■タイトル:主人と従者 ■作者:zeno -------------------------------------本文-------------------------------------
ヴァンパイア……それは血を吸う魔の者…高潔な種族…
人々に恐れられる者の代表格と言ってもいい。それが…私だ。

「御嬢様……すみません…少々遅れましたが、アフタヌーンティーでございます…」

昼頃…日の下で活動することができない私は、カーテンで閉めきった薄暗い屋敷で午後の茶を楽しむ。本来なら必要としない食事だが、夜になるまで表立った活動ができない私は…寝るぐらいしかやることがない。しかし、それでは少々味気ない……そう思ってのこの食事という嗜みだ…。人間の作る物は案外と美味だ……精液には及ばないがな…

一人の男がテーブルで待っていた私の手元に、紅茶を置く。
顔の形は整っており、成人ではあるがどこか幼さのようなものがある…格好良いとは少し違う若者だ。

「……ふむ、味は良いな…だが、少々と言うにはいささか遅すぎると思うのだが…?」

正午に味わうはずの茶は…長針が6のところで止まっている……ようするに30分ほど遅れたというわけだ…

「す、すみません!! あの、掃除に少々手間取ってしまいまして…」

「その掃除というのは、窓の隅に埃が残っていたあの部分でのことを言っているのか?」

彼…私の従者である男のアルフは私の言葉に尻込みをする…

「全く…掃除などに手間取って午後の茶の時間が遅れ、挙句に埃が残っているなど………これは…罰を与えねばなるまいな…」

従者たるもの、常に主が満足するように計らい、主のために尽くす。掃除が長引き、茶の時間が遅れた挙句に埃が残っていたなど…従者にあるまじき怠慢…

「そ、そんな…お、御嬢様……お、お慈悲を!!」

「私の眼を見ろ…」

彼の声を待たず、彼に命ずる…眼を見ろと命令すれば、何をせずとも見てくれるぐらいには調教してある。

「は、はい…」

彼も口を閉じ、素直に私の命令に応じた。

そして私は瞳に魔力を込める…簡単な誘惑(テンプテーション)だ…高潔な種たるヴァンパイアには造作もない……
内容は……何にしようか……考えるだけでも濡れてしまう…

この可愛い従者に、何を命じようか…

「まずは、私の足元に座るがいい…」

「あ……あぁ…」

誘惑が効いてきたのか、座っている私の足の目の前で行儀良く座る。
さらには命令しているわけでもないのに従者は涎を垂らしながら私を見つめている…その姿はなんとも…嗜虐心をそそる…

「では、まずはお前のその汚らしいモノを出せ…」

「はい…」

私が口でそう言うだけで、彼には抗えない魅惑の命令と化す…それがたまらなく私に嗜虐の快楽をもたらす…
舌なめずりをした私を彼はどう捉えたのか、被虐の快楽を想像しているのか…その汚らしいモノは隆々と首をもたげていた。

「ふふっ…♪ 相変わらず、大きさだけは並大抵の物じゃないな……」

「あうっ…!」

ハイヒールで、軽く彼のペニスを蹴ってやると…ビクビクと脈動している。どうやらこれからすることに期待しているようだ。
隠してるつもりなのだろうか…表情の奥底に見えるぞ…お前の欲望が…

「では、私の足を使って自慰をしろ……もちろん、私は足を動かさない……お前の頑張り次第だがな…♪」

「あ…!! おじょうさまぁあ!」

抗えないこともあるだろうが、もはや私の与える快楽に我慢することができなくなっている節が見られる…必死に腰を動かして私の靴にその欲望の塊を押し付ける姿は、たまらない充足感を私に与えてくれた。

「くく…くははは!! なんと…無様…惨め……変態…♪」

「はぁ…はぁ…御嬢様……あうっ!…」

今…変態と言ったら反応したぞ……♪
なんと恥ずかしい…♪

愛しい…そんなお前が愛おしい…早くインキュバスになってはくれぬものか……そうすれば私も体裁なぞ気にせずに愛を注げるものの…

「興が乗った………特別に直接足で嬲ってやろう…そして、射精する時は私のココに出すのだ……」

ハイヒールを脱いで、両足でアルフのペニスを包み込む……そのまま、私はスカートの奥…ちょうど膣口に当たっているパンツの布地を横にどける…

「おじょうさま……はぁ…ああ!!」

無様に声を上げて…女子みたいではないか…
さあ、さあ……早くお前の精液を出してくれ…!

「どうした…? ビクビクと脈打っているぞ……足で弄られて射精してしまうのか…?」

片方の足の裏で亀頭をぐりぐりと撫で、もう片方の足の指で裏筋をなぞる。次第に脈動が早くなっていき、先走りで足がぬるぬるになってしまっている……

「おじょうさま……も、もう……!!」

期待感に胸を躍らせる。だが、私はヴァンパイア……今は人間であるアルフにその胸中を見せることなどプライドが許さない…
今のこいつに私の心を探るほどの余裕があるとは思えんが…とにかく、人間には決して本心を見せない…見せたくない…

「ほら…早く出すがよい……ちゃんと狙うのだぞ…? 私の秘所を……」

「は、はいっ!! お…じょうさ……まぁ!!」

そして、彼は白濁を私の秘所に向かってぶちまける……
精液の甘美な香りが鼻腔をくすぐる……本来なら狙えるほどの余裕はない…しかし、誘惑にかかった彼はそうせざるをえないのだ。簡単な部類の術だから本当は抗えるものの、快楽で頭を塗りつぶせば抵抗はできない。

「はぁ……んっ……濃い精液だな…んはぁ……きも…ちいい…」

ぐちゅぐちゅと…私は膣口に貼り付いた精液を指で掬い、それを膣内に入れて弄った…
人間との性交はプライドが許さない…だけど、愛する者の精液を自らの中に入れたい…そんな思いから生まれた行動だ。

「お…おじょうさまぁ……」

一瞬だけ油断したためか、誘惑が解けて動けるようになってしまったようだ。明らかに手は私の秘所へと伸びている…

「誰が私の許可なく手を伸ばして良いと言った?」

私はその手をはたき、再度彼の目を覗きこむ……今度は強烈な誘惑をかけた。

「さらに罰を追加されたいか………わかっているな?」

強い誘惑をかけたせいで、彼は恍惚の表情を浮かべながら頷く…

「ほら…私の足を舐めろ…丁寧に…丁寧にな…」

「ふぁい…ちゅぷ…ちゅぷ…」

私が足を彼の口元にやると、彼はいっそう嬉しそうに私の足に触れ、足の指を口の中に入れる。
これも私が教えたことだ……親指から小指まで、優しく、満遍なく、丁寧にしゃぶらせる奉仕だ。
随分と上手くなったものだな…

「私の足をそんな美味しそうにしゃぶって……恥ずかしくないのか…? この変態…♪」

しかし、思っている事とは違うことを言ってしまう……
だが、それでも悦んでいるのだし、まあいいかとも思う…

「おじょうさまの足ぃ……おいひぃれす……」

全く…そんなに美味しいものなのか…
本当に美味しそうに舐めて……私も昂ぶってしまう…

「ん…はぁ……もっと見せろ…お前のみっともない姿を…あはぁ…♪」

だんだんと精液が付いた指での自慰の激しさが増していく……
手首まではいってしまうのではないかと…どんどん精液を奥に送る。ぐちゅぐちゅと薄暗い室内に響く私が自分の秘所を掻き回す音…

「はぁ……はぁ……♪ そうだ…そのまま続けろ……そのまま私がイクまで…!!」

「はい!! おじょうさま…ちゅぷ…れろれろ…!」

イク…イってしまう!!
愛する下僕の精液で……愛する未来の夫の精液でぇ!!

「あ…はぁぁぁン♪」

ぷしゅ…そんな音がたつと思うような勢いで潮が吹き出る……彼の顔を汚してしまい、床も汚してしまう。

「あはぁ………んふ……私のをちゃんと綺麗にしろ…」

私がそういうと、命令どおりに秘所に手を伸ばし、膣を舌で舐める…精液と愛液と潮の混合液を舐めとり、命令してもないのに床に付いた液体
にまで舌を伸ばしていた。

「よくできたな……♪」

「あ、ありがと…ございまふ…ふう…」

あまりの誘惑と奉仕の快感で呂律が回っていないのか…
変な言い方に少し笑ってしまう

「そこの掃除が終わったら、自由にしてていいぞ。また夜に呼ぶ」

彼の承諾の声を背に、私は席を立ち、自室に戻った。













やがて、日は落ちる…
私達ヴァンパイアが活動できる時間だ。しかし、今宵はコレと言って外出する用事もない。

自室のテーブルで静かに茶と菓子を楽しみながら、従者を呼ぶ。

「来たか……さあ、そこで待て」

「は、はい!」

座ってる私の目の前で彼を立ったまま静止させる

「ふふ……毎夜のことだ…そう固くなるな…」

緊張しているのだろうか、席を立ち、ガチガチになっている彼の頬を撫でる。
そうすると、さらにガチガチと身体を強張らせた…
頬から胸に…股間にスルスルと手を滑らせていく…彼の緊張と興奮が手から伝わる…
息遣いも…どれほど待ちわびていたのだろうな…

「さあ…今宵も馳走を頂くとするか………どうされたいのだ…?」

「え、どど…どうされたい…って……?」

瞳に魔力を込め…言う…

「そのままその身を捧げるか……それとも私に縛られて…強制的にその身を捧げるか…どちらにせよ捧げることには変わらないが…人間でいうところのシチュエーションと言ったところか…? さあ、どちらがいい…」

股間を撫でながら言う………

……ふふふ♪

強制的にその身を捧げるで…ビクンとモノが反応した…

「おや…♪ まさかお前は…主に束縛されて悦ぶマゾというわけか? それとも…私の束縛という餌に釣られる犬というわけか…どちらにしろ変態という言葉がしっくりくるな…」

「あう……」

図星か……顔を真っ赤にして……

「だが、私も悪戯に魔力を消費するわけにもいかない……昼にも使ったからな…だから今回は使わずに…」

もちろん嘘だ。たかが誘惑如きで枯渇する魔力なぞ持ちあわせてはおらん……焦らせるように、ゆっくりと…そう伝える。

「ああ…ああ!! お、御嬢様に……束縛されたい…です…!」

興奮を抑えられなくなったのか……声を上擦らせ、情けなく懇願する…
その返答を…私は待っていた…

「そうか……♪ では、私の眼を見ろ……」

彼の両側の頬を両手で優しく挟む……そのまま、彼の瞳を覗き込む。彼の瞳には…妖しく輝く私の瞳が見えた……

「命令だ……私にお前の血を捧げよ…」

告げる…それは昼のお遊びで使うような誘惑という可愛いものではない。
それは鎖…絶対的な命令という鎖で縛るものだ。一度これを相手にかけたら…その命令を遂行するまで解くことはできない。契約にも等しい呪縛だ。

「は…い…」

意識だけは残してあるし、話せるようにもしてある。だが、身体は動かない…
その状態であることに興奮しているのか…彼のモノはより一層ビクビクと脈打ち始めた…

「では……頂くとしようか…」

彼の首を露出させ、唇でまず首筋を優しく食んでやる…
吸血においても前座は大事だ……

「はむ…んむ……ちゅ…」

次に牙を突き立てるところを舌で丹念に愛撫する……
さらに、彼の股間への愛撫は忘れない。
手を彼の下着の中にまで進入させ、まずは竿を軽く撫でる。そのあとは裏筋…鈴口まで指を滑らせ、不意打ちに思いきり亀頭を掌で握った。

「ふぁ…あ、ひい!? お、おじょ…さま……ぁっ!」

まだ牙を当てずに、首筋にちゅうちゅうと吸い付きながら、ただ亀頭のみを愛撫する。
時には握り、時には五指でくすぐるように刺激を与える。

「ちゅぴ…ちゅぷ……んふふ…♪ ち、ちゅううう!!」

吸血の快楽を待ち望んでる彼にはただ吸うだけというのは文字通りの生殺しだ。さらに亀頭のみの刺激ではいくら脈動が早まってもイクことはできない。

「あ…あぁぁ!! ぐっ…があぁぁ!?」

ただただ追い討ちの様に続く刺激に、段々と喘ぎに苦しみの色が浮かぶ…
仮に私が射精するように責めたとしても、一言、イクなと命令すれば意思など関係なく、イクほどの刺激を与えてもイクことはできない…

させるもさせないも自由自在……

「さあ……お前の口から聞かせてくれ……お前はどうされたい?」

彼の理性の中にある最後の堰を壊すように…首筋に歯を当てる。

「御嬢様……御嬢様の……その口で……血を…卑しい従者の血を吸い取ってください!!」

大声で……懇願した…

「では……戴くぞ……お前の血…」

私もこれから味わう吸血の快楽に期待している……気丈に振舞っているものの、下はもうびしょびしょだ…

「はむ……じゅ…じゅるるるる♪」

牙を深く、首筋に刺し…溢れ出る血液を啜る……
これだ…この味……この感覚……キモチイイ…♪

「あひぃぃ……血、血がぁぁ…あああああ!!!」

身体を痙攣させたかと思うと、私の手の中に白濁が発射される…焦らされたことによる余程溜まっていたのか、その量は片手などでは収めることはできなかった…

「んく…ごくっ…ぷはっ…こら…出してもいいが、もったいない出し方をするな……あ、まだ血が残って…れろ…ふふふ…♪」

血を吸った後、少し顔色の悪くなった彼の呪縛を解き、その場に寝かせる。
手に出された白濁を啜り、彼のモノを露出させるとビクビクと脈打ちながら…未だに少しずつ鈴口から精が漏れ出ていた。

「全く…主に手間をかけさせるとは…とんだ従者だな……はむっ♪ ちゅううう!」

彼のモノを喉奥まで飲みこみ、周りに付着した精液も、尿道に溜まった精液も、全てを吸い取る。
刺激を受けたその肉棒はまた勃起し始めた…

「は、はげ…し……」

たった一回の射精でもう疲弊したか…
だが……吸血の快楽で私も昂ぶってしまった…これを鎮めるまでは…責めさせてもらうぞ…

「何をしている……私も気持ち良くさせろ…」

「うぶっ!? ぷはっ…おじょうさ、ま…んむう!?」

服を脱ぎ、仰向けに寝ている彼の顔を秘所で押し潰すように覆った。そのままグリグリと腰を動かし、快楽を貪る。肉棒をしゃぶることも忘れない。

「ほらほら…早く私の蜜を舐め取らなければ窒息してしまうぞ?」

息ができなくなるように鼻と口を隙間がないように塞ぐと、彼の苦しそうな呻き声が私の秘所に振動で伝わってきて…
その振動が私に快楽を与えてくれる…快楽に蕩ける姿も、快楽混じりの苦しさに呻く姿も、全て私のものだ…

そう…私のもの…

「御嬢様…おじょう…さまっ…ふあ、ああああああ!!!!」

また彼は絶頂を迎える…やはり吸血したよりかは少ないし薄い……

「誰が休んで良いといった? 命令だ…私が満足するまで舐め続けろ」

継続している呪縛で命令する。
命令された彼は私の指示通りに動くしかない。彼は懸命に舌を動かし…私に快楽を与えてくれた

「んっ…そうだ……そこを優しく……いいぞ…」

本当なら彼の舌で満足したくはない。本音を言うのなら私の目の前にある彼のモノを私の中に埋め、掻き混ぜたい…
しかし、それは許されざる行為……汚らわしい人間とヴァンパイアである私はその一線を越えることはない。
だから、私は満足することができない。本当に、彼がインキュバスになる瞬間が待ち遠しい…

私への奉仕は…夜が明けるまで続いた。



















そんな淫らな日々を送り続け、おおよそ1ヶ月…その間、私は彼に外出を許してはいない。
そんなことは許さない。彼が何故?とたまに訊いてくるが、上手い理由が思いつかず、とにかく駄目だ! と私は言うしかなかった。

本当は愛しているからなどと、口が裂けても言えない…彼は人間なのだから…

「御嬢様…朝食の後は……」

廊下で、彼は私の一歩後ろからついて行く。
いつも人間に対して斜に構えた態度を取る私への配慮なのだろうか…
まあそんなことはどうでもいい……問題はこの一ヶ月…毎日のように吸血をしているものの、彼はインキュバスにならない…

個人差はあるのだろうが、本当にこれほどなりにくい人間がいるというのも驚きだ。
それはそれでじっくりと調教するという楽しみもあるのだが……もどかしくなるばかりだ…

「ん…? ああ、私は普段通り部屋で夜を待つ。お前もここから出ようなどと考えるな……私にはお前の行動は手にとるようにわかるからな?」

屋敷全体とまではいかないが、窓と扉に関しては私は魔法による監視をしている…万が一にもこの従者を逃さないためだ。

「まあ、お前がここを抜けるなぞ、ありえないこと…だ………と…」

あ…れ……わたし…は………

「御嬢様!!?」

彼の叫びが聞こえる……
なんだ…? 力が入らない………無様に倒れている………私の体を巡る魔力も乱れている…
まるで…日光の下にいるように…そんなはずはない。遮光は完璧のはずだ…

「御嬢様!! 御嬢様!!」

「さ、触るなっ…!!」

手を差し伸べてくれた彼を反射的に突っぱねてしまう……
一瞬の虚脱感に倒れてしまったが、力が全く入らないわけではないみたいだ…およそ人間の少女程度の力といったところか…
しかし、なんだこの感覚は……思考がブレる………体が疼く…
朝食にニンニクなぞ入っていないはず…だが、私が感じてるのは恐らくソレだ…
ダンピールの存在も脳裏に浮かぶが、そもそもそんな者が近くにいれば気づかないはずがない…

「御嬢様……」

私が突っぱねてしまったためか、彼はこれ以上私に手は出さず、すぐに私を部屋まで運び、ベッドを寝られる状態にした。

「……はぁ…うむ…助かる…」

気丈に振舞おうと、それだけ告げると…私は疼く体を抑えるようにベッドで顔を隠しながら横になり、寝てしまった……
















それから1ヶ月、二ヶ月と時が経つ…

あれ以来、体の疼き……はたまた一時的な脱力は日を追うごとに頻度を増し、私は吸血鬼でありながら、人間のように生活していた。
魔力も上手く制御できず、体は雄を欲しがり、それでもプライドが許さず…私はアルフと距離を置いてしまっている。
このままでは私はいつ、性欲に負けて彼とシてしまうかもしれない……それは許されない…なぜなら、私はヴァンパイアだから…

しかし、そう思うと決まって体が疼く……欲しい…欲しいと下着が濡れる……喉が渇く……
血もあれから吸っていない…今、魔力を扱えない私は彼に魔力を注げず、吸血において痛い思いをさせてしまうし、インキュバスにもできない……しかも吸血の悦楽で私のタガが外れてしまえば当然のように私は彼を受け入れてしまうだろう……

それだけは避けなくてはならない……



それと、疼きと脱力感のほかにも、吐き気や倦怠感……といったものを感じることが多々ある。食欲はそれほど衰えてはいない…むしろ増えている傾向にあると思うのだが……
……それだからなのか、最近まともに動いていないせいか…腹回りに肉が付いた気がする…少し重い……鏡で確認しようにも、厄介なことにヴァンパイア…つまり私の姿は鏡に映らない…唯一の不便なところと言って良いかもしれないな…

「御嬢様…朝食をお持ちしました…」

そう、畏まって自室に入ってくる私の従者……ドクンッ……と、体がより一層疼いた…

「ん………朝食を片付けたら、いつも通り屋敷の掃除だ。終わったら屋敷内でなら自由にしていい…」

私の疼きを気取られぬように、低い声音で話す。

「……はい…」

一方、彼も暗い雰囲気だ……心配してくれているのだろうか………私とお前は、搾取し、される関係だというのに……

「心配するな……体調が優れないというだけで、何も死ぬわけではないのだ…」

従者を心配してしまっては、主失格だ。
少しでも彼を安心させようと、声をかける…彼はそれに柔らかな微笑みで返してくれたが…その心の内は私にはわからない…
朝食を終え、彼は皿を下げ…私の部屋から出た……

未だに体調が優れない……またベッドに身を投げる……

「んっ……彼がこの部屋にいるだけで…こんなに濡れるのか…」

秘所に指を這わすと、くちゅりと聞こえ……一撫でしただけで指に愛液が尋常ではないほどに絡む……
部屋に残る彼の匂いが、更なる興奮を呼んだ。

体が疼く……欲しい……彼の精液が欲しい…繋がりたい……

「こんなのは…ただの病気だ……どうせすぐに治る……少ししつこいモノにかかったにすぎない……」

そう、自分に言い聞かせ…私は火照る体を抑え…眠った…














そして、あの日から4ヶ月が経つ……

「か……あ……んく……」

ベッドの中で一人悶える……
あれから、さらに疼きと虚脱感は増し、もはや私に休まる時間はなかった。
魔力を注ぎ込めず、一度血を飲んでしまえば私は乱れ、彼を自らの中に導いてしまう…そんな確信があったから…吸血もしていない…

喉が渇く…体が疼く…熱い…

渇く…疼く…枯れる…焼ける………欲しい……欲しいっ…!!

「だめ…だ……そんなことをしてしまったら……私は……」

アルフは今も変わらず私の世話をしてくれる…だが、今の私は平常のまま彼を気遣うことはできない。
本来必要ない食事もやめ、私は従者と接する時間を限りなく切り崩した……

夜……本当なら私の活動時間なのに…一向に力は戻らない……

(この病気は……私から吸血鬼の力を奪う病気なのだろうか……)

ふと、そんな考えが頭をよぎる。冷静になって考えれば、だったらこの疼きはなんだという説明がつかないのに…
しかし、事実…力は一向に戻らない……魔力も乱れ、屋敷内のアルフを感知することもできない……

(私が力を失えば……あいつは自由の身だな…)

どうせ、彼は心配なんてしていない。ちゃんと世話をしないと、治った時に後が怖いからだ……
私と彼はそれぐらい距離が離れていると思う。

(何せ、私は彼を無理矢理ここに連れ込み、無理矢理従者にし、無理矢理精を搾っていた。 吸血に関しても、ただその場の雰囲気に流されているだけで、ほんとは後になって恐怖に震えてるに違いない……)

私は、彼を愛しているなどと表に出したことはない。そう、私と彼は…主と奴隷のような関係なのだ……
そんな関係の中、一体奴隷は主からどうやって愛を知るというのか……無理に決まっている…

一度卑屈になってしまえば、その後の思いは連鎖する…

(私が力を失えば、彼はきっと私のことを捨て……家に帰るのだろう………もしかしたら、私に手酷く復讐をして帰るかもしれない…)

それは……いやだ……

「アルフ……いや、いやぁ……ん…はぁ…くぅっ……」

いやだ、それだけはいやだ………

「捨てないで……一緒にいて……アルフ…アルフぅぅ!!」

声がでてしまう……ぐしょぐしょになった秘所をかき回し、陰核を爪で摘む……それでも足りず、グリグリと捻る…押し潰す…扱く…
中指と人差し指の第一関節を折り曲げ、気持ち良いところを引っかく……

「お願い…くはぁ…!! そばにいてくれ……見捨てないでくれ…!! 愛してる……だから…!! 」

自分でもまるで別人だなと思えるぐらい、あられもない喘ぎをあげながらここにはいない従者に懇願する……

「足りない……欲しい……アルフ……ん、あ、あ、……んあぁぁぁぁ!!!」

ブリッジをするように腰を上げ、潮を噴出し…絶頂する……

「いか……な……い…で……」


そのまま……私は虚脱感に浸り……そのまま……


ガタッ……



「っっ!!? だ、誰だっ!!!?」

まさか、聞かれてしまった…?
この屋敷に住むのは私と……彼しかいない………

「……………逃げようとは思うな…!! 素直に降参し…部屋に入れ……」

暫く経っても部屋に入ってこないため……命令する。命令には素直に従ってくれるのが彼だ…そのまま気まずい……だが、頬を染めた表情で彼は部屋の中に入った。

「……聞いたな……?」

「あ…あの………な、なにも…ただ通りかかっただけで…」

「主に嘘を吐くか……!! 正直に答えろ…!!」

ここで彼が嘘を吐くのはわかっている……どれほど長くいると思っているのだ…
例えお前は私のことを見ていなくても…私はずっと見ていたのだぞ……

「…行かないで……アルフ…そう聞こえて……」

案の定……聞かれていた……
私は……ヴァンパイア……誇り高き高潔な種族なのに……

「………分かっただろう…お前の主とはそういう魔物だったということだ。 散々お前から奪い…血を吸い……縛って……慰み者にする……歪んだ愛情でもってお前を襲う浅ましい魔物だ……」

そして、今まで愛を伝えず、燻り続ける愚かな女……

「幻滅してくれていい……なんだったら復讐してみるか? 私を討ち取るまたとないチャンスだ……こんな愚かな女に縛られて、嬲られてきた自分を恨むなら、その恨みを私で晴らせば良い…肉奴隷にして慰み者にするか? それともただただ嬲るか? 好きな方を選べ……」

涙がこぼれる……こんなもの……見せたくないのに………

「御嬢様………」

彼が近づいてきた……さぁ、怒れ……怒るがいい……それが私のできることなら、甘んじて受け入れよう……

「そんなこと…言わないでください……御嬢様は優しく、気高い方なのですから……」

そんな私の思惑とは正反対に…彼はベッドに乗り、私の首に手を回し、抱いてくれる………

「幻滅も何も………自分は……御嬢様のことが…好きなんですから……」

「………ある…ふ…」

ぼろぼろと涙が流れる……
いや、こんな姿見せたくない……私は彼の主で……私は………私は……!!

「ずるい……主より先に……思いを伝えるなぞ……生意気だ………」

私は……彼を愛した女だ……主なんて……ただの私のプライド……見栄だ…

「お、御嬢さ…」

「敬語は禁止だ……私のことを対等と思え……名前で呼べ……」

彼の背中に腕を回し……伝える…

「………アイシア…」

「………アルフ……好きだ…」

思いを伝えた瞬間、私の中の欲望が……今までせき止めていたものが決壊し、溢れんばかりの欲望が…疼きが……渇きが……

「アイシア……駄目だ…僕……もう限界…で…」

そうか…アルフは私の自慰を聞いていた……ずっと収まらずにいたんだろう……

「ああ、アルフ……命令…んん、違う…お願い……!!」

私は仰向けに身を投げ出し……濡れに濡れて洪水となった秘所に手を当て、開く……

「私の初めて……アルフのソレで………貰ってくれ……貫いてくれ…!!」

求める……彼の愛を求める……
欲しい……早く………早く!!

「アイシア……入れるよ……」

「くっ…ぁ……はぁ……ぁぁ……❤」

アルフが…私の中に……
そんな、まだ先端が進入してきただけなのに…頭が…痺れて……こんなの……知らない…

「アイシア……なか、すご………うっ……あぁぁ…」

ズブズブと私の中に侵入してきて……擦れて………何かがブチッと破れたというのに快楽が頭に響く…
これが…性交……セックス………愛する人と繋がる行為…

「ああ…嬉しい……愛するものと繋がることとは…こんなにも……幸せなことなのか……」

今まで、馬鹿みたいに種族のプライドを守っていた自分が本当に馬鹿らしく思える……
わかる……アルフの愛が伝わる……響いてくる…

「あ、アイシアっ! 血が……!」

彼は私の秘所から流れる血を見て、動きを止める…
止めるな…突いてくれ…

「だ、大丈夫だ…痛みなどない…!! だから……もっとシてくれ…!」

彼の腰を足で捉え、引けなくする…

「くぁ…アイシアの中…締め付けてくる……襞が絡み付いて…!!」

「ば、ばか…! 恥ずかしいから……そんな…中の感想なんて言うなぁ…///」

恥ずかしいのに……そんな言葉が嬉しくて…もっともっと気持ちよくなって欲しいと思ってしまう……この滾る彼の分身を味わいたいと思ってしまう…!

「あ、アイシア……も、もうっ!!」

彼の肉棒がびくびくと痙攣して…出すんだな…私の膣内で…!!

「射精しろ…! 私の膣内で……精液を…私にぃ…!!」

彼が激しく声を上げると、ドクドクと精液が私の中に注がれる…
その感触は…実に甘美で…

「っ〜〜〜〜!!! はぁ…あひ……ぁ…」

何ヶ月も待ちに待ったせいか、精液が私の中で暴れるのを感じてるだけで体が痙攣し、何を叫んでるのか自分でもわからない。
絶頂がいつまでも体中を駆け巡り、治まることがない……

今、私はどんな顔をしているのだろうか…
彼の前で情けない顔をしていないだろうか……

「……アイシアがそんな顔するなんて……イってる顔…可愛いよ…」

私の頬を撫で、そんなことをアルフは言ってくる…

「やぁ……いうなぁ…/// みるなぁ……///」

必死に顔を隠そうと腕を覆うが、未だに人間の少女同然の力の私は彼の腕ですぐに解かれてしまう……

「ふん…お、お前こそ…私がそこまで動いていないのにイキおって…この早漏……!」

悔し紛れに言うと、彼は図星を突かれたようにウッと呻く…
ついでに彼のモノもビクンっと揺れた…

…やはり…アルフは…

「お前は…こんな時にまで罵られると感じる変態なのか……」

呆れながら言うと、また彼の肉棒はビクっと動く…

「え、あの…その……ご、ごめん…」

彼の力が一瞬だけ抜ける…その隙を見逃さなかった……

「うわっ…ちょ、アイシア!?」

彼を押し倒し、騎乗位の体勢に移る…
いつまでもさせっぱなしでは、私の…魔物としての意地が許さない…それに、こいつのモノも…こうするだけで悦んでいるように感じる…

「どうした…お前のその剛直、は……こんなにも……震えているぞ…射精し足りないのであろう?」

快感にも慣れたし、どうすればこいつが感じるか、そして腰の振り方も大体掴めた……

「アイシ…ぐぅっ!!?」

入り口をきゅううっと締め付けて……襞の一枚一枚をざわめかせ、絡みつかせ……腰を捻る…

「ほらほらぁ…!! 良いのだろう…これが良いのだろう!?」

「ぎ、ぁあ!!? は、激し、いぐぁああ!?」

ああ、たまらない……彼のモノが私の中で擦れていく感触…震える感触…
彼が顔を真っ赤にして喘いでいる表情……その全てがたまらない…

さらに…上下に跳ねれば…お前もたまらぬだろう…?

「あ、アイシアぁぁ!! も、もう…これ以上はぁああ!!!?」

「まだだ…私は満足していないぞ…! ああ、渇く…こんなにも繋がっているのに…まだ渇く……!!」

何ヶ月も待ちに待った肉体はまだまだ快楽を欲しがっているようだ…
だがそれ以上に…私は……

「うわっ。ちょ、どうしたの…やっぱり疲れて…うぎ!?」

騎乗したまま上体を彼と重なるように倒し、彼の分身と共にきつく抱きしめる…
…渇く…喉が渇く…

「だめだ、我慢できない…欲しい…! アルフ…良いか!? アルフの……血…!!!」

私の懇願を訊いた彼は優しく私を抱きしめてくれて、首筋を私の口元に寄せてくれた…
もう、前座など待てない…

そのまま彼の首筋にはしたなくもかぶりつく。

「ぐっ……そうだよ…ずっと……吸ってないんだよね…その分、いいから……!!」

「うん…!! うん…!!  じゅ、る…はむ…れろ…ちゅるる…!! んんん…ち、ううううう!!!!」

何ヶ月も待った吸血……彼の血は一瞬で私の体中を駆け巡り…渇きを満たしてくれた…

「気持ち良いよ…アイシア……もっと…吸って…!」

今なら、彼のその言葉が疑いなく本物だということが伝わる…

「じゅる、おいひぃ……おいひぃよぉ…アルフぅ…!」

もっと気持ちよくなってほしい…その一心で腰をも振り乱し…吸血と吸精の快楽を彼に叩きつける…

「アイ…シ…ア……も、もう……で、出るから……」

見れば、すっかりと彼の顔色は青ざめていた……
血を吸いすぎた…これ以上吸えば命に関わるだろう…

「ぷあっ……わかった……ならば、最後に…最高の快楽をもって…お前を絶頂に導いてやる……」

腰を深く落とすそのまま彼の肉棒の先端…鈴口に子宮口を密着させ…そのまま腰を捻ってやる…

「ふぁ……なに、これ……アイシアの中のおく…く、口が……吸ってき、て……んぶっ!?」

快楽に蕩ける彼が愛おしく、キスをする……少し血の味が混じったキス…

「ん、ちゅ…どうだ…私の子宮が貪欲にお前の精液を吸おうとしている…早く出して欲しいとキスをしてねだっているのだ……だから、ほら…下の方でキスをしているなら…上の方もキスしないと…寂しいだろう……はむ、ちゅう…」

このまま…彼と繋がって…果てたい…!
その一心で腰を小刻みに震わせ、その度に子宮口を押し当て、彼の先端を吸う…吸い尽くす…

「ん、れろ…あいし…あ…で、出る…」

朦朧としながら言っているのか、ぎりぎりで聞き取れるほどの小さな声でそう宣言すると…私の子宮に再度、精液が叩きつけるように注がれた…

「くぅっ…ふぁ…ぁああああああああん!! …ある、ふ…もっと…出せ…出してぇ……!!」

このまま、彼の精に溺れてしまうのもまた一興か……
ドクドク…ドクドクと無限のように続く射精と絶頂の中…私達は…

「アイシア…好き……だよ…」

「私もだ……アルフ…愛…してる……」

まどろみの中……目を閉じた…










後日…というより、そのさらに5ヵ月後…


結果から申せば…娘が生まれた……
妊娠していることが発覚したのはあの日交わった次の日……

アルフが私の腹を見て、お、御嬢様!!!っと対等の関係であれと言ったのにも関わらず叫んだ。
日ごろの習慣が身についてしまっているからだろうから咎めはしなかったが、すぐさま私の腹を凝視し、汗をだぁーっと流しているのだ…
さすがに不審に思ったので 何だ? と訊いたのだが彼は口をきゅっと結んで答えない…

急いでアルフは1mはあろう鏡をもってきて私に向けるが、私は鏡に映らない…
そんなに太ったのか? と彼に不満げにいうがそうでもないらしい……
そうして彼のとりとめのない説明を受け、やっと私が妊娠していることを知った…彼も私の腹が目立つころから私と直接会っていないため、気づくのが遅れたそうな…

発端は何気ない……10ヶ月前のおしおきの時なのだと、娘が生まれてからやっと思い当たった…
あの時、たしかに私はアルフの精液を自分の膣内にいれて……掻き混ぜていた…
たったそれだけでなるものかと首を振るが、やはりそれしか思い至らない…あの時私は……奇跡的にも精液が子宮にまで届き…妊娠したのだ……

嬉しいと聞かれれば…もちろん嬉しい……自分で思い出すのも恥ずかしい話だが、娘が生まれた時…喜びと安堵に打ち震え…わが子を彼と共に抱き、泣いてしまったのだ……
うう、思い出すだけで顔が熱くなる……いや、もうそれはいいんだ…私はあの時の情事を経て、彼に素直になると心に決めた…
ならばもういいじゃないか…

そして、その娘というのが…これまた奇跡的にもダンピール……
ヴァンパイアの天敵…純粋な人間とヴァンパイアの間に本当に稀にできる子供…
そんな子を私は身篭っていたのだ。
それが私にかかった病状の正体…私は病などにかかっていなかったのだ。

娘が生まれたすぐ後、私の中にうずまく焼けるような熱さと疼き、魔力の狂いは全て収まった…
そう、私は妊娠したときからずっと、娘が発するダンピールの魔力に中てられていたのだ…何ヶ月も…
例え小さな魔力でも、娘がどんどん成長していくにつれて、どんどん魔力は増し、日ごとの侵される体は疼きを蓄積させていく…

そうしたことで起こった症状のようだ…
ダンピールの存在はわかっていても、誰が自分の子供が…産まれる前に自らの母を魔力でもって調教するなど思い当たるものか…
私の方も日に日に増す疼きのせいで身篭ったことを感じる余裕もなかった…
とにかく、そんな奇跡と奇跡が重なったような出来事が起こったのだ…

「なに、難しいこと考えてるの?」

「あ、アルフ…」

アルフが…我が夫が後ろから抱きしめてくる……そして私が抱いて、気持ちよさそうに寝ている娘のほっぺたをつんつんして、笑った…
全く、夫であるというのにまるで子供だ…なんて苦笑する……

「僕達の子が…ダンピールなのは嫌だったのかい…?」

「ば、馬鹿者…そんなわけあるはずないだろう……この子は…私とお前を真の意味で結んだ救世主なのだから…」

救世主は少し言いすぎかもしれん…娘がもし成長してこの会話を聞いたら赤面するだろうか…
彼も同じことを思ったのか、微笑みを返す…

「はぁ…しかし、これからが大変だな…娘の世話…教育……なにより魔術の訓練も必要そうだ…」

「えっ…アイシアは娘にも教えるの? そんな物騒なこと教えなくてもいいと思うんだけれどなぁ…」

「馬鹿言え…最低限の護身というのもあるが、何より…産まれる前から母親に悪戯をするような子だぞ?」

自然と笑みがこぼれる……夫と娘と…共に暮らすこれからが楽しみでしょうがない……

「ああ、持て余しそうだね…魔力とか…その他いろんなこと…下手すると僕にもその、くるかもしれないってことか…」

「そうだな…とてもやんちゃな子に育ちそうだ……まずはきちんと自分の魔力を制御することから教えないといけないような気がするのだ…」

二人で、娘を抱いて笑う……


…でも最初は名前を決めねばならないな…



「なあ、結局この子の名前は…どうするのだ…?」

「ん? そうだね……アイシアはもう考えたの?」


無論だ……
深く深呼吸して、私は彼に名前を言った……



この子に…幸あれと願いながら……






〜fin〜 ------------------------------------------------------------------------------