読切小説
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時代の推移
チュンチュン。

「んん!………朝か。」

小鳥の囀りで起きるなんて、良い朝だな。時間は六時前ほどで、全国の学生からすればまだまだゆっくり微睡む時間だろう。いや、ぐっすり眠っているかな?


まあ。ともかく、そんな時間帯でもやはり世界は目まぐるしく動いている。しかし消費税増税とかくらいなものしか自分に直接関与しないと思っていた。



「おはよう。父さん、母さん。」

「おはよう。」

「あら?おはよう。今日は少し早いのね?」

「うん。でも、鍛錬の終わりはいつも通りだから。」

「分かったわよ。」

「怪我はしないようにな。」

父さんには頷いてみせ、外に出ようとするとあるニュースに目がとまった。

『えー続いてのニュースです。三日前の午後2時50分頃、世界中に発生した謎の亀裂ですが、未だ詳細が判明せず、詳しい事は分かっておりません。』

「これ、まだ消えないんだ?」

「ん?ああ、そうみたいだな。」

「でも怖いわよね〜。高エネルギー体だかなんだか分からないけど、早く解明して安全だって証明して欲しいわ。」

解明できるとは思ってないだろうが、期待したいのも分かる。何せ、熱源やらなんやらの人類がもてる観測機全てを持ってしても映像に映るくらいで、全く役に立たなかった挙句、戦闘機が近付けば乱気流の中にいるかのような凄まじい力場の力でコントロールを失うなど、意味の分からないものがこのまま理解不能では済まされない。
学者達は新エネルギーだなんだのと騒ぎ、宗教の方々は世界の破滅だの何とかの降臨の前兆だのと、オカルトの奴らとあんまり言ってることは変わらないがこれまた騒いでいる。
仮説や憶測で話を終わらせるのは楽だが、それでいいかと言われればNOだろう。結局それでは何の解決にもならないからだ。全く、21世紀にもなって仮説はともかく憶測でモノを述べるなどナンセンスだ。

「だからと言って何が出来るでもないけどな。」

「?……何か言ったか?」

「何も言ってないよ。」


ーーーーーーーー


今日も普段通りの朝を過ごし、現在昼休み。友人達と食事をしつつ話に花を咲かせる。まあ、ヤローの話に花なんてないが。
最近では、謎の亀裂に関する話題が持ちきりで今もそうだ。
仕方ないと思う。何せ世界で最も亀裂が発生しているのは日本なのだから。世界的に数を見ればEUに何個か発生してるくらいのレベルなのに、日本には都道府県に一つずつ存在するのだ。
だから、仕方ないのだ。そう思いながら同じような内容の話に飽き飽きしつつ耳を傾けていると放送がかかった。


《ピンポーン》

『ぜ、全校生徒にお知らせします。今すぐテレビをつけて下さい。映るならチャンネルは何でもいいです。とにかくつけて下さい。繰り返します………』


即席だと判断できる放送を聴くと、ガヤガヤとうるさかった教室が静まり、委員長がテレビをつけると、そこには徐々に開いていく亀裂があった。
再び騒がしくなる教室。世界は滅びるんじゃないか?なんて声も聞こえるようになるくらい周りは緊迫していた。しかし、やはりというか当たり前だが時は過ぎるものでその経過とともにいつしか謎の亀裂は黒い円になったのだった。

事態が進展するのは五時間目のチャイムがなった頃、カメラマンが黒い円の中に何かが見えるといったのだ。少しするとテレビを見ている自分たちにも確認出来るようになっていく。
『何だ?………あれ。』
誰が言ったのかは分からない。しかし、間違いないのは人類にとって非現実の存在が現実のものとなったということだった。


ーーーーーーーー


ここからは激動の数ヶ月だった。世界各国はいきなり現れた魔物娘に敵対行動を取り、そこから魔物娘は帰って、黒い円は日本以外は塞がってしまう。宗教とは厄介なものだ。だが、日本はそれと真逆の行動を取らざるをえなくなる。
話としては単純である。
日本は条約によって、攻撃されなければ攻撃できないため、様子見くらいしか出来なかったのだが、魔物娘たちが好意的な態度を取ったため、日本には攻撃する大義名分が無くなってしまい、更にその好意的な行動で命を救ってもらった者まで出てきたために、日本は一気に魔物娘を歓迎するムードになり、政府もそのようにするしかなかった。
ちなみに、その日の2⚪︎ャンネ⚪︎とかは湧いたとも、それこそ【至高の萌えはここにあり!】とか【日本の空に走るこの亀裂すらもが愛おしい。】とかそんな迷言がでるくらいには。


まあ、そんなことしてたら各国が黙ってないよね。
各国は日本との貿易等を停止、そしてこれ以上魔物娘と仲良くしてると攻撃するよとまで言ってきた。そこから追い打ちをかけられ条約を破棄されたりと日本オワタ状態である。
しかし魔物娘も黙っていなかった。
日本にいる敵対思考をもつ外国人は本国へ転移で強制的にお帰り頂き、サバトなどの魔術の陣営と日本の科学技術の陣営が手を結び、文明の進化をもたらしたのだ。これにより、外国の敵対行動に余裕で対応できた。
まさに、リアル科学と魔術が交差する時であった。
それで外国も打つ手無しで条約を締結。現在は微妙な状態だ。

「それも魔物娘がそのうち何とかするだろうけどな。」

あれから俺の生活も大きく変わった。
あの日に雪女の嫁ができて、学校の授業も普通の授業と追加で魔術の授業をするようになったし、それに魔物娘公式サイトのチャットをやり始めたのだ。

ロリ系魔物娘と付き合い始めた友人の対処法スレ

【友人がバフォ様と付き合い始めて周りにサバトの勧誘してくる。どうしよう。】

【あー、あるある。】

【嫁にロリにならないか?って言ってた。いい加減諦めて欲しい。】

など結構みじかでしかも為になるスレが多いので、毎日入室している。朝だがな。
何せ夜は早くから嫁とイチャイチャし始めるからだ。だから皆、朝早くに嫁とこれを見ているのだろう。かくいう俺も昨夜の行為でまだ暖かい嫁の体に抱かれながら画面を見ている。
しかし、魔物娘と見ている為に寝落ちならぬ、フェ⚪︎落ちやズリ落ち、ヤリ落ちなどの発生が確認されている。少し前までは考えられないことだ。

「そろそろ起きて、学校の支度をしないといけないわよ。」

「ん。分かった。」

ふむ、嫁の催促に起き上がるとリビングに移動するが、両親はまだ来てなかった。どうせ、朝からヤリまくってるのだろう。刑部狸たちが経営の実権を握ってからは、刑部狸様々だな!とか言ってこの調子だ。悪いとは言わないがせめてもう少し自重して欲しい。

「今から作るから少し待っててね。」

「ん。」

そういうと台所へ行ってエプロンを着て朝食を作り始めた。これが妖狐とかだったら裸エプロンなんだろうな。だが、毎日裸エプロンというのはいけないと思う。こう、恥ずかしがりながら旦那様に頼まれては………ってモジモジするの見たい。

「出来ましたよ。どうしかしたの?」

「いや、何でもない。」




……………今度頼んでみよう。


ーーーーーーーー



結局、登校する前の時間になっても両親はリビングへ来なかった。いつまでヤってんだが。両親がいないと食事中にニコニコしながら、ずっとこっちを見てくるから落ち着かないんだよなぁ………嬉しいが気恥ずかしくていけない。

登校していると魔物娘と人間の男がイチャイチャしてるのが目に付く。アリスと手を繋ぎ歩く姿、白蛇に全身絡まれてる男、ケンタウロスの背に乗って焦らしている男。俺も嫁と腕をくんで歩いているが、周りの奴らは皆自由過ぎだろ。警察仕事しろ。あ、警官もイチャついてる………ホント、世の中変わったよ。


ーーーーーーーー


学校に着くと嫁が熱の篭った視線を向けてくる。(普段からそうだけどより一層ってことね。)ええ、勿論このあと学校の休憩所に行きました。朝ヤってなかったからなぁ。
授業には三時限目から参加です。

授業も終わって昼休み。食事を始めようとするが、その前に嫁に抱きしめられてしまう。どうやら今日もあ〜んからは逃れられないらしい。まあ、正直嫁の体の感触と臭い、優しい言葉と眼差しは最高だよ。でも、恥ずかしいしな。
午後の授業は、羞恥心をいかにしてなくすか考えていたが友人からアドバイスを頂いた。曰く、そんなのが気にならないくらいヤバイプレイをしてしまえばいいのだと。自分に素直になれよと。
そのためにとサバト印の自分の性癖に素直になれるらしい薬を貰った。(-_-)

放課後はデート兼買い物だ。喫茶店によってゆっくりした後、夕飯の買い物を済ませてしまう。だが帰り道で魚屋の店主に良いものがあると言われて寄ってみると

「見たところ今日はカレーだろ?ほれ、クラーケンのイカスミだ。こいつでブラックカレーにしちまいな。コクがあって美味いよ。嬢ちゃんの方には言わないからさ。」

なるほど、魔物娘は基本他の魔物の乳とかも口に入れて欲しく無いらしいからな。だけど作ってしまえば食うしかなくなるから、バレないようにあっちは奥さんが引き止めているのか。ここまでしてもらって無下にするのもな。
店主に礼を言って、嫁と他愛の無い話をして帰った。しかし、ブラックカレーにしたのがそもそもの間違いだった。

「それ………何なのかしら?ねぇ、答えて。」

髪は揺らぎ、目は虚ろ、ヤンデレですね分かります。

「言わなかったのは悪かったと思っている。だけど食べてみたかったんだ。許してくれ。」

「いえ、私も怒りたい訳ではないのよ。ただ、私が許さないと思っていたの?聞きもしないでそんなことをするのが腹立たしいの。」

「いや、お前そんなこと言ってるけど、この間ホルスタウロスの牛乳貰って飲んでいいか聞いたら、コンマ一秒でダメって言ったしな。」

「当たり前でしょう?あなたの体に他の薄汚い雌共の体液を入れるわけないじゃないの。」

もう言ってる事がメチャクチャだ。このままでは風呂前の鍛錬の時間が潰れるどころか食事まで逃してしまう。ええい!仕方ない!サバト印のこの薬でなるようになるさ!



ーーーーーーーー



自暴自棄とはいけないな。ああ、そうだとも。今回の件で痛感したよ。嫁はすごい嬉しそうにしてるけど、てか、本当に魔物娘って相手の望みに応じて体が変化するんだな。その望みの産物があれとは……俺も末期の変態だな。ハハ
それにしてもかなり大きくなったよなぁ。ホルスタウロス級だぞ。あれ?何か寒気が。

「人間の男性って抱き合ってる時にもそんなこと考えるのかしら?」

「え?」

「ごめんなさいね。私、今精神的に不安定な状態だから他の雌の事と比べられたくないのよ。」

「今ので分かるのか!?」

「ええ、魔物娘って伴侶の性的な視線には凄く敏感よ。その意味も大雑把だけど分かるくらいにはね。さて、お仕置きよ。」



ーーーーーーーー


「まあ、お前もいつかそうなると思ってたよ。」

後日、俺は嫁と片時も離れられない体となり、伴侶と離れられない魔物娘のクラスで共に授業を受けている。にしても、魔物娘優秀過ぎだろ。魔科学とか、こんなに専門知識が必要だったなんて。
まあ、嫁の教科書見せてもらっただけで、インキュバスや人間の男は今まで通りの内容をやってるだけだが。あと友人よ、話し掛けるのは授業が終わってからにしろ。メデューサの先生がお前の事睨んでるぞ。あ、石化した。
まあ、実際こうなるのは時間の問題だったらしい。雪女は伴侶が離れているのを極度に嫌がるため、寧ろ今までよくもった方だと言われた。
嫁に我慢させてたのは自分に不甲斐なさを感じたが、思い詰めても嫁は喜ばないため反動の大きい放置プレイと考えることにし、この常時イチャイチャラブラブ性活を楽しむことにした。
今日も良い日だ。
14/06/14 09:02更新 / 縷々流

■作者メッセージ
初めまして。縷々流です。
今回は久しぶりの小説ということもあり、少なめかつネタ投下しただけのssでした。
描写が少なく、名前が出てこないのは皆さんの妄想力を存分に使って頂きたいと思ったからです。
決して手抜きではありません。
あと、これから書いていくことになる私のssの設定のため最初はあんな感じになりました。
では、またの機会に。

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