読切小説
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揺籠の馴れ初め
「……参ったなぁ」

都で一旗揚げるぞと、働き口を求めて生まれ故郷の村を旅立ったのが三日前、だったか。
一人で行くのは初めてだったが、子供の時分に何度か連れて行ってもらった事もある、迷うはずもない道、だったのだが。
日数的にはそろそろ辿り着くはずの都は影も形も見えやしない。その代わりに広がるのは、桃色の霞に包まれた森だ。
道すがらの小さな森の中で立ち込めたこの霞は、待ちに待っても晴れなかった。
危険を正気で霞みがかった森の中を適当に歩き始めたが、いつまでたっても抜けきれない。
それどころか桃色の霞の中はいつまでも薄ぼんやりと明るく、日が暮れるはずの時間でも変わらない。
疲れも腹が空きもせず、まるで夢の中に居るようだが、頬を抓ると確かに痛い。

「いい加減気が狂いそうだ……」

足に疲労がなくとも、心が折れそうになり、桃色の霞なら頭を出した白くすべすべとした丸岩に腰を下ろす、と。
ぱりんと音を立て、腰を下ろしたところから丸岩が砕けて窪む。

「わ……!」

丸岩は想像以上に脆かったのか、そのまま後ろに倒れこんでしまい、ぱしゃりと冷たいものが顔にかかる。
沢にでも落ちてしまったか。そう思ったが、水底に頭を打つ痛みはいつまでたってもやってこないし、体が水に沈み込みもしない


思わず瞑った目を薄く開くと、何かが自分の顔を覗き込んでいた。
あどけない顔でこちらを見下ろす女の子。少女というより幼女と言った方が相応しいくらいの幼さ。
なにより目を引くのは、その色だった。
髪の毛のてっぺんから顎の先まで、その全てが卵黄のような、ぷるるんとした光沢を纏った眩しい黄色一色だったのだ。

(ま、魔物……!)

ぷるりとした単色ゼリー状の体。おそらくスライム種の魔物だろう。
驚きと恐怖であんぐりと開いた口に、たらりと何かが流れてくる。
薄黄色に透けたそれは、糸を引いて魔物娘の突き出す舌へと繋がっていた。

「!」

出所を認識してからぱくりと口を閉じる。が、魔物娘の涎は既に口内に取り込まれてしまった。
鶏卵の黄身を何倍にも濃くしたような滋味が口いっぱいに染み渡り、体を駆け巡っていく。
全身に力が漲るような感覚の中で、それでも手足一つ動かさずにいた。
理由は自分を覗き込む魔物娘にある。後ろ向きに倒れこんだのを支えられた今は、丁度彼女に膝枕をされているような姿勢になる


膝の上でこちらの頭を抱え込む彼女は、首元についたリボン状の装飾……これもスライムで形成されているのか……以外は、一糸

纏わぬ丸裸の姿だったのだ。
ぽっこりと膨らんだ下腹から上は、首に向かって殆ど細るだけのなだらかな体の線。
細さとぷにぷにとした感触を両立する小さな手足。
なぜだかその姿から目が離せない。
血が一点に集まっていくのを意識したところで、慌てて体を起こしてかぶりを振る。

(だ、ダメだダメだ!こんな小さな子で、しかも魔物に……)

しかし、起き上がることはかなわなかった。

「うわ、なんだこれ……!?」

上半身だけを起こした状態で、体の動きが止まってしまう。
四肢の先が卵の殻めいて白く硬い何かによって固められ、身動きがとれないのだ。
そうしている間に、透明のスライムが白く硬化してどんどん戒めを強固にしていく。

「ひ、ひっ……!」

黄色い少女はじゅるじゅると滑るように這い、回り込んでこちらの正面へと至る。
そして、ズボン越しにも勃起していることがありありとわかる股間に顔を寄せると、そのまま無遠慮にじろじろと観察を続ける。
何をされるか分からない恐怖と、少女に勃起した股間を眺められているという恥辱……そして同時に暗く灯る倒錯した興奮……で

、満足に声も出せない。
身じろぎしても硬化したスライムはびくともしない。
そうしている内に、少女は腰へと手を伸ばしてくる。そして、ズボンを下着ごと、一気にずり下ろしてきた。

「……♡」
「だ、ダメだって……!」

涎の滋味のせいか、少女の持つ魅力、あるいは魔力のせいか。
自分でも見た事のない程に醜悪に膨れ上がった欲望の塊が、少女の鼻先でビンと揺れる。
それを見て少女は怯むどころか、むしろ嬉々として……
その唇を、ペニスの先端に触れさせた。

「ひゃっ……」
「……♡ んっ、ちゅう……」

ぷるぷるとしたほんのり冷たい唇の感触が、熱く腫れたペニスに何度も触れる。
最初は甘く、段々と吸い上げるように。
乳を求める赤ん坊の様に一心に、ちゅうちゅうとペニスの先端を吸い上げる。

「うぅ、やめ……」
「れる、う……? んちゅ……れるれる……」

僅かに残る倫理観が静止の言葉を吐かせるが、少女は意に介さない。或いは本当に、言葉の意味が分かっていないのかもしれない


先走り汁をどろりとした舌で舐め取られる度に、後から後から新しい先走り汁が溢れてきて止まらない。

「んぐっ、けふっ……えぅ、ぐっ」
「ひゃあああ!?」

更には少女は逸物を咥え込み、喉の奥へ奥へと導き始めた。
小さな口にはどう見ても入り切りそうもないはずなのに、全身が粘液で出来ているからだろうか、
ぐにゅぐにゅと喉輪が亀頭が押し広げられ、僅かな抵抗だけでついには竿の根元までが口内に収まってしまう。
歯がないのだろう、口いっぱいに押し込んでも痛みはなく、喉と舌で異なる粘度のスライムがペニスに纏わりついて甘やかす。

「じゅぶっ……じゅるじゅる、こほっ……れぅ、えるっ」
「駄目、そんなに動かれたら……!」

咥え込んだペニスを、深いストロークでじゅぽじゅぽと淫らな音を立てて扱かれる。
根元から先っちょまでを一息に舐られるそれは、腰が浮くほどの快楽をもたらした。
その反応を見て気を良くしたのか、少女は小さなお尻をふりふりと蠱惑的に揺らしながらフェラチオを続ける。
こちらを見上げる目線は蕩けきっており、そう遠くないだろう射精の瞬間を今か今かと待ちわびているようだ。

「もご……ぢゅっ……んべぇ……」

ペニスが喉奥に吸い込まれて全体を揉み潰されては、抜いて扱かれた後に口内で味わうように舐めしゃぶられる。
唾液と粘液と先走りでぬめったペニスを徹底的に責められ、とうとう限界が訪れた。

「もう、出ちゃう……!」
「……っ♡ んっ、んぅっ……♡」
「あっ、ああっ……!!」

頭の中が真っ白になり、腰のゾワゾワしたものが抑えきれなくなる。
ひくひくと脈動を始めたペニスを、少女は一気に喉奥へと飲み込む。
その刺激がトドメとなって、精液が堰を切ったように溢れ出した。
びゅくびゅくと自分でも信じられないほどの量と勢いで、少女の喉奥へと精をぶち撒ける。
射精の真っ最中も飲み込み吸い込む刺激が加えられ、最後の一滴まで残さず根こそぎ吸い出された。

「うぅ……」
「……♡」
(これが魔物の搾精……)

未だ残る快感、精を放出した疲労、少女にいいようにイかされた羞恥とこんな幼い子を穢してしまった罪悪感とがごちゃまぜにな

った感覚に身を震わせていると、
少女は上目遣いのまま、口内に残った白濁を見せつけてから数回もごもごと咀嚼してから飲み込み、そして花の咲くような笑顔を

向けてきた。
可憐で、無邪気で、しかし妖艶で。矛盾を内包したような笑顔にドキリとして、顔が熱くなる。
にこにこと笑う彼女は、笑みを作ったまま目を伏せ、しなだれかかって抱きついてきた。

「んー……♡」
(なんだ、この感触……!?)

首に腕を回して抱きついた少女は、シャツを捲り上げて素肌の胸板に顔を埋めて頬ずりしている。
そこから伝わる感触は実に奇妙で、最初は僅かに冷たくひんやりとしていて、ぷるりとした柔らかさがあるが、人肌で温められる

と蕩けてうぞうぞと肌上を這い回る。
抱きつかれている全ての所がまるで愛撫されているようで、背筋がゾクリと甘美に震える。

「……離、して……」
「……?」

まるで意味が分からないというように少女は首を傾げる。
粘液の塊が形作る、あどけない表情。
種族という決定的な断絶を超えて、理性をドロドロに溶かしてしまう、幼さの裏の魔性の気配。
少女の顔がゆっくりと近付いてくる。
目を伏せて唇を尖らせ、ゆっくりと。
その様から目を逸らすことができない。顔を背けることができない。

「むぐっ……んっ……」

唇と唇が触れる。
唾液を吸われ、粘液を流し込まれる。
不思議な事に、今の彼女の唾液からは甘い芳香が漂っている。
じゅぶじゅぶとお互いの口内を液体が循環する水音が響き、思考が痺れていく。
頭の中が目の前の少女の事でいっぱいになっていく。
滋味に溢れたあの唾液がもう一度取り込まれ、一度射精した後のペニスがみるみる硬さを取り戻す。
むしろ先程よりも太く硬く反り返っているとすら思えた。

「ぷはっ……」

長い口付けを終え、一息をつく。
スライム少女は頬を押さえ、にへら、と笑う。
その足元で、透明な粘液がパキパキと音を立てて白く硬化していく。
未だこちらの手足を飲み込んだまま、どんどん大きくなるそれは、まるで半分に割れた卵の殻のような、大きな揺籠のような、そ

んな形状になった。
揺籠の底に固められた自分からは、桃色の霞に閉ざされた空と、白色の殻の壁、そして卵黄色の少女だけしか見えなくなってしま

う。
二人だけの世界の中で、少女は笑った。
にたりと上がった口角。だらしなく垂れ下がる目尻。
天めがけ上向くペニスに、人間であれば陰部があるだろう股をあてがう。
そしてそのまま腰を落とすと、じゅぷりと肉棒を飲み込んだ。

「あっ……!!」

どろどろの熱い粘液の中をペニスが潜行する。
広げた分だけ押し返すような弾力かぎゅむぎゅむとペニス全体を圧迫し、心地良い感触を伝えてくる。
そして少女は、男根を根本まで咥え込んでもそこでとどまらなかった。
スライム娘の下半身の輪郭が曖昧になり、まるで黄色い水滴のようになり、玉袋までを飲み込んでしまう。
そのまま臍から腰、腿までをスライムが飲み込んでいく。
初めはひんやりとしていたそれは、上気した肉体の熱で温まり、自分と同じ体温になる。
お互いが腰のあたりで完全に一体化してしまったような、奇妙な状態。
自分の腰から上半身だけが生えているかのような少女は、寝かされているこちらの顔を見下ろして、にちゃりと口元を緩めた。
それと同時に。体に纏わりつくスライム全てが蠢動を始めた。

「……♡」
「なに、これっ……」

ずるずると臍下を、太腿を、尻穴の周りまでを這い回り愛撫する人肌にぬくまったスライム。
それと同時に、玉袋は湯の中をくぐらせるように優しく転がされる。
ペニスは最も激しく責め立てられ、熱く蕩けた粘液の中をずちゅずちゅと捏ね繰り回されていた。
快感が走る度に跳ね上がるペニスが、渦を巻いて責め立てる粘液に捻じ伏せられて揉みしだかれる。
カリの溝を余すことなくなぞって巡る粘液が、裏筋を掠めてから亀頭を撫でる。
ペニスで卵液を撹拌しているかのような絵面。しかし実際にはしているのではなくさせられているのだ。

「……♡♡♡」

スライム娘は黙ったまま、両手を頬に当て恍惚の表情を浮かべ、時折ビクンと震える。
その腰が揺れる度に、内部のスライムがぐちゃぐちゃにかき混ぜられてペニスを責め立てる。
身じろぎしても、大きな卵の殻ごと揺籠のように揺れるだけ。
濃い黄色の粘液の向こうで、嫐られるペニスの影が透けて揺れる。
じゅぷりじゅぷりと空気を孕み、腹で渦を巻く粘液が淫らな音を立てる。

「お願い、止めて……!」

懇願の声は、やはりと言うべきか無視される。
スライム娘は小さな手を己の下腹へと伸ばし、きゅぅと押し込む。
すると、スライムの動きが変化を見せた。

「あっ……!」

渦を巻いて刺激する動きから、揉み出し吸い上げるような動きへ。
スライム娘の胴の中の粘液全てがポンプと化して、ぞるぞるとペニスを根っこから引っこ抜くような吸引刺激が与えられる。
竿筒を通して精液の蓄えを丸ごと吸い尽くすような苛烈な責めに、限界が近づいていた。
気を抜いた瞬間に臓腑ごと持って行かれそうな刺激に、歯を食いしばって耐える。
種の違う相手との交わりへの嫌悪、幼子にいいようにされる屈辱、既に半身が飲み込まれているという恐怖。
屈服を嫌うそれら全てが、圧倒的な快楽と少女の蕩けた笑顔で塗りつぶされていく。
ふと気が付くと、少女の顔が目の前にあった。余裕をなくして気がつけなかったのか。
下腹で展開されるスライムによる男性器の蹂躙はそのままに、少女は花のように笑って軽く口付けをした。

それで、何もかもがどうでもよくなってしまった。

イきたい、気持ち良くなりたいという欲望に素直に、我慢をやめる。
瞬間、白濁が弾けた。
間欠泉のように精が吹き出て、スライムの黄色の中に混じっていく。
ペニスの脈動で精液が排出されるよりも早く、スライムの吸引が精を吸い出す。
射精のペースすら乱されて、頭の中が真っ白になり、視界がチカチカし始める。
イきながら暴力的な快楽に曝され、肉棒が不規則にぶるぶると震えだす。

「っはぁっ……」

腰の奥で何かが爆ぜた感覚。
そこから一瞬遅れて、驚くほどの勢いで精液が噴き出す。
絶頂しながらの二度目の絶頂は、信じられないほどの快感で思考を焼き焦がした。

「……♡……♡」

胸の上で背を丸めて震える少女が、意識を失う前に見た最後のもの。
黄色い体に纏わりつく白濁が、まるで鶏卵のカラザのようだと、間抜けた感想を抱きながら。
快楽に意識を刈り取られ、急速に夢の世界へと落ちていった。





……そして、目が覚めて。
全てが夢だった、という事もなく。

「……んっ♡」
「……うん、おはよう」

手足こそは自由になっていたが、相変わらずの卵の殻の中。
黄色いスライムの少女は覆いかぶさったまま、首に手を回して抱きつき、顔を寄せて頬擦りしてきた。

「……」

その背を抱いて頭を撫でると、少女はびくりと体を一度震わせた後、より強くしがみついてきた。
周囲の透明な粘液が、ハート型の泡を形作っては弾けさせる。
少女を抱えながら状態を起こすと、卵の殻がぱしゃりと透明な粘液に還元された。
開けた視界には、桃色の霞はもう存在しない。
場違いな置物が転がる丘の向こう、遥か遠方に見えるのは、初めに行きたかった都ではない町。
ゆっくりと立ち上がると、自重を支えきれないのか、首に回していた手も虚しく、スライム娘がぬるりと滑落する。
一瞬不満気な顔を見せるが、手を差し伸べるとぱっと笑顔を輝かせてその手を掴む。

「……とりあえず、あそこまで行ってみるかな……」

放り出されていた荷物を左肩に担ぎ、卵めいたスライムの少女が腕を絡める右腕を引いて歩き出す。

ここまでが、自分と彼女の馴れ初めの話で。
ここから先、この不思議の国での、とびきりおかしくて淫らな毎日は、また別の話になる。
15/11/11 03:39更新 / 紅井寿甘

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