読切小説
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疲れた男と押しかけ女房な白蛇
「今日もダメかぁ…はぁぁ…やっぱり精神的にくるモノあるよなぁ…」
僕はそう呟いて、人も通らぬような道をトボトボと歩いていた
何故僕が溜息をついてこのような場所を歩いているかといえば
僕が世間一般で言う所の就活生であるといえば、大体の人は察しがつくであろう
そう、僕は今回で丁度五つ目の面接に落ちたのだ
そうして不貞腐れて普段は通らないであろう道に入り込み、少しでも
何も変わらない日常に変化を求めたのである、単純だが効果もある
思考を纏める事も出来るし、冷静にもなれる、一石二鳥だ
「…ん?…こんな所にもあるもんなんだな…丁度いい、神頼みもしておきたかったんだ」
目の前には明らかに寂れた神社があり、僕は何故かこの時、この瞬間だけ
目の前の神社に意識を引っ張られるように感じたのだ、違和感を感じることも無く
すんなりと神社の階段を上がり、賽銭箱に五円ほど入れた
「(すこしでもこの日常に変化を…出来ればお淑やかで母性のある彼女をください…)」
そうしてお願いをしてから、冷静になり、僕は何故こんな事を頼んでいるんだ?
と疑問に思いもしたが、実際に普段から思っていたので気のせいであると思い、1人苦笑した
「…見つけた…」
後ろの木陰から美しくも恐ろしい存在が見ていることも気が付かずに…
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「ただいま~…まぁ誰もいないけどさ…」
誰に話しかけるわけでもなく独り言を言いながら自室に入り、着替えを済ませて
いつもの様にコンビニ弁当で夜を済ませようとしたが、男の日常はこの瞬間、音を立てて崩壊して行くのである
「ん?こんな時間に誰だ?…はーい今開けますよーっと…うわっ!?」
ドアスコープを覗く事もなく鍵を開けるとドアが一気に開き僕は飛び退くようにして尻餅をついた
「見つけました…探しましたよ?私だけの…旦那様♥」
そこにいた『異形のもの』最近この世界に現れ始めた魔物娘とやらだと理解するのに数秒ほどかかり僕は驚きと恐怖でこんな事を言ってしまった
「ば…化物っ!近寄るなっ!」
だが、彼女はこう言って僕を抱きしめて頭を撫でた
「大丈夫ですよ…私に任せて…いっぱい甘えて…頑張るのはそれからにしましょう?」
そう言って微笑んだ、僕はその瞬間、見も知らぬ異形…いや…彼女に…心を染められてしまった
「さ、冷えるといけません、中に行きましょう?夕餉は私の方で用意します♥」
「あ、…うん」
僕は既に抵抗もする気が起きず、なされるがままに座らされて彼女の料理を待ってしまっていた
「(ああ…なぜだろう)」
こんなにも疲れきった心が、癒されて、溶かされていくのは…
16/05/31 02:08更新 / TqFbマン

■作者メッセージ
短く、中途半端なのは、このお話に続きがあるからです、書くのが楽しみで仕方が無いです
執筆中、最高に燃え上がりました、初めてで色々至らないこともありますが、頑張って行きたいですね

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