読切小説
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狭間の何でも屋
「あ〜・・・今何時だ?」
いつものように目覚め、いつものように目覚ましをみてから仕事着に着替える
「うわ、今日もいいことなさそうだな」
窓から見える空をみてやはりいつも通りだと実感する
「まぁなんとかなるだろう」
ここに店をだして既に半年、多少のことでは驚くこともなくなったな
外にかけてある板をcloseからopenにして客が来るのを待つ、ただそれだけだ
『カランカラン』
「いらっしゃい」
早速客がきたようだが・・・どこだ?
「あ、あの・・」
声は聞こえど姿なしって下か
「いらっしゃい、何か依頼ごとでしょうか?」
本日最初の客はドッペルゲンガーか
「ヒッ・・あ、ああ、あの」
「そんなにおびえなくていいですよ」と言ってもこの顔じゃなぁ
「はっはい・・・その・・・」
ビクビクしながら一生懸命に俺に何かを伝えようとしてる
しばらく待つか
「あの!私無羽っていいます!ここで働かせてください!」
「あ・・・はい?」
働かせて?ドッペルもとい無羽ちゃんは何を言っているんだ?
「えっと・・無羽ちゃん?働くってここでかい?」
「はっはい!お願いします!」
どうしたものか、彼女はやる気だが、正直ここはそんなにいい場所ではないんだがな
「あー、その意欲はうれしいが・・・あいにく人手は足りてるんだよな」
「え・・・?うそ?」
うそ言ってどうするよ・・・てか何でそんなに驚いてるの?
「わっわたしちゃんと見ましたよ!狭間の何でも屋、人手募集って」
「あ・・・それってどこの街で見たのかな?」
「どこって・・・グレンですけど」
わーい、やっちまったよ。このこ、グレンってあの大都市じゃねぇか
「ククク・・・アハハハハハ」
「なっなんで笑うんですか!?ちょっと」
「いやいや・・・ごめん、いまどきこんな間違いする子がいるなんてな」
「間違い?」
「そう、君が見た狭間の何でも屋はきっとグレンにある店のことだろうな」
「え?」
「だから、本来人手募集をかけていたのはそっちであって、ここじゃないんだよ」
ぽかーんと口をあけてアホ面の無羽ちゃんを見ながら説明してると
『カランカラン』
「いらっしゃい・・・ってスウか」
「・・・(やっほ)」
「それで今日は何のようだ?」
「・・・(お水頂戴)」
「水か・・・この前のやつはもうないのか?」
「・・・・・(とられちゃった)」
「お気の毒・・・ほら、これでいいんだろ」
「・・・(ん、ありがと)」
チャリンチャリンと対価をテーブルの上においてスウは水を飲み始める
「あんまりここで飲むなよ」
「・・・(わかってる)」
そんなに水が旨いのか勢いが落ちることなくスウはいまだに水を飲み続けてる
「・・・ぷは」
「相変わらずよく飲むな・・・そんなに旨いか?」
「うん、美味しいよ?アレスにはこのよさがわからないんだっけ?」
「へいへい、どうせ俺は水の味なんてわからないよ・・・」
「もう・・・そんな事言ってないじゃない・・・ところでさ」
「なんだ?」
「あの子ほっといていいの?」
「いいんじゃないか?そのうち戻ってくるだろ」
「まぁ・・・アレスがいいなら・・・おかわり!」
「もおねぇよ」
「えー・・・もっとほしいなぁ」
『カランカラン』
「いらっしゃ・・・ああ、お前か」
「お前じゃないよ・・・キュウビーだよ!?ってはい」
「おお、相変わらずいい腕してるな」
「そうでしょそうでしょ・・・だからさ・・・キュウビーにご褒美頂戴」
「ご褒美?」
「うん・・・アレスの・・・・せい「まった」えー」
「いいじゃんヘルモンじゃないし・・・」
「最初の契約に書いてあったろ、契約中は性行為は無しって」
「でもさぁ・・・こんないい男が目の前にいるんだよ〜・・・ソレなのにお預けはないよ〜」
「消し炭になるか、言うことを聞いて生き残るか・・・どっちがお好みだ?」
「うぅ・・・言うこと聞きます・・・でっでも!アレスはキュウビーが貰うんだからね!」
「いってろ『カランカラン』いらっしゃ・・・あー」
「邪魔するぞ・・・・ん?」
「げ」
「おい、アレス・・・なんで店の中にこいつがいるんだ?」
「何でって取引先だからな」
「てか何であんたがくるのよ・・・」
「それはこっちのセリフだ・・・それよりアレス、私に向いてる仕事はないか?」
「それよりって何よ!?ホーネットのくせに生意気」
「うるさいぞ!低脳のビーは黙ってろ」
「言ったなぁ!絶対許さない!」
「ほほう?私とやる気か・・・ふん、身の程しらずが」
『ドンッ!』
((ビクッ!))
「これ以上暴れるってなら取引も紹介も無だ、さっさと出て行け」
「あ、アレス・・・怒らないで・・・キュウビー言うこと聞くから・・・」
「アレス、機嫌直してくれ・・・な?」
「あはは〜、レイったらアレスにビクビクしちゃって〜かわいい」
「うっうるさいぞ・・・スウ」
「図星言われて怒ってる〜助けて〜アレス〜」
「あんまりからかうなよ、スウ。レイ、今頼めるのはコレくらいだ」
「ん・・・いつもすまない」
「そう思ってるなら喧嘩しないでくれないか?」
「ぜッ善処する・・・」
イソイソとホーネットのレイが奥の部屋に篭って
スライムのスウとハニービーのキュウビーが雑談してると
『カランカラン』
「いらっしゃい」
「こんにちわ・・・あの・・・アレスさんお届け物です」
宅配業者のハーピーが小包を運んできた
「いつもながら仕事が速いな、キュア」
「えへへへ・・・なでてなでて」
キュアをなでた後小包を開けてみると・・・・
「剣か・・・ってことは・・・やっぱり」
「はい、依頼主はキュリアさんとユイさんですね」
「あの三バカが・・・」
「三バカ?あれ?依頼主は二人って」
「キュリアとユイとサフランで三バカだ」
「ほへ〜」
「まぁいい・・・支払いはいつもの方法でいいな?」
「はい〜・・・うーん(チュッ)えへへ・・・毎度!」
キュアに報酬のキスをして見送ってたら・・・・視線が・・・
「アレス・・・キュウビーにはしてくれないのかな!?」
「キュアさんばかりずるいなぁ〜」
「あっアレス・・・私にも・・・・」
後ろに顔を膨らませてるスウとキュウビーとレイが・・・
「俺がしたくなったらな・・・それまではないな」
「「「ずるい!」」」
「無羽ちゃん、いい加減に戻って来い!『ゴンッ』」
「いったぁぁぁい!!はれ?」
「お帰り」
「たっただいまです!アレスさん」
12/01/07 02:22更新 / 護衛

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護衛

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