読切小説
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B′zとは小町えんじぇー
人魚に会いたい。その一心で釣糸を垂らす、冬の波止場。遠くの冬枯れ木立はセピア、呼応するかのように空は暗さを増していく。釣糸を垂らしてからおよそ12時間、何も釣れない。手がかじかんできた。雨も降りそうだ。冬の雨は雪より辛い。雨だけは嫌だ。心が折れかかってきたので、歌でも歌おう。




釣れな〜い何も〜♪♪
捨ててしまおう(竿)
キミを探しさ迷うウーmy 竿
釣果ない!!しょげない!!
我慢できな〜い!!
僕を全部あげよう♪♪




つってね…(釣ってねってかw)



 おや?引きがある…餌に、穴を開けたペットボトルに俺の汁をヒタヒタになるまで詰めた魔物専用擬似餌を使用している限り、ただの魚はあり得ない。この際人魚じゃなかろうとなんだっていい。愛と言うものは過ごすうちに深まるものだから。仲が深まる毎に口数は減るものだから。ゆっくり、共に語っていけばいいことだから。どんな出会いだって二人の過ごす時間に比べれば大したことじゃないから。なりふりかまっていられない。とにかく俺は結婚したいのだ。母なる海よ、娘さんを下さい。



 どっぱーん!! 水しぶきが上がる。東映の二文字が浮かぶ。彼女はきれいな弧を描き、俺に向かって落ちてきた。


「犯されたいやつがどうやらアアア!!!!ここに居るようだなアアアアアア!!!!」


「はーん?予想外っ!?」


飛び出したのはウシオニだった。そういえばウシオニって、海から出てきたりしてるみたいねぇ。あらそう。0.3秒の脳内井戸端会議が脳幹からシナプスを経て大脳に伝達。それからさらに0.2秒遅れて、俺は目の前のウシオニに組み敷かれた。巨大な蜘蛛の足が服の袖に穴を開ける。大ピンチかと問われれば、そうでもない。なぜなら、本来の目的は建前上人魚に会いたいなどと宣っているが、実質の嫁探しである。これはお見合いなのだ。であれば、これほどまでに婿養子先が決まったような性格の魔物娘に当たったことはむしろ幸運と言える。自然と笑みが溢れる。

ウケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ


「キモいっ!!萎えるっ!!かえるっ!!」
 唐突にウシオニは叫んだ。嘘だろ!?またか!?何としても引き留める!!

「なんだと!?おい、待てウシオニ!!犯せ!!俺を犯せ!!なんならnirvanaのレイプミーでも歌ってもやろうか!?早く早く早く早く早く!!俺をネバーマインドにさせろよ!!未だかつてない股間の怒張を感じさせてくれよ!!おい、ウシオニ!!待ってくれ!!愛なら過ごすうちに深まるものだ!!だから戻れ!!おい、嘘だろやめろよマジで帰るのか、本気の顔しやがって!!待って、待ってくれええええええええええええええええ!!!!!!!」



「はぁ……………これで二桁突入だよ…今度はデビルバグでも狙おう………………」



男の年はこうして明けていくのだった。
12/12/24 19:14更新 / 牧師KING

■作者メッセージ
やる気が感じられませんね北澤さん。

ええ、全くです。あ、でもいま三都主が上がってきましたね。

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