■タイトル:『出汁(らぶじゅーす)』 ■作者:じゃっくりー -------------------------------------本文-------------------------------------

 おいみんな、早速だが俺の妻を紹介するぜ。右手だ。……冗談だってまあ怒んなよ。

「……」
 俺の嫁さんはここいらじゃよく見かける海藻に混ざっていた何でも新しい種族だってツノ生やしたチビッ子学士が悪態つきながら離してくれたぜ。そん時は不機嫌な理由がわかんなかったけどな後で一緒にいたサキュバスの助手さんに聞いたらよ、おっぱいがでけぇヤツは目の敵にしているって話だったわけよ。
 まぁその助手ってヤツもなかったけどなあははははっててて、おいおい締めつけるなって。

「…っ…っ!! 」
 大丈夫だって俺は御間が一番だし他のヤツに靡いたりなんてしねえよ。魔王さんに誓ってもいいぜ、っと。ふぅわりぃね、ちょっと他の娘っ子の話しをすると拗ねちまいやがってすぐ巻き付くのさ。可愛いしこの滑りがくせになるけどな、程々にしてもらいたいぜ。あとは今日は陸に上がってすぐだから体も瑞々しい豊満な体だしな。渇いて小さい体になってもそれはそれで好きだけどな。

「…❤ 」
 うおっ、こらまてオマエ今は取材の最中だから、な、コレ終わったら、な。
 よっと、いやぁ何度もすまねぇな。コイツと出会って交わられてこの方いっつも俺にへばり付いてて離れてくれねぇんだ。ほんと悪ぃな。
 んで、どこからだったっけか。んぁ、出会いからな。俺の嫁さんは海藻みたいなのは見てわかるだろう。んで俺はその時まだ漁師をしていたのさ。そう、海藻とかの漁とか養殖とかのな。その日は前の日が大時化でよ、海岸沿いの漁場を確認しに舟から見ていたのさ。そうしたらどうよ、水死体がぷかーって海藻の所に浮かんでんじゃねぇか。かぁ、あんときはもうそりゃぁ吃驚しちまって危なく舟から落ちるとこだったよ。

「…〜♪ 」
 しかし不思議なことでよ腹んとこが微妙に上下していたんで息があるって踏んだ俺は大急ぎでその女っ子のとこに漕いで近づいたわけだが……っこらこら、胸をぐいぐい背中に当てるんじゃない。っぺぁ、こらっ手を俺の口に入れるんじゃない。うめえけどなっ!!
 おっとまたまた悪いねぇ。んで近づいたら、まぁ他のヤツ同様アレがソレでナニがアレになったわけだ。あ、詳しく聞きてぇだとかいいのかよ。魔物娘向けだから大丈夫だからって、まぁならいいが。

「〜❤ 」
 まずはこんな風に絡め捕られたんだわ。近づいてすぐに飛びかかられて舟の底に磔にされてな、もうぎっちぎちに。上からコイツがぬるぬるって。そこから驚いて声を上げようとしたんだがそこにコイツのこの昆布みてえな手をこうズブッ、と入れられてな。あぁそうそう俺はコイツと結ばれるまで教団領にいたんだぜ、いらねぇ知識だろうが。
 そこで突っ込まれた手なんだが、まぁうめぇの何のって。お前さん漁師料理とかジパング料理の汁物って食ったことあるか、おぉあるか。その汁物ってのは下拵えで海藻とかから出汁ってのをとるのさ。その出汁ってのが無いとほっそりして頼りねぇ腰砕けな味になっちまうんだ。その点俺の嫁の手ときたらどうだ。もう今まで食ってきた汁物が全部消し飛んだね。もう真っ新だ。これが本物の出汁ってヤツなんだって頭と舌が理解しちまってさ、もうただひたすらにずっっとしゃぶっていたね俺ぁ。母ちゃんのおっぱい飲む赤ん坊みたくな。嫁も嫁で俺がチュウチュウ吸ってるのを良い事に服引っぺがして俺の息子をそのままずぶって入れてきたんだわ。そしたらよウチの嫁のやつ、余程よかったらしくてぶるぶる震えて俺に全身預けてきてよ。顔がもう真っ赤だったから多分入れただけでイッちまったんじゃねぇかな。

「っ! っっ!!? 」
 おぶっ、っぶぉ、ってヤメ、わかったわかった今のはナシな、な、だから手を入れるなよ。んでその時は脱力したコイツにのしかかられたわけで、その時手がずるって俺の口から抜けて代わりにコイツがキスするように倒れてきたんだわ。そのままキスしたんだが、ここでまた俺に雷が落ちたような衝撃があったのさ。なんでかって、手ですら濃い味だったのに口はもっと濃かったからさ。濃くて程よく塩味があっていい滑りと口当たり、そして最高の風味。もう非の打ちどころがなかったね。そんでそんな極上の旨みが向こうからやってきた俺は理性がぶっとんでもう手の時以上に吸い付いたんだよ。そうするとな、こう、やたら腰がアッツくなってきてな。気が付きゃ俺は月の下でスコスコしてたんだわ。
 朝に行ったのに夜イッた、なんてなぁ。あっははははははははっ!!!

「…… 」
 あぁ、その、すまん。頼むからお前さんもオマノもそんな冷めた目で見るなよ。でっ、だ。俺はコイツを気に入ったしコイツも俺を気に入ってくれて結ばれないわきゃねえよな。そん時たまたま移動中のシービショップさんがいてそのまま夫婦の契りを交わしたわけよ。それから数日後にこれまた驚いたことがあってな、なんと俺の生まれ育った漁村が親魔物領に鞍替えしたって言うじゃぉねぇか。なんでも村長がシービショップと結ばれたからだと。後であいさつに行った時だが若々しくなった村長の脇にいたのがこれまた吃驚、俺らの仲を取り持ったシービショップさんだったのさ。いや本当驚きだったわな。
 んで晴れて親魔物領になった漁村に今も住んでいるわけだ。そして新しく俺は商売を考えて今軌道に乗ったとこさ。それは嫁の煮汁、あんなんだと虐待だと言うのかおい。違ぇよ、嫁に風呂入ってもらってんだよ。以外にもうちの嫁は風呂が好きでな必ず一番風呂に入ってるくらいに好きなんだぜ。んで俺がその次に入るんだが、毎回残り湯を啜る度にひらめいたってわけよ。もうあっちこっちからうめぇうめぇって評判でな、どうだいアンタも一つ持ってくかい、ほれこの瓶だ。一流シェフから太鼓判貰ってるんだ遠慮なく飲んでくれや。
 あ、最後に一言だと。そうだな……あ、これがいいわ。

「…?? 」

―――嫁の一番おいしい汁、口と女陰は俺専用な。

「…❤❤❤」
 はっはは、よぅしヤるか。んじゃ取材は終わりだ。アンタらも道中でいい婿貰えるといいな、応援しているぜ。ん、はぁ、たまんねぇなこの香り………

【完】 ------------------------------------------------------------------------------