読切小説
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捨てる神あれば…あふたー×3
「う゛〜…。」

どうも、こんにちは一文字です。皆さんお元気でいらっしゃいますか?
あっし?ああ、あっしは…。

「ひっくし!!」

まあ、ご覧の通りです。絶賛風邪引いてます。

「ごしゅじんしゃま、だいじょうぶにゃ〜?」
「宵…降りなざい。ゴホッ!」
「宵、ご主人の言う通りにしとかないと宵も風邪引くニャ。早く降りるニャ。」
「いやにゃ〜。」
「…………。」

最近、宵がワガママになってきたなぁ…。遊んでやれないのは確かにあっしが悪いけど、こういう時はちゃんと言う事聞いて欲しい…。ん?

「宵お前、ぞの手どうじた…?」

宵の手を見てみると、毛の間に切り傷のようなものが見えた。
有刺鉄線にでも引っ掛かったのか…?でも、此処等にそんなのあったっけ?

「な、なんでもないにゃ!!」
「良いからご主人に見せるニャ!!」
「や〜にゃ〜!!」
「あ、コラ!」

何故か傷を隠そうとする宵に無理やり腕を出させるトウ。宵はあっしを心配させまいとしているのかな?…それなら早く退いてくれた方がいいんだけどなぁ…。マスクしてるとは言え、写ったらいかんし…。

「…ちょっど待ってなざい。」
「にゃ?」

尻尾をピンと立てながら腹の上に乗っている宵を降ろし、だるい体を起こして立ち上がる。
熱冷まシートをしている分、幾分か楽なもののやはりキツい。
足元が覚束無いまま、台所に置いてある救急箱を棚から取る。
そして中から消毒液とガーゼと脱脂綿とリバテープを取り出し、布団へと戻った。

「宵、腕出じなざい…。」
「?はぁい。」

宵は?を浮かべながら怪我をしている腕をだす。
…やべ、頭朦朧としてきた。
脱脂綿に消毒液を染み込ませる。
すると、臭いに反応したのか宵が耳を思い切り立てた。

「しみしみいやにゃ〜!!」

脱脂綿を近付けた途端、宵が逃げようと手をばたつかせる。

「あ…ごら、動ぐな。ゴホッ!」
「そうニャ。痛いのは一瞬ニャ。我慢するニャ!」
「しみしみや〜!!」

トウが宵を後ろから押さえてくれているが、肝心の怪我をしている腕を振り続けているので消毒が出来ない。
少し乱暴だが仕方ない。
あっしはほんの少しだけ宵の腕を掴む手の力を強める。

「ごしゅじんしゃま、いたいにゃ、いたいにゃ〜!!」
「…………。」

チョン

「に゛ゃ!!?」
「…我慢しなざい。傷が膿んでがらじゃ遅いんだがら。」
「〜〜〜……っ!」

宵は小さな体を小刻みに震わせ、必死に消毒の痛みを我慢する。

「…よじ。ごれでいい。」

最後にガーゼを宵の腕に巻き、リバテープで固定する。

「ばい、よぐがまんでぎました。」
「…………。」
「どうじた?」
「……だっこ。」
「ん?」
「よい、ちゃんとがまんしたにゃ。だからだっこ。」
「…ばいばい。わがっだよ。」

半泣きだった宵の顔が一転して満面の笑顔になった。
そして、胡座をしているあっしの足に乗り、嬉しそうに尻尾を振り始める。

「…………。」
「ぼら、ドウもおいで。」

「!!」

宵を羨ましそうに見ていたトウに手招きをしてやると、これまた嬉しそうに空いている方の膝へと乗る。

「……全ぐ、二人ども風邪写っでも知らないぞ?」
「大丈夫ニャ。その時はご主人がちゃんとお世話してくれるニャ!」
「くれるにゃ〜。」
「………ばいばい。」
「…くぁ〜。」

痛みから解放されて安心したのか、宵が膝の上で丸くなった。
…自由な奴め。

「ざで…ぞろぞろ寝ざせでぐれ。」

半分意識が向こう側に行ってしまっている宵を抱き上げる。
それと同時にトウも膝から降りてくれた。

「…おやずみ。宵の事ば任ぜだぞ。」
「了解ニャ。お休みニャ、ご主人。」

宵をトウに預け、布団を被った。
疲れているのも相まって、睡魔が一気に意識を持っていこうとする。その心地好い感覚に身を委ね、あっしは自身の目を閉じた。



―――――― 数時間後



「……ん?」

ふと、自分に掛かっている重みに目が覚めた。起き上がって腹の方を見てみると、宵とトウが二人仲良く布団に乗って寝息を立てていた。

「やれやれ。…ん?あー…あー…。」

喉が治ってる…。心なしか体も軽い。熱も…引いたな。

「…ごめんな。心配かけちゃって。」
「ふに…。」
「うにゅ…。」

二人の頭を撫でてやると、気持ち良さそうに耳が揺れる。

「んゅ…?」

撫で続けていると、トウが目を覚ました。

「…ご主人?」
「ん?…わっ!?」

不意に下腹部にかかる重み。
どうやらトウが飛び乗って来たらしい。

「すー…すー…。」
「……フフッ。」

普段、宵のお姉さんみたいに振る舞って甘えられない分、こういう時は目一杯甘えたいのだろう。

「いつもありがとうな、トウ。」

…さて、もう一度寝るか。明日も仕事だし、完全回復しとかないと。
明日の二人のご飯は少し奮発して、猫缶にでもするかな。
トウと宵をを布団の中に入れ、あっしは再び睡魔に身を任せた。
11/12/02 22:03更新 / 二文字(携帯版一文字)

■作者メッセージ
やあ、どうも一文字です。
皆さんお久し振りです。
大丈夫、正真正銘あっしですよ。間違ってませんよ。
何で名前が変わったかはプロフィールをご覧ください。
読みました?読みましたね?よって現時点では今までの小説は更新できません。あしからず。

さて、これを書き終わった時点からまた新しい作品に手を付けて行こうかと思ってる次第にございます。
内容はまだ言えません。
お楽しみに。

最後に、宵やトウなどの既存キャラを使いたいという方がいらっしゃったらご一報を。二つ返事でOKします。それと前回宵を送った(笑)御三方は宵に関してはオールフリーですので。

ではでは、また次の小説でお会い致しましょう。

have a nice day♪
( =ω=)ノシ

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