第一話・ようこそ、癒やしの村へ
「はぁ・・・疲れたな」
森の奥深く。一人の少年が巨大な大木に寄りかかっていました。
少年の名はエリッシュ。僧侶見習いです。
僧侶の修行の一環として森に来ていた彼は、道に迷ってしまったのです。
「地図通りに歩いてきたのに・・・妖精に惑わされちゃったのかな・・・」
目的地自体は地図に示された場所だったのですが、道中、妖精に悪戯されたのかとエリッシュは疑います。矢印看板の向きを変えられたか、木々が移動したのか・・・。
人間では到底出来ないことも、森と友達の妖精には容易にできることだけに
道中どんな悪戯をされていても不思議ではありません。
「とにかく川を探そう・・・。水の流れに沿っていけば人里には降りられるはず・・・。」
休憩を終えて、エリッシュは足を進めます。
30分ほど歩き、再び休憩をしているとー
「・・・あれ、この虫は・・・確か水辺の近くに生息してる種類だ
もしかして近くに川が・・・!」
エリッシュの予想は当たっていました。そこからすぐ近くの場所に、きれいな川が流れているのを見つけたのです。
「やった・・・!これで・・・わっ!?」
その時でした。川へ向かって走っている最中にエリッシュは何かに躓いてしまいました。
それは小さな落とし穴。人間であれば丁度つま先だけが沈み込んでしまう程度の大きさです。
間違いなく妖精の悪戯でしょう。妖精は人間に重症を負わせたり、命を奪うような悪戯はしません。
しかし、それはあくまでも「妖精たちが思った通りに事が進む」場合に限ります。
僧侶であるためか、普通の人間よりも運動能力に欠けたエリッシュは
バランスを崩した体を支えることが出来ず、転んでしまったのです。
「いたた・・・全くもう、少しの油断も出来ないよ・・・うぁっ!?」
立ち上がろうとしたエリッシュは苦痛に顔を歪めます。
見るとエリッシュの太ももの辺りに大きな切り傷が出来ていました。
転んだ先の石ころかなにかで切ってしまったのでしょう。
じっとしていれば痛みは大したことはありませんが
無理に歩こうとすれば鋭い痛みが襲ってくるでしょう。
「し、しまった・・・どうしよう・・・状態異常だけを治す術は習得したけど・・・
怪我を治す術はまだ習得できてないのに・・・」
怪我を治すことが出来ず、途方にくれていると
近くで落ち葉を踏む音が聞こえました。
(ま、魔物・・・!?)
こんな足で魔物に襲われればまず逃げられません。
凶暴な魔物に襲われ心身ともにボロボロにされるか
狡猾な魔物に襲われ一生慰み者にされてしまうか。
エリッシュは恐怖のあまり目をぎゅっと瞑ります。
「大丈夫ですか・・・?」
「えっ?」
エリッシュの耳に聞こえてきたのは、「恐怖」という言葉とはかけ離れた
綺麗な声でした。エリッシュが目を開けるとー
「人間さんですよね・・・?こんなところでどうしたんですか?」
可憐ながらもどこか幼さを残したような優しい表情。
体から生えている角や尻尾。
そして男の目を引く大きな胸ー。
(ホ・・・ホルスタウロス・・・)
そこには養成学校で習ったままの姿のホルスタウロスが立っていたのです。
魔物との会合。普通なら一目散に逃げるところですが
今のエリッシュにはそれが出来ません。
(で、でも・・・ホルスタウロスは確か優しくて温厚な種族だと・・・)
授業で聞いたホルスタウロスの特徴を同時に思い出し、
目の前の存在がホルスタウロスだと知った今
足の動かないこの状況を、エリッシュは恐れてはいませんでした。
「え、えっと僕は・・・」
「あら・・・?足・・・怪我してるんですね?」
「え?あ、は・・・はい。」
「ちょっと待っててくださいね・・・。私、傷薬を持っていますから・・・。」
エリッシュの太ももの傷口を見たホルスタウロスは
ポケットから治療のための道具を出し始めました。
「じっとしててくださいね・・・」
「は、はい・・・」
想像を超える、ホルスタウロスの優しい反応。
エリッシュはあっけにとられていました。
「じゃあ・・・ズボンを脱がせちゃいますね」
「え・・・ま、待って!!」
予想もしないホルスタウロスの言葉にエリッシュは驚愕します。
(や・・・やっぱり男の精を貪る悪魔なんだー!)
エリッシュの静止を効かずにホルスタウロスはズボンを脱がせます。
襲われる。そう覚悟したエリッシュの傷口に冷たい感触が広がりました。
「この薬は私達の村で作った特製品なんです。
全然沁みたりしないんですよ♪」
ホルスタウロスはエリッシュの傷口に先の傷薬を塗っていたのです。
エリッシュの治療をするホルスタウロスはどこか嬉しそうに
そのまま包帯で傷口を覆っていきます。
(そ、そうか・・・ズボンを脱がせたのは治療のため・・・やっぱり温厚で優しい種族なんだ・・・。)
「はい、これでもう大丈夫です。歩いてみて、痛みはありませんか?」
「は、はい大丈夫です・・・」
もう歩いても痛みはありませんでした。
エリッシュはホッとした表情でホルスタウロスに感謝を述べます。
「ありがとうございました・・・こんなところで怪我をしてしまって
どうしようかと思っていたんです、貴方は命の恩人ですよ」
「いえいえ、命の恩人だなんて・・・。
この時期は成長期を終えた妖精さん達が腕試しにあちこちに罠を張るんです。
同じ森の住民のしてしまったこと、こちらこそ申し訳ありませんでした。」
「いや、そんな・・・(なんだかすごく丁寧な人だな・・・)」
ホルスタウロスは深く考えず、ぼんやりしていることが多い。
そう聞いていたエリッシュは目の前のホルスタウロスの姿に驚いていました。
「ところで・・・人間さんは、なんでこんなところで?」
「あ・・・はい、僕は僧侶見習いでこの森に修行に来ていたんですが・・・
その、迷ってしまって・・・」
「僧侶さんの修行・・・というと、『聖なる洞窟』のことでしょうか?」
「そ、そうです!知ってるんですか!?」
「ええ、実は私も昔、人里で僧侶の真似事をしていたんですよ
その祠にも何回か足を運んだことが有ります。」
「そうなんですか・・・!
あ、あの、よかったら道案内をしていただけないでしょうか?」
「ええ、もちろんです。でも今日はもう夕暮れ・・・
どうでしょう?今日は私の村に泊まって、明日また・・・というのは?」
その言葉を聞いてエリッシュが周りを見渡すと
森には夕日が差し込んでいました。
このまま夜になると夜行性の魔物が動き出し、かなり危険な状況だったことでしょう。
(ほ、本当に危なかったんだ・・・)
エリッシュは体を少し震わせます。
「僧侶様?どうか致しましたか?」
「い、いやなんでもないです!でも良いんでしょうか?
急に村に押しかけて、泊めてくれだなんて・・・」
「大丈夫ですよ、村の人達は皆優しくて良い人達ばかりですから。」
「そ、そうなんですか・・・良かったぁ・・・」
「それに・・・貴方のような男の子だと、なおさら歓迎しない訳にはいきません」
「え?」
「いえ、なんでもありませんよ。さぁ、行きましょうか♪」
そのホルスタウロスの淫靡な呟きはエリッシュには聞こえていませんでしたー
「それでは僧侶様、ついてきてくださいね♪」
「は、はい!」
ホルスタウロスの後をついていくエリッシュ。
エリッシュの目には否が応でも揺れる胸が映ります。
(だ、だめだ・・・じっと見たりなんかしてたら失礼だよ・・・)
「はい、つきましたよ。」
20分ほど歩いた先に、村が見えてきました。
家は全てが木でできており、優しい木々の香りに、どこか甘い匂いが混ざった
心からリラックスできるような香りが漂っています。
「良い匂いですね・・・キャラこの村の名前はなんというのですか?」
気持ちよさそうにすーっと深呼吸をした後に、エリッシュが訪ねます。
「名前ですか?ふふ、この村の名前はー」
「ホルスタウロスビレッジへようこそー♪」
「え?」
村の奥から幾つかの声が聞こえてきました。
見るとそこには何人かの人影が見えます。
「あらあら・・・私の台詞を取られてしまいましたね。」
道案内をしてくれたホルスタウロスが「まったくもう・・・」と言った優しい表情で呟きます。
するとホルスタウロスはエリッシュから離れ
村に背中を向けます。礼儀正しく頭を下げー
「ようこそいらっしゃいました。僧侶様。
ここは癒やしの村ホルスタウロスビレッジ。歓迎いたしますわ♪」
「ホルスタウロス・・・ビレッジ・・・」
エリッシュはその言葉に聞き覚えが有りました。
深い森の奥に存在する村。とてもたどり着ける村ではなく
存在することはわかっていても、おとぎ話も同然の村。
そこがこのホルスタウロスビレッジだったのです。
「自己紹介が遅れてしまいましたね。私はリム。
僧侶経験のあるホルスタウロスとしてこの村で医者のようなことをしています。」
「は、はい!僕はエリッシュといいます!」
突然の村をあげての歓迎にエリッシュはカチコチに固まり
辿々しいあいさつを返します。
「可愛い〜♪」
「照れなくてもいいんですよ〜?」
「こちらこそよろしく〜♪」
村人の何人かから、挨拶が帰ってきます。
その言葉を聞いてエリッシュは更に恥ずかしそうに顔を赤くします。
「可愛い。」
ホルスタウロスが異性を見て呟いた
その言葉に込められた意味を理解できないまま。
「さぁ、行きましょうかエリッシュさま。」
「さ、様付けなんていいですよ、リムさん!」
「そうですか?それでは・・・エリッシュくん♪」
(うっ・・・?)
穏やかな表情と誘うような笑顔で「くん」付けで呼ばれると
エリッシュはどこかお腹の奥が熱くなったような気がしました。
気恥ずかしくなり、エリッシュは目線を下にやります。
するとリムの大きな胸がたぷたぷと揺れていました。
「あ、あうう・・・」
更に目のやり場をなくしたエリッシュは目をつむります。
(ど、どうしたんだろう・・・なんだかお腹の奥がむずむずする・・・)
まだ性の事を深く知らない歳。
エリッシュは今の感情が何なのかを理解できていません。
(ふふ・・・♪)
顔を赤くして戸惑う少年に、リムを始めとしたホルスタウロス達は
穏やかなーそしてその奥底に淫靡さを隠した笑顔を向けていました。
森の奥深く。一人の少年が巨大な大木に寄りかかっていました。
少年の名はエリッシュ。僧侶見習いです。
僧侶の修行の一環として森に来ていた彼は、道に迷ってしまったのです。
「地図通りに歩いてきたのに・・・妖精に惑わされちゃったのかな・・・」
目的地自体は地図に示された場所だったのですが、道中、妖精に悪戯されたのかとエリッシュは疑います。矢印看板の向きを変えられたか、木々が移動したのか・・・。
人間では到底出来ないことも、森と友達の妖精には容易にできることだけに
道中どんな悪戯をされていても不思議ではありません。
「とにかく川を探そう・・・。水の流れに沿っていけば人里には降りられるはず・・・。」
休憩を終えて、エリッシュは足を進めます。
30分ほど歩き、再び休憩をしているとー
「・・・あれ、この虫は・・・確か水辺の近くに生息してる種類だ
もしかして近くに川が・・・!」
エリッシュの予想は当たっていました。そこからすぐ近くの場所に、きれいな川が流れているのを見つけたのです。
「やった・・・!これで・・・わっ!?」
その時でした。川へ向かって走っている最中にエリッシュは何かに躓いてしまいました。
それは小さな落とし穴。人間であれば丁度つま先だけが沈み込んでしまう程度の大きさです。
間違いなく妖精の悪戯でしょう。妖精は人間に重症を負わせたり、命を奪うような悪戯はしません。
しかし、それはあくまでも「妖精たちが思った通りに事が進む」場合に限ります。
僧侶であるためか、普通の人間よりも運動能力に欠けたエリッシュは
バランスを崩した体を支えることが出来ず、転んでしまったのです。
「いたた・・・全くもう、少しの油断も出来ないよ・・・うぁっ!?」
立ち上がろうとしたエリッシュは苦痛に顔を歪めます。
見るとエリッシュの太ももの辺りに大きな切り傷が出来ていました。
転んだ先の石ころかなにかで切ってしまったのでしょう。
じっとしていれば痛みは大したことはありませんが
無理に歩こうとすれば鋭い痛みが襲ってくるでしょう。
「し、しまった・・・どうしよう・・・状態異常だけを治す術は習得したけど・・・
怪我を治す術はまだ習得できてないのに・・・」
怪我を治すことが出来ず、途方にくれていると
近くで落ち葉を踏む音が聞こえました。
(ま、魔物・・・!?)
こんな足で魔物に襲われればまず逃げられません。
凶暴な魔物に襲われ心身ともにボロボロにされるか
狡猾な魔物に襲われ一生慰み者にされてしまうか。
エリッシュは恐怖のあまり目をぎゅっと瞑ります。
「大丈夫ですか・・・?」
「えっ?」
エリッシュの耳に聞こえてきたのは、「恐怖」という言葉とはかけ離れた
綺麗な声でした。エリッシュが目を開けるとー
「人間さんですよね・・・?こんなところでどうしたんですか?」
可憐ながらもどこか幼さを残したような優しい表情。
体から生えている角や尻尾。
そして男の目を引く大きな胸ー。
(ホ・・・ホルスタウロス・・・)
そこには養成学校で習ったままの姿のホルスタウロスが立っていたのです。
魔物との会合。普通なら一目散に逃げるところですが
今のエリッシュにはそれが出来ません。
(で、でも・・・ホルスタウロスは確か優しくて温厚な種族だと・・・)
授業で聞いたホルスタウロスの特徴を同時に思い出し、
目の前の存在がホルスタウロスだと知った今
足の動かないこの状況を、エリッシュは恐れてはいませんでした。
「え、えっと僕は・・・」
「あら・・・?足・・・怪我してるんですね?」
「え?あ、は・・・はい。」
「ちょっと待っててくださいね・・・。私、傷薬を持っていますから・・・。」
エリッシュの太ももの傷口を見たホルスタウロスは
ポケットから治療のための道具を出し始めました。
「じっとしててくださいね・・・」
「は、はい・・・」
想像を超える、ホルスタウロスの優しい反応。
エリッシュはあっけにとられていました。
「じゃあ・・・ズボンを脱がせちゃいますね」
「え・・・ま、待って!!」
予想もしないホルスタウロスの言葉にエリッシュは驚愕します。
(や・・・やっぱり男の精を貪る悪魔なんだー!)
エリッシュの静止を効かずにホルスタウロスはズボンを脱がせます。
襲われる。そう覚悟したエリッシュの傷口に冷たい感触が広がりました。
「この薬は私達の村で作った特製品なんです。
全然沁みたりしないんですよ♪」
ホルスタウロスはエリッシュの傷口に先の傷薬を塗っていたのです。
エリッシュの治療をするホルスタウロスはどこか嬉しそうに
そのまま包帯で傷口を覆っていきます。
(そ、そうか・・・ズボンを脱がせたのは治療のため・・・やっぱり温厚で優しい種族なんだ・・・。)
「はい、これでもう大丈夫です。歩いてみて、痛みはありませんか?」
「は、はい大丈夫です・・・」
もう歩いても痛みはありませんでした。
エリッシュはホッとした表情でホルスタウロスに感謝を述べます。
「ありがとうございました・・・こんなところで怪我をしてしまって
どうしようかと思っていたんです、貴方は命の恩人ですよ」
「いえいえ、命の恩人だなんて・・・。
この時期は成長期を終えた妖精さん達が腕試しにあちこちに罠を張るんです。
同じ森の住民のしてしまったこと、こちらこそ申し訳ありませんでした。」
「いや、そんな・・・(なんだかすごく丁寧な人だな・・・)」
ホルスタウロスは深く考えず、ぼんやりしていることが多い。
そう聞いていたエリッシュは目の前のホルスタウロスの姿に驚いていました。
「ところで・・・人間さんは、なんでこんなところで?」
「あ・・・はい、僕は僧侶見習いでこの森に修行に来ていたんですが・・・
その、迷ってしまって・・・」
「僧侶さんの修行・・・というと、『聖なる洞窟』のことでしょうか?」
「そ、そうです!知ってるんですか!?」
「ええ、実は私も昔、人里で僧侶の真似事をしていたんですよ
その祠にも何回か足を運んだことが有ります。」
「そうなんですか・・・!
あ、あの、よかったら道案内をしていただけないでしょうか?」
「ええ、もちろんです。でも今日はもう夕暮れ・・・
どうでしょう?今日は私の村に泊まって、明日また・・・というのは?」
その言葉を聞いてエリッシュが周りを見渡すと
森には夕日が差し込んでいました。
このまま夜になると夜行性の魔物が動き出し、かなり危険な状況だったことでしょう。
(ほ、本当に危なかったんだ・・・)
エリッシュは体を少し震わせます。
「僧侶様?どうか致しましたか?」
「い、いやなんでもないです!でも良いんでしょうか?
急に村に押しかけて、泊めてくれだなんて・・・」
「大丈夫ですよ、村の人達は皆優しくて良い人達ばかりですから。」
「そ、そうなんですか・・・良かったぁ・・・」
「それに・・・貴方のような男の子だと、なおさら歓迎しない訳にはいきません」
「え?」
「いえ、なんでもありませんよ。さぁ、行きましょうか♪」
そのホルスタウロスの淫靡な呟きはエリッシュには聞こえていませんでしたー
「それでは僧侶様、ついてきてくださいね♪」
「は、はい!」
ホルスタウロスの後をついていくエリッシュ。
エリッシュの目には否が応でも揺れる胸が映ります。
(だ、だめだ・・・じっと見たりなんかしてたら失礼だよ・・・)
「はい、つきましたよ。」
20分ほど歩いた先に、村が見えてきました。
家は全てが木でできており、優しい木々の香りに、どこか甘い匂いが混ざった
心からリラックスできるような香りが漂っています。
「良い匂いですね・・・キャラこの村の名前はなんというのですか?」
気持ちよさそうにすーっと深呼吸をした後に、エリッシュが訪ねます。
「名前ですか?ふふ、この村の名前はー」
「ホルスタウロスビレッジへようこそー♪」
「え?」
村の奥から幾つかの声が聞こえてきました。
見るとそこには何人かの人影が見えます。
「あらあら・・・私の台詞を取られてしまいましたね。」
道案内をしてくれたホルスタウロスが「まったくもう・・・」と言った優しい表情で呟きます。
するとホルスタウロスはエリッシュから離れ
村に背中を向けます。礼儀正しく頭を下げー
「ようこそいらっしゃいました。僧侶様。
ここは癒やしの村ホルスタウロスビレッジ。歓迎いたしますわ♪」
「ホルスタウロス・・・ビレッジ・・・」
エリッシュはその言葉に聞き覚えが有りました。
深い森の奥に存在する村。とてもたどり着ける村ではなく
存在することはわかっていても、おとぎ話も同然の村。
そこがこのホルスタウロスビレッジだったのです。
「自己紹介が遅れてしまいましたね。私はリム。
僧侶経験のあるホルスタウロスとしてこの村で医者のようなことをしています。」
「は、はい!僕はエリッシュといいます!」
突然の村をあげての歓迎にエリッシュはカチコチに固まり
辿々しいあいさつを返します。
「可愛い〜♪」
「照れなくてもいいんですよ〜?」
「こちらこそよろしく〜♪」
村人の何人かから、挨拶が帰ってきます。
その言葉を聞いてエリッシュは更に恥ずかしそうに顔を赤くします。
「可愛い。」
ホルスタウロスが異性を見て呟いた
その言葉に込められた意味を理解できないまま。
「さぁ、行きましょうかエリッシュさま。」
「さ、様付けなんていいですよ、リムさん!」
「そうですか?それでは・・・エリッシュくん♪」
(うっ・・・?)
穏やかな表情と誘うような笑顔で「くん」付けで呼ばれると
エリッシュはどこかお腹の奥が熱くなったような気がしました。
気恥ずかしくなり、エリッシュは目線を下にやります。
するとリムの大きな胸がたぷたぷと揺れていました。
「あ、あうう・・・」
更に目のやり場をなくしたエリッシュは目をつむります。
(ど、どうしたんだろう・・・なんだかお腹の奥がむずむずする・・・)
まだ性の事を深く知らない歳。
エリッシュは今の感情が何なのかを理解できていません。
(ふふ・・・♪)
顔を赤くして戸惑う少年に、リムを始めとしたホルスタウロス達は
穏やかなーそしてその奥底に淫靡さを隠した笑顔を向けていました。
17/03/26 18:10更新 / かずら
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