性なる夜に……
「よし……完璧な計画だ」
綿密に書き込まれた計画書を手に、少女は満足げにほくそ笑んだ。
「これで明日は……ふふふふふふ」
頭の中で何を妄想しているのか、少女の頬はだらしなく緩み、黒い尻尾をぱたぱたと振っている。
そう、少女は人間ではない。
褐色の肌に艶やかな黒い髪、ぴんと立ったウルフ種特有の三角耳と黒い毛に覆われた、思わずもふもふしたくなる獣の手足。ややツリ目気味だが、それがマイナス要因にならず、強気で魅力的に見える整った顔立ち。
彼女の名前はルナ。アヌビスというウルフ種の魔物娘だ。マミーやスフィンクスを従え、偉大なるファラオの眠る遺跡を守護する者。
「明日こそ、アイツと……ロイと結ばれるんだ……!」
ロイとは、彼女が守護する遺跡に侵入してきた、砂漠地帯に接する国の騎士見習いの少年だ。
反魔物国家である彼の国は、半年ほど前にこの遺跡の魔物娘を討伐するために騎士団を派遣したが、幾多のトラップと魔物娘たちの迎撃により、一人残らず捕虜となってしまった。
その中でもロイは、反魔物国家に属していたにも関わらず魔物娘への忌避感があまり無く(辺境の村の孤児出身で魔物娘をよく目撃していたため)、遺跡の魔物娘たちとすぐに打ち解けたこともあって、ルナは彼を気に入り、自分の仕事の補佐を手伝ってもらうことがよくあった。
ルナとしてはロイを自分の夫にしたいと常々考えてきたのだが、様々な障害(良い雰囲気の時に限って現れる侵入者、スフィンクスの駆け落ちによる配置変更、etc)のせいで、今の今まで結ばれる事は無かった。
「だが、明日は……『くりすます』という聖なる日には絶対……!!」
ロイの国では、明日は『くりすます』という特別な日であるらしい。何でも、とても神聖な日で、恋人同士が結ばれるのに最適な日である、ということをロイの国がある地方に住んでいる魔物娘に聞いていた。
「失敗は許されない。絶対に……!」
翌日、ロイはルナに食事に招かれていた。一羽丸ごと焼いた鳥に、色鮮やかなサラダ、さらには巨大なショートケーキも用意してあった。
「す、すごいごちそうですね。何かありました?」
ロイは明らかに困惑していた。
「何って……お前の国では『くりすます』という日にこういった物を食べるのだろう?」
「くりすます……ああ、確かに今日はクリスマスでしたね。ですが、孤児でしたから、こういう祝い事とは無縁で……」
申し訳なさそうに頭を掻くロイ。生きることに必死だったロイは、こんな豪華なごちそうを口にしたことはなかったのだ。
「そ、そうか……すまなかった。そんなこと、全然考えてなくて……」
喜んでくれるとばかり思っていたルナは、想定外のロイの言葉に項垂れてしまった。尻尾も申し訳なさそうにしゅんと垂れ下がってしまっている。
「いえ。こんなごちそうを用意してくれて、すごく嬉しいです。ありがとうございました」
「う、うむ。そうか。そう言ってもらえて嬉しいぞ。ではさっそく食べよう。冷めてしまっては台無しだからな」
ロイの一言で気を取り直したルナは、ロイと共に食事を始めた。
「ふぅ、とってもおいしかったですね」
「うむ、私も用意した甲斐があるというものだ」
二人は用意してあった料理を食べ終え、最後のケーキを口に運んでいた。
ロイの口に消えていくケーキを見ながら、ルナは計画が順調に進んでいることに満足していた。このケーキには砂糖の代わりにアルラウネの蜜がたっぷりと使われており、滋養強壮に持ってこいなのだ。
さらに、二人のいる部屋には魔界ハーブのお香が焚かれており、男女が交わるのにふさわしい空間と化していた。
そして、ルナは最後のアイテムを取り出した。
「では、最後にこれを飲もう。取り寄せるのに手間がかかったんだぞ」
それは、陶酔の果実のワイン。それも下に付いている実から抽出した、上物のワインだ。
これを口にすると心地いい陶酔感が味わえ、目の前の雌しか目に入らなくなってしまうのだ。
ワインをグラスに注ぎ、ロイに渡す。が、ロイはグラスを置いてしまった。
「どうした? せっかく取り寄せたんだから飲んでくれ」
ルナは促すが、ロイはグラスを手にせず、真剣な顔でルナを見つめた。
「いえ、酔ってしまいますから、先に言います」
ロイは一度深呼吸して、
「ルナさん、あなたを愛しています。結婚してください」
「……え?」
ルナは一瞬何を言われたのか理解できなかったが、すぐに意味を理解し、顔が沸騰したように真っ赤になった。
「そ、そそそそそそそそれって……………!!!」
「何度でも言います。結婚してください」
顔はトマトのように真っ赤になり、頭からプシューっと湯気が噴出し、尻尾をブンブン振りながらわたわたしているルナを尻目に、ロイは続ける。
「こんな捕虜の身で何を、って思うかもしれませんけど、ルナさんを好きになってしまったんです。頑張り屋で、仲間想いで、美人で……僕なんかが釣り合うなんて思えないけど、自分の気持ちに正直になります。それに、ちゃんとプレ……」
「ち、ちょっと、ちょっと待ってろっ!!!」
ルナは慌てて隣の部屋に入り、バタンと扉を閉めてしまった。しばらくゴソゴソという音と共に「あ、あれ?」「ここ、が……こうで……」「ど、どうなっているんだ?」というルナの声が聞こえてきたが、「あ、からま……ああああぁぁぁぁぁ――――――!!」という悲鳴と共に、何かが倒れる音と「キャウンッ!」というかわいらしい鳴き声が聞こえてきた。
「えーと、ルナさん、大丈夫ですか?」
と声をかけながらロイがドアを開けると、
「ロ、ロイッ!? み、見るなっ、見ないでくれっ!!!」
服を全て脱ぎ捨て、身体に赤いリボンを巻いただけという、裸よりもいやらしい姿のルナが、リボンに絡まって身動きがとれなくなっていた。
「……何しているんですか?」
「う、うぅ〜〜〜」
ルナは涙目でしばらくロイを睨んでいたが、
「……プレゼントだ」
ポツリと言った。
「え?」
「だ、だからプレゼントだっ! わ、私を、ロイに、プレゼントするんだ!!」
半ば自棄になってルナは言う。
「私もずっとロイと結婚したかったんだっ! だからクリスマスにそういう関係になろうって決めてて、だ、だからお香やケーキに色々細工してっ!」
「……細工?」
「あ……」
うっかり暴露してしまった。
先ほどから身体が疼いている原因を知ったロイは、すっと目を細めた。
「……なるほど、どんな細工をしたかは知りませんが、これはそのせいですか」
そう言って、ガチガチになった己の男根を取り出した。
「あ……♥」
ルナの目はその逞しい男根にくぎ付けになった。ルナ自身もアルラウネの蜜と魔界ハーブで疼きが限界だったのだ。
そんなルナに、ロイは男根を近づける。
「これが欲しいですか?」
「ほ、欲しい……」
ルナは舌を伸ばすが、あと少しのところで男根には届かない。
「欲しい……欲しいぃ……」
懸命に男根を舐めようとするが、ロイはそれ以上男根を近づけようとしない。
「まだ返事を聞いていません」
「クゥン、返事ぃ……?」
ルナは涙目で聞き返す。
「僕と、結婚してくれますか? 奥さんとじゃないと、こんなことしたくありません」
ロイの再度のプロポーズに、ルナはようやくロイの意思を理解した。
「なるっ、なりますっ! ロイのお嫁さんになります! だからお願い、オチンチンしゃぶらせてっ! ナメナメさせてぇ!」
ルナの返事に、ロイは満足げに微笑み、男根をルナの口に突っ込んだ。
「はむっ、んぶ、んちゅ……ちゅば……れろれろ、んちゅぅ♥」
男根を咥えたルナは、夢中で男根を舐め、吸い、しゃぶる。
「くぅ、す、すごい……! 吸い取られる……!」
ロイは思わず呻いた。まともに恋もせず、剣一筋で生きてきたロイには、魔物娘のフェラは凄まじい衝撃だった。結果、限界はすぐに来た。
「で、出るっ!」
ロイは男根をルナののど奥まで突き入れ、そこで精を放った。
「ンッ!? ンゥ〜〜〜〜〜!!? ……んちゅ♥、ゴクッ、ゴクッ」
のどに放たれた精液を、ルナは無心に飲み干していく。
「ンンゥ、ジュッ、ジュルゥ……」
それだけでは終わらず、尿道に残った精液も吸いつくす。
「ウッ、あ、あぁ、す、すごい……!」
「ンチュゥ―――ッパァ!」
ようやく解放したが、ルナはまだ硬い男根を見て腰をもじつかせる。全く触られていないにも拘らず、性器はグショグショに濡れていた。
「こ、今度はぁ〜、こっちぃ♥ ロイの、旦那さま専用の、このだらしない牝イヌマンコにぃ♥ オチンチン入れてぇ♥ い〜っぱい、ジュボジュボしてぇ♥ ♥ ♥」
リボンが絡まった状態でころんと転がってうつ伏せになって、精いっぱい腰をくねらせながら夫となった少年を誘う。
少年は生唾をゴクリと呑み込んで、妻の性器に男根をあてがう。
「ほ、ほんとにいいんですね? 入れますよ?」
「うんっ♥ はやくぅ、はやくいれてぇ♥ 私の処女膜破ってぇ♥」
その言葉を聞いて、ロイの僅かに残っていた自制心が完全に消え失せた。
あてがった男根を、遠慮無く女性器に突き立てた。
ジュプッ、ズッズッ、……プチィ
「ハァァァァァァ♥ 来たぁ♥ オチンチンゥ♥ ♥」
「うぐっ、し、絞られ……!」
処女だったにも関わらず、ルナの女性器は早くもロイから精液を絞り取る動きを見せている。魔物娘ならではの順応の早さだった。
強烈な蠢動に耐えながら、ロイは男根を奥に進めていき、やがて、コツンと最奥に行き着いた。
「わふぅ♥ しきゅ、子宮にぃ♥ いちばん奥コンコンされてるのぉ♥ ♥ ♥」
想い人と一つになれた喜びと快楽によって、ルナは尻尾をブンブン振り回しながらヨガリまくる。
そんなルナの淫らな姿に触発され、ロイも荒々しく腰を使って女性器を攻め立てる。
「ふあぁ♥ すごいぃ♥ ロイのオチンチンでなかゴリゴリこすられるのもぉ、奥ゴツゴツされるのも好きぃ♥ もっとしてぇ♥」
「ハァ、ハァ、ルナさん、すっごく、エロいです! もっと……!」
ロイはルナの程よい大きさの胸に手を伸ばし、下から掬い上げるように揉みしだいた。
さらに、愛液で濡れ、ヒクついているアナルにも指を這わせる。
「ひゃうん! おっぱいぃ、お尻にもぉ!」
「っ!! さらに、キツく……!」
女性器以外の性感帯をいじられたことで、締め付けが、蠢動がさらにきつくなる。
その人外の快楽の前に、人間の男は無力であった。
「で、出るっ! もう出ます!!」
「わふぅ、出してぇ♥ 私の膣内で、いっぱい射精してぇ♥」
ロイは力を振り絞り、ルナの最奥に男根を叩きつけ、そこで射精した。
「っっ!!!」
「くふうぅぅぅぅぅぅん♥ ♥ ♥」
ビクビクと身体を震わせながら、二人は絶頂した。子宮に注がれる熱い精液を感じ、ルナは身体を弛緩させた。
ロイの身体は凄まじい快楽によって全身に倦怠感を感じたが、まだ男根は硬さを失ってはいなかった。
ルナの愛液と精液でドロドロになった女性器の上でヒクヒクしているアナルに、ロイはおもむろに舌を這わせた。
「や、やぁ! ロイッ、そこ、そこは違うぅ!」
「あんなにヒクついて僕を誘ったじゃないですか! こっちの処女もください!」
そう言いながらロイはルナのアナルに舌をねじ込んできた。
ルナの様々な細工と淫らな姿、圧倒的な快楽でロイは暴走気味だった。
「う、あぁ! お尻ぃ! 違うところ、なのにぃ! お尻も、気持ち、いいぃ!!」
本来性交を行う場所ではないアナルだが、さすがは魔物というべきか、すぐさま快楽を感じ始め、男根を受け入れる準備をしてしまう。
アナルがほぐれたのを確認したロイは、未だに硬さを保っている男根をアナルにあてがい、一気に挿入した。
「ああぁぁぁ―――――――――――――――――――――――!!!!!」
衝撃と共に、女性器とは違う快楽がルナを襲った。
「うぐ、あぐぅっ!」
一方のロイも、強烈な締まりを体験していた。締め付けの強さだけなら、女性器以上かもしれない。
「すごいぃぃぃぃ! お尻、なのにぃ、イきそう……!」
「僕も、イきそう、です!」
「出してぇ! お尻も、ロイの精液で満たしてぇ!!」
「うぐっ、ああああぁぁ!」
ロイは妻の要望に応え、アナルの奥に精液を注ぎ込んだ。
「ふわぁぁぁぁぁぁぁ!!! あちゅいぃぃぃぃぃぃ――――――♥ ♥ ♥」
腸に熱い精液を感じながら、ルナは意識を手放した。
「ん、んんぅ……」
「あ、起きました?」
ルナが目を覚ますと、こちらを見つめるロイの顔が目に入った。
意識を失う前に、ロイに見せてしまった自分の痴態を思い出し、頬が熱くなる。
「ロ、ロイ。あの……」
「はい、ルナさんにプレゼントです」
ルナの言葉を遮り、ロイが手に持った物を渡してくる。
黄金に輝くそれは……
「首輪?」
「はい。一応結婚指輪のつもり、なんです」
見ると、ロイの左手の薬指に、首輪と同じデザインの指輪。
「僕は指輪がいいって言ったんですけど……」
「どうやって手に入れたんだ?」
少なくともこの遺跡にあったものではない。自分が把握している財宝に合致するものが無いのだから間違いない。
購入するにしても、ロイはお金を持っていないはずだ。
「以前この遺跡に来た刑部狸さんに、僕の剣と交換してもらったんです」
「剣って、あの剣はロイにとって大切なものじゃ……!」
そう、あの剣はロイが騎士見習いになった時に剣の師匠から贈られたもので、ロイはとても大切にしていたのだ。
「いえ、今の僕には、あの剣よりも大切なものがありますから」
そう言って、ロイはルナの首に首輪をつけた。
「バカ……!」
感極まったルナは、ロイを抱きしめた。
「ロイには、私の全てをプレゼントするわ……ずっと、私をあなたの傍にいさせて……」
「はい、喜んで」
ロイも、ルナを抱きしめた。
二人はお互いの温かさを感じながら、唇を近付け、
「ロイ……」
「ルナさん……」
「「メリークリスマス」」
そして、一つに重なった。
END
ちょっとしたおまけ
「さて、少し休んだら仕事ですね」
「あぁ、もうすっかり夜も更けてしまったからな。まずはマミーたちの体調チェックを……」
ルナが動きを止める。
「? どうしましたルナさ……」
ロイもルナの視線の先にある物を見て動きを止める。
二人の視線の先にあるのは、結局飲まずに放置されていた、陶酔の果実のワイン。
「なぁ、せっかくだし……」
「飲みますか……?」
二人は少し顔を赤くしながら、グラスを手に取った。
綿密に書き込まれた計画書を手に、少女は満足げにほくそ笑んだ。
「これで明日は……ふふふふふふ」
頭の中で何を妄想しているのか、少女の頬はだらしなく緩み、黒い尻尾をぱたぱたと振っている。
そう、少女は人間ではない。
褐色の肌に艶やかな黒い髪、ぴんと立ったウルフ種特有の三角耳と黒い毛に覆われた、思わずもふもふしたくなる獣の手足。ややツリ目気味だが、それがマイナス要因にならず、強気で魅力的に見える整った顔立ち。
彼女の名前はルナ。アヌビスというウルフ種の魔物娘だ。マミーやスフィンクスを従え、偉大なるファラオの眠る遺跡を守護する者。
「明日こそ、アイツと……ロイと結ばれるんだ……!」
ロイとは、彼女が守護する遺跡に侵入してきた、砂漠地帯に接する国の騎士見習いの少年だ。
反魔物国家である彼の国は、半年ほど前にこの遺跡の魔物娘を討伐するために騎士団を派遣したが、幾多のトラップと魔物娘たちの迎撃により、一人残らず捕虜となってしまった。
その中でもロイは、反魔物国家に属していたにも関わらず魔物娘への忌避感があまり無く(辺境の村の孤児出身で魔物娘をよく目撃していたため)、遺跡の魔物娘たちとすぐに打ち解けたこともあって、ルナは彼を気に入り、自分の仕事の補佐を手伝ってもらうことがよくあった。
ルナとしてはロイを自分の夫にしたいと常々考えてきたのだが、様々な障害(良い雰囲気の時に限って現れる侵入者、スフィンクスの駆け落ちによる配置変更、etc)のせいで、今の今まで結ばれる事は無かった。
「だが、明日は……『くりすます』という聖なる日には絶対……!!」
ロイの国では、明日は『くりすます』という特別な日であるらしい。何でも、とても神聖な日で、恋人同士が結ばれるのに最適な日である、ということをロイの国がある地方に住んでいる魔物娘に聞いていた。
「失敗は許されない。絶対に……!」
翌日、ロイはルナに食事に招かれていた。一羽丸ごと焼いた鳥に、色鮮やかなサラダ、さらには巨大なショートケーキも用意してあった。
「す、すごいごちそうですね。何かありました?」
ロイは明らかに困惑していた。
「何って……お前の国では『くりすます』という日にこういった物を食べるのだろう?」
「くりすます……ああ、確かに今日はクリスマスでしたね。ですが、孤児でしたから、こういう祝い事とは無縁で……」
申し訳なさそうに頭を掻くロイ。生きることに必死だったロイは、こんな豪華なごちそうを口にしたことはなかったのだ。
「そ、そうか……すまなかった。そんなこと、全然考えてなくて……」
喜んでくれるとばかり思っていたルナは、想定外のロイの言葉に項垂れてしまった。尻尾も申し訳なさそうにしゅんと垂れ下がってしまっている。
「いえ。こんなごちそうを用意してくれて、すごく嬉しいです。ありがとうございました」
「う、うむ。そうか。そう言ってもらえて嬉しいぞ。ではさっそく食べよう。冷めてしまっては台無しだからな」
ロイの一言で気を取り直したルナは、ロイと共に食事を始めた。
「ふぅ、とってもおいしかったですね」
「うむ、私も用意した甲斐があるというものだ」
二人は用意してあった料理を食べ終え、最後のケーキを口に運んでいた。
ロイの口に消えていくケーキを見ながら、ルナは計画が順調に進んでいることに満足していた。このケーキには砂糖の代わりにアルラウネの蜜がたっぷりと使われており、滋養強壮に持ってこいなのだ。
さらに、二人のいる部屋には魔界ハーブのお香が焚かれており、男女が交わるのにふさわしい空間と化していた。
そして、ルナは最後のアイテムを取り出した。
「では、最後にこれを飲もう。取り寄せるのに手間がかかったんだぞ」
それは、陶酔の果実のワイン。それも下に付いている実から抽出した、上物のワインだ。
これを口にすると心地いい陶酔感が味わえ、目の前の雌しか目に入らなくなってしまうのだ。
ワインをグラスに注ぎ、ロイに渡す。が、ロイはグラスを置いてしまった。
「どうした? せっかく取り寄せたんだから飲んでくれ」
ルナは促すが、ロイはグラスを手にせず、真剣な顔でルナを見つめた。
「いえ、酔ってしまいますから、先に言います」
ロイは一度深呼吸して、
「ルナさん、あなたを愛しています。結婚してください」
「……え?」
ルナは一瞬何を言われたのか理解できなかったが、すぐに意味を理解し、顔が沸騰したように真っ赤になった。
「そ、そそそそそそそそれって……………!!!」
「何度でも言います。結婚してください」
顔はトマトのように真っ赤になり、頭からプシューっと湯気が噴出し、尻尾をブンブン振りながらわたわたしているルナを尻目に、ロイは続ける。
「こんな捕虜の身で何を、って思うかもしれませんけど、ルナさんを好きになってしまったんです。頑張り屋で、仲間想いで、美人で……僕なんかが釣り合うなんて思えないけど、自分の気持ちに正直になります。それに、ちゃんとプレ……」
「ち、ちょっと、ちょっと待ってろっ!!!」
ルナは慌てて隣の部屋に入り、バタンと扉を閉めてしまった。しばらくゴソゴソという音と共に「あ、あれ?」「ここ、が……こうで……」「ど、どうなっているんだ?」というルナの声が聞こえてきたが、「あ、からま……ああああぁぁぁぁぁ――――――!!」という悲鳴と共に、何かが倒れる音と「キャウンッ!」というかわいらしい鳴き声が聞こえてきた。
「えーと、ルナさん、大丈夫ですか?」
と声をかけながらロイがドアを開けると、
「ロ、ロイッ!? み、見るなっ、見ないでくれっ!!!」
服を全て脱ぎ捨て、身体に赤いリボンを巻いただけという、裸よりもいやらしい姿のルナが、リボンに絡まって身動きがとれなくなっていた。
「……何しているんですか?」
「う、うぅ〜〜〜」
ルナは涙目でしばらくロイを睨んでいたが、
「……プレゼントだ」
ポツリと言った。
「え?」
「だ、だからプレゼントだっ! わ、私を、ロイに、プレゼントするんだ!!」
半ば自棄になってルナは言う。
「私もずっとロイと結婚したかったんだっ! だからクリスマスにそういう関係になろうって決めてて、だ、だからお香やケーキに色々細工してっ!」
「……細工?」
「あ……」
うっかり暴露してしまった。
先ほどから身体が疼いている原因を知ったロイは、すっと目を細めた。
「……なるほど、どんな細工をしたかは知りませんが、これはそのせいですか」
そう言って、ガチガチになった己の男根を取り出した。
「あ……♥」
ルナの目はその逞しい男根にくぎ付けになった。ルナ自身もアルラウネの蜜と魔界ハーブで疼きが限界だったのだ。
そんなルナに、ロイは男根を近づける。
「これが欲しいですか?」
「ほ、欲しい……」
ルナは舌を伸ばすが、あと少しのところで男根には届かない。
「欲しい……欲しいぃ……」
懸命に男根を舐めようとするが、ロイはそれ以上男根を近づけようとしない。
「まだ返事を聞いていません」
「クゥン、返事ぃ……?」
ルナは涙目で聞き返す。
「僕と、結婚してくれますか? 奥さんとじゃないと、こんなことしたくありません」
ロイの再度のプロポーズに、ルナはようやくロイの意思を理解した。
「なるっ、なりますっ! ロイのお嫁さんになります! だからお願い、オチンチンしゃぶらせてっ! ナメナメさせてぇ!」
ルナの返事に、ロイは満足げに微笑み、男根をルナの口に突っ込んだ。
「はむっ、んぶ、んちゅ……ちゅば……れろれろ、んちゅぅ♥」
男根を咥えたルナは、夢中で男根を舐め、吸い、しゃぶる。
「くぅ、す、すごい……! 吸い取られる……!」
ロイは思わず呻いた。まともに恋もせず、剣一筋で生きてきたロイには、魔物娘のフェラは凄まじい衝撃だった。結果、限界はすぐに来た。
「で、出るっ!」
ロイは男根をルナののど奥まで突き入れ、そこで精を放った。
「ンッ!? ンゥ〜〜〜〜〜!!? ……んちゅ♥、ゴクッ、ゴクッ」
のどに放たれた精液を、ルナは無心に飲み干していく。
「ンンゥ、ジュッ、ジュルゥ……」
それだけでは終わらず、尿道に残った精液も吸いつくす。
「ウッ、あ、あぁ、す、すごい……!」
「ンチュゥ―――ッパァ!」
ようやく解放したが、ルナはまだ硬い男根を見て腰をもじつかせる。全く触られていないにも拘らず、性器はグショグショに濡れていた。
「こ、今度はぁ〜、こっちぃ♥ ロイの、旦那さま専用の、このだらしない牝イヌマンコにぃ♥ オチンチン入れてぇ♥ い〜っぱい、ジュボジュボしてぇ♥ ♥ ♥」
リボンが絡まった状態でころんと転がってうつ伏せになって、精いっぱい腰をくねらせながら夫となった少年を誘う。
少年は生唾をゴクリと呑み込んで、妻の性器に男根をあてがう。
「ほ、ほんとにいいんですね? 入れますよ?」
「うんっ♥ はやくぅ、はやくいれてぇ♥ 私の処女膜破ってぇ♥」
その言葉を聞いて、ロイの僅かに残っていた自制心が完全に消え失せた。
あてがった男根を、遠慮無く女性器に突き立てた。
ジュプッ、ズッズッ、……プチィ
「ハァァァァァァ♥ 来たぁ♥ オチンチンゥ♥ ♥」
「うぐっ、し、絞られ……!」
処女だったにも関わらず、ルナの女性器は早くもロイから精液を絞り取る動きを見せている。魔物娘ならではの順応の早さだった。
強烈な蠢動に耐えながら、ロイは男根を奥に進めていき、やがて、コツンと最奥に行き着いた。
「わふぅ♥ しきゅ、子宮にぃ♥ いちばん奥コンコンされてるのぉ♥ ♥ ♥」
想い人と一つになれた喜びと快楽によって、ルナは尻尾をブンブン振り回しながらヨガリまくる。
そんなルナの淫らな姿に触発され、ロイも荒々しく腰を使って女性器を攻め立てる。
「ふあぁ♥ すごいぃ♥ ロイのオチンチンでなかゴリゴリこすられるのもぉ、奥ゴツゴツされるのも好きぃ♥ もっとしてぇ♥」
「ハァ、ハァ、ルナさん、すっごく、エロいです! もっと……!」
ロイはルナの程よい大きさの胸に手を伸ばし、下から掬い上げるように揉みしだいた。
さらに、愛液で濡れ、ヒクついているアナルにも指を這わせる。
「ひゃうん! おっぱいぃ、お尻にもぉ!」
「っ!! さらに、キツく……!」
女性器以外の性感帯をいじられたことで、締め付けが、蠢動がさらにきつくなる。
その人外の快楽の前に、人間の男は無力であった。
「で、出るっ! もう出ます!!」
「わふぅ、出してぇ♥ 私の膣内で、いっぱい射精してぇ♥」
ロイは力を振り絞り、ルナの最奥に男根を叩きつけ、そこで射精した。
「っっ!!!」
「くふうぅぅぅぅぅぅん♥ ♥ ♥」
ビクビクと身体を震わせながら、二人は絶頂した。子宮に注がれる熱い精液を感じ、ルナは身体を弛緩させた。
ロイの身体は凄まじい快楽によって全身に倦怠感を感じたが、まだ男根は硬さを失ってはいなかった。
ルナの愛液と精液でドロドロになった女性器の上でヒクヒクしているアナルに、ロイはおもむろに舌を這わせた。
「や、やぁ! ロイッ、そこ、そこは違うぅ!」
「あんなにヒクついて僕を誘ったじゃないですか! こっちの処女もください!」
そう言いながらロイはルナのアナルに舌をねじ込んできた。
ルナの様々な細工と淫らな姿、圧倒的な快楽でロイは暴走気味だった。
「う、あぁ! お尻ぃ! 違うところ、なのにぃ! お尻も、気持ち、いいぃ!!」
本来性交を行う場所ではないアナルだが、さすがは魔物というべきか、すぐさま快楽を感じ始め、男根を受け入れる準備をしてしまう。
アナルがほぐれたのを確認したロイは、未だに硬さを保っている男根をアナルにあてがい、一気に挿入した。
「ああぁぁぁ―――――――――――――――――――――――!!!!!」
衝撃と共に、女性器とは違う快楽がルナを襲った。
「うぐ、あぐぅっ!」
一方のロイも、強烈な締まりを体験していた。締め付けの強さだけなら、女性器以上かもしれない。
「すごいぃぃぃぃ! お尻、なのにぃ、イきそう……!」
「僕も、イきそう、です!」
「出してぇ! お尻も、ロイの精液で満たしてぇ!!」
「うぐっ、ああああぁぁ!」
ロイは妻の要望に応え、アナルの奥に精液を注ぎ込んだ。
「ふわぁぁぁぁぁぁぁ!!! あちゅいぃぃぃぃぃぃ――――――♥ ♥ ♥」
腸に熱い精液を感じながら、ルナは意識を手放した。
「ん、んんぅ……」
「あ、起きました?」
ルナが目を覚ますと、こちらを見つめるロイの顔が目に入った。
意識を失う前に、ロイに見せてしまった自分の痴態を思い出し、頬が熱くなる。
「ロ、ロイ。あの……」
「はい、ルナさんにプレゼントです」
ルナの言葉を遮り、ロイが手に持った物を渡してくる。
黄金に輝くそれは……
「首輪?」
「はい。一応結婚指輪のつもり、なんです」
見ると、ロイの左手の薬指に、首輪と同じデザインの指輪。
「僕は指輪がいいって言ったんですけど……」
「どうやって手に入れたんだ?」
少なくともこの遺跡にあったものではない。自分が把握している財宝に合致するものが無いのだから間違いない。
購入するにしても、ロイはお金を持っていないはずだ。
「以前この遺跡に来た刑部狸さんに、僕の剣と交換してもらったんです」
「剣って、あの剣はロイにとって大切なものじゃ……!」
そう、あの剣はロイが騎士見習いになった時に剣の師匠から贈られたもので、ロイはとても大切にしていたのだ。
「いえ、今の僕には、あの剣よりも大切なものがありますから」
そう言って、ロイはルナの首に首輪をつけた。
「バカ……!」
感極まったルナは、ロイを抱きしめた。
「ロイには、私の全てをプレゼントするわ……ずっと、私をあなたの傍にいさせて……」
「はい、喜んで」
ロイも、ルナを抱きしめた。
二人はお互いの温かさを感じながら、唇を近付け、
「ロイ……」
「ルナさん……」
「「メリークリスマス」」
そして、一つに重なった。
END
ちょっとしたおまけ
「さて、少し休んだら仕事ですね」
「あぁ、もうすっかり夜も更けてしまったからな。まずはマミーたちの体調チェックを……」
ルナが動きを止める。
「? どうしましたルナさ……」
ロイもルナの視線の先にある物を見て動きを止める。
二人の視線の先にあるのは、結局飲まずに放置されていた、陶酔の果実のワイン。
「なぁ、せっかくだし……」
「飲みますか……?」
二人は少し顔を赤くしながら、グラスを手に取った。
12/12/26 16:07更新 / ヤマネ