宿へ戻る二人。
呆れかえるカンダルと、未だに震えが止まらないジンバー。
「・・・怖かった」
「あんなこというからだよ・・・。 どんな結果になっても知らん。 結婚式には出てやるよ」
「・・・確定かよ」
「確定だよ」
「・・・やめときゃよかった・・・」
「手遅れだ」
宿へ到着。
「夕飯時に相談に乗ってやるから」と約束をし、部屋へ戻っていくカンダル。
取り残されたジンバーも、部屋へ戻るのだが、一人になったことで恐怖がぶり返した。
得たいの知れない何かから逃れようと、ベッドへ潜り、震えを何とかしようと必死のジンバーだった。
空腹を覚え、目が覚めるジンバー。
だが、無情にも事件は起きる。
「・・・まだ、夕日が差し込む時間だろうに・・・」
気づけば、夕日が差し込んでいる時刻なのに、闇に包まれている部屋。
次に、
「ドアが開かない・・・だとっ！？ 壊れたのかっ！？」
起きる前まで普通に開いたドアが開かなくなっている。
「窓から脱出・・・何っ！？ こっちもかよっ！！」
窓も開かなくなっている。
（マズイ・・・）
ジンバーの背を、嫌な汗が伝う。
その直後、
ガタッガタガタガタガタ・・・
背後から固い音が聞こえてくると同時に、密室に『誰か』が数人現れた気配が発生する。
あまりの恐怖に硬直していると、背後から手が数本伸びてきて--------------------
一方、
「『５日間彼を放っておくなら、あなたに手は出さないし、諸々の費用も面倒見る』って言われて飲んじまったけど・・・大丈夫かな」
カンダルは、ステージ上で職務放棄してまで必死にアピールしていた５人の魔物娘に買収され、街で一番のホテルで高級ディナーを食べていた。
助けに行きたくとも、とばっちりを食らいたくはないので、残念無念・・・と、判断したのである。
今頃、数人の魔物娘の相手をしている友人を思い、死なぬことを祈ることしかできないのであった。
５日後、カンダルは、５人の魔物娘に引っ付かれたジンバーと再会することになる。
尚、大声大会２回目以降は、『恋人募集中』宣言は禁止になったそうな。
15/07/03 07:18更新 / 妖怪人間ボム