桃色人魚と不思議な帽子
俺の名はトバ。しがない雑貨屋の店主である。
俺は漁村育ちで昔から海が好きだった。なので、俺の店は海の近くに建っている。
というかもう、海の近くを追求しすぎて、店の半分は水中にある。あの頃はまだ若かった…
そのため、時折海の魔物達も、ここに日用品なんかを買いに来たりするのだ。
そんな俺は２年前に、うちの近所に住むお得意様の一人と付き合いだした。
相手は、人呼んで「頭の中までピンク色」のメロウである。
会話にちょいちょい猥談を挟んできたり、買い漁った恋愛小説や春画を見せられるのには
いささか閉口したが、それを除けば話の合う、積極的で気のいい奴である。
…色々と積極的すぎるので、やつれ顔で店に立つ羽目になることもしょっちゅうだったが。
（商売人として、それはかなりダメな気もする…）
まあ、そんなこんなで俺たちは去年、彼女のプロポーズを受け、めでたくゴールイン。
（プロポーズ自体は、付き合ってから１週間も経たない内から、
もう毎日の様にされ続けていたのだが。今思うと彼女には気の毒だったが、
結婚するならやはり、十分に互いのことを知らないとな…。と思うのだ）
そしてとうとう、俺達二人の子供が誕生したのである。これぞまさに、幸せの絶頂！
メロウは娘が生まれた時に、男を捕まえるまで生活していくための魔力を込める、
海神ポセイドンの加護を受けた帽子を贈られる。と、魔物図鑑に書いてあった。
予定では今日、娘のための新しい帽子が届くはずなのだが…。
「トバさ〜ん！ルージュ（嫁の名前）さ〜ん！」あ、来た。
「新しい命の誕生、心よりお祝い申し上げます」
「いやいや…ありがとうございます」
彼女はナチュレさん。俺達の結婚式にも立ち会ってくれたシー・ビショップである。
清楚だけど、ちょっと天然っぽいところが魅力的…いや、何を言ってるんだ。
「では、これがお子さんの帽子になります」
「わざわざどうも……」
彼女から渡された帽子を受け取ろうとして、俺達は固まった。
なぜなら、それはどう見ても………
カツラだったからだ。
いまいち現実が把握できず、困惑する俺達。
「あ…あれ？おかしいなぁハハハ。メロウの帽子…ですよね？」
「はい。そうですよ」
「いやぁ〜、でもこれ、カツラにしか見えないんですけどぉ…？」
流石に嫁もツッコミだす。
しかもこのカツラの形は…確か、ジパングの男の伝統的な髪型、
“チョンマゲ”とかいうやつじゃなかったっけ？
「申し訳ありません、実はこれには深いわけがあって…」
なんでも、最近メロウのベビーラッシュがあったらしく、
帽子の生産が追いつかず、在庫が切れてしまったらしい。
あの帽子は、ただの帽子に見えてかなり丁寧な作りになっており、
一個作るのにも結構な時間がかかるそうだ。
「それで仕方なく、私の趣味である『世界の変わった帽子コレクション』から
ひとつ持って来て代わりにしたんです…」
「そうだったんですか…」…って、納得できるかァァッ！！
何故、コレクションからわざわざこれを選んだんだ！？
天然か！？それとも悪意ありなのか！？
これに加護を授けた時に、ポセイドン様は何も言わなかったのか！？
それに何より…
「「カツラは帽子じゃねェェェェッ！！」」
「えっ、違うんですか！？」
夫婦そろって、同じツッコミを入れた。気持ちが通じ合うって、ステキな事だね！
こんなシチュエーションで、それに気付きたくなかったけどね！
「本当に申し訳ありません…。後日、ちゃんとした帽子をお届けしますので…
とりあえずそれまで、そのカツラに魔力を込めて使ってください。
帽子が来たら、それに魔力を移し替えますので」
…今何て言った？このカツラに魔力を込めて使う…
「…いやいやいやいや、無理ですって！」
こんなものを愛する娘に被せて外に出したら、他の子供たちからイジメられるのは必然！
娘本人も帽子を楽しみにしているから、こんなの見せたら泣かれる…
それに…どうなのかは知らないけど、多分、帽子に魔力を込めるには、
被りながらヤらなければいけないんじゃないのか？
ということは、カツラを被ってチョンマゲ頭になった嫁と、
ひたすらヤり続けなきゃいけないわけ？
「ぜ、ぜ、絶対、無理、です！ククク…多分、わ、笑っちゃって、勃たない！」
それを想像し、最早爆笑する俺。それに少しムッとする嫁。
「まあ、そこは頑張って下さいね」
「そんな、殺生な！」
「あっ、まだ見ぬ海の婚約者たちが待っています！
急いで行かなくては！では、お幸せに！」…逃げられた。
しかも、この騒ぎのせいで、寝ていた娘が起きてきてしまった。
「おはよぉ…おとうさん、きょう、ぼうしくるんだよね。
おかあさん、あたしのぼうしはどこぉ？」
「「あ、いや…その…」」
…どうしよう。マジで、どうしよう。
とりあえず娘には、しばらく嫁の帽子を被らせることにした。
そして夜…
「さて…どうしようか。」
「あぁ、カツラのこと？いいわよぉ〜。あたしは全然気にしないから。
さあ、娘のためにも、今夜はレッツプレイ★オールナイト♪」
「俺が気にするんだよッ！！」
昼も言ったが、チョンマゲ頭の嫁とシても、爆笑して勃たないだろう。
俺はこう見えて、かなり笑いの沸点が低いのだ。…自分でも気にしてる。
「大丈夫よ、あたしのテクニックで、キッチリ勃たせてあげるから♪」
「仮に勃ったとして、爆笑しながらお前とするのは無理！
呼吸困難になって死ぬ！」
「大丈夫だってば。あたしの血も飲んでるんだし、死なないわよ。
不安も消えたところで、早速イキましょうッ！ＹＥＳ，Ｙｏｕ ｃａｎ！！」
「いやいや、でも…」
「もぉう、うるさいわねぇ〜。じゃあ、あなたが被ればいいじゃない。」
「でも、それじゃ意味ないだろ！？」
「あら、意味ならあるわよ？」
「…どんな？」
「この、新しく買ったジパングの春画が再現でき…
「またお前はそんなものに金を使ってェェェ！！
金に厳格じゃなきゃいけない「商売人」の妻としては、
お小遣いのほとんどを娯楽に注ぎこみまくるよりも、
もっと有意義且つ生産的な使い方をだなぁ……」
〜しばしお説教中〜
〜その後相談中〜
そして結局、俺が目隠しして行うことになりました。
「やっぱり人間って、外見を気にするのねぇ…」
「それとこれとは話が別だッ！」
とりあえず帽子の魔力問題は解決したが、問題は日常生活にもあった。
結婚してからは、嫁も手伝ってくれるので店は今までより儲かり、
規模も大きくすることができた。その為、もう、一人でやるのは難しい。
結婚して帽子を相手に預けたメロウは、そのままでは泳ぐことすらままならない。
まさか、店の営業中に魔力の補給をさせるわけにもいかない。
そのため、嫁に手伝わせる時には、預かっている帽子を被らせている。
しかし、その帽子は、今は娘のもの。
仕方がないので、嫁にはあのカツラを被せているのだが…
「いらっしゃい…」
「よう！大将…っく、ブハハハハハ！！」
「どうもー、トバさ…ハハハハハハハ！」
「る、ルージュちゃん、それ…キャハハハハハ！！」
訪れた客に、いちいち爆笑されてしまう。
「お前ら爆笑すんなッ！夫の俺でもまだ直視できないけど…ククッ」
「まったく、ヒドイなぁ。あたしは気にしてないのに」
おかげでこの店のことが噂になり、売り上げはさらに増えたが…
なんだか複雑な気持だった。
「おかあさん、ただいまぁ〜…ププッ」
娘にまで笑われる始末…ちょっと嫁がかわいそうになった。
他にも、嫁が「殿様」俺が「側室」とか呼ばれたり、
俺があんまり笑うのでついに怒り出した嫁に殴られ、その後絞り倒されたり。
数日後、無事本物の帽子が届くまで、俺と嫁の受難は続いた…。
数年後、俺達の間に、再び子供が生まれた。
しかも今度は双子である。上の娘と同じぐらい可愛いのが何と二人も！
手間も二倍だが、やはり子供はいいもんだなぁ…
そして今日、その娘たちの帽子が届く。
願わくば、上の娘の時のような事にはなりませんように…
「双子だそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ありがとぉございます♪」
「それでですね、帽子のことなんですが…申し上げにくいのですが、
実は、帽子を作る者が長い間寝込んでいて、代わりの者もおらず、
また在庫が切れてしまったんです。申し訳ありませんがまた、
しばらく代わりの帽子で我慢してください…」
「…また、カツラじゃないですよね？」
「あ、その点は大丈夫です。今度のは、ちゃんと布製ですので」
「それなら安心しました…」
「もぅ、あんな事になるのは嫌だしねぇ〜？」
「それで、こちらが代わりになります」
「はい、どうも…」
俺と嫁は、ナチュレさんから、それぞれ代わりの帽子を受け取った。
そして次の瞬間、俺達は二人同時に、
その可愛らしいデザインのパンティーを引き裂いたのだった………
俺は漁村育ちで昔から海が好きだった。なので、俺の店は海の近くに建っている。
というかもう、海の近くを追求しすぎて、店の半分は水中にある。あの頃はまだ若かった…
そのため、時折海の魔物達も、ここに日用品なんかを買いに来たりするのだ。
そんな俺は２年前に、うちの近所に住むお得意様の一人と付き合いだした。
相手は、人呼んで「頭の中までピンク色」のメロウである。
会話にちょいちょい猥談を挟んできたり、買い漁った恋愛小説や春画を見せられるのには
いささか閉口したが、それを除けば話の合う、積極的で気のいい奴である。
…色々と積極的すぎるので、やつれ顔で店に立つ羽目になることもしょっちゅうだったが。
（商売人として、それはかなりダメな気もする…）
まあ、そんなこんなで俺たちは去年、彼女のプロポーズを受け、めでたくゴールイン。
（プロポーズ自体は、付き合ってから１週間も経たない内から、
もう毎日の様にされ続けていたのだが。今思うと彼女には気の毒だったが、
結婚するならやはり、十分に互いのことを知らないとな…。と思うのだ）
そしてとうとう、俺達二人の子供が誕生したのである。これぞまさに、幸せの絶頂！
メロウは娘が生まれた時に、男を捕まえるまで生活していくための魔力を込める、
海神ポセイドンの加護を受けた帽子を贈られる。と、魔物図鑑に書いてあった。
予定では今日、娘のための新しい帽子が届くはずなのだが…。
「トバさ〜ん！ルージュ（嫁の名前）さ〜ん！」あ、来た。
「新しい命の誕生、心よりお祝い申し上げます」
「いやいや…ありがとうございます」
彼女はナチュレさん。俺達の結婚式にも立ち会ってくれたシー・ビショップである。
清楚だけど、ちょっと天然っぽいところが魅力的…いや、何を言ってるんだ。
「では、これがお子さんの帽子になります」
「わざわざどうも……」
彼女から渡された帽子を受け取ろうとして、俺達は固まった。
なぜなら、それはどう見ても………
カツラだったからだ。
いまいち現実が把握できず、困惑する俺達。
「あ…あれ？おかしいなぁハハハ。メロウの帽子…ですよね？」
「はい。そうですよ」
「いやぁ〜、でもこれ、カツラにしか見えないんですけどぉ…？」
流石に嫁もツッコミだす。
しかもこのカツラの形は…確か、ジパングの男の伝統的な髪型、
“チョンマゲ”とかいうやつじゃなかったっけ？
「申し訳ありません、実はこれには深いわけがあって…」
なんでも、最近メロウのベビーラッシュがあったらしく、
帽子の生産が追いつかず、在庫が切れてしまったらしい。
あの帽子は、ただの帽子に見えてかなり丁寧な作りになっており、
一個作るのにも結構な時間がかかるそうだ。
「それで仕方なく、私の趣味である『世界の変わった帽子コレクション』から
ひとつ持って来て代わりにしたんです…」
「そうだったんですか…」…って、納得できるかァァッ！！
何故、コレクションからわざわざこれを選んだんだ！？
天然か！？それとも悪意ありなのか！？
これに加護を授けた時に、ポセイドン様は何も言わなかったのか！？
それに何より…
「「カツラは帽子じゃねェェェェッ！！」」
「えっ、違うんですか！？」
夫婦そろって、同じツッコミを入れた。気持ちが通じ合うって、ステキな事だね！
こんなシチュエーションで、それに気付きたくなかったけどね！
「本当に申し訳ありません…。後日、ちゃんとした帽子をお届けしますので…
とりあえずそれまで、そのカツラに魔力を込めて使ってください。
帽子が来たら、それに魔力を移し替えますので」
…今何て言った？このカツラに魔力を込めて使う…
「…いやいやいやいや、無理ですって！」
こんなものを愛する娘に被せて外に出したら、他の子供たちからイジメられるのは必然！
娘本人も帽子を楽しみにしているから、こんなの見せたら泣かれる…
それに…どうなのかは知らないけど、多分、帽子に魔力を込めるには、
被りながらヤらなければいけないんじゃないのか？
ということは、カツラを被ってチョンマゲ頭になった嫁と、
ひたすらヤり続けなきゃいけないわけ？
「ぜ、ぜ、絶対、無理、です！ククク…多分、わ、笑っちゃって、勃たない！」
それを想像し、最早爆笑する俺。それに少しムッとする嫁。
「まあ、そこは頑張って下さいね」
「そんな、殺生な！」
「あっ、まだ見ぬ海の婚約者たちが待っています！
急いで行かなくては！では、お幸せに！」…逃げられた。
しかも、この騒ぎのせいで、寝ていた娘が起きてきてしまった。
「おはよぉ…おとうさん、きょう、ぼうしくるんだよね。
おかあさん、あたしのぼうしはどこぉ？」
「「あ、いや…その…」」
…どうしよう。マジで、どうしよう。
とりあえず娘には、しばらく嫁の帽子を被らせることにした。
そして夜…
「さて…どうしようか。」
「あぁ、カツラのこと？いいわよぉ〜。あたしは全然気にしないから。
さあ、娘のためにも、今夜はレッツプレイ★オールナイト♪」
「俺が気にするんだよッ！！」
昼も言ったが、チョンマゲ頭の嫁とシても、爆笑して勃たないだろう。
俺はこう見えて、かなり笑いの沸点が低いのだ。…自分でも気にしてる。
「大丈夫よ、あたしのテクニックで、キッチリ勃たせてあげるから♪」
「仮に勃ったとして、爆笑しながらお前とするのは無理！
呼吸困難になって死ぬ！」
「大丈夫だってば。あたしの血も飲んでるんだし、死なないわよ。
不安も消えたところで、早速イキましょうッ！ＹＥＳ，Ｙｏｕ ｃａｎ！！」
「いやいや、でも…」
「もぉう、うるさいわねぇ〜。じゃあ、あなたが被ればいいじゃない。」
「でも、それじゃ意味ないだろ！？」
「あら、意味ならあるわよ？」
「…どんな？」
「この、新しく買ったジパングの春画が再現でき…
「またお前はそんなものに金を使ってェェェ！！
金に厳格じゃなきゃいけない「商売人」の妻としては、
お小遣いのほとんどを娯楽に注ぎこみまくるよりも、
もっと有意義且つ生産的な使い方をだなぁ……」
〜しばしお説教中〜
〜その後相談中〜
そして結局、俺が目隠しして行うことになりました。
「やっぱり人間って、外見を気にするのねぇ…」
「それとこれとは話が別だッ！」
とりあえず帽子の魔力問題は解決したが、問題は日常生活にもあった。
結婚してからは、嫁も手伝ってくれるので店は今までより儲かり、
規模も大きくすることができた。その為、もう、一人でやるのは難しい。
結婚して帽子を相手に預けたメロウは、そのままでは泳ぐことすらままならない。
まさか、店の営業中に魔力の補給をさせるわけにもいかない。
そのため、嫁に手伝わせる時には、預かっている帽子を被らせている。
しかし、その帽子は、今は娘のもの。
仕方がないので、嫁にはあのカツラを被せているのだが…
「いらっしゃい…」
「よう！大将…っく、ブハハハハハ！！」
「どうもー、トバさ…ハハハハハハハ！」
「る、ルージュちゃん、それ…キャハハハハハ！！」
訪れた客に、いちいち爆笑されてしまう。
「お前ら爆笑すんなッ！夫の俺でもまだ直視できないけど…ククッ」
「まったく、ヒドイなぁ。あたしは気にしてないのに」
おかげでこの店のことが噂になり、売り上げはさらに増えたが…
なんだか複雑な気持だった。
「おかあさん、ただいまぁ〜…ププッ」
娘にまで笑われる始末…ちょっと嫁がかわいそうになった。
他にも、嫁が「殿様」俺が「側室」とか呼ばれたり、
俺があんまり笑うのでついに怒り出した嫁に殴られ、その後絞り倒されたり。
数日後、無事本物の帽子が届くまで、俺と嫁の受難は続いた…。
数年後、俺達の間に、再び子供が生まれた。
しかも今度は双子である。上の娘と同じぐらい可愛いのが何と二人も！
手間も二倍だが、やはり子供はいいもんだなぁ…
そして今日、その娘たちの帽子が届く。
願わくば、上の娘の時のような事にはなりませんように…
「双子だそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ありがとぉございます♪」
「それでですね、帽子のことなんですが…申し上げにくいのですが、
実は、帽子を作る者が長い間寝込んでいて、代わりの者もおらず、
また在庫が切れてしまったんです。申し訳ありませんがまた、
しばらく代わりの帽子で我慢してください…」
「…また、カツラじゃないですよね？」
「あ、その点は大丈夫です。今度のは、ちゃんと布製ですので」
「それなら安心しました…」
「もぅ、あんな事になるのは嫌だしねぇ〜？」
「それで、こちらが代わりになります」
「はい、どうも…」
俺と嫁は、ナチュレさんから、それぞれ代わりの帽子を受け取った。
そして次の瞬間、俺達は二人同時に、
その可愛らしいデザインのパンティーを引き裂いたのだった………
10/06/13 13:37更新 / Ｋ助