場末のバーで(ゲイザー編)


 

 しがない会社員で特に語るところもない俺だが、一応の趣味のようなものがある。
 それは会社帰りと休日にふらっと夜の街へ出歩いて、色んな店を飲み歩くことだ。
 とはいっても女遊びが目的ではないので、スナックやパブのような店には立ち寄ったことがない。
 個人でやっている居酒屋なんかを少しずつ吟味するのがよいのだ。
 
 土曜の夜、俺はあえて歓楽街の中心から離れた道を歩いていた。中央の方に行くと人が多いわ客引きや紹介所がうるさいわで、落ち着いて店を探せたもんじゃない。
 今俺が通っている道はどうやら初めての通りだが、何件か店もあるようだ。
 今日はこの辺りにしよう、とふらふら歩いていたその時。
「あらお兄さん。お暇かしら」
 突然、前から声を掛けられた。女性のような声だが、顔はフードで見えなかった。
 声を掛けられるのはよくある事だが、『そういう店』の客引きにしては毛色がおかしい。ああいう手合いによくある下品さもしつこさも全くないのだ。
「別に――」
「ああ、言わなくてもいいわ。ここに来てみれば分かるから」
 そう言いながら、彼女は手に持ったチラシを俺に手渡した。
 普通ならこんな胡散くさい客引きは相手にしないが、俺はなぜか受け取ってしまった。
 大きなフードを被ったその女性はどこから見ても怪しくて、言ってる事もよく分からないのに。
「じゃあ、また。 ふふっ」
 女性はそう言うと、俺の横を通り過ぎてどこかに行ってしまう。
 訝しみながらチラシを見てみると、すぐ近くの角を曲がった所にある店のようだ。
 そこには『最高の時間を貴方に』という文句で地図と内装の写真が載っている。ぱっと見は雰囲気の良いバーのように見えた。てっきり風俗店だと思っていたが違うらしい。
 さっきの女の言葉は気になったが、少なからず興味を惹かれた俺はその店へ向かった。






 その店は地下の二階にあるようで、薄暗い階段を降りていく。
 地下一階は何の店も入っていないらしく、階段も薄汚れている。しかしそこから先は造りが変わったかと思うほど小奇麗な場所になり、明かりと手すりが付いていた。階段を下りた入り口には頑丈そうな扉がある。
 俺が扉を押し開けるとぎい、と音を立てて開いた。

 いざ入ってみると店の中は暗く、静かだ。電気がはっきり付いていた玄関のほうが明るいぐらいである。中からはジャズのような音楽が喧しくない程度に聞こえてきて、それが更にいい雰囲気を醸す。高級店にも感じたが、その分ゆっくりできそうに思えた。
 さっそく俺はカウンター席に着いたが、他の客はどうやらいないらしい。
 というか店員もいない。
 周りを見てみるとテーブルに呼び鈴があったので、それを鳴らしてみた。
 少しして、カウンターの奥から誰かが出てくる。
「……お待たせしました」
 出てきたのはバーテンダーの服を着た黒髪の女の子だった。薄暗いからはっきりとはしないが随分背が小さいし、しかも童顔に見える。まあ未成年が働いているとは思わないし、もしそうだからといってとやかく言う気もない。
 おまけに恐ろしく顔も整っていたので、こういう子は客に口説かれたりするんだろうか、とも思った。
「とりあえず、グラスホッパーで」
 あまりお洒落なバーには寄ったことが無いので、好きなカクテルを適当に注文しておく。
 店のお勧めを聞くのは何度か注文した後の方がよさそうだ。
「……はい」
 店員は静かに返事をすると、カクテルの準備を始めた。
 少しの間、店内に流れる静かなBGMと、バーテンが作業をする音だけになる。
「……お客様。『サイドメニュー』はお決まりですか?」
「え?」
 バーテンが声を掛けてきたが、何のことか分からない。
「悪いけど、今日初めて来たもんでね。
 すまないが、ここの仕組みを教えてくれないか。サイドメニューってのはなんだい」
 俺は素直にそう聞く。
「……初めての方でしたか。それは、失礼しました。
 『サイドメニュー』ですが……その前にまずは一杯目を、どうぞ。
 最初のグラスですので、こちらは無料になります」
 カクテル・グラスを差しだすのと同時に彼女が言う。
 バーテンは小さく返事をすると、ほんの少し笑ったように見えた。
 無料と聞いて少し怪しさを感じたが、出てきたものは上質そうなものだ。
 香しいミントの香りが漂ってきて、思わず俺は期待する。
「いただきます」
 細いグラスを持ち上げてそっと傾ける。ペパーミントとカカオの香りが混じりあって鼻腔をくすぐり、程よい甘さとアルコールの刺激が喉を通っていく。しつこくない甘みが丁度よくて、俺は舌鼓を打ちそうになった。
 味と店の雰囲気とが混じって重厚な満足感を覚える。これは中々いい店だ。
「これは、なかなか、」
「……ありがとうございます」
 俺が無意識に呟くと、バーテンの女の子は嬉しそうに微笑んだ。
 言葉に出すつもりはなかったのだが、聞かれていたと思うと頬が熱くなる。
 いやこれはアルコールのせいだと誤魔化すように、俺はまたグラスに口を付けた。
「……ん、」
 時間を掛けて味わうのがバーの醍醐味なのに、気づくともう半分はなくなっている。
 同時に、ぐわん、と頭の中が響くような感覚。
 酩酊にも似た感じだが、それにしてはあまりにも早すぎる。
 何しろまだグラスの一杯目なのに―― 
「あれ、……なんだ、」
 目の前が暗くなる。追い打ちの様に強烈な眠気が襲ってきて、身体がひどくだるくなる。
 力が入らない。意識が薄れていく。
 上半身が支えきれなくなり、俺はカウンターのテーブルに突っ伏した。
「では……お楽しみください」
 バーテンの子がそう言ったのが聞こえて、俺は意識を失った。








「……ううん、」
 目を開けると知らない天井があった。
 ホテルの一室のような、何処かのベッドの上に寝かされているらしいが、なぜか肌寒い。
 見てみると、なぜか俺はパンツ以外の下着を身に着けていなかった。
 とにかく身体を起こそうとしたが、両手両足のどこにも力が入らず、起き上がることができない。
 動かせるのは首から上だけ。
 すると、にょろりと黒い蛇のような何か――黒い触手が視界の端に現れた。その先端には目玉が付いている。赤い瞳の目玉がごろんと動いて俺を睨む。
 触手の出所を目で追っていくと、そこには一人の少女、らしき何かがベッドに座っていた。
「目ぇ覚めたか」
 長く黒い髪を指で弄りながら、その少女は喋った。少女にしては少し低く、静かな声だ。
 黒い触手は彼女の背中から伸びていて、それ一本だけではなく十本以上は生えていた。
「な……何なんだ、お前」
 俺はその少女の異様な姿に驚く。おかしいのは触手がある事だけではない。
 少女はまず服を着ていないし、肌が人とは思えないほどに白い。肌の表面には黒い塊のようなものが恥部に張り付いていて、両手と両足も墨に着けたように真っ黒い。
 しかし顔が一番目を惹かれる。
 そこには顔の中心にたった一つだけ、大きな赤い目が嵌っているだけなのだから。
「おいおい、そんなにジッと見るなよ。照れちまうぜ」
 ししっ、と少女が鋭そうな歯を見せながら笑って、俺に近づいてくる。
 歩くのではなく、まるで水中の中を漂うように、宙を浮いて。
「ま、あたしのコトは気にすんなよ。
 オマエにピッタリの『サイドメニュー』を出すためだからな、ガマンしな」
 そう言いながら、少女の身体はふわっと浮いたまま、ベッドで仰向けに寝転がる俺の上に覆いかぶさってくる。
「さ、サイドメニュー? ……も、もしかして、」
 少女の大きな赤い一つ目がぐっと近づいて、俺と強く視線を交わす。
 現実では見慣れない異形の少女に対面し、不思議と鼓動は早くなって、恐怖にも似た困惑が湧き出てくる。
「さあ――教えてくれよ。
 オマエはどんなヤツを、どんなふうに犯したい? それとも、犯されたい?」
 視線が合ったその刹那、俺の身体に変化が起きる。
 さっきまでは自由に動いていたはずの頭が動かない。首はもちろん、目も、視線も。ずっと目の前にいる少女の一つ目をじっと見つめたまま動かせない。しかし不快感は無く、むしろ宝石のようにきらりと赤く輝いたその大きな眼を見ていたいと思う。
 そんな俺の様子を見て少女が笑うと、鋭そうなギザギザした歯がまたちらりと見えた。 
「……あ、」
 勝手に俺の口が開くような感覚。いや、これは俺の意思だ。
 ”さっきまでは”そんな気は更々無かったのに、俺は今、彼女の質問に”答えたい”と思っている。
 俺の口は勝手に、絞り出すように声を発しようと動いていく。喉の渇きが強く脳裏にこびりついた。
「……お、犯されたい」
「へぇ、それはどんなヤツにだ?」
 『犯されたい』。
 普段なら間違えても言わないような単語が口から飛び出てしまう。
 自分でも何を言いだすか分からないぐらいに意識が混濁していたが――、 

「き、君みたいな!」

 一瞬の静粛。
 この言葉には俺はもちろん、目の前の少女も驚いたようだ。
「……へ?」
「白肌が綺麗で柔らかそうだし、ぎざっとした歯も小悪魔っぽくてかわいい。
 その、その目が、大きくて、ぎょろっとしてるのがかわいい。
 今まで君みたいな子を見たことなくて、どこか神秘的で不思議でいいんだ。
 そう、ひ、一つ目っていうのがかわ――」
「ま、ままま、まて、待てちょっと!」 
 その言葉でスイッチが入るように俺の口が止まった。
「き、聞き間違いか? も……もう一度、聞き直すぞ、お、おまえが、犯されたいのは、」
「だから、君に、お、おかされたいって……」
「な、え、あ、」
 一つ目の少女がうろたえているのが手に取るように分かる。だがそれは俺も同じで、身体が動くなら今すぐガラスの窓を破って逃げ出しかねないほど気恥ずかしい。
 何しろ目の前の女性に、それも目が一つしかない面妖な少女に「犯されたい」とまで暴露してしまったのだから。
「ばばば、バカ言ってんじゃねえ!
 あ、あたしは、あくまでサービス要員で、そんなヤツいままで……」
「でも!君がいい!君に、好きなようにおかされ――」
 必死でその言葉を止めようとする俺だが、その苦悩は実りそうにない。
 すると目前の少女がふわっと俺から離れて、
「ば、ばーかっ!ばーかっっ!!」
 それだけ言ってこの部屋の入り口らしき所まで浮かんで行き、どこかへ消え去ってしまった。
「……」
 そして俺は一人部屋に取り残される。



 一、二時間もすると体は動くようになり、さっきのバーテンの女の子が代わりのように部屋に入ってきた。
「す、すみません。本日はお客様に最適な”サイドメニュー”をお出しすることが出来ず、大変不快な思いをさせてしまいました……。
 心よりお詫びを申します……」
 やはりさっきのバーと関係していたのか――とは思っていたが、まさかそういう店だったとは。
「そ、その……”サイドメニュー”のことなんだけど……」
「……はい。本来であれば、先程のスタッフがお客様に合わせた”サイドメニュー”をお出しする為にいるのですが……。
 どうも本日は体調が悪いと、先程駆け込んできまして……」
 何故かはわからないけど、もう一度会ってみたい。
 どうしようもないくらいに彼女のコトが気になっている――なぜか。
「今回は初回ということもあって、御料金は元々頂いておりません……、
 ですので次回も無料にさせていただくことでどうか、今回の御無礼をお許しいただきたいのですが……」
 俺はふわっとした頭の中、言われるままに返事していた。
 はっきりとした記憶があるのは俺が自分の家に帰って、朝起きたところからである。









「いらっしゃいま……あ、先日のお客様でしたか!
 前回は大変ご不快な思いをさせてしまい――」
 なんだかんだでまた俺はその店に来てしまった。
 前と同じバーテンの少女が俺に向かって平謝りをしてくる。そこまで謝られるとこちらの方が悪いことをした気分になりそうなぐらい謝ってきた。
「それではご注文をお聞きします……」
「今日はカルーア・ミルクで……あ、”サイドメニュー”なんだけど、その……」
「はい……今回も、以前と同じ形になりますがよろしいでしょうか……?」
「……あ、うん」
 今回は酒に何か入っているという事はなく、何杯か酒を飲んだ後で、前と同じようなホテルの一室のような場所に案内される。



「……あ」
「……あ」
 そしてその一室でベッドに腰掛けて待っていると、入ってきたのは前と同じ一つ目の少女だった。
「あー、いやまあ、謝ろうと思ってたんだ。この前は……」
 俺がそう言おうとしたところで少女がふわっと宙に浮いて、俺の方へ飛んでくる。
 勢いよくぶつかられて、俺はベッドに仰向けに倒れ込んだ。その上に少女がのし掛かってくる
「……お、お、オマエのほうが言ったんだからな。あたしに、犯されたい、って……」
「え、いや……それは、」
「るっさい!いまさら口答えすんな、ま、ますます恥ずかしくなるだろーがっ」
 一つ目の少女は俺のシャツのボタンを外し始め、脱がしにかかる。とはいえ慣れてはいないようで、うまく外せないでもたついている。俺は恥ずかしさに耐えながらもその手伝いを始める。
「な、なんでアタシを……いや、えっと……あ、アタシに犯されたいってんなら、そのカクゴは出来てるんだよな」
「う、んと、」
 いくら少し酔っているとはいえ、目前の幼い少女にそんなことを言われるとますます恥ずかしい。俺はゆっくりうなずくのが精一杯だった。
「いい、今更アタシなんかイヤだって言ったって、許してやんないぞ……」
 そして酔っているのは俺だけではなく、少女もそうであるような気がする。
 微かに酒の匂いがするし、頬もかなり赤い。
 その匂いはさっき俺が頼んでいたカルーアミルクにそっくりだった。
「あ……暗示掛けないでえっちするのなんか、初めてなんだかんなっ。
 どうなったって知るもんかっ」
 俺のシャツが全部脱がされ、その下の肌着をめくられる。
 一つ目の少女の手は少し震えている。顔も赤いし、俺と同じぐらい緊張しているのは火を見るより明らかだった。
 少女の白い手がそわっと俺の肌を撫でる。柔らかいその感触はくすぐったくて、脇腹や胸を撫でられると身を捩らせてしまう。ひやっとした指が乳首に当たると、俺はついに声を漏らしてしまった。
「お……ここがいいのか?」
 少女は気を良くしながら、くりっと俺の乳首を優しくつまんでくる。その表情はまるで次に嵌めるピースを見つけた子供のようだ。
 にやりと少女の口元が笑い、鋭いぎざっとした歯がちらりと見えた。
「へへ……男のクセにこんなとこがイイなんてなあ。オンナみたいだな」
 そのまま両手で乳首を愛撫しながら、その口を俺の胸に近づけてきてぺろりと舐めてくる。
 熱くぬめった感触が心地よくて、また俺は声を出してしまった。
 口をぺろぺろと動かしながらも、手でくりくりともう片方の乳首を愛撫する事も忘れない。
「んー、気持ちよさそうなカオしてる……かわいいぜ、オマエのそのカオ……」
 ぺろぺろと乳首への愛撫は止まらず、くすぐったさと心地よさが混じりあう。
 ミルクを舐める子猫のように少女はそれを続けてくる。
「あ、うぅっ」
「おっと、こっちはもうビンビンじゃねえか」
 膨らんだ股間をさわさわと少女の白い手が撫でる。
 瞬く間にベルトが外され、ズボンもトランクスも脱がされてしまう。
「ま、まずは口でしてやるよ。痛くしちまっても知らねえけどな」
 自信なさげに、おずおずと少女の口がぱかっと開く。
 そこからちろりと可愛らしくも長い舌が出てきた。
 ピンク色の舌は柔らかそうで、ねとっとした唾液がたっぷり乗っている。
 あれで舐められる感覚をイメージしてしまい、それだけでぞくっとした快感が走る。
「ん……れろっ、ちゅっ」
 少女の舌が僕のペニスをねろっと舐めた。
 まずは亀頭の表側を丹念に。
 れろれろと掃除して丁寧に舐め上げるような、じっくりとした愛撫。
 彼女の挑発的な口調とは打って変わって、まるでいたわるように優しい動きだった。
 思わず僕は声を漏らすぐらいに、気持ちいい。
「うぅっ、ん……」
 僅かにざらっとした感触はたっぷりとした唾液でぬめりと一緒に亀頭を這って行く。
 次に亀頭の裏筋をまた丁寧に、ちろちろと舐めてくる。
 亀頭の中でも特に敏感なそこを責められる快感。そこを舐められると、どんどん射精欲が高まってしまう。
 もうペニスは少女の唾液でドロドロになっていた。 
「あ、ああぁっ……」
 彼女のような幼い少女にペニスを舐められるという異様な光景が、さらに俺を興奮させる。
 そして少女はトドメと言わんばかりに、僕のペニスを口でぐいっと銜え込んだ。
「んぐっ……んむぅ♪」
 ちゅうちゅうとペニスに柔らかく吸い付くような動き。
 さらにじゅぽっ、じゅぽっといういやらしい水音まで立てて、少女は美味そうに俺のペニスをほおばっている。
 口内ではさらにチロチロと舌がうごめいて、舐るようにペニスを気持ちよくさせてくる。
「んん……ほうは、ひもひいいか?」
「あ、うぅ……!」
 話すたびにもごもごと動く口が、さらにペニスを刺激する。
 少女が呻いた瞬間、敏感な裏筋を舌がれろっと擦り、その刺激で俺は射精してしまう。
「あ、あぁぁ……」
 びゅく、びゅくんっ。
 少女の温い口内にどろり、と濃い精液を発射する快感。
 それは耐え難い気持ちよさで、腰が抜けてしまうかと思った。
「んんっ……♪」
 さらに少女はぬぽっ、ぬぽっとペニスを口内で扱きあげてきて、たまらず俺はのけぞってしまう。
 幼い一つ目の少女に一方的に射精させられるのは、少しの屈辱と言いようのない快感を生んだ。
「ん、んぐっ……ぷはぁっ。
 んふふ……オマエの精液、ナカナカ美味いじゃないか。
 ソーローのわりにはずいぶん楽しめそうだよ……へへっ」
 そう言いながら少女は、ベッドに寝転んだままの俺の身体にまたがってくる。
 少女の股間は黒いゲルがどろっとした透明の液体で流れ落ち、もうどろどろになっていた。
 今からあの、妖しくぬめる肉壺にペニスが飲み込まれるのだ――。
 そう思うと、さっき射精したばかりなのにまたペニスは大きく勃起し始める。 

「さあ……オマエの、た、食べてやるからなっ……」
 くちゅり。
 猛ったペニスに、湿った股間の割れ目が押し当てられる。
 少し触れただけでもそこは熱く、ぬるりとしていた。
「あ、んぅ、うぅぅっ……!」
 少女が大きく呻く。
 それと共に、にゅるり、ぐにゅりと膣内にペニスが飲み込まれていく。
 俺も同じ声でしか答えられないくらいに、その肉壺は心地が良かった。
「お、大きいっ……、アタシのなか、いっぱいになってるぅ……」
 やわらかい肉壁がぎゅっと締め付けてくる。
 熱くでぬるぬるで、とにかく軟くて――気持ちがいい。
「んっ……動く、ぞ……」
 少女が腰を上げ、俺のペニスをくちゅっ、と水音を立てながら抜いていく。
 なおも肉壁はきゅっとペニスを包み込んで、離したくないと言わんばかりに締め付けてくる。
 膣肉はぬるっと滑りながら、ペニスの先端まで抜けていって――
「んうぅっ! あはぁっ」
「あ、あぁぁぁ……」
 また腰を沈めてくる。
 ずぶっ、にゅぶぶっ。
 狭い肉壺に亀頭がめり込んでいくその感触がたまらない。
 挿れる快感、締め付けられる快感を交互に味わいながら、俺はその下で喘ぐ。
 少女はとろんとした目つきのまま、俺の上で淫らに腰を振り続けている。
「んっ! んぅっ、あはぁっ、お、おちんちん、美味しい、よぉっ……」
 再び少女は腰を上げ、また快楽のピストンを繰り返す。
 腰を浮かしてぐにゅっ、とペニスを引き抜いては、腰を落としてずぶり、と膣を沈みこませる。
 亀頭を揉みつぶすように、ぬめった膣内を擦られる感触。
 そしてその動きはどんどん早くなっていく――。
「あっ!んっ! んふぅっ、んぐっ、ああんっ……♪
 お、おまんこ、きもちいいっ……おちんちん入れたばっかなのに、いっちゃいそうだよぉ……!」
 にゅっ、ずぶっ、ぬちゅっ。 ぐちゅっ、にちゅっ!
 動きが早くなり、ペニスにはどんどん甘い刺激が伝わる。
 さらに少女の膣肉がうねうねと蠢きだした。
 ヒダが擦れながら、ぎゅっと締め付けるように巻き付いてくる。
 その刺激にもう俺は耐え切れず、
「で、出るっ……」
「だ、出してっ……オマエの、せいえきっ、欲しいよぉ……! 孕むぐらい、たくさんっ……!」
 その言葉に呼応するかのように、俺はあっけなく限界を迎えた。 
「うう、うぅ、あぁぁっ!
「んはぁっ♪ お、おちんちん、脈打ってるっ……アタシのなかに、いっぱい、出てるぅ……っ♪」
 狭い膣内にびゅくん、と精液がほとばしる。
 脈動しながら溢れ出る精液を、貪欲に少女の肉壺は受け止めた。
「あぁ……あはぁっ。きもち、イイ、よぉっ……♪」
 呻くような声を上げながら、一つ目の少女は俺の方へどさりと倒れ込んできた。
 どうやら体力を使ってしまったらしい、びくびくと身体が震えている。
 俺も快楽に体力を奪われ、そのまま心地よい余韻に体を任せていた。









「ほ……ホントいうとアタシは、”店員”じゃねーんだからな。
 今回やってやったのはその、サービスってゆーか、オマエが可哀そうだからっていうか……。
 だ、だから……次はねえからな、この店では! 
 俺が余韻に浸っていたその時、少女は突然立ち上がってそう言った。
「え?」
「あ、あたしは、この店のオーナーとちょっと話があるから……じゃあなっ」
 そしてそのまま宙を舞って、急いで出ていってしまう。
 俺の身体には、名残惜しい彼女の体温が残ったままだった。
 呆然としながら、俺はシャワーを浴びて服を着直しはじめる。
「……次はない、か」
 「店員ではない」のだから、きっと彼女の奉仕はこれ一回なのだろう。
 そう考えると泣きそうなほど切ない。まだ足りない。
 どうしてだろう。
 どうしてかは分からないけれど、泣いてしまいたい。
 いっそ泣いてしまおうかと思っていると、

「ほら、行くぞっ」

 部屋の扉を開けたそこに、一つ目の少女が立っていた。
「あ、あれ? でも……」
「何言ってんだ!ほら、いいからオマエの家に連れてけ!早く!」
「いやでも、店のことは」
「それは話を付けてきたって――ほら! 見られたら恥ずいんだっての!」
 どういうことか分からないまま、俺はそのままうろたえながら店を後にする。
 一つ目の彼女と一緒に。




 店を出ようとする途中、バーテンをやっていた黒髪の少女がひとことだけ呟いたのが俺に聞こえた。
 「お幸せに」と。


がんばって書きました。特にエロ描写はがんばってみたので、えろかったら幸いです。
次作(ほかのまもむす編)は……リクエストにもしかしたら答えられる……かも?
…期待しないでお待ちください。

15/05/07 19:12 はまちずし

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