「……。」
宵ノ宮の一角にある家。
その家の中で少年は手に大豆がこんもりと盛られた枡を持ち今まさに玄関を飛び出さんとしていた。

「はぁ…また今年もアイツこないかなぁ…」
なにやら心にモヤモヤとしたものを抱えながら。
そして玄関を開けて門を抜けたとき…






『鬼はぁぁ! 外ぉぉぉぉ!!』
『福はぁぁぁ! 内ぃぃぃ!!』
『鬼娘はぁぁ! 中ぁぁぁ!!』
『魔物娘はぁぁ! 友ぉぉ!!』





盛大な掛け声がそこらかしこから木霊して道という道を走り回っているオーガ属(勿論あの虎柄ビキニの正装。)の娘達へとコレでもかと豆を投げつけているではないか!

しかし、案ずる事なかれ。
これは双方合意の上で行う宵ノ宮の年中行事の一環である。
この街でのイベント名は『大節分(だいせつぶん)』という名で有志で募ったオニ達を厄に見立てて豆を投げあい、オニ側としては「コレを耐えれば一年安泰っ!」という一種の願掛けみたいなものである。

ただ、オニ達の場合その願掛けを抜きにしても絶対に参加したくなるものがこのイベントの跡に待っているのだ。



それは…酒。



このイベントの〆でオニ達に出される酒が目当てなのだ。
それもそのはずで、このイベントの労いのために用意される酒の銘は【大吟醸・合縁奇縁ノ鬼結(あいえんきえんのおにむすび)】という五年待ってやっと手に入ると言われる幻の銘酒。

それがなんと三樽。

最初始めた頃は五人程しかいなかったオニ達だったがこの銘酒の噂を聞きつけた愛すべき飲兵衛共が年々増えていきなんと今ではざっと百人っ!
…未婚の魔物娘のお見合い場ともなっているのが起因か?

兎も角、それだけ多いオニがこの日だけ多いということだ。

そして件の少年は豆をまく側の一団に溶け込んで思いっきり彼女らに当てていた。
だが少ししてから少年はハッとした顔をして己の枡の中を除くとそのまま一団と彼女達に踵を返して家へと戻ってしまった。
…どうやら豆がなくなったようで。

「はぁ…今年は来ないか…由里(ゆり)は…」
台所に足を運び少しだけ自分の齢より多く出した豆をフライパンで炒っている少年はまた冒頭のようなため息を一つ吐く。

少年の口から出た【由里】。
果たしてどのような人物なのか?

「…よし。あとは部屋で食うか…」
ちょうど良く炒り上がった様で少年はフライパンからそれらをさっきまで持っていた枡の中へ流しいれるとその枡を持って今度は玄関ではなく二階の部屋へと移動する。
ドアを開けると多感な思春期と思われる少年にしては殺風景なほどに必要最小限のものしかない空間が待っていた。
そのまま少年は歩を進め机の上に枡を置いてベッドへと腰かけて天井を仰ぎ見る。
…どうやらまだ熱いようである。

「…はぁ…」
天井にある染みをジーッと見ながらまたため息。
いったい少年は何を思うのだろうか?





その時!





ｶﾞﾗﾗｯ!!　ガッ!! (ﾋﾟｼｯ)

「わりぃ! 牧人(まきと)っ、ちぃっと匿ってくれや」
彼の部屋にある唯一の窓を勢い良く…勢い良すぎてガラスがひび割れ開き入って来たものがいた。
その声から察するに女性ということがわかる。
更には【牧人】、と少年をよんでいた辺り顔馴染みというのもわかる。

「へ? あ、あぁ。いいけど…」
「お、サンキューな!　…しっかし、相変わらずちっこいなぁ…よいしょっと」
「悪かったな!? コレでも僕は君と同じ学年の高校生だよっ!!」
少年…否、彼が呆けて返事に遅れたが入室を許可すると彼女は文句を言いながらのそっと体を小さく纏めて窓から彼の部屋へと器用に入室を開始した。


…ﾐｼｯ…ﾄﾞｽﾝ!!


「ふぅ、きついなぁ…」
「前より下半身大きくなったんじゃない? この街唯一の【ウシオニ】家族の中条(なかじょう)さん?」
「おぅよ! またでかくなったぜ! まあ、世にも珍しい都会育ちの常識的なウシオニってのはオレのことっ!」
果てして普通の体型の者が出すような音とは到底思えない着地音を彼の部屋に響かせて彼女は全身を彼の部屋へ入れることに成功した。
そんな彼女を彼は見ながら先ほどの文句に返すようにして悪意の無い言葉を紡ぐと彼女は意気揚々とまるで歌舞伎の大見得のように返事をしてエッヘンと胸を張る。
…その際、白い袖なしブラウスを押し上げるように鎮座する二つの塊が揺れたのだが彼は意図的に視線をはずしたのだった。
「…んで由里? また今年もさぼんのかい?」
「ちげぇよ。ここで待機しているだけだい、文句あっか?」
さすがウシオニ。言葉とともに睨みを利かせるだけでかなりの迫力がある。
しかし彼のほうはそれをどこ吹く風と受け流している辺りもう慣れたのだろう。

「はぁ…まぁ、この時間は嫌いじゃないけどね」
「ん? そうか…俺ん家の近くだとお前ん家くらいしか近い世代いねぇしさぁ(ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ」
「まぁ近場で同い年は僕しか…って何食ってんだ由里っ!?」
彼は口元を少し上げてにっこり笑うと彼女はそれに返すように同じように笑顔で返す。
…彼が持ってきた豆を食いながら。

「ん? あぁ、小腹が空いてたもんで、つい…(ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ」
「話しながら食うなっ!?…まったく…また豆を炒ってくるか」
「…おい。牧人。」
そういうと彼は困った顔をしながらベッドを立ち上がり彼女に背を向けて部屋を跡にしようとす
ると後ろから彼女に呼び止められて振り向いてしまう。





「ん? なんd…ｯﾁｭｩ!?」
「ﾁｭﾊﾟｯ…ｼｬｸｩ…ｽﾞｽﾞｽﾞｯ…」
なんと音も無く忍び寄っていた彼女からガッチリとモフモフの手でホールドされ、身動きをとれなくなった彼に彼女は顔を寄せて彼の唇を無理やりこじ開けるようなキスを敢行した。
彼はキスに驚いていたものの彼女と繋がった口腔から流し込まれたゲル状のものが邪魔して声を出すことが出来ずにいる。

「っ?!」
「ｼﾞｭﾙﾙ…っぱぁ♪　ふふふ、どうよ? 俺の唾液と血汁吸った大豆は? あめぇだろ?」
彼はキスから開放された彼女に対して反論が出来ない。
なぜならまさしくその通りだったから。
彼女の魔力たっぷりの汁をふんだんに含んだ大豆のペーストは果たして彼の理性という箍を外すには十分すぎた。

「お? いいねいいね♪　チンコがビクビクしてっぞ?」
「はぁはぁ…ゆ、由里ぃ…」
「っくぅ〜っ♪　ショタを犯しているみたいだぜッ♪」
彼女のおかげで理性が壊れた彼は切なげな瞳で抱きしめられている彼女の腕の中から彼女を見上げる。
そのなんとも言えない瞳に彼女は背中をゾクゾクとさせてその甘い快楽という刺激を享受していた。

「い、今ので十四個分の豆だったが…俺らの齢にはあと三つ足らない。さてその三つの豆h」
「…(ﾊﾟｸｯ」
「っぁぁ♪　せ、正解っ、だッッ♪」
彼は自分の頭の上で何かを言う彼女を尻目に自然な動作でブラウスを肌蹴させた彼のちょうど目の前にあるピンク色に膨れた突起…乳首が目に入り彼が本能的にそれを口に含むと彼女は一瞬だけ体を痙攣させると感度がいいのか喜びの声をあげる。

彼女はノーブラでした。

「ﾁｭﾊﾟｯ…ﾁｭｸｯ…ﾁﾛﾁﾛ…ﾁｭﾙｯ」
「ん♪　はぁっ♪　い、いいぞっ♪　も、もう片方も…」
ホールドしたままの彼を彼女はスッと腕を放して開放してやると途端に彼が彼女に抱きついて左の乳首を口で、右の乳首を左手で愛撫を始める。
そして…

「ﾁｭﾊﾟｯ…(ｷｭｩｩｩ」
「きゃふぅんぁ♪　せ、せぃかぃ〜っ、らぁ♪」
残った右で彼女の三つ目の豆、クリトリスをつまみ上げると彼女はとても嬉しそうな顔でビクビクと体を揺らす。
下半身もその快楽の波に同調し脱力してﾄﾞｼｨｨﾝ!、と床に穴悪のではないかと心配するほどの音を立てて床に足を投げ出す形で落下した。

「ﾊｧﾊｧ…ゆ、由里ぃ…もぅ…っっ」
「い、いいぜ…♪　きなよっ…♪　俺に牧人の極太の恵方巻きを食わしてくれよぅ…♪」
達してすぐに彼からのおねだり。
期待の眼差しに奥が疼いて仕方が無い彼女は彼とともに息を荒げながらも頷くと彼を抱きしめ彼の分身を自分の裂け目へと宛がう。

そして…

「ﾊｧﾊｧ…うくっ、っぁ!」
「っぎぃっ♪(ﾌﾟﾁｭﾝ)…っぁぁ♪さ、さぁ激しく…激しく動いてくれぇっ」
さっきので彼女は十分に濡れていたらしく彼が少し力をいれて彼女側へ寄りかかっただけでいとも簡単に挿入される。
だが先端が入ったところで急激な抵抗が生まれた。
…由里は処女だった。
そんな彼女に構うことなく彼はそのまま全体重を乗せて彼女の最奥めがけて腰を振るとその抵抗が急に無くなったことで一気に彼女の子宮口まで突き抜けてしまい彼女が声に出来ないほどの嬌声をのどの奥からひり出す。

そして…もっと動いてくれと。

処女だった証が彼女の股座をゆっくり垂れ落ちていくそのすぐ上ではその雫の何倍ものスピードで前後運動を繰り返す玉と竿。
その振動が更に上の方にある乳房をたゆんたゆんと揺らしその中に埋もれるようにして彼女にしがみつく彼は荒い息を吐き彼女を視覚的に楽しませていた。

しかし実は彼も童貞であった為我慢の限界が近づいているのを彼女は敏感に自分の中で膨れ上がっていく彼の一物から感じ取りそんな彼の為により体を密着させる。

「ﾊｧﾊｧ…ゆりぃ! も、もぅダメっ!」
「ぅ、くぅ♪　お、おれぇ、もぉ♪」
互いが初めて同士のつながりは早い終わりを迎えるために、より高みに上る為になおも繋がりを深く、大きく、早くしていく。

そして…

「ぅあ! で、でるっ!」
「な、なかに、中にだせぇっ♪」
「う、ぅぁ…っぁぁぁぁ!!」
「っはぁぁん♪　き、きてるぅぅ♪」
大きく仰け反りながらも彼女にもっとも密着した彼は結合部を脈打たせて己の欲望を吐き出すと彼女はその甘美な瞬間を待ち望んでいたかのようにひときわ高く大きな声で彼の欲望という名の厄を飲み込んでいった…



















「…あー、そのー…すまん、やりすぎた」
「…人間終了…ですと…っ!?」
最初の繋がりから早八時間。彼は最初に彼女の中で果てた後気絶をしてしまったがその後も彼女は彼が気絶しているにも関わらず犯し続けたその結果…


おめでとう。君は立派なインキュバスになれたのだ。


気絶から復帰した彼はその事実を張本人から聞くとあまりの驚きに思考停止してしまう。
…そんな彼に彼女は首を曲げてそのモフモフした手を合わせて彼に向かって軽い謝罪をしたのだった。

「うぅ…まぁ、由里が好きだったからいいけどさぁ…」
「…ぇぁ? お、おい。今のもう一回っ!」
「…由里、愛してる。僕と【突きあって】くれないか?」
彼からの独白に顔を伏せていた彼女はビクンと反応し顔を上げて彼に近づいてもう一度、と懇願すると彼から今度は愛の告白を受けてしまい今度は彼女が思考を停止してしまう。

「…だめかい?」
「…す、好きでもねぇヤツに初めてをくれてやる訳ゃねぇだろっ!!!」
ここまでしておいて今更断ることが無いと分かっている彼は意地悪く彼女に聞き返すと彼女は嬉しさのあまり彼に抱きついて呼吸不全になるほどのキスを食らわしたのだった。



ーーー…彼らの節分の夜は長い。ーーー

【完】