名前程度の自己紹介は済み、鮮魚をどうするか考える・・・
一匹の魚を二人で分けるには・・・
「切れる?」 「・・・(コクリ)」
首を縦に振り、スッと手を出す。
渡してくれと言う意味だろう。
なんとか理解し、手渡すとスパッと目にも留まらぬ早業で三枚卸が出来上がる。
「凄いねぇ~、後は火があれば良いんだけどねぇ~」
と言いつつ、何気なしに枯れ葉を睨みつける
と、自然発火。
それなりな勢いで燃え盛り、リアは驚き後退する・・・
「?」 「・・・・・・」
言葉にしないが、怯え(?)震えている様だ。
「・・・・・・彼方も、・・・魔物を狩る人?」 「ハイッ!?」 「・・・・・・私は あそこの小川が好きなだけなのに・・・人間の理由で 命を狙われる・・・」 「・・・・・・?」 「・・・・・・母さんはっ!!」
突然の感情露出に驚くが、すぐさま感情を押し殺し涙を流し始めるリアに撫で声で話しかける。
そぉ~いや、昔妹に同じ事してやったっけか? いまじゃ憎たらしい妹様も、昔はよく虐められてたっけか?
「・・・俺は、・・・俺は味方だよ?」
膝立ちで、ゆっくり話しかける。
「・・・私のお母さんは・・・・・・何も してなかったのに・・・ウゥッ・・・」
そう言い、涙を拭う。 出会って数十分の人外少女に同情してしまう・・・
「おいで」
両手を広げて、呼ぶ。
「・・・・・・」
少し悩み、直ぐに駆け寄ってきて抱きついてきた。 こうしてみれば、サハギン娘も悪くは無いかも(スク水で濡れてなければ)
「・・・・・・おかぁさん・・・」
声を押し殺し泣くリアに心を打たれてしまい、頭や背中を優しく擦ってやる。
しばらくして、ようやく先程の落ち着きを取り戻したリアが一つ疑問を投げかける。
「・・・・・・(ジィー・・・)」 「?」 「・・・・・・服・・・見た事無い」 「・・・あぁ~っ!!!!」
その一言で我に返る。 見知らぬ土地に落ちたのだった・・・ 自分が住んでいた世界と別の世界に飛ばされたようだったな・・・
「信じてくれるかな、俺たぶん・・・この世界の人間じゃないわ」 「・・・・・・そう。」 「案外すんなり受け入れるなぁ~(ボソッ)」 「・・・・・・」
無言のまま、抱きついてくる。
「・・・何でも良い。好きに成ったから一緒に居て欲しい」 「リア・・・ちゃん?」 「・・・この世界 魔物、人間住んでる。・・・魔物、人間居ないと滅びる」 「それは・・・怖いな。」 「・・・・・・ココの名前 ディープ・フォレスト。」 「・・・ディープ・・・フォレスト・・・」 「・・・・・・ココには、果物も小動物も魚も居る。涼しくて快適」 「・・・でも、元の世界に戻らないといけないし・・・服だってボロボロ」 「・・・・・・嫌。」
ピトッと抱きつき離れない。
「・・・・・・一緒が良い。」
焚き火がパチパチッと音を出す。
その炎に映し出される巨大な影・・・
どうやら、客人が来たようだ。
「・・・・・・」
無言のままだが、リアが震え始める。 何なのだろう?
「ダイジョブか?」 「・・・・・・巨大熊・・・」 「ハァ~ッ!?」
熊ってアノ熊ですよね? なんでこんな夜に洞窟(リア曰く自分の家)に来るんだよッ!? お前、家じゃないだろココ・・・
「お前、闘えんの?」 「・・・・・・(フルッ)」
速攻で首を横に振る。 ハヤッ!驚いたね、まさか即答とは・・・ 参ったね、俺が闘うのか?
「なんか武器に成るもん無いか?」 「・・・コレ・・・」
槍とも斧とも見える不思議な武器を渡される。
ハイッ? マジで俺を闘わせる気か、コイツは? 最悪だよ、ふざけんなよ、勝てるかよっ! 速攻で殺されてお終いだよ・・・
チラッと熊の方を見る。
・・・マジかよぉ~めっちゃガン見じゃねぇ~かよぉ・・・ 絶対怒ってるよね、コレ・・・? こっちの出方見てカウンター入れる顔やん?
恐る恐る武器を持つと、以外にも軽く扱いやすい。 これなら、あるいは・・・っ!
駄目元で、突っ込んでみると以外にも圧勝して自分自身が驚いてるよ・・・ でも解かった。この世界の酸素濃度が自分の住んでた世界より濃いんだ。 だから、落ちても生きてたし、熊にも勝ったに・・・ 自然発火は、この世界の魔法を利用したものだとリアが言っていた・・・
良く解からんが、この世界[セイムガーデン]では俺の住んでた世界とは違うオカルトが存在するようだ・・・
一先ず熊を撃退した俺は、どぉ~しても離れないリアを横で寝かせて見張りを続ける。 どうやら、この世界では俺の体力的な物全般が上昇しているようだ・・・
再び鼓動が加速していくのを感じた・・・ この経験を、非現実を、俺は待ってたんだ 遠い昔に止まった感情が一気に沸き上がってきた
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