■タイトル:壊れた提灯を拾った・・・とりあえず直そう ■作者:稲月 乙夜 -------------------------------------本文------------------------------------- 暗い
 暗い
  暗い

明かりの無い道――余りにも廃れていて、既に道とは呼べないかもしれないが――を一人、落ち着いた様子で歩く者がいた
これだけの暗闇の中でさえ、どことなく艶を煌めかせている黒髪
これだけの暗闇の全てを持っても、足りない程に深い黒の瞳
暗闇の中に映えて映るその白い・・・壊れ物の様な肌
体つきは華奢で、暗闇の中では――否、たとえ光の下であっても女と見紛う美貌をもっていた
服装は古来よりこの国にあった物では無く、髪と同色の黒いインナーとレギンス
しかしその腰には、この国を象徴する武器ともいえる日本刀が構えられている

言ってしまえば、チグハグだった
女の様な美貌を持って、異国の服を着、日本刀を持っている・・・奇異な男だった
そしてなにより・・・・・・

「・・・・・・暗くて何も見えないな・・・迷ったか?」

暗がりに何も持たずに出てくる程に馬鹿だった
別に男は迷っている訳では無い、道の上をきちんと歩いているし、一直線に道を戻れば宿に付ける事も分かっている

「この辺りだと思うんだけどな・・・」

男は別に酔狂で何も持たずにここに来た訳ではない
声だ、幼い子供の声が聞こえたのだ
泣いている様な、笑っている様な、不思議な声が

「確かに聞こえた筈だが・・・・・・」

昔から、この国ではそういう事がよくある
そういうものに化かされたのだろうか・・・・・・?

「・・・もう少し、探してみようか」

奇人ではあるが・・・人並み以上の優しさは持ち合わせていた
まぁ、結局奇人ではあるのだが・・・・・・

「この辺に・・・・・・」

ちなみにこの男、この辺がどこかすらすでに分かっていない
なんせ、月と星以外に明かりがないのだから、ある意味当然である

「この辺りだと思うんだけどな・・・・・・」

ちなみに、この辺りにいたとしても、相手が何らかのアクションをしてくれないと絶対に気づけそうに無い暗さである
そんな中で・・・・・・男は一つ、消えそうな明かりを見つけた

「あぁ・・・・・・いたいた、君が僕を呼んでたのか」
「・・・・・・・・・・・・」
「いやぁ・・・もうちょっとで雨も降りそうだったし、危なかったねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」

この男の姿を明かりのある所で見れば・・・それは異様な光景だったと思う
男は、拾い上げたボロボロの提灯に話しかけているからである
もちろん提灯はそれに返事をするはずも無いし、むしろ返事をしたら怖いくらいだ・・・

「さて・・・雨が降ってくる前に宿に戻ろうか」
「・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫、大丈夫・・・別に火を吹き消したりはしないよ。僕も帰り道には明かりが欲しいからね」
「・・・・・・・・・・・・」

風も吹いていないのに、わずかに提灯の消えそうな炎が揺れる
それに男は、満足そうに微笑んで・・・・・・その火で道を照らす
火は小さいのに、その明かりに当てられた道は、まるで日中の様にはっきりと見える

「張り切りすぎて、宿に着く前に燃え尽きないで下さいよ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「分かればいいんです」
「・・・・・・・・・・・・」

男が言うと、提灯は静かに光の届く範囲を狭め、男の足元だけを照らす様になる
男はそれを見て、満足げにうなずく
男は抱えている提灯を熱がる事もせずに、来た道を・・・来た道が初めから見えていた様に全く同じ道を戻っていく

宿までの道――と言っても歩いて十数分程度の距離――を歩いている最中、こんな会話があったとか
いや、この場合は会話ではなく独り言だろうか・・・

「ねぇねぇ、君はどの辺から来たの?このボロボロさ加減は相当遠くから来た見たいだけど」
「・・・・・・・・・・・・」
「この辺の破れ方とかさ・・・猫にでも引っかかれた?」
「・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫だよ、君悪い妖怪でも僕は関係無く助けてあげるからさ」
「・・・・・・・・・・・・」
「そうそう、君は安心して・・・休んでるといいよ」
「・・・・・・・・・・・・」

ゆらゆらと小さな火が揺れて・・・赤かった炎が静かに淡い青色に変わっていく
それから、男は少し弱くなった光を抱え込む様にして宿に向かった







男は宿の一室で提灯を直していた
それなりに広い部屋に、明かりは机の上の油皿一つだけだ
破れた紙を貼り直し、折れた骨を付け替え、油を新しくして、持ち手も変えた
修繕された提灯は新品同然で、先ほどまで壊れかけていたと言われても誰も信じないだろう

「うん、こんなとこかな」
「・・・・・・・・・・・・」
「書いてあった家紋までは再現出来なかったけど・・・使う分には問題ないか」
「・・・・・・・・・・・・使うの?」
「使うよ?」
「本当に?」
「道具っていうのは使ってこそ価値のある物だからね」
「じゃぁ・・・・・・」
「まぁ・・・・・・とりあえず言わせてもらいたい事があるんだけど」
「・・・何?」
「その姿のまま喋ってると、僕が変人みたいにみえるんだけど・・・」
「・・・壊れかけてた私を直した時点で既に変人」
「ひどい言いようだね・・・・・・」
「事実」
「割と毒舌だなぁ・・・・・・はは」
「私は・・・甘党」
「・・・・・・論点がズレてるよ」
「・・・・・・そう?」
「うん・・・・・・ところでさ」
「・・・?」
「そろそろ別の姿になってもいいんじゃない?」
「・・・///」
「いや・・・なんでそこで恥ずかしがるのさ」
「・・・・・・服、着てない」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「いや、なんで直したのに服がないのさ」
「・・・・・・脱いだ」
「いつの間に!?」
「初めから・・・何も着てない?」
「・・・なんで疑問形・・・・・・」
「脱ぐ?」
「着てないんじゃなかったの?」
「あれは・・・冗談」
「心臓と本能に悪いね・・・・・・」

気が付くと、膝の上に乗っけていた提灯はまだ幼さの残る少女の姿になっていた
一応言っておくが・・・ちゃんと服は着ている・・・あ、こら、舌打ちするなそこ!
・・・・・・まぁ、別に裸でも問題は無かったんだけど、服作るか買うかするだけだし

「・・・・・・使う?」
「ん・・・・・・そうだね」

男はそう言って、机の上の明かりを消す
部屋が暗闇に覆われる

「・・・・・・ねぇ」
「何?」
「真っ暗なんだけど」
「うん」
「明かりは?」
「・・・・・・・・・」
「もしかして、油が悪かったりした?」
「・・・・・・ぅ」
「え?」
「油・・・ちがう」
「・・・・・・それってどうい―――」

ドサッ

「え・・・・・・えっと?」
「このままだと・・・寒い」
「それは君が脱がしてるからじゃ・・・・・・?」
「ちゃんと・・・温めて」
「僕が温める側!?」

押し倒された
・・・いつの間にか、服は全て脱がされている
そしてあちらさんも既に脱いでいる・・・いつの間に

「燃料・・・頂戴?」
「燃料って・・・・・・ぁ」

キスをされた・・・
舌が口内に入ってきて、口の中全てを舐めまわす様に動く
正直、かなりくすぐったい

「ん・・・ちゅ、ちゃぅ・・・・・・ぅぅちゅっ」
「んーっ、んぁ・・・っぷはぁ」
「もっと・・・」
「ちょっと待って」
「やだ」
「いや・・・・・・待ってよ」
「もう・・・我慢できないもん・・・」

男は体を動かそうとするが、その小さな体躯のどこにそんな力があるのか・・・押さえつけられた体は小さな少女をひっくり返す事が出来ない
むしろ少女は抵抗されればされるほどに押さえつける力を強くしている様にも感じる

「挿れるよ・・・?」
「だから・・・待ってと・・・」
「だめ・・・もう挿れるもん」
「う・・・っ・・・くぁっ」
「あ、はぁ・・・ふぅぅ、はぁっ♥」

少女の恥部に男のモノが呑まれていく
ソレが奥の壁に突き当たると同時に、先ほどまでの力が嘘の様に少女の力が弱まる
抵抗しようと力を込めていた男の上半身が腹筋した様に上がり、少女はその勢いで床に俯せになる

「はっぁぁぁぁぁぁぁぁ♥」
「っく・・・ぅぅぅぅ・・・ぁ」
「はぁ・・・ん、最後まで・・・使って、下さ・・・ぁ、い・・・くぅ、ぁ」
「・・・・・・っっ」

男は本能に抗おうとするが、ソレの切っ先にあたる暖かい木漏れ日の様な心地よさと下腹部にあたる砂漠のような暑さと枯渇が欲望を掻きたてる
男の腰は無意識の内に前後に動き、その手はしっかりと少女の腰を掴んでいる

「っどうなっても・・・知らないからなっ!!」
「はひっ、壊れるくらひ・・・激しく、使ってくらさい・・・・・・」
「はぁっ・・・・・・はぁっ、うぅ・・・ぁ」
「じぇんぶ・・・なかに・・・・・・そしょいでくらはい・・・・・・っ♥」
「っく・・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぁ・・・ひぁぁぁぁぁぁぁっ、ぁ、あちゅいのがぁ・・・なかに・・・ぅぁ」

頭の片隅にスパークの様な白い閃光が走った様な感覚と共に、急激な射精感を感じる
当然、男がそれに耐えうるわけも無く・・・少女の膣内にその劣情を全て吐き出した

「っく・・・ぅ」
「は・・・ぁぁ・・・ん、ふふ」
「ごめん・・・まだ足りない・・・」
「らいりょうふれふ・・・もっと、つかってくらさい」

少女はその幼い姿に似合わない妖艶な笑みを浮かべて
呂律の回っていない口調で、さらに男を求める

その晩、二人は朝焼けの日が感じられなくなるほどに明るくなるまで交わり続けたとか・・・
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