読切小説
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続く今日と世界
 茜色の太陽が沈みかけ、夜の訪れを告げる宵闇に取って代わろうとする時間帯を、一人の少年が学校からの帰り道についている。
 中嶋理人(なかじま りひと)。それが少年の名であった。
 目の前の道路を渡れば、自宅であるマンションはすぐだ。特に急ぐ理由も無く、横断歩道の赤信号が青に変わるのを理人は待っていた。
 辺りには会社帰りのビジネスマンや、手を繋ぎながら帰り道を行く親子が歩いている。幾度となく見てきた日常の風景であった。
 ふとしていると、理人の視界に一人の女性が飛び込んできた。向こう側の歩道を一人で歩く姿に、理人の目は釘付けになった。
 上は白のレディスシャツ、下は黒のスカート。肩にはビジネスバックを掛けている。堅実な装いだが目を引く。というのも体のラインがはっきりとしているのだ。
 しなやかでありながら貧そうでないのは、女性が持つ丸みと豊満さが富んでいるからだ。
それを象徴するのが胸のふくらみ。シャツの上からでもはっきりと分かる豊かさを主張していた。シンプルな白のシャツを着ているせいか、バストがより強調されている。
スカートから覗く脚はほっそりとしていて、ストッキングを穿いていた。目や鼻筋も整っていて、文句のつけようのない美人だった。
女性と理人の視線が一瞬だけ交差したとき、ウインクが返ってきた。
どぎまぎしているうちに、女性はビジネスバッグを揺らしながら歩き去っていった。理人と同じマンションの方へと。
後姿を見送ってようやく落ち着きを取り戻したとき、頭の中である疑問が浮かんできた。
(あの人もそうなのかな?)
 思考は続かなかった。先程まで赤だった信号が青を通りこして点滅し始めている。変わらないうちに理人は横断歩道を渡った。



 五階にある部屋の前に立ち鍵穴にキイを差し込んだとき、理人はあることに気づいた。
 ゆっくりと鍵を戻し、ドアノブを握り、扉を引く。施錠されているはずのドアが微かな軋みを響かせながら開いていく。
 目の前には廊下とリビングを隔てるガラス戸。磨りガラスから漏れる光が薄暗いはずの廊下を照らしている。蛍光灯の光だ。
(もしかして・・・)
 靴を脱いで廊下を進み、戸を空けリビングへと入った理人の目に飛び込んできたのは、登校前と寸分違わぬ光景であった。テレビやソファ、リビングテーブルの上に置かれたテレビのリモコン、雑誌などがそのままの形で放置されていた。何一つ変わっていない。点いているはずのない明かりが灯っているのを除けば。
 空き巣の類ではない。あれは押し入ったことを住人に悟られないよう、痕跡を最小限に留める。電気をつけたまま鍵を戻さない空き巣などいるとは思えない。
 大抵の人間ならば気味悪がり、警察に通報するなりなんらかの行動にでるが、理人はその場に立ち尽くし、声を上げた。
「利奈(りな)姉さん、いるんでしょ」
 そう言った途端、背後に気配を感じて振り返った途端、顔全体に柔らかな感触が伝わってきた。
「おかえり。理人」
 ただいま、とは言えなかった。言おうにも口が塞がって返事ができないのだ。おまけに理人の頭はしっかりと押さえられている。
「む・・ぐ・・・」
「んふふ。どうしたの?」
彼女の名は赤樹利奈(あかぎ りな)。隣の部屋に住む年上の幼馴染だ。彼女はこうして気安く中島家に出入りしては理人に過激なスキンシップをしかけて楽しむのだ。自分の胸に顔を押し付けるようなスキンシップを。
「ぷはっ」
 なんとか呼吸できる空間を確保し、上目づかいに利奈の顔を見やる。凛とした眼差しに、悪戯っぽい光が宿っている。
「姉さん、お願いだから普通に入ってきてよ」
「あらん。こんな綺麗なお姉さんが疲れを癒してあげてるのに、理人ったら不満なの?」
「そうじゃなくて・・・ともかく、放してよ」
 なんとか谷間から解放されて、改めて利奈と向き合う。
 なめらかな質感を保った髪が背まで伸びており、みじろぎすればさらさらと音をたてて流れていきそうだ。
身に着けているのは黒のチューブトップで、白い肌に似合っていた。穿いているショートパンツは大胆にカットされていて、長い脚が腿の半ば辺りまで露出している。
 ウエストは細くくびれ、首筋や肩のラインからはひ弱さは微塵も感じられない。誰に問うても美人という返答が返ってくる容姿だ。目のやり場に困る服装ではあるが。
「ちょっと理人」
「な、なに?」
「なに、じゃないわよ。ちゃんと言うことがあるでしょ」
 腰に両手を当てながら前かがみになる利奈は少し怒った顔をしている。一方、理人の目は泳いでいた。彼女の胸元で揺れる二つの膨らみが原因だが、なんとか自分を落ち着かせてから考えて、言うべき言葉を発した。
「・・・ただいま」
 そう言うと利奈はにっこりと笑い、返事をした。
「おかえり」
 ほころぶような笑顔にしばし見惚れる理人だが、正気に戻って利奈に切り出した。
「姉さん、僕の家に入るのはいいけど普通に待っててよ。この前だって――」
 言葉は続かなかった。『この前』の光景が頭の中に蘇り、理人は赤面した。加えて、そんな理人の狼狽を見逃さなかった利奈が確信犯的な笑みを浮かべたからだ。
「この前? この前がどうしたの?」
 利奈が近づいてくる。彼女の動作はしなやかな豹を連想させるほど優美であった。理人はいつの間にか、壁際に追い詰められてしまった。
「そ、それは・・・」
「もしかして――」
 お互いの息がかかるほどの距離。利奈の艶やかな唇が言葉を紡ぎだそうと開かれ――
「き、着替えてくるよ! 夕飯を作るから待ってて!」
 雰囲気に呑まれてしまいそうなところで、理人は自分の部屋へと駆け出した。



「はー」
 理人はベッドの上で大の字になりながら、家に帰るまでのことを思い出した。
 どこにでもある日常。ウインクをした女性。開いていた我が家。利奈。そして、あの時のこと――
(いやいやいや。そうじゃないだろ)
 利奈に訊きたいことがあったが結局、言い出せなかった。詰め寄られたときの空気を引きずってしまった挙句、夕食の際は彼女のペースに乗せられてしまったからだ。
(でも、楽しかった)
 幸いにも利奈はさっきまでの出来事など忘れてしまったように話し掛けてくる。利奈のペースといっても実際はただの会話だった。学校であったことや友達のこと。学校が終わった後は寄り道をしたなどを、お互いに話す他愛のないやりとりであったが、とても弾んだひと時。
(姉さんも・・・なんだよなぁ)
理人がぼんやりと考え事をしているときだった。
「理人。入るわよー」
 ノックもせずにドアを開け利奈が顔を出す。その姿に理人はひどく慌てて、思わず飛び起きた。
「ね、姉さん!! なんか着てよ!!」
「いいじゃない、減るもんじゃないし」
 利奈はバスタオルを身体に一枚巻いただけの格好だった。入浴の後らしく肌はうっすらと赤みをおび、髪の毛は濡羽のように水気を含んでいる。
「ドライヤー借りるわよ。まだ乾かしてないから」
 これもまた返事を待たず、背を向けて髪を乾かし始める。部屋中にシャンプーの甘い匂いが充満し、理人はすっかり落ち着かなくなった。自分の部屋だというのに身の置き所を失ってしまい、もう一度ベッドに横になるがすぐに起き上がってしまう。
「ねえ理人、この部屋暑くない?」
「そ、そうだね。窓、開けようか」
 じっとしているのが耐えられなくて理人は窓へと寄るが、利奈が立ちはだかって叶わなかった。
「そんなことしなくても、こうすればいいと思わない?」
 利奈の手がバスタオルに掛かる。合わせ目が解け、両手を左右に広げれば全てがさらけ出される。利奈は理人へと歩み寄り、逆に理人は後ろへと下がるがベッドに座り込む破目になる。
「姉さん、ちょっとまっ――」
 バスタオルが勢いよく広がり、理人は息を呑むが――
「ふふっ! びっくりした?」
 利奈は黒いビキニの水着を着ていた。その場でターンを決めて、片手を腰に当てながら軽く突き出す姿はモデルを彷彿させる。
「もうすぐ夏じゃない。だから買ったの。どう? 似合う?」
 これには反論など無い。実際、似合っていたのだから。利奈には黒という色がとても合うと理人は思っている。だが理人は複雑だった。それが顔に出てしまったのを利奈は見逃さなかった。
「な〜に? なんか不満でもあるの?」
「・・・」
 理人は何も言わず、利奈の容姿をまじまじと見る。
目の前にいる年上の幼馴染が整った顔立ちと抜群のプロポーションの持ち主であることを理人は肌身で知っている。こうして水着に着替えたことで、それを改めて確認した。黒い布地は従来のビキニと比べて少なく、逆に利奈の肢体の素晴らしさを強調することになった。そんな彼女が人前に出ればどうなるか、理人には分かっていた。十中八九、異性からの注目の的となる。
「もしかして、私が他の人に見られるのが嫌とか思ってるの?」
 心臓が跳ね上がるのを感じ、視線が定まらない。理人の様子とは裏腹に、利奈は嬉しげだった。
 これでは是と認めているものだ。おまけに本心が口から出てくるのを止められなかった。
「姉さんが注目されるのが嫌なんだ」
そう言った理人の耳が、何かが開くような音を拾った。大きな羽を勢いよくはためかせるような音を。
音の正体を確かめることはできなかった。何故なら理人の顔は、再び利奈の手で胸の谷間へと埋められてしまったからだ。
「大丈夫よ。私が理人以外の男を見るなんてあり得ないもの」
 理人は呻かなかった。利奈の確信に満ちた言葉を内に落とし込んでいる最中でもあったが、もう一つ理由が存在した。
 風呂上りの肌からはボディーソープとは別に、微かな汗の匂いがする。それは普通の女とは違う、『彼女』独特のものである。
 利奈の体臭には男を魅了し、狂わせるフェロモンが混ざっている。だから利奈は女でありながら香水の類をつけない。理人は陶然とする香りを吸い込み、どこか夢見心地な頭でそんなことを考えていた。
「でもそんな風にかんがえていたなんて。もうっ!! 理人ったら可愛いんだから!!」
 さらに強く押し付けられる理人。同時に強く香る、甘くかぐわしい体臭。体の芯から力が抜けていき、陶酔感に身を任せていたいと感じ始めた矢先のことだった。
「ねぇ、理人――」
 不意に頭が外され、理人はベッドに押し倒されてしまった。そこで利奈の全貌を見た。
 白い肌と女らしさにあふれたプロポーションに黒いビキニ。異性を問わず惹きつけて放さない美貌の持ち主の背に広げられる蝙蝠に似た一対の黒い翼。尻の辺りから同色のなめし皮のような光沢を放つ尻尾が伸びている。
「いいよね?」
 理人は頷く。
赤樹利奈の本当の姿。
それは古来より人を惑わす存在。男の精を命の糧とする淫魔――サキュバスであった。

 

「理人・・・」
 利奈が人差し指を理人の唇に当て、下方へと這わせる。あごのラインをなぞったかと思えば、首筋を繊細な指使いで触れる。なでられた箇所が心地よくもくすぐったい。
 やがて利奈の指が自らの唇を示すかのように止まる。それだけで理人は利奈が望んでいることを察し、おとがいを上げる。利奈が嬉しげに唇を重ねてくる。
「はふ・・・んんっ・・・」
「む・・・」
 しばし柔らかいキスを堪能するが物足りなくなってきたのか、互いの口内に舌を入れて絡めあう。
「んむ・・・ちゅっ・・・」
舌先で緩やかに口内をさぐる途中に利奈が舌を絡めてくる。それに応えるよう理人も舌を伸ばす。
舌や唾液を吸いあう音が部屋に響く。夢中になって口づけあうが、やがてどちらともなく唇を離す。名残惜しいのか二つの唇の間を唾液が糸を引き、部屋の明かりの下で銀色に輝いている。
「理人・・・さわって・・・」
 利奈が理人の手を取り、自分の乳房へと導いてく。
 柔らかさと弾力に富んだ利奈の乳房は、軽く触れただけでその重さをずしりと手に伝えてくる。同性が嫉妬してもおかしくない形とサイズ、張りを兼ね備えた見事な美豊乳だ。
「やさしく・・・やさしく・・・ね」
 理人はゆっくりと指を動かした。最初は指先だけを動かし、徐々に掌も使って肉の果実を味わっていく。
「ん・・・理人は、私のおっぱい・・・あ、ん・・・好き?」
「好き、だよ」
 そう言うとはにかみながら利奈は笑った。
「おっぱいが、大きいとね・・・んん・・・肩こりとか、酷いのよ。でも、理人が好きって言ってくれるなら・・・はぅ・・・私も自分のおっぱいが好き」
「姉さん・・・」
 いつしか理人は両手で利奈の胸を揉みしだいていた。壊れ物を扱うように、丁重にやさしく。
「あんっ」
 布地の下に手を入れて乳首にタッチする。指先で軽く弾き、転がし、摘む。コリコリとした感触は理人の興奮を高める。たまらなくなった理人は後ろから抱きつくように利奈のたわわに実なった乳房を夢中になって揉みこむ。
「はっ・・・いっ、ん、りひとぉ」
 利奈が鼻にかかった声を上げる。
 サキュバスの体はひたすら柔らかい。肢体だけでなく声や吐息でさえ男を虜にする。理人は己の耳や鼻、触覚といった感覚がじりじりと煮え立つのを感じた。
「あっ」
 理人は股間を撫で上げられ感触にぶるりと体を震わせた。
「ふふっ」
 後ろ手にまさぐってくる利奈の表情は、先程の切ないものとは打って変わって妖艶なものであった。
「脱いで・・・」
 もどかしい思いで穿いていたものを取り去ると、痛いくらいにいきり立つ怒張が空気にさらされる。利奈はそれを軽くしごきながら嬉しげに瞳を細めた。
「素敵よ。口でしてあげる」
 利奈の薄紅色の舌が先端から根元までを触れるか触れないぐらいの加減でなぞってくる。
 上から下へ、下から上へを繰り返すたびに理人の背筋にぞくぞくしたものが走る。
「んう・・・ちゅっ・・・ちゅう…・・・れるっ・・・んん・・・」
「ううっ・・・」
「ぞくぞくして気持ちいいでしょ? じゃあ、これはどう?」
 先端部をぱくりと咥えこむ。そのまま舌を絡め、敏感な鈴口を突く。その瞬間、電流を流されたように背筋が震えた。
「んん・・・ちゅちゅ・・・はふ・・・ちゅうっ・・・れるる・・・ん、あふ・・・ちゅく・・・ちゅうっ」
「はっ・・くう・・あ、くっ!!」
 上目遣いに理人を見てくる利奈の表情は色に濡れていた。二人の視線が交わったとき、利奈は妖艶に微笑んだ。
「あっ・・・!」
 利奈の動きが変わった。肉棒を咥えたまま顔を上下に振る。同時に舌を動かすのも忘れていない。理人は自分の体が快感に打ち震えるのを止められなかった。
「お口でこしこしされると、とっても気持ちいいでしょ?」
 息も絶え絶えといった状態で、理人は頷いた。利奈の口の中はしっとりと生温かく、溶けてしまいそうなほど心地よかった。
「そんなにいいんだ? それじゃあ、もっといい思いさせて、あ・げ・る」
 利奈が口淫を再開する。先程と違うのは右手の親指と人差し指で輪を作り、男茎の根元をやんわりと締め付けている所だ。だが、それだけではなかった。
 空いた左手が理人の玉袋を羽箒で掃くように刺激している。
指先で柔らかくタッピングしたかと思えば袋を優しくあやすようにいじり、掌全体で揉みこむ。
「んむっ・・・ちゅううう・・・くぅ・・・れるうっ・・・ちゅっちゅっ・・・ん、あん・・・んんっ」
 理人はじりじりとした快感に翻弄されていた。本来ならばサキュバスの淫技で果てていてもおかしくないのに。
「ねえ・・さん、もう・・」
「・・イキたい?」
 頷き、意を示すと利奈は右手を外す。舌先で鈴口を擦り、先端部を吸いながら激しく頭を振る。自分の牡槍が女の口から出入りする卑猥な光景に、理人は限界を感じた。
「でる・・あ、くうっ!!」
「むうっ、んんっ、はむっ、んんん、ちゅううう、ちゅっるう、んむうっんんんんん!!!」
 とば口から煮つめられた大量の精液が溢れ出し利奈の顔を汚した。最初の放出は目や鼻、髪にかかるが、残りはこぼすことなく口内へと放たれていく
 射精の快美感に全身を貫かれ、何一つ考えることができなかった。ただひたすら放出と吸引の悦楽に身を委ねていた。
 射精が一段落すると利奈は輸精管に残っていた精子を吸いだすと肉棒から唇を離し、口を開いてみた。
 利奈の口の中には理人の精子が溜まっていた。口を閉じて嚥下し、再び開いて見せると白濁液は一滴も残ってなかった。
「いっぱい出たね。熱くて、濃くて勢いもいいし。理人の精子、とっても美味しいわ」
 嬉しそうに答えると利奈は自分が浴び精液の残滓を指で掬い、舐め取っていく。理人はその様を苦笑しながら眺めていた。
 利奈が理人の股座に目をやる。唾液と精液の混じったものに塗れて肉棒が屹立していた。ちろりと一舐めした後、囁きかけてくる。
「理人のここ、頑張ったね。綺麗にしてあげる」
 ぺろぺろとアイスキャンディを舐めるように男茎を清めていく利奈。理人は肉欲の炎が沸きあがるのを感じた。
それを察知した利奈の瞳が欲情に濡れていく。肉棒が力を取り戻し、以前よりも硬く勃起していくのを確認する。
「まだまだいけるよね。ふふっ、こうでなくちゃ」
 利奈が胸を覆うビキニを外した。ぷるん、とまろび出る乳房に理人は手を伸ばし柔らかく愛撫する。ツンと上を向いた乳首は小憎らしいほど尖っており、乳先に刻まれた割れ目はひどく淫猥であった。
「ゆっくりやって。私も感じてきちゃう、あうん・・・」
 理人は駆り立てられていた。そんな風に感じていたときだった。
利奈が残った布を取り去って、ベッドに横になった理人にまたがり、顔の間近で女陰を広げて見せた。
「ねえ理人、ちゃんと見たことなかったよね。私のここ……さあ、今度はよく見て」
 壁が幾重にも連なったような格好をしたそれはどこか雪解けの風景を思わせ、奥へ行くほどに淡い色をしている。
「理人もここから生まれたんだよ」
「ああ・・・すごく綺麗だよ、姉さんのここ・・・」
「ふふっ、ありがと・・・」
 肉華の中心部に微かに開いた隙間から愛液がこぼれ、花弁を伝わり、内股を流れ落ちていった。
 理人はむしゃぶりつこうとしたが、利奈の掌で優しく制された。
「それもいいけど、そろそろ・・・ね?」
 頷いた理人は汗を吸った上着を剥ぎ取り、全裸になる。
 二人は生まれたままの姿になった。
 理人の肉棒はギリギリと反り返り、全体が脈動で弾んでいた。そして利奈の火照った体からは淫魔の媚香が匂い立つほど漂い、欲情した女の色気が発せられていた。
 利奈は理人の腰に跨り、立ち膝になって剛棒の先を膣口に当てた。入り口同士が擦れあう刺激に理人はしびれた。
利奈はゆっくりと体重をかけて腰を下ろしていく。亀頭部が膣壁を擦り、奥へ奥へと誘われ、押し出された愛液が幹を伝っていく。
「っあ・・姉さんっ・・」
「まだイッちゃだめ。早すぎるぞっ・・・あんっ」
 根元まで埋まると利奈は動かず、代わりに艶めいたあえぎ声を漏らす。
「んんっ、はあ・・・理人、私の中を感じてみて、ほら・・・」
 肉壁がペニスを隙間なく覆い、意思を持っているかのように蠢いていた。利奈は腰を動かしていないというのに、蜜壷は自ら蠕動し、壁のひだで理人を貪っていた。
 鈴口から幹の半ばまでがみっちりと膣壁に締めつけられ、根元の辺りは吸い付いてくるようだった。
 天井部の細かい粘膜が刺激し、裏筋の辺りはうねうねと絡みついてくる。陰唇は片時も放したくないと言わんばかりに牡槍を咥え込んでくる。
「理人の硬い、あふんっ、いいっ・・・! ごつごつしてるぅっ・・・!」
「姉さんの中、熱くて・・・気持ちいいよっ・・・!」
「まだよ、まだだめ・・・これから、もっと良くなるから・・・」
 利奈はゆっくりと腰を動かし始めた。同時に怒張が余すことなく膣壁に擦りつけられ、背筋が痙攣しそうな快感が走る。
 腰をくねらせ、髪を躍らせるたびにはちきれそうな利奈の乳房が揺れる。
「ぞくぞくしちゃう・・・ああっ、ふ、ん・・・いい、んうんっ・・・あんっ!」
 勃起した乳首を口に含み甘噛みすると膣がきゅっ、と締まる。理人は短い声をあげた
「ううっ!」
「ふふ、そんな簡単にはイかせないわよ・・・私の中をじっくり、たっぷり、味わって・・・あんんっ!」
 律動に合わせて理人は腰を突き上げる。利奈の熱っぽい吐息が耳をくすぐる。
「あっ、あんっ・・・あんんっ・・・あふぅっ、理人、りひとぉ・・・はあっああ!」
 行為に没頭していると利奈が時折、悪戯のように唇を重ねてくる。
理人は誘われるように胎内を掻き回し、利奈は前後に動いて理人を迎える。千変万化する快感に二人が溺れていたときだった。
「あっ!?」
 理人は陰茎が何かに突き当たる感触に目を見開いた。接触した瞬間に感じた稲妻のような喜悦。
 もう一度、奥を突く。再び走る快感はすさまじく、理人は目が眩みそうだった。 
「い、今のは・・・」
 利奈は何も言わず、色と欲情に染まった表情で理人に微笑む。それまでとは違う、どこか忍ぶような動きで腰を下ろしていく利奈。
 最奥に肉棒が到達した瞬間、理人は亀頭が吸われるのを感じた。
「姉さんっ・・・!?」
「これがサキュバスの子宮よ・・・気持ちいいでしょう?」
 先端と子宮が密着した状態で利奈は上下ではなく、臼を挽くように腰を回す。そのたびに脳裏で火花が散る。
 性器と性器の淫らな結合。
子宮口が敏感な鈴口にキスをするたびに先走りが吸い取られ、腰が蕩けそうになる。利奈は今、女性器の全てを駆使して理人を味わっていた。
「ねっ、姉さん・・・もう、我慢できないよっ・・・」
 乳房を揉みしだくと膣壁が強く締めつけ、貪欲にうねり始める。それを敏感に感じ取った利奈は牡槍を扱くように腰を動かし始め、次第に激しさを増していく。
「いいよっ、突いて・・・私の奥を、もっと強く突いてっ・・・ああんっ!」
 二人は激しく腰を打ち付けあい、絶頂へ上り詰めようと貪り合う。
 利奈の背に畳まれた翼が大きく羽ばたき、理人を抱くように包む。翼の表面には肉眼では捉えきれないほど細かい柔毛が密生し、背を掻き鳴らすように這ってくる。
 全身を強烈な悦波が貫き、理人は右腕で細腰を抱き寄せる。開いた左手が尻尾を握り締め、肉棒を扱くように滑らせる。それが利奈の絶頂を後押しした。
「あああっ・・・イきそう!! イくぅ!! 理人も!! 私の中でイって!!」
腕の中の利奈がのけぞり、身悶える。
 柔らかく濡れた肉壁が蠢き、白濁液の放出を誘うかのように勃起を甘く搾り上げる。
同時に子宮口が理人の鈴口を咥え込み、先走りごと精子を吸い上げていく。
「ぐ・・・うっ、ああっ!!!」
「あああっっ、あっ、あああんんっ!!!」
 何もかもが蕩けて吸い取られていくような壮絶な性感に、理人は叫んだ。腰が快美感に甘く痺れ、肉槍が悦びに打ち震えながら濃厚な白濁を射精していく。放出された牡のエキスを利奈の胎内が余すことなく吸い込む。
「んふうっっ・・・あああ・・理人の精子、熱いい・・・こんなに沢山・・・はああっ」
 驚くほど長い射精であった。理人と利奈はしばし訪れる悦楽の波間を漂う
 やがて吐精が終わりを迎えると二人は抱き合ったまま、互いの温もりを分け合っていた。耳元にかかる息は熱を孕んでいた。
「ねえ・・・理人・・・」
 利奈の甘く掠れた声が耳朶へと流れ込んでいく。虚脱感に霞む脳裏に昂ぶりが宿っていくのを理人は感じ、唾を飲み下した。快感に弾けた勃起は結合しながらもまだ硬い。
「もう一度・・・しよ・・・ねっ?」
 器用に体勢を変えて手と膝をつき、女の色香と若々しい張りに満ちた牝尻を理人へと向ける利奈。
 今の理人には魅惑的な誘いと内なる欲求を蹴ることなどできなかった。



 理人が目を覚ますと、利奈が傍らに寝そべっていた。三度目の行為の末、意識を手放したのは理人の方だった。そんな理人を見て利奈は軽く微笑む。
「起きた?」
「ん・・・ごめん、寝てたみたい」
 利奈は「もうっ」と言いたげな表情を作る。
「私を置いて先に寝ちゃうなんて、理人ったらまだまだねぇ」
 明るく笑う利奈に理人は苦笑で返す。肝心の利奈はまんざらでもない様子だった。
「でも理人の寝顔が見れたし、エッチも気持ちよかった・・・この前みたいに、ねっ」
「あ、あれは・・・」
 理人はこの前の事を思い出していた。三日前の出来事を。
 着替えようと自分の部屋に入ろうとしたとき、閉めたはずのドアが開きかけていたのを見て、理人は恐る恐る部屋を覗いた。
 ベッドの上には全裸でシーツにくるまった利奈が居た。「お・か・え・り」と言いながら片脚を上げ、白い布に隠れた脚の付け根や豊満な美乳、白い柔肌をさらしながら。
利奈は事あるごとに不意打ちを仕掛けては、理人が慌てる様を見て楽しげにしていた。不発に終わったが、今日も何事かを企んでいたに違いない。
「あの時の理人ったら赤くなってたわ。それにしても理人って純情かと思ったら独占欲もちゃーんと有ったのね」
「まあ、ね。でも姉さんは明るくて美人だからもしかしたら……って思うときがあるよ」
 理人がそう告げると利奈は呆気に取られたのか言葉に詰まる。それも一瞬のことで、すぐさま利奈は理人の上にのしかかって来た。
「もうっ、面と向かってなに言ってるのよ。心配しなくてもそんな事にはならないわよ」
 理人の手を取って、自身の掌と共に下腹に当てる利奈。
「私の子宮は理人の精子の熱さと心地よさを知っているのよ。理人が嫌だって言っても放さないから覚悟なさい。私たちはそういう生き物なの」
(私たち――)
 理人は以前より気になっていた事柄を利奈に訊いた。
「姉さん――姉さんのような存在は他にもいるの?」
 理人を見る利奈の眼差しは優しく、唇は諭すように言葉を紡ぐ。
「この世界のすぐ傍には、人と魔物が住む世界が在るわ。私たちはそこから来たの。長い時を共に生きるひとを探して」
(それじゃあ――)
 マンションに帰る際に見た女性。あの女性も利奈と同じ魔物なのだという結論が当然の如く理人の中に定着した。何故そう考えたか分からない。ごく自然に湧いてきた答えに戸惑う理人をよそに、利奈は補足する。
「このマンションね、魔物が住むために建てられたマンションなのよ。私みたいに人間とあまり姿が変わらない種族専用だけど。他にもこういう所が沢山有るのよ」
 理人は驚いた。自身の生活圏に魔物たちが住まう場所が在るという事実に。なにより事実が小説以上に奇であることに。今こうして理人と利奈が肌を重ね、寝物語に興じているように、どこかで語らい、日々を共に過ごし、あるいは愛欲に耽っている人と人ならざる者が存在することに。
 何気ない日常。代わり映えしない光景。世界というものが外見以上の意味を内包していることを理人は身をもって知った。
「・・・そうだ!」
 利奈は何かを思いついたのか、どこかうきうきした様子で理人に訊く。
「来週の休みに私の知り合いを呼ぶってのはどう? 理人には私たちのこと、もっとよく知ってもらいたいし、きっと楽しいわよ」
「楽しい・・・」
 理人は利奈の知り合いについて考えてみたが見当がつかない。ただ、同じ種族ではないかという気がした。
(まさか姉さんと同じような性格じゃ・・・)
 もしそうならば悪戯ついでにセックスに雪崩れ込むようなことになりかねない。種族の本能に基づいたものだとしても穏便にやってほしいなどと考える理人に、利奈は目ざとく声をかけてきた。
「もしかして、やーらしいこととか考えてる?」
 当たらずも遠からずな本音を言われ、理人は動揺を隠せなかった。
「・・・そんなことは考えてないよ」
「その間はなに? 素直にイっちゃいなさい!!」
「ニュアンスが違うよ! 痛いって!」
 肌をつねりながらも脚を絡めてくる利奈。じゃれあいながら理人は悪くない、と思う。
(今日のような日が続きますように・・・)
 人懐っこい笑顔をした利奈を見て、理人はそう願った。
11/11/23 15:55更新 / アーカム

■作者メッセージ
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回でもっとマシな作品を書けるよう精進してまいります。
いやあー、魔物娘っていいですねー
それでは、また。

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