■タイトル:天使の飴玉 ■作者:m9(・∀・) -------------------------------------本文-------------------------------------  それはそれは私がまだ子供の頃の話。

私の両親は熱心に神を信仰していて、いつも近所の小さな教会に通っていた。
それこそ狂ったように。
私はその時生まれていなかったから分からないが、
なんでも神様に命を救われたのだとか……
そんな両親の元に生まれた為か、私は幼い頃から教会に預けられ、
そこで色々な事を教えられた。
神様はどういうものか、地獄とはどういうものか、天国はどういうものか、幸せは……
数えると際限がないが、ともかく役には立っているとは思う。
でも私の頭の中の考えを知ったのなら両親はきっと私を叱るだろう。

 当時私は十歳だった……



 その日私は授業を終え、頭の中に湧いたある疑問を、
その教会に住むたった一人の神父、
ロウル神父に問いに私室へ向かっていた。
私はロウル神父の私室の前に着くと、扉を軽くノックした。
「ロウル神父様。居ますか?」
すこし間が空いた後、ロウル神父は扉を少し開けて、十cmはある顎鬚を
撫でながら顔を出した。
「……レイス君じゃないかどうしたんだね?」
ロウル神父はもう五十歳を過ぎていて、この教会で二十年以上神父をしていた。
それだけあってこの地域の住民からは信頼されていて、何かあった時はいつも頼られていた。
「神父様。僕は、神父様に聞きたいことがあって……」
「ほほう、どんな質問かな? 楽しみだ。それなら、さあ中へ入りたまえ、立ち話では疲れるだろうからね」
ロウル神父は笑顔を浮かべながら、扉を開けて私を部屋に入るよう促した。

 私はロウル神父に言われるがままに、近くに置いてある木造の椅子に座った。
そして彼も、私の前にテーブルを隔てて椅子に座った。
「飲み物は何がいい? コーヒー? 紅茶? それとも……」
「ミルクでいいです」
「そうだ、そうだったね。すまんすまん」
ロウル神父は苦笑いを浮かべながらミルクを注ぎ、私の前に置いた。
彼の飲むものはコーヒーのようだった。

「それで、私に聞きたいこととは?」
「……神父様、本当に神様は存在するのでしょうか?」
私は叱られる覚悟で、ミルクを飲みながら彼に質問をした。
「ふむ? 珍しい事を聞くんだね。
どうしてそんな事を聞く理由を教えてもらってもいいかね?」
私の予想とは反して、彼は怒りもせず、興味ありげに聞いた。
「神父様。例えば僕が目の前にいる鳥を撃ち殺したとします。
そうすると僕はきっと死後地獄へいくでしょう。……でも何故その場で
神様は罰を与えないのですか?
例えば、どこかで誰かが誰かを殺したとして、
どうしてその罪人はすぐに罰を受けないのですか?
何故僕達は死ななければ、天国に行くか地獄に行くか決まらないのですか……
何故……」
「もういいよ。君の思ってる事は良く分かった。
くっくっく……そうだね、君の考えも最もだ」
私はこの質問を彼は良く思わないだろうと考えていたのに、
彼は笑いを堪えながら、さも楽しそうに、私の肩をポンポンと叩いた。
「笑わないでください神父様。僕は真剣です」
「いやいや笑うつもりはなかったんだ、許してくれ」
「……」
私はちょっとだけむくれた。こんなに勇気を持って聞いたことが馬鹿らしくなった。
「でも聞いたのが私で良かったよ。他の教会の神父様に聞いたら
君はただじゃすまなかっただろうね」
「ど、どうなるんですか?」
彼の『ただではすまない』の言葉に私は恐怖を覚えた。実際別の教会では
神を冒涜するような行為をしたら、ある部屋に入れられると言われていたからだ。
そこは昼でも真っ暗闇で音も聞こえなくて、静寂だけが支配する
地獄のような部屋であって、
私達はそんな恐ろしい部屋をあり得ないと思いつつも、そこに入れられないように
気をつけて暮らしていたからだ。
だからこの疑問がその神への冒涜になっていないのか心配で堪らなかった。
「ん? 何、ただ密室で一日中自分の罪を悔いるよう懺悔させられるだけさ、
真っ暗だからちょっと怖いけどね。なれればどうって事ないよ」
「え。神父様はその経験が……?」
「あるよ。君と同じ年の時、君と同じような疑問を抱いてね。
……でも、そのお陰で…………いや何でもない」
彼は途中で言葉を濁し、何かを思い出しているようだったが、
すぐに首を振って私の疑問に答え始めた。
「正直、君の疑問に答えるには私では無理だろう」
「……そうですか」
私は少し残念で、でもどこか安心していた。きっと同じ疑問を
彼が抱いていたことがあったからだろう。

「ちょっと座ったまま動かないでくれないか」
「はい」
私にそういった後、彼は自分の机の引き出しを開け何かを探し始めた。

「……あったあった。君ならもしかしたら資格があるかもしれない。
いや、本当は資格など余計な物がなければ……」
「神父様?」
「ああいや独り言さ。さ、もうちょっとだけ動かないで」
彼の手には、白く光っている輪のような物が握られていた。
それは神様が遣わされる天使の頭につけられているリングのような物だった。
「……」
彼はその輪を通してじっと私の顔を見つめていた。


 三十秒ほど彼は私を見つめていただろうか。
「……ふむ」
彼は納得したように頷くと、懐から飴玉のような物を取り出し、私に渡した。
「君にあげよう」
「……?」
私には彼が何を考えているか分からなかった。
でもこの時の私達にとってお菓子は、とても貴重で
滅多に食べられる物ではなかったから、
私は躊躇なく受け取って、すぐに口の中に含んだ。
その飴はとても甘く、まるで悪魔の誘惑のように甘美な美味しさだった。
「美味しいかね?」
「はい。すごく甘くて……これは一体何で出来ているんですか?」
「分からないよ。私もこれ一粒しか持っていなかったんだ」
「えっ……」
その言葉を聞いて、私は何か悪いことをしたような気分になってしまった。
「何。気にすることなんてない。君の勇気に祝福して、だよ」
彼は俯いた私を見てそう言い、頭を撫でてくれた。

「さあ、もうすぐ休憩時間が終わる。早く戻らないと
先生に怒られるぞ」
「は、はい。ありがとうございました」
私は少しだけ彼を変に思いながらも、彼の部屋を後にした。


 その夜……


(あ、あれ……たしか僕は自分の部屋で寝てたはずじゃ……)
私はいつも横になっているベットの上ではなく、礼拝堂のベンチに寝かされていた。
きっと寝心地が悪くて私は起きてしまったのだろう。
(こ、怖いなあ、早く自分の部屋に戻ろう)
なぜ自分がこんな所で寝ているのか疑問に思いながらも、重い体を起こして
私は出口へ向かおうとした。

「あっ、起きたんだ」

 立ち上がった瞬間どこかから女の子の声がした。
(こんな時間に誰だろう? もしかして僕をここまで連れてきた人?)
そんな事を考えながら私はその声のした方向に振り返った。
「こんばんは。君が幸せにしてあげる相手なんだね」
(……天…使…?)

 そう私の目の前に、本でしか知らなかった神の使い、天使がいたのだ。
彼女はステンドグラスから射す月明かりに照らされ、とても神聖な存在に見えた。
いや本当に神聖な存在なのだが。
身長は私より少し小さいくらい、体が透けてしまいそうなくらい白いローブを着て、
頭にはロウル神父の部屋で見たあれと同じ物が浮いている、
首には十字のロザリオ、背中からは白い翼。
唯一つ不釣合いだったのは、彼女の右手に、白く強烈な光を放っている剣が
握られていたことだけだ。
彼女はとても美しくて見とれてしまいそうだったけれど、
私はその光が眩しくて彼女から目を逸らした。
「あっ、ごめんね。ここではこの剣は必要なかったよ」
そう言うと、彼女の手に握られていた剣は一瞬にして消え、
礼拝堂は私がさっき起きた時の通り、暗い闇に包まれた。
でもそんな闇の中でも彼女の姿ははっきりと見て取れた。

「私の名前はミール。君は?」
彼女はこちらに飛翔しながら聞く。
「え。れ、レイス。ベネディクト・レイス……」
彼女が私の間近に舞い降りる。
「ふふ、レイス君か、いい名前だね……ところで君歳はいくつ?」
「え、えっと十歳です」
それを聞くと彼女は額に手を当てて。
「あはは。ちょっと早かったかな……でも」
彼女は私をベンチに押し倒す。
「て、天使様! 一体何をするんですか……?」
「むー、呼び捨てでいいよ。私に話しかけるのももっと気軽に!」
私が様づけをしたのが気に入らないのか、彼女は不満そうに口を尖らせる。
「……え、あ、あぅ」
私は狼狽しながらも、彼女から漂う妖艶な芳香に欲情し始めていた。
「んぅ…そんなに怖がらないでね。よしよし」
そんな私を見て、彼女は私の首に腕を回しぴったりと体を密着させ、私の頭を撫でた。
(な、なんだろうこの気分……)
彼女に抱かれてとても安らかな気持ちになったけれど、
それよりも、下半身の方からなにかが集まっているような気がした。
彼女はそれに気がついたのか。
「……そっか、君ももう幸せになる準備は出来てるんだね」
「? ……し、幸せ?」
私には彼女の言っている事が理解できなかった。
まだそんな年ではなかったからだ。もっとも、
ここで暮らしている限り性の発達は幾らか遅れたかもしれない。

「すれば分かるよ。ね、とっても気持ちいいから、動かないでじっとしてて?」
「はい……」
彼女はそう言うと私の股間の上に跨り、私の下着を全て脱がしてしまった。
「何か出ちゃいそうになったら、遠慮なく私の手にピュッピュしていいからね?」
そのまま彼女は私を見つめながら、右手で私の陰茎を掴み、ゆっくりと扱き始めた。
それはとても気持ちよくて、なにかいけない事をしているような気分になった。
「…ぁ…み、ミールさ――「むぅ……」
彼女は私の言葉を聞くと、不満気な顔で陰茎の根元を強く握り締めた。
もっと扱いてもらって気持ちよくなりたいと思っていた私は……
「み、ミールちゃん……」
「うんうん。それでいいよ」
そう呼び方を変えると彼女は満足そうに笑い、また私の陰茎を扱き始めた。

「ね、私の手どう?」
「す、すごく気持ちよくて。お、おしっこ出そうになった時みたいに……」
こうやって会話している時でも、彼女は手を妖しく動かしながら、
私に快楽をゆっくりと与えていた。
「そっか。えへへ、嬉しいな、私もちゃんと君を幸せにできてるんだね。
じゃあもっと幸せにしてあげる♪」
さらに彼女の陰茎を扱く速度が上がり、左手も使って睾丸を刺激してきた。

「っ…あ……な、何か出ちゃうよ……」
「ふふふ、いいんだよ。今から君が出すのはね、
君が幸せになった証なんだから。それを我慢しちゃだめなんだよ?
だから、私の手にいっぱい出してね?」
「で…でる…っ!」
彼女の手淫で私はあっけなく射精した。彼女は私が体を震わせながら射精するのを嬉しそうに見つめながら、
精液を放つ亀頭を右手でグニグニと揉みしだき、更なる射精を促した。

「あ…はぁ……はぁ…な、何だろう今の」
「んぅ…ちゅるる……次はもっと幸せになれるよ?」
激しい快楽で放心している私を見ながら、彼女は手で搾り取った精液を丁寧に舐め取り、飲み下していた。
「へ? い、今のより?」
そして私は彼女の言った、もっと幸せになれる、の一言に
恐怖と期待、両方の気持ちを抱いてしまった。
(これよりすごい事って……)
私は恐怖で鳥肌を立てながら、それでいてさらなる快楽の期待に陰茎を固くした。

「怖いの? 大丈夫だよ。また精液をいっぱい出すだけ。
君は何もしなくていいんだよ? 私が気持ちよくして幸せにしてあげる」
「え…あ…ちょ、ちょっと、待っ…」
彼女はそう言ったとたんに腰を下ろし、私の陰茎は彼女の膣内へと
飲み込まれていった。

「あ…はぁ…な、なにこれ……ほんとに…すご…い」
「当然だよ! それが君を幸せにする一番の武器なんだから!」
私に笑いかけながら自身たっぷりに言う彼女。
そして、彼女は一切動いていないにも関わらず。
膣内に挿入された陰茎は、意思をもっているかのように蠢く膣壁によって淡々と刺激され続けていた。
「ミールちゃん…ま…また……」
「いいよ。私が全部中で受け止めてあげる」
「あっ…あっ…」
私は早くイきたいと思いながら、出来る限り腰を上へ突き上げる。
「大丈夫。気持ちいいのと私はどこにも逃げないよ?」
「ふあぁぁぁ…気持ちいいよぅ……」
我慢する余裕もなく、私は彼女に呆気なくイかされ、膣内の中に多量の精液を放出した。
「うんうん。精液出なくなるまで全部吐き出すといいよ。
それまで私が上に居てあげるから」
彼女との結合部分からピンク色の精液が溢れ出していた。
                ・
                ・
                ・
「……ん…」
「気がついたんだね。おはよう、あ、まだ夜だったね」
少しの間気絶していたのだろうか、私は彼女に膝の上で目を覚ました。
礼拝堂の中は暗くまだ朝にはなっていないようだった。

「どう? 気持ちよくていっぱーい幸せになれたでしょ?
でもごめんね、ちょっとやりすぎちゃったみたい」
「……僕は大丈夫だよ」
「そっか、よかった」

少しの沈黙のあと、私はロウル神父にしたような質問を彼女にした。

「ミールちゃん。僕聞きたいことがあるんだ」
「ん。なあに?」
私は膝の上で彼女を見上げながら聞く。
「どうして君は僕の元へ遣わされたの?」
「……君が神様に選ばれたからだよ。それとも私みたいな天使は嫌だったの?」
「ううん、そうじゃないんだ。ミールちゃんみたいな天使様は僕なんかの所より、
もっと不幸で苦しい思いをしている人の所へ行って、
幸せにしてあげるべきなんじゃないかって」
私の元に天使様が来たという事は、神様が居る事を証明している。
じゃあ、どうして私の所へ天使様が?

「……ねえレイス君。人間にとって神様ってなんなのかな?」
「えっ? そ、それは……苦しい事や辛い事から救ってくれる凄い人かな……」
「ううんそれは違うよ」
「ええっ! じゃあ神様は一体何なの?」
「そうだね、私もそこまで詳しくはしらないけど……
だぶん君達人間と同じような物なのかもしれないよ?」
「僕達……と?」
「そう、神の国にもね戦争や諍いがたーくさんあるの。悲しい事もつらい事も。
それにね……そもそも誰がそんな風に自分達の都合よく神様を定義したのかな?」
「……」
私は何も言葉を返せなかった。私に神の国がどうなっているとか
そんなことはよく分からないけど、
確かに本には良い事をすれば天国に行けるとか救われるとか、
そう書かれているだけで、
本当にそうなのかは誰にも分からない。どうして神様が救ってくれるのかその根本的な確証さえない。


「ごめんね。私こんな事言って君を虐めるつもりはなかったの。
でもね、これだけは信じてほしいんだ」
彼女は語りだす。
「私が君の元へ来たのはね、確かに神様に命じられての事。
さっきはあんな事言っちゃったけど、神様も人間には幸せになってほしいと思ってる。
だけどね、人間は神様に頼ってばかりじゃ駄目なの。
神様の問題は神様で解決しなきゃだめで、
やっぱり人間の問題は人間で解決しなきゃだめ。
だったらどうして私達が存在するのかって問題になるんだけど……」

「ねえ、レイス君はさ、どうして私達が存在するのか分かる?」
「天使様…ミールちゃんの存在?」
「私達はね人間達の問題を解決するのを助けて……幸せにする為、
ただそれだけの為に、神様から命を受けて存在している。
色んな人が幸せになってくれれば、私達も幸せなの」
「だったら余計に分かんなくなっちゃった。
どうしてミールちゃんが僕の所へ来たんだろう?」
「それはたぶん君が……うん、これは秘密にしておこうかな」
彼女は私を撫でながら、悪戯っぽく笑う。


「これあげる」
そう言って、彼女は首にかけていたロザリオを私に掛ける。
「いいの?」
私はゆっくりと起き上がって、自分の首に掛けられたロザリオを見る。
「いいんだよ。しばらく私は君と会えないから。
私達は人間が十八歳になるまでは、一緒に居ちゃいけないことになってるの」
「そっか…じゃあミールちゃん帰っちゃうんだね……」
「うん。でもね…」

ちゅ…と、私と彼女の唇が軽く触れ合う。

「……私はずっと君の事見てるよ。下の初めても上の初めても君に捧げちゃったんだから」
私はベンチに座って動けないまま、彼女を見ていた。
今まで見てきた何よりも綺麗だなと思った。

「じゃあさよなら。優しい君ならきっと皆の神様になれるよ」
そう言い残して、彼女の体から眩い光が放たれる。
私は今度は正面を向いたまま目を瞑った。

私が目を開けた時には、もう彼女はその場から消えていた。
最後の彼女の言葉がずっと頭の中で響いていた。
                ・
                ・
                ・
 そして現在。
「もう行くの?」
「ああ。今度は北の方のメークル教会へ行こうと思うんだ」
私は十八歳になって、再び私の前に現れたミールと一緒に
様々な教会を転々としている。
本当は中央教会からお呼びがかかっていたけど、私はそれを丁寧に断った。
両親はそれを残念がっていたが、色々な噂話を聞く限りでは、お上では様々な派閥抗争や黒い取引があるというし、
なにより色々な所を回って、神父として皆を助けて幸せにしたかったからだ。
それに、もしかしたら同じく天使様を遣わされた人もどこかに居るかもしれない、
教会の話では、今は天使様を遣わされたのは私しかいない、でも……
『私以外にも何人か他の子が、どこか誰かの所に遣わされてるはずだよ?』との事。
彼女一人と私一人では限界がある。だからその他の天使様とその人達と協力できたら、
そしたらもっと人々を幸せに出来るのではないのだろうか?


こうして私はまた教会を出る、出て行く私と彼女を
村人達が畏怖と尊敬の眼差しで見つめる。
しかしそこまで私は偉くはない、皆と同じただの人間なのだから。
天使様が私の元に遣わされた、ただそれだけなのだ。


最後に一つだけ、私には気になることがある。
あの夜、彼女と会ったその後、ロウル神父が姿を消してしまった事だ。
理由を想像するなら、きっと私があの飴玉を食べたから。
確かにそれくらいで彼が消える理由にはならないかもしれないが、
どうしても私の心の中に、疑問が消えることなく引っかかっていた、
もしかしたらミールが関わっているかもしれないと思い
彼女に聞いてみたが、彼女にも心当たりはないとのことだった。

この先、色々な教会を巡る途中でロウル神父に再会できたらいいなと思った。





「ねえ、レイス君」
「なんだい。ミール」
「私は君をずっと支えるよ。だから何かあったら私に話してね? 私を頼ってね?
そうしないと君を幸せにできないから。君も皆を幸せにできないから」
「……約束する」
私達二人は手を繋ぎながら、目的の教会まで歩き出した。 ------------------------------------------------------------------------------